説明

長円形電気化学二重層コンデンサ

変形的巻回コンデンサ構造を有しかつ各電極からほぼ同一方向に延出する複数の指状片を有する長円形の電気化学二重層コンデンサが開示されている。変形的巻回コンデンサ構造を有する長円形の電気化学二重層コンデンサを備えたパッケージされた電気化学二重層コンデンサも開示されている。変形的巻回コンデンサ構造を有する長円形の電気化学二重層コンデンサの製造方法も開示されている。

【発明の詳細な説明】
【関連出願の表示】
【0001】
本願は、その内容がここに引用される2007年10月31日付けで提出された米国特許出願第11/981,096号の優先権を主張した出願である。
【技術分野】
【0002】
本発明は、コンデンサに関し、特に電気化学二重層コンデンサに関するものである。
【背景技術】
【0003】
電気化学二重層コンデンサ(EDLC)、すなわち超コンデンサは、近年における重要な研究対象となって来ている。代替エネルギー源の出現およびハイブリッド電気車両(HEV)の商品化により、効率的、高密度エネルギー貯蔵装置に対する要求が生じている。このようなエネルギー貯蔵装置の開発は、ハイパワーが要求される用途における蓄電池または燃料電池技術の完成を可能にするために必要である。
【0004】
従来のEDLCは、紙等の多孔質誘電材料によって隔離された二つの金属性電極の積層体を採用している。この積層体は、「ロールケーキ」として知られている、渦巻きの全体に亘って分散された電解質とともに巻回されて円筒を形成する。二つの電極のそれぞれに接続された端子間に電圧が印加されると、上記電解質がイオン化し、各電極の表面上の電場が電荷を蓄積することができる。上記EDLCはこの電荷を必要とされるまで充電することができ、その時点で放電可能である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
EDLC等のコンデンサの端子間に印加され得る最大電圧は、したがって貯蔵され得る最大電荷は、電解質およびEDLCの構成等の要素の選択に左右される。例えばHEV等のハイパワーの用途に対しては、多数の個々のコンデンサが必要である。これらの用途またはその他の用途においては、多数のコンデンサのための膨大な空間が必要になる。したがって、コンデンサの設計には、効率、エネルギー密度、熱管理、電気的相互接続およびコストが重要になり得る。
【0006】
従来のコンデンサおよびエネルギー貯蔵装置に付随する上述の課題およびその他の短所の解決に取り組む必要がある。これらおよびその他の必要性は、本発明の装置および物品によって満足される。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明はコンデンサに関し、特に、効率的な高密度エネルギー貯蔵を提供することができる電気化学二重層コンデンサに関し、かつこのようなコンデンサを厳しい用途に用いることに関するものである。
【0008】
第1の態様において、本発明は、第1の縦軸、或る厚さを有する第1の本体、およびこの第1の本体から上記縦軸とほぼ平行な第1の方向に延出する複数の第1の指状片を有する第1の電極と、上記第1の縦軸とほぼ平行な第2の縦軸、或る厚さを有する第2の本体、およびこの第2の本体から前記第1の方向に延出する複数の第2の指状片を有する第2の電極と、上記第1および第2の本体の少なくとも一部間に分布された電解質とを備えた電気化学二重層コンデンサを提供するものであって、その場合に、上記第1および第2の本体は、互いに重ね合わされた態様で配置され、かつ上記第1および第2の本体が電気的に直接接触しないように、少なくとも1層の非導電性層によって隔離されており、上記互いに重ね合わされた第1および第2の本体は、上記縦軸の周りにほぼ渦巻き状に巻回されており、上記第1または第2の指状片の少なくとも一部分は、上記第1または第2の本体の少なくとも一方の厚さよりも厚い厚さを有しており、そして、上記複数の第1の指状片は、第1の所定の三次元的パターンを画成する第1のタブ部分を形成し、かつ上記複数の第2の指状片は、第2の所定の三次元的パターンを画成する、上記第1のタブ部分から離間した第2のタブ部分を形成している。
【0009】
第2の態様において、本発明は、上述の電気化学二重層コンデンサを提供し、さらに縦軸と、コンデンサの断面にほぼ類似した断面を有する容器を提供し、この容器は、互いに重ね合わされた第1および第2の本体を封入している。
【0010】
第3の態様において、本発明は、少なくとも二次元的なアレイに構成された複数の電気化学二重層コンデンサを備えた装置を提供し、その場合に、上記複数の電気化学二重層コンデンサのそれぞれが長円形の専有面積を有し、上記複数の電気化学二重層コンデンサのそれぞれが密封された動作環境を備え、かつ上記少なくとも二次元的なアレイが、上記複数の電気化学二重層コンデンサ間に複数の通路を画成している。
【0011】
第4の態様において、本発明は、電気化学二重層コンデンサの製造方法を提供するものであって、この方法は、第1の縦軸、第1の本体、およびこの第1の本体から上記第1の縦軸とほぼ平行な第1の方向に延出する複数の第1の指状片を有する第1の電極を提供し、上記第1の縦軸とほぼ平行な第2の縦軸、第2の本体、およびこの第2の本体から前記第1の方向に延出する複数の第2の指状片を有する第2の電極を提供し、かつ少なくとも1層の非導電性層を提供し、次いで、上記第1および第2の本体を、上記少なくとも1層の非導電性層によって隔離されて互いに重ね合わされた態様でかつ上記第1および第2の本体が電気的に直接接触しないように位置決めし、次いで、上記第1および第2の本体を、上記複数の第1の指状片が第1のタブ部分を形成しかつ上記複数の第2の指状片が上記第1のタブ部分から離間した第2のタブ部分を形成する態様で、上記縦軸の周りに渦巻き状に巻回することを含む。
【0012】
本発明のさらなる態様および効果の一部は、下記の詳細な説明、図面および請求項に記載されており、その一部は詳細な説明から導き出され、または本発明の実施によって会得することができるであろう。下記に説明されている効果は、添付の請求項において特に指摘された要素および組合せによって実現されかつ達成されるであろう。上述の概略説明および後述の詳細説明は、例示および説明に過ぎず、開示された発明を限定するものではない。
【0013】
本明細書に組み入れられかつその一部を構成する添付図面は、本発明のいくつかの態様を描いたものであって、記述内容とともに、本発明の原理の限定を伴わない説明に資するものである。全図を通じて、類似の符号は同一の要素を表す。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】長円形体の両端部において延出した電極タブを有する、本発明による変形的巻回コンデンサ・セルの概略的斜視図である。
【図2】各延出した電極タブの束に固定された端子を有する、本発明による変形的巻回コンデンサ・セルの概略的斜視図である。
【図3A】本発明の種々の態様による電極箔の折畳み体を示す斜視図である。
【図3B】電極がその一方のエッジに沿って配置された複数のタブを有する、本発明によるコンデンサ・セルの電極およびセパレータ材料を示す分解斜視図である。
【図4A】本発明による長円形コンデンサ・セル構造の斜視図である。
【図4B】本発明による長円形コンデンサ・セル構造の切裁斜視図である。
【図5】Aは四角形セル、Bは長円形セル、Cは円形セル、Dはずらした円形セルからなるアレイによって得られるパッキング効率の説明図である。
【図6A】従来の円筒状巻回コンデンサ・セルの軸線方向のパッキング効率を示す図である。
【図6B】本発明による長円形巻回コンデンサ・セルの軸線方向のパッキング効率を示す図である。
【図7】45個の個々のコンデンサ・セルが直列に接続された本発明による多セル・コンデンサ・アセンブリの斜視図である。
【図8】個々のセル間の通気孔、随意的なヒートシンクの取付け可能位置、随意的な熱放散パッド、および随意的な支持トレーを示す、図7の多セル・コンデンサ・アセンブリの平面図および断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明は、下記の詳細な説明、図面、実施例、および請求項、ならびに前述および後述の説明によって、より容易に理解することができる。しかしながら、本発明の組成物、物品、装置、および方法が開示および説明されるのに先立って、本発明は、特に指示がない限り、開示された具体的な組成、物品、装置および方法に限定されるものではなく、勿論変更も可能である。ここで用いられている用語は、特定の態様の説明のためのみのものであって、限定を目的とするものではないことを理解すべきである。
【0016】
下記の本発明の説明は、現在知られている実施の形態において本発明の教示を可能にするために提供されるものである。このため、当業者であれば、本発明の有益な結果を得ながら、ここに説明されている本発明の種々の態様に対して多くの変更が可能なことを認識しかつ理解するであろう。また、本発明の所望の効果のうちのいくつかは、本発明の特徴のいくつかを選択することによって、その他の特徴を用いることなしに得られることが明らかである。したがって、本発明に対する多くの変形および変更が可能であり、環境によってはその方が好ましく、それらも本発明の一部であることを認識すべきである。そこで、下記の説明は、本発明の原理の説明のために提供されているものであって、それらを限定するものではない。
【0017】
ここに開示されているのは、用いることができる、組み合わせて用いることができる、調製に用いることができる材料、化合物、組成物および成分であり、または開示された方法および組成物の製品である。これらの材料の組み合わせ、サブセット、相互作用、グループ等が開示されているときは、それぞれの様々な個々および集合的な組合せおよびこれら化合物の置換の具体的な指示が明白に開示されていなくても、それぞれが具体的に予期され、本明細書に記載されているものと考えられる。したがって、もし置換基A、BおよびCの部類と、置換基D、EおよびFの部類とが開示され、かつ組み合わせ態様A−Dの例が開示されている場合には、それぞれが個々におよび集合的に予期される。このように、この例では、A、BおよびC、D、EおよびF、ならびにA−Dの例示の組み合わせの開示から、A−E、A−F、B−D、B−E、B−F、C−D、C−EおよびC−Fの組み合わせのそれぞれが具体的に予期され、かつ開示されていると考えるものとする。同様に、これらのサブセットまたは組み合わせもまた、具体的に予期されかつ開示されている。従って、例えば、A、BおよびC、D、EおよびF、ならびにA−Dの例示の組み合わせの開示から、A−E、B−FおよびC−Eのサブグループが具体的に予期され、開示されていると考えるものとする。この概念は、組成物の如何なる成分ならびに開示された組成物を製造および使用する方法における如何なる工程をも含むがこれらに限定されない本開示内容の全ての態様に適用される。したがって、もし実施可能な様々な追加の工程がある場合には、これらの追加の工程のそれぞれが、開示された方法の具体的な態様または態様の組み合わせで実施することができ、かつこれらの組み合せのそれぞれが、具体的に意図され、開示されているものと考えるべきである。
【0018】
本明細書および後に続く特許請求の範囲においては、数多くの用語が言及されており、それらは以下の意味を有するものと定義される。
【0019】
本明細書で用いる単数形(a、anおよびthe)には、文脈上明らかに単数でない限り、複数の対象も含まれる。例えば、「成分」に言及したときには、文脈上明らかに単数でない限り、2つ以上のかかる成分を有する態様が含まれる。
【0020】
「任意の」または「随意的に」とは、後に続く記載の事象または状況が生じ得る、または生じ得ないこと、そして、その記載には、事象または状況が生じた場合と生じなかった場合が含まれることを意味する。例えば、「任意の成分」とは、その成分が存在し得る、またはその成分が存在し得ないこと、そして、その記載には、その成分を含む場合と含まない場合の本発明の両方の態様が含まれることを意味する。
【0021】
範囲は、「約」ある特定の値から、および/または「約」他の特定の値までとして表わすことができる。かかる範囲を表わすとき、他の態様には、ある特定の値から、および/または他の特定の値まで含まれる。同様に、値が、頭に「約」をつけて、近似で表わされるときも、特定の値が他の態様を形成するものと考えられる。さらに、範囲の各終点は、他方の終点に関連するのと、他方の終点からは独立の両方について意味があるものと考えられる。
【0022】
上記に簡単に紹介されているように、かつ図面を参照すると、本発明は、変形的巻回コンデンサ構造を有する長円形の電気化学二重層コンデンサを提供し、その場合、二つの電極のそれぞれが電極の電荷蓄積部分を超えて延出する多数のタブを有し、各電極の多数のタブは電気端子に接続および固定されることができる。本発明はまた、パッケージされた電気化学二重層コンデンサ、複数の個々の電気化学二重層コンデンサ・セルを備えかつ優れた熱管理能力を備えた空間効率的なコンデンサ装置、ならびに、本発明の長円形の電気化学二重層コンデンサ、パッケージされた電気化学二重層コンデンサ、および装置の製造方法を提供する。
【0023】
従来の巻回コンデンサ構造
従来の巻回コンデンサ構造は、2枚の電極と2枚のセパレータとが交互に積み重ねられた態様で、1本の軸線の周りに巻回されて、一つのロールケーキ状の円筒を形成している。このような従来のコンデンサにおいては、巻回に先立って、二つの電極のそれぞれは、電極の一部がセパレータおよび他方の電極を超えて軸線とは直角の方向に延出するように配置される。したがって、二つの電極のそれぞれが、巻回されていない積重ね部分を超えて反対方向に延出する。両電極とセパレータとが巻回されると、延出されている電極部分が、円筒の両端を通じてこのコンデンサを電気回路に接続する手段を提供する。いくつかの従来の構造においては、各電極の延出部分が一体に束ねられて電気端子を提供する。延出部分はまた、例えばエンドキャップ上に位置するリード線またはハードウェア端子に溶接または蝋付けされる。別の従来の態様では、束ねられた電極が用いられ、ハードウェア端子に取り付けられる延出されたタブを各電極が有している。これらの従来のコンデンサは、機能的であっても、空間効率的ではない。さらにこれらの従来のコンデンサは、低価格構造にするのが容易でなく、または高いパワー密度が要求される用途に必要な電気的損失が低い構造を備えていない。
【0024】
長円形の変形的巻回コンデンサ構造
本発明は、従来の構成を上回る、例えば、高エネルギー密度、効率的なパッキング、および優れた熱管理法を提供することができる、変形的巻回構造を有する電気化学二重層コンデンサを提供するものである。
【0025】
本発明のコンデンサの電極のサイズおよび形状は、電気化学二重層コンデンサに適したサイズおよび/または形状のものであれば、如何なるものであってもよい。一つの態様において、電極は、折り畳まれ、丸められ、および/または巻回され得る、例えばアルミニウム箔等の導電性ストリップからなる。各電極は、コンデンサとして組み立てられた場合に、その表面の少なくとも一部分上に電荷を蓄積させることができる本体部を備えることができる。各電極はまた、この電極の一方のエッジから延出する複数の指状片を備えることができる。一つの態様において、上記指状片は、電極が巻回されるときの縦軸に対して平行方向に延びている。別の態様において、双方の電極の指状片は同一方向に延びている。電極上の指状片の数、位置、サイズおよび形状は変えることができ、本発明は、指状片の特定のパターンまたは数に限定する意図はない。種々の態様において、電極は、一方のエッジから延出する、例えば、2,3,4,5,10,20個またはそれ以上の指状片を備えることができる。
【0026】
所望のパターンの指状片を有する電極は、電極材料のシートから例えば打ち抜かれる。一つの態様において、電極上の指状片のパターンは、電極が巻回された後に所望の三次元的パターンを提供するように構成される。別の態様において、電極上の2個またはそれ以上の指状片のサイズおよび形状は、ハードウェア端子等の電気的接続手段への接続が容易なように構成することができる。別の態様において、電極上の指状片のパターンは、電極の巻回後に多数の指状片が互いに近接配置されてタブ部となるように構成することができる。所望の形状の、および/または三次元パターンを有するタブ部を形成するのに必要なパターンは、コンデンサのサイズ、コンデンサの作製に用いられる部品の厚さ、および所望の三次元パターンの幾何学的形状に応じて変えることができる。本発明のコンデンサおよび方法は、例えば、具体的な所定のパターンを有する電極を迅速に製造するために、例えば打ち抜き等の常套的なコスト効率の良い方法を利用することができる。
【0027】
図面を参照すると、図1に示された具体的な態様において、長円形コンデンサ100の突出部分120によって形成された所定の三次元的パターンは、ハードウェア端子またはその一部分が挿入される凹部125を形成することができる。図2は、タブ部分によって形成された凹部内にハードウェア端子130が挿入されている本発明の例示的態様を示す。一つの態様において、渦巻き状に巻回された電極のタブ部分から延出された2個またはそれ以上の指状片が接続され、および/または互いに電気的に接続されている。これらの接続部は物理的接触および例えば溶接等の技法によって形成される。さらなる態様において、隔離されたハードウェア端子は、第1および第2のタブ部分内に少なくとも或る程度挿入されて、コンデンサの二つの電極のそれぞれに対し電気的に接続されている。このような構成は、予めの位置決めとタブ部分の一つに対する取付けとを可能にしている。種々の態様において、タブ部分に形成されている2個またはそれ以上の指状片は、一体に、および/またはハードウェア端子またはリード線に取り付けられている。タブ部分の指状片の組合せおよび/またはハードウェア端子の取付け方法は、例えば溶接、レーザー溶接、蝋付け/半田付け、またはそれらの組合せ等の適当な技法で行なうことができる。図2は、長円形の変形的巻回コンデンサの実施の形態を示し、各タブ部分は、互いにかつハードウェア端子に溶接されている。ハードウェア端子は、如何なる適当な材料を含んでいてもよく、例えば、ねじ部品とディスクとの組合せとすることができる。一つの具体的な態様において、ハードウェア端子は、薄いアルミニウム合金ディスクに溶接されたアルミニウム合金ねじからなる。種々の態様において、タブ部分に端子を位置決めしかつ取り付ける方法は、クランプまたはリベットを用いる従来の技法よりも、空間的に効率が良い。これらの方法は、接続に付随する電気抵抗を減らすこともでき、したがって、優れたセルの性能が可能になる。
【0028】
一つの電極上の指状片の数およびパターン、例えば位置、形状およびサイズは、他の電極上の指状片の数およびパターンと異ならすことができる。一つの態様において、各電極上の指状片の数およびパターンは異なっており、電極が渦巻き状である場合には、二つの離れた領域またはタブ部分を備えており、その場合、第1の領域は一方の電極からの指状片を備え、第2の領域は他方の電極からの指状片を備える。このような構成により、例えばコンデンサの同一側の複数箇所において電極とハードウェア端子とを接続することが可能になる。
【0029】
電極材料およびそれに取り付けられた指状片の厚さは、電気化学二重層コンデンサに用いるのに適したものであればどのような厚さであってもよい。一つの態様において、電極の厚さは、コンデンサに用いる場合に、電極材料の例えば損傷、穴明き、裂け等を回避しながら、高い表面積対体積比を備えるように十分に薄くなければならない。一つの具体的な態様において、電極材料の厚さは、個々で説明されている非導電性セパレータ材料の1枚または複数枚の厚さと同一かまたは実質的に同じとすることができる。一つの具体的な態様において、アルミニウム電極である箔の厚さは約25μmである。別の態様において、電極の本体部10および/または指状片15は、図3Aに示されているように、1回または数回折り畳まれて、材料の厚さを増大させている。もし電極の指状片が2回または3回またはそれ以上折り畳まれているとすると、折り畳まれた指状片の厚さは約100、150、200μmまたはそれ以上となり得る。このように厚さが増すと、一つまたそれ以上の指状片をより効果的にハードウェア端子に接続することができる。具体的な態様においては、電極の指状片が整然と折り畳まれて厚さを増大させている。電極の折り畳まれた指状片は、表面上に存在し得るいかなる炭素塗膜をも含まない電極の本体部自体の厚さよりも厚くなっている。別の態様においては、電極の整然と折り畳まれた指状片は、交互に重ね合わされた構造体が渦巻き状である場合に、整然と折り畳まれた指状片のそれぞれが直接またはほぼ直接に互いに接触するように、電極本体、存在す場合の炭素塗膜、非導電層、およびそれら間の空間が組み合わされた厚さに等しいかまたはほぼ等しい厚さを有し得る。種々の態様において、このような構成は、電気的接触面積を増大させ、かつ電極の指状片の強度を増大させる。別の態様において、電極の指状片は折り畳まれてはいない。さらに別の態様において、電極の厚さはその表面に沿って変化している。各電極は同じまたは異なる厚さを有するが、本発明は、如何なる特定の厚さにも限定されるものではない。
【0030】
例えば、電極層の厚さならびに電極の指状片を切断および/または形成するのに付随する製造公差は変えることができ、かつ一つまたは複数の指状片の具体的な位置および整列状態に影響を与え得ることを認識すべきである。電極の具体的な構造および/またはパターンは、例えば材料特性、ならびに改善された工程管理、したがって指状片の位置決めおよび整列状態を提供する工程許容度のようなファクタに基づいて調節することができる。
【0031】
本発明の電極は、電気化学二重層コンデンサに用いるのに適した如何なる導電性材料からなるものであってもよい。一つの態様において、少なくとも一方の電極が、例えば折畳まれ、巻かれ、または渦巻き状に巻回されるのが可能な可撓性導電性材料からなる。別の態様において、少なくとも一方の電極が、例えばアルミニウム等の金属からなる。別の態様において、一方または双方の電極が、例えば電極の有効表面を増大させることができる炭素塗膜等の炭素材料を含んでいる。双方の電極が同一組成を有する必要はなく、電極が同一または異なる組成を有する双方の態様を本発明に含ませる意図がある。別の態様において、電極は、コンデンサの構成に利用される他の材料および電解質と相性が良い材料を含む。具体的な態様において、電極は、コンデンサの動作環境において実質的に耐食性を有する材料からなる。さらに別の態様において、少なくとも一方の電極は、例えば電極本体の全てまたは一部の少なくとも一方の面が塗膜を備えている。一つの具体的な態様において、少なくとも一方の電極の一方の面の少なくとも一部に、例えば高表面積炭素からなる炭素塗膜が存在する。さらなる態様においては、電極表面の全活性領域が高表面積炭素塗膜を備えている。電極および電極塗膜材料は市販されており、当業者であれば、適当な電極および/または電極塗膜材料を容易に選択できるであろう。
【0032】
図3Bに示されているように、本発明の電気化学二重層コンデンサの電極の本体部10,20は、少なくとも1層の非導電性層30により交互に重ね合わされて分離された態様で配置されている。このような構成においては、一方の電極の本体の少なくとも一部が、他方の電極の本体の少なくとも一部に対して位置合わせがなされており、かつ各指状片15,25もほぼ同一方向に延出されている。少なくとも1層の非導電性層30は、二つの電極間の直接的な接触を防止するように構成されている。双方の電極の本体部はさらに、例えば、第1の電極の、別の非導電性層とは反対側の表面上に配置された1層または複数層の非導電性層を備えている。この非導電性層は、コンデンサに用いるのに適したものであれば、如何なる幾何学的形状を有していてもよい。好ましい態様においては、上記非導電性層が、その近傍の少なくとも一方の電極を覆っている。
【0033】
上記非導電性層は、コンデンサにおける誘電体層を提供するのに適したものであれば如何なる材料であってもよい。種々の態様において、少なくとも1層の非導電性層が、紙、マイカ、ガラス、セラミック、エアロゲル、シリカ、非導電性炭素、ポリマー材料、またはそれらの組合せを含む。一つの態様において、上記非導電性材料は、与えられたコンデンサの動作電圧および動作条件の下で実質的に非導電性である。別の態様においては、上記非導電性層が多孔質である。一つの具体的な態様において、上記非導電性材料は、電解質が上記非導電性層を通した浸透および/または拡散を可能にするために十分に多孔性を有する。1層または複数層の非導電性層は、同一または異なる組成を備えているが、本発明は、如何なる特定の非導電性材料にも限定されるものではない。非導電性層および非導電性層を構成する材料は市販されており、当業者であれば、適当な非導電性材料を容易に選択できるであろう。
【0034】
第1および第2の電極本体および少なくとも1層の非導電性層は、双方の電極から複数の指状片が一方向に延出するように、1本の軸線の周りに渦巻き状に巻回されることができる。巻回された構造体200と、電極の指状片によって形成されたタブ部分120とが図1に示されている。積層体が巻回された態様は、コンデンサの所望の形状に応じて変えることができる。一つの態様において、積層体は、厚さよりも大きい幅を有するバーの周りに渦巻き状に巻き付けられる。もしマンドレルが用いられる場合には、このマンドレルは、積層体が巻回された後に取り外されるか、あるいは、例えばコンデンサの動作時のヒートシンクとしてコンデンサ内に残されることができる。このようなヒートシンク・マンドレルは、タブ部分とは反対側のコンデンサ端部に配置された、例えば熱放散パッドのような外部部品に随意的に接続されることができる。
【0035】
一つの態様において、巻回された構造体は円筒状であり、その場合のコンデンサの断面形状は円形である。別の態様においては、巻回された構造体が非円形の断面形状を有する。別の態様において、巻回された構造体は、図1および図2に示されているように、長円形またはほぼ長円形の断面形状を有する。好ましい態様においては、巻回された構造体が長円形の断面形状を有する。ここで用いられている「長円形」という語は、下記の形状およびそれらの変形、すなわち、卵形、ほぼ平行の2本の直線で連結された2個の半円形からなる形状、丸められた両端および/または両隅部を有する長方形を意味する。例えば、渦巻き状に巻回された構造体の具体的な形状は変えることができ、本発明は、如何なる特定の形状にも限定されるものではない。例えば、端部の曲率半径および/または角度を含む長円形構造体の端部の形状は変えることができる。本発明の渦巻き状に巻回された長円形の構造体は、コンデンサの共通表面上の電気端子の接続のための別々のタブ部分を備えながら、高い内部パッキング効率を提供することができる。さらに、ここで用いられている「専有面積」という用語は、固い表面に接触し得る、例えば電気化学二重層コンデンサ等の部品または装置の断面の形状、または例えば交互に積み重ねられた第1および第2の本体の断面の形状を意味する。
【0036】
パッケージされた電気化学二重層コンデンサ
例えば巻回コンデンサ100、ハードウェア端子130および電解質を含む本発明の電気化学二重層コンデンサは、容器310内にパッケージすることができる。図4Aおよび図4Bに示されているように、容器は、電極、タブ部分と容器との間の電気的短絡を防止するために、1個または複数の電気絶縁体330を備えることができる。密閉された環境を提供しかつ電解質の漏洩を防止するために、随意的にシール350が用いられる。もし用いられる場合のシールは、例えば金属クリンプ・シール、Oリング・シール、レーザー溶接および/またはガス・タングステン・アーク溶接、エポキシまたはポリマー・シール、またはそれらの組合せ等の何れかの適当なシール法を含む。もし、巻回コンデンサ構造体のタブ部分にねじ付き端子が取り付けられる場合には、図4Aに示されているように、端子をエンドキャップ320に固定するために、例えばナットを用いることができる。内部部品に損傷を与える可能性がある過剰な熱を発生させることなく、エンドキャップを容器に固定するために、適当な溶接法を用いてエッジ溶接部340を形成する。
【0037】
パッケージされた電気化学二重層コンデンサのための容器は、随意的に少なくとも1個のポート360を備えている。多くの態様において、ポートは、圧力逃し装置、電解質注入ポート、またそれらの組合せとして用いることができる。一つの具体的な態様において、ポートは、容器内部の巻回構造体の中心にこのポートが近付くように、ハードウェア端子を備えたエンドキャップ上に配置される。このようなポートは容器内への電解質の注入に用いることができ、その場合には、電解質が容器内の反対側の端部まで流れて、巻回構造体全体を一様に満たしおよび/または分布する。もし存在する場合のポートの具体的な構成は、例えば、栓、バースト膜またはバーストディスク、Oリング・シール、またはそれらの組合せを含む、パッケージされた電気化学二重層コンデンサに用いるのに適した何れかの構成のものとすることができる。もし存在する場合のポートは、もしコンデンサの許容範囲(例えば2.7V)を超える電圧が印加された場合に容器内に発生する可能性がある過剰な圧力を逃す手段を提供する。
【0038】
もし存在する場合の容器のサイズおよび形状は、この装置が目的とする用途に応じて変えることができるが、本発明は、特定のサイズおよび形状に限定するものではない。一つの態様において、容器は電気化学二重層コンデンサと実質的に同一の形状を有する。別の態様においては、容器がコンデンサの断面にほぼ類似した断面を有する。装置内に不必要な空間が存在するのを防止するためには、容器が電気化学二重層コンデンサと実質的に同一のサイズおよび形状を有することが好ましい。
【0039】
マルチ・コンデンサ装置
本発明はまた、少なくとも二次元的アレイに構成された複数の電気化学二重層コンデンサを備えた装置を提供するものであり、その場合、複数の電気化学二重層コンデンサのそれぞれが長円形の専有面積を有し、複数の電気化学二重層コンデンサのそれぞれが密閉された動作環境を有し、かつ少なくとも二次元的アレイが、複数の電気化学二重層コンデンサの間に複数の導電路を備えている。複数のコンデンサからなる列またはアレイは、HEV等の用途に対し高電圧出力を供給するのに有用である。ここで説明されているマルチ・コンデンサ装置の種々の構成はまた、パッケージング効率および熱管理において従来のコンデンサ・システムを上回る優れた性能を提供する。本発明は、種々の態様において、複数の電気化学二重層コンデンサを備えた装置を提供し、その場合に、複数のコンデンサのそれぞれが一つまたは複数のコンデンサ・セルを備え、各コンデンサは密閉された動作環境を有する。一つの態様において、複数のコンデンサの一つまたは複数は長円形の形状を有し、かつここで説明されている、変形的巻回構造から形成されている。一つの具体的態様においては、複数のコンデンサの全てが長円形形状を有し、かつここで説明されている変形的巻回構造から形成されている。
【0040】
一つの態様において、この装置の一つまたは複数の電気化学二重層コンデンサは、ここで説明された電気化学二重層コンデンサを備えることができる。別の態様においては、この装置の一つまたは複数の電気化学二重層コンデンサが異なるコンデンサ構成および/または構造を備えている。さらに別の態様においては、この装置内の複数の電気化学二重層コンデンサが、構成、構造および組成において異なっている。好ましい態様においては、の装置の複数の電気化学二重層コンデンサのそれぞれが、ここで説明された構造からなるものであろうと、異なる構造を有するものであろうと、長円形の専有面積を有する。このようなコンデンサの長円形の専有面積は、コンデンサが配置されている容器に左右される。非長円形の形状を有するコンデンサを長円形の形状を有する容器内に配置すると、装置の容積効率が低下するが、本発明はこのような態様も非限定的にカバーすることを意図している。好ましい態様においては、この装置の電気化学二重層コンデンサが長円形の専有面積を有し、かつ長円形の容器内に高い容積効率をもって配置される。
【0041】
この装置に関するアレイの具体的なサイズおよび幾何学的形状は、目的とする用途に応じて変えることができる。一つの態様において、この装置は、単列または多列に配置された2,3,4,5,10,20個またはそれ以上のコンデンサからなる二次元的アレイである。別の態様においては、この装置が、垂直に配置された同じまたは異なる幾何学的形状を有する複数の二次元的アレイからなる三次元的アレイである。本発明は、アレイの如何なる部分の如何なる具体的な配列をも限定する意図はない。好ましい態様においては、アレイの配列、およびアレイ内の複数のコンデンサの配置が、装置の単位容積に対するエネルギーが最大になるように構成されている。
【0042】
EDLC(電気化学二重層コンデンサ)がEEV等の高出力が要求される用途に用いられる場合には、マルチ・コンデンサ・セルが直列に接続されて、出力電圧を高めている。一つの態様において、マルチ・コンデンサ・セルが直列に接続されて、出力電圧を、個々のコンデンサ・セルに関する約2.7Vから約500Vまたはそれ以上にまで高めている。個々のコンデンサ・セルに関する最大出力電圧は、その内部で用いられている要素(例えば電解質)によって制限されるが、コンデンサ・アレイは、200V,300V,400V,500Vまたはそれ以上を提供することができる。
【0043】
多数のコンデンサ・セルが電気的に接続された場合、個々のコンデンサ・セルに印加される電圧がセルの許容範囲を確実に超えないように注意を払わなければならない。一つの態様において、本発明は、個々のコンデンサ・セルに印加される電圧を制限するためのバランシング回路を提供する。一つの具体的な態様において、バランシング回路は、個々のコンデンサ・セルに印加される電圧を約2.7Vに制限するように構成される。
【0044】
パッキング効率
個々のコンデンサ・セルおよび複数のコンデンサ・セルからなるアレイのパッキング効率は、HEV等の用途において重要になり得る。図5Aに示されているように、四角形のセルの理想的な配列は、100%の効率をもってパックすることが可能である。しかしながら、四角形のセルは、巻回構造の低コストの利点を備えておらず、かつパッケージされたコンデンサのレベルにおける密集したパッキングでは、内側にパックされたセルから発生する熱を、例えば空気流またはその他の手段で除去するための、個々のコンデンサ・セル間に空間を設けることが不可能である。一方、図5Cに示されているような、円形のセル構造は、空気または他の冷却流体を通過させて、コンデンサ・セルの内部から発生する熱を除去する通路としての空間を個々のコンデンサ・セル間に備えることが可能であるが、正方形または長方形のセルの隙間のないパッキングと比較した場合に、パッキング効率が79%に低下する。もし図5Cに示されている円形のコンデンサ・セルを、図5Dに示されているように千鳥状に配置すると、パッキング効率が83%に上昇する。
【0045】
これとは対照的に、本発明の長円形コンデンサ・セルの構成では、図5Bに示されているように、92%のパッキング効率が得られる。長円形コンデンサ・セルの丸められたエッジは、著しく改善されたパッキング効率を提供しながら、多数のコンデンサ・セルからなる積層体の間を抜ける空気流のための、円形セルのパッケージと同様の態様の通路410を個々のコンデンサ・セル間に形成する空間を提供する。
【0046】
さらに、本発明は、例えばエンドキャップ等の共通表面上に2個のハードウェア端子位置を有する長円形のパッケージされたコンデンサ・セルを提供する。このような構成は、電気コネクタおよび/または随意的なバランシング回路がコンデンサ・セルの一方側に配置されることを可能にすることによって、従来の構成よりも効率的に空間を利用することができる。図6Aは、コンデンサ・セルの両端から延びる電気コネクタを有する従来のコンデンサを示す。これとは対照的に、本発明の長円形の変形的巻回コンデンサは、種々の態様において、図6Bに示されているように、全ての電気コネクタを、コンデンサ・セルの例えばエンドキャップ等の共通側上に設けることができる。図6Bに示されているように、コンデンサ・セルの共通端から延びる電気コネクタを有することができることの利点の一つは、図6Aに示されているような従来の構成に比較して、コンデンサ・セルに必要な容積の縮減である。図6Aおよび図6BのそれぞれにおけるラインLおよびLは、このような容積の縮減を示している。
【0047】
熱管理
本発明の長円形の変形巻回コンデンサは、種々の態様において、複数の個々のコンデンサ・セルからなるアレイを提供することもできる。その場合に、このアレイの少なくとも一方の表面、例えばアレイを構成する個々のコンデンサ・セルのハードウェア端子側とは反対側の表面は平坦である。一つの態様において、複数の個々のコンデンサ・セルは、アレイの反対側が平坦となるように、ハードウェア端子を同一方向に向けて配置される。別の態様においては、個々のコンデンサ・セルからなる平坦な表面を有するアレイは、ヒートシンクとして作用するトレー420またはその他の容器内に配置される。図7および図8は、トレー内に配置されたコンデンサ・セルからなるアレイを示す。図8には、コンデンサ・セルのトレーが平面図および断面図で示されている。例えばフィン等の一般的なヒートシンク構造がトレーの側面に随意的に取り付けられて、多セル・モジュールに対して冷却面を提供する。別の態様においては、個々のコンデンサ・セルとヒートシンク・トレーとの間の熱伝導度を改善するために、熱伝導性の熱放散パッドおよび/または熱伝導性グリ−ス等が用いられる。種々の態様において、このような熱放散パッドは、1個または複数のコンデンサ・セルの平らな底面またはコンデンサ・セルの容器とトレーとの間に配置される。もし変形的巻回コンデンサの構成に上述のようなマンドレルが用いられている場合には、コンデンサ・セルから熱を効率的に放散させるために、上記マンドレルは、ヒートシンク・トレー、熱放散パッド、またはその他の手段に対して熱的に接続することができる。
【0048】
高パッキング密度、共通側の電気的接続、および改善された熱管理法は、高い総体エネルギー密度を有する装置を提供することができる。一つの態様において、装置の単位容積当たりのエネルギーは、従来のコンデンサおよび/または多数のコンデンサからなる列よりも高い。一つの態様において、このような装置内の各コンデンサは少なくとも約6.5Wh/Iのエネルギー密度を有することができる。一つの具体的な態様において、長円形セル電気化学二重層コンデンサは、幅約0.77インチ(19.6mm)、長さ約1.83インチ(46.5mm)、高さ約3.5インチ(88.9mm)を有し、市販の炭素・コーティングがなされた箔電極を用いて約6.5Wh/Iのエネルギー密度が得られる。
【0049】
個々のコンデンサの隔離
本発明の長円形マルチ・コンデンサ装置のモジュラー構造は、種々の態様において、隣接するコンデンサ・セルに悪影響を与えることなしに、個々のコンデンサ・セルの単純化された電気的接続および絶縁および/または交換を容易にしている。一つの態様において、個々のコンデンサ・セルを直列回路に接続するためにバス形式のインターフェースが用いられる。種々の態様において、全ての電気的接続が共通表面上で行なわれる態様での個々のセルの配列は、個々のコンデンサ・セルの単純化された隔離、取外し、および/または交換を容易にしている。同様に、上述のようなバス・バー・インターフェースは、隣接するコンデンサ・セルを妨げることなしに、1個または複数の個々のコンデンサ・セルの取外しを可能にしている。一つの態様において、個々のセルは、装置の残りのセルを動作状態におきながら、隔離されまたは取り外すことができる。
【0050】
一つの態様にいて、装置のモジュラー構造は、装置内の1個または複数のコンデンサを電気的に隔離する能力を提供する。このような隔離は、例えば1個のコンデンサが機能しなくなったり、正しく働かなくなったりした場合に有用である。種々の態様において、装置の構造はまた、何れのコンデンサの機能障害も容易に検出可能なように、装置内の各コンデンサに独立的にアクセスするのを可能にする。この構造はまた、種々の態様において、1個のコンデンサの機能障害が、装置内の他の如何なるコンデンサの動作および/または性能を妨害しおよび/または悪影響を与えるのを阻止する。
【0051】
本発明の物品、装置および方法は、特定の用途に限定されるものではないが、HEV等のハイパワーが要求される用途において、エネルギー密度および熱管理の改善に用いることができる。ハイパワーが要求される用途に用いられる従来のコンデンサ材料および構造は、同様の出力を提供するのに、より多数のコンデンサおよび/またはより大きい容積を必要とする。本発明は、長円形の変形巻回構造を通じて、電気化学二重層コンデンサのエネルギー密度および熱管理法を改善するための物品、装置および方法を提供するものである。
【符号の説明】
【0052】
10,20 電極の本体部
15,25 電極の指状片
30 非導電性層
100 長円形コンデンサ
120 タブ部分
125 凹部
130 ハードウェア端子
310 容器
320 エンドキャップ
330 電気絶縁体
360 ポート
410 通路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)第1の縦軸、或る厚さを有する第1の本体、および該第1の本体から、前記第1の第1の縦軸とほぼ平行な第1の方向に延出する複数の第1の指状片を有する第1の電極、
b)前記第1の縦軸とほぼ平行な第2の縦軸、或る厚さを有する第2の本体、および該第2の本体から前記第1の方向に延出する複数の第2の指状片を有する第2の電極、ならびに、
c)前記第1および第2の本体の少なくとも一部間に分布された電解質、
を備えた電気化学二重層コンデンサであって、
前記第1および第2の本体は、互いに重ね合わされた態様で配置され、かつ前記第1および第2の本体が電気的に直接接触しないように、少なくとも1層の非導電性層によって隔離されており、
前記互いに重ね合わされた第1および第2の本体は、前記縦軸の周りにほぼ渦巻き状に巻回されており、
前記第1または第2の指状片の少なくとも一部分は、前記第1または第2の本体の少なくとも一方の厚さよりも厚い厚さを有しており、そして
前記複数の第1の指状片は、第1の所定の三次元的パターンを画成する第1のタブ部分を形成し、かつ前記複数の第2の指状片は、第2の所定の三次元的パターンを画成する、前記第1のタブ部分から離間した第2のタブ部分を形成していることを特徴とする、電気化学二重層コンデンサ。
【請求項2】
前記第1または第2の指状片の少なくとも一部分が折り畳まれていることを特徴とする請求項1記載の電気化学二重層コンデンサ。
【請求項3】
前記第1の縦軸にほぼ垂直な平面内の前記互いに重ね合わされた第1および第2の本体のコンデンサ断面がほぼ長円形であることを特徴とする請求項1記載の電気化学二重層コンデンサ。
【請求項4】
前記第1または第2の所定の三次元的パターンのうちの少なくとも一方が凹部を備え、該凹部内に端子の少なくとも一部分が実質的に配置され、かつ前記第1または第2のタブ部分と電気的に導通されていることを特徴とする請求項1記載の電気化学二重層コンデンサ。
【請求項5】
前記複数の第1の指状片の一部分のそれぞれが電気的に接触されており、および/または前記複数の第2の指状片の一部分のそれぞれが電気的に接触されていることを特徴とする請求項1記載の電気化学二重層コンデンサ。
【請求項6】
少なくとも二次元のアレイに構成された複数の電気化学二重層コンデンサを備えた装置であって、
前記複数の電気化学二重層コンデンサのそれぞれが長円形専有面積を有し、前記複数の電気化学二重層コンデンサのそれぞれが密封された動作環境を備え、かつ前記少なくとも二次元的なアレイが、前記複数の電気化学二重層コンデンサ間に複数の通路を画成していることを特徴とする装置。
【請求項7】
少なくとも1個の電気化学二重層コンデンサの第1の端子と第2の端子との間に印加される電圧を制限することが可能なバランシング回路をさらに備えていることを特徴とする請求項6記載の装置。
【請求項8】
1個または複数個の電気化学二重層コンデンサを備えた装置であって、前記1個または複数個の電気化学二重層コンデンサのそれぞれが電気的に接続され、前記1個または複数個の電気化学二重層コンデンサのそれぞれが長円形専有面積を有し、かつ前記1個または複数個の電気化学二重層コンデンサのそれぞれが少なくとも約6.5Wh/Iのエネルギー密度を有することを特徴とする装置。
【請求項9】
電気化学二重層コンデンサの製造方法であって、
a)イ)第1の縦軸、第1の本体、および該第1の本体から、前記第1の縦軸とほぼ平行な第1の方向に延出する複数の第1の指状片を有する第1の電極、
ロ)前記第1の縦軸とほぼ平行な第2の縦軸、第2の本体、および該第2の本体から前記第1の方向に延出する複数の第2の指状片を有する第2の電極、および
ハ)少なくとも1層の非導電性層、
を提供し、次いで、
b)前記第1および第2の本体を、前記少なくとも1層の非導電性層によって隔離されて互いに重ね合わされた態様でかつ前記第1および第2の本体が電気的に直接接触しないように位置決めし、次いで、
c)前記第1および第2の本体を、前記複数の第1の指状片が第1のタブ部分を形成しかつ前記複数の第2の指状片が前記第1のタブ部分から離間した第2のタブ部分を形成する態様で、前記縦軸の周りに渦巻き状に巻回する、
各ステップを含むことを特徴とする、電気化学二重層コンデンサの製造方法。
【請求項10】
コンデンサ装置の製造方法であって、
a)複数の電気化学二重層コンデンサを少なくとも二次元のアレイに、該少なくとも二次元のアレイが前記複数の電気化学二重層コンデンサ間に複数の通路を画成する態様で配列し、かつ
b)前記複数の電気化学二重層コンデンサのそれぞれを電気的に接続する、
各ステップを含み、前記複数の電気化学二重層コンデンサのそれぞれが長円形専有面積を有することを特徴とする、コンデンサ装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A−4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図5D】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2011−502360(P2011−502360A)
【公表日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−532052(P2010−532052)
【出願日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【国際出願番号】PCT/US2008/012287
【国際公開番号】WO2009/058311
【国際公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【出願人】(397068274)コーニング インコーポレイテッド (1,222)
【Fターム(参考)】