説明

長尺体及びそれからなる面状体

【課題】長尺体であるデッキ材等を施工する際に、簡単に照明具を設置することができる長尺体及びそれからなる面状体を提供する。
【解決手段】長手方向に中空部11が形成された長尺体1に挿入孔2を形成し、該挿入孔2に取付具4を介して照明具3を挿入し、前記取付具4は、中空部11内に挿入されて該取付具4を長尺体1に保持する挿入部41と、前記照明具3を挿入孔2内に保持する保持部42とを備えているため、長尺体1に照明具3を容易に設置することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、遊歩道や公園施設において設置されるベンチやテーブル、八ツ橋、ボードウォークの他、都心の安らぎスペースの床、競技場観覧席、店舗等の壁や階段、或いはベランダやテラスのデッキ等に用いられる長尺体及びそれからなる面状体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、上記長尺体の一例であるデッキ材としては、例えば、長手方向に連続する中空部が幅方向に複数個形成されたデッキ材と、2個の脚片の上端部が接続片で連結された接続部および該接続部の各脚片の外面からそれぞれ突出された複数個の連結部からなる連結部材と、から構成され、前記連結部材の各連結部は、デッキ材の中空部に対応する形状に形成され、長手方向に敷設された2本のデッキ材の中空部に連結部材の対応する連結部がそれぞれ嵌合されて2本のデッキ材が連結されているものが開示されている。(例えば特許文献1)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−0021642号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そして、この様なデッキ材が並設され床や通路等が形成されている場所では、夜間床や通路等を照らすための照明灯が併設されており、この照明灯は支柱の上部に照明灯具が取付けられて地面に立設されているのであるが、その場合、デッキ材を設置する工事以外に別途照明灯を設置する工事が必要となり、多大な労力を必要としていた。
【0005】
本発明は上記の如き課題に鑑みてなされたものであり、長尺体であるデッキ材等を施工する際に、簡単に照明具を設置することができる長尺体及びそれからなる面状体を提供せんとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は次のような構成としている。
すなわち、本発明に係る長尺体は、長手方向に中空部が形成された長尺体に挿入孔が形成され、該挿入孔に取付具を介して照明具が挿入され、前記取付具は、中空部内に挿入されて該取付具を長尺体に取付ける挿入部と、前記照明具を挿入孔内に保持する保持部とを備えたことを特徴とするものである。
【0007】
また、本発明に係る長尺体は、長尺体の挿入孔に二個の取付具が相対向して取付けられ、各取付具は、中空部内に挿入されるコ字状の挿入部の下端縁から縦壁が下方に向けて設けられると共に、挿入孔側に張り出した係止片が対向して前記縦壁に取付けられ、かつ前記照明具の外側面に棒体が水平方向に設けられ、該棒体が前記係止片に係止されて、照明具が長尺体に保持されていることを特徴とするものである。
【0008】
また、本発明に係る長尺体は、前記照明具は、上面が開口された容器の上面が略平坦な透光体によって閉鎖され、その内部には太陽光を受光して電力を発生させるソーラ部と発生した電力により発光する発光体とが収納されていると共に、前記発光体の光が透光体を透過して外部に放出されるようになされていることを特徴とするものである。
【0009】
また、本発明に係る面状体は、前記長尺体が複数本並列に配置されて形成されたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る長尺体よれば、長手方向に中空部が形成された長尺体に挿入孔を形成し、該挿入孔に取付具を介して照明具を挿入し、前記取付具は、中空部内に挿入されて該取付具を長尺体に取付ける挿入部と、前記照明具を挿入孔内に保持する保持部とを備えているため、長尺体に照明具を容易に設置することができる。
【0011】
また、本発明に係る長尺体よれば、長尺体の挿入孔に二個の取付具を相対向して取付け、各取付具は、中空部内に挿入されるコ字状の挿入部の下端縁から縦壁を下方に向けて設けると共に、挿入孔側に張り出した係止片を対向して前記縦壁に取付け、かつ前記照明具の外側面に棒体を水平方向に設け、該棒体を前記係止片に係止して、照明具を長尺体に保持しているため、長尺体の挿入孔に相対向して二個の取付具を取付け、挿入孔の上方から照明具を挿入して、その外側面に設けた棒体を縦壁と係止片との間に挿入するだけで、長尺体に照明具を設置することができ、効率よく設置作業を行うことができる。
【0012】
また、本発明に係る長尺体よれば、前記照明具は、上面が開口された容器の上面を略平坦な透光体によって閉鎖し、その内部には太陽光を受光して電力を発生させるソーラ部と発生した電力により発光する発光体とを収納すると共に、前記発光体の光が透光体を透過して外部に放出されるようになされているため、照明具に収納されている発光体に電力を供給するための配線を施工する必要がなく、長尺体に照明具を設置することができ、効率よく設置作業を行うことができる。
【0013】
また、本発明に係る面状体によれば、前記長尺体を複数本並列に配置して形成しているので、照明具を任意の位置に配置することができる面状体を形成することができ、例えば照明具を誘導経路上に配置すれば、緊急時において人々を誘導することができると共に、面状体全体の意匠性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係る長尺体を複数本並列に配置した面状体の実施の一形態を示す斜視図である。
【図2】本発明に係る面状体に照明具を取付ける手順を説明する説明図である。
【図3】本発明に用いる照明具を示す斜視図である。
【図4】図1の要部縦断面図である。
【図5】本発明に用いる取付具を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、本発明を実施するための最良の形態について図面を参照し、具体的に説明する。
1は長尺体であって、当該長尺体1が4本並列に根太材N上に配置固定され面状体であるデッキPが形成されている。前記長尺体1は、長手方向に中空部11が形成され、該中空部11は長尺体1の上面12と下面13に亘って形成されている2個の縦リブ14に仕切られて3列に形成されている。2は長尺体1の上面12から下面13に亘り貫通して形成された挿入孔、3は該挿入孔に挿入される照明具、4は前記挿入孔2に照明具3を挿入する際に用いられる取付具である。
【0016】
該取付具4は、中空部11内に挿入されて該取付具4を長尺体1に保持する挿入部41と、前記照明具3を挿入孔2内に保持する保持部42とを備え、長尺体1の挿入孔2に二個の取付具4が相対向して取付けられ、各取付具4は、中空部11内に挿入されるコ字状の挿入部41の下端縁から縦壁43が下方に向けて設けられると共に、挿入孔2側に張り出した係止片44が対向して前記縦壁43に取付けられている。そして、前記縦壁43の下端縁から挿入部41と反対方向に水平に底部45が突設されて、前記照明具3の底面が前記底部45に載置されるようになされている。すなわち、保持部42は縦壁43と係止片44と底部45とを備えている。
【0017】
前記照明具3は、上面が開口された略四角錐台状の容器31の上面が、その形状に対応した四角状の略平坦な透光体32によって閉鎖されている。さらに詳しく述べると、前記容器31の上縁部には、外方に突出した鍔部311が全周に亘り設けられており、前記透光体32の周縁部321は段部が形成されて、当該周縁部321を前記容器31の鍔部311とで挟み込み容器31を透光体32によって閉鎖する押え33が、前記周縁部321の上方から段部に載置され、容器31の鍔部311と透光体321とを貫通して押え33に形成されたネジ孔にボルトBを挿入し締め込んで、容器31を透光体32によって閉鎖する。ボルトBを締め込んだ時、前記押え33が透光体32の周縁のみを押圧するように、中央がくり抜かれた形状となされた額縁状に形成されている。これは、後述するように、照明具3の内部に備え付けた発光体35から照射される光を外部に放出するためである。
【0018】
そして照明具3の内部には、太陽光を受光して電力を発生させるソーラ部34と発生した電力により発光する発光体35とが収納されていると共に、発光体35の光が透光体32を透過して外部に放出されるようになされている。そして、照明具3の容器31の相対向する一組の外側面36にそれぞれ一個ずつ棒体37が水平方向に設けられ、該棒体37が前記取付具4の縦壁43の挿入孔2側に張り出した係止片44に係止されて、照明具3が長尺体1に保持されている。更に詳細に述べると、照明具3の容器31の外側面36の略中央に縦リブ38がそれぞれ4個突設され、そのうちの相対向する一組の該縦リブ38の所定の位置に貫通孔39が穿設され、該貫通孔39に前記棒体37が挿通されて取付けられている。
【0019】
前記取付具4のコ字状の挿入部41の垂直壁411は、長尺体1の中空部11の上側面111と下側面112の高さよりやや低く形成され、前記垂直部411の上下端から突設される上側横壁412と下側横壁413は、先端に向かうにしたがって上側横壁412は上方に、下側横壁413は下側に傾斜されて形成されて、上側横壁412と下側横壁413との距離が中空部11の上側面111と下側面112の高さよりやや大きくなされている。このようにすることにより、取付金具4をその垂直壁411側から長尺体1の中空部11の奥に向けて挿入する際、垂直壁411付近は挿入しやすく、かつ中空部11の奥まで取付金具4を挿入すると、取付金具4の上側横壁412と下側横壁413がそれぞれ中空部11の上側面111と下側面112を押さえつけて、その押圧力により強固に取付金具4が長尺体1に取付けられる。
【0020】
取付具4の縦壁43の中央付近には切込み46が形成されており、該切込み46の両側にそれぞれ係止片44が縦壁43と対向して取付けられており、係止片44は、縦壁43の下部に当接されて取付けられる平板状の取付部441の上端から縦壁43と反対側に凸となるようにく字状に折曲された平板状の係止部442が上方に延設されて、かつ係止部442の上端縁443と縦壁43とは離間されてなる。そして、取付具4を介して照明具3を挿入孔2に取付けられた状態においては、取付具4の切込み46に照明具3の縦リブ38が嵌め込まれた状態となされ、もって照明具3の遊動を抑制している。
【0021】
長尺体1の挿入孔2の上方から挿入孔2に相対向して取付けられた二個の取付具4に照明具3を押し込んで挿入固定する際、照明具3の相対向する外側面36にそれぞれ一個ずつ設けられた棒体37が取付具4のく字状の係止部442の上部傾斜面444に当接した時には、棒体37に押されて係止部442が縦壁43側に傾倒するが、さらに照明具3を押下し棒体37が係止部442の頂部445を越えて照明具3の底面が前記底部45に載置されると、係止部442は元の位置まで戻る。
【0022】
したがって、照明具3が長尺体1の挿入孔2に挿入されて、取付具4に一旦取付けられると、例えば歩行者に踏まれる等の外力が照明具3に加わった際、照明具3の棒体37が取付具4のく字状の係止部442の下部傾斜面446に邪魔されて、上方向にはほとんど移動できず、長尺体1から照明具3が容易に外れにくい。
【産業上の利用可能性】
【0023】
本発明によれば、長手方向に中空部11が形成された長尺体1に挿入孔2を形成し、該挿入孔2に取付具4を介して照明具3を挿入し、前記取付具4は、中空部11内に挿入されて該取付具4を長尺体1に保持する挿入部41と、前記照明具3を挿入孔2内に保持する保持部42とを備えているため、長尺体1に照明具3を容易に設置することができる面状体であるデッキや壁面に好適に利用できる。
【符号の説明】
【0024】
1 長尺体
11 中空部
12 上面
13 下面
14 縦リブ
2 挿入孔
3 照明具
31 容器
32 透光体
33 押え
34 ソーラ部
35 発光体
36 外側面
37 棒体
38 縦リブ
39 貫通孔
4 取付具
41 挿入部
42 保持部
43 縦壁
44 係止片
45 底面
46 切込み
P デッキ
N 根太材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向に中空部が形成された長尺体に挿入孔が形成され、該挿入孔に取付具を介して照明具が挿入され、前記取付具は、中空部内に挿入されて該取付具を長尺体に取付ける挿入部と、前記照明具を挿入孔内に保持する保持部とを備えたことを特徴とする長尺体。
【請求項2】
長尺体の挿入孔に二個の取付具が相対向して取付けられ、各取付具は、中空部内に挿入されるコ字状の挿入部の下端縁から縦壁が下方に向けて設けられると共に、挿入孔側に張り出した係止片が対向して前記縦壁に取付けられ、かつ前記照明具の外側面に棒体が水平方向に設けられ、該棒体が前記係止片に係止されて、照明具が長尺体に保持されていることを特徴とする請求項1に記載の長尺体。
【請求項3】
前記照明具は、上面が開口された容器の上面が略平坦な透光体によって閉鎖され、その内部には太陽光を受光して電力を発生させるソーラ部と発生した電力により発光する発光体とが収納されていると共に、前記発光体の光が透光体を透過して外部に放出されるようになされていることを特徴とする請求項1または2に記載の長尺体。
【請求項4】
前記1〜3のいずれか1項に記載の長尺体が複数本並列に配置されて形成されたことを特徴とする面状体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−208355(P2011−208355A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−73919(P2010−73919)
【出願日】平成22年3月27日(2010.3.27)
【出願人】(000002462)積水樹脂株式会社 (781)
【Fターム(参考)】