説明

長尺物を収容する容器

【課題】 全長を変化させることで長さの異なる長尺物を確実に収容し、安定して保持できる柔軟な容器を提供する。
【解決手段】 容器1の他端側には開口部5が設けられており、容器の一端部に止め具6が設けられている。又、容器1には、開口部5に向かう方向に折り返された一端部を覆うことのできるカバー部14,15と、カバー部14又はカバー部15と容器の間を通過した一端部の止め具6を固定する固定具9,11とを備えており、長さの異なる長尺物を好適に収容できるように容器1の全長を変更することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、長尺物を収容する容器に関する。特に、ゴルフクラブやスノーボードやスキー板といった様々な長さの長尺物を安定して収容できるように、全長を変更することのできる柔軟な容器に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばゴルフクラブは、その種類によって長さが異なるものであり、又同一種類のクラブであっても、子供用と大人用とでクラブの長さが異なるものである。特に子供用のゴルフクラブは、身長に対応してゴルフクラブセットが数段階の長さで用意されており、その時々の子供の成長に合わせて、好ましい長さのゴルフクラブを選択することができるようになっている。
【0003】
従来、ゴルフクラブのためのクラブケースは、特定のゴルフクラブに最も適した大きさで形成されており、その全長を変えることはできなかった。このため消費者は、子供が成長してより長いゴルフクラブを購入した場合など、既にクラブケースを持っていた場合でも、新たに新しいゴルフクラブの長さに合わせたクラブケースを購入する必要があった。
【0004】
また、クラブケースの製造者は、ゴルフクラブの長さに合った全長の異なるクラブケースを何種類も製造する必要があり、このため部品点数が増加すると共に製造工程が煩雑になり、製造コストが高くなるという問題があった。更に、ゴルフクラブの販売者は、販売するクラブの長さに合わせて多くの種類のクラブケースを揃えておく必要があり、このため在庫が増大したり、製品管理が困難になるといった問題があった。
【0005】
特許文献1には、様々な長さのスノーボードを収容するために、全長を変更できるスノーボードカバーが開示されている。このスノーボードカバーは、最も長いスノーボードを収容できる全長を有しており、その一端部に、固定用バンドが設けられている。全長の短いスノーボードを収容する場合には、一端部を折り畳んで、固定用バンドによって固定することにより、カバーの全容を調節する。
【0006】
しかし、特許文献1のスノーボードカバーは、一端部を折り畳んで固定できる長さが、最大でも固定バンドの縫着部から固定バンドの受け具までしかなく、調節できる長さの範囲が極めて限定されていた。固定バンドの長さと固定バンドの受け具の取付位置を変更することで、若干調節できる長さを増やすことは可能であるが、固定バンドを長くし過ぎると、使用されないときの固定バンドが邪魔になり、スノーボードカバー自体の使い勝手を悪くしてしまう。しかも、特許文献1のスノーボードカバーでは、折り畳まれた一端部の先端が固定されていないために、折り畳み部がずれたり、固定バンドから外れたりすることが屡々あり、スノーボードを安定して収容できないという問題点があった。
【0007】
又、特許文献2には、スノーボードのテール部を収容するためのポケット部を備えたスノーボード用デイパックが開示されている。このデイパックのポケット部は、スノーボードを収容しない場合には、折り畳んでデイパックの前面に固定することができる。
【0008】
特許文献2のデイパックは、スノーボードのテール部を収容するものであり、長さの異なるスノーボード全体を収容することはできなかった。また、折り畳まれたポケット部を固定するのは、デイパックの前面に設けられてポケット部の側面を支持する開閉可能なストラップだけであるため、折り畳まれたポケット部の端部がばたついたり、ポケット部がずれたりして、デイパック自体の使い勝手を悪くする恐れがあった。
【特許文献1】実開平6−55682号公報
【特許文献2】特開平9−191933号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記技術の問題点に鑑みてなされたものであって、様々な長さの長尺物を確実に収容し、安定して保持するために、その全長を変更することのできる柔軟な容器を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1の発明は、長尺物を収容するための、開口部を備えた筒状の柔軟な容器に関する。本発明の容器は、一端部に設けられた止め具と、開口部に向かう方向に折り返された一端部を覆うことのできるカバー部と、カバー部と容器との間を通過した一端部の止め具を固定する固定具とを備えており、長さの異なる長尺物を好適に収容できるように容器の全長を変更することができることを特徴とする。
【0011】
本発明の筒状の容器は、一端部に止め具が設けられている。又、この容器は柔軟であるので容易に折り返すことができる。本発明の筒状の容器に、その全長よりも長さの短い長尺物を収容した場合、そのままでは容器に長手方向の余剰部分を生じる。しかし、容器の一端部を長手方向の開口部に向かう方向に折り返し、一端部に設けられた止め具を容器に設けられている固定具に固定することで、容器の全長を短くして長尺物を好適に収容することができる。
【0012】
しかも本発明の容器は、折り返された一端部を覆うことのできるカバー部を備えている。このカバー部と容器との間を、折り返された一端部に通過させることにより、折り返された一端部がばたついたりずれたりすることなく、長尺物を安定して保持することができ、容器として非常に使い勝手がよいものである。
【0013】
請求項2の発明の筒状の容器は、カバー部と、固定具とが、容器の異なる位置に各々2個以上設けられていることを特徴とする。容器の異なる位置に設けられている複数の固定具の中から、いずれか1つを選択して一端部の止め具を固定することにより、容器の折り返す量を変えて、容器の全長を何段階か変更することができる。この結果、本発明の容器は、その都度長さの異なる長尺物を収容する場合でも、長尺物に合わせてその長さを調整することができるため、常に長尺物を好適に収容することが可能である。
【0014】
更に、本発明の筒状の容器には、折り返された一端部を覆うためのカバー部が、異なる箇所に複数設けられている。複数の固定具の中の、どの固定具に止め具を固定した場合であっても、いずれかのカバー部によって折り返された一端部を覆うことができるので、折り返された一端部がばたついたり、ずれたりすることなく、収容した長尺物を安定して保持することが可能となる。
【0015】
請求項3の発明は、容器に大きな径の部分と小さな径の部分が設けられており、大きな径の部分に開口部が設けられており、小さな径の部分が折り返されることを特徴とする。
【0016】
大きな径の部分と小さな径の部分が設けられた容器には、径の大きな部分と径の小さな部分を有する長尺物を好適に収容することができる。例えば、ゴルフクラブを収容する場合には、容器にヘッド部分を収容するための大きな径の部分と、シャフト部分を収容するための小さな径の部分とを設けることで、ゴルフクラブが容器の中で長手方向にずれることなく、安定して保持することができる。同様に、スキー板や釣り具を収容する容器の場合であっても、容器に大きな径の部分と小さな径の部分が設けられることにより、容器は収容される長尺物により適合して、長尺物が容器の中でずれることなく安定して好適に収容することができる。
【0017】
また、大きな径の部分と小さな径の部分が設けられている筒状の容器に於いては、大きな径の部分に開口部が設けられており、小さな径の側の一端部が折り返されることが好ましい。大きな径の部分に開口部が設けられることで、長尺物の出し入れをし易くすることができる。又、小さな径の部分が折り返されることにより、同じ長さの大きな径の部分を折り返した場合よりも折り返す面積を少なくすることができるので、折り返した部分が邪魔にならず、長尺物を収容した状態で容器を取り扱いやすくなる。更に、容器の全長が好ましい長さに調整されることによって、長尺物が開口部に近い位置に収容された状態となるので、長尺物の出し入れがし易く、使い勝手を向上させることができる。
【0018】
請求項4の発明は、長尺物がゴルフクラブであることを特徴とする。本発明の筒状の容器は、その全長を変更することで様々な長さのゴルフクラブを収容することができ、収容したゴルフクラブがなかでずれることなく安定して保持することができる。
【0019】
請求項5の発明は、筒状の容器に設けられた複数の固定具の、隣り合う固定具と固定具の間の距離が、止め具により近い側にある固定具から止め具までの距離に等しいことを特徴とする。前記の様に固定具と固定具の間の距離を設定することにより、止め具をより遠い側にある固定具に固定すると、隣り合う固定具であって止め具により近い側にある固定具の位置が、筒状の容器の折り返しの位置となる。固定具の位置で折り返されることで、容器をより折り返し易くなり、折り返したときの容器の外観を好ましい状態に保つことができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明により、その全長を変化させることで長さの異なる長尺物を確実に収容し、安定して保持できる柔軟な容器が、安価に提供される。
【0021】
本発明により、長さの短い長尺物を収容した場合に容器に生じる余剰部分を邪魔にならないように折り返して固定することができ、且つ好ましい外観を有する容器が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下に発明を実施するための最良の形態を列記する。ここで記載された形態は例示であり、特許請求の範囲に記載の技術には、以下の形態を様々に変形、変更したものが含まれる。
【0023】
筒状の容器の一端部に固定される止め具と、筒状の容器の任意の位置に固定される固定具とは、2枚で1対を成すことのできるスライドファスナーのテープのうちの1枚で構成される。止め具を構成するスライドファスナーのテープに固定されている複数のエレメントと、固定具を構成するスライドファスナーのテープに固定されている複数のエレメントとは、同一の形状で同一間隔に構成されており、エレメント同士が噛み合ってスライドファスナーが閉じられることで、止め具は固定具に固定される。
【0024】
止め具を構成するスライドファスナーのテープに固定されているエレメントと、固定具を構成するスライドファスナーのテープに固定されているエレメントとが噛み合っておらず、スライドファスナーが開放されているとき、スライドファスナーのスライダーは、止め具側に配置されている。
【0025】
固定具を構成するスライドファスナーのテープは、筒状の容器の端辺と平行になるように、容器に固定されている。
【0026】
筒状の容器に設けられるカバー部は、略長方形の柔軟な素材が、幅方向の両端部を筒状の容器に固定されることで形成されている。カバー部の中央部と筒状の容器とによって、容器の折り返された部分を通過させることのできるループが形成されている。カバー部の容器への固定位置は、容器の折り返しの位置から固定具の取付位置の手前にかけての領域である。カバー部と筒状の容器とによって形成されたループに、容器の折り返された部分を通過させることで、折り返された部分がカバー部によって覆われる。
【実施例】
【0027】
(実施例1) 以下、子供用のゴルフクラブを収容するクラブケースに、本発明の筒状の容器を適用した実施例を、図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0028】
図1は本実施例のクラブケース1の上面図であり、図2は本実施例のクラブケース1の一端部周辺の斜視図である。クラブケース1は、シャフト収容部2と、ヘッド収容部3とから構成されており、取っ手4が取り付けられている。シャフト収容部2とヘッド収容部3とは柔軟な繊維質で形成されており、取っ手4は硬質の樹脂で形成されている。以後、本実施例のクラブケース1に於いては、シャフト収容部2の端辺側を一端側と称し、その周辺部を一端部と称することがある。又、ヘッド収容部3の端辺側を他端側と称し、その周辺部を他端部と称することがある。
【0029】
本実施例のクラブケース1のシャフト収容部2は、一定の径を有しており、筒状に形成されている。また、ヘッド収容部3も同様に筒状に形成されているが、その形状は、ゴルフクラブのヘッド部分を収容しやすいように、より径の大きな部分が形成されている。即ち、ヘッド収容部3は、シャフト収容部2との接続部ではシャフト収容部2と同一の径となるように形成されているが、そこから他端部の端辺に近づくに従って徐々にその径が大きくなり、他端部の端辺近傍で最も径が大きく形成されている。シャフト収容部2とヘッド収容部3は、縫い合わされて接合されている。
【0030】
クラブケース1には、ヘッド収容部3の端辺から、ヘッド収容部3の側面を通過して、シャフト収容部2との接合部に到達する開口部5が設けられている。開口部5には開閉可能なようにスライドファスナーが取り付けられている。
【0031】
クラブケース1のシャフト収容部2の端辺には、スライドファスナーを構成するテープ6が縫い付けられて固定されている。テープ6には、複数のエレメント7が等間隔に配置されている。スライダー8が、エレメント7上を移動可能な状態で配置されている。
【0032】
シャフト収容部2の側面に、スライドファスナーを構成するテープ9が、シャフト収容部2の端辺と平行になるように固定されている。テープ9上には、テープ6のエレメント7と同一の構成を有する複数のエレメント10が配置されている。テープ6とテープ9を対向させてスライダー8を動かすことで、エレメント7とエレメント10を噛み合わせて、スライドファスナーを閉じた状態にすることができる。
【0033】
シャフト収容部2の側面のテープ9の固定位置とは異なる位置に、スライドファスナーを構成するテープ11が、シャフト収容部2の端辺と平行になるように固定されている。テープ11上には、テープ6のエレメント7と同一の構成を有する複数のエレメント12が配置されている。テープ6とテープ11を対向させてスライダー8を動かすことで、エレメント7とエレメント12を噛み合わせて、スライドファスナーを閉じた状態にすることができる。
【0034】
クラブケース1の全長と、テープ9及びテープ11の配置を、クラブケース1に収容される子供用のゴルフクラブの長さに基づいて説明する。市場に広く流通している子供用のゴルフクラブセットは、子供の身長に対応して3段階の長さのものがある。その中で最もシャフトが短いゴルフクラブセットは、身長約120センチメートル〜約140センチメートルの者を対象とするものである。その他の子供用のゴルフクラブセットとして、身長約130センチメートル〜約150センチメートルの者を対象とするセットと、身長約140センチメートル〜約160センチメートルの者を対象とするセットとが広く流通している。種々調査した結果、子供用のゴルフクラブセットは、対応する身長範囲が約10センチメートル高くなる毎に、クラブのシャフトのそれぞれの長さが約10センチメートルから15センチメートル長くなることが明かとなった。
【0035】
本実施例のクラブケース1の長さと形状は、身長約140センチメートル〜約160センチメートルの者を対象としたゴルフクラブのセットを、好ましいゆとりを持ちつつ安定して収容できるように形成されている。即ち、クラブケース1の全長は、身長約140センチメートル〜約160センチメートルの者を対称としたゴルフクラブの中の最も長いクラブをゆとりを持って収容するために充分な長さを備えており、クラブケース1のシャフト収容部2の長さは、このゴルフクラブセットの最もシャフトの短いクラブよりも若干短めに形成されている。
【0036】
このような長さと形状を有するクラブケース1に、そのままの状態で身長約130センチメートル〜約150センチメートルの者を対象とするゴルフクラブセットを収容すると、シャフト収容部2の長さよりもシャフトが短いアイアンやパターがあるために、シャフト収容部2とヘッド収容部3の接合部でクラブヘッドがひっかかった状態となったり、クラブヘッドがシャフト収容部2に落ち込んで取り出しにくい状態となることがある。
【0037】
クラブケース1のシャフト収容部2を長手方向に約15センチメートル短くすることで、クラブケース1に身長約130センチメートル〜約150センチメートルの者を対象とする短いゴルフクラブセットを好適に収容することが可能である。本実施例のクラブケース1は、このゴルフクラブセットを好適に収容するために、シャフト収容部2の端辺から長手方向に約15センチメートル迄の範囲の領域13を折り返し、折り返された領域13を固定する構成を備えている。以下、クラブケース1のシャフト収容部2の領域13が折り返された状態を、クラブケース1の第1段階の折り返し状態とも言う。
【0038】
クラブケース1は、第1段階の折り返し状態で折り返された領域13をシャフト収容部2に固定するための構成として、シャフト収容部2の一端側から距離約30センチメートルの位置に、スライドファスナーを構成するテープ9が配置されている。シャフト収容部2の一端部の領域13が長手方向に折り返されたとき、一端部のテープ6上のエレメント7は、テープ9上のエレメント10と噛み合うことのできる位置に到達する。スライダー8によってエレメント7とエレメント10が噛み合わされてスライドファスナーが閉じられると、シャフト収容部2は、領域13が折り返された状態でシャフト収容部2の側面に確実に固定される。
【0039】
シャフト収容部2の側面に、第1段階の折り返し状態によって折り返される領域13を覆って固定するためのカバー部14が形成されている。カバー部14には略長方形の柔軟な素材が適用されている。カバー部14を形成する略長方形の素材の幅方向の両端部はシャフト収容部2に固定されており、カバー部14の中央部とシャフト収容部2によって、長手方向の両端部が開口しているループが形成されている。ループの開口部の幅はシャフト収容部2の幅よりも若干広くなるように調整されている。
【0040】
カバー部14の固定位置は、シャフト収容部2の一端側から約15センチメートル他端部寄りの位置、即ち領域13の終端から、テープ9の固定位置の手前までの区間である。この区間は、第1段階の折り返し状態で折り返される領域13全体を覆うことのできる区間である。
【0041】
折り返されたシャフト収容部2の領域13をカバー部14とシャフト収容部2によって形成されるループに通し、テープ6のエレメント7とテープ9のエレメント10とを噛み合わせてスライドファスナーを閉じることで、領域13は、カバー部14で覆った状態でシャフト収容部2の側面に固定することができる。第1段階の折り返し状態でシャフト収容部2の領域13を固定したクラブケース1の上面図を、図3に示す。又、第1段階の折り返し状態でシャフト収容部2を固定したクラブケース1の、一端側の拡大斜視図を図4に示す。カバー部14で覆うことによって、折り返された領域13は、使用中にばたついたり、折れ曲ったりすることがなく、邪魔にならない。又、折り返された領域13がカバー部14とシャフト収容部2によって形成されるループに収容されることで、すっきりとした好ましい外観が保たれる。
【0042】
同様に、クラブケース1に、更にクラブが短い身長約120センチメートル〜約140センチメートルの者を対象とするゴルフクラブセットを収容する場合は、クラブケース1のシャフト収容部2を更に短くすることが好ましい。本実施例のクラブケース1は、更に短いクラブを好適に収容するために、シャフト収容部2を長手方向に約30センチメートル折り返し、折り返し部分をシャフト収容部2の側面に固定し、シャフト収容部2を実質的に30センチメートル短くできる構成を備えている。以下、このシャフト収容部2を長手方向に約30センチメートル折り返された状態を、クラブケース1の第2段階の折り返し状態とも言い、第2段階の折り返し状態で折り返される領域を、図中で領域16として示す。この領域16には、シャフト収容部2の一部と、カバー部14全体が含まれる。
【0043】
クラブケース1は、第2段階の折り返し状態で折り返された領域16を固定するための構成として、シャフト収容部2の一端側から距離約60センチメートルの位置に、スライドファスナーを構成するテープ11が配置されている。シャフト収容部2は、一端側から約30センチメートルの位置で領域16が長手方向に折り返されると、シャフト収容部2の一端側の端辺に固定されているテープ6上のエレメント7が、テープ11上のエレメント12と噛み合うことのできる位置に到達する。スライダー8によってエレメント7とエレメント12が噛み合わされてスライドファスナーが閉じられると、シャフト収容部2は、領域16が折り返された状態で、シャフト収容部2の側面に確実に固定される。
【0044】
シャフト収容部2の側面には、第2段階の折り返し状態で折り返される領域16を覆って固定するために、カバー部14と異なる位置に、カバー部15が形成されている。カバー部15には略長方形の柔軟な素材が適用されている。カバー部15を形成する略長方形の素材の幅方向の両端部はシャフト収容部2に固定されており、カバー部15の中央部とシャフト収容部2とによって、長手方向の両端部が開口しているループが形成されている。ループの開口部の幅はシャフト収容部2の幅よりも若干広くなるように調整されている。
【0045】
カバー部15の固定位置は、スライドファスナーのテープ9の固定位置よりも若干他端部寄りの位置から、テープ11の固定位置の手前までの区間である。この区間は、シャフト収容部2の領域16が折り返されたときに、領域16全体を覆うことのできる区間である。
【0046】
シャフト収容部2の折り返された領域16を、カバー部15とシャフト収容部2によって形成されるループに通し、テープ6のエレメント7とテープ11のエレメント12とを噛み合わせてスライドファスナーを閉じることで、領域16は、カバー部15で覆われた状態でシャフト収容部2の側面に固定される。第2段階の折り返し状態でシャフト収容部2を固定した状態のクラブケース1の上面図を、図5に示す。又、折り返された一端部がカバー部15とシャフト収容部2によって形成されるループを通過している状態で、エレメント7とエレメント12の一部が噛み合い、スライドファスナーが一部閉じられている状態の拡大斜視図を図6に示す。更に、エレメント7とエレメント12の全部が噛み合い、スライドファスナーが全て閉じられている状態の一端側の拡大斜視図を図7に示す。カバー部15で覆うことによって、折り返された領域16が、使用中にばたついたり、折れ曲ったりすることがなく、折り返された部分が邪魔にならない。又、領域16がカバー部15とシャフト収容部2によって形成されるループに収容されることで、クラブケース1全体のすっきりとした好ましい外観が保たれる。
【0047】
ここまで述べてきた位置にスライドファスナーを構成するテープ6,9,11を配置することで、シャフト収容部2におけるテープ6からテープ9までの距離は約30センチメートルに構成されており、テープ9からテープ11までの距離も又30センチメートルで構成されている。この結果、クラブケース1の全長を約30センチメートル短くするために、シャフト収容部2を第2段階の折り返し状態とするときの、長手方向の折り返し位置は、テープ9の位置となる。クラブケース1を第2段階の折り返し状態とするときには、テープ9の位置を折り返しの基準とすることができ、折り返しが非常に行いやすくなっている。又、折り返し位置であるテープ9上にはカバー部14もカバー部15も覆い被さっていないため、折り返し位置が嵩張らず、すっきりとした好ましい外観が保たれる。
【0048】
以上述べてきたように、本実施例におけるクラブケース1は、図8の(a)に示される通常の状態から、シャフト収容部2の領域13を長手方向に折り曲げ、シャフト収容部2の一端部に設けられているスライドファスナーのテープ6に設けられているエレメント7を、シャフト収容部2の側面の異なる位置に固定されているスライドファスナーのテープ9に設けられているエレメント10と噛み合わせてスライドファスナーを閉じることにより、図8の(b)に示されるようにシャフト収容部2の一端部を1段階折り曲げた状態で固定することができる。更に、シャフト収容部2の領域16を長手方向に更に折り曲げ、エレメント7を、シャフト収容部2の側面の異なる位置に固定されているスライドファスナーのテープ11に設けられているエレメント12と噛み合わせてスライドファスナーを閉じることにより、図8の(c)に示されるように、シャフト収容部2の一端部を更にもう1段階折り曲げた状態で固定することができる。このように、本実施例のクラブケース1は、その全長を、3種類の長さに変更することができる。全長を変更できることで、様々な長さのゴルフクラブセットを、好適に収容し、安定して保持することができる。
【0049】
又、本実施例のクラブケース1には、シャフト収容部2が折り返されたときに、折り返し部分を通過させるためのループを形成するカバー部14、15が設けられている。折り返されたシャフト収容部2の一端部の領域13,16は、カバー部14又はカバー部15に覆われることによって、ばたついたり、折れ曲ったりするがことなく、使用中に邪魔にならない。又、折り曲げられた領域がカバー部14又はカバー部15とシャフト収容部2によって形成されるループに収容されることで、クラブケース1全体のすっきりとした好ましい外観が保たれる。
【0050】
更に本実施例のクラブケース1は、シャフト収容部2の一端部を折り曲げた状態で固定するためのスライドファスナーのテープ9とテープ11が、シャフト収容部2の一端側から等間隔に設けられている。又、テープ9とテープ11上には、折り返し部分を覆うためのカバー部は覆い被さっていない。このような構成を有していることにより、クラブケース1を第2段階の折り返し状態にする際には、折り返しをテープ9の位置で行うことができるため、非常に折り返しが行いやすく、又折り返し位置が嵩張らずに、すっきりとした好ましい外観が保たれる。
【0051】
(実施例2) 本実施例のクラブケースは、実施例1のクラブケース1とほぼ同一の構成を有している。本実施例のクラブケース1は、第1段階の折り返し状態で折り返された領域13を固定するためのスライドファスナーのテープ11が、カバー部15の一端側の端辺に設けられている。テープ11は、シャフト収容部2に直接縫いつけるよりも、カバー部15に縫いつける方がより容易で位置決めもし易いため、本実施例のクラブケースは一層安価に製造することができる。また、本実施例のクラブケースは、第1段階の折り返し状態において、折り返された領域13がカバー部15の端辺に固定されることでカバー部15のばたつきを抑えることができる。
【0052】
(実施例3) 本発明を適用したクラブケース21の構成を、図9を参照しつつ説明する。本実施例におけるクラブケース21において、クラブケース1と同一の構成を有しているものについては、同一符号を賦与して重複説明を割愛する。本実施例は、ヘッド収容部22の径が、シャフト収容部2の径と同一になるように形成されている。開口部23は、ヘッド収容部22の端辺側に設けられている。
【0053】
本実施例におけるクラブケース21は、ヘッド収容部22の径がシャフト収容部2と同一であるので、ヘッドの小さいアイアンやパターだけを1本又は2,3本収容するために特に適している。本実施例のクラブケース21は、形状が単純であるために非常に製造が行いやすく、安価に提供される。
【0054】
以上、実施例において本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。たとえば、実施例においては、固定具となるスライドファスナーを構成するためのテープを2箇所に設けているが、3個以上固定して、より細かい段階で全長を変更できるようにすることができる。固定具の取付位置も、端辺に平行な位置には限定されず、収容する長尺物の形状に合わせて、種々変化させることができる。また、カバー部の上や端辺に、固定具を取り付けることも可能である。
【0055】
止め具と固定具に適用される固定手段は、スライドファスナーに限定されない。一例として、止め具と固定具に、ボタンやマジックテープ(登録商標)等を適用することができることは明かである。更に、長尺物を収容する容器の形状や大きさについても、適宜変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】第1実施例のクラブケース1の上面図である。
【図2】第1実施例のクラブケース1の一端部の拡大斜視図である。
【図3】第1実施例の第1段階の折り曲げ状態で固定されたクラブケース1の上面図である。
【図4】第1実施例の第1段階の折り曲げ状態で固定されたクラブケース1の一端部の部分拡大斜視図である。
【図5】第1実施例の第2段階の折り曲げ状態で固定されたクラブケース1の上面図である。
【図6】第1実施例のクラブケース1を第2段階の折り曲げ状態として、スライドファスナーのエレメントの一部を噛み合わせた状態を示す一端部の部分拡大斜視図である。
【図7】第1実施例のクラブケース1を第2段階の折り曲げ状態として、スライドファスナーのエレメントを全て噛み合わせた状態を示す一端部の部分拡大斜視図である。
【図8】第1実施例のクラブケース1が段階的に折り返される様子を模式的に示す上面図である。
【図9】第2実施例のクラブケース21の上面図である。
【符号の説明】
【0057】
1,21 ・・クラブケース
2 ・・シャフト収容部
3,22 ・・ヘッド収容部
4 ・・取っ手
5,23 ・・開口部
6,9,11 ・・テープ
7,10,12 ・・エレメント
8, ・・スライダー
13,16 ・・折り返される領域
14,15 ・・カバー部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺物を収容するための、開口部を備えた筒状の柔軟な容器であって、
一端部に設けられた止め具と、
開口部に向かう方向に折り返された一端部を覆うことのできるカバー部と、
カバー部と容器との間を通過した一端部の止め具を固定する固定具と、
を備えており、長さの異なる長尺物を好適に収容できるように容器の全長を変更することができることを特徴とする容器。
【請求項2】
カバー部と、固定具とが、容器の異なる位置に各々2個以上設けられていることを特徴とする請求項1に記載の容器。
【請求項3】
容器に、大きな径の部分と小さな径の部分が設けられており、大きな径の部分に開口部が設けられており、小さな径の部分が折り返されることを特徴とする請求項1又は2に記載の容器。
【請求項4】
長尺物がゴルフクラブであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の容器。
【請求項5】
隣り合う固定具と固定具の間の距離は、止め具により近い側にある固定具から止め具までの距離に等しいことを特徴とする請求項2乃至4のいずれかに記載の容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−202945(P2007−202945A)
【公開日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−28201(P2006−28201)
【出願日】平成18年2月6日(2006.2.6)
【出願人】(303011275)株式会社ジャパーナ (43)
【Fターム(参考)】