説明

長尺研磨パッドの製造方法

【課題】 スラリー漏れを防止することができ、かつ光学的検知精度に優れる長尺研磨パッドを製造する方法を提供することを目的とする。
【解決手段】 機械発泡法により気泡分散ウレタン組成物を調製する工程、長尺モールド内にスペーサーと光透過領域とを積層状態で配設する工程、前記スペーサー及び光透過領域を配設していない領域に前記気泡分散ウレタン組成物を吐出し、該気泡分散ウレタン組成物を硬化させてポリウレタン発泡体からなる長尺研磨領域を作製する工程、前記長尺研磨領域からスペーサーを剥離する工程、及び前記長尺研磨領域のスペーサーを剥離した面側に透明支持フィルムを積層して、光透過領域と透明支持フィルムとの間に空間部を有する長尺研磨層を作製する工程を含む長尺研磨パッドの製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はレンズ、反射ミラー等の光学材料やシリコンウエハ、ハードディスク用のガラス基板、アルミ基板、及び一般的な金属研磨加工等の高度の表面平坦性を要求される材料の平坦化加工を安定、かつ高い研磨効率で行うことが可能な長尺研磨パッドの製造方法に関するものである。本発明の製造方法によって得られる長尺研磨パッドは、特にシリコンウエハ並びにその上に酸化物層、金属層等が形成されたデバイスを、さらにこれらの酸化物層や金属層を積層・形成する前に平坦化する工程に好適に使用される。
【背景技術】
【0002】
半導体装置を製造する際には、ウエハ表面に導電性膜を形成し、フォトリソグラフィー、エッチング等をすることにより配線層を形成する形成する工程や、配線層の上に層間絶縁膜を形成する工程等が行われ、これらの工程によってウエハ表面に金属等の導電体や絶縁体からなる凹凸が生じる。近年、半導体集積回路の高密度化を目的として配線の微細化や多層配線化が進んでいるが、これに伴い、ウエハ表面の凹凸を平坦化する技術が重要となってきた。
【0003】
ウエハ表面の凹凸を平坦化する方法としては、一般的にケミカルメカニカルポリシング(以下、CMPという)が採用されている。CMPは、ウエハの被研磨面を研磨パッドの研磨面に押し付けた状態で、砥粒が分散されたスラリー状の研磨剤(以下、スラリーという)を用いて研磨する技術である。CMPで一般的に使用する研磨装置は、例えば、図1に示すように、研磨パッド1を支持する研磨定盤2と、被研磨材(半導体ウエハ)4を支持する支持台(ポリシングヘッド)5とウエハの均一加圧を行うためのバッキング材と、研磨剤の供給機構を備えている。研磨パッド1は、例えば、両面テープで貼り付けることにより、研磨定盤2に装着される。研磨定盤2と支持台5とは、それぞれに支持された研磨パッド1と被研磨材4が対向するように配置され、それぞれに回転軸6、7を備えている。また、支持台5側には、被研磨材4を研磨パッド1に押し付けるための加圧機構が設けてある。
【0004】
従来、このような研磨パッドは、1)金型に樹脂材料を流し込んで樹脂ブロックを作製し、その樹脂ブロックをスライサーでスライスして製造する方法、2) 金型に樹脂材料を流し込んで押圧することにより、薄いシート状にして製造する方法、3)原料となる樹脂を溶解し、Tダイから押し出し成形して直接シート状にして製造する方法などのバッチ方式により製造されていた。例えば、特許文献1では反応射出成形法により研磨用パッドを製造している。
【0005】
また、積層研磨パッドの場合、上記方法で得られた研磨層やクッション層等の複数の樹脂シートを接着剤や両面テープで貼り合わせることにより製造されていたため、製造工程が多く、生産性が悪いという問題を有していた。該問題を解決するために、特許文献2では押出機を用いて積層研磨用パッドを製造している。
【0006】
また、バッチ方式の製造方法に起因する硬度や気泡サイズ等のバラツキを防止するために、ポリウレタン・ポリウレア研磨シート材を連続的に製造する方法が提案されている(特許文献3)。詳しくは、ポリウレタン原料と300μm以下の粒子径を有する微粉末や有機発泡剤を混合して、該混合物を一対の無限軌道面ベルト間に吐出し流延させる。その後、加熱手段によって該混合物の重合反応を行い、生成したシート状成形物を面ベルトから分離して研磨シート材を得る方法である。
【0007】
一方、高精度の研磨に使用される研磨パッドとしては、一般的にポリウレタン発泡体シートが使用されている。しかし、ポリウレタン発泡体シートは、局部的な平坦化能力には優れているが、クッション性が不足しているためにウエハ全面に均一な圧力を与えることが難しい。このため、通常、ポリウレタン発泡体シートの背面に柔らかいクッション層が別途設けられ、積層研磨パッドとして研磨加工に使用されている。積層研磨パッドとしては、例えば以下のようなものが開発されている。
【0008】
比較的硬い第一層と比較的軟らかい第二層とが積層されており、該第一層の研磨面に所定のピッチの溝又は所定の形状の突起が設けられた研磨パッドが開示されている(特許文献4)。
【0009】
また、弾性を有し、表面に凹凸が形成された第1シート状部材と、この第1シート状部材の凹凸が形成された面上に設けられ被処理基板の被研磨面と対向する面を有する第2シート状部とを有する研磨布が開示されている(特許文献5)。
【0010】
さらに、研磨層及び該研磨層の一面に積層され、かつ該研磨層よりも大きな圧縮率の発泡体である支持層を備える研磨パッドが開示されている(特許文献6)。
【0011】
しかしながら、上記従来の積層研磨パッドは、研磨層とクッション層とを両面テープ(粘着剤層)で貼り合わせて製造されているため、研磨中に研磨層とクッション層との間にスラリーが侵入して両面テープの粘着力が弱まり、その結果研磨層とクッション層とが剥離するという問題があった。
【0012】
また、CMPを行う上で、ウエハ表面の平坦度の判定の問題がある。すなわち、希望の表面特性や平面状態に到達した時点を検知する必要がある。従来、酸化膜の膜厚や研磨速度等に関しては、テストウエハを定期的に処理し、結果を確認してから製品となるウエハを研磨処理することが行われてきた。
【0013】
しかし、この方法では、テストウエハを処理する時間とコストが無駄になり、また、あらかじめ加工が全く施されていないテストウエハと製品ウエハでは、CMP特有のローディング効果により、研磨結果が異なり、製品ウエハを実際に加工してみないと、加工結果の正確な予想が困難である。
【0014】
そのため、最近では上記の問題点を解消するために、CMPプロセス時に、その場で、希望の表面特性や厚さが得られた時点を検出できる方法が望まれている。このような検知については、様々な方法が用いられているが、測定精度や非接触測定における空間分解能の点から、回転定盤内にレーザー光による膜厚モニタ機構を組み込んだ光学的検知方法(特許文献7、特許文献8)が主流となりつつある。
【0015】
前記光学的検知手段とは、具体的には光ビームを窓(光透過領域)を通して研磨パッド越しにウエハに照射して、その反射によって発生する干渉信号をモニタすることによって研磨の終点を検知する方法である。
【0016】
このような方法では、ウエハの表面層の厚さの変化をモニターして、表面凹凸の近似的な深さを知ることによって終点が決定される。このような厚さの変化が凹凸の深さに等しくなった時点で、CMPプロセスを終了させる。また、このような光学的手段による研磨の終点検知法およびその方法に用いられる研磨パッドについては様々なものが提案されてきた。
【0017】
例えば、固体で均質な190nmから3500nmの波長光を透過する透明なポリマーシートを少なくとも一部分に有する研磨パッドが開示されている(特許文献9)。また、段付の透明プラグが挿入された研磨パッドが開示されている(特許文献10)。また、ポリシング面と同一面である透明プラグを有する研磨パッドが開示されている(特許文献11)。
【0018】
一方、スラリーが研磨領域と光透過領域との境界(継ぎ目)から漏れ出さないための提案(特許文献12、13)もなされている。
【0019】
また、第一の樹脂の棒又はプラグを液状の第二の樹脂の中に配置し、前記第二の樹脂を硬化させて成形物を作製し、該成形物をスライスして光透過領域と研磨領域が一体化した研磨パッドを製造する方法が開示されている(特許文献14)。
【0020】
また、スラリー漏れを防止するために、上層パッドと下層パッドとの間に上下面に接着剤が塗布された透明フィルムを配置する方法が開示されている(特許文献15)。しかし、光透過領域と透明フィルムの間に接着層があると、光透過率が低下するため光学的検知精度も低下する恐れがある。
【0021】
【特許文献1】特開2004−42189号公報
【特許文献2】特開2003−220550号公報
【特許文献3】特開2004−169038号公報
【特許文献4】特開2003−53657号公報
【特許文献5】特開平10−329005号公報
【特許文献6】特開2004−25407号公報
【特許文献7】米国特許第5069002号明細書
【特許文献8】米国特許第5081421号明細書
【特許文献9】特表平11−512977号公報
【特許文献10】特開平9−7985号公報
【特許文献11】特開平10−83977号公報
【特許文献12】特開2001−291686号公報
【特許文献13】特表2003−510826号公報
【特許文献14】特開2005−210143号公報
【特許文献15】特開2003−68686号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
本発明は、スラリー漏れを防止することができ、かつ光学的検知精度に優れる長尺研磨パッドを製造する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0023】
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、以下に示す長尺研磨パッドの製造方法により上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0024】
すなわち、第1の本発明の長尺研磨パッドの製造方法は、機械発泡法により気泡分散ウレタン組成物を調製する工程、長尺モールド内にスペーサーと光透過領域とを積層状態で配設する工程、前記スペーサー及び光透過領域を配設していない領域に前記気泡分散ウレタン組成物を吐出し、該気泡分散ウレタン組成物を硬化させてポリウレタン発泡体からなる長尺研磨領域を作製する工程、前記長尺研磨領域からスペーサーを剥離する工程、及び前記長尺研磨領域のスペーサーを剥離した面側に透明支持フィルムを積層して、光透過領域と透明支持フィルムとの間に空間部を有する長尺研磨層を作製する工程を含む。
【0025】
上記製造方法によると、光透過領域を有する長尺研磨パッドを容易に製造することができる。また、長尺研磨領域は光透過領域に自己接着しているため両領域の界面にスラリーが侵入することがない。また、本発明の長尺研磨パッドは、光透過領域と透明支持フィルムとの間に空間部を有しているため、接着剤を用いて光透過領域と支持フィルムとを貼り合わせた場合に比べて光学的検知精度に優れている。
【0026】
前記スペーサー及び光透過領域は、長尺タイプであることが好ましい。長尺タイプのスペーサー及び光透過領域を用いることにより、長尺研磨パッドの製造がより簡便になるだけでなく、長尺研磨パッドの長さ方向に常に光透過領域が形成されるため光学的検知の観点からも好ましい。
【0027】
前記スペーサーの幅は、研磨時の加圧による光透過領域の変形を防止するために光透過領域の幅以下であることが好ましい。
【0028】
前記光透過領域の厚さは、長尺研磨領域の厚さの50〜90%であることが好ましい。50%未満の場合には、長尺研磨パッドの長時間の使用により、光透過領域が磨耗により消失したり薄くなりすぎ、光学的検知が不能になったり、スラリー漏れにより光学的検知精度が低下する傾向にある。一方、90%を超える場合には、製造時に光透過領域の裏面が透明支持フィルムを貼り合わせるための接着層に接触する恐れがあり、製造上好ましくない。
【0029】
第2の本発明の長尺研磨パッドの製造方法は、機械発泡法により気泡分散ウレタン組成物を調製する工程、長尺モールド内に凹型の光透過領域をくぼみが下側になるように配設する工程、前記光透過領域を配設していない領域に前記気泡分散ウレタン組成物を吐出し、該気泡分散ウレタン組成物を硬化させてポリウレタン発泡体からなる長尺研磨領域を作製する工程、及び前記光透過領域のくぼみを有する面側に透明支持フィルムを積層して、光透過領域と透明支持フィルムとの間に空間部を有する長尺研磨層を作製する工程を含む。
【0030】
上記製造方法によると、光透過領域を有する長尺研磨パッドを容易に製造することができる。また、長尺研磨領域は光透過領域に自己接着しているため両領域の界面にスラリーが侵入することがない。特に、第2の本発明の製造方法では、研磨領域と同一厚さの凹型の光透過領域を用いているため、研磨時の光透過領域の変形を抑制することができ、光学的検知精度が向上するだけでなく、長尺研磨領域との接着面積の増加によりスラリーの浸入をより防止することができる。また、本発明の長尺研磨パッドは、光透過領域と透明支持フィルムとの間に空間部を有しているため、接着剤を用いて光透過領域と支持フィルムとを貼り合わせた場合に比べて光学的検知精度に優れている。
【0031】
前記光透過領域は、上記と同様の理由により長尺タイプであることが好ましい。
【0032】
前記くぼみの深さは、光透過領域の厚さの10〜50%であることが好ましい。10%未満の場合には、製造時にくぼみの底面が透明支持フィルムを貼り合わせるための接着層に接触する恐れがあり、製造上好ましくない。一方、50%を超える場合には、長尺研磨パッドの長時間の使用により、光透過領域が磨耗により消失したり薄くなりすぎ、光学的検知が不能になったり、スラリー漏れにより光学的検知精度が低下する傾向にある。
【0033】
第3の本発明の長尺研磨パッドの製造方法は、メカニカルフロス法により気泡分散ウレタン組成物を調製する工程、面材を送り出しつつ、該面材の内部にスペーサーと光透過領域とを積層状態で配設する工程、スペーサー及び光透過領域を配設していない前記面材上に前記気泡分散ウレタン組成物を連続的に吐出する工程、吐出した前記気泡分散ウレタン組成物上に別の面材を積層する工程、厚さを均一に調整しつつ気泡分散ウレタン組成物を硬化させてポリウレタン発泡体からなる長尺研磨領域を作製する工程、前記長尺研磨領域から面材及びスペーサーを剥離する工程、及び前記長尺研磨領域のスペーサーを剥離した面側に透明支持フィルムを積層して、光透過領域と透明支持フィルムとの間に空間部を有する長尺研磨層を作製する工程を含む。
【0034】
前記スペーサー及び光透過領域は、上記と同様の理由により長尺タイプであることが好ましい。また、スペーサーの幅は、上記と同様の理由により光透過領域の幅以下であることが好ましい。また、光透過領域の厚さは、上記と同様の理由により長尺研磨領域の厚さの50〜90%であることが好ましい。
【0035】
第4の本発明の長尺研磨パッドの製造方法は、メカニカルフロス法により気泡分散ウレタン組成物を調製する工程、面材を送り出しつつ、該面材の内部に凹型の光透過領域をくぼみが下側になるように配設する工程、前記光透過領域を配設していない前記面材上に前記気泡分散ウレタン組成物を連続的に吐出する工程、吐出した前記気泡分散ウレタン組成物上に別の面材を積層する工程、厚さを均一に調整しつつ気泡分散ウレタン組成物を硬化させてポリウレタン発泡体からなる長尺研磨領域を作製する工程、前記長尺研磨領域から面材を剥離する工程、及び前記光透過領域のくぼみを有する面側に透明支持フィルムを積層して、光透過領域と透明支持フィルムとの間に空間部を有する長尺研磨層を作製する工程を含む。
【0036】
第5の本発明の長尺研磨パッドの製造方法は、メカニカルフロス法により気泡分散ウレタン組成物を調製する工程、透明支持フィルムを送り出しつつ、該透明支持フィルムの内部に凹型の光透過領域をくぼみが下側になるように配設する工程、前記光透過領域を配設していない前記透明支持フィルム上に前記気泡分散ウレタン組成物を連続的に吐出する工程、吐出した前記気泡分散ウレタン組成物上に面材を積層する工程、厚さを均一に調整しつつ気泡分散ウレタン組成物を硬化させてポリウレタン発泡体からなる長尺研磨領域を形成し、光透過領域と透明支持フィルムとの間に空間部を有する長尺研磨層を作製する工程、及び前記長尺研磨領域から面材を剥離する工程を含む。
【0037】
前記光透過領域は、上記と同様の理由により長尺タイプであることが好ましい。また、くぼみの深さは、上記と同様の理由により光透過領域の厚さの10〜50%であることが好ましい。
【0038】
上記第3〜5の製造方法によると、長尺の研磨層を連続的に製造することができ、生産性よく長尺研磨パッドを製造することができる。また、得られた長尺研磨パッドは、前記と同様の優れた機能を有するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0039】
図2及び3は、本発明の長尺研磨パッド8の断面図である。長尺研磨領域9は、微細気泡を有するポリウレタン発泡体からなる。ポリウレタンは耐摩耗性に優れ、原料組成を種々変えることにより所望の物性を有するポリマーを容易に得ることができるため、研磨領域の形成材料として好ましい材料である。
【0040】
前記ポリウレタンは、イソシアネート成分、ポリオール成分(高分子量ポリオール、低分子量ポリオール等)、及び鎖延長剤からなるものである。
【0041】
イソシアネート成分としては、ポリウレタンの分野において公知の化合物を特に限定なく使用できる。イソシアネート成分としては、2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、2,2’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−キシリレンジイソシアネート、m−キシリレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート、エチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、4,4’−ジシクロへキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート等の脂環式ジイソシアネートが挙げられる。これらは1種で用いても、2種以上を混合しても差し支えない。
【0042】
イソシアネート成分としては、上記ジイソシアネート化合物の他に、3官能以上の多官能ポリイソシアネート化合物も使用可能である。多官能のイソシアネート化合物としては、デスモジュール−N(バイエル社製)や商品名デュラネート(旭化成工業社製)として一連のジイソシアネートアダクト体化合物が市販されている。
【0043】
高分子量ポリオールとしては、ポリテトラメチレンエーテルグリコールに代表されるポリエーテルポリオール、ポリブチレンアジペートに代表されるポリエステルポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、ポリカプロラクトンのようなポリエステルグリコールとアルキレンカーボネートとの反応物などで例示されるポリエステルポリカーボネートポリオール、エチレンカーボネートを多価アルコールと反応させ、次いで得られた反応混合物を有機ジカルボン酸と反応させたポリエステルポリカーボネートポリオール、及びポリヒドキシル化合物とアリールカーボネートとのエステル交換反応により得られるポリカーボネートポリオールなどが挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0044】
高分子量ポリオールの数平均分子量は特に限定されるものではないが、得られるポリウレタン樹脂の弾性特性等の観点から500〜2000であることが好ましい。数平均分子量が500未満であると、これを用いたポリウレタン樹脂は十分な弾性特性を有さず、脆いポリマーとなる。そのためこのポリウレタン樹脂から製造される研磨パッドは硬くなりすぎ、ウエハ表面のスクラッチの原因となる。また、摩耗しやすくなるため、パッド寿命の観点からも好ましくない。一方、数平均分子量が2000を超えると、これを用いたポリウレタン樹脂は軟らかくなりすぎるため、このポリウレタン樹脂から製造される研磨領域は平坦化特性に劣る傾向にある。
【0045】
ポリオール成分として上述した高分子量ポリオールの他に、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,4−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン等の低分子量ポリオールを併用することが好ましい。エチレンジアミン、トリレンジアミン、ジフェニルメタンジアミン、ジエチレントリアミン等の低分子量ポリアミンを用いてもよい。
【0046】
ポリウレタン発泡体をプレポリマー法により製造する場合において、プレポリマーの硬化には鎖延長剤を使用する。鎖延長剤は、少なくとも2個以上の活性水素基を有する有機化合物であり、活性水素基としては、水酸基、第1級もしくは第2級アミノ基、チオール基(SH)等が例示できる。具体的には、4,4’−メチレンビス(o−クロロアニリン)(MOCA)、2,6−ジクロロ−p−フェニレンジアミン、4,4’−メチレンビス(2,3−ジクロロアニリン)、3,5−ビス(メチルチオ)−2,4−トルエンジアミン、3,5−ビス(メチルチオ)−2,6−トルエンジアミン、3,5−ジエチルトルエン−2,4−ジアミン、3,5−ジエチルトルエン−2,6−ジアミン、トリメチレングリコール−ジ−p−アミノベンゾエート、1,2−ビス(2−アミノフェニルチオ)エタン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジエチル−5,5’−ジメチルジフェニルメタン、N,N’−ジ−sec−ブチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジエチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、m−キシリレンジアミン、N,N’−ジ−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、及びp−キシリレンジアミン等に例示されるポリアミン類、あるいは、上述した低分子量ポリオールや低分子量ポリアミンを挙げることができる。これらは1種で用いても、2種以上を混合しても差し支えない。
【0047】
本発明におけるイソシアネート成分、ポリオール成分、及び鎖延長剤の比は、各々の分子量や研磨領域の所望物性などにより種々変え得る。所望する研磨特性を有する研磨領域を得るためには、ポリオール成分と鎖延長剤の合計活性水素基(水酸基+アミノ基)数に対するイソシアネート成分のイソシアネート基数は、0.80〜1.20であることが好ましく、さらに好ましくは0.99〜1.15である。イソシアネート基数が前記範囲外の場合には、硬化不良が生じて要求される比重及び硬度が得られず、研磨特性が低下する傾向にある。
【0048】
ポリウレタン発泡体の製造は、プレポリマー法、ワンショット法のどちらでも可能であるが、事前にイソシアネート成分とポリオール成分からイソシアネート末端プレポリマーを合成しておき、これに鎖延長剤を反応させるプレポリマー法が、得られるポリウレタンの物理的特性が優れており好適である。
【0049】
なお、イソシアネート末端プレポリマーは、分子量が800〜5000程度のものが加工性、物理的特性等が優れており好適である。
【0050】
前記ポリウレタン発泡体は、イソシアネート基含有化合物を含む第1成分、及び活性水素基含有化合物を含む第2成分を混合して得られる気泡分散ウレタン組成物を硬化させることにより製造される。プレポリマー法では、イソシアネート末端プレポリマーがイソシアネート基含有化合物となり、鎖延長剤が活性水素基含有化合物となる。ワンショット法では、イソシアネート成分がイソシアネート基含有化合物となり、鎖延長剤及びポリオール成分が活性水素基含有化合物となる。
【0051】
前記気泡分散ウレタン組成物は機械発泡法(メカニカルフロス法を含む)により調製する。特に、ポリアルキルシロキサンとポリエーテルの共重合体であって活性水素基を有しないシリコン系界面活性剤を使用した機械発泡法が好ましい。かかるシリコン系界面活性剤としては、SH−192、L−5340(東レダウコーニングシリコン社製)等が好適な化合物として例示される。シリコン系界面活性剤の添加量は、ポリウレタン発泡体中に0.05〜5重量%であることが好ましい。シリコン系界面活性剤の量が0.05重量%未満の場合には、微細気泡の発泡体が得られない傾向にある。一方、5重量%を超える場合には、シリコン系界面活性剤の可塑効果により高硬度のポリウレタン発泡体を得にくい傾向にある。
【0052】
なお、必要に応じて、酸化防止剤等の安定剤、滑剤、顔料、充填剤、帯電防止剤、その他の添加剤を加えてもよい。
【0053】
気泡分散ウレタン組成物を調製する方法の例について以下に説明する。かかる気泡分散ウレタン組成物の調製方法は、以下の工程を有する。
1)イソシアネート末端プレポリマーの気泡分散液を作製する発泡工程
イソシアネート末端プレポリマー(第1成分)にシリコン系界面活性剤を添加し、非反応性気体の存在下で撹拌し、非反応性気体を微細気泡として分散させて気泡分散液とする。前記プレポリマーが常温で固体の場合には適宜の温度に予熱し、溶融して使用する。
2)硬化剤(鎖延長剤)混合工程
上記の気泡分散液に鎖延長剤(第2成分)を添加、混合、撹拌して気泡分散ウレタン組成物を調製する。
【0054】
前記微細気泡を形成するために使用される非反応性気体としては、可燃性でないものが好ましく、具体的には窒素、酸素、炭酸ガス、ヘリウムやアルゴン等の希ガスやこれらの混合気体が例示され、乾燥して水分を除去した空気の使用がコスト的にも最も好ましい。
【0055】
非反応性気体を微細気泡状にしてシリコン系界面活性剤を含む第1成分に分散させる撹拌装置としては、公知の撹拌装置は特に限定なく使用可能であり、具体的にはホモジナイザー、ディゾルバー、2軸遊星型ミキサー(プラネタリーミキサー)等が例示される。撹拌装置の撹拌翼の形状も特に限定されないが、ホイッパー型の撹拌翼の使用にて微細気泡が得られ好ましい。
【0056】
気泡分散ウレタン組成物には、第3級アミン系等の公知のポリウレタン反応を促進する触媒を添加してもかまわない。触媒の種類及び添加量は、混合工程後、気泡分散ウレタン組成物を長尺モールドに流し込む流動時間又はベルトコンベア上に吐出した後の硬化時間を考慮して選択する。
【0057】
本発明で使用するスペーサーの原料は特に制限されず、例えば、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース系樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、フッ素樹脂、ポリスチレン、及びオレフィン系樹脂などの熱可塑性樹脂;アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリルウレタン樹脂、フェノール樹脂、及びエポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂;天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、再生ゴム、及びポリイソブチレンゴムなどのゴム;ジメチルポリシロキサン、及びジフェニルポリシロキサンなどのシリコン樹脂などが挙げられる。熱可塑性樹脂を用いることにより、巻き取った状態で保存及び面材上に供給することができるため好ましい。特に、可とう性及び離型性の観点からフッ素樹脂を用いることが好ましい。
【0058】
スペーサーの形状は特に制限されないが、断面が矩形であることが好ましい。その場合、幅は形状安定性を考慮して5〜15mm程度であることが好ましく、より好ましくは光透過領域の幅以下である。また、高さは長尺研磨領域の厚さの10〜50%であることが好ましく、より好ましくは15〜40%である。スペーサーの長さは特に制限されず、長尺タイプ(数m程度)であってもよく短尺タイプ(数cm〜数十cm程度)であってもよい。スペーサーは、例えば、押出成形により形成する方法、円筒状に押出成形した樹脂ブロックを螺旋状にカットして帯状に形成する方法、樹脂シートを所定幅及び長さで切断する方法などにより製造することができる。
【0059】
光透過領域10の形成材料は特に制限されないが、研磨を行っている状態で高精度の光学終点検知を可能とし、波長300〜800nmの全範囲で光透過率が40%以上である材料を用いることが好ましく、さらに好ましくは光透過率が50%以上の材料である。そのような材料としては、例えば、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、及びアクリル樹脂などの熱硬化性樹脂;ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース系樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ハロゲン系樹脂(ポリ塩化ビニル、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデンなど)、ポリスチレン、及びオレフィン系樹脂(ポリエチレン、ポリプロピレンなど)などの熱可塑性樹脂;紫外線や電子線などの光により硬化する光硬化性樹脂、及び感光性樹脂などが挙げられる。これらの樹脂は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なお、熱硬化性樹脂は比較的低温で硬化するものが好ましい。光硬化性樹脂を使用する場合には、光重合開始剤を併用することが好ましい。芳香族炭化水素基を有する樹脂を用いると短波長側での光透過率が低下する傾向にあるため、このような樹脂を用いないことが好ましい。上記のうち、熱可塑性樹脂を用いることが好ましく、特に熱可塑性ポリウレタン樹脂を用いることが好ましい。
【0060】
光透過領域10は、例えば、押出成形法や注型成形法により作製することができる。光透過領域10の断面形状は特に制限されないが、矩形であることが好ましい。その場合、光透過領域10の幅は形状安定性及び研磨領域を広く確保することを考慮して5〜15mm程度であることが好ましい。また、光透過領域10の幅は研磨時の加圧による光透過領域の変形を防止するためスペーサーの幅以上であることが好ましい。光透過領域10の厚さは、長尺研磨領域9の厚さの50〜90%であることが好ましく、より好ましくは60〜85%である。光透過領域10の長さは特に制限されず、長尺タイプ(数m程度)であってもよく短尺タイプ(数cm〜数十cm程度)であってもよい。また、上記スペーサーの長さに合わせておくことが好ましい。
【0061】
一方、凹型の光透過領域11は、例えば、押出成形法や注型成形法により作製することができる。また、図4に示すように樹脂シート12に所定間隔で溝加工を多数施し、その後凸部の中央を長さ方向に切断することにより、くぼみ13を有する長尺(数m程度)の光透過領域11を効率的に作製することができる。図5は、樹脂シート12を幅方向で切断した断面図である。光透過領域11の幅(W)は、形状安定性及び研磨領域を広く確保することを考慮して10〜15mm程度であることが好ましい。光透過領域11の厚さ(H)は、長尺研磨領域9の厚さを考慮して適宜調整することができる。くぼみ13の幅(w)は、形状安定性及びレーザー光の入射領域を考慮して5〜10mm程度であることが好ましい。くぼみ13の深さ(h)は、光透過領域の厚さ(H)の10〜50%であることが好ましく、より好ましくは15〜40%である。
【0062】
また、樹脂シート12に所定間隔でくぼみ13を多数形成し、その後凸部の中央を格子状に切断することにより、くぼみ13を有する短尺(数cm〜数十cm程度)の光透過領域11を効率的に作製することができる。なお、短尺の光透過領域11の幅(W)及び厚さ(H)、並びにくぼみ13の幅(w)及び深さ(h)は上記と同様である。
【0063】
本発明で使用する透明支持フィルム15は特に制限されないが、透明性が高く、耐熱性を有すると共に可とう性を有する樹脂フィルムであることが好ましい。該樹脂フィルムの材料としては、例えば、ポリエステル;ポリエチレン;ポリプロピレン;ポリスチレン;ポリイミド;ポリビニルアルコール;ポリ塩化ビニル;ポリフルオロエチレンなどの含フッ素樹脂;ナイロン;セルロース;ポリカーボネートなどの汎用エンジニアリングプラスチック;ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、及びポリエーテルスルホンなどの特殊エンジニアリングプラスチックなどを挙げることができる。
【0064】
透明支持フィルムの厚さは特に制限されないが、強度や巻き取り等の観点から20〜200μm程度であることが好ましい。また、透明支持フィルムの幅も特に制限されないが、要求される長尺研磨領域の大きさを考慮すると60〜250cm程度であることが好ましい。また、透明支持フィルムの長さは要求される長尺研磨領域の長さに合わせて適宜設定できるが、リード部分(前後各2m程度)が必要なため通常9〜20m程度であり、好ましくは10〜15mである。
【0065】
以下、本発明の長尺研磨パッドを製造する方法について説明する。図6は、本発明の長尺研磨パッドの製造工程の例を示す概略図である。
【0066】
長尺モールド16の長さは、要求される長尺研磨領域の長さを考慮すると通常5〜15m程度であり、好ましくは7〜10mである。幅は、要求される長尺研磨領域の大きさを考慮すると60〜250cm程度であることが好ましい。高さは、要求される長尺研磨領域の厚さ及びキャスト時のオーバーフロー防止の観点から10〜60mm程度であることが好ましい。
【0067】
まず、長尺モールド16の所定位置にスペーサーと光透過領域10とを積層状態で配設して固定する。その際には、先にスペーサーをモールド内に配設してその上に光透過領域10を積層してもよく又はその逆でもよい。また、長尺タイプのスペーサー及び光透過領域10は、モールド内に1つだけ設けてもよく又は複数個設けてもよいが、研磨領域の面積を大きくして研磨効率を高くするために、モールドの幅方向中央に1つだけ設けることが好ましい。また、短尺タイプのスペーサー及び光透過領域10を用いる場合には、モールドの幅方向中央に所定間隔で複数個設けることが好ましい。
【0068】
一方、凹型の光透過領域11を用いる場合には、モールドの所定位置にくぼみ13が下側になるように配設して固定する。上記と同様にモールドの幅方向中央に1つだけ設けることが好ましい。また、短尺タイプの凹型の光透過領域11を用いる場合には、モールドの幅方向中央に、かつ長さ方向に所定間隔で複数個設けることが好ましい。
【0069】
固定する方法は特に制限されないが、例えば、両面テープを用いて貼り合わせる方法、スペーサー及び光透過領域の上から圧力を加えてモールド底面に押し付ける方法などが挙げられる。
【0070】
その後、スペーサー及び光透過領域10、又は凹型の光透過領域11を配設していない領域に前記気泡分散ウレタン組成物17を吐出し、該気泡分散ウレタン組成物を硬化させてポリウレタン発泡体からなる長尺研磨領域9を作製する。気泡分散ウレタン組成物17の吐出量は、長尺研磨領域の厚さ及び面積を考慮して適宜調整する。
【0071】
気泡分散ウレタン組成物17の硬化は、例えば、厚さを均一に調整した後に、コンベア上に設けられた加熱オーブン内を通過させることにより行われる。加熱温度は40〜100℃程度であり、加熱時間は5〜10分程度である。流動しなくなるまで反応した気泡分散ウレタン組成物を加熱、ポストキュアすることは、ポリウレタン発泡体の物理的特性を向上させる効果がある。
【0072】
その後、一体成形された光透過領域及び長尺研磨領域を長尺モールドから離型し、第1の本発明の製造方法の場合には長尺研磨領域からスペーサーを剥離する。
【0073】
一方、図7は、本発明の長尺研磨パッドの他の製造例を示す概略図である。
【0074】
気泡分散ウレタン組成物17は、メカニカルフロス法により調製される。メカニカルフロス法とは、原料成分をミキシングヘッド20の混合室内に入れるとともに前記非反応性気体を混入させ、オークスミキサー等のミキサーで混合撹拌することにより、非反応性気体を微細気泡状態にして原料混合物中に分散させる方法である。メカニカルフロス法は、非反応性気体の混入量を調節することにより、容易にポリウレタン発泡体の密度を調整することができるため好ましい方法である。
【0075】
ロールから送り出された面材21はコンベア22上を移動している。まず、該面材21の内部所定位置にスペーサー及び光透過領域10を積層状態でロール等から送り出すことにより配設して固定する。その際には、先にスペーサーを面材21上に配設してその上に光透過領域10を積層してもよく又はその逆でもよい。また、長尺タイプのスペーサー及び光透過領域10は、面材21上に1つだけ設けてもよく又は複数個設けてもよいが、上記と同様の理由により、面材21の幅方向中央に1つだけ設けることが好ましい。また、短尺タイプのスペーサー及び光透過領域10を用いる場合には、面材21の幅方向中央に、かつ長さ方向に所定間隔で複数個設けることが好ましい。
【0076】
一方、凹型の光透過領域11を用いる場合には、面材21又は透明支持フィルム15の所定位置にくぼみ13が下側になるように配設して固定する。上記と同様に面材21又は透明支持フィルム15の幅方向中央に1つだけ設けることが好ましい。また、短尺タイプの凹型の光透過領域11を用いる場合には、面材21又は透明支持フィルム15の幅方向中央に、かつ長さ方向に所定間隔で複数個設けることが好ましい。面材21の代わりに透明支持フィルム15を用いることにより、長尺研磨領域を作製した後に、前記くぼみ13を有する面側に透明支持フィルムを積層する工程を省略することができるため製造効率の観点で好ましい。
【0077】
使用する面材は特に制限されず、例えば、紙、布、不織布、及び樹脂フィルムなどが挙げられるが、特に耐熱性を有すると共に可とう性を有する樹脂フィルムであることが好ましい。
【0078】
面材を形成する樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリイミド、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、ポリフルオロエチレンなどの含フッ素樹脂、ナイロン、セルロースなどを挙げることができる。
【0079】
面材の厚さは特に制限されないが、強度や巻き取り等の観点から20〜200μm程度であることが好ましい。また、面材の幅も特に制限されないが、要求される長尺研磨領域の大きさを考慮すると60〜250cm程度であることが好ましい。
【0080】
なお、面材の表面には離型処理が施されていることが好ましい。これにより、長尺研磨領域を作製した後に面材の剥離操作を容易に行うことができる。
【0081】
その後、スペーサー及び光透過領域10、又は凹型の光透過領域11を配設していない面材21又は透明支持フィルム15上に前記気泡分散ウレタン組成物17をミキシングヘッド20の吐出ノズルから連続的に吐出する。面材21又は透明支持フィルム15の移動速度や気泡分散ウレタン組成物17の吐出量は、長尺研磨領域の厚さ及び面積を考慮して適宜調整する。
【0082】
その後、吐出した前記気泡分散ウレタン組成物17上に面材21を積層し、厚さを均一に調整しつつ気泡分散ウレタン組成物17を硬化させることによりポリウレタン発泡体からなる長尺研磨領域9を作製する。厚さを均一に調整する手段としては、例えば、ニップロール、コーターロールなどのロール23、ドクターブレードなどが挙げられる。また、気泡分散ウレタン組成物17の硬化は、例えば、厚さを均一に調整した後に、コンベア上に設けられた加熱オーブン(図示せず)内を通過させることにより行われる。加熱温度は40〜100℃程度であり、加熱時間は5〜10分程度である。
【0083】
その後、一体成形された光透過領域及び長尺研磨領域から面材を剥離し、第1及び第3の本発明の製造方法の場合には長尺研磨領域からスペーサーを剥離する。
【0084】
得られた光透過領域及び長尺研磨領域は、例えば、裁断機により数メートルの反物状に裁断される。長さは使用する研磨装置に応じて適宜調整されるが、通常5〜15m程度であり、好ましくは7〜10mである。なお、面材を剥離する前にポストキュアしてもよく、面材を剥離した後にポストキュアしてもよいが、通常面材と研磨領域とは熱収縮率が異なるため、研磨領域の変形を防止する観点から面材を剥離した後にポストキュアすることが好ましい。ポストキュア後、長さを調整するため及び厚みを均一にするために長尺研磨領域の端部を裁断除去してもよい。
【0085】
前記ポリウレタン発泡体の平均気泡径は、30〜80μmであることが好ましく、より好ましくは30〜60μmである。この範囲から逸脱する場合は、研磨速度が低下したり、研磨後の被研磨材(ウエハ)のプラナリティ(平坦性)が低下する傾向にある。
【0086】
前記ポリウレタン発泡体の比重は、0.5〜1.3であることが好ましい。比重が0.5未満の場合、研磨領域の表面強度が低下し、被研磨材のプラナリティが低下する傾向にある。また、1.3より大きい場合は、研磨領域表面の気泡数が少なくなり、プラナリティは良好であるが、研磨速度が低下する傾向にある。
【0087】
前記ポリウレタン発泡体の硬度は、アスカーD硬度計にて、45〜70度であることが好ましい。アスカーD硬度が45度未満の場合には、被研磨材のプラナリティが低下し、また、70度より大きい場合は、プラナリティは良好であるが、被研磨材のユニフォーミティ(均一性)が低下する傾向にある。
【0088】
長尺研磨領域の被研磨材と接触する研磨表面は、スラリーを保持・更新するための凹凸構造を有することが好ましい。発泡体からなる研磨領域は、研磨表面に多くの開口を有し、スラリーを保持・更新する働きを持っているが、研磨表面に凹凸構造を形成することにより、スラリーの保持と更新をさらに効率よく行うことができ、また被研磨材との吸着による被研磨材の破壊を防ぐことができる。凹凸構造は、スラリーを保持・更新する形状であれば特に限定されるものではなく、例えば、X溝、XY格子溝、同心円状溝、貫通孔、貫通していない穴、多角柱、円柱、螺旋状溝、偏心円状溝、放射状溝、及びこれらの溝を組み合わせたものが挙げられる。また、これらの凹凸構造は規則性のあるものが一般的であるが、スラリーの保持・更新性を望ましいものにするため、ある範囲ごとに溝ピッチ、溝幅、溝深さ等を変化させることも可能である。
【0089】
長尺研磨領域の厚みは特に限定されるものではないが、通常0.8〜4mm程度であり、1〜2.5mmであることが好ましい。
【0090】
また、長尺研磨領域の厚みバラツキは100μm以下であることが好ましい。厚みバラツキが100μmを越えるものは、長尺研磨領域が大きなうねりを持ったものとなり、被研磨材に対する接触状態が異なる部分ができ、研磨特性に悪影響を与える。また、長尺研磨領域の厚みバラツキを解消するため、一般的には、研磨初期に研磨表面をダイヤモンド砥粒を電着、融着させたドレッサーを用いてドレッシングするが、上記範囲を超えたものは、ドレッシング時間が長くなり、生産効率を低下させるものとなる。
【0091】
長尺研磨領域の厚みバラツキを抑える方法としては、その表面をバフ機でバフィングする方法が挙げられる。なお、バフィングする際には、粒度などが異なる研磨材で段階的に行うことが好ましい。
【0092】
その後、長尺研磨領域のスペーサーを剥離した面側又は光透過領域のくぼみを有する面側に透明支持フィルムを積層して、光透過領域と透明支持フィルムとの間に空間部18を有する長尺研磨層を作製する。
【0093】
前記長尺研磨領域9に透明支持フィルム15を積層する手段としては、例えば、長尺研磨領域9と透明支持フィルム15とを両面テープ19で挟みプレスする方法、長尺研磨領域9の上記面側に接着剤を塗布して透明支持フィルム15を貼り合わせる方法などが挙げられる。ただし、透明支持フィルム15上の空間部18に対応する部分には両面テープ19や接着剤は設けないことが必要である。
【0094】
長尺研磨層の長さや幅は、使用する研磨装置に応じて適宜調整することができるが、長さは通常5〜15m程度であり、幅は通常60〜250cm程度である。
【0095】
本発明の長尺研磨パッドは、前記長尺研磨層とクッションシート(クッション層)とを貼り合わせたものであってもよい。
【0096】
前記クッションシートは、研磨層の特性を補うものである。クッションシートは、CMPにおいて、トレードオフの関係にあるプラナリティとユニフォーミティの両者を両立させるために必要なものである。プラナリティとは、パターン形成時に発生する微小凹凸のあるウエハを研磨した時のパターン部の平坦性をいい、ユニフォーミティとは、ウエハ全体の均一性をいう。発泡体シートの特性によって、プラナリティを改善し、クッションシートの特性によってユニフォーミティを改善する。本発明の長尺研磨パッドにおいては、クッションシートは研磨領域より柔らかいものを用いることが好ましい。
【0097】
前記クッションシートとしては、例えば、ポリエステル不織布、ナイロン不織布、アクリル不織布などの繊維不織布やポリウレタンを含浸したポリエステル不織布のような樹脂含浸不織布、ポリウレタンフォーム、ポリエチレンフォームなどの高分子樹脂発泡体、ブタジエンゴム、イソプレンゴムなどのゴム性樹脂、感光性樹脂などが挙げられる。
【0098】
長尺研磨層とクッションシートとを貼り合わせる手段としては、例えば、長尺研磨層とクッションシートとを両面テープで挟みプレスする方法が挙げられる。
【0099】
本発明の長尺研磨パッドは、長尺研磨層又はクッション層のプラテンと接着する面側に両面テープが設けられていてもよい。
【0100】
半導体デバイスは、前記長尺研磨パッドを用いて半導体ウエハの表面を研磨する工程を経て製造される。半導体ウエハとは、一般にシリコンウエハ上に配線金属及び酸化膜を積層したものである。半導体ウエハの研磨方法、研磨装置は特に制限されず、例えば、下記方法により研磨される。
【0101】
図8は、ウェブ型の研磨装置を用いて半導体ウエハを研磨する方法を示す概略図である。最初に長尺研磨パッド8は主に供給ロール24aに巻きつけられている。そして、多数の半導体ウエハ4が研磨されると使用済領域の研磨パッドは、回収ロール24bによって巻き取られ、それに伴い未使用領域の研磨パッドが供給ロール24aから送り出される。
【0102】
図9は、直線型の研磨装置を用いて半導体ウエハを研磨する方法を示す概略図である。長尺研磨パッド8は、ロール25の周りを回転するようにベルト状に配置されている。そして、直線的に動いている研磨パッド上で半導体ウエハ4が次々に研磨される。
【0103】
図10は、往復型の研磨装置を用いて半導体ウエハを研磨する方法を示す概略図である。長尺研磨パッド8は、ロール25間を往復するようにベルト状に配置されている。そして、左右に往復運動している研磨パッド上で半導体ウエハ4が次々に研磨される。
【0104】
なお、図中には示していないが、通常上記研磨装置は、長尺研磨パッドを支持する研磨定盤(プラテン)、半導体ウエハを支持する支持台(ポリシングヘッド)、ウエハへの均一加圧を行うためのバッキング材、及び研磨剤(スラリー)の供給機構を備えている。研磨定盤と支持台とは、それぞれに支持された長尺研磨パッドと半導体ウエハとが対向するように配置され、支持台は回転軸を備えている。研磨に際しては、支持台を回転させつつ半導体ウエハを長尺研磨パッドに押し付け、スラリーを供給しながら研磨を行う。スラリーの流量、研磨荷重、及びウエハ回転数などは特に制限されず、適宜調整して行われる。
【0105】
これにより半導体ウエハの表面の突出した部分が除去されて平坦状に研磨される。その後、ダイシング、ボンディング、パッケージング等することにより半導体デバイスが製造される。半導体デバイスは、演算処理装置やメモリー等に用いられる。
【実施例】
【0106】
以下、本発明を実施例を上げて説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0107】
実施例1
70℃に温度調整したイソシアネート末端プレポリマー(ユニロイアル社製、アジプレンL−325)100重量部、シリコン系界面活性剤(東レダウコーニングシリコーン社製、SH−192)3重量部を容器内に加えて混合し、80℃に調整して減圧脱泡した。その後、2軸ミキサーを用いて、回転数900rpmで容器内に気泡を取り込むように激しく約4分間撹拌を行った。そこへ予め120℃に溶融した4,4’−メチレンビス(o−クロロアニリン)(イハラケミカル社製、キュアミンMT)26.2重量部を添加し、該混合液を約70秒間撹拌して気泡分散ウレタン組成物を調製した。
【0108】
80℃に温度調整したイソシアネート末端プレポリマー(日本ポリウレタン社製、C−2612)70重量部、トリメチロールプロパン9重量部、及び数平均分子量650のポリテトラメチレンエーテルグリコール21重量部を混合し、脱泡して光透過領域形成材料を調製した。該光透過領域形成材料を長尺モールド(内部幅80cm、内部長さ520cm、内部高さ30mm)へ流し込んだ。材料の流動性がなくなった時点でオーブン内に入れ、100〜105℃で12時間ポストキュアを行い、無発泡シートを得た。次に、バフ機(アミテック社製)を使用して、厚さ0.6mmになるまで該シートの表面バフ処理をし、厚み精度を整えたシートとした。そして、該無発泡シートをスリッターで裁断し、長尺光透過領域(長さ520cm、幅10mm、厚さ0.6mm)を多数作製した。
【0109】
長尺モールド(内部幅80cm、内部長さ520cm、内部高さ30mm)の幅方向中央にテフロン(登録商標)製長尺スペーサー(長さ520cm、幅10mm、厚さ0.5mm)を配置して両面テープで固定した。そして、該スペーサーの上に前記長尺光透過領域を配置して両面テープで固定した。
【0110】
そして、前記長尺スペーサー及び長尺光透過領域を配設していない長尺モールド上に前記気泡分散ウレタン組成物を吐出し、約10分間静置した。その後、80〜85℃に温度調節したオーブン中に該長尺モールドを12時間入れて気泡分散ウレタン組成物を硬化させて長尺研磨領域を形成した。その後、長尺モールドを離型して、長尺研磨領域からテフロン(登録商標)製長尺スペーサー及び両面テープを剥離した。次に、バフ機(アミテック社製)を使用して長尺研磨領域の表面をバフ処理して厚みを1.1mmに調整した。そして、該長尺研磨領域の表面に溝加工機(東邦鋼機社製)を用いてX溝加工を施した。その後、長尺研磨領域の溝加工面と反対側の面にラミ機を使用して、両面テープ(積水化学工業社製、#5782W)を貼りつけた。そして、長尺光透過領域に対応する位置の前記両面テープをNTカッターで切り取った。そして、ラミ機を使用して前記両面テープに透明支持フィルム(東洋紡社製、E5001、PETフィルム、厚さ75μm)を貼り合わせて長尺研磨パッドを作製した。
【0111】
実施例2
80℃に温度調整したイソシアネート末端プレポリマー(日本ポリウレタン社製、C−2612)70重量部、トリメチロールプロパン9重量部、及び数平均分子量650のポリテトラメチレンエーテルグリコール21重量部を混合し、脱泡して光透過領域形成材料を調製した。該光透過領域形成材料を長尺モールド(内部幅80cm、内部長さ520cm、内部高さ30mm)へ流し込んだ。材料の流動性がなくなった時点でオーブン内に入れ、100〜105℃で12時間ポストキュアを行い、無発泡シートを得た。次に、バフ機(アミテック社製)を使用して、厚さ1.1mmになるまで該シートの表面バフ処理をし、厚み精度を整えたシートとした。そして、溝加工機(テクノ社製)を用いて無発泡シートの全面に溝幅6mm、溝長さ520cm、溝ピッチ10mm、溝深さ0.5mmの溝を形成した。その後、凸部の中央に沿って全て裁断してくぼみ(幅6mm、深さ0.5mm)を有する凹型の長尺光透過領域(長さ520cm、幅10mm、厚さ1.1mm)を多数作製した。
【0112】
長尺モールド(内部幅80cm、内部長さ520cm、内部高さ30mm)の幅方向中央に前記長尺光透過領域をくぼみが下側になるように配置して両面テープで固定した。
【0113】
そして、前記長尺光透過領域を配設していない長尺モールド上に前記気泡分散ウレタン組成物を吐出し、約10分間静置した。その後、80〜85℃に温度調節したオーブン中に該長尺モールドを12時間入れて気泡分散ウレタン組成物を硬化させて長尺研磨領域を形成した。その後、長尺モールドを離型して、長尺研磨領域から両面テープを剥離した。次に、バフ機(アミテック社製)を使用して長尺研磨領域の表面をバフ処理して厚みを1.1mmに調整した。そして、該長尺研磨領域の表面に溝加工機(東邦鋼機社製)を用いてX溝加工を施した。その後、長尺研磨領域の溝加工面と反対側の面にラミ機を使用して、両面テープ(積水化学工業社製、#5782W)を貼りつけた。そして、くぼみに対応する位置の前記両面テープをNTカッターで切り取った。そして、ラミ機を使用して前記両面テープに透明支持フィルム(東洋紡社製、E5001、PETフィルム、厚さ75μm)を貼り合わせて長尺研磨パッドを作製した。
【0114】
実施例3
(メカニカルフロス法による気泡分散ウレタン組成物の調製)
イソシアネート末端プレポリマー(ユニロイアル社製、アジプレンL−325)100重量部、シリコン系界面活性剤(東レダウコーニングシリコーン社製、SF2938F)3重量部を混合して80℃に温度調節した混合物と、120℃に溶融した4,4’−メチレンビス(o−クロロアニリン)(イハラケミカル社製、イハラキュアミンMT)26.2重量部とを吐出前に混合チャンバー内で混合し、同時に空気を該混合物中に機械的に撹拌することにより分散させて気泡分散ウレタン組成物を調製した。
【0115】
実施例1で作製した長尺光透過領域と前記テフロン(登録商標)製長尺スペーサーとを両面テープで貼り合わせ、さらに該スペーサーの片面に両面テープを貼り合わせて積層部材を得た。
【0116】
ポリエチレンテレフタレート(PET)からなる面材(厚さ50μm、幅100cm)を送り出しつつ、該面材の中央部に前記積層部材を連続的に貼り合わせて、長尺スペーサーと長尺光透過領域とを積層状態で連続的に配設した。その後、積層部材を配設していない面材上に前記気泡分散ウレタン組成物をミキシングヘッドから連続的に吐出した。そして、PETからなる別の面材(厚さ50μm、幅100cm)で気泡分散ウレタン組成物を覆い、ニップロールを用いて厚さを均一に調整した。その後、80〜85℃に加熱することにより該組成物を硬化させてポリウレタン発泡体からなる長尺研磨領域を作製した。その後、該長尺研磨領域を520cmの長さで裁断し、面材、長尺スペーサー及び両面テープを剥離し、80℃で6時間ポストキュアして長尺研磨領域と長尺光透過領域とからなる長尺研磨シートを得た。次に、バフ機(アミテック社製)を使用して長尺研磨領域の表面をバフ処理して厚みを1.1mmに調整した。そして、該長尺研磨領域の表面に溝加工機(東邦鋼機社製)を用いてX溝加工を施した。その後、長尺研磨領域の溝加工面と反対側の面にラミ機を使用して、両面テープ(積水化学工業社製、#5782W)を貼りつけた。そして、長尺光透過領域に対応する位置の前記両面テープをNTカッターで切り取った。そして、ラミ機を使用して前記両面テープに透明支持フィルム(東洋紡社製、E5001、PETフィルム、厚さ75μm)を貼り合わせて長尺研磨パッドを作製した。
【図面の簡単な説明】
【0117】
【図1】CMP研磨で使用する研磨装置の一例を示す概略構成図
【図2】本発明の長尺研磨パッドの断面の一例を示す概略図
【図3】本発明の長尺研磨パッドの断面の一例を示す概略図
【図4】所定間隔でくぼみを多数形成した樹脂シートの例を示す概略図
【図5】樹脂シートを幅方向で切断した際の断面の一例を示す概略図
【図6】本発明の長尺研磨パッドの製造工程を示す概略図
【図7】本発明の長尺研磨パッドの製造工程を示す概略図
【図8】ウェブ型の研磨装置を用いて半導体ウエハを研磨する方法を示す概略図
【図9】直線型の研磨装置を用いて半導体ウエハを研磨する方法を示す概略図
【図10】往復型の研磨装置を用いて半導体ウエハを研磨する方法を示す概略図
【符号の説明】
【0118】
1:研磨パッド
2:研磨定盤
3:研磨剤(スラリー)
4:被研磨材(半導体ウエハ)
5:支持台(ポリシングヘッド)
6、7:回転軸
8:長尺研磨パッド
9:長尺研磨領域
10:光透過領域
11:凹型の光透過領域
12:樹脂シート
13:くぼみ
14:切断位置
15:透明支持フィルム
16:長尺モールド
17:気泡分散ウレタン組成物
18:空間部
19:両面テープ(接着層)
20:ミキシングヘッド
21:面材
22:コンベア
23、25:ロール
24a:供給ロール
24b:回収ロール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機械発泡法により気泡分散ウレタン組成物を調製する工程、長尺モールド内にスペーサーと光透過領域とを積層状態で配設する工程、前記スペーサー及び光透過領域を配設していない領域に前記気泡分散ウレタン組成物を吐出し、該気泡分散ウレタン組成物を硬化させてポリウレタン発泡体からなる長尺研磨領域を作製する工程、前記長尺研磨領域からスペーサーを剥離する工程、及び前記長尺研磨領域のスペーサーを剥離した面側に透明支持フィルムを積層して、光透過領域と透明支持フィルムとの間に空間部を有する長尺研磨層を作製する工程を含む長尺研磨パッドの製造方法。
【請求項2】
スペーサー及び光透過領域は、長尺タイプである請求項1記載の長尺研磨パッドの製造方法。
【請求項3】
スペーサーの幅は、光透過領域の幅以下である請求項1又は2記載の長尺研磨パッドの製造方法。
【請求項4】
光透過領域の厚さは、長尺研磨領域の厚さの50〜90%である請求項1〜3のいずれかに記載の長尺研磨パッドの製造方法。
【請求項5】
機械発泡法により気泡分散ウレタン組成物を調製する工程、長尺モールド内に凹型の光透過領域をくぼみが下側になるように配設する工程、前記光透過領域を配設していない領域に前記気泡分散ウレタン組成物を吐出し、該気泡分散ウレタン組成物を硬化させてポリウレタン発泡体からなる長尺研磨領域を作製する工程、及び前記光透過領域のくぼみを有する面側に透明支持フィルムを積層して、光透過領域と透明支持フィルムとの間に空間部を有する長尺研磨層を作製する工程を含む長尺研磨パッドの製造方法。
【請求項6】
光透過領域は、長尺タイプである請求項5記載の長尺研磨パッドの製造方法。
【請求項7】
くぼみの深さは、光透過領域の厚さの10〜50%である請求項5又は6記載の長尺研磨パッドの製造方法。
【請求項8】
メカニカルフロス法により気泡分散ウレタン組成物を調製する工程、面材を送り出しつつ、該面材の内部にスペーサーと光透過領域とを積層状態で配設する工程、スペーサー及び光透過領域を配設していない前記面材上に前記気泡分散ウレタン組成物を連続的に吐出する工程、吐出した前記気泡分散ウレタン組成物上に別の面材を積層する工程、厚さを均一に調整しつつ気泡分散ウレタン組成物を硬化させてポリウレタン発泡体からなる長尺研磨領域を作製する工程、前記長尺研磨領域から面材及びスペーサーを剥離する工程、及び前記長尺研磨領域のスペーサーを剥離した面側に透明支持フィルムを積層して、光透過領域と透明支持フィルムとの間に空間部を有する長尺研磨層を作製する工程を含む長尺研磨パッドの製造方法。
【請求項9】
スペーサー及び光透過領域は、長尺タイプである請求項8記載の長尺研磨パッドの製造方法。
【請求項10】
スペーサーの幅は、光透過領域の幅以下である請求項8又は9記載の長尺研磨パッドの製造方法。
【請求項11】
光透過領域の厚さは、長尺研磨領域の厚さの50〜90%である請求項8〜10のいずれかに記載の長尺研磨パッドの製造方法。
【請求項12】
メカニカルフロス法により気泡分散ウレタン組成物を調製する工程、面材を送り出しつつ、該面材の内部に凹型の光透過領域をくぼみが下側になるように配設する工程、前記光透過領域を配設していない前記面材上に前記気泡分散ウレタン組成物を連続的に吐出する工程、吐出した前記気泡分散ウレタン組成物上に別の面材を積層する工程、厚さを均一に調整しつつ気泡分散ウレタン組成物を硬化させてポリウレタン発泡体からなる長尺研磨領域を作製する工程、前記長尺研磨領域から面材を剥離する工程、及び前記光透過領域のくぼみを有する面側に透明支持フィルムを積層して、光透過領域と透明支持フィルムとの間に空間部を有する長尺研磨層を作製する工程を含む長尺研磨パッドの製造方法。
【請求項13】
メカニカルフロス法により気泡分散ウレタン組成物を調製する工程、透明支持フィルムを送り出しつつ、該透明支持フィルムの内部に凹型の光透過領域をくぼみが下側になるように配設する工程、前記光透過領域を配設していない前記透明支持フィルム上に前記気泡分散ウレタン組成物を連続的に吐出する工程、吐出した前記気泡分散ウレタン組成物上に面材を積層する工程、厚さを均一に調整しつつ気泡分散ウレタン組成物を硬化させてポリウレタン発泡体からなる長尺研磨領域を形成し、光透過領域と透明支持フィルムとの間に空間部を有する長尺研磨層を作製する工程、及び前記長尺研磨領域から面材を剥離する工程を含む長尺研磨パッドの製造方法。
【請求項14】
光透過領域は、長尺タイプである請求項12又は13記載の長尺研磨パッドの製造方法。
【請求項15】
くぼみの深さは、光透過領域の厚さの10〜50%である請求項12〜14のいずれかに記載の長尺研磨パッドの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−101089(P2008−101089A)
【公開日】平成20年5月1日(2008.5.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−284048(P2006−284048)
【出願日】平成18年10月18日(2006.10.18)
【出願人】(000003148)東洋ゴム工業株式会社 (2,711)
【Fターム(参考)】