説明

長距離道路トンネル用換気制御システム

【課題】 省電力化を可能とし、制御信号に含まれるサージを抑えたインバータ制御によるジェットファン運転を可能とした縦流換気システムを提供する。
【解決手段】 複数のジェットファン110が設置される長距離道路トンネル用換気制御システム100である。長距離道路トンネル200内に適正間隔で複数のジェットファン110配設されている。制御部130、変電設備140、インバータ150をトンネル入口または出口に配設し、ケーブル160を敷設する。すべてのジェットファン110に対してインバータ150によりケーブル160を介して同一の可変周波数電力を供給し、一体的にインバータ駆動する。インバータ150を入口および出口の2カ所に設置し、入口側のジェットファン110と、出口側のジェットファン110に分けてインバータ駆動したり、n台のインバータによりジェットファン110をn系統のグループに分けて制御することも可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、長距離道路トンネル用の換気制御システム、特に複数のジェットファンをトンネル内に設置した縦流換気方式による長距離道路トンネルの換気技術に関する。
【背景技術】
【0002】
道路トンネルにおいては、人体に対して有害な自動車のエンジンからの排出物質や塵埃などが浮遊しており、そのままではトンネル内の汚染物質濃度が高まってゆく。そこで、トンネル内の良好な環境を確保するためトンネル内の汚染物質を排気する必要がある。トンネル内の汚染物質を排気するには自然換気力や交通換気力による換気では不十分であり、トンネル内に設置された換気機を用いた強制換気が行われている。
【0003】
「縦流換気方式」とは、トンネル断面全体を換気ダクトとして利用する方式の換気方式であり、用いる換気装置としては、道路トンネル内の空気をトンネル外に押し出すジェットファン、道路トンネル内の空気を浄化する電気集塵機などがあり、適切にこれらを組み合わせてトンネルの入口から出口に向かう空気流を形成して排気する。道路トンネルの中央付近に立抗を設けて道路トンネル内の空気を道路トンネル外の空気と交換する集中排気方式を組み合わせることもある。 従来の「縦流換気方式」でのジェットファンモータは起動電流が定格電流の数倍の誘導モータである。
短いトンネルであればジェットファンをトンネル入口か出口の1カ所に配設する構成例もあるが、長距離トンネルであれば、複数台のジェットファンを複数個所に配設することとなる。
【0004】
従来の一般的なジェットファンを用いた縦流換気方式の対面通行道路トンネルを図28に示す。このトンネル200は、交通方向が両方向の対面通行トンネルと呼ばれるタイプである。このような対面通行道路トンネル200では、内部に縦流方向の換気を行なうジェットファンが複数台配設されている。図28の例ではジェットファン10a、10b、10c、10dの4台が描かれている。長距離のトンネルであればさらに多くの台数のジェットファンを稼働することがあるが、この例では4台としている。
図28において、対面通行道路トンネル内200には図右から図左にかけて縦流の空気流Aが発生し、右から左方向にトンネル内の汚染空気が排気される。換気制御装置によりジェットファンの運転を制御する。
【0005】
従来の縦流換気方式によるジェットファンを用いた換気制御は、台数ごとにオンオフを切り替えて運転する台数制御が基本である。
図28の例ではトンネル200内の入口近く、中央部近く、出口近くの各場所に風向風速計(AV)がそれぞれ設置されており、排気抗の入口近くには、汚染濃度計である煙霧透過率計(VI計)、一酸化炭素濃度計(CO計)が設置されている(図示せず)。ここで、煙霧透過率計(VI計)は物質中を透過する光の割合から汚染濃度を計測する装置であり、また、一酸化炭素濃度計(CO計)は一酸化炭素の濃度を測定する装置である。交通量計測装置は対面通行道路トンネル200内を通過する車の交通量を計測する装置である。このように対面通行道路トンネル200内部には、例えば、煤煙、一酸化炭素、交通量、風向風速等の環境成分値を測定する環境成分測定器が設置されている。
【0006】
従来のジェットファンを用いた縦流換気方式では、対面通行道路トンネル200内部の風向風速計、煙霧透過率計、一酸化炭素濃度計、交通量計測装置から得られた各種環境成分値に基づいて、換気制御装置(図示せず)により対面通行道路トンネル200内部に設置されたジェットファン10a〜10dの運転台数を調整することが行われている。すなわち、トンネル内に設置している各種センサ類の計測結果などに基づいて、必要な換気量を確保するのに必要な台数だけジェットファン10a〜10dを運転し、これによって汚染物質濃度を予め設定されている許容値以下にして、トンネル利用者の安全性、快適性を確保している。
このように、従来の対面通行トンネルでは費用対効果からジェットファンの運転台数をオンオフで切り替えることにより、台数運転制御を行っている。
【0007】
【特許文献1】特開2004−19250号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来の縦流換気方式には以下の問題があった。
第1の問題は、従来のジェットファンを用いた台数制御の換気方式では電力量が大きくなってしまうという問題である。従来の対面通行トンネルでは費用対効果から台数運転が採用されてきた。
図29は、従来のジェットファンの台数運転時における、ジェットファン全体の吹き出し風速とジェットファン全体の消費電力との関係を示す図である。ジェットファンを台数運転しつつ、トンネル内に必要となるジェットファンの吹き出し風速を得るためには、図29に示すようなジェットファンの稼働台数を確保する必要があり、ジェットファン全体の消費電力は階段状に変化するものとなってしまい、ジェットファン全体の消費電力量が最適なものとならないという問題があった。
また、トンネル内に設置したセンサ類の計測値を基にしたフィードバックによる後追い制御となると過剰換気、換気不足となるケースが多いのが実情である。つまり、対面通行トンネルの縦流換気方式は一定せず複雑な交通換気力や自然風の影響でVI値やCO値が変動しやすいため換気制御が頻繁に変更されるため換気制御電力量が大きくなってしまうという問題がある。
交通換気力については、対面通行トンネルでは走行車両による換気力は期待できず、逆に換気上の抵抗として考えられる場合が多かった。また、VI、COのフィードバックが主流ということで交通量計なども設置されず交通換気力を把握できない場合が多かった。
自然風は換気方向に対して順風であったり、逆風であったりするため、換気動力費に大きな影響を与えることは知られていたが、トンネル周辺の気象状況によって風向や風速が常に変化しているため、自然換気力の積極的な利用は困難であり、あくまで機械換気が主で自然風は従と考えられてきた。こうして補助的に利用する場合も、自然風の把握には、トンネル両坑口に微気圧計を設置する必要があり、初期費用ならびに保守費用が増大するという問題があった。
【0009】
第2の問題は、トンネルのように制御信号や電力を長距離伝送する場合、信号や電力波形に高電圧のサージが増大するという問題である。通常の一般の駆動制御においてもサージという問題は知られているが、通常の一般の駆動制御では制御対象が比較的近い場合が殆どである。しかし、トンネルという制約された特殊な空間においてジェットファンを駆動するため、制御信号や電力を長距離に伝送するという特殊な環境が生じる。そのため信号送出端と制御要素の間にインピーダンス整合がとりにくくなり、信号や電力に高電圧のサージが増大するという問題が発生する。サージは正常駆動電圧の約2倍の高電圧成分を含むため、絶縁破壊や機能劣化などの影響を与えてしまう。特に、トンネルが長距離になればジェットファンに対する制御信号や電力の長距離伝送が必要となり、サージの問題が大きくなる。
【0010】
上記問題点に鑑み、本発明は、省電力化を可能とし、制御信号や電力に発生するサージを抑えたインバータ制御によるジェットファン運転を可能としたトンネル換気制御システムを提供することを目的とする。
また、本発明は、上記トンネル換気制御システムの一形態として、インバータと複数のジェットファンを接続する構成においてケーブル敷設量の節約、ケーブル敷設作業の省力化ができる構成を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本発明にかかるトンネル換気制御システムは、
複数のジェットファンが設置される長距離道路トンネル用換気制御システムであって、
前記長距離道路トンネル内に適正間隔で配設された複数のジェットファンと、
複数の前記ジェットファンを駆動制御するインバータを備え、
前記インバータにより前記複数のジェットファンに対してケーブルを介して同一の可変周波数電力を供給し、一体的にインバータ駆動することを特徴とするものである。
上記構成により、長距離トンネル内に適正間隔をおいて配設された複数のジェットファンに対して同一の可変周波数電力を供給し、全てのジェットファンを一つの共通した可変周波数電力にてインバータ駆動することにより全てのジェットファン回転数を揃えて運転することができ、長距離トンネル全体にわたり一体的にインバータ駆動することができる。
ここで、ジェットファンの回転数はインバータに供給される電力周波数に比例し、ジェットファン全体の吹き出し風速はジェットファンの回転数に比例する。また、ジェットファンの推力はジェットファン全体の吹き出し風速の2乗に比例し、ジェットファン全体の消費電力はジェットファン全体の吹き出し風速の3乗に比例する。そのため、従来のジェットファンの台数運転によるジェットファン全体の消費電力と、ジェットファンのインバータ運転によるジェットファン全体の消費電力を図示すれば図1のようになる。図1に示すように、トンネル内に求められるジェットファン全体の吹き出し風速Fに対して、従来のジェットファンの台数運転によるジェットファン全体の消費電力P0は階段状に変化するが、本発明のインバータ運転によるジェットファン全体の消費電力P1は、ジェットファン全体の吹き出し風速Fの3乗に比例した曲線となる。このP0とP1の差分が従来技術と比較した本発明の省エネ効果として捉えることができる。
【0012】
次に、長距離道路トンネルに適正間隔をもって配設されている複数のジェットファンに対してケーブルを介して同一の可変周波数電力を供給する方式として下記に示す構成がある。
【0013】
第1のインバータ可変周波数電力は、変電設備およびインバータを前記長距離道路トンネルの入口付近または出口付近の1カ所に設置し、当該インバータにより複数の前記ジェットファンを一体的にインバータ駆動する方式である。
トンネルという制約された特殊な空間では変電設備やインバータを設置する場所が確保しにくいため、変電設備およびインバータを長距離道路トンネルの入口付近または出口付近の1カ所に設置すれば大きなインバータであっても設置できる。なおこの場合、ジェットファンを駆動するためにインバータ可変周波数電力を長距離に伝送するという特殊な環境が生じることとなるが後述するようにサージ発生を抑える工夫を行う。
【0014】
次に、第2のインバータ可変周波数電力供給方式は、変電設備およびインバータを前記長距離道路トンネルの入口付近と、出口付近の2か所に設置し、前記入口付近の前記インバータと前記出口付近の前記インバータが連動してそれぞれ同一の周波数を前記ジェットファンに供給する連動手段を備えるとともに、前記入口付近に設置した前記インバータにより、前記入口近くに配設された複数の前記ジェットファンを一体的にインバータ駆動し、前記出口付近に設置した前記インバータにより、前記出口近くに配設された複数の前記ジェットファンを一体的にインバータ駆動する方式である。
つまり、第2のインバータ可変周波数電力供給方式では、長距離道路トンネルの入口付近と出口付近の2か所に変電設備およびインバータを設置するものである。長距離のトンネルとなると3000mを超えるものも多く、全てのジェットファンをトンネルの入口か出口の一方から制御するのではなく、長距離道路トンネルの入口付近と出口付近の2方向からジェットファンを制御する方式である。
【0015】
次に、第3のインバータ可変周波数電力供給方式は、複数系統化して供給する方式である。例えば、前記ジェットファンがn系統にグループ分けされており、各々の前記ジェットファンのグループを制御する前記インバータが1台ずつ定められた構成であり、n台の前記インバータによる前記n系統のジェットファンの制御を行う方式である。具体的には、インバータを前記長距離道路トンネルの入口付近または出口付近の1カ所にn台設置し、前記n台のインバータ同士が連動してそれぞれ同一の周波数を前記ジェットファンに供給する連動手段を備え、前記n台のインバータにより前記n系統のジェットファンを一体的にインバータ駆動する。つまり、n台のインバータによりn系統にてジェットファンを制御するとしてもすべてのジェットファンが同一可変周波数でインバータ駆動されるようにn系統すべてに同一の可変周波数が供給されるようにn台のインバータが連動できるように連動手段を備えているものである。
【0016】
第4のインバータ可変周波数電力供給方式は、複数系統化して供給する方式であるが、入口と出口の2カ所から制御するものである。例えば、ジェットファンがn+m系統にグループ分けされており、各々の前記ジェットファンのグループを制御する前記インバータが1台ずつ定められた構成であり、n+m台の前記インバータによる前記n+m系統のジェットファンの制御を行う方式である。具体的には、インバータを前記長距離道路トンネルの入口付近にn台設置し、出口付近にm台設置し、前記n+m台のインバータ同士が連動してそれぞれ同一の周波数を前記ジェットファンに供給する連動手段を備え、前記入口側に配設された前記n系統のジェットファンと前記出口側に配設された前記m系統のジェットファンを一体的にインバータ駆動する。つまり、n+m台のインバータによりn+m系統にてジェットファンを制御し、すべてのジェットファンが同一可変周波数でインバータ駆動されるようにn+m系統すべてに同一の可変周波数が供給されるようにn+m台のインバータが連動できるように連動手段を備えているものである。
特に、ジェットファンを複数系統に分けて運転する方式を採用することにより、トンネル内に必要な風圧を発生させることができるとともに、故障時や火災時に一部のジェットファンの運転が停止した場合でも他の系統のジェットファンの運転が確保され、ジェットファンの全面停止という事態を回避し、リスク分散を行うことができるというメリットが得られる。例えば、火災時には煙や熱の拡散を防止するために発火点付近のジェットファンを停止するように運用されるが、ジェットファンを複数系統に分けて運転できれば、発火点付近のジェットファンを制御している系統をすみやかに停止し、他の系統のジェットファンの運転により煙と熱を発火点付近に閉じ込めることができるという優れたリスク分散を実現したジェットファン運転が可能となる。
【0017】
なお、上記の第1から第3のインバータ可変周波数電力供給方式において、ケーブルの配線に工夫を加えることができる。
第1のケーブル配線の工夫は、長距離道路トンネル内にある複数のジェットファンに対して同一の可変周波数が供給されるようにケーブルを介してインバータ可変周波数電力を伝達するが、前記インバータから各々の前記ジェットファンに対する前記可変周波数電力の前記ケーブルのうち一部を共用化し、前記ケーブルを前記共用化にかかる幹線と前記幹線以外の支線を備えた構成とすることができる。
上記の第1のケーブル配線の工夫により、トンネル内に配線するケーブルをまとめることができ、配線工事がシンプルになる。
【0018】
第2のケーブル配線の工夫は、長距離道路トンネル用のジェットファンの保全作業時の安全を確保する手元開閉器を収納する手元開閉器箱内に、前記ケーブルの前記幹線と前記支線との分岐部分を設ける工夫である。
上記の第2のケーブル配線の工夫により、トンネルを貫く幹線に対して、ジェットファンの近辺に設けられる手元開閉器箱を利用して支線を引き出す構成とすれば、配線工事がシンプルになる。
【0019】
次に、インバータ可変周波数電力の長距離伝送に際してのサージの問題について述べる。インバータにおいては、制御信号だけでなく、主回路電力の波形がPWM(パルス幅変調方式)による、パルス電力波形になっており、これの長距離伝送においてもサージ発生の問題がある。結果としてジェットファンの駆動モータが絶縁破壊し故障に至る恐れがある。制御信号のサージの問題は、装置の中で対策されたものを選定し、従来から行われてきた公知の技術で工事を行うことで対応が可能である。しかるに、電力回路における可変周波数パルス電力(可変周波数電力と同義語である)のサージ問題の解決方法は一般的にはまだ確立していない。可変周波数パルス電力のサージ問題の本質は、インバータからケーブルを介してジェットファンに供給される前記可変周波数パルス電力の伝送経路において、前記ケーブルとジェットファン駆動モータの特性インピーダンスの不整合によって前記可変周波数パルス電力の電圧波に含まれる高調波が反射し、その反射波がもとの電圧波に重畳して、電圧波の波高値を定格の2倍程度に高めてしまうことである。本発明では、特性インピーダンスの不整合を解消して、高調波の反射を抑制する機能を持つサージ抑制装置を、各々の前記ジェットファンに対する前記ケーブルへの接続点に設けた構成とすることで対応している。長距離道路トンネル内において前記高調波が反射する特性インピーダンスの不整合点は、前記ケーブルとジェットファン駆動モータの接続点であり、ジェットファンに対するケーブルの接続点にサージを抑えるサージ抑制装置を設ける構成とすれば、確実にジェットファンに対してサージが抑えられた良好なインバータ可変周波数電力を供給することができる。具体的には、サージ抑制装置の設置個所として、手元開閉器箱内とする構成が好ましい。手元開閉器箱に幹線から支線の引き出しとサージ抑制装置によるサージの抑制を行う構成とすれば、確実にジェットファンに対してサージが抑えられた良好なインバータ可変周波数電力を供給することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、図面を参照しつつ、本発明のインバータ駆動ジェットファンによるトンネル換気制御システムの実施例を説明する。ただし、本発明の範囲は以下の実施例に示した具体的な用途、形状、個数などには限定されないことは言うまでもない。
なお、以下の各実施例の構成において、道路トンネルの入口側に設けられている構成として説明したものが出口側に設けられていても構わない。また、入口側と出口側の双方に設備等が設けられている例では、入口側の構成と出口側の構成が相互に入れ替わって逆になっても構わない。
以下の実施例の説明では、トンネルは、例えば3000m以上の長距離道路トンネルとして説明する。トンネル内は対面交通となっている例とした。つまり、トンネル内には外界から吹き込む自然風による自然換気力と、通行車両のピストン効果により生じる各車両の通行方向に生じる風圧が合成されて生じる交通風による交通換気力が生じている。ここに、本発明のトンネル換気制御システムによる機械換気力、つまり、ジェットファンの駆動による機械換気力を加えるものである。
【実施例1】
【0021】
実施例1にかかる本発明のトンネル換気制御システムの例を示す。
図2は実施例1にかかるトンネル換気制御システム100のブロック図である。
図3は、インバータ150a〜150dとジェットファン110との個別的な接続構成を分かりやすく模式的に示した図(インバータ個別駆動型)である。
図4は、インバータ150とジェットファン110との一体的な接続構成を分かりやすく模式的に示した図(インバータ一体駆動型)である。
図5はトンネル換気制御システム100の制御部130の構成を中心に見たブロック図である。
【0022】
図2に示すように、トンネル換気制御システム100は、ジェットファン110と、センサ類120と、制御部130と、変電設備140と、インバータ150と、ケーブル160とを備えた構成となっている。
【0023】
ジェットファン110は、トンネル200内の空気を換気する機器であり、誘導モータが組み込まれ、インバータ駆動により運転されるジェットファンである。本発明ではジェットファンの構造などは特に限定されず、インバータ駆動により運転できるものであれば多様なジェットファンを適用することができる。
ジェットファン110は、長距離道路トンネル200内に適切な間隔で配設されている。この構成例では、図示の関係から1セット2台で、4セット配置した例となっているが、トンネルが長距離になればさらに複数のジェットファン110が配設される。
【0024】
図3は、インバータ150とジェットファン110との個別的な接続構成(インバータ個別駆動型)を分かりやすく模式的に示した図である。本発明では、ジェットファン110に対してインバータ150が同一の可変周波数電力を供給する構成となっている。つまり、全てのジェットファン110が同一の可変周波数電力を受けて同一条件にてインバータ駆動するものとなっている。図3の構成ではジェットファン4台に対してインバータも4台あり、ジェットファン110a〜110dが個別のインバータ150a〜150dにより駆動される構成となっている。ここではこの構成を「インバータ個別駆動型」と呼んでいる。
一方、図4は、インバータ150とジェットファン110との一体的な接続構成(インバータ一体駆動型)を分かりやすく模式的に示した図である。図4の構成でも、ジェットファン110に対してインバータ150が同一の可変周波数電力を供給する構成となっており、全てのジェットファン110が同一の可変周波数電力を受けて同一条件にてインバータ駆動するものとなっている。しかし、図4の構成ではジェットファン4台に対してインバータは1台であり、ジェットファン110a〜110dが共通のインバータ150により一体的に駆動される構成となっている。ここではこの構成を「インバータ一体駆動型」と呼んでいる。
図3の構成例でも図4の構成例でも、受電設備210と、変電設備140とインバータ150と制御部130とを収めた換気制御装置220とを併せ持つ電気室230を長距離道路トンネル200の入口付近の1カ所に設置し、このトンネル入口付近に設置された電気室230内の換気制御装置220から全てのジェットファン110に対して同一の周波数を持つ電力を供給し、インバータ駆動する構成となっている。なお、この例では入口付近の1カ所に1台設置したが出口付近の1カ所に1台設置しても構成は同じである。
【0025】
なお、ケーブルに関しては、図3の構成でも図4の構成でも、4つのジェットファン110a,b,c,dに対して換気制御装置220から4本のケーブル160a,b,c,dが並列に出ており、4つのジェットファン110が並列に接続されている構成となっている。
図3以外の他の構成も可能であるが、それら構成はあらためて実施例2以下において適宜説明する。
【0026】
センサ類120は、実測データを収集する各種センサや計測器を備えている。この例では、図5に示すように、トンネル200内の煙霧透過率データと、一酸化炭素濃度データと、断面風速データと、トンネル内の車両交通量データとを含むトンネル内データを計測・収集する部分である。この構成例では、トラフィックカウンタ121、煙霧透過率データ計測器(VI計測器)122、一酸化炭素濃度データ計測器(CO計測器123)、風向風速計(AV計)124を備えている。各センサはトンネル200内に適宜配置されているものでとする。
【0027】
トラフィックカウンタ121は、トンネル200を通過する車両の台数や速度を計測するセンサであり、トンネル200の入口近くまたは出口近くに設置される。トラフィックカウンタ121によりトンネル200を通過する車両に関して必要なデータを得ることができる。
【0028】
煙霧透過率データ計測器122は、レーザー照射部とレーザー受光部を備え、レーザー照射部とレーザー受光部間の空気中を透過するレーザー光の割合から塵などによる汚染濃度を計測する装置である。
【0029】
一酸化炭素濃度データ計測器123は、トンネル200内の一酸化炭素の濃度を測定する装置である。
【0030】
風向風速計124は、縦流換気の流れを計測するために適した位置、例えば、トンネル200の中央部近く及び出口近くに設置されている。
なお、センサ類120の各センサからの計測データは、ケーブル161(図5には図示せず)を通じて制御部130に渡される。
【0031】
制御部130は、センサ類120の計測結果を受け、縦流換気を行うためにトンネル内に必要とされる機械風速を算出し、算出した機械風速を得るためにトンネル内に配設しているジェットファン110の運転回転数を算出し、インバータ150に対してジェットファン110の運転回転数を制御するための周波数を持つ電力を供給するように指示・制御する部分である。
【0032】
制御部130による制御方式は特に限定されない。この実施例の構成は一例である。この構成例では、センサ類120から得られた計測値と、運用や法規制などで定められている目標値との間で行うフィードバック補正制御と予測制御とを行う例となっている。
図5の構成例では、制御部130はフィードバック補正部131を備え、センサ類120でトンネル200内から得た各種検出データに基づいて汚染濃度基準を遵守するためのジェットファン110の回転数のフィードバック制御を行う構成例となっている。
【0033】
また、図5の構成例では、制御部130は、モデル記憶部132、モデルパラメータ推定部133、予測部134を備え、予測制御を行う構成例となっている。
【0034】
モデル記憶部132内に、トンネル200の諸元データに基づいたトンネル200内を流れる風をモデル化した風速モデルと、トンネル200内の車両交通をモデル化した交通モデルと、トンネル200内を通過する車両により発生する汚染物質の濃度をモデル化した汚染濃度モデルを保持記憶する。これら各種モデルが適したものであれば、後述する各種の予測精度が高くなる。
【0035】
モデルパラメータ推定部133は、センサ部110から取得したトンネル内データを入力とし、トンネル200内データの変化に合わせ、モデル記憶部132の風速モデルと交通モデルと汚染濃度モデルのパラメータを推定して更新する部分である。
【0036】
予測部134は、センサ部110から取得したトンネル内データより、風速モデルと交通モデルと汚染濃度モデルを用いて、自然風予測AVnと交通風予測AVtと汚染発生量予測とを行う予測機能を備えた部分であり、自然風予測、交通風予測、汚染発生量予測などが可能となっている。
【0037】
予測部134は、自然風予測手段1341を備えている。自然風予測手段1341は、トンネル外界の自然風の日量変化、週変化、月変化、年変化などの諸データに基づく自然風の予測と当該自然風によりトンネル内に生じる風向風速の予測機能と、トンネル内に吹く風の風向風速からトンネル200内における自然換気力を予測する機能を備えており、トンネル200内の風向風速の実測データと自然風により生じる風向風速の予測データとから所定時間経過後の自然風を予測する部分である。
【0038】
また、予測部134は、交通風予測手段1342を備えている。交通風予測手段1342は、交通量の日量変化、週変化、月変化、年変化などの諸データに基づく交通量の予測機能と、交通量と車種別等価抵抗面積に基づいてトンネル200内で発生する交通風を予測する機能を備え、トラフィックカウンタ111による交通量の実測データと交通量の予測機能から得られた交通量予測データから、所定時間経過後の交通風を予測する。
【0039】
また、予測部134は、汚染発生量予測1343を備えている。汚染発生量予測1343は、トラフィックカウンタ111による交通量の実測データと交通量の予測機能から得られた交通量予測データと、車種別の汚染発生量予測データから所定時間経過後の汚染発生量を予測する。
【0040】
制御部130は、ハイブリッド適用制御部135により、フィードバック補正部131によるフィードバック補正量と、予測部134による予測に基づく自然風予測と対面交通風予測と汚染発生量予測を利用した予測量に基づき、ジェットファン110の回転数を決定する。
【0041】
ここで、受電設備210は、長距離道路トンネル内にはジェットファン110のみならず多数の照明設備や防災設備などがあり大容量の電力を必要とするため、電気事業者から直接、特別高圧ないしは高圧で受電し、施設内の装置向けに変圧して電気を供給する設備である。
変電設備140は、構内配電電圧が高圧の場合、インバータ150に供給するために400Vに降圧するために変圧器を含む。
【0042】
インバータ150は、制御部130が定めたジェットファン110の運転回転数を実現するため、ジェットファン110の運転回転数を制御する可変周波数電力を作り出して供給する装置であり、変電設備140が変圧した電力を一旦、交流/直流変換して直流とした後、制御部130の指定した周波数の交流に変換してケーブル160を介して供給する。
【0043】
ケーブル160は、トンネル内のジェットファン110にまで配線された電力ケーブルであり、各々のジェットファン110に対してインバータ150が創り出した周波数の電力を供給する。
【0044】
次に、本発明の長距離道路トンネル200内におけるトンネル換気制御システム100の接続構成について説明する。
図6はトンネル200内の様子を模式的に示した図である。
トンネル200は、この構成例では長距離道路トンネルとなっており、例えば3000m以上のトンネルなどが想定される。トンネル200内は対面交通となっている。トンネル200内には外界から吹き込む自然風による自然換気力(AVn)と、通行車両のピストン効果により生じる各車両の通行方向に生じる風圧が合成されて生じる交通風による交通換気力(AVt)が生じている。ここにジェットファンのインバータ駆動による機械換気力(AVj)が加わり、長距離道路トンネル200内の縦流換気が実行される。
【0045】
次に、上記構成の本発明のトンネル換気制御システム100の動作や特徴を、従来型のオンオフ制御の誘導モータ駆動によるトンネル換気制御システム200と比較しつつ説明する。
図7は、本発明のインバータ制御によるトンネル換気制御システム100と、従来型のオンオフ型制御によるトンネル換気システムとの動作の違いを分かりやすく説明する図である。
図8は実施例1にかかるトンネル換気制御システム100の処理の流れを示すフローチャートである。
【0046】
まず、ある時刻T1において、センサ部120の各センサであるトラフィックカウンタ121、VI計測器122、CO計測器123、AV計124により、トンネル200内からデータを取得する(図8ステップ1)。トラフィックカウンタ121によりトンネル内を通行中の車両の数、大型車か小型車かという車種の違い、スピード等の種々の車両交通に関するトラフィックデータを取得する。VI計測器122によりトンネル内の煙霧透過率データ、CO計測器123によりトンネル300内の一酸化炭素濃度データ、AV計により風向風速データを得てトンネル300内の汚染レベルの諸データを取得する。
【0047】
センサ類120で得られたトラフィックデータ、煙霧透過率データ、一酸化炭素濃度データは、制御部130のフィードバック補正部131、モデルパラメータ推定部133、予測部134にそれぞれ入力される。
【0048】
予測部134は、センサ部110で得たトラフィックデータ、煙霧透過率データ、一酸化炭素濃度データを基にモデル記憶部132のモデルを用いて、少なくとも、自然風予測、交通風予測、汚染発生量予測の各々の予測データを計算する(図8ステップ2)。例えば、各々10分後の予測データを計算する。
【0049】
自然風予測は予測部134が備える自然風予測手段により行う。例えば、自然風予測手段は現在の時刻より10分後のトンネル外界から吹く自然風によりモデル記憶部132の風速モデルを用いてトンネル内に生じる風向風速を予測し、AV計124より得たトンネル200内の風向風速の現在の実測データと10分後の自然風予測データとから10分後の自然風AVnを予測する。
【0050】
交通風予測は予測部134が備える交通風予測手段により行う。例えば、交通風予測手段は過去の交通量の諸データに基づいて現在の時刻より10分後の交通量を予測し、モデル記憶部132の交通モデルを用いてトンネル200内で発生する交通風を予測し、トラフィックカウンタ121による交通量の実測データと交通量予測データから10分後の交通風AVtを予測する。
【0051】
汚染発生量予測は予測部134が備える汚染発生量予測手段により行う。交通風予測で得た交通量予測データと汚染濃度モデルを用いて汚染発生量予測データを予測し、トラフィックカウンタ121による交通量の実測データと汚染発生量予測データから10分後の汚染発生量を予測する。
【0052】
予測部134による自然風予測AVnと交通風予測AVtと汚染発生量予測を利用し、汚染濃度基準を遵守するための4台のジェットファン110の並列運転の回転数Cを予測する(図8ステップ3)。
例えば、汚染発生量予測により必要なトンネル内の風向風速AVaが決まる。その風向風速に対して予想される自然風予測AVnと交通風予測AVtの差し引きにより、ジェットファン110により供給しなければならない機械風速AVjが求まる。
【0053】
一方、フィードバック補正部131はセンサ部120の計測と目標値に基づいてフィードバック制御量を算出する(図8ステップ4)。
制御部130は、フィードバック補正部131によるフィードバック補正と、予測制御を組み合わせてジェットファン110に対して回転数Cとなるようインバータ可変周波数電力を与え、ジェットファン110の省エネ駆動を行う(図8ステップ5)。すべてのジェットファン110に対してインバータ150により同一周波数のインバータ可変周波数電力で運転制御するため、省エネルギー効果が如何なく発揮される。なお、図3のインバータ個別駆動型であれば、ジェットファン110とインバータ150が一対一に対応してインバータ駆動され、図4のインバータ一体駆動型であれば、すべてのジェットファンに対して1台の共通のインバータが対応してインバータ駆動されるが、どちらの方式でもすべてのジェットファンが同一周波数のインバータ可変周波数電力で運転されるため、省エネルギー効果が得られる点では同じである。
【0054】
一方、従来のオンオフ型の誘導モータ運転を前提とすれば、稼動するジェットファン110は全速回転C(Top)にて使用することが前提となるため、全速回転するジェットファン110が何台あればAVjとなるかを割り出す。例えば3台のジェットファン110を全速回転C(Top)にて運転すればAVjを満たしたとする。
【0055】
図7(b)は従来のオンオフ型の誘導モータ運転による制御の様子を分かりやすく図示したものである。図7(b)に示すように、目標値に向けてオンオフ型で制御すると制御によるVI値変化の振れ幅が大きくなりオーバーシュート量が大きいため、精度良く目標値に安定させた制御が難しいことが分かる。
【0056】
しかし、本実施例1のトンネル換気制御システム100では、ジェットファン110はインバータ運転制御を行うものであり、ジェットファン110を省エネルギー運転で有利な低速回転C(Low)にて運転することも可能であるため、4台すべてのジェットファン110を低速回転C(Low)で運転してAVjを得るように選定する。このように制御部130は省エネルギーを実現するジェットファン110の運転を行うことができる。
【0057】
図7(a)は本発明のインバータ制御運転による制御の様子を分かりやすく図示したものである。図7(a)に示すように、目標値に向けてインバータ制御運転すると制御によるVI値変化の振れ幅が小さくて済み、オーバーシュートが少なく、精度良く目標値に安定させた制御が可能となることが分かる。
【0058】
なお、モデルパラメータ推定部133は、モデル記憶部132に記憶されている風速モデル、交通モデル、汚染濃度モデルのパラメータが最適となるようにパラメータを推定し、各モデルのパラメータを当該推定値に更新しておく(図8ステップ6)。予測部134はモデル記憶部132に記憶されている各モデルを用いて予測を行うため、予測精度を高く維持するためには各モデルとして最適なパラメータを持つものを用意しておく必要がある。そこで、実際にセンサ部110から得られるトンネル200の諸データと予測部134による予測結果が合致するようにモデルのパラメータをチューニングしておく。
【0059】
以上、本発明のトンネル換気制御システム100は、インバータ150を用いてトンネル内に配置したすべてのジェットファン110を同じ周波数により一体的に運転制御することができる。
【実施例2】
【0060】
次に、実施例2にかかるトンネル換気制御システム100aについて説明する。
図9は、実施例2にかかるトンネル換気制御システム100aのブロック図である。
図10は、実施例2におけるインバータ150とジェットファン110との接続構成を分かりやすく模式的に示した図である。
【0061】
図10に示すように、トンネル換気制御システム100aは、ジェットファン110と、センサ類120と、制御部130と、変電設備140と、インバータ150と、ケーブル160に加え、サージ抑制装置170、手元開閉器箱180を備えた構成となっている。
この例では受電設備210と換気制御装置220は道路トンネル入口付近の1カ所に設けられている。
【0062】
実施例2のトンネル換気制御システム100aにおけるインバータ150とジェットファン110との接続構成は、図10に示すように、インバータ150から幹線1601がトンネル200内を貫通し、インバータ150から供給された可変周波数電力は幹線1601を伝達して行く。各々のジェットファン110は幹線から引き込まれた支線1602に接続されている。つまり、ケーブル160のうち一部が幹線1601という形で共用化された構成となっている。
また、ケーブル160を介して供給される可変周波数パルス電力に混入するサージを抑制するサージ抑制装置170を備えた構成となっている。
【0063】
サージ抑制装置170は、ケーブル160とジェットファン110の誘導モータの特性インピーダンスの不整合を整合して可変周波数パルス電力に混入している高調波の反射を抑制することによりマイクロサージを抑制する終端装置である。
手元開閉器箱180は、保守作業員が保守点検時などにジェットファンへの電力供給を停止するためのマニュアルのオンオフスイッチである手元開閉器181を収納した器具箱であり、この手元開閉器箱180はもともとトンネル200内のジェットファン110の設置個所に必ず配置されているものである。本実施例2ではこの手元開閉器箱180を利用して、ケーブルの幹線1601と支線1602との分岐部分を設けている。また、手元開閉器181に加え、火災時開閉器182、サージ抑制装置170が収められている。
【0064】
図11(a)は、サージ抑制装置170を用いない場合における、サージ信号が重畳した状態のインバータ150からのパルス電力の電圧波形を示す図である。図11(a)に示すように、インバータ150からのパルス電力の電圧には本来の電圧に対して、誘導モータからの高調波の反射波が重畳されてマイクロサージが発生している。図11(a)の例ではサージ部分は本来の電圧の2倍程度のサージとなっている。この高電圧のサージが未処理のままジェットファン110に供給されると絶縁耐電圧を超える場合もあり、ジェットファン110の誘導モータが絶縁劣化を起こして、ついには絶縁破壊を起こして故障に至るおそれがある。
【0065】
以下にマイクロサージが生じる理由に触れておく。
道路トンネルのようにきわめて長い距離を伝送されるケーブル160の長さは、可変周波数パルス電力に混入している高調波にとっては分布定数回路として取り扱わなければならないものであることが知られている。一般に交流回路においては波長もしくは周波数と線路長の相対的な関係において、線路長が交流波形の波長の1/4を超えると分布定数回路として取り扱う必要がある。ちなみに、本発明で考慮してきたケーブル長は、短い場合でも300〜350m程度はあり、長い場合では1000m以上にもおよぶ。300mでは波長の1/4となる交流の周波数は約250kHzであり、1000mでは約75kHzである。これらの値は、可変周波数パルス電力の周波数帯域内の周波数であり、通常、インバータ150の出力側に挿入されインバータ150の一部の機能として、インバータ150と一体化して設置されるノイズ除去フィルタ(図示せず)では除去できない高調波成分である。この場合、これらの高調波成分に対しては特性インピーダンスがその伝搬に関わるため、誘導モータが接続される接続点のように特性インピーダンス値が異なる不整合点では、特性インピーダンスの比率によって一定の反射が起きる。ジェットファン110の誘導モータのインピーダンス値とケーブル160のインピーダンス値では前者が圧倒的に大きいので反射率は1に近くなり、反射波が入力波に重畳すると合成波の波高値は入力波の波高値の2倍近くになる。図11(a)ではその様子が示されている。
一方、図11(b)は、サージ抑制装置170を用いた場合における、サージが抑制された状態のパルス電力の電圧波形を示す図である。サージ抑制装置170によりインピーダンスが整合されて反射波が抑制されるため、パルス電力の電圧波形にはサージが重畳していない。
【0066】
ここで、サージ抑制装置170を設ける箇所が問題となる。
図10に示す例では、インバータ150から出たケーブル160は、途中でジェットファン110a、b、ジェットファン110c、d、ジェットファン110e、fが接続され、ジェットファンg、hが接続されている。途中のジェットファン110a〜fにおいては、モータに分流しながら電流は下流へと流れていくが、分流して誘導モータに流入する電流については、モータ端子の接続点が前記のインピーダンス不整合点となる。そこで、このインピーダンス不整合をなくすため、後述する図12に示すように、接続点に至る直前に、手元開閉器箱180の中にサージ抑制装置170を設置して、幹線1601の接続点においてサージ抑制装置170を接続する工夫を採用している。終端のジェットファン110g、hにも同様に前記サージ抑制装置170を設置して幹線1601の終端処理を行っている。このように本発明においては全てのジェットファン駆動モータにサージ抑制装置170を設置することにより誘導モータ110の接続点での特性インピーダンスの不整合をなくして反射の発生を防ぎ、マイクロサージを抑制している。
【0067】
図12は、手元開閉器箱180内で幹線1601と支線1602の分岐部分を設け、さらにサージ抑制装置170を設けた構成例を模式的に示した図である。
手元開閉器箱180内には、手元開閉器181と、火災時開閉器182、サージ抑制装置170が設けられている。手元開閉器181は保守作業員が保守点検時などにジェットファンへの電力供給を停止するためのマニュアルのオンオフスイッチであるが、火災時開閉器182は、制御装置130からのオンオフ制御信号により自動的にジェットファンへの電力供給を停止するオンオフスイッチである。
なお、火災時開閉器182は火災時に用いるものであり、後述する実施例6において説明することとし、ここでの説明は省略する。
【0068】
この構成例では、手元開閉器箱180の中で幹線1601と支線1602の分岐部分を設け、当該部分にサージ抑制装置170を設けたので、手元開閉器箱180は各々のジェットファン110に対するケーブルへの接続点に設けられた構成となっている。つまり、幹線1601には、サージ抑制装置170が設けられないときは、図11(a)に示すように、反射波が重畳して本来の電圧より高くなっているサージ成分が含まれるが、サージ抑制装置170が設置されることにより反射波の重畳がなくなり、図11(b)に示すようにサージ抑制装置170によりサージが抑制されたパルス電力となっており、良好なジェットファン110のインバータ駆動が可能となる。
【実施例3】
【0069】
次に、実施例3にかかるトンネル換気制御システム100bについて説明する。
実施例3のトンネル換気制御システム100bは、2台のインバータ150a,150bを長距離トンネル200の入口と出口の2カ所におき、当該2台のインバータ150a,150bによりそれぞれが担当するジェットファン110をインバータ駆動する構成とした例である。また、実施例2と同様、ケーブル160を介して供給される可変周波数パルス電力に混入するサージを抑制するサージ抑制装置170を手元開閉器箱180の中に備えた構成となっている。
【0070】
図13は、実施例3におけるインバータ150a,150bとジェットファン110との接続構成を分かりやすく模式的に示した図である。
トンネル換気制御システム100bの各構成要素は、ジェットファン110と、センサ類120と、制御部130と、変電設備140と、インバータ150と、ケーブル160に加え、サージ抑制装置170、手元開閉器箱180を備えた構成となっている。それぞれの構成要素は実施例1、実施例2と同様であるのでここでの説明は省略する。
【0071】
インバータは長距離道路トンネルの入口付近と、出口付近の2か所に設置されている。図13の例では、入口付近にインバータ150aが設置され、出口付近にインバータ150bが設置されている。両者の間にはケーブル163が敷設され、両者間で可変周波数が一致するように情報をやり取りできるようになっている。
入口付近に設置されたインバータ150aと出口付近に設置されたインバータ150bの両者が連動してそれぞれ同一の周波数信号をジェットファン110に供給できるように連動する構成となっている。インバータ150aとインバータ150bの間で連動する手段は限定されないが、この構成例では、入口付近に設置されたインバータ150aと出口付近に設置されたインバータ150bとの間に通信線151が敷設されており、両者に対して制御部130からの指示が伝達され、インバータ150aとインバータ150bが連動する構成となっている。
【0072】
また、この構成例では、受電設備210は入口付近の1カ所であり、入口側の換気制御装置220とともに電気室230に設置される。この入口の受電設備210から入口の換気制御装置220の変電設備140と出口の屋外型キュービクル240内の変電設備140に対して電力が供給されている。出口側の換気制御装置220は出口側の変電設備140とともに前記屋外型キュービクル240に収納される。さらにこの構成例では受電設備210から出口側の換気制御装置220に送られる電力はケーブル164を通じて送電される。この場合、トンネルの入口から出口までの間の長距離の送電となるためケーブル164の充電電流による受電設備210の保護リレーの誤作動を防ぐためにタイトランス211を設置している。
【0073】
図13に示すように、複数のジェットファン110を2台のインバータで駆動しているが、この構成例では、トンネル200の入口付近に設置したインバータ150aとトンネル200の入口側にあるジェットファン4つ(110a〜110d)が接続されており、それら4つのジェットファン100(110a〜110d)が一体的にインバータ駆動され、また、トンネル200の出口近くのインバータ150bとトンネル200の出口側にあるジェットファン4つ(110e〜110h)が接続されており、それら4つのジェットファン100(110e〜110h)が一体的にインバータ駆動される。結局、すべてのジェットファン110が一体的にインバータ駆動される。
【0074】
以上、実施例3に示した本発明のトンネル換気制御システム100bは、トンネル200の入口側と出口側に設置したインバータ150を用いてトンネル200の前後からトンネル200内に配置したすべてのジェットファン110を同じ周波数により一体的にインバータ運転制御することができ、長距離道路トンネルにジェットファンが多数配設されている環境であっても最適運転を行うことができる。
【実施例4】
【0075】
次に、実施例4にかかるトンネル換気制御システム100cについて説明する。
実施例4のトンネル換気制御システム100cは、n台のインバータ150を長距離トンネル200の入口の1カ所におき、当該n台のインバータ150によりそれぞれが担当するジェットファン110をn系統にてインバータ駆動する構成とした例である。また、実施例4と同様、ケーブル160を介して供給される可変周波数パルス電力に混入するサージを抑制するサージ抑制装置170を備えた構成となっている。
ここでは、n=2、つまり、2台のインバータ150a、150bを配設して2系統にてジェットファン110をインバータ駆動する構成例を挙げる。
【0076】
図14は、実施例4における2台のインバータ150a,150bと2系統に駆動されるジェットファン110との接続構成を分かりやすく模式的に示した図(その1)である。ジェットファンを2系統に分けているが、入口側に近いジェットファンと出口側に近いジェットファンの2系統に分けた例となっている。
【0077】
図15は、実施例4における2台のインバータ150a,150bと2系統に駆動されるジェットファン110との接続構成を分かりやすく模式的に示した図(その2)である。ジェットファンを2系統に分けているが、左右2列のジェットファンのうち左型のジェットファン列と右側のジェットファン列の2系統に分けた例となっている。
いずれの場合も系統を2分することで故障確率が減じて信頼性を向上させることができる。さらに今まで出てきた図4、図9、図10、図13、図14の構成と図15の構成を組み合わせれば信頼性を向上することが可能である。
【0078】
実施例4のトンネル換気制御システム100cは、ジェットファン110と、センサ類120と、制御部130と、変電設備140と、インバータ150と、ケーブル160に加え、サージ抑制装置170、手元開閉器180を備えた構成となっている。それぞれの構成要素は実施例1、実施例2と同様であるのでここでの説明は省略する。
なお、図14の構成の手元開閉器180の構造は、2つのジェットファンに分岐させるものであり図12に示したもので良いが、図15の構成の手元開閉器180の構造は、1つのジェットファンに分岐させるものであり図16に示したものとなる。
【0079】
インバータ150a,150bは長距離道路トンネルの入口付近に設置されている。なお、出口付近に設置していても同様である。図14の例では、受電設備210は入口付近の1カ所であり、入口側の換気制御装置220とともに電気室230に設置される。この入口の受電設備210から換気制御装置220の変電設備140に対して電力が供給されている。換気制御装置220の中にインバータ150aとインバータ150bの2つが設置されている。
【0080】
実施例4のジェットファンは2系統にグループ分けされており、各々のジェットファンのグループを制御するインバータが1台ずつ定められている。
図14の構成例では、入口側に近いジェットファンと出口側に近いジェットファンの2系統に分けた例となっており、2台のインバータによる2系統のジェットファンの制御が可能となっている。2台のインバータ同士が連動してそれぞれ同一の周波数をジェットファンに供給し、2系統のジェットファンを一体的にインバータ駆動する構成となっている。
【0081】
図14に示す構成例では、インバータ150aと入口側の4台のジェットファン(110a〜110d)が接続されており、インバータ150aによりそれら4つのジェットファン100(110a〜110d)が一体的にインバータ駆動され、インバータ150bと出口側の4台のジェットファン(110e〜110h)が接続されており、インバータ150bによりそれら4つのジェットファン100(110e〜110h)が一体的にインバータ駆動される構成となっている。
【0082】
図15の構成例では、左右2列のジェットファンのうち、左型のジェットファン列と右側のジェットファン列の2系統に分けた例となっており、2台のインバータによる2系統のジェットファンの制御が可能となっている。2台のインバータ同士が連動してそれぞれ同一の周波数をジェットファンに供給し、2系統のジェットファンを一体的にインバータ駆動する構成となっている。
【0083】
図15に示す構成例では、インバータ150aと左側(図中上側)の4台のジェットファン(110a、110c、110e、110g)が接続されており、インバータ150aによりそれら4つのジェットファン(110a、110c、110e、110g)が一体的にインバータ駆動され、インバータ150bと右側(図中下側)の4台のジェットファン(110b、110d、110f、110h)が接続されており、インバータ150bによりそれら4つのジェットファン(110b、110d、110f、110h)が一体的にインバータ駆動される構成となっている。
【0084】
以上、実施例4に示した本発明のトンネル換気制御システム100cは、n台のインバータ150を用いてトンネル200内に配置したすべてのジェットファン110をn系統で同じ周波数により一体的にインバータ運転制御することができ、長距離道路トンネルにジェットファンが多数配設されている環境であっても最適運転を行うことができる。
【実施例5】
【0085】
次に、実施例5にかかるトンネル換気制御システム100dについて説明する。
実施例5のトンネル換気制御システム100dは、ジェットファン110と、センサ類120と、制御部130と、変電設備140と、インバータ150と、ケーブル160に加え、サージ抑制装置170、手元開閉器箱180を備えた構成となっている。それぞれの構成要素は実施例1、実施例2と同様であるのでここでの説明は省略する。
また、入口側に電気室230、出口側に屋外型キュービクル240を設置した点については実施例3と同様であるのでここでの説明は省略する。
【0086】
実施例5のトンネル換気制御システム100dは、n台のインバータ150を長距離トンネル200の入口の1カ所におき、当該n台のインバータ150によりそれぞれが担当するジェットファン110をn系統にてインバータ駆動する構成とし、m台のインバータ150を長距離トンネル200の出口の1カ所におき、当該m台のインバータ150によりそれぞれが担当するジェットファン110をm系統にてインバータ駆動する構成となっている。つまり、n+m台のインバータにより、トンネル200の入口と出口の2カ所からn+m系統にてインバータ駆動するものとなっている。
【0087】
図17は、実施例5におけるn+m台のインバータ150とn+m系統に駆動されるジェットファン110との接続構成を分かりやすく模式的に示した図(その1)である。 ここでは、n=2、つまり、入口付近に2台のインバータ150a、150bを配設して2系統にてジェットファン110をインバータ駆動し、m=2、つまり、出口付近にも2台のインバータ150c、150dを配設して2系統にてジェットファンをインバータ駆動する構成例となっている。
【0088】
インバータは長距離道路トンネルの入口付近に2台、出口付近にも2台設置されている。
図17の構成例では、入口側には電気室230の換気制御装置220の中にインバータ150a,150bが設けられ、出口側には屋外型キュービクル240の中にインバータ150c、150dが設けられている。
この構成例では長距離道路トンネル200の入口付近の2台のインバータと、出口付近の2台インバータ同士が連動してそれぞれ同一の周波数をジェットファンに供給する連動手段を備えており、4系統のジェットファンを一体的にインバータ駆動する構成例となっている。ここでは情報をやり取りする信号線163が設けられている。
【0089】
ジェットファンは4系統にグループ分けされており、各々のジェットファンのグループを制御するインバータが1台ずつ定められており、4台の前記インバータによる4系統のジェットファンの制御が可能となっている。
【0090】
図17の例では、入口側にもっとも近いジェットファン2つ(110a,110b)と、入口側に2番目に近いジェットファン2つ(110c,110d)と、出口側に2番目に近いジェットファン2つ(110e,110f)と、出口側にもっとも近いジェットファン2つ(110g,110h)の4系統に分けた例となっている。
図17に示す構成例では、入口側では、インバータ150aと2台のジェットファン(110a〜110b)が接続されており、インバータ150bと2台のジェットファン(110c〜110d)が接続されている。また、出口側ではインバータ150cと2台のジェットファン(110e〜110f)が接続されており、インバータ150dと2台のジェットファン(110g〜110h)が接続されている。この8台のジェットファンが一体的にインバータ駆動される構成となっている。
【0091】
次に、図18は、実施例5におけるn+m台のインバータ150とn+m系統に駆動されるジェットファン110との接続構成を分かりやすく模式的に示した図(その2)である。ここでも、n=2、つまり、入口付近に2台のインバータ150a、150bを配設して2系統にてジェットファン110をインバータ駆動し、m=2、つまり、出口付近にも2台のインバータ150c、150dを配設して2系統にてジェットファンをインバータ駆動する構成例となっている。
【0092】
図18の構成例でも、入口側には電気室230の換気制御装置220の中にインバータ150a,150bが設けられ、出口側には屋外型キュービクル240の中にインバータ150c、150dが設けられている。
ジェットファンは、入口側に近いジェットファン4つのうち左側の列のジェットファン2つ(110a,110c)と右側の列のジェットファン2つ(110b,110d)と、出口側に近いジェットファン4つのうち左側の列のジェットファン2つ(110e,110g)と右側の列のジェットファン2つ(110f,110h)の4系統に分けた例となっている。
【0093】
図18に示す構成例では、入口側では、インバータ150aと2台のジェットファン(110a,110c)が接続されており、インバータ150bと2台のジェットファン(110b〜110d)が接続されている。また、出口側ではインバータ150cと2台のジェットファン(110e,110g)が接続されており、インバータ150dと2台のジェットファン(110f,110h)が接続されている。この8台のジェットファンが4系統で一体的にインバータ駆動される構成となっている。
【0094】
以上、実施例5に示した本発明のトンネル換気制御システム100dは、長距離道路トンネルの入口側と出口側に合計n+m台のインバータ150を設置し、トンネルの前後からトンネル200内に配置したすべてのジェットファン110をn+m系統にて同じ周波数により一体的にインバータ運転制御することができ、長距離道路トンネルにジェットファンが多数配設されている環境であっても最適運転を行うことができる。
【実施例6】
【0095】
本発明のトンネル換気制御システムは火災時おいても優れた制御を実現できる。
本発明のトンネル換気制御システムは、平常時には実施例1〜実施例5に示したように、汚染濃度基準を遵守しつつ如何に省エネルギーにてジェットファン110をインバータ運転制御するが、火災時には、長距離道路トンネル200内の空気の流れを制御して如何に素早く発生する煙と熱の流れを火点に閉じ込めるかという即応性の観点を重視してジェットファンの回転数を決めることができるものである。
【0096】
図19は火災時におけるトンネル内の熱と煙の移動に関する制御の様子を模式的に示した図である。図20は実施例6にかかる本発明のトンネル換気制御システム100eのブロック図である。図21は実施例6にかかる本発明のトンネル換気制御システム100eの処理の流れを示すフローチャートである。
【0097】
図19に示すように、火災時にはトンネル内の熱と煙の移動をできるだけ止めて火点近くに閉じ込めるように制御する。その際にはジェットファン110の省エネルギー運転という観点は重視せずに、如何に早く熱と煙を火点近くに閉じ込める観点からジェットファン110を運転する。なお、本発明のトンネル換気制御システム100eは、実施例1〜実施例5に示したように、ジェットファンをインバータ運転とすると素早くまた細やかにジェットファン110の回転数を制御できるので、火災で生じる熱と煙を火点近くに閉じ込めるための即応性ある細やかな運転が可能となる。
特に、実施例4や実施例5に示したように、ジェットファンを複数系統に分けて運転する方式を採用した場合は、火災時に発火点付近のジェットファンの運転を停止させた場合でも他の系統のジェットファンの運転が確保され、ジェットファンの全面停止という事態を回避し、リスク分散を行うことができるというメリットが得られる。つまり、発火点付近のジェットファンを制御している系統をすみやかに停止し、他の系統のジェットファンの運転により煙と熱を発火点付近に閉じ込めることができる。
【0098】
トンネル換気制御システム100eは、ジェットファン110と、センサ類120eと、制御部130eと、変電設備140と、インバータ150と、ケーブル160に加え、サージ抑制装置170、手元開閉器箱180を備えた構成となっている。それぞれの構成要素は実施例1、実施例2と同様であるのでここでの説明は省略する。
【0099】
センサ部120eは、実施例1と同様、実測データを収集する各種センサや計測器を備えているが、実施例1の構成に加え、トンネル200内に実際に発生した火災を検知して実際の火災諸元データを収集する火災検知部125を備えている。火災検知部125の構成や検知データの内容は限定されないが、火災発生地点、煙の流れ、熱の流れ等を検知するものである。例えば、火災で発生する熱をとらえるサーモグラフィーや熱赤外線センサ、複数箇所から収集した煙霧透過率データの差分から煙の流れを追う煙センサ、火や煙の流れを画像としてとらえるビデオカメラなど多様なセンサ類を適用することができる。また、風の移動に応じて煙と熱も移動するためAV計124も煙と熱の風向と風速を推測するセンサとして応用することも可能である。
【0100】
制御部130eは、実施例1に示した風速モデル、交通モデル、汚染濃度モデルの各種モデルに加え、火災モデルも記憶している。ここで火災モデルとは、トンネル200内の風速モデルと火災の諸元データに基づいて火災が発生した場合の煙と熱の流れを予測するモデルである。
【0101】
予測部134eは、実施例1の各種予測に加え、火災予測手段を備えている。
火災予測手段は、トンネル200内の火災発生地点と火災規模、現在のトンネル内の風向風速、外界の自然風の変化、トンネル内車両の交通の変化による交通風の変化などから長距離道路トンネル200内における熱と煙の流れを予測する機能を備えており、所定時間経過後の熱と煙の移動AVfを予測する部分である。
【0102】
制御部130eは、平常時には最適選定計画を定めるが、火災時にはセンサ部120eの火災検知機能により収集した火災諸元データと火災モデルとに基づいて、実際に発生する煙と熱を火点に閉じ込めるようにするため火災時のジェットファン110の回転数を決める。
【0103】
次に、手元開閉器箱180内には、図12および図16に示すように、手元開閉器181と、火災時開閉器182、サージ抑制装置170が設けられている。手元開閉器181は保守作業員が保守点検時などにジェットファンへの電力供給を停止するためのマニュアルのオンオフスイッチであるが、火災時開閉器182は、制御装置130からのオンオフ制御信号により自動的にジェットファンへの電力供給を停止するオンオフスイッチである。
【0104】
手元開閉器181に加え、火災時開閉器182を設けている理由は以下のとおりである。
本発明のジェットファンは台数運転ではなく、インバータにより一体運転を前提としている。火災時は火点近くのジェットファンは火や熱や煙の拡散を防止するために停止しなければならない。その一方、火点近く以外のジェットファンは、火や熱や煙を火点近くに閉じ込めるため、自然風や交通風に対向して風速ゼロ化を図るために運転が必要である。つまり、ジェットファンはトンネル内において全体として運転しつつ、火点近くのジェットファンのみ離脱させて自動的に運転停止する必要がある。ここで、ジェットファンの系統が細かく分かれている場合、発火点近くのジェットファンを制御している系統のみを全面停止し、他の系統のジェットファンを運転させるという運用で対処できるが、ジェットファンの系統が大まかにしか分かれておらず、一つの系統の中に、発火点近くのジェットファンのみならず発火点付近ではないジェットファンまでも含まれている場合、当該系統を全面停止すると、発火点付近のジェットファンのみならず、煙や熱を発火点に閉じ込めるために運転すべき周囲のジェットファンまでもが停止してしまう。そこで、同じ系統に属するジェットファンであっても個別に運転を離脱できるように別途、オンオフ制御用の火災時開閉器182を設けるという工夫を施しているわけである。
【0105】
次に、火災時における本発明のトンネル換気制御システム100eの動作や特徴を、従来型のオンオフ制御の誘導モータ駆動によるトンネル換気制御システム200と比較しつつ説明する。
まず、ある時刻T1において、センサ部120eの火災検知部125により火災に関するデータを取得する(図21ステップ1)。火災検知部125によりトンネル200内に発生した火災発生点、熱や煙の移動の様子に関する火災諸元データを取得する。
この例では、ジェットファン110a,110bの近くで火災が発生したとする。
【0106】
センサ部120eの火災検知部125で得られた火災諸元データは、制御部130に渡され、モデルパラメータ推定部133e、予測部134e、フィードバック補正部131eにそれぞれ入力される。
【0107】
予測部134eは、火災検知部125で得た火災諸元データを基にモデル記憶部132eの自然風モデルと火災モデルを用いて、少なくとも、自然風予測と、火災予測を行って予測データを計算する(図21ステップ2)。例えば、各々1分後の予測データを計算する。
【0108】
自然風予測は実施例1と同様、自然風予測手段により行う。例えば、自然風予測手段は現在の時刻より1分後のトンネル外界から吹く自然風によりモデル記憶部132eの風速モデルを用いてトンネル内に生じる風向風速を予測し、AV計124より得たトンネル200内の風向風速の現在の実測データと1分後の自然風予測データとから1分後の自然風AVnを予測する。
【0109】
火災予測は火災予測手段により行う。火災による熱と煙の移動をモデル化した火災モデルを用いて火災予測データを予測し、1分後の火災により発生する熱と煙の移動を予測する。
なお、交通風予測については、火災時にはトンネル内の車両交通が止まると仮定される場合は交通風予測手段は交通風をゼロと予測しても良い。
【0110】
次に、制御部130eは、予測部134eによる自然風予測AVnと火災予測を利用し、熱と煙を火点に閉じ込めるためのジェットファン110の回転数を含む火災時運転計画を決める(図21ステップ3)。
例えば、火災発生箇所において自然風予測AVnと対向せしめるためにジェットファン110により供給しなければならない風向風速AVjが求まる。制御部130はAVjをもたらすジェットファン110の回転数Cの運転計画を決定する。
なお、火点直近のジェットファンは火炎や煙を煽ってしまうことになるので停止する。ここでは、火点近くのジェットファン110a,110bを制御している手元開閉器箱180内の火災時開閉器182に対して停止信号を送って電力供給を遮断して運転停止することが重要な要件である。
【0111】
従来のオンオフ型の誘導モータ運転を前提とすれば、稼動するジェットファン110は全速回転C(Top)にて使用することが前提となるため、全速回転するジェットファン110が何台あればAVjとなるかを割り出す。しかし、一台ごとのオンオフ制御では細かい設定ができず、完全には火災により生じている熱と煙を火点に閉じ込めることは難しく、トンネル200のいずれかの方向に熱と煙が流れてしまう結果となることが予想される。
【0112】
図22(b)は従来のオンオフ型の誘導モータ運転による制御の様子を分かりやすく図示したものである。図22(b)に示すように、目標値に向けてオンオフ型で制御すると制御によるVI値変化の振れ幅が大きくなりオーバーシュート量が大きいため、精度良く目標値に安定させた制御が難しいことが分かる。
【0113】
しかし、本実施例6のトンネル換気制御システム100eでは、ジェットファン110はインバータ運転制御を行うものであり、ジェットファン110を最短運転かつ細かく風量を調整するために有利な最適回転C(Appropriate)にて運転することも可能であるため、すべてのジェットファン110を最適回転C(Appropriate)で運転してAVjを得るように選定する。このように制御部130eは最短で火災で生じる熱と煙を火点に閉じ込めるジェットファンの火災時運転計画を立てることができる。
【0114】
図22(a)は本発明のインバータ運転制御運転による制御の様子を分かりやすく図示したものである。図22(a)に示すように、目標値に向けてインバータ制御運転すると制御によるVI値変化の振れ幅が小さくて済み、すみやかかつ精度良く目標値に安定させた制御が可能となることが分かる。
【0115】
次に、フィードバック補正部131eは、センサ部120eでトンネル200内から得た各種検出データに基づいて火災で生じる熱と煙を火点に閉じ込めるジェットファン110の回転数のフィードバック制御量の計算を行う(図21ステップ4)。
【0116】
制御部130eは、フィードバック補正部131によるフィードバック補正と、予測制御部134eの予測制御を組み合わせてジェットファン110に対して回転数Cとなるようインバータ可変周波数電力を与え、ジェットファン110の省エネ駆動を行う(図21ステップ5)。
なお、モデルパラメータ推定部133eのパラメータ推定・更新は同様である(図21ステップ6)。
以上が火災時のトンネル換気制御システムの動作例である。なお、上記の説明において、発火点がいずれの場所であっても同様に考えることができる。また上記の説明では発火点直近のジェットファンを停止させる例であったが、発火点の場所によっては停止させるジェットファンがない場合もありえる。
【0117】
以上、本発明のトンネル換気制御システム100eは、火災時には、トンネル内の空気の流れを制御して如何に素早く発生する煙と熱の流れを火点に閉じ込めるかという即応性の観点を重視してジェットファンの回転数Cを決めることができる。
【実施例7】
【0118】
次に、電気室230内の換気制御装置220の複数系統化の工夫について説明する。上記の実施例1から実施例6では、換気制御装置220は、電気室230の中に一つという構成例で説明したが、実施例7の構成は電気室230の中に複数の換気制御装置220を設けた構成となっている。
【0119】
図23は電気室230の中に複数の換気制御装置220を設けた構成例を示す図である。図23の構成例は換気制御装置220が2つ設けられている例となっているが、3つ以上の構成もあり得る。なお、図23では、電気室230内の構成要素のみを図示しており、インバータ150以降のトンネル内のジェットファン110の制御系統などの図示は省略している。また、それぞれの換気制御装置220の中に含まれるインバータ150の台数についても1台のみしか図示していないが、実施例4や実施例5に示したように換気制御装置220内にインバータ150を複数台備え、トンネル内のジェットファン110を複数の系統に分けて制御する構成もあり得る。
【実施例8】
【0120】
次に、電気室230には受電設備しか設けず、換気制御装置220を屋外キュービクル240という形で外に設ける構成例について説明する。上記の実施例1から実施例6では、トンネル入口または出口に電気室230が設けられている場合、換気制御装置220は、電気室230の中に設けられている構成例として説明したが、実施例8の構成はトンネル入口または出口に電気室230が設けられていても、当該トンネルの入口または出口において、電気室230とは別に設けた屋外キュービクル240の中に換気制御装置220を設けた構成となっている。
【0121】
図24および図25はトンネルの入口または出口において、電気室230とは別に設けた屋外キュービクル240の中に換気制御装置220を設けた構成例を示す図である。図24の構成例はトンネルの入口または出口側に屋外キュービクル240を一つ設けてその中に換気制御装置220を一つ設けた構成例となっているが、図25の構成例はトンネルの入口または出口側に屋外キュービクル240を2つ設けた例となっている。もちろん、図25において屋外キュービクル240を3つ以上設けた構成もあり得る。
【0122】
また、図26は、電気室230内に換気制御装置220を設けるとともに、別途、屋外キュービクル240を設けて別の系統を制御する換気制御装置220を設けた例である。つまり、図24または図25のパターンにおいて、電気室230内にも換気制御装置を設けた構成となっている。
【0123】
なお、図24、図25、図26の構成において、電気室230や屋外キュービクル240内の構成要素のみを図示しており、インバータ150以降のトンネル内のジェットファン110の制御系統などの図示は省略している。また、それぞれの換気制御装置220の中に含まれるインバータ150の台数についても1台のみしか図示していないが、実施例4や実施例5に示したように換気制御装置220内にインバータ150を複数台備え、トンネル内のジェットファン110を複数の系統に分けて制御する構成もあり得る。
【0124】
このように、電気室230が設けられている側において、別途、屋外キュービクル240という形で換気制御装置220を設ける構成では以下のようなメリットが考えられる。
一般に電気室230はトンネルの入口付近または出口付近に設けられる。電気室230内の受電設備210から換気制御装置220内の変電設備140までの間は、高い電圧(例えば6kV)で伝送され、換気制御装置220内の変電設備140内において400Vに降圧されるため、換気制御装置220を電気室230内に設ける構成では、400kVに降圧された形で構内の伝送距離が長くなる。6kVと400Vでは明らかに6kVの方が電流値が小さくて済むためケーブルの太さが細くて済む。一般にケーブルの太さが細い方が敷設工事がやりやすいため、電気室230よりもトンネル構内に引き込んだ位置に屋外キュービクル240を設けておけば、その位置までのケーブル敷設工事が簡単で済むというメリットが得られるわけである。
【実施例9】
【0125】
次に、電気室230内の複数系統化の工夫について説明する。上記の実施例1から実施例6では、電気室230はトンネルの入口または出口のいずれかに一つという構成例で説明したが、実施例9の構成は電気室230をトンネルの入口と出口の双方に設けた構成となっている。
【0126】
図27はトンネルの電気室230をトンネルの入口と出口の双方に設けた構成例を示す図である。図27の構成例は、トンネルの入口と出口のそれぞれに、電気室230が1つ設けられ、その電気室230の中には換気制御装置220が1つ設けられている例となっているが、実施例7や実施例8のように1つの電気室の中に複数個の換気制御装置220が設けられたり、電気室230とは別途、屋外キュービクル240が設けられたりする構成が可能である。つまり、実施例9に対して実施例7や実施例8が組み合わすことが可能である。
【0127】
なお、図27では、電気室230内の構成要素のみを図示しており、インバータ150以降のトンネル内のジェットファン110の制御系統などの図示は省略している。また、それぞれの換気制御装置220の中に含まれるインバータ150の台数についても1台のみしか図示していないが、実施例4や実施例5に示したように換気制御装置220内にインバータ150を複数台備え、トンネル内のジェットファン110を複数の系統に分けて制御する構成もあり得る。
【0128】
以上、本発明の好ましい実施形態を図示して説明してきたが、トンネル換気制御システムに向けて広く適用することができる。
本発明の技術的範囲を逸脱することなく種々の変更が可能であることは理解されるであろう。従って本発明の技術的範囲は添付された特許請求の範囲の記載によってのみ限定されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0129】
【図1】本発明のジェットファンのインバータ運転によるジェットファン全体の消費電力と、従来のジェットファンの台数運転によるジェットファン全体の消費電力とを比較した図
【図2】実施例1にかかるトンネル換気制御システム100のブロック図
【図3】インバータ150a〜150dとジェットファン110との個別的な接続構成を分かりやすく模式的に示した図(インバータ個別駆動型)
【図4】インバータ150とジェットファン110との一体的な接続構成を分かりやすく模式的に示した図(インバータ一体駆動型)
【図5】トンネル換気制御システム100の制御部130の構成を中心に見たブロック図
【図6】トンネル200内の様子を模式的に示した図
【図7】本発明のインバータ制御によるトンネル換気制御システム100と、従来型のオンオフ型制御によるトンネル換気システムとの動作の違いを分かりやすく説明する図
【図8】実施例1にかかるトンネル換気制御システム100の処理の流れを示すフローチャート
【図9】実施例2にかかるトンネル換気制御システム100aのブロック図である。
【図10】実施例2におけるインバータ150とジェットファン110との接続構成を分かりやすく模式的に示した図
【図11】サージが生じる原理とサージを抑制した場合のパルス電力の電圧波形を示す図
【図12】手元開閉器箱180内の構成例を模式的に示した図
【図13】実施例3におけるインバータ150a,150bとジェットファン110との接続構成を分かりやすく模式的に示した図
【図14】実施例4における2台のインバータ150a,150bと2系統に駆動されるジェットファン110との接続構成を分かりやすく模式的に示した図(その1)
【図15】実施例4における2台のインバータ150a,150bと2系統に駆動されるジェットファン110との接続構成を分かりやすく模式的に示した図(その2)
【図16】手元開閉器箱180内の構成例を模式的に示した図実施例5にかかるトンネル換気制御システム100dのブロック図
【図17】実施例5におけるn+m台のインバータ150とn+m系統に駆動されるジェットファン110との接続構成を分かりやすく模式的に示した図(その1)
【図18】実施例5におけるn+m台のインバータ150とn+m系統に駆動されるジェットファン110との接続構成を分かりやすく模式的に示した図(その2)
【図19】火災時におけるトンネル内の熱と煙の移動に関する制御の様子を模式的に示した図
【図20】実施例6の本発明のトンネル換気制御システム100eのブロック図
【図21】実施例6にかかる本発明のトンネル換気制御システム100eの処理の流れを示すフローチャート
【図22】火災時における本発明のインバータ制御によるトンネル換気制御システム100による処理と、従来型のオンオフ型制御によるトンネル換気システムによる処理との動作の違いを分かりやすく説明する図
【図23】実施例7における電気室230の中に複数の換気制御装置220を設けた構成例を示す図
【図24】実施例8におけるトンネルの入口または出口側に屋外キュービクル240を一つ設けてその中に換気制御装置220を一つ設けた構成例を示す図
【図25】実施例8におけるトンネルの入口または出口側に屋外キュービクル240を2つ設けた例を示す図
【図26】実施例8における電気室230内に換気制御装置220を設けるとともに別途、屋外キュービクル240を設けて別の系統を制御する換気制御装置220を設けた例を示す図
【図27】実施例9におけるトンネルの電気室230をトンネルの入口と出口の双方に設けた構成例を示す図
【図28】従来の台数運転により制御の仕組みを説明する図
【図29】従来のジェットファンの台数運転時における、ジェットファン全体の吹き出し風速とジェットファン全体の消費電力との関係を示す図
【符号の説明】
【0130】
100 トンネル換気制御システム
110 ジェットファン
120 センサ類
121 トラフィックカウンタ
122 煙霧透過率データ計測器(VI計測器)
123 一酸化炭素濃度データ計測器(CO計測器)
124 風向風速計(AV計)
125 火災検知部
130 制御部
131 フィードバック補正部
132 モデル記憶部
133 モデルパラメータ推定部
134 予測部
140 変電設備
150 インバータ
160 ケーブル
170 サージ抑制装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のジェットファンが設置される長距離道路トンネル用換気制御システムであって、
前記長距離道路トンネル内に適正間隔で配設された複数のジェットファンと、
複数の前記ジェットファンを駆動制御するインバータを備え、
前記インバータにより前記複数のジェットファンに対してケーブルを介して同一の可変周波数電力を供給し、一体的にインバータ駆動することを特徴とする長距離道路トンネル用換気制御システム。
【請求項2】
前記インバータを前記長距離道路トンネルの入口付近または出口付近の1カ所に設置し、当該インバータにより複数の前記ジェットファンを一体的にインバータ駆動することを特徴とする請求項1に記載の長距離道路トンネル用換気制御システム。
【請求項3】
前記インバータを前記長距離道路トンネルの入口付近と、出口付近の2か所に設置し、前記入口付近の前記インバータと前記出口付近の前記インバータが連動してそれぞれ同一の周波数を前記ジェットファンに供給する連動手段を備えるとともに、前記入口付近に設置した前記インバータにより、前記入口近くに配設された複数の前記ジェットファンを一体的にインバータ駆動し、前記出口付近に設置した前記インバータにより、前記出口近くに配設された複数の前記ジェットファンを一体的にインバータ駆動することを特徴とする請求項1に記載の長距離道路トンネル用換気制御システム。
【請求項4】
前記ジェットファンがn系統にグループ分けされており、各々の前記ジェットファンのグループを制御する前記インバータが1台ずつ定められた、n台の前記インバータによる前記n系統のジェットファンの制御が可能であり、
前記インバータを前記長距離道路トンネルの入口付近または出口付近にn台設置し、前記n台のインバータ同士が連動してそれぞれ同一の周波数を前記ジェットファンに供給する連動手段を備え、前記n台のインバータにより前記n系統のジェットファンを一体的にインバータ駆動することを特徴とする請求項2に記載の長距離道路トンネル用換気制御システム。
【請求項5】
前記ジェットファンがn+m系統にグループ分けされており、各々の前記ジェットファンのグループを制御する前記インバータが1台ずつ定められた、n+m台の前記インバータによる前記n+m系統のジェットファンの制御が可能であり、
前記インバータを前記長距離道路トンネルの入口付近にn台設置し、出口付近にm台設置し、前記n+m台のインバータ同士が連動してそれぞれ同一の周波数を前記ジェットファンに供給する連動手段を備え、前記n+m台のインバータにより前記入口側に配設された前記n系統のジェットファンと前記出口側に配設された前記m系統のジェットファンを一体的にインバータ駆動することを特徴とする請求項3に記載の長距離道路トンネル用換気制御システム。
【請求項6】
前記インバータから各々の前記ジェットファンに対する前記可変周波数電力の前記ケーブルのうち一部を共用化し、前記ケーブルを前記共用化にかかる幹線と前記幹線以外の支線を備えた構成とすることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の長距離道路トンネル用換気制御システム。
【請求項7】
前記長距離道路トンネル用の前記ジェットファンの保全作業時の安全を確保する手元開閉器を収納した手元開閉器箱内に、前記ケーブルの前記幹線と前記支線との分岐部分を設けたことを特徴とする請求項6に記載の長距離道路トンネル用換気制御システム。
【請求項8】
前記ケーブルを介して供給される前記可変周波数パルス電力において、前記ケーブルとジェットファン駆動モータの特性インピーダンスの不整合によって発生し、前記可変周波数パルス電力の電圧波に重畳する高調波の反射波のマイクロサージを抑制するサージ抑制装置を、各々の前記ジェットファンに対する前記ケーブルへの接続点に設けたことを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の長距離道路トンネル用換気制御システム。
【請求項9】
前記サージ抑制装置の設置個所を前記手元開閉器箱内としたことを特徴とする請求項7に記載の長距離道路トンネル用換気制御システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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