説明

閉塞物対策用雨水処理構造及び雨水処理方法

【課題】例えば公園等の樹木からの落ち葉が相当量見込まれる施設内の道路などに好適である閉塞物対策用雨水処理構造及び雨水処理方法を提供する。
【解決手段】本発明の閉塞物対策用雨水処理構造は、道路脇に配設された既設又は新設の集水枡1の外側に、雨水を導入して地下に浸透させる浸透枡2を隣接させ、前記集水枡1の開口上部を覆う蓋材として、縦片部分である縁石部5と横片部分であるエプロン部6とからなるL型街渠ブロック7が配され、エプロン部6の上面は縁石部5方向へ下り傾斜し、エプロン部6には雨水を集水枡1の内部に流入させる導水口8が設けられると共に縁石部5には外側の浸透枡2へ通ずる案内口9が設けられていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば公園等の樹木からの落ち葉が相当量見込まれる施設内の道路などに好適である閉塞物対策用雨水処理構造及び雨水処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、道路脇の地下には雨水を流す側溝が配設され、この側溝の開口上部を塞ぐ街渠ブロックが設置されている。通常の街渠ブロックでは、雨水を側溝内に導くための小さい導水孔を設けるか、或いは全く設けられない場合もあるが、数十メートル間隔でグレーチング等の大型の導水口が設けられた集水枡が配され、さらにこの集水枡に集められた雨水を排水路(管)を通じて水処理施設に送って処理、貯水する雨水処理システムが一般的に採用されている。
【0003】
例えば公園等の施設には多くの樹木や草花が植えられているが、その施設内の道路には多くの葉や小枝などが落下するため、風等に運ばれて道路脇に集められる。同様に、街路樹(並木)のある歩道に面した車道、或いは歩道との間に植栽スペースが設けられた車道などでも、多くの葉や小枝などが車道上に落ちるため、定期的に清掃員が拾い集めたり、清掃車を巡回させて除去する必要があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そして、落ち葉の積もった道路に降雨があった場合には、落ち葉は雨水に混じって集水枡上の導水口に集められるが、濡れて湿潤状態になった落ち葉は、導水口にて圧縮されて塊状となり、導水口を閉塞してしまうことがあった。
そのため、落ち葉や小枝の除去、清掃を頻繁に行うと、導水口の閉塞のおそれはなくなるが、管理費が膨大にかかってしまう。
そこで、本発明は、前記問題点を解消できる雨水処理システムを提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は上記に鑑み提案されたもので、道路脇に配設された既設又は新設の集水枡の外側に、雨水を導入して地下に浸透させる浸透枡を隣接させ、前記集水枡の開口上部を覆う蓋材として、縦片部分である縁石部と横片部分であるエプロン部とからなるL型街渠ブロックが配され、エプロン部の上面は縁石部方向へ下り傾斜し、エプロン部には雨水を集水枡の内部に流入させる導水口が設けられると共に縁石部には外側の浸透枡へ通ずる案内口が設けられていることを特徴とする閉塞物対策用雨水処理構造に関するものである。
尚、集水枡の「外側」とは、集水枡から見て道路側とは逆の側を指すものである。
また、「閉塞物」とは、導水口を閉塞する固形物を指し、例えば落ち葉や小枝などがそれに相当する。
【0006】
また、本発明は、前記雨水処理構造を用いた雨水処理方法であって、雨水を集水枡上のL型街渠ブロックに導いて導水口から集水枡内に流入させると共に雨水に混じって流入しようとする固形物を案内口から浸透枡に流入させることを特徴とする雨水処理方法をも提案するものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明の閉塞物対策用雨水処理構造及び雨水処理方法は、雨水に混じって集水枡上の導水口に集められる落ち葉等の固形物を、案内口から外側へ排出して浸透枡内へ導くことができ、集水枡上の導水口を閉塞することがないものである。
そのため、道路上の落ち葉や小枝の除去、清掃を頻繁に行う必要がなく、管理費を低減できるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の雨水処理構造は、道路脇に既設の集水枡が配設されている場合にも適用できるし、例えば道路自体を新たに敷設施工する場合などにも適用できるものであって、まず道路脇に配設された既設又は新設の集水枡の外側に隣接させて浸透枡を配設する。
前述のように上記の外側とは、集水枡から見て道路側とは逆、すなわち反対の方向を指すものである。
【0009】
本発明における集水枡とは、雨水を流入させて一部の雨水を貯留すると共に、その殆どの雨水を隣接する側溝に流下させるか、或いは水処理施設に送って処理、貯水するものである。
【0010】
前記集水枡の開口上部を覆う蓋材としては、縦片部分である縁石部と横片部分であるエプロン部とからなるL型街渠ブロックが配され、道路脇側に縁石部が、道路側にエプロン部が位置するように配され、その上面は道路表面と一面状になるように配設される。
このL型街渠ブロックのエプロン部の上面には、縁石部方向へ下り傾斜する勾配が設けられ、エプロン部には雨水を集水枡の内部に流入させるための導水口が設けられ、さらに縁石部には外側の浸透枡へ通ずる案内口が設けられている。
【0011】
前記のようにエプロン部の上面は、縁石部方向へ下り傾斜するので、雨水、及び雨水に混じって集められた落ち葉等の固形物は、縁石部方向へ流れ、案内口から浸透枡へ流すことできる。
【0012】
前記の導水口は、前述のように雨水を集水枡の内部に流入させるものであれば特に限定するものではなく、公知のどのような構成を採用してもよく、例えばグレーチング等を嵌め付けて導水口としてもよい。
前記のようにエプロン部の上面が縁石部方向へ下り傾斜するので、ここに取り付けられる導水口の上面も、縁石部方向へ下り傾斜している。
【0013】
前記の案内口は、前述のように外側の浸透枡へ通ずるものであって、雨水、及び雨水に混じって集められる落ち葉等の固形物をこの案内口から浸透枡の内部に排出することができる。また、この案内口は、導水口の近傍に設けることが好ましく、導水口の上面と同様の傾斜勾配を有していることが望ましい。
【0014】
本発明における浸透枡とは、雨水を導入して地下に浸透させるものであって、その内部には、所定容量以上の流入水があった場合に隣接する集水枡に水を移す流出口を設けるようにしてもよい。
この浸透枡は、底面や側面の一部が、透水機能を有するポーラスコンクリート、孔あきヒューム管(塩ビ製枡)等よりなる透水機能を持った製品で形成されるものであって、全てが透水機能を持った製品で形成されていてもよいし、例えば下部は透水機能を持った製品にて、上部は透水機能を持たない製品にて形成されるものでもよい。
【0015】
そして、本発明の雨水処理構造及び雨水処理方法は、雨水に混じって集水枡上の導水口に集められる落ち葉等の固形物を、案内口から浸透枡内へ導くことができ、集水枡上の導水口を閉塞することなく雨水を処理することができる。
【0016】
尚、新設の集水枡及びL型街渠ブロックを用いる場合は、前記構成を有するように適宜に成形、或いは加工すればよいが、特に性状や強度に支障が認められない場合には既設の集水枡及びL型街渠ブロックを流用してもよく、適宜に穿孔(開設)加工を施して用いることができる。すなわち既設の集水枡については、隣接する浸透枡の流出口に応じて流入口を穿設すればよい。また、既設のL型街渠ブロックは、エプロン部の上面は縁石部方向へ下り傾斜しており、エプロン部には導水口が設けられているので、縁石部に案内口を穿設すればよい。
【実施例】
【0017】
本発明を図面の実施例に基づいて説明する。尚、本発明は実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載の構成を変更しない限りどのようにでも実施することができる。
【0018】
図3は、比較のために示した従来の集水枡上の様子を示すものであり、公園等の施設内の道路a、街路樹(並木)のある歩道に面した車道、或いは歩道との間に植栽スペースが設けられた車道などでは、多くの葉bや小枝などが落下し、風や雨水にて集水枡上の導水口cに集められる。
落ち葉bは、通常は乾燥しているため、導水口cに堆積してもそれだけでは導水口cを閉塞することはない。
しかし、落ち葉bが雨水に濡れて湿潤状態になった場合には、導水口cにて圧縮されて塊状となり、導水口cを閉塞してしまう。
【0019】
これに対し、本発明の一実施例である図1及び図2に示す水処理構造は、集水枡1の外側に、雨水を導入して地下に浸透させる浸透枡2を隣接させている。
【0020】
集水枡1は、雨水を流入させて一部の雨水を貯留すると共に、その殆どの雨水を隣接する側溝3に流下させるか、或いは図示しない水処理施設に送って処理、貯水するものであって、既設の集水枡の側壁に外側の浸透枡2へ通ずる流入口4を穿設して使用してもよいし、新設のものを用いてもよい。
【0021】
この集水枡1の開口上部を覆う蓋材としては、縦片部分である縁石部5と横片部分であるエプロン部6とからなるL型街渠ブロック7が配されている。エプロン部6の上面は、縁石部5方向へ下り傾斜するように成形され、エプロン部6には雨水を集水枡1の内部に流入させるグレーチング(導水口8)が設けられ、さらに縁石部5には外側の浸透枡2へ通ずる案内口9が設けられている。
【0022】
前記L型街渠ブロック7は、普通コンクリートで形成され、縁石部5は道路脇側に位置し、エプロン部6は道路a側に位置するように配される。
【0023】
また、前述のようにエプロン部6の上面は縁石部5方向へ下り傾斜するように成形されているが、道路aも中央から脇側へ下り傾斜しているので、道路a上の雨水及び落ち葉等の固形物bはこの下り勾配によって道路中央から道路脇方向へ流れ、エプロン部6と縁石部5との隅部に集まるものとなる。
【0024】
前記の導水口8は、グレーチングを嵌め付けた構成であり、前記のようにエプロン部6の上面が縁石部5方向へ下り傾斜するので、ここに取り付けられる導水口8の上面も、縁石部5方向へ下り傾斜し、道路a上の雨水及び落ち葉等の固形物bは、エプロン部6と縁石部5との隅部、即ち案内口9の開口上部に集まるものとなる。
【0025】
前記の案内口9は、前述のように外側の浸透枡2へ通ずるものであり、雨水や落ち葉等の固形物を浸透枡2の内部に排出することができる。図示実施例の案内口9は、前記の導水口8の上面の下り傾斜の延長線に設けられており、この案内口9自体の内部底面もさらに下り傾斜している。
【0026】
新設した浸透枡2は、底面や側面の下部は、透水機能を有するポーラスコンクリート等よりなる透水ブロックにて形成され、開口上部が設けられる側面の上部は、非透水ブロックにて形成されている。側面下部の透水ブロックには、前記集水枡1の流入口4に通ずる流出口10を設けるようにした。側面上部の非透水ブロックには、前記集水枡1の案内口9に通ずる導入口11を設けるようにした。
【0027】
前記浸透枡2を配設するには、特に限定するものではないが、以下の手順にて容易に施工できる。
まず、適宜大きさに土壌を掘削し、その内壁面に透水シート12を配設する。
次に、底部に敷砂13を施工し、その上に単粒度砕石14を敷いて底塊フィルター15を設置し、その角部にモルタル16を打設して固定する。尚、底塊フィルター15は、透水機能を有するポーラスコンクリート等よりなる透水ブロックである。
その後、前記構成の透水ブロック及び非透水ブロックを設置して浸透枡2を所定位置に立設すると共にその周囲に単粒度砕石14を施工して隙間が生じないように充填する。
そして、予めコンクリート蓋を配設可能な開口上部17を形成した街渠ブロック18を載置した。
【0028】
このように施工される本発明の雨水処理構造では、雨水に混じって集水枡1上の導水口8に集められる落ち葉等の固形物bを、案内口9から外側へ排出して浸透枡2内へ導くことができ、集水枡1上の導水口8を閉塞することがない。そのため、道路上の落ち葉や小枝の除去、清掃を頻繁に行う必要がなく、管理費を低減できる。
【0029】
エプロン部6の上面及び導水口8の上面は、縁石部5方向へ下り傾斜するように成形されているので、雨水及び落ち葉等の固形物bはこの下り勾配によってエプロン部6と縁石部5との隅部に集まり、案内口9の開口上部に集まる。そのため、雨水及び落ち葉等の固形物bは、より案内口9から浸透枡2に流入されやすい。
【0030】
特に図示実施例の案内口9は、前記の導水口8の上面の下り傾斜の延長線に設けられ、この案内口9自体の内部底面もさらに下り傾斜しているため、案内口9に流入した雨水や落ち葉等の固形部bは、案内口9を閉塞することなく速やかに浸透枡2内に流入するものとなる。
【0031】
案内口9(導入口11)から浸透枡2に流入した雨水は、透水機能を有する側壁や底部の底塊フィルター15から周囲の単粒度採石14に浸透し、さらにその外側の周囲へと浸透する。短時間に多量の雨水が流入した場合には、流出口10(流入口4)から隣接する集水枡1に水をオーバーフローさせることができる。
流出口10(流入口4)から集水枡1に流入した雨水は、その殆どの雨水を隣接する側溝3に流下させるか、或いは図示しない水処理施設に送水することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の雨水処理構造の一実施例を及びその周辺を示す平面図である。
【図2】本発明の雨水処理構造の一実施例及びその周辺を示す断面図である。
【図3】従来の集水枡及びその周辺を示す平面図である。
【符号の説明】
【0033】
1 集水枡
2 浸透枡
4 流入口
5 縁石部
6 エプロン部
7 L型街渠ブロック
8 導水口
9 案内口
10 流出口
11 導入口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路脇に配設された既設又は新設の集水枡の外側に、雨水を導入して地下に浸透させる浸透枡を隣接させ、前記集水枡の開口上部を覆う蓋材として、縦片部分である縁石部と横片部分であるエプロン部とからなるL型街渠ブロックが配され、エプロン部の上面は縁石部方向へ下り傾斜し、エプロン部には雨水を集水枡の内部に流入させる導水口が設けられると共に縁石部には外側の浸透枡へ通ずる案内口が設けられていることを特徴とする閉塞物対策用雨水処理構造。
【請求項2】
請求項1に記載の雨水処理構造を用いた雨水処理方法であって、雨水を集水枡上のL型街渠ブロックに導いて導水口から集水枡内に流入させると共に雨水に混じって流入しようとする固形物を案内口から浸透枡に流入させることを特徴とする雨水処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−156975(P2008−156975A)
【公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−349139(P2006−349139)
【出願日】平成18年12月26日(2006.12.26)
【出願人】(303004716)マテラス青梅工業株式会社 (15)
【Fターム(参考)】