説明

閉栓キャップ、口栓ユニット及び口栓ユニットを備えた包装容器

【課題】閉栓キャップの用途に応じてプルーフバンドの変形量を変更可能にする。
【解決手段】閉栓キャップ16は、注出ピース14に螺合するキャップ本体44と、連結部60によってキャップ本体44と接続されるバンド46と、変形量調節手段とを備える。バンド46の少なくとも一箇所に分断部52が設けられ、分断部52が接続片54によって接続されている。注出ピース14に対して開栓方向にキャップ本体44を回転させると、バンド46の接続片54に対して開栓方向前側がキャップ本体44と共に回転される一方、バンドの開栓方向後側が、バンドの内周面に設けられた内側爪部と注出ピース14の外周面に設けられた外側爪部との係合により回転を阻止され、接続片54に周方向の力を作用させて破断させ、分断部52においてバンドを分断させる。さらに、変形量調節手段により、バンドを分断したときの変形量を調節することができるようになっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一旦開封されると開封されたことが分かるようにした改ざん防止機能付きの閉栓キャップ、口栓ユニット、及び口栓ユニットを備えた包装容器に関する。
【背景技術】
【0002】
包装容器には、内容物を注出するための注出口に、円筒状の注出ピースを取り付け、注出ピースの口部に閉栓キャップを螺合させ、閉栓するようにしたものがある。近年、このような閉栓キャップ付きの包装容器では、内容物の改ざん等を防止するために、一旦開封されると開封されたことが分かるようにした改ざん防止機能を閉栓キャップに付加することが多くなっている。
【0003】
改ざん防止機能を有した閉栓キャップには、キャップ本体にプルーフバンドが連結されており、閉栓キャップが開封されたときにプルーフバンドが注出ピース側に残るタイプと、閉栓キャップが開封されたときにプルーフバンドがキャップ側に残るタイプとがある。しかしながら、特に包装容器が使い切でない場合には、衛生面を考慮すると、注出ピース側にプルーフバンドが残るタイプより、キャップ側にプルーフバンドが残るタイプが望ましい。
【0004】
キャップ側にプルーフバンドが残るタイプとして、例えば、特許文献1〜3には、包装容器に取り付けられた注出部の口部に螺合される改ざん防止機能付きの開閉キャップが開示されている。これら開閉キャップは、注出部の外周面にねじ込まれるキャップ本体と、キャップ本体の下端に開閉キャップの周方向に延びるように設けられたバンドとを備え、バンドは、その周方向の少なくとも一ヶ所において分断されており、この位置において切断可能な接続片によって接続されている。さらに、バンドは、開閉キャップの開封方向において接続片の前側でキャップ本体の下端面と連結片によって連結されている。また、注出部には、複数のラチェットが設けられており、バンドの内周面には、開閉キャップの開封方向において接続片の後側に、ラチェットと係合する爪部が設けられている。そして、注出部に対して開閉キャップを開封方向に回転させると、注出部のラチェットがバンドの爪部に係合して接続片の後側に位置するバンドの部分が回転するのを妨げられる一方、開閉キャップの開封方向前側の部分にはキャップ本体から連結部を介して回転力が作用するので、接続片に周方向の力が作用して接続片が切断される。接続片が切断されると、連結部によってキャップ本体に連結されていない側のバンドの端部が下方に向けて変形する。これにより、開閉キャップが一旦開封されたか否かを確認することを可能とさせている。
【0005】
【特許文献1】特開2004−331124号公報
【特許文献2】特開2005−271922号公報
【特許文献3】特開2006−16050号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
近年、調味料などを収容した包装容器など閉栓キャップの開閉を繰り返す場合にも、改ざん防止付き閉栓キャップを使用するようになってきている。開封されたことをより明確に分かるようにするためには、閉栓キャップを開封した後のプルーフバンドの変形量を大きくすることが好ましい。一方、包装容器の内容物が飲料のように一度で飲みきる場合には、プルーフバンドの変形量を大きくしても問題とならないが、包装容器の内容物が調味料の場合など閉栓キャップの開閉を繰り返す用途では、大きく変形したプルーフバンドが邪魔になり、使用者に不便を与える場合がある。したがって、プルーフバンドの変形量は、閉栓キャップの用途に応じて変更することが望ましい。しかしながら、従来、閉栓キャップの用途に応じてプルーフバンドの変形量を変更するという発想は存在していなかった。
【0007】
よって、本発明の目的は、従来技術に存する問題を解消して、閉栓キャップの用途に応じてプルーフバンドの変形量を変更可能にすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は、注出ピースに螺合して該注出ピースを閉栓するキャップ本体と、該キャップ本体の口部の周縁に隣接して配置され連結部によって前記キャップ本体と接続されている環状のバンドとを備え、前記バンドを周方向に分断するように前記バンドの少なくとも一箇所に分断部が設けられ、該分断部が接続片によって接続されており、開栓方向に前記注出ピースに対して前記キャップ本体を回転させると、前記接続片に対して開栓方向前側の前記バンドの部分が前記キャップと共に回転される一方、前記接続片に対して開栓方向後側の前記バンドの部分が、前記バンドの内周面に設けられた内側爪部と前記注出ピースの外周面に設けられた外側爪部との係合により回転を阻止され、前記接続片に周方向の力が作用して前記接続片を破断させ、前記分断部において前記バンドを分断させるようにした閉栓キャップであって、前記バンドが分断したときの前記バンドの変形量を調節するための変形量調節手段をさらに備える閉栓キャップを提供する。
【0009】
また、本発明は、包装容器の注出口に取り付けられる注出ピースと、該注出ピースに螺合して該注出ピースを閉栓する閉栓キャップとを備え、該閉栓キャップが、前記注出ピースに螺合するキャップ本体と、該キャップ本体の口部の周縁に隣接して配置され連結部によって前記キャップ本体と接続されている環状のバンドとを含み、前記バンドを周方向に分断するように前記バンドの少なくとも一箇所に分断部が設けられ、該分断部が接続片によって接続されており、開栓方向に前記注出ピースに対して前記キャップ本体を回転させると、前記接続片に対して開栓方向前側の前記バンドの部分が前記キャップと共に回転される一方、前記接続片に対して開栓方向後側の前記バンドの部分が、前記バンドの内周面に設けられた内側爪部と前記注出ピースの外周面に設けられた外側爪部との係合により回転を阻止され、前記接続片に周方向の力が作用して前記接続片を破断させ、前記分断部において前記バンドを分断させるようにした口栓ユニットにおいて、前記閉栓キャップが、前記バンドが分断したときの前記バンドの変形量を調節するための変形量調節手段をさらに備える口栓ユニットを提供する。
【0010】
一つの実施形態では、前記変形量調節手段は、用途に応じて決定される前記連結部のバンド周方向の幅であり、前記連結部の幅を減少させることにより前記バンドの変形量を増大させ、前記連結部の幅を増加させることにより前記バンドの変形量を減少させる。
【0011】
他の実施形態では、前記バンドが、内周面に、内方に突出するように設けられた変形用突起を備え、前記注出ピースに対して開栓方向に前記キャップを回転させるときに、前記変形用突起が前記注出ピースの外側爪部に当接して前記連結部材を支点に前記バンドを外方に変形させるようになっており、前記変形量調節手段は、前記連結部に隣接して前記バンドの内周面に設けられた前記変形用突起の中心線と前記連結部の周方向の幅の中心線との相対位置関係であり、前記変形用突起の中心線を前記連結部の周方向の幅の中心線に対してオフセットした位置に配置することにより前記バンドの変形量を増加させることができる。前記変形用突起の中心線が、前記連結部の幅方向の中心線に関して非対称の湾曲周面を有するように形成されることにより、前記連結部の周方向の幅の中心線に対してオフセット配置されてもよい。
【0012】
さらに、本発明は、上述した口栓ユニットを備えた包装容器、並びに、この包装容器内に内容物を収容した内容物入り包装容器を提供する。
【発明の効果】
【0013】
本発明の閉栓キャップ、口栓ユニット及び口栓ユニットを備えた包装容器は、バンドの変形量を調節するための変形量調節手段を備えているので、用途に応じてバンドの変形量を変更することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図面を参照して、本発明の好ましい実施形態を説明する。
本発明の口栓付包装容器1は図11に示されるようなものであり、これに内容物を収容したものが、内容物入り包装容器である。口栓付包装容器1は、プラスチック等から作成された口栓ユニット10と、プラスチック等から作成された密閉袋形状の包装容器12とからなる。図1を参照すると、口栓ユニット10は、包装容器12の注出口に取り付けられる略円筒形状を有した注出ピース14と、注出ピース14に螺合され注出ピース14を閉栓する閉栓キャップ16とから構成される。注出ピース14は、包装容器12の外部に突出するように配置される略円筒状の口部18と、包装容器12の内部に挿入される略円筒状のストロー部20とを含む。口部18の外周面には、螺旋状の雄ねじ22が形成されており、閉栓キャップ16を螺合できるようになっている。また、口部18の下端部には、外周面から側方へ水平に延びる一対の扇状のストッパ24が設けられており、閉栓キャップ16の底面に当接して閉栓キャップの位置を規制するようにしている。一方、ストロー部20の下端には吸込み口26が設けられていると共に、ストロー部20の周壁部には、複数の長穴28が形成されており、包装容器12の内容物がこれら吸込み口26及び長穴28を通じてストロー部20内に流入できるようになっている。
【0015】
口部18のストッパ24とストロー部20との間には、注出ピース14の外周部から外方に向けて水平に延びる八角形平板状の三つの台座30,32,34と、台座34の下方に位置し包装容器12の注出口に嵌合する取付部36とが形成されている。三つの台座30,32,34のうち最もストッパ24に近いもの(図1中の最上部の台座30)は、ストッパ24から離間して設けられており、その外縁がストッパ24の外縁よりも外側に位置するように形成されている。取付部36は、包装容器12の注出口の周囲の包装材を貼り付け易いように外周部から両側方に向けて突出する一対の板状耳部38を備えていることが好ましい。ストッパ24と台座30との間の空間には、台座30の上面に沿って口部18の外周面から台座30の外縁に向けて延びる複数のリブ40、42が設けられている。
【0016】
一対のリブ40は、口部18の外周面から側方に正反対の方向に延びており、その先端がストッパ24の外縁を越えて突出し且つ最上部の台座30の外縁の内側に位置するようになっている。また、一対のリブ40の各々の先端は開栓方向と逆向き(すなわち、閉栓方向)に鉤状に屈曲している(図4を参照)。一方、一対のリブ42は、前述のリブ40の先端と基端との中間位置からそれぞれリブ40と直角を成して口部18の中心に関して点対称となるように延びており、その先端がストッパ24の外縁を越えて突出し且つ最上部の台座30の外縁の内側に位置するようになっている。一対のリブ42の各々は、リブ40の先端と基端との中間位置からリブ40と直角を成して延びているので、その先端は半径方向から開栓方向と逆向き(すなわち、閉栓方向)に傾いてストッパ24の外縁から突出している。これらリブ40、42の先端は、後述する閉栓キャップ16のバンドの内側爪部56、58と係合する注出ピース14の外側爪部41、43を構成する。
【0017】
閉栓キャップ16は、図2に示されているように、注出ピース14の口部18に螺合してこれを閉栓する略カップ形状のキャップ本体44と、キャップ本体44の口部の周縁に隣接して配置される環状のバンド46とを備える。キャップ本体44の内周面には螺旋状の雌ねじ48が形成されており、注出ピース14の口部18の外周面に形成された雄ねじ22に螺合させることができるようになっている。一方、キャップ本体44の外周面には、閉栓キャップ16の把持及び回転を容易にさせるために、周方向に等間隔で離間して設けられ各々が軸線方向に延びる複数のリブ50が形成されている。
【0018】
図3に示されているように、バンド46には、バンド46を周方向に分断するように、バンド46の少なくとも一箇所に分断部52が設けられており、分断部52を挟んで位置するバンド46の周方向端部同士が接続片54によって接続された状態になっている。図示されている実施形態では、バンド46が二つの分断部52によって二つのバンド部分46a,46bに分断されており、各分断部52を挟んで位置する二つのバンド部分46a,46bの周方向端部を接続片54で接続して環状のバンド46を形成している。
【0019】
各バンド部分46a,46bの内周面には、注出ピース14から閉栓キャップ16を外す方向(以下、開栓方向と記載する)に注出ピース14に対して閉栓キャップ16を回転させるときに注出ピース14の外側爪部43と係合する内側爪部56,58が形成されている。内側爪部56,58は開栓方向に屈曲して設けられている。なお、内側爪部56,58は、閉栓キャップ16の回転に抗する力を注出ピース14から効率的に伝達するために、図3に示されているように、一つのバンド部分46a,46bに対して複数(図示されている実施形態では、二つ)設けられることが好ましいが、一つのバンド部分46a,46bに対して単一の内側爪部56のみを設けてもよい。また、閉栓キャップ16の回転に抗する力が内側爪部56,58と外側爪部41,43との係合部を介してバンド46の接続片54に効率的に作用するようにするために、一つのバンド部分46a,46bの内側爪部56、58のうちの少なくとも一つの内側爪部56は、バンド46の分断部52又は接続片54に対して閉栓キャップ16の開栓方向後側(各バンド部分46a、46bの開栓方向先端側)の近傍に設けられていることが好ましい。
【0020】
キャップ本体44とバンド46とは、キャップ本体44の口部の周縁からバンド46に向かって延びる複数の連結部によって接続されている。各バンド部分46a,46bをキャップ本体44に接続する連結部は、主連結部60と補助連結部62とにより構成されている。補助連結部62は、主連結部60と比較して肉厚が薄く且つ幅が狭く、注出ピース14に対して閉栓キャップ16を回転させることにより外側爪部41,43と内側爪部56,58との係合部を介してバンド46に周方向の外力が作用した場合に容易に破断するようになっている。一方、主連結部60は、分断部52の近傍(例えば、図5に示されているように分断部52の周方向幅の中心から5°だけ離れた位置)に設けられており、注出ピース14に対して閉栓キャップ16を回転させることによりバンド46に周方向の外力が作用した場合でも破断せず、キャップ本体44とバンド46との接続を維持するように十分な肉厚及び幅を有している。主連結部60は、図2に示されているように、縦断面において略L字形状を有しており、キャップ本体44の口部の周縁からキャップ本体44の軸線方向にバンドに向かって延びる(図2における下方向に延びる)直立部60aと直立部60aに対して略垂直に延びバンド46の内周面に接続する水平部60bとにより構成されていることが好ましい。上記実施形態では、主連結部60及び補助連結部62によって連結部が構成されているが、主連結部60のみで連結部を構成してもよい。
【0021】
さらに、バンド46の内周面において、湾曲又は傾斜した周側面を有した変形用突起64が主連結部60に隣接して設けられていることが好ましい。変形用突起64は、閉栓キャップ16を開栓する際に、注出ピース14の外周部(特にストッパ24の外周部や外側爪部41,43など)に接触してバンド46を外方に向けて変形させる作用を発揮する。変形用突起64は、周方向位置において、少なくともその一部が主連結部60に重なる位置に設けられる。例えば、図2及び図3に示されている実施形態では、円弧状に湾曲した周側面を有した部分円筒形状の変形用突起64が、主連結部60の水平部60bの直下において、その幅方向(バンド46の周方向)の中心線と主連結部60の幅方向の中心線とが一致する位置に水平部60bと一体化して設けられている。
【0022】
次に、このような口栓ユニット10の使用方法について説明する。
注出ピース14は、そのストロー部20を包装容器12の注出口を通して包装容器12の内部に挿入して取付部36を注出口に嵌合させた状態で取付部36の耳部38に包装容器12の注出口の周囲の包装材を貼り付けることにより、包装容器12の注出口に取り付けられる。閉栓キャップ16が注出ピース14から取り外されているとき、包装容器12の内容物が注出ピース14のストロー部20に形成された吸込み口26及び長穴28を通して注出ピース14内に流入し、口部18から外部に放出することが可能になる。また、注出ピース14の口部18の外周面に形成された雄ねじ22と閉栓キャップ16のキャップ本体44の内周面に形成された雌ねじ48とを螺合させ注出ピース14の口部18に閉栓キャップ16を嵌合させれば、注出ピース14の口部18を閉栓することができる。
【0023】
注出ピース14に閉栓キャップ16を初めて螺合して注出ピース14の口部18を閉栓するとき、閉栓キャップ16は、図4に示されているように、バンド46の内周面に形成された内側爪部56,58がそれぞれ注出ピース14の外側爪部41,43に当接してこれを乗り越えるまで注出ピース14に対して閉栓方向(図4中の矢印と反対の方向)に回転させられる。なお、注出ピース14の外側爪部41,43の先端は閉栓方向(図4の矢印と反対方向)側に屈曲している一方、閉栓キャップ16のバンド46の内側爪部の先端は開栓方向(図4の矢印の方向)側に屈曲していることから、閉栓キャップ16を注出ピース14に対して閉栓方向(図4の矢印と反対方向)に回転させて閉栓キャップ16のバンド46の内側爪部56,58が注出ピース14の外側爪部41,43に接触しても容易にこれを乗り越えることができる。この位置まで注出ピース14に対して閉栓キャップ16を回転させると、閉栓キャップ16の閉鎖端部が注出ピース14の口部18の開口端部に密着し注出ピース14の口部18を閉栓することができるようになる。
【0024】
開栓する場合には、注出ピース14に対して閉栓キャップ16を開栓方向に回転させる。ところが、未開封の状態では、開栓方向側に屈曲している閉栓キャップ16のバンド46の内側爪部56,58の先端と閉栓方向側に屈曲している注出ピース14の外側爪部41,43の先端がラチェット歯のように係合してしまい、これを容易に乗り越えることはできなくなる。この状態から、注出ピース14に対して閉栓キャップ16をさらに開栓方向に回転させると、分断部52に対して開栓方向後側に位置するバンド46の部分が回転することを阻止される一方、分断部52に対して開栓方向前側に位置するバンド46の部分は、主連結部60によって接続されるキャップ本体44と共に回転しようとする。この結果、分断部52に設けられた接続片54に引張力が作用して破断する。同時に、補助連結部62も破断する。また、接続片54が破断する直前には、分断部52に対して開栓方向後側に位置するバンド46の部分が分断部52に対して開栓方向前側に位置するバンド46の部分に接続片54を通して接線方向の引張力を作用させるので、主連結部60を中心として開栓方向前側のバンド46の部分を外側に旋回、変形させる。接続片54及び補助連結部62が破断した後に閉栓キャップ16をさらに開栓方向に回転させると、主連結部60の水平部60bの下方に設けられた変形用突起64の傾斜又は湾曲した周側面が注出ピース14のストッパ24の外縁の角部や外側爪部41,43に接触し、主連結部60を中心として開栓方向前側のバンド46の部分を外側に旋回、変形させる。
【0025】
このようにバンド46が分断されることにより、閉栓キャップ16が一度開封されていることが認識できるので、バンド46が分断されていなければ未開封状態であり、バンド46が分断されていれば開封済み状態であると判断でき、改ざん防止機能を果たすことが可能になる。また、バンド46の接続片54が破断したことによる各バンド部分46a,46bの変形は、バンド46が破断しているか否かの認識を容易にする役目を果たす。
【0026】
ところで、バンド部分46a,46bの変形は、如何なる場合でも大きければよいものではなく、用途により変形量を調節できることが望ましい。特に、包装容器12を繰り返し使用し、閉栓キャップ16による開閉を繰り返す場合には、閉栓キャップ16の取り扱いの妨げとならないように、バンド46の変形量を小さくすることが好ましい。
【0027】
本出願人は、主連結部60の周方向の幅及び変形用突起64の中心線と主連結部60の中心線との相対位置関係を、バンド部分46a,46bの変形量を制御するための変形量調節手段として利用できることを見出した。すなわち、出願人は、主連結部60の周方向の幅を大きくすると、接続片54が切断されたときのバンド部分46a,46bの変形量が小さくなり、主連結部60の周方向の幅を小さくすると、接続片54が破断した後のバンド部分46a,46bの変形量が大きくなることを見出すと共に、主連結部60の周方向の幅の中心線に対して変形用突起64の中心線をオフセットして配置すると、両中心線が一致するように配置されている場合と比較して接続片54が破断した後のバンド部分46a,46bの変形量が大きくなることを見出した。
【0028】
以下、図5〜図10を参照して、主連結部60の周方向の幅の変更及び変形用突起64の中心線と主連結部60の中心線との相対位置関係の変更によりバンド部分46a,46bの変形量を調節する原理を説明する。
【0029】
図7に示されている閉栓キャップ16のバンド46の内側爪部56,58が注出ピース14の外側爪部41,43に係合した状態(説明の簡単化のために、注出ピース14の外側爪部41,43は省略されている)から、閉栓キャップ16をさらに開栓方向(図7の矢印方向)に回転させると、上述したように、分断部52に対して開栓方向後側に位置するバンド46の部分が分断部52に対して開栓方向前側に位置するバンド46の部分に接続片54を通して引張力を作用させる。一方、各バンド部分46a、46bは円周上に配置されているため、開栓方向後側のバンド46の部分が分断部52に隣接する開栓方向前側のバンド46の部分に対して作用させる引張力は半径方向内向きの成分を含むことになる。したがって、上記のような引張力が分断部52に対して開栓方向前側に位置するバンド部分46a又は46bの端部に作用すると、接続片54が破断する直前には、図8に示されているように、主連結部60の周方向幅の中心線66を中心として、バンド部分46a又は46bの開栓方向後側の部分が内側に旋回、変形し、バンド部分46a又は46bの開栓方向前側の部分が外側に、旋回、変形する。よって、図5の左側部分に示されているように、主連結部60の周方向の幅を大きくする(例えば角度幅で15°に設定する)ことにより、接続片54が破断した後に主連結部60がバンド部分46a,46bを元の状態に復帰させる力が大きくなり、バンド部分46a,46bの変形量が小さくなるのに対して、図5の右側部分に示されているように主連結部60の周方向の幅を小さくする(例えば角度幅で10°に設定する)ことにより、接続片54が破断した後に主連結部60がバンド部分46a,46bを元の状態に復帰させる力が小さくなり、バンド部分46a,46bの変形量が大きくなる。本発明は、このことを利用して、主連結部60の周方向の幅を変形量調節手段として使用し、用途に応じて閉栓キャップ16のバンド46の変形量を調節できるようにする。
【0030】
また、主連結部60の周方向幅の中心線66に対する変形用突起64の中心線68の相対位置関係もバンド部分の変形量に影響を与えることが分かった。例えば、主連結部60の中心線66に対する変形用突起の中心線68の相対位置は、図6の左側部分に示されているように円弧状側面を有した変形用突起64´の中心線68を主連結部60の中心線66に対してオフセットして配置することにより変更してもよく、図6の右側部分に示されているように変形用突起64″を主連結部60の中心線66に関して非対称となるように形成することにより変更してもよい。
【0031】
このように主連結部60の中心線66に対する変形用突起64´,64″の中心線66の相対位置関係がバンド部分46a,46bの変形量に影響を与えるのは、上述したようにバンド部分46a,46bは本来であれば主連結部60の中心線66を中心として変形しようとするが、厚くて剛性が高い変形用突起64´,64″の中心線68が開栓方向前側又は後側にずれることにより、変形の中心が変形用突起64´,64″の中心線68になるからであると推測される。例えば、図9に示されているように主連結部60の中心線66に対して変形用突起64´の中心68線が開栓方向(図中矢印の方向)の前側にオフセットして配置されるように変形用突起64´を設けた場合、変形の中心が主連結部60の中心線66に対して開栓方向前側に位置する変形用突起64´の中心線68になるので、主連結部60のうち分断部52に近い側の方がより内側に変形しやすくなり、変形用突起64の中心線68が主連結部60の中心線66と一致している場合(変形用突起46の場合)よりもバンド部分46a,46bの変形量が大きくなる。また、図10に示されているように主連結部60の中心線66に対して変形用突起64´の中心線68が開栓方向(図中矢印の方向)の後側にオフセットして配置されるように変形用突起64´を設けた場合、変形の中心が主連結部60の中心線66に対して開栓方向後側に位置する変形用突起64´の中心線68になるので、主連結部60のうち分断部52から遠い側の方が外側に変形しやすくなり、変形用突起64の中心線68が主連結部60の中心線66と一致している場合(変形用突起64の場合)よりもバンド部分46a,46bの変形量が大きくなる。したがって、切断片54が破断した後のバンド部分46a,46bの変形量を小さくしたい場合には、変形用突起64の中心線68が主連結部60の中心線66と一致するように変形用突起64を設け、切断片54が破断した後のバンド部分46a,46bの変形量を大きくしたい場合には、変形用突起64´又は64″の中心線68が主連結部60の中心線66に対して開栓方向前側又は後側にオフセットした位置に配置されるように変形用突起64´又は64″を設ければよい。
【0032】
このように本発明は、変形量調節手段により、用途に応じて閉栓キャップ16のバンド46の変形量を調節することができ、閉栓キャップ16を繰り返し使用する用途ではバンド46の変形量を小さくしてバンド46が使用の際に邪魔にならないようにすることができる一方、閉栓キャップ16を使い捨てにする用途ではバンド46の変形量を大きくして閉栓キャップ16が開封済みであることを使用者が容易に認識できるようにすることができる。
【0033】
以上、図示されている実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は図示される実施形態に限定されるものではない。例えば、図示されている実施形態では閉栓キャップ16のバンド46に二つの分断部52が設けられておりバンド46が二つのバンド部分46a,46bによって構成されているが、分断部52を一つだけ設けてもよく、また三つ以上の分断部52を設けてバンド46が三つ以上のバンド部分から構成されるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明による口栓ユニットの全体構成を示す斜視図である。
【図2】図1に示されている口栓ユニットの閉栓キャップの図3の線II−IIに沿った縦断面図である。
【図3】図2に示されている閉栓キャップの底面図である。
【図4】閉栓キャップの内側爪部に注出ピースの外側爪部が係合した状態を示す説明図である。
【図5】変形量調節手段の一実施形態を説明するための説明図であり、左側部分に相対的に周方向幅の広い連結部を示し、右側部分に相対的に周方向幅の狭い連結部を示している。
【図6】変形量調節手段の他の実施形態を説明するための説明図であり、左側部分に連結部の中心線に対して中心線がオフセットされた変形用突起を示し、右側部分に連結部の中心線に関して非対称の変形用突起を示している。
【図7】図3に示されている閉栓キャップのバンドの変形機構を説明するための説明図であり、変形前の状態を示している。
【図8】図3に示されている閉栓キャップのバンドの変形機構を説明するための説明図であり、変形後の状態を示している。
【図9】図5に示されている閉栓キャップのバンドの変形機構を説明するための説明図であり、変形用爪の中心線の位置が連結部の中心線に対して回転方向前方にオフセットされている場合の変形後の状態を示している。
【図10】図5に示されている閉栓キャップのバンドの変形機構を説明するための説明図であり、変形用爪の中心線の位置が連結部の中心線に対して回転方向後方にオフセットされている場合の変形後の状態を示している。
【図11】本発明による口栓ユニットを用いた口栓付包装容器の斜視図である。
【符号の説明】
【0035】
1 口栓付包装容器
10 口栓ユニット
12 包装容器
14 注出ピース
16 閉栓キャップ
22 雄ねじ
41 外側爪部
43 外側爪部
44 キャップ本体
46 バンド
46a,46b バンド部分
48 雌ねじ
52 分断部
54 接続片
56 内側爪部
58 内側爪部
60 主連結部
62 補助連結部
64 変形用突起
66 中心線
68 中心線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
注出ピースに螺合して該注出ピースを閉栓するキャップ本体と、該キャップ本体の口部の周縁に隣接して配置され連結部によって前記キャップ本体と接続されている環状のバンドとを備え、前記バンドを周方向に分断するように前記バンドの少なくとも一箇所に分断部が設けられ、該分断部が接続片によって接続されており、開栓方向に前記注出ピースに対して前記キャップ本体を回転させると、前記接続片に対して開栓方向前側の前記バンドの部分が前記キャップと共に回転される一方、前記接続片に対して開栓方向後側の前記バンドの部分が、前記バンドの内周面に設けられた内側爪部と前記注出ピースの外周面に設けられた外側爪部との係合により回転を阻止され、前記接続片に周方向の力が作用して前記接続片を破断させ、前記分断部において前記バンドを分断させるようにした閉栓キャップであって、
前記バンドが分断したときの前記バンドの変形量を調節するための変形量調節手段をさらに備えることを特徴とする閉栓キャップ。
【請求項2】
前記変形量調節手段は、用途に応じて決定される前記連結部のバンド周方向の幅であり、前記連結部の幅を減少させることにより前記バンドの変形量を増大させ、前記連結部の幅を増加させることにより前記バンドの変形量を減少させる、請求項1に記載の閉栓キャップ。
【請求項3】
前記バンドが、内周面に、内方に突出するように設けられた変形用突起を備え、前記注出ピースに対して開栓方向に前記キャップを回転させるときに、前記変形用突起が前記注出ピースの外側爪部に接触して前記連結部材を支点に前記バンドを外方に変形させるようになっており、前記変形量調節手段は、前記連結部に隣接して前記バンドの内周面に設けられた前記変形用突起の中心線と前記連結部の周方向の幅の中心線との相対位置関係であり、前記変形用突起の中心線を前記連結部の周方向の幅の中心線に対してオフセットした位置に配置することにより前記バンドの変形量を増加させる、請求項1に記載の閉栓キャップ。
【請求項4】
前記変形用突起の中心線が、前記連結部の幅方向の中心線に関して非対称の湾曲周面を有するように形成されることにより、前記連結部の周方向の幅の中心線に対してオフセット配置される、請求項3に記載の閉栓キャップ。
【請求項5】
包装容器の注出口に取り付けられる注出ピースと、該注出ピースに螺合して該注出ピースを閉栓する閉栓キャップとを備え、該閉栓キャップが、前記注出ピースに螺合するキャップ本体と、該キャップ本体の口部の周縁に隣接して配置され連結部によって前記キャップ本体と接続されている環状のバンドとを含み、前記バンドを周方向に分断するように前記バンドの少なくとも一箇所に分断部が設けられ、該分断部が接続片によって接続されており、開栓方向に前記注出ピースに対して前記キャップ本体を回転させると、前記接続片に対して開栓方向前側の前記バンドの部分が前記キャップと共に回転される一方、前記接続片に対して開栓方向後側の前記バンドの部分が、前記バンドの内周面に設けられた内側爪部と前記注出ピースの外周面に設けられた外側爪部との係合により回転を阻止され、前記接続片に周方向の力が作用して前記接続片を破断させ、前記分断部において前記バンドを分断させるようにした口栓ユニットにおいて、
前記閉栓キャップが、前記バンドが分断したときの前記バンドの変形量を調節するための変形量調節手段をさらに備えることを特徴とする口栓ユニット。
【請求項6】
前記変形量調節手段は、用途に応じて決定される前記連結部のバンド周方向の幅であり、前記連結部の幅を減少させることにより前記バンドの変形量を増大させ、前記連結部の幅を増加させることにより前記バンドの変形量を減少させる、請求項5に記載の口栓ユニット。
【請求項7】
前記バンドが、内周面に、内方に突出するように設けられた変形用突起を備え、前記注出ピースに対して開栓方向に前記キャップを回転させるときに、前記変形用突起が前記注出ピースの外側爪部に接触して前記連結部材を支点に前記バンドを外方に変形させるようになっており、前記変形量調節手段は、前記連結部に隣接して前記バンドの内周面に設けられた前記変形用突起の中心線と前記連結部の周方向の幅の中心線との相対位置関係であり、前記変形用突起の中心線を前記連結部の周方向の幅の中心線に対してオフセットした位置に配置することにより前記バンドの変形量を増加させる、請求項6に記載の口栓ユニット。
【請求項8】
請求項5から請求項7のいずれか一項に記載の口栓ユニットを備えた包装容器。
【請求項9】
請求項5から請求項7のいずれか一項に記載の口栓ユニットを備えた包装容器内に内容物を収容した内容物入り包装容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2008−308193(P2008−308193A)
【公開日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−157381(P2007−157381)
【出願日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【出願人】(000143880)株式会社細川洋行 (130)
【Fターム(参考)】