説明

開口を有する運搬容器の締付リングの係止システム

【課題】安全装置が、排気弁が開かれているときのみ締付リングの取り外しが可能となるようにすることで、カバーの取り外し時の安全を確保する。
【解決手段】この容器1には、カバー3を容器1に固定して開口4を封止する締付リング5が設けられ、カバー3は、排気弁7と安全装置10とを有し、排気弁7は、カバー3から突出し、安全装置10は、排気弁7が開かれているときのみ締付リング5の取り外しが可能となるように係止具11により締付リング5に係合する。安全装置10は、排気弁7に沿って延伸する第1の部分10bと、第1の部分10bから係止具11に延伸する第2の部分10aとを有する。カバー3は、排気弁7と安全装置10とを有し、安全装置10は、排気弁7が開かれているときのみ締付リング5の取り外しが可能となるように締付リング5に係合する。安全装置10は、排気弁7から完全に取り外すことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体の運搬容器を封止するのに用いられるような締付リングを係止するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
締付リング係止システムとしては、特許文献1に記載されたものがある。このシステムにおいて、圧力解放装置は、開口を封止するカバーから上方に突出している。安全手段の一部は、この圧力解放装置から水平に延出し、下方に進むボルトがこの安全手段の端部に設けられている。このボルトは、圧力解放装置内の孔により締付リングに係合する。
【0003】
この安全機構は、様々な点で不利である。この安全手段は変形することがあり、弁または安全手段の取り外しが非常に困難であるということが分かっている。さらに、弁および安全手段の交換が必要なときに、多大な費用がかかる。
【特許文献1】欧州特許出願公開第1215138号明細書
【発明の開示】
【0004】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたもので、より頑丈または経済的な締付リング係止システムを提供することを目的とする。
【0005】
この目的は、請求項1に係る容器および請求項11にかかる容器により解決される。
【0006】
有利な実施の形態は従属請求項に記載されている。
【0007】
締付リングが係止され得る安全装置は、互いに繋げられた二つの部分を有し、第1の部分は排気弁に沿って延伸し、第2の部分はこの第1の部分から締付リングが係止され得る係止具に向かって延伸している。この構成により、突出部がより強固となり、著しく変形しにくい設計が得られる。
【0008】
また、係止具を第2の部分から垂直に延伸させることができる。この設計により、係止具自体の変形がほぼ排除され得る。
【0009】
有利には、この係止具は、締付リングを経由して容器の例えばフランジ内に延伸する長さである。同時に、締付リングがフランジに対応する位置に固定されるため、締付リングを非常に良好に係止することができる。
【0010】
さらに有利には、安全装置は、リング状開口を有するリング部を有し、これにより排気弁のハウジング上を摺動し得る。よって、係止システムまたは安全装置の容易な組立および分解が可能となる。
【0011】
排気弁のハウジングには第2の係止具を設けることができる。この係止具は、この係止具が使用されるときのみ排気弁が機能するように排気弁の主部に繋げられている。そして、この係止具は、安全装置のリング部が離脱するのを防止する。このようにして、係止機構が取り外されるまで締付リングの解放をより確実に防止することができ、そして、それにより排気弁は、容器からガスを逃がすことができるようにされる。このようにして、締付リングの解放は、容器が圧力下にある限り防止される。
【0012】
有利な実施の形態では、締付リングを係止する係止具は、安全装置の第2の部分により完全に覆われる。これにより係止具が機構的動作から保護され、よって、システムの寿命が延びる。
【0013】
さらに、弁にリードシール(lead-seal)し得る手段が提供され得る。例えば、これは、リードシール(lead seal)が引き出され得る、排気弁のハウジング内の開口であり得る。これにより、例えば、排気弁の上部がハウジングにリードシール(lead-seal)され、これにより、リードシール(lead seal)が開かれたときのみ安全装置の取り外しが可能となる。よって、リードシール(lead seal)を検査して、容器の不正操作がなされていないこと、特に、弁、締付リング、マンホールのいずれも開かれていないことを確かめることができる。
【0014】
液体の容器は、締付リングを係止する安全装置を有する。締付リングは、弁が開かれているときのみ解放することができ、安全装置は、排気弁から完全に取り外し可能である。したがって、安全装置の変形が生じた場合は、弁および安全装置の双方を交換する必要がある場合を除いて、この安全装置のみを交換することができる。これにより、著しく経済的な操作が可能となる。
【0015】
有利には、取り外しは、工具を用いることなく行うことができ、取扱が簡単である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、添付図面を用いて本発明の好適な実施の形態について説明する。
【0017】
図1は、液体を保持可能な容器1を示す。この容器は通常、下端部に、または側壁の下方領域に排出口を有する。ただし、この排出口は、簡略化のためここには図示されていない。容器1は、容器の運搬に供する脚輪8を有することができる。他の運送手段、例えばフォークリフトなどの応用の可能性もあり得る。したがって、この容器は運送容器として形成され得るものである。
【0018】
容器1はタンク2を有し、タンク2は上端部に開口4を有する。この開口4の目的は、例えば保守作業や掃除などのためにタンク2の内部にアクセスできるようにすることである。開口4はマンホールとも呼ばれる。
【0019】
原則として、開口4は閉じられている。カバー3は、封止部材6と共にタンク2に載置され強固に封止され得るカバー3は、開口4を閉じる機能を有する。締付リング5は、カバー3をタンク2に押し当ててカバー3を保持する機能を有する。排気弁7はカバー3に設けられ、タンク2内の過剰圧力を解放してこの過剰圧力を制限する機能を有する。
【0020】
図2は、排気弁7および安全装置10を、締付リング5と共に立体略図で示したものである。排気弁7のハウジングは、カバー3から上方に垂直に延伸している。安全装置10は、排気弁7のハウジング上に設けられている。このため、安全装置10は、リング状または環状の開口を有するリング部10cを有する。ただし、リング状以外の形状(例えば、正方形、長方形、楕円形など)もあり得る。
【0021】
第1の部分10bは、リング部10cに繋げられ、この部分10bは排気弁7に沿って下方に延伸している。安全装置10の第2の部分10aは、第1の部分10bの下端部から水平に延伸している。係止具11は、安全装置10の第2の部分10aに設けられ、垂直に下方に延伸している。図2に示すとおり、係止具11は、安全装置10の第2の部分10aに完全に覆われている。
【0022】
締付リング5は、切り欠き溝12を有し、容器1は、切り欠き溝12内を案内され得るピン13を有する。切り欠き溝12およびピン13は、カバー3がタンク2上に固着される係止位置まで締付リング5を回転させることができるように相互作用する(図2参照)。さらに、締付リング5がカバー3と共にタンク2から取り外すことができる位置まで締付リング5を回転させることができる。係止具11は、係止具11が取り外された場合のみこの回転が可能となるように、この回転を防止する機能を有する。
【0023】
このような状態は図3aに示されている。ここでは、締付リング5、カバー3を通って延伸しタンク2に達する開口18を認識することができる。
【0024】
図2に示すとおり、第2の係止具15が延伸する主部14は、排気弁7の上方領域に設けられている。係止具15は、排気弁7のハウジングに挿入され得る。このため、ハウジングには、対応する切り欠き溝16が設けられている。この場合、係止具15は、係止具15が排気弁7に挿入されている限りリング部10cを排気弁7から引き出すことができないように設けられる。
【0025】
主部14には溝28が設けられている。主部14が挿入され係止具15で留められているとき、溝28は、排気弁7のハウジング内の2つの開口27と位置が合う。排気弁7のハウジング上で例えば閉じられるリードシール(lead seal)は、開口27から抜き取られ得る。よって、リードシール(lead seal)を取り外しまたは破損させることにより、主部14を、したがって係止具15を取り外すことができる。この結果、マンホールの封止の信頼性を検査することができる。主部14上にリードシール(lead seal)がありさえすれば、リードシール(lead seal)を破損させることなく主部14を取り外すことはできないので、溝28は必ずしも必要なものではない。しかし、溝28は、主部14がねじれることによりリードシール(lead seal)を破損させることなく係止具15を外すのを防止することができる。
【0026】
図3bは、交換可能な安全装置10のみを立体的に示したものである。
【0027】
図4は、排気弁7を、安全装置10、カバー3およびタンク2と共に示す断面図である。タンク2は、カバーの開口4の周囲に延伸するフランジ20を有する。封止部材21はフランジ20上に載置され、カバー3はこの封止部材21に押し当てられる。カバー3は締付リング5で固着される。組み立てられると、締付リング5、カバー3およびフランジ20は、相互に適切に重ねられる孔を有する。安全装置10の係止具11は、押されると、相互に重ねられる孔に挿入される。そして、係止具11は、容器のフランジ20に対する締付リング5またはカバー3のねじれを防止する。係止具11は、安全装置10の第2の部分10aにより覆われ、これにより変形から保護される。
【0028】
第2の部分10aは、カバー3の真上で安全装置10の第1の部分10bに繋げられている。この繋ぎは、組立時に十分なゆとりを与えるために、カバー3から離間していてもよい。この繋ぎは、カバー3と異なる凹部を有することができる。部分10a、10bは、湾曲していてもよいし、各部分の2つの端部が約90°折り曲げられていてもよい。部分10a、10bは、必ずしも1ピースでなくてもよく、幾つかの一直線のまたは平らな要素を組み合わせてなるものであってもよい。例えば、1ピースの第1の部分の代わりに、一定の角度で交差する2つの要素を有する2ピースの部分を設けてもよい。1つの要素は、好ましくは、90°から180°の角度で第1の部分に隣接する。2つの要素間の角度も、好ましくは90°から180°である。
【0029】
第2の係止具15に繋げられた主部14(図2参照)は、排気弁7のハウジング内に位置する。この主部14は、ばね23を圧迫し、ばね23は、封止要素22を圧迫する。封止要素22により、カバー3の開口25が封止される。封止要素22は、封止部材を有することができる。タンク2内の所望の過剰圧力があるときにその過剰圧力が解放されて一定の過剰圧力となるように封止要素22がばね力に抗して押し上げられるようなばね力を有するばね23が選択される。開口25から流出するガスは、排気弁7のハウジングの側面に設けられた開口26から周囲に出ることができる。
【0030】
締付リング5を開けるときは、まず、排気弁7の主部14を取り外すべきである。そのために、排気弁7は、係止具15により回転し、切り欠き溝16から上方に取り外される(図2参照)。これにより、排気弁7は非機能的となり、または完全に開放される。如何なる過剰圧力のときにも封止要素22が開口25を開放するように、ばね23により生じる封止要素22に対する圧力はなくなる。したがって、タンク2内の如何なる過剰圧力も、解放される。よって、タンク2の内部は常圧を維持する。
【0031】
主部14を取り外すことにより、安全装置10は、排気弁7のハウジングから上方に引き出すことができ、その結果、締付リング5が回転のために解放される。この設計により、排気弁7が解除された後にのみ締付リング5を開くことができる。
【0032】
これは、充填を行う者が容器を空にする者ではないような運送容器として特に有利である。後者は運送容器の技術的詳細を熟知している必要がなく、よって、容器が圧力下にあるときにマンホールを空けるといった操作ミスを防止する運送容器は、有利である。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】容器の断面略図
【図2】排気弁および安全装置の立体略図
【図3a】安全装置のない排気弁の立体略図
【図3b】安全装置
【図4】排気弁および安全装置を組み立てた状態の断面略図
【符号の説明】
【0034】
1 容器
2 タンク
3 カバー
4、18、25、26、27 開口
5 締付リング
6、21 封止部材
7 排気弁
10 安全装置
10a 第2の部分
10b 第1の部分
10c リング部
11、15 係止具
12、16 切り欠き溝
13 ピン
14 主部
20 フランジ
22 封止要素
23 ばね

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口(4)とカバー(3)とを有し、容器(1)にカバー(3)を固定して開口(4)を封止する締付リング(5)が設けられ、前記カバー(3)は、排気弁(7)と安全装置(10)とを有し、前記排気弁(7)は、前記カバー(3)から突出し、前記安全装置(10)は、前記排気弁(7)が開けられているときのみ前記締付リング(5)の取り外しが可能となるように係止具(11)により締付リング(5)に係合し、
前記安全装置(10)は、前記排気弁(7)に沿って延伸する第1の部分(10b)と、前記第1の部分(10b)から前記係止具(11)に延伸する第2の部分(10a)とを有することを特徴とする液体用容器(1)。
【請求項2】
前記第1および第2の部分(10a、10b)は、前記排気弁(7)の高さの好ましくは50%未満の高さで、より好ましくは25%未満の高さで、好ましくは10%未満の高さで、前記カバー(3)の真上で繋げられていることを特徴とする請求項1記載の容器。
【請求項3】
前記第2の部分(10a)は、前記カバー(3)の表面に平行に延伸していることを特徴とする請求項1または請求項2記載の容器。
【請求項4】
前記係止具(11)は、前記第2の部分(10a)から垂直に延伸していることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の容器。
【請求項5】
前記係止具(11)は、締付リング(5)を通って突出してタンク(2)に到達し、好ましくは前記タンク(2)に設けられたフランジ(20)に挿入されることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の容器。
【請求項6】
前記排気弁(7)のハウジング上を摺動自在なリング部(10c)は、前記第1の部分(10b)から延伸していることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の容器。
【請求項7】
前記リング部(10c)が前記ハウジングから引き出されるのを防止する第2の係止具(15)は、前記ハウジング上または前記ハウジング内に設けられていることを特徴とする請求項6記載の容器。
【請求項8】
前記第2の係止具(15)は、前記第2の係止具(15)が取り外されたときに前記排気弁(7)が非機能的となりまたは完全に開放されるように前記排気弁(7)の主部(14)に繋げられていることを特徴とする請求項7記載の容器。
【請求項9】
前記係止具(11)は、組み立てられた状態のときに前記第2の部分(10a)により完全に覆われることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれかに記載の容器。
【請求項10】
前記排気弁(7)はリードシール(lead-seal)され得ることを特徴とする請求項1から請求項9のいずれかに記載の容器。
【請求項11】
開口(4)とカバー(3)とを有し、前記カバー(3)を容器(1)に固定して前記開口(4)を封止する締付リング(5)が設けられ、前記カバー(3)は、排気弁(7)と安全装置(10)とを有し、前記安全装置(10)は、前記排気弁(7)が開かれているときのみ前記締付リング(5)の取り外しが可能となるように前記締付リング(5)に係合し、
前記安全装置(10)は、前記排気弁(7)から完全に取り外し可能であることを特徴とする液体用容器(1)。
【請求項12】
工具を用いずに前記取り外しができることを特徴とする請求項11記載の容器。

【図1】
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【図2】
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【図3a】
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【図3b】
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【図4】
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