説明

開口部装置

【課題】障子を閉めただけで自動的に施錠され優れた防犯性を有することに加えて、比較的構造が簡単で安価な補助錠を有する開口部装置を提供する。
【解決手段】開口部装置のサブロック30は、障子が閉まることを検知する当接部41と、ストッパ35とケース31の双方に係合する爪部42a、42aとを有するコマ部材40がストッパ35内に設けられている。サブロック30には、さらにストッパ35内に爪部42aのケース31に対する係合を外すための凸部36b、36bが設けられている。そして、当接部41が内障子8によって押されると、当接部41と一体である爪部42a、42aが共に移動し、凸部36b、36bによって爪部42a、42aのケース31に対する係合が外される。これにより、ストッパ35は、コイルバネ50の付勢力により突出し施錠状態となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、引き違いサッシ、片引きサッシ、両引きサッシ等のように、枠体内に設けられた障子が摺動することによって開閉する開口部装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、引き違いサッシなどには、例えば、クレセント錠のような施錠装置が設けられている。このクレセント錠は、内障子の召合せ框に錠本体を取り付けるとともに、外障子の召合せ框に錠受けを取り付け、錠本体を回動して錠受けに係合して施錠するものである。
しかしながら、このクレセント錠は、障子の一部を破って手を差し込み、簡単に解錠することが可能であるという問題がある。
そこで、クレセント錠が解錠されたとしても障子を開けることができないように、各種補助錠が提案されている。図15に従来の補助錠の一例であるサブロック100を示した。このサブロック100は、引き違いサッシの外障子の上框または下框の召合せ框近くに設けられるもので、ケース101と、このケース101内に出没可能であるように設けられているストッパ102とを備えている。そして、ストッパ102の一端部102aを押すと他端部102bが突出し、施錠状態となり、他端部102bを押すと、ストッパ102はケース101内に収容され、解錠状態に戻るように構成されている。
図15と同様のサブロックについて、特許文献1および特許文献2に開示されている。
【0003】
【特許文献1】特開2002−4670号公報
【特許文献2】特開2004−360313号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のような従来の補助錠は、障子を閉めた後、さらに手動で施錠しなければならないことから、施錠を忘れたり、面倒なため施錠しない可能性があり、防犯上好ましくない。
また、枠と障子間の両方に部材を取り付け、自動施錠可能なタイプの補助錠も知られているが、構造が複雑でコストが高い。
【0005】
本発明は、前記事情に鑑みて為されたもので、障子を閉めただけで自動的に施錠され、優れた防犯性を有し、加えて比較的構造が簡単で安価な補助錠を有する開口部装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するために、本発明の請求項1に記載の開口部装置は、開口部に枠体が設けられ、当該枠体に設けられた障子が当該枠体内を摺動することによって前記開口部を開閉する構造を有し、ケースと、前記ケースに出没可能に収容されるストッパと、前記ストッパを前記ケースから突出状態に駆動する駆動手段と、前記ストッパを前記ケースに収容された状態に保持する収容保持手段とを有し、前記ストッパが前記障子の摺動を阻止するように前記ケースから突出することで施錠状態となる補助錠が設けられている開口部装置であって、
前記補助錠には、前記障子により前記開口部が閉まることを検知する検知手段と、
前記検知手段によって前記開口部が閉まることが検知されると、前記収容保持手段によるストッパの保持を解除する解除手段が設けられ、
前記駆動手段は、前記解除手段によって前記収容保持手段によるストッパの保持が解除されると、前記ストッパを突出状態に駆動することを特徴とする。
【0007】
請求項1に記載の開口部装置によれば、駆動手段によって駆動されてストッパがケースから突出することで施錠状態となる補助錠には、ストッパをケースに収容された状態に保持する収容保持手段と、障子が閉まることを検知する検知手段と、検知手段によって障子が閉まることが検知されると収容保持手段による保持を解除する解除手段が設けられ、駆動手段は、解除手段によって収容保持手段によるストッパの保持が解除されるとストッパを突出状態に駆動するので、検知手段によって障子が閉まることが検知されると、解除手段によって収容保持手段によるストッパの保持が解除され、ストッパは駆動手段の駆動力によって突出し施錠状態となる。したがって、障子を閉めただけで自動的に施錠され、優れた防犯性を有する。
また、補助錠だけを設置すればよく、枠体と障子の双方に部材を設置しなければならない自動施錠装置などに比較すれば、簡単に構成することが可能であり、自動施錠でありながら安価な補助錠を有する開口部装置となる。
【0008】
検知手段としては、障子と接触することで動作して検知する機械的な検知手段でもよいし、接触または非接触による電気的・光学的なセンサであってもよい。
駆動手段としては、各種バネや、金属や樹脂などからなる弾性体などの他に、電動で作動する各種駆動手段が挙げられる。
収容保持手段としては、ストッパをケース内にとどめることができるものであればよく、例えば、ストッパおよびケースの一方または双方に設けられ、ストッパをケースに係合させるものである。また、ストッパやケースとは別の部材であって、ストッパとケースの両方に係合するものでもよい。
解除手段としては、単独の部材からなるものでもよいし、ケースやストッパに設けられていてもよい。また、検知手段が機械的検知手段であれば、検知手段の検知動作が機械的に伝えられることで解除動作を行うように構成されていてもよいし、機械的・電気的検知手段のいずれでも電気的な検知信号を受けたならば、電動で解除動作を行うように構成されていてもよい。さらに、検知を受けて、収容保持手段が、解除手段に接触したり係合したりすることで、保持を解除させるように構成してもよい。
【0009】
また、請求項2に記載の開口部装置は、 前記補助錠は、前記障子もしくは前記枠体に対して移動しない固定部材に設けられるとともに、前記開口部を少しでも開いた場合に前記障子と障子、もしくは前記障子と前記固定部材とが互いに重なる位置で、かつ、前記開口部を閉じた場合に前記障子と障子、もしくは前記障子と前記固定部材とが重ならない位置に配置され、
前記検知手段は、前記障子が前記開口部を開いた状態から閉じた状態に移動する際に、前記補助錠の位置に重なる前記障子もしくは前記固定部材に接触して相対的に前記開口部を閉じる方向に押された後に、前記開口部が閉じて前記障子もしくは前記固定部材と接触しない状態となることで前記障子が閉まることを検知し、
前記収容保持手段は、前記検知手段と一体に形成されるとともに、前記ストッパを前記ケースに収容した状態に保持する保持位置と、前記ストッパを前記ケースから突出させる解除位置との間で移動自在とされ、かつ、前記検知手段が前記開口部を閉じる方向に押されると保持位置から解除位置に移動し、
前記解除手段は、前記収容保持手段が前記解除位置に移動すると、前記収容保持手段による前記ストッパの保持を解除することを特徴とする。
【0010】
請求項2に記載の開口部装置によれば、検知手段は例えば障子により開口部を閉じる方向に押されることで前記障子が閉まることを検知し、収容保持手段は、検知手段と一体に形成され、検知手段が開口部を閉じる方向に押されると解除位置に移動し、そこで解除手段によってストッパの保持が解除されるので、検知手段と収容保持手段が一体で、検知手段の検知時の動作により収容保持手段も移動し、解除手段により保持が解除され、施錠状態となる。すなわち、障子の閉まるときの力を利用して、検知動作と解除動作の両方を行わせ、施錠状態になる。したがって、簡単な構造で自動施錠できる安価な補助錠を有する開口部装置となる。
【0011】
なお、開口部装置としての引き違いサッシでは、開口部を開けた際に障子と障子が互いに重なり、開口部を閉じた際に障子の召合せ框(一方の縦框)を除いて互いに重ならない状態となる。
また、片引きサッシや両引きサッシでは、例えば、開口部を開けた際に枠体に固定されたガラス枠等の固定部材と障子とが重なり、開口部を閉じた際に障子の一方の縦框を除いて互いに重ならない状態となる。したがって、補助錠は、例えば、障子を閉じた際に他の障子もしくは前記固定部材と重なる一方の縦框の近傍に設けられる(縦框に重ならない部分があれば、縦框の重ならない部分に設けてもよい)。また、補助錠を前記固定部材に設けた場合には、開口部を締めた状態で障子の一方の縦框の近傍に補助錠を配置する。
【0012】
また、請求項3に記載の開口部装置は、請求項1または請求項2に記載の開口部装置において、前記補助錠は、前記ケースに対して着脱自在であって、かつ、前記ケースに取り付けた際に前記ストッパの突出を防止し施錠状態となることを阻止する施錠阻止手段を備えていることを特徴とする。
【0013】
請求項3に記載の開口部装置によれば、補助錠は、ケースに着脱自在で、ストッパの突出を防止する施錠阻止手段を備えているので、居住者が施錠状態にしたくないとき、例えば開口部装置を開けてベランダや外に出たときなどに、施錠阻止手段をケースに取り付けるだけで不用意に施錠されることなどを防ぐことができる。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に記載の開口部装置によれば、検知手段によって障子が閉まることが検知されると、解除手段によって収容保持手段によるストッパの保持が解除され、ストッパは駆動手段によって突出し施錠状態となるので、障子を閉めただけで自動的に施錠することができ、優れた防犯性を有する。
また、補助錠だけを設置すればよく、枠体と障子の双方に部材を設置しなければならない自動施錠装置などに比較すれば、比較的簡単に構成することが可能であり、自動施錠であっても安価な補助錠を有する開口部装置となる。
【0015】
請求項2に記載の開口部装置によれば、検知手段と収容保持手段が一体で、障子を閉じた際の検知手段の検知時の動作により収容保持手段も保持位置から解除位置に移動し、そこで解除手段によりストッパの保持が解除されるので、障子が閉まるときの力を利用して、検知動作と解除動作の両方を行わせ、施錠状態にできる。したがって、簡単な構造で自動施錠できる安価な補助錠を有する開口部装置となる。
【0016】
請求項3に記載の開口部装置によれば、補助錠は、ケースに着脱自在で、ストッパの突出を防止する施錠阻止手段を備えているので、居住者が施錠状態にしたくないとき、施錠阻止手段をケースに取り付けるだけで施錠されることを防ぐことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1は本実施の形態の引き違いサッシ(開口部装置)を室内側から見た正面図である。
この2枚建ての引き違いサッシは、上枠1、下枠2および左右の縦枠3、4からなる枠体5と、この枠体5に水平移動自在に設けられた外障子(障子)7および内障子(障子)8とを備えている。外障子7は、中空の上框11、下框12、戸先框13および召合せ框14により方形の框組体15が組み立てられ、この框組体15に複層ガラス16が組み込まれて構成されている。また、内障子8は、中空の上框21、下框22、戸先框23および召合せ框24により方形の框組体25が組み立てられ、この框組体25に複層ガラス16が組み込まれて構成される。
上枠1、下枠2および左右の縦枠3、4、上框11、下框12、戸先框13および召合せ框14、ならびに上框21、下框22、戸先框23および召合せ框24は、例えば、アルミニウム合金製の押出形材からなる。
この引き違いサッシの中央には、外障子7の召合せ框14に取り付けられた錠受けと、内障子8の召合せ框24に取り付けられた錠本体とから構成され、錠本体を回動させて錠受けに係合することで施錠するクレセント錠18が設けられている。
【0018】
この引き違いサッシには、クレセント錠18に加えて、外障子7の下框12にサブロック(補助錠)30が設けられている。以下、サブロック30の詳細について図2〜図14を参照しながら説明する。図2は、サブロック30の斜視図で、(a)は解除状態、(b)は施錠状態を示す。このサブロック30は外観上横長の矩形状に形成され、下框12に取り付けられるケース31と、このケース31内に収納されているストッパ35およびコマ部材40を備えている。以下の説明における上下、前後、左右は、図2で示した上下方向、前後方向、左右方向である。
【0019】
ケース31は、図3(a)に示すように、ケース枠32とケース本体33から構成される。
ケース枠32は、薄く形成された枠体で、矩形状の長穴32aを有している。この長穴32aに対して、ストッパ35が出没自在にはめ込まれるようになっている。
ケース本体33はケース枠32の裏面側に固定されるもので、略直方体状の箱である箱体33aとコ字状に形成されているコ字枠33bとから構成される。
箱体33aは、ストッパ35の左部35hが収められるもので、底を有する。この底に、図5〜図14に示すように、ストッパ35を付勢するためのコイルバネ(駆動手段)50が取り付けられている。
箱体33a内の左側壁部には、ストッパ35の左端面の角部35fが係止できるように、段になっている係止部33fが形成されている(図5(a)などを参照)。さらに、その前には、後述のロック阻止部材45を差し込むための差込口33gが設けられている(図5(a)などを参照)。
また、箱体33aの上下壁部にはそれぞれ、丸穴33c、33cが設けられている。これら丸穴33c、33cにストッパ35の軸35d、35dが回動可能に嵌め込まれるようになっている。
この箱体33aのケース枠32よりの右端部には、箱体33a側を開口とするコ字状に形成されたコ字枠33bが、箱体33aと一体に設けられている。このコ字枠33bはケース枠32の右半分と重なっていることから、ケース31の右半分は底がない状態になっている。
このコ字枠33bの上下壁部には、コマ部材40の爪部42a、42aが係合する横長の長方形状のケース係合穴33d、33dが設けられている。
なお、ケース本体33には、ケース31を下框12の取付穴に取り付ける際に、取付穴の上下の周縁部に形成された図示しない上下三つずつの係合片をケース枠32との間に挟みこんで、ケース31を下框12に固定するための取付板34a、34b、34cが設けられている。
【0020】
ストッパ35は、図3(b)および図3(c)に示すように、正面から見ると矩形状に形成され、前後方向に厚みのある左部35hとより薄い右部35iとからなる。ストッパ35は、ケース31に、ケース枠32の長穴32aからストッパ35の前面35aが突出しないように収容される。
ストッパ35の上下壁部にはそれぞれ、外方に突出するように、軸35dが設けられている。これら軸35d、35dはそれぞれ、前記箱体33aの丸穴33c、33cに嵌め込まれ、これによりストッパ35は、軸35d、35dを中心にケース31に対して回動可能になっている。
加えて、ストッパ35の左部35hの後面には、前方に向かうように、箱体33aの底に取り付けられているコイルバネ50を収納するためのバネ孔35gが設けられている(図5(a)など参照)。ストッパ35は、バネ孔35gに収納されたコイルバネ50によって、軸35d、35dを中心に、上から見て時計方向に回動するように付勢されるようになっている。そして、この回動により右端面35eが突出すると、内障子8の開閉経路に侵入し、開口部装置の開放を阻止するようになっている。
ストッパ35の左端の後部には、ケース31の箱体33a内部の係止部33fに係止される角部35fが形成され、ストッパ35の時計方向の回動は角部35fが係止部33fに係止されて止められるようになっている。
なお、前面35aの中央部分には、ローレット切りなどによりぎざぎざが形成され、手で触った際に滑らない操作面35cになっている。
【0021】
ストッパ35の右部35iの後ろ側には、図4(a)に示すように、コマ部材40を収納するための収納部36が設けられている。収納部36の上下壁部にはそれぞれ、コマ部材40の爪部42a、42aが係合するストッパ係合穴36a、36aが、細長い長方形状に形成されている。このストッパ係合穴36a、36aは、ストッパ35がケース31に収容されるとき、ケース31のケース係合穴33d、33dと重なる位置に設けられる。
また、収納部36の内壁には、凸部(解除手段)36b、36bが対向するように設けられている。さらに、ストッパ35の前面35aには、ストッパ35の長さ方向に細長く、収納部36にまで貫通した状態で細穴35bが設けられ、この細穴35bにコマ部材の当接部41が挿入されるようになっている。
加えて、収納部36の右側の壁部には、コマ部材40を左方向に付勢するためのコイルバネ51の一端部が取り付けられている。
【0022】
コマ部材40は、薄型の略直方体形に形成された支持体40aと、内障子8に当接される当接部41と、前記支持体40aの上下両側部から伸びている脚部42、42とから構成される。
支持体40aの右面には、前記コイルバネ51が嵌入されるバネ孔40bが設けられている。コマ部材40は、コイルバネ51により左方に付勢されるようになっている。
当接部(検知手段)41は、上下方向から見ると三角形の板状に形成され、三角形の頂点を前方に向け、かつ、底辺を支持体40aの左右方向に合わせて、支持体40aの中央に設けられている。この当接部41はストッパ35の細穴35bから突出して、頂点を挟んで形成される右側部41a、左側部41bに開閉動作を行う内障子8が当接可能になっている。
【0023】
また、2つの脚部42は、上下に薄い棒状に形成され、前後に撓んで弾性変形可能となっている。各脚部42の支持体40aとの接続部分には、内側にやや凹んでいる凹部42cが形成されている。これら2つの凹部42cに、ストッパ35の収納部36の2つの凸部36bが入り込むようになっている。
脚部42、42それぞれには、上下方向の外側に向かって、爪部(収容保持手段)42aが設けられ、各爪部42aは先端に向かって薄くなるように後ろ側に傾斜面42bを有する。爪部42a、42aはそれぞれ、前記ストッパ係合穴36a、36a、およびケース係合穴33d、33dに係合可能である。
【0024】
コマ部材40は、ストッパ35の収納部36に対して、図3(d)および図4(a)に示すように、バネ孔40bにコイルバネ51を嵌入させ、脚部42、42の凹部42c、42cを凸部36b、36bに合わせ、爪部42a、42aをストッパ係合穴36a、36aに係合させ、当接部41を、その頂点が前面35aから出るように細穴35bに挿入させて、収納される。このとき、コマ部材40はコイルバネ51によって左方に付勢されている。
なお、ストッパ35の収納部36はコマ部材40よりも、左右方向にわずかに長く形成されているので、その分だけコマ部材40はストッパ35に対して左右方向に移動できるようになっている。これに合わせてストッパ35の細穴35bも、コマ部材40の当接部41よりも左右方向において少し長く形成されている。
一方、前後方向については、コマ部材40はストッパ35に対して移動できないことから、ストッパ35とコマ部材40は一体に動作するようになっている。
【0025】
図3(d)の状態のストッパ35を、ケース31内に組み込んで、図2(a)に示すサブロック30が得られる。このとき、ストッパ35のバネ孔35gに、ケース31の箱体33a底に取り付けられているコイルバネ50が挿入され、ストッパ係合穴36aに係合している各爪部42aはケース係合穴33dにも係合する。
図2(a)のサブロック30は解錠状態であり、ストッパ35は、2つの爪部42aがそれぞれ、ストッパ係合穴36aおよびケース係合穴33dに係合していることから、右端面35eが突出できないようになっている。
この状態で、コマ部材40の当接部41が右方に押されると、コイルバネ51の付勢力に抗してコマ部材40がストッパ35の収納部36内の所定の位置まで右に移動する。このとき、図4(b)に示すように、収納部36の2つの凸部36bに各脚部42が押されて内側に撓んで、各爪部42aは引っ込みケース係合穴33dから外れるようになっている。これにより、ストッパ35とコマ部材40は、ケース31に対して軸35d、35dを中心に回動自在となる。したがって、何も外力がかからなければ、ストッパ35は、コイルバネ50の付勢力により右端部35eが突出し、図2(b)に示す施錠状態になるようになっている。しかし、逆方向に回動させる力がかかれば、つまり、ストッパ35やコマ部材40を後方に押す力が作用すると、コイルバネ50に抗して、後方に回動するようになっている。ケース31の右半分には開口を有するコ字枠33bが形成されているので、ストッパ35の右部35iが後方に回動したとき、前記開口に入り込むことができるようになっている。
なお、図4(b)に示すように、各脚部42が撓んで爪部42aがケース係合穴33dから外れるときも、爪部42aは、ストッパ35のストッパ係合穴36aに対して、係合しているようになっている。つまり、2組のストッパ係合穴36aと爪部42aは常に係合している。
【0026】
ところで、2つの爪部42aには、先端に行くほど薄くなるように後ろ側に傾斜面42bが形成されている。また、爪部42aはストッパ係合穴36aに係合した状態で、さらに外側のケース係合穴33dに係合することから、ケース係合穴33dに対しては、爪部42aの薄くなった先端で係合することになる。
加えて、ストッパ35がコイルバネ50によって前方向に付勢されていることから、ストッパ35内のコマ部材40の爪部42aは、ケース係合穴33dに対して、ケース係合穴33dの前側に突き当てられるように係合する。したがって、ケース係合穴33dに係合した状態の爪部42a先端の後ろ側には、ケース係合穴33dとの間にあそびがある。
解錠状態で内障子8を開けるとき、内障子8はコマ部材40の当接部41に当接するが、前記あそびの分だけコマ部材40とストッパ35はケース31内に沈んで、内障子8の開放を妨げないようになっている。
【0027】
サブロック30は、ケース31を、下框12に設けられた取付穴などに固定し、前記差込口33gが露出するように設置される。
【0028】
上記のような開口部装置においては、開放状態の内障子8を閉める時に、サブロック30は以下のように自動的に解錠状態から施錠状態になる。
内障子8を閉めるとき、内障子8は、図5(a)の矢印で示すように、左から右に摺動する。ほとんど閉まると、内障子8の召合せ框24がサブロック30の前に位置し、召合せ框24の外障子7側の縁部24aが、ストッパ35から突出している当接部41に接近する。
そして、図5(b)に示すように、さらに内障子8が閉まることで、縁部24aが当接部41に当接し、これを右方に押す。コマ部材40は、コイルバネ51の付勢力に抗してストッパ35内を右方に移動し、図4(b)に示すように、脚部42、42が凸部36b、36bにより押されて内側に撓み、爪部42a、42aが引っ込んでケース係合穴33d、33dから外れる。これにより、ストッパ35のケース31に対する係止が外れ、ストッパ35とコマ部材40はケース31に対して回動可能となる。
さらに縁部24aは当接部41を押すことから、図6(a)に示すように、コマ部材40とともにストッパ35は反時計方向に回動し、当接部41は内障子8の開閉路から退く。
【0029】
図6(b)に示すように、内障子8がさらに閉まり召合せ框24が当接部41を通り過ぎようとすると、ストッパ35はコイルバネ50の付勢力により時計方向に回動し始める。
さらに内障子8が閉まれば、図7に示すように、召合せ框24は完全に当接部41から離れ、ストッパ35は、その角部35fがケース31内の係止部33fに係止されるまで回動し、右端面35eが突出し施錠状態となる。同時に、コマ部材40はコイルバネ51の付勢力により左方に戻り、爪部42aは少し弾性復帰するが、ケース枠32の内側に接した状態で止められる(図2(b))。
この施錠状態で、外障子7や内障子8を開けようとしても、ストッパ35の右端面35eが内障子8の召合せ框24にぶつかり、開けることはできない。
【0030】
上記のように障子7,8が閉められ、施錠された開口部装置において、内障子8を開ける際、サブロック30は以下のように解除され、動作する。
まず、図7の施錠状態で、ストッパ35の操作面35cを押してストッパ35をコイルバネ50に抗してケース31に押し込むと、爪部42aは弾性復帰してケース係合穴33dに係合し、図8(a)の解錠状態に戻る。そして、内障子8を矢印で示す左方向に開け始める。
まず、図8(b)に示すように、内障子8の召合せ框24が、当接部41の右側部41aに当接する。さらに内障子8が開くと、図9(a)に示すように、召合せ框24により当接部41が後方に押される。コマ部材40の各爪部42aが、前述のようにケース係合穴33dに対して後方にあそびがある状態で係合しているので、そのあそびの分だけ、コマ部材40と共にストッパ35も反時計方向に回動し後方に退き、やがて、召合せ框24が当接部41から離れると(図9(b))、ストッパ35はコイルバネ50の付勢力により元に戻る。
【0031】
本実施の形態の開口部装置のサブロックは、上記のように自動的に施錠されることを特徴とするが、施錠が不要な場合には自動的に施錠されないように変更できる。
サブロック30は、付属品として、図10から図14に示すロック阻止部材(施錠阻止手段)45を備えている。ロック阻止部材45は、薄型の略直方体状に形成され、指が少し入る程度のくぼみ45bを有し、縁部45cに指をかけて取り扱いできるようになっている。
ロック阻止部材45の先端には、ケース31の箱体33aの差込口33gに挿入可能で、かつ、ストッパ35の回動を阻止するための阻止部45aが設けられている。ロック阻止部材45は、阻止部45aを差込口33gに挿入することで、サブロック30に取り付けられるようになっている。
サブロック30に取り付けられた状態のロック阻止部材45は、ケース31内の係止部33fとストッパ35の角部35fとの間に入り込み、これによりケース31から突出状態となるようなストッパ35の時計方向への回動を阻止するようになっている。
【0032】
ロック阻止部材45を取り付けた場合、内障子8を閉める際、サブロック30は以下のように動作する。
内障子8は、左から右に摺動しながら、ほとんど閉まると、図10(a)に示すように、内障子8の召合せ框24の縁部24aが、ストッパ35から突出している当接部41に接近する。
そして、図10(b)に示すように、さらに内障子8が閉まることで、縁部24aが当接部41に当接し、これを右方に押す。これにより、コマ部材40は、コイルバネ51の付勢力に抗してストッパ35内を右方に移動し、コマ部材40の脚部42、42が内側に撓み、各爪部42aが引っ込んでケース係合穴33dから外れ、これによりストッパ35とコマ部材40はケース31に対して回動可能となる。
さらに縁部24aは当接部41を押すことから、図11(a)に示すように、コマ部材40とともにストッパ35は反時計方向に回動し、当接部41は内障子8の開閉路から退く。
【0033】
次に、図11(b)に示すように、内障子8がさらに閉まり召合せ框24が当接部41から離れる時、ストッパ35はコイルバネ50の付勢力により時計方向に回動するが、ロック阻止部材45の阻止部45aに角部35fが当接したところで、それ以上時計方向に回動できないまま、コマ部材40はコイルバネ51の付勢力により左方に戻り、2つの爪部42aは弾性復帰しケース係合穴33dに係合する。
さらに内障子8が閉まれば、図12に示すように、召合せ框24は完全に当接部41から離れる。ストッパ35の右端面35eは突出せず、サブロック30は解錠された状態のままであるので、外障子7や内障子8を開けることができる。
【0034】
逆に内障子8を開ける際、ロック阻止部材45付きのサブロック30は図8および図9と同様に動作する。
すなわち、サブロック30は解錠状態であるので操作する必要はなく、図13(a)に示すように、内障子8を矢印で示す左方向に開き始める。
次ぎに、図13(b)に示すように、内障子8の召合せ框24が、当接部41の右側部41aに当接する。さらに内障子8が開くと、図14(a)に示すように、召合せ框24により当接部41が後方に押される。コマ部材40と共にストッパ35は、各爪部42aとケース係合穴33dとのあそびの分だけ、反時計方向に回動する。やがて、召合せ框24が当接部41から離れ(図14(b))、ストッパ35はコイルバネ50の付勢力により元に戻る。
【0035】
以上のように、本実施の形態の開口部装置においては、サブロック30のストッパ35には、障子が閉まることを検知する当接部41と、ストッパ35とケース31の双方に係合してストッパ35をケース31に収容された状態に保持する爪部42a、42aとを有するコマ部材40が設けられ、さらに爪部42aのケース31に対する係合を外すための凸部36b、36bが設けられているので、当接部41によって障子が閉まることが検知され、つまり当接部41が内障子8によって所定方向に押されると、当接部41と一体である爪部42a、42aが所定位置まで移動し、凸部36b、36bによって爪部42a、42aのケース31に対する係合が外され、ストッパ35は、コイルバネ50の付勢力により突出し施錠状態となる。したがって、障子を閉めただけで自動的に施錠され、優れた防犯性を有する。
加えて検知手段である当接部41と収容保持手段である爪部42a、42aとを一体に構成し、障子が閉まるときの力を利用して、検知するとともに爪部42a、42aの係合を外し、施錠状態にしているので、自動施錠でありながら簡単な構造を有し安価なサブロック30を有する開口部装置となる。
【0036】
さらに、本実施の形態の開口部装置においては、サブロック30は着脱自在なロック阻止部材45を備えているので、居住者が施錠状態にしたくないとき、例えば開口部装置を開けてベランダや外に出るときなど、ロック阻止部材45をケース31に取り付けるだけで、不用意に施錠されることなどを防ぐことができる。なお、ロック阻止部材45をケース31に着脱自在とな状態とするために、下框12に移動自在に取り付けられているものとしてもよい。
【0037】
なお、本実施の形態では、サブロックを下框に設けたが、上框に設けてもよい。
加えて、本実施の形態では、開口部装置として引き違いサッシを挙げたが、本発明は、片引きサッシや両引きサッシや上げ下げ窓のような障子が枠体内を摺動することで開閉する構造を有する開口部装置に適用することができる。
なお、補助錠は、基本的には障子に設けられるが、例えば、片引きサッシや両引きサッシ等において、補助錠を移動する障子ではなく、枠体に対して移動しない固定部材に補助錠を設けるものとしてもよい。この場合も、補助錠の基本的にな構成は上記例と同様となり、例えば、引き違いサッシの2つの障子のうちの一方だけを開閉移動させた際に、動かさない他方の障子に補助錠を設けたのとほぼ同じ状態となる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明に係る開口部装置の一例を示すもので、開口部装置の室内側からの正面図である。
【図2】同、開口部装置に設けられるサブロックを示す斜視図で、(a)は解錠状態を示す図、(b)は施錠状態を示す図である。
【図3】同、サブロックの構成部品を示す斜視図で、(a)はケースを示す図、(b)はストッパとコマ部材を示す図、(c)は(b)とは異なる角度から見たストッパとコマ部材を示す図、(d)はストッパにコマ部材を組み込んだ状態を示す図である。
【図4】同、ストッパ内部のコマ部材の状態を示す横断面図であり、(a)はコイルバネによって左方に付勢された状態を示す図、(b)はコイルバネに抗して右方に移動し脚部が撓んでいる状態を示す図である。
【図5】同、内障子が閉まる際のサブロックの動作を示す横断面図であり、(a)はサブロックに内障子が接近した状態を示す図、(b)は召合せ框がコマ部材の当接部に当接した状態を示す図、
【図6】同、内障子が閉まる際のサブロックの動作を示す横断面図であり、(a)は召合せ框により前記当接部が押し込まれている状態を示す図、(b)はストッパが突出し始めた状態を示す図である。
【図7】同、内障子が閉まる際のサブロックの動作を示す横断面図であり、施錠状態を示す図である。
【図8】同、内障子が開く際のサブロックの動作を示す横断面図であり、(a)は解錠状態のサブロックに内障子が接近した状態を示す図、(b)は召合せ框がコマ部材の当接部に当接した状態を示す図である。
【図9】同、内障子が開く際のサブロックの動作を示す横断面図であり、(c)は召合せ框により当接部が押し込まれている状態を示す図、(d)は召合せ框が当接部から離れサブロックが元に戻った状態を示す図である。
【図10】同、内障子が閉まるとき、ロック阻止部材が取り付けられたサブロックの動作を示す横断面図であり、(a)はサブロックに内障子が接近した状態を示す図、(b)は召合せ框がコマ部材の当接部に当接した状態を示す図である。
【図11】同、内障子が閉まるとき、ロック阻止部材が取り付けられたサブロックの動作を示す横断面図であり、(a)は召合せ框により当接部が押し込まれている状態を示す図、(b)は召合せ框が当接部から離れストッパが元に戻った状態を示す図である。
【図12】同、内障子が閉まるとき、ロック阻止部材が取り付けられたサブロックの動作を示す横断面図であり、内障子が閉まり解錠状態であることを示す図である。
【図13】同、内障子が開くとき、ロック阻止部材が取り付けられたサブロックの動作を示す横断面図であり、(a)はサブロックに内障子が接近した状態を示す図、(b)は召合せ框がコマ部材の当接部に当接した状態を示す図である。
【図14】同、内障子が開くとき、ロック阻止部材が取り付けられたサブロックの動作を示す横断面図であり、(a)は召合せ框により当接部が押し込まれている状態を示す図、(b)は召合せ框が当接部から離れサブロックが元に戻った状態を示す図である。
【図15】従来の開口部装置に設けられるサブロックの一例を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0039】
7 外障子
8 内障子
24 召合せ框
30 サブロック
31 ケース
32 ケース枠
33 ケース本体
33d ケース係合穴
33f 係止部
33g 差込口
35 ストッパ
36a ストッパ係合穴
35f 角部
40 コマ部材
41 当接部
42 脚部
42a 爪部
42b 傾斜面
45 ロック阻止部材
45a 阻止部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部に枠体が設けられ、当該枠体に設けられた障子が当該枠体内を摺動することによって前記開口部を開閉する構造を有し、ケースと、前記ケースに出没可能に収容されるストッパと、前記ストッパを前記ケースから突出状態に駆動する駆動手段と、前記ストッパを前記ケースに収容された状態に保持する収容保持手段とを有し、前記ストッパが前記障子の摺動を阻止するように前記ケースから突出することで施錠状態となる補助錠が設けられている開口部装置であって、
前記補助錠には、前記障子により前記開口部が閉まることを検知する検知手段と、
前記検知手段によって前記開口部が閉まることが検知されると、前記収容保持手段によるストッパの保持を解除する解除手段が設けられ、
前記駆動手段は、前記解除手段によって前記収容保持手段によるストッパの保持が解除されると、前記ストッパを突出状態に駆動することを特徴とする開口部装置。
【請求項2】
前記補助錠は、前記障子もしくは前記枠体に対して移動しない固定部材に設けられるとともに、前記開口部を少しでも開いた場合に前記障子と障子、もしくは前記障子と前記固定部材とが互いに重なる位置で、かつ、前記開口部を閉じた場合に前記障子と障子、もしくは前記障子と前記固定部材とが重ならない位置に配置され、
前記検知手段は、前記障子が前記開口部を開いた状態から閉じた状態に移動する際に、前記補助錠の位置に重なる前記障子もしくは前記固定部材に接触して相対的に前記開口部を閉じる方向に押された後に、前記開口部が閉じて前記障子もしくは前記固定部材と接触しない状態となることで前記障子が閉まることを検知し、
前記収容保持手段は、前記検知手段と一体に形成されるとともに、前記ストッパを前記ケースに収容した状態に保持する保持位置と、前記ストッパを前記ケースから突出させる解除位置との間で移動自在とされ、かつ、前記検知手段が前記開口部を閉じる方向に押されると保持位置から解除位置に移動し、
前記解除手段は、前記収容保持手段が前記解除位置に移動すると、前記収容保持手段による前記ストッパの保持を解除することを特徴とする請求項1に記載の開口部装置。
【請求項3】
前記補助錠は、前記ケースに対して着脱自在であって、かつ、前記ケースに取り付けた際に前記ストッパの突出を防止し施錠状態となることを阻止する施錠阻止手段を備えていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の開口部装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2009−74319(P2009−74319A)
【公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−246228(P2007−246228)
【出願日】平成19年9月21日(2007.9.21)
【出願人】(302045705)トステム株式会社 (949)