説明

開閉バルブ

【課題】顆粒、錠剤、カブセル等を収容する容器の排出口等に設置されて筒状シートを捻ることにより流路の閉作動を行う開閉バルブにおいて、部品点数を少なくして構造を簡略化し、軽量化が容易な構造にするとともに製造コストを低く抑えることができる開閉バルブを提供すること課題とする。
【解決手段】本発明は、内周側に流路が形成される変形可能な筒状シート10と、筒状シート10周壁に沿って取付けられる固定側環状部3及び可動側環状部4とを備え、可動側環状部4を固定側環状部3に対して筒状シート10の軸心回りに回動可能に支持し、固定側環状部3に対して可動側環状部4を回動させて筒状シート10を捻ることにより前記流路の閉作動を行う開閉バルブであって、固定側環状部3及び可動側環状部4に周面に沿って装着固定される取付リング6,8をそれぞれ設け、筒状シート10の周壁を各取付リング6,8に沿って取付けることにより、固定側環状部3及び可動側環状部4に筒状シート10を装着した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、顆粒、錠剤、カブセル等を収容する容器の排出口等に設置される開閉バルブに関する。
【背景技術】
【0002】
内周側に流路が形成される変形可能な筒状シートと、筒状シート周壁に沿って取付けられる固定側環状部及び可動側環状部とを備え、可動側環状部を固定側環状部に対して筒状シートの軸心回りに回動可能に支持し、固定側環状部に対して可動側環状部を回動させて筒状シートを捻ることにより前記流路の閉作動を行う特許文献1に示す開閉バルブが公知になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第5449141号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記文献の開閉バルブは、可動側環状部が上流側及び下流側に配置される一対の環状体(上記文献の符号52の部材)からなり、上流側環状体と下流側環状体の間で、筒状シート中途部の周面から突出形成され且つ該周面に沿う環状の取付端部(上記文献の符号24の部材)を挟持固定することにより、可動側環状部に筒状シート周壁の所定箇所を取付ける。
【0005】
くわえて、固定側環状部(上記文献の符号10又は12の部材)の上流側端面又は下流側端面に、固定側環状部の形状に沿う環状溝を形成し、筒状シート端部の周面から突出形成され且つ該周面に沿う環状の取付端(上記文献の符号20又は22の部材)を上記環状溝に収容支持するとともに、組立時、上記取付端が環状溝内に押圧されるようにバルブフレーム(上記文献の符号30又は32の部材)を構成することにより、固定側環状部に筒状シート周壁の所定箇所(端部)を取付ける。
【0006】
このように、上記文献の開閉バルブは、部品点数が多く構造が複雑なため、軽量化が困難であるという課題がある他、組立工程も多岐にわたるため、製造コストを低く抑えることが困難になるという課題がある。
本発明は、上記課題を解決し、顆粒、錠剤、カブセル等を収容する容器の排出口等に設置されて筒状シートを捻ることにより流路の閉作動を行う開閉バルブにおいて、部品点数を少なくして構造を簡略化し、軽量化が容易な構造にするとともに製造コストを低く抑えることができる開閉バルブを提供すること目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため本発明の開閉バルブは、第1に、内周側に流路が形成される変形可能な筒状シート10と、筒状シート10周壁に沿って取付けられる固定側環状部3及び可動側環状部4とを備え、可動側環状部4を固定側環状部3に対して筒状シート10の軸心回りに回動可能に支持し、固定側環状部3に対して可動側環状部4を回動させて筒状シート10を捻ることにより前記流路の閉作動を行う開閉バルブであって、固定側環状部3及び可動側環状部4に周面に沿って装着固定される取付リング6,8をそれぞれ設け、筒状シート10の周壁を各取付リング6,8に沿って取付けることにより、固定側環状部3及び可動側環状部4に筒状シート10を装着したことを特徴としている。
【0008】
第2に、取付リング6,8がCリングからなり、該取付リング6,8の各端部6a,8aを固定側環状部3又は可動側環状部4側に折り曲げ形成し、固定側環状部3又は可動側環状部4の周面に2以上の係止穴24を穿設し、該係止穴24に前記折り曲げ形成した端部6a,8aを挿入することにより、取付リング6,8を固定側環状部3又は可動側環状部4に取付けたことを特徴としている。
【0009】
第3に、固定側環状部3又は可動側環状部4の周面に環状溝3a,4aを形成し、該環状溝3a,4aに取付リング6,8を嵌め込み固定したことを特徴としている。
【0010】
第4に、固定側環状部3又は可動側環状部4の外周面に取付リング6,8を装着固定したことを特徴としている。
【0011】
第5に、可動側環状部4と一体回転する位置決め部材22を可動側環状部4に対して離間・近接方向に移動調整可能に支持し、固定側環状部3が固定される枠体1,2における位置決め部材22の回動軌跡に沿う端部に、前記位置決め部材22の形状に対応した切欠き状凹部12a,12b,12cを形成し、前記流路の開閉作動時、位置決め部材22の少なくとも一部を切欠き状凹部12a,12b,12cに係合させることにより可動側環状部4を固定側環状部3に対して位置決めすることを特徴としている。
【0012】
第6に、可動側環状部4の外方に突出形成されて可動側環状部4の回動操作を行う棒状の操作ハンドル18に、軸方向に移動調整可能な状態で、前記位置決め部材22を支持したことを特徴としている。
【0013】
第7に、固定側環状部3を上流側に配置するとともに、可動側環状部4を下流側に配置したことを特徴としている。
【0014】
第8に、供給される被供給体を筒状シート10の上流側端部内周に案内する筒状のガイド壁37を設けたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0015】
以上のように構成される本発明の開閉バルブによれば、固定側環状部の周面に沿って装着固定される取付リングと、可動側環状部に周面に沿って装着固定される取付リングとにより、筒状シート周壁の所定箇所を固定側環状部及び可動側環状部に取付けるので、筒状シート周壁を取付けるために可動側環状部を分割形成する必要や、筒状シートの取付端部を固定側環状部の溝内に押圧する部材を用意する必要が無くなるため、部品点数が少なくなり、軽量化が容易になるとともに構造が簡略化されて製造コストを低く抑えることができるという効果がある。
【0016】
また、取付リングがCリングから構成されることにより、固定側環状部又は可動側環状部への取付リングの着脱作業負担が軽減される他、取付リングの各端部を固定側環状部又は可動側環状部側に折り曲げ形成し、固定側環状部又は可動側環状部の周面に穿設された係止穴に取付リングの端部を挿入することにより、取付リングを固定側環状部又は可動側環状部に取付ければ、取付リングが固定側環状部又は可動側環状部により確実に固定されるという効果がある。
【0017】
また、固定側環状部又は可動側環状部の周面に環状溝を形成し、該環状溝に取付リングを嵌め込み固定することにより、取付リングが固定側環状部又は可動側環状部により確実に固定されるという効果がある。
【0018】
さらに、可動側環状部と一体回転する位置決め部材を可動側環状部に対して離間・近接方向に移動調整可能に支持し、固定側環状部が固定される枠体における位置決め部材の回動軌跡に沿う端部に、前記位置決め部材の形状に対応した切欠き状凹部を形成し、前記流路の開閉作動時、位置決め部材の少なくとも一部を切欠き状凹部に係合させることにより、可動側環状部を固定側環状部に対して位置決めすれば、開閉制御時、固定側環状部に対して可動側環状部を確実に位置決めできるという効果がある。
【0019】
なお、可動側環状部の外方に突出形成されて可動側環状部の回動操作を行う棒状の操作ハンドルに、軸方向に移動調整可能な状態で、前記位置決め部材を支持しているため、操作ハンドルと別体で位置決め部材を支持する支持部材を用意するものと比較して、より構造が簡略化されるという効果がある。くわえて、操作ハンドルによる可動側環状部の回動操作時、併せて可動側環状部の位置決め操作を行うことが可能になるため、操作性が向上する。
【0020】
また、固定側環状部を上流側に配置するとともに、可動側環状部を下流側に配置することにより、供給される被供給体をスムーズに筒状シート内周がガイドできるという効果がある。
【0021】
また、供給される被供給体を筒状シートの上流側端部内周に案内する筒状のガイド壁を設けることにより、筒状シート内周への被供給体のガイドをより円滑に行うことが可能になるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の適用した開閉バルブの分解斜視図である。
【図2】本発明の適用した開閉バルブの分解側面図である。
【図3】(A)は、筒状シート周面の各部を固定側環状部及び可動側環状部に取付けた状態を示す斜視図であり、(B)は、取付リングの固定側環状部又は可動側環状部への取付構造を示す要部斜視図である。
【図4】本開閉バルブの全閉状態を示す斜視図である。
【図5】本開閉バルブの全開状態を示す斜視図である。
【図6】本発明の別実施形態を示す開閉バルブの分解側面図である。
【図7】本発明の別実施形態に関して、筒状シート周面の各部を固定側環状部及び可動側環状部に取付けた状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図示する例に基づき本発明の実施形態について説明する。
図1,2は、本発明の適用した開閉バルブの分解斜視図及び分解側面図である。図示する開閉バルブは、顆粒、錠剤、カブセル等(被供給体)を収容する容器(図示しない)の排出口等に従来公知の手段で設置され、開作動によって上流側(容器等)から下流側に被供給体を供給する供給状態への状態切換を行う一方で、閉作動によって上流側から下流側への被供給体の供給を停止する停止状態への状態切換を行う他、開度を調節することにより上流側から下流側への被供給体の供給量調整を行う。
【0024】
上記開閉バルブは、下流側の固定側フレーム(枠体)1と、上流側の可動側フレーム(枠体)2と、固定側フレーム1と可動側フレーム2の間に配置される固定側環状体(固定側環状部,環状部)3及び可動側環状体(可動側環状部,環状部)4と、固定側環状体3に取付けられる弾性変形可能な固定側リング(取付リング)6と、固定側環状体3と固定側フレーム1の間に介在させる固定側カバー体(カバー体)7と、可動側環状体4に取付けられる弾性変形可能な可動側リング(取付リング)8と、可動側環状体4と可動側フレーム2との間に介在させる可動側カバー体(カバー体)9と、変形可能な筒状シート10(図3参照)とを備えている。
【0025】
上記固定側フレーム1は、アルミや鉄等の金属からなり、中空状の円筒部11により主要部分が構成される。該円筒部11は、軸方向が被供給体の供給方向(排出方向,搬送方向)を向く姿勢で位置決め固定されている。
【0026】
円筒部11の環状部3,4側の端部は開放されて開放端部を形成しており、該開放端部には円筒部11の軸方向に対して垂直方向(交差方向)に延びる円形ドーナツ状のフランジ12が外方に一体的に突出形成されている。
【0027】
円筒部11における開放端部と反対側の端部には、円筒部11よりも径が小さい円筒状の接続管13が、円筒部11外に向かって突出形成されている。該接続管13は円筒部11と同心軸上に配置され、両端が開放されている。接続管13の一端側は円筒部11内と連通し、他端(先端)側には円形リング状のフランジ部14が延設されている。該フランジ部14はヘルールをなし、配管を行う際に、ヘルール継手(配管継手)の一部を構成する。なお、フランジ部14には、Oリングやヘルールガスケット等を嵌合させる環状の嵌合溝14aが形成されている。
【0028】
上記可動側フレーム2は、前述した固定側フレーム1と略同一に構成され、主に、円筒部11と、フランジ12と、接続管13と、フランジ部14とを有している。
【0029】
上記固定側環状体3は、合成樹脂等からなり、円筒部11内径よりも小さい外径を有する円形ドーナツ状に成形されており、固定側フレーム1(筒状部11)と同心軸上に配置されている。固定側環状体3の外周面には全周に亘り断面視方形状の環状溝3aが凹設される他、外方に向かって固定部16が一体的に突出形成されている。該固定部16における固定側環状体3の中心からより離間した肉厚部分には、上記円筒部11の軸方向(供給方向)の挿通孔16aが貫通状態で穿設されている。
【0030】
上記可動側環状体4は、合成樹脂等からなり、円筒部11内径よりも小さい外径を有する円形ドーナツ状に成形されており、可動側フレーム2(筒状部11)と同心軸上に配置されている。可動側環状体4の外周面には全周に亘り断面視方形状の環状溝4aが凹設される他、外方に向かって取付部17が一体的に突出形成されている。該取付部17からは外方(供給方向に対して垂直方向)に向かって棒状の操作ハンドル18が一体的に突出形成されている。
【0031】
操作ハンドル18は、基端部側の突出軸19と、先端側のグリップ21とにより構成されている。突出軸19の外周にはネジ19aが形成され、グリップ21には該ネジ19aに対応したネジ穴21aが穿設されており、グリップ21のネジ穴21a内周に突出軸19外周が挿入係合されることによりグリップ21が突出軸19に取付けられる。そして、グリップ21を軸周りに回転させることにより、グリップ21が突出軸19の軸方向に変位する。すなわち、操作ハンドル18はその突出量を調整可能に構成されている。
【0032】
また、突出軸19におけるグリップ21と取付部17との間には、表裏が突出軸19の軸方向を向いた円盤状の位置決め部材22が、突出軸19の軸方向(可動側環状体4に対して離間・近接する方向)に移動調整可能な状態で、支持されている。具体的には、位置決め部材22における突出軸19との同心軸上には表裏を貫くとともに突出軸19外周のネジ19aに対応するネジ孔22aが穿設されており、該ネジ孔22aに突出軸19を挿入係合させる。すなわち、位置決め部材22を突出軸19の軸回りにおける一方側に回転させることにより、可動側環状体4に対して位置決め部材22が離間方向に変位するとともに、位置決め部材22を突出軸19の軸回りにおける他方側に回転させることにより、可動側環状体4に対して位置決め部材22が近接方向に変位する。
【0033】
上記固定側リング6は、弾性部材により構成され、固定側環状体3外周の上記環状溝3aに弾性的に嵌め込み固定(嵌合固定,係止)される金属製のCリングであり、両端部6aが内方(環状部3,4側)に屈曲形成(折り曲げ形成)されている。
【0034】
上記固定側カバー体7は、枠体1,2及び筒状シート10に対して摩擦抵抗が少なくなるように表面がフラット(滑らか)に加工された合成樹脂等から構成され、外径が円筒部11内径によりも若干小さく且つ内径が環状部3,4外径により若干大きい円筒状に成形され、前述の円筒部11と同心軸上に配置される。固定側カバー体7の固定側フレーム1側の端部には環状部3,4の内径と略同一径を有する円状の通過孔7aが形成される一方で、固定側カバー体7の環状部3,4側の端部は開放されている。
【0035】
上記可動側リング8は、弾性部材により構成され、可動側環状体4外周の上記環状溝4aに弾性的に嵌め込み固定(嵌合固定,係止)される弾性変形可能な金属製のCリングであり、両端部8aが内方(環状部3,4側)に屈曲形成(折り曲げ形成)されている。
【0036】
上記可動側カバー体9は、枠体1,2及び筒状シート10に対して摩擦抵抗が少なくなるように表面がフラット(滑らか)に加工された合成樹脂等から構成され、外径が円筒部11内径によりも若干小さく且つ内径が環状部3,4外径により若干大きい円筒状に成形され、前述の円筒部11と同心軸上に配置される。可動側カバー体9の可動側フレーム2側の端部には環状部3,4の内径と略同一径を有する円状の通過孔9aが形成される一方で、可動側カバー体9の環状部3,4側の端部は開放されている。
【0037】
図3(A)は、筒状シート周面の各部を固定側環状部及び可動側環状部に取付けた状態を示す斜視図であり、(B)は、取付リングの固定側環状部又は可動側環状部への取付構造を示す要部斜視図である。上記筒状シート10は、ナイロン(布)等のフレキシブルに変形可能な材料からなる薄い方形状シートの両端縁同士を縫合等によって接合させることにより構成されており、円筒部11と同心軸上に配置されている。
【0038】
筒状シート10の周壁における一方側端部(周壁の所定箇所)を固定側リング6に沿うように固定側リング6に取付け、前述した環状溝3aによって固定側リング6を固定側環状体3外周に固定する一方で、筒状シート10の周壁における他方側端部(周壁の所定箇所)を可動側リング8に沿うように可動側リング8に取付け、前述した環状溝4aによって可動側リング8を可動側環状体4外周に固定することにより、固定側環状体3と可動側環状体4のそれぞれに筒状シート10を装着する。
【0039】
筒状シート10の周壁の各端部を対応する取付リング6,8に取付ける手段について具体的に説明すると、筒状シート10の周壁端部を取付リング6,8を挟み込むように折返して重ね合せ、この重ね合せ部分10aを縫合等で固着することにより、筒状シート10の周壁の端部を取付リング6,8に係止させる。そして、取付リング6,8の両端部6a,8aが筒状シート10の上記取り返し箇所から突出するように、筒状シート10の取付リング6,8近傍に切欠き状部23を形成する。この際、取付リング6,8の端部6a,8aが前述したように内方に屈曲形成されているため、筒状シート10周壁の各端部が対応する取付リング6,8に対して移動することが規制される。
【0040】
取付リング6,8を環状体部3,4外周に固定する手段について説明すると、まず、筒状シート10を装着した状態の取付リング6,8を、環状部3,4の内周側を通し、環状部3,4の内周の一部及び対応するカバー体7,9(枠体1,2)との対向側の環状端面の全体をカバーした後、取付リング6,8を対応する環状部3,4の環状溝3a,3bに嵌め込み、取付リング6、8の折り曲げた各端部6a,8aを、環状部3,4の外周面における環状溝3a,3b底部に穿設された複数(図示する例では6個)の係止穴24の何れかに挿入することにより、取付リング6,8を対応する環状部3,4に取付固定する。
【0041】
そして、本開閉バルブは、筒状シート10内周側に被供給体の供給路(流路)が形成され、可動側環状体4を固定側環状体3に対して固定側環状体3の軸心回りにおける一方側に回動させることにより、筒状シート10を捻り変形させて、上記供給路を閉作動させるとともに、可動側環状体4を固定側環状体3に対して固定側環状体3の軸心回りにおける他方側に回動させることにより、筒状シート10の捻り変形を解除させて、上記供給路を開作動させるように構成されている。
【0042】
また、本開閉バルブは、固定側環状体3に対する可動側環状体4の回動量を調節することにより、筒状シート10の捻り量を変更して開度調整を行う。なお、上記回動側環状体4は、回動側環状体4と一体回動する上記操作ハンドル18により回動操作される。ちなみに、2つの環状部3,4同士を近接させた場合、筒状シート10の周壁は軸方向にまっすぐ延びた状態から歪んだ状態になるが、固定側環状体3に対して可動側環状体4を回動させると筒状シート10が捻れることに変わりはないため、前述した場合と同様に、供給路の開閉操作を行うことが可能である。
【0043】
本閉経バルブの組立手段について説明すると、図1及び2に示すように、まず、固定側フレーム1の円筒部11内に略全体が収容された固定側カバー体7内に、固定側リング6を介して筒状シート10を装着した固定側環状体3を収容する一方で、可動側フレーム2の円筒部11内に略全体が回動可能に収容された可動側カバー体9内に、可動側リング8を介して筒状シート10を装着した可動側環状体4を収容支持する。
【0044】
そして、固定側フレーム1内と可動側フレーム2内を対向させて、固定側フレーム1、固定側カバー体7、固定側環状体3、可動側環状体4、可動側カバー体9及び可動側フレーム2を同心軸上で重ね合せ、固定側フレーム1及び可動側フレーム2を挿通する複数(図示する例では3本)のボルト26,27,28によって、締着固定することにより、本開閉バルブの組立を行う。具体的には、上記各ボルト26,27,28を、固定側フレーム1及び可動側フレーム2の内の一方側(図示する例では固定側フレーム1側)から挿入して他方側(図示する例では可動側フレーム2側)から突出させ、該突出箇所にローレットネジ(ナット)29,29,29を係合させて締付けることにより、上記締着固定作業を行う。
【0045】
この際、上記複数本のボルト26,27,28の内の1本である固定ボルト26は、固定側フレーム1及び可動側フレーム2の他、固定部16の上記挿通孔16aにも挿通されるため、固定側環状体3が固定側フレーム1及び可動側フレーム2に固定される。
【0046】
一方、上記ボルト26,27,28の内で、固定ボルト26以外のボルトである締着ボルト27,28の外周にはカラー31が外装されている。該カラー31の両端は、上記一対の枠体1,2におけるフランジ12,12の対向面に当接しており、枠体1,2の間の距離を規定するスペーサとして機能している。
【0047】
上記構成から、固定側フレーム1のフランジ12及び可動側フレーム2のフランジ12には、上記ボルト26,27,28を挿通させるボルト孔32,33,34が、それぞれ3個づつ穿設されている。該3つのボルト孔32,33,34は、各フランジ12における一方の半周側(図1における右半周側)の略全体に亘り等間隔で配置されており、両フランジ12,12間から外方突出する上記操作ハンドル18の他方の半周側(操作側)での回動を許容している。
【0048】
各フランジ12に穿設された3つのボルト孔32,33,34に内、締着ボルト27,28を挿通させるボルト孔である締着ボルト孔33,34の近傍には、カラー31端部を嵌め込んで位置決めする嵌め込み溝36,36がそれぞれ凹設されている。この嵌め込み溝36によって、本開閉バルブを組立てる際にカラー31が枠体1,2側に確実に位置決めされ、組立作業を効率的に行うことができる。
【0049】
上記締着ボルト孔33,34及び嵌め込み溝36,36は、外方が開放されているため、締着ボルト27,28にカラー31及びローレットネジ29を装着した状態で、締着ボルト27を締着ボルト孔33,34から着脱することが可能になる。このため、本開閉バルブの組立作業をより効率的に行うことができる。
【0050】
また、枠体1,2の各フランジ12における操作側半周縁部(枠体1,2の端部)は、上記ハンドル18(取付部17,位置決め部材22)の回動軌跡(円弧軌跡)に沿うように形成されており、該操作側半周縁部には、全体に亘り等間隔で、3つの切欠き状凹部12a,12b,12cが切抜形成されている。
【0051】
各切欠き状凹部12a,12b,12cは、位置決め部材17に対応した形成に成形されている。そして、ハンドル18を所定回動位置に操作して、位置決め部材17を可動側環状体4に近接する方向に移動し、位置決め部材17の可動側環状体4側の端部を対応する切欠き状凹部12a,12b,12cに嵌合(係合)させることにより、可動側環状体4が固定側環状体3に対して所定回動位置で位置決めされる一方で、位置決め部材17を可動側環状体4から離間する方向に移動し、位置決め部材17の可動側環状体4側の端部における対応する切欠き状凹部12a,12b,12cとの嵌合を解除(係合を解除)させることにより、可動側環状体4が固定側環状体3に対して回動可能な状態になる。
【0052】
なお、3つのボルト26,27,28により、固定側フレーム1と可動側フレーム2とを強く締着固定すると、可動側環状体4と一体回動する取付部17が固定側フレーム1と可動側フレーム2との間に挟持固定される。これによって、可動側環状体4を固定側環状体3に対して任意の回動位置で位置決め固定することができる。そして、本開閉バルブは、上記2つの位置決め手段を状況によって使分けることにより、利便性を向上させている。
【0053】
図4は、本開閉バルブの全閉状態を示す斜視図であり、図5は、本開閉バルブの全開状態を示す斜視図である。図1,4及び5に示すように、上記2つの切欠き状凹部12a,12b,12cの内、一が固定ボルト26近傍に形成される全開凹部12aになり、一が固定ボルト26から遠い側の締着ボルト28近傍に形成される全閉凹部(最閉凹部)12cになり、一が全開凹部12aと全閉凹部12cとの間の半開凹部12bになる。
【0054】
本開閉バルブは、位置決め部材22を全閉凹部12cに嵌合させることにより、筒状シート10を捻って全閉状態(最閉状態)にし(図4参照)、位置決め部材22を全開凹部12aに嵌合させることにより、筒状シート10の捻れ状態を解除して全開状態にし(図5参照)、位置決め部材22を半開凹部12bに嵌合させることにより、筒状シート10の捻れ状態がある程度解除されて半開状態にするように構成されている。
【0055】
ちなみに、本開閉バルブの組立時、筒状シート10がカバー体7,9と当接し、カバー体7,9が枠体1,2に当接する状態した状態になる。この際、筒状シート10とカバー体7,9の間の摩擦力よりもカバー体7,9と枠体1,2の間の摩擦力が小さくなるように各部が構成されているため、本開閉バルブを開閉させると、可動側カバー体9が可動側フレーム2に擦れ合いながら可動側環状体4が可動側カバー体9と一体的に回動する。すなわち、開閉時における筒状シート10と枠体1,2又はカバー体7,9との擦れ合いが抑制される。
【0056】
以上のように構成される本開閉バルブによれば、一対のカバー体7,9内に、一対の取付リング及び筒状シート10が収容せしめられるため、筒状シート10が金属製の枠体1,2から露出することが防止される。
【0057】
また、筒状シート10表面がカバー体7,9や枠体1,2と直接擦れ合うことが防止されるため、筒状シート10の破損が抑制され、筒状シート破損による異物混入を効率的に抑制できる。
【0058】
さらに、固定側フレーム1と可動側フレーム2を締着固定するためにローレットネジ29を用いるため、工具レスで本開閉バルブの組立作業を容易且つ迅速に行うことができるため、利便性が高い。
【0059】
次に、図6及び7に基づき本発明の別実施形態について、上述の例と異なる箇所を説明する。
図6は、本発明の別実施形態を示す開閉バルブの分解側面図であり、図7は、本発明の別実施形態に関して、筒状シート周面の各部を固定側環状部及び可動側環状部に取付けた状態を示す斜視図である。上述の例では、被供給体の供給路が上下方向に形成され、供給上流側から下流側に向かって、可動側フレーム2→可動側カバー体9→可動側環状体4→固定側環状体3→固定側カバー体7→固定側フレーム1の順に各構成部品を配置している。
【0060】
これに対して、図6及び7に示す例では、配置構成を逆にしており、上方側から下方側に向かう方向を被供給体の供給方向として、この供給上流側から下流側に向かって、固定側フレーム1→固定側カバー体7→固定側環状体3→可動側環状体4→可動側カバー体9→可動側フレーム2の順に各構成部品を配置し、可動する部材を下流側に配している。
【0061】
これに加えて、上記構成から開閉バルブの供給口となる固定側フレーム1の接続管13の端部からは、筒状シート10の内周側に至る筒状のガイド壁37が一体的に延設されている。この筒状のガイド壁37は、上記接続管13の径と略同一径を有し、固定側フレーム1側から供給された被供給体をスムーズに筒状シート10の内周側にガイドするように構成されている。
【0062】
このような構成によれば、固定される固定側フレーム1、固定側カバー体7及び固定側環状体3を開閉バルブの上流側半部に配し、これらの部材は可動されないため、開閉バルブ内に供給された被供給体が可動する部材と接触して筒状シート10の内周にスムーズにガイドされないことが防止される。これに加えて、被供給体を筒状シート10の上流側端部内周に案内するガイド壁37も設けているため、より安定的に供給された被供給体を筒状シート10の内周側に案内することが可能になる。
【符号の説明】
【0063】
1 固定側フレーム(枠体)
2 可動側フレーム(枠体)
3 固定側環状体(固定側環状部,環状部)
3a 環状溝
4 可動側環状体(可動側環状部,環状部)
4a 環状溝
6 固定側リング(取付リング)
6a 端部
8 可動側リング(取付リング)
8a 端部
10 筒状シート
12a 全開凹部(切欠き状凹部)
12b 半開凹部(切欠き状凹部)
12c 全閉凹部(切欠き状凹部,最閉凹部)
18 操作ハンドル
22 位置決め部材
24 係止穴
37 ガイド壁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内周側に流路が形成される変形可能な筒状シート(10)と、筒状シート(10)周壁に沿って取付けられる固定側環状部(3)及び可動側環状部(4)とを備え、可動側環状部(4)を固定側環状部(3)に対して筒状シート(10)の軸心回りに回動可能に支持し、固定側環状部(3)に対して可動側環状部(4)を回動させて筒状シート(10)を捻ることにより前記流路の閉作動を行う開閉バルブであって、固定側環状部(3)及び可動側環状部(4)に周面に沿って装着固定される取付リング(6),(8)をそれぞれ設け、筒状シート(10)の周壁を各取付リング(6),(8)に沿って取付けることにより、固定側環状部(3)及び可動側環状部(4)に筒状シート(10)を装着した開閉バルブ。
【請求項2】
取付リング(6),(8)がCリングからなり、該取付リング(6),(8)の各端部(6a),(8a)を固定側環状部(3)又は可動側環状部(4)側に折り曲げ形成し、固定側環状部(3)又は可動側環状部(4)の周面に2以上の係止穴(24)を穿設し、該係止穴(24)に前記折り曲げ形成した端部(6a),(8a)を挿入することにより、取付リング(6),(8)を固定側環状部(3)又は可動側環状部(4)に取付けた請求項1の開閉バルブ。
【請求項3】
固定側環状部(3)又は可動側環状部(4)の周面に環状溝(3a),(4a)を形成し、該環状溝(3a),(4a)に取付リング(6),(8)を嵌め込み固定した請求項1又は2の開閉バルブ。
【請求項4】
固定側環状部(3)又は可動側環状部(4)の外周面に取付リング(6),(8)を装着固定した請求項1,2又は3の開閉バルブ。
【請求項5】
可動側環状部(4)と一体回転する位置決め部材(22)を可動側環状部(4)に対して離間・近接方向に移動調整可能に支持し、固定側環状部(3)が固定される枠体(1),(2)における位置決め部材(22)の回動軌跡に沿う端部に、前記位置決め部材(22)の形状に対応した切欠き状凹部(12a),(12b),(12c)を形成し、前記流路の開閉作動時、位置決め部材(22)の少なくとも一部を切欠き状凹部(12a),(12b),(12c)に係合させることにより可動側環状部(4)を固定側環状部(3)に対して位置決めする請求項1,2,3又は4の開閉バルブ。
【請求項6】
可動側環状部(4)の外方に突出形成されて可動側環状部(4)の回動操作を行う棒状の操作ハンドル(18)に、軸方向に移動調整可能な状態で、前記位置決め部材(22)を支持した請求項5の開閉バルブ。
【請求項7】
固定側環状部(3)を上流側に配置するとともに、可動側環状部(4)を下流側に配置した請求項1,2,3,4,5又は6の開閉バルブ。
【請求項8】
供給される被供給体を筒状シート(10)の上流側端部内周に案内する筒状のガイド壁(37)を設けた請求項7の開閉バルブ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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