説明

開閉動作体の停止位置における引き込み係止機構

【課題】開閉動作体の停止状態を、開閉動作体のその停止位置に向けた移動速度の如何にかかわらず、適切に作りだし、かつ、それを安定的に維持できるようにすると共に、この停止を穏やかになさしむるようにする。
【解決手段】インナーパーツ20の前進位置において、付勢手段22の付勢により、インナーパーツ20の一部がアウターパーツ21に引っかかって、この付勢によるインナーパーツ20の後退移動が阻止されるようになっていると共に、前進位置にあるインナーパーツ20の受け入れ部201内に開閉動作体3の停止位置に向けた移動に伴って入り込むストライカ体1によってインナーパーツ20が回動され、この回動によって受け入れ部201にストライカ体1が係止され、かつ、前記インナーパーツ20の後退移動の阻止が解除されるようになっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、引き戸や、引き出しなどの開閉動作体をそれが閉じ込み切った位置などの停止位置において、この停止状態を安定的に維持するように、係止する機構に関する。
【背景技術】
【0002】
スライダに設けた凹凸形状部を受け部材に設けた凹凸形状部に、引き戸の停止位置への移動時に入れ込ませて、引き戸の閉じ込み時の突き当たり衝撃を和らげるようにした緩衝装置として、特許文献1に示されるものがある。
【0003】
しかるに、かかる緩衝装置にあっては、引き戸の閉じ方向に向けた移動速度が過大である場合には、前記衝撃を完全には和らげ得るものではない。また、この移動速度が小さい場合、引き戸を閉じ切らせる前にこの引き戸を停止させてしまうものであった。
【特許文献1】特開平8−21147号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この発明が解決しようとする主たる問題点は、開閉動作体の停止状態を、開閉動作体のその停止位置に向けた移動速度の如何にかかわらず、適切に作りだし、かつ、それを安定的に維持できるようにすると共に、この停止を穏やかになさしむるようにする点にある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記問題点を解決するために、この発明にあっては、開閉動作体の停止位置における引き込み係止機構を、以下の(1)〜(5)の構成を備えたものとした。
(1)停止位置において非動作体の被突き当たり部に突き当てられる開閉動作体の突き当たり部及びこの非動作体の被突き当たり部のいずれか一方に備え付けられるストライカ体と、これらの他方に備え付けられるキャッチャー体とを有する係止機構であって、
(2)キャッチャー体は、
ストライカ体の受け入れ部を備えたインナーパーツと、
このインナーパーツを前後動可能で、かつ、インナーパーツの前後軸を中心に回動可能に収めるアウターパーツと、
インナーパーツを常時アウターパーツ内に引き込む後退方向に付勢する付勢手段と、
この付勢手段によるインナーパーツの後退方向の移動に制動を付与する制動手段とを有しており、
(3)インナーパーツの前進位置において、付勢手段の付勢により、インナーパーツの一部がアウターパーツに引っかかって、この付勢によるインナーパーツの後退移動が阻止されるようになっていると共に、
(4)前進位置にあるインナーパーツの受け入れ部内に開閉動作体の停止位置に向けた移動に伴って入り込むストライカ体によってインナーパーツが回動され、
(5)この回動によって受け入れ部にストライカ体が係止され、かつ、前記インナーパーツの後退移動の阻止が解除されるようになっている。
【0006】
開閉動作体を停止位置に向けて移動させるとストライカ体がキャッチャー体のインナーパーツの受け入れ部内に入り込む。これにより、前進位置にあるインナーパーツが回動される。また、この回動によってストライカ体はインナーパーツに掛合される。それと共に、この回動によってインナーパーツの後退移動が許容される。これにより、前進位置にあるインナーパーツは付勢手段の付勢により後退方向に移動され、このインナーパーツの後退移動によってストライカ体もキャッチャー体の奥に引き込まれる。これにより、開閉動作体の突き当たり部と非動作体の被突き当たり部とが突き当たり合う状態が強制的に作り出され、また、この状態を安定的に維持させることができる。また、開閉動作体の停止位置に向けた移動速度が比較的小さい場合であっても、これをストライカ体とインナーパーツとの前記掛合によって前記突き当たり部と被突き当たり部とが突き当たり合う開閉動作体の所期の停止位置まで開閉動作体を確実に移動させることができる。また、かかる係止機構にあっては、付勢手段によるインナーパーツの後退移動に制動を付与する制動手段を有していることから、開閉動作体の停止位置に向けた移動速度が比較的大きい場合であっても、これを減衰させることができ、前記突き当たり部と被突き当たり部とが強く突き当たって衝撃音が生じてしまうことがないようにすることができる。
【0007】
また、前記問題点を解決するために、この発明にあっては、開閉動作体の停止位置における引き込み係止機構を、以下の(1)〜(8)の構成を備えたものとした。
(1)停止位置において非動作体の被突き当たり部に突き当てられる開閉動作体の突き当たり部及びこの非動作体の被突き当たり部のいずれか一方に備え付けられるストライカ体と、これらの他方に備え付けられるキャッチャー体とを有する係止機構であって、
(2)ストライカ体は、
開閉動作体の移動方向に沿って延びる軸部と、
この軸部の側部から側方に突き出す係止突部とを備えており、
(3)キャッチャー体は、
ストライカ体の受け入れ部を備えたインナーパーツと、
このインナーパーツを前後動可能で、かつ、インナーパーツの前後軸を中心に回動可能に収めるアウターパーツと、
インナーパーツを常時アウターパーツ内に引き込む後退方向に付勢する付勢手段と、
この付勢手段によるインナーパーツの後退方向の移動に制動を付与する制動手段とを有しており、
(4)インナーパーツの受け入れ部には、ストライカ体の受け入れ方向に沿った入り口溝部と、この入り口溝部の奥端に連通してこの連通箇所にコーナーを作りながらこの受け入れ方向に交差する向きに向けて延びる奥側溝部とからなるキャッチ溝が形成されており、
(5)インナーパーツ及びアウターパーツのいずれか一方には、インナーパーツの移動方向に沿ったストレート溝部と、このストレート溝部の前端に連通してこの連通箇所にコーナーを作りながらこの移動方向に交差する向きに向けて延びる前側溝部とからなるロック溝が形成されていると共に、これらの他方にこのロック溝に入り込むロック用突部が形成されており、
(6)インナーパーツの前進位置において、ロック溝の前側溝部に付勢手段の付勢によってロック用突部が引っかかるようになっていると共に、
(7)前進位置にあるインナーパーツの受け入れ部内に開閉動作体の停止位置に向けた移動に伴って入り込むストライカ体の係止突部がキャッチ溝のコーナー外隅部に押し当てられてインナーパーツが正転され、
(8)この正転によってこの係止突部がキャッチ溝の奥側溝部に引っかかり、かつ、前記ロック溝の前側溝部内にあったロック用突部がストレート溝部内に入り込むようになっている。
【0008】
開閉動作体を停止位置に向けて移動させるとストライカ体がキャッチャー体のインナーパーツの受け入れ部内に入り込み、入り込んだストライカ体の係止突部はキャッチ溝に入り込む。キャッチ溝に入り込んだストライカ体の係止突部はこのキャッチ溝のコーナー外隅部に押し当てられ、これにより、前進位置にあるインナーパーツが正転される。この正転によってストライカ体の係止突部はキャッチ溝の奥側溝部に入り込みこれによりストライカ体はインナーパーツに掛合される。それと共に、この正転によってインナーパーツのロック用突部がロック溝部の前側溝部から抜け出しストレート溝部に入り込む。前進位置にあるインナーパーツは付勢手段の付勢により後退方向に常時付勢されていることから、このロック用突部のストレート溝部内への入り込みによってインナーパーツは後退移動され、このインナーパーツの後退移動によってストライカ体もキャッチャー体の奥に引き込まれる。これにより、開閉動作体の突き当たり部と非動作体の被突き当たり部とが突き当たり合う状態が強制的に作り出され、また、この状態を安定的に維持させることができる。また、開閉動作体の停止位置に向けた移動速度が比較的小さい場合であっても、これをストライカ体とインナーパーツとの前記掛合によって前記突き当たり部と被突き当たり部とが突き当たり合う開閉動作体の所期の停止位置まで開閉動作体を確実に移動させることができる。また、かかる係止機構にあっては、付勢手段によるインナーパーツの後退移動に制動を付与する制動手段を有していることから、開閉動作体の停止位置に向けた移動速度が比較的大きい場合であっても、これを減衰させることができ、前記突き当たり部と被突き当たり部とが強く突き当たって衝撃音が生じてしまうことがないようにすることができる。
【0009】
前記後退位置にあるインナーパーツのキャッチ溝の奥側溝部にストライカ体の係止突部を引っかけさせて停止位置に位置づけられた開閉動作体を元の位置に向けて移動操作させることにより前進位置に向けてインナーパーツが移動されることに伴って、ロック用突部がロック溝のコーナー外隅部に押し当てられてインナーパーツが逆転され、
この逆転によってこの係止突部がキャッチ溝の奥側溝部から抜け出すようにしておくこともある。
【0010】
このようにした場合、前記停止位置にある開閉動作体を元の位置に向けて移動させることにより、インナーパーツのロック用突部を再びロック溝の前側溝部に入り込ませてインナーパーツを前記前進位置に復帰させ、かつ、この状態を維持することができると共に、このインナーパーツとストライカ体との掛合を解いてインナーパーツの受け入れ部内からストライカを抜け出させることができ、係止機構による開閉動作体の停止位置維持状態をワンアクションで円滑に解除させることができる。
【0011】
前記インナーパーツの受け入れ部におけるキャッチ溝の入り口溝部の入り口側方に、誤操作によって正転して後退位置に移動されたインナーパーツにストライカ体を突き当てることにより係止突部に突き当たってこの係止突部がキャッチ溝に入り込むようにインナーパーツを逆転させるカム面を形成させておくこともある。
【0012】
このようにした場合、インナーパーツが誤って後退された状態から開閉動作体を停止位置に向けて移動させると、前記カム面にストライカ体の係止突部が突き当たり、インナーパーツは逆転される。これにより、ストライカ体の係止突部をキャッチ溝に入り込ませることが可能となる。ストライカ体の係止突部がキャッチ溝に入り込むと、係止突部がキャッチ溝のコーナー外隅部に押し当たり、インナーパーツは正転され、キャッチ溝の奥側溝部に係止突部が引っかかり、正規にキャッチャー体にストライカ体を受け入れさせた場合と同じ状態が作り出される。
【0013】
前記ストライカ体の左右両側にそれぞれ係止突部が形成されていると共に、
インナーパーツの前後方向に沿ったこのインナーパーツの中心軸線を含んだ仮想の平面の一方側と他方側とにそれぞれ、キャッチ溝とロック溝とロック用突部とを形成させておくこともある。
【0014】
このようにした場合、開閉動作体の停止位置への移動に伴ってインナーパーツを円滑に正転させることができ、また、この正転によってインナーパーツにストライカ体を掛合させた開閉動作体の停止位置からこの開閉動作体を元の位置に向けて移動させることにより、インナーパーツを円滑に逆転させてかかる掛合を解きつつインナーパーツが前進位置に復帰された状態を維持することができる。
【0015】
前記制動手段が、
インナーパーツ及びアウターパーツのいずれか一方に備えられたシリンダと、
このシリンダ内の空間を2分割するオリフィスを備えた頭部と、
インナーパーツ及びアウターパーツの他方に備えられてこのシリンダ内に入れ込まれた前記頭部を支持する軸部とを備え、
インナーパーツの後退移動によってオリフィスを通過する流体の流動抵抗によって制動力を発生させるようになっているものとしておくこともある。
【0016】
前進位置にあるインナーパーツが付勢手段の付勢によって後退移動されると、これに伴ってシリンダ内において頭部が、この頭部に備えられたオリフィスに流体を通過させながら、移動又は相対的に移動される。これにより、このインナーパーツの移動に適切に制動を付与することができる。
【0017】
前記インナーパーツの押し込み速度が大きくなればなるほどオリフィスに至る流体の流路が狭められるようにしておくこともある。
【0018】
このようにした場合、頭部が移動又は相対的に移動する速度、すなわち、係止装置を構成するインナーパーツが後退移動する速度、つまり、開閉動作体が停止位置に向けて移動する速度が大きくなればなるほど、この後退移動に対する制動力を大きくさせることができ、開閉動作体の停止位置に向けた移動速度の大きさ如何にかかわらず、衝撃音を生じさせないような態様で前記突き当たり部たり部と被突き当たり部とを突き当て合わせるようにすることができる。
【発明の効果】
【0019】
この発明にかかる係止機構によれば、開閉動作体の停止状態を、開閉動作体の閉じ方向に向けた移動速度の如何にかかわらず、適切に作りだし、かつ、それを安定的に維持することができる。また、この停止を穏やかになさしむるようにすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、図1ないし図13に基づいて、この発明を実施するための最良の形態について説明する。
【0021】
なお、ここで図1は、係止機構を構成するストライカ体1とキャッチャー体2とを分離させた状態において、両者を上方から視た状態として、また、図2は、側方から視た状態として、それぞれ示している。また、図3は、かかるキャッチャー体2を図2の右側から視た状態として示している。
【0022】
図4ないし図13は、かかる係止機構の動作を理解しやすいように、各動作の段階ごとにこれを表したものであり、開閉動作体3が停止位置に向けて移動(往動)されると図4、図5、図6の順でストライカ体1とキャッチャー体2が係止され、開閉動作体3はこの係止により停止位置(図6の位置)に位置づけられる。停止位置にある開閉動作体3を元の位置に向けて移動操作(復動)すると図7、図8、図9の順でストライカ体1とキャッチャー体2との前記係止が解かれる。キャッチャー体2にストライカ体1を入れ込ませない状態で、誤操作によりキャッチャー体2のインナーパーツ20が後退移動されてしまった場合に、このキャッチャー体2内にストライカ体1を入れ込ませるように開閉動作体3を停止位置に向けて移動させると、図10、図11、図12、図13の順でストライカ体1とキャッチャー体2が係止され、開閉動作体3はこの係止により停止位置に位置づけられる。
【0023】
この実施の形態にかかる係止機構は、引き戸30や、引き出しなどの開閉動作体3をその停止位置において、この停止状態を安定的に維持するように、係止するものである。
【0024】
例えば、引き戸30に用いられる場合にあっては、かかる係止機構によって、この引き戸30が開口部を塞いだ状態が維持される。
【0025】
また、引き出しに用いられる場合にあっては、かかる係止機構によって、この引き出しが収納されてこの引き出しの前板部によって引き出し収納体の開口部が塞がれた状態が維持される。
【0026】
かかる係止機構は、ストライカ体1とキャッチャー体2とを有している。
【0027】
ストライカ体1は、停止位置において非動作体4の被突き当たり部42(例えば、引き戸30によって開放可能に塞がれる建物などの開口部の内面部41)に突き当てられる開閉動作体3の突き当たり部31(例えば、引き戸30の閉じ込み移動時に移動前方に位置される端部32)及びこの非動作体4の被突き当たり部42のいずれか一方に備え付けられ、キャッチャー体2は、これらの他方に備え付けられる。
【0028】
(ストライカ体1)
ストライカ体1は、
開閉動作体3の移動方向に沿って延びる軸部10と、
この軸部10の側部から側方に突き出す係止突部11とを備えている。
【0029】
図示の例では、かかるストライカ体1は、略長方形の板状をなす取り付け用プレート12の一面であって、その長さ方向略中程の位置に棒状をなす軸部10の一端を一体に連接させるようにして構成されている。軸部10は取り付け用プレート12の一面に直交する向きに突き出されている。また、かかる取り付け用プレート12には、軸部10を挟んだ両側にそれぞれネジなどの差し込み穴13が形成されている。図示の例では、引き戸30によって塞がれる開放部の内面部を構成させる引き戸枠40にこの取り付け用プレート12の他面を前記差し込み穴13に入れ込ませたネジなどによって固定させることにより、この引き戸枠40、つまり、非動作体4にストライカ体1が備え付けられるようになっている。図示の例では、上下方向に沿った引き戸枠40から横方向に向けて軸部10が突き出すようにストライカ体1がこの引き戸枠40に取り付けられている。また、図示の例では、かかるストライカ体1の軸部10はその軸線に直交する向きの断面を略円形とするように構成されている。また、図示の例では、かかる軸部10の他端部の直径方向両側位置にそれぞれ、係止突部11が設けられている。二カ所の係止突部11、11は略同寸、同形をなすように構成されていると共に、その一方は上方に向けて突き出し、その他方は下方に向けて突き出している。
【0030】
(キャッチャー体2)
キャッチャー体2は、
ストライカ体1の受け入れ部201を備えたインナーパーツ20と、
このインナーパーツ20を前後動可能で、かつ、インナーパーツ20の前後軸を中心に回動可能に収めるアウターパーツ21と、
インナーパーツ20を常時アウターパーツ21内に引き込む後退方向に付勢する付勢手段22と、
この付勢手段22によるインナーパーツ20の後退方向の移動(図4における左側に向けた移動)に制動を付与する制動手段23とを有している。
【0031】
図示の例にあっては、筒一端を開放させ、かつ、筒他端を閉塞させた円筒状をなすアウターパーツ21内に、インナーパーツ20が納められると共に、付勢手段22と制動手段23とが納められている。そして、図示の例にあっては、引き戸30の閉じ込み移動時に移動前方に位置される端部32において開放されてこの引き戸30の移動方向に沿う向きに引き戸30内に続く取り付け穴33に、このインナーパーツ20の筒他端側を先にして入れ込ませることにより、引き戸30、つまり、開閉動作体3にキャッチャー体2が備え付けられるようになっている。図示の例では、このように入れ込まれたインナーパーツ20の筒一端が引き戸30の前記端部32面と略同面上に位置されるようになっている。
【0032】
(キャッチャー体2/インナーパーツ20)
図示の例では、インナーパーツ20は、筒両端を開放させた円筒状をなす主体部202を有している。この主体部202は、仕切り壁202aによって奥行きの狭い前方室202bと奥行きの深い後方室202cの二つに区分されている。そして、この前方室202bが前記受け入れ部201となるようにしてある。
【0033】
かかるインナーパーツ20の受け入れ部201には、ストライカ体1の受け入れ方向に沿った入り口溝部203aと、この入り口溝部203aの奥端に連通してこの連通箇所にコーナー203bを作りながらこの受け入れ方向に交差する向きに向けて延びる奥側溝部203cとからなるキャッチ溝203が形成されている。
【0034】
図示の例にあっては、主体部202の筒前端には、外向きに張り出す周回フランジ202dが形成されている。この周回フランジ202dには、この主体部202の筒前端開口202eの直径方向両側においてそれぞれ、この筒前端開口202eに連通して側方に延びるストライカ体1の係止突部11の導入凹部202fが形成されており、この導入凹部202fがキャッチ溝203の入り口溝部203aの入り口となるようにしてある。
【0035】
キャッチ溝203は、主体部202の前方室202bの側壁を貫通した割溝状をなすように構成されている。また、その入り口溝部203aは前方室202bの前後方向略中程の位置までこの前方室202bの筒軸に沿って真っ直ぐに続いている。奥側溝部203cと入り口溝部203aとの連通過所にはコーナー内隅部203dとコーナー外隅部203eとが形成されている。図示の例では、コーナー外隅部203eは、前方室202bの筒軸線に対して、略30度の傾斜を持っており、また、コーナー内隅部203dはこのコーナー外隅部203eと略平行をなすがこのコーナー外隅部203eよりも短くなっている。また、奥側溝部203cのコーナー内隅部203dの先は、前方室202bの筒軸線に対して略直交する向きに延びており、この奥側溝部203cの最奥部には、後方側に向けられたストライカ体1の係止突部11の引っかかり面203fが形成されている。
【0036】
図示の例では、インナーパーツ20の前後方向に沿ったこのインナーパーツ20の中心軸線、つまり、インナーパーツ20の筒軸線を含んだ第二の仮想の平面yの一方側と他方側とにそれぞれ、かかるキャッチ溝203が形成されている。かかる一対のキャッチ溝203、203は、一方のキャッチ溝203を正面視する向きでインナーパーツ20を視た場合、背面側に位置される他方のキャッチ溝203は一方側のキャッチ溝203と上下逆になるように形成されている。
【0037】
また、インナーパーツ20における後方室202cの外側であって、前記仕切り壁202aの形成位置の近傍には、後述するロック溝213に入り込むロック用突部204が形成されている。図示の例では、かかるロック用突部204は、インナーパーツ20の直径方向両側にそれぞれ形成されている。また、一対のロック用突部204、204の形成位置間を結ぶ線分に対して、一対のキャッチ溝203、203の形成位置間を結ぶ線分が、略90度の角度を持つようになっている。
【0038】
また、インナーパーツ20の主体部202の筒後端にも、外向きに張り出す周回フランジ202gが形成されている。
【0039】
(キャッチャー体2/アウターパーツ21)
図示の例では、アウターパーツ21は、インナーパーツ20の外径に略等しい内径を備えた筒両端を開放させた内筒体210と、この内筒体210の外径に略等しい内径を備えた筒前端(図4の右側)を開放させ筒後端(図4の左側)を閉塞させた外筒体214とを、組み合わせることにより構成されている。内筒体210の筒前端(図4の右側)は、略長方形の板状をなす取り付け用プレート211の長さ方向略中程の位置に連接されている。内筒体210の開放された筒前端によってこの取り付け用プレート211は貫通されている。また、かかる取り付け用プレート211には、内筒体210の連接位置を挟んだ両側にそれぞれネジなどの差し込み穴212が形成されている。図示の例では、引き戸30の端部32の面にこの取り付け用プレート211を前記差し込み穴212に入れ込ませたネジなどによって固定させることにより、この引き戸30にキャッチャー体2がが備え付けられるようになっている。
【0040】
また、図示の例にあっては、内筒体210の全長は、インナーパーツ20の主体部202の全長および外筒体214の全長よりも短く、さらに、インナーパーツ20の主体部202の全長は外筒体214の全長よりも短くなるように構成されている。そして、図示の例にあっては、内筒体210の取り付け用プレートの背面に外筒体214の筒前端が突き当てられる位置までこの外筒体214の筒前端側からこの外筒体214内に内筒体210の筒後端側を先にして内筒体210を入れ込ませると共に、このように入れ込まされた内筒体210の筒後端にバネ前端を押し当て、かつ、インナーパーツ20の主体部202の筒後端に形成された周回フランジ202gにバネ後端を押し当てるように、インナーパーツ20の主体部202の外側に圧縮コイルバネ220を巻装させて、内筒体210と外筒体214とインナーパーツ20の主体部202とを組み付け合わせている。図示の例では、このバネ220が前記付勢手段22として機能するようになっている。
【0041】
また、この実施の形態にあっては、アウターパーツ21に、インナーパーツ20の移動方向に沿ったストレート溝部213aと、このストレート溝部213aの前端に連通してこの連通箇所にコーナー213bを作りながらこの移動方向に交差する向きに向けて延びる前側溝部213cとからなるロック溝213が形成されていると共に、インナーパーツ20にこのロック溝213に入り込むロック用突部204が形成されている。
【0042】
図示の例にあっては、かかるロック溝213のストレート溝部213aは、アウターパーツ21の筒軸に沿って延びるように形成されている。また、前側溝部213cは、このアウターパーツ21の筒軸に略直交する向きに延びている。また、図示の例にあっては、かかるストレート溝部213aと前側溝部213cとの連通箇所に形成されたコーナー外隅部213dはアール状をなすように形成されている。この前側溝部213cによって、前方側に向けられたロック用突部204の引っかかり面213eが形成されている。また、図示の例にあっては、ロック溝213は、さらに、ストレート溝部213aの後端に連通してアウターパーツ21の筒軸に略直交する向きに延びる後側溝部213fを有している。この後側溝部213fは前側溝部213cと同じ向きに延び出しており、これにより、ロック溝213は側面視略コ字状を呈するようになっている。
【0043】
図示の例では、インナーパーツ20の前後軸を含んだ仮想の平面、つまり、アウターパーツ21の筒軸線を含んだ第一の仮想の平面xの一方側と他方側とにそれぞれ、かかるロック溝213が形成されている。かかる一対のロック溝213、213は、一方のロック溝213を正面視する向きでインナーパーツ20を視た場合、背面側に位置される他方のロック溝213は一方側のロック溝213と上下逆になるように形成されている。
【0044】
そして、この実施の形態にあっては、前記インナーパーツ20の前進位置において、ロック溝213の前側溝部213cの引っかかり面213eに付勢手段22の付勢によってロック用突部204が引っかかり、これによりこの前進状態が維持されるようになっている。
【0045】
また、前進位置にあるインナーパーツ20の受け入れ部201内に開閉動作体3の停止位置への移動に伴って入り込むストライカ体1の係止突部11が前記のように傾斜したキャッチ溝203のコーナー外隅部203eに押し当てられてインナーパーツ20が正転され、
この正転によってこの係止突部11がキャッチ溝203の奥側溝部203cの引っかかり面203fに引っかかり、かつ、前記ロック溝213部の前側溝部213c内にあったロック用突部204がストレート溝部213a内に入り込むようになっている。
【0046】
(機能)
開閉動作体3を停止位置に向けて移動させるとストライカ体1がキャッチャー体2のインナーパーツ20の受け入れ部201内に入り込み、入り込んだストライカ体1の係止突部11はキャッチ溝203に入り込む。(図4)キャッチ溝203に入り込んだストライカ体1の係止突部11はこのキャッチ溝203のコーナー外隅部203eに押し当てられ、これにより、前進位置にあるインナーパーツ20が正転される。(図4から図5)この正転によってストライカ体1の係止突部11はキャッチ溝203の奥側溝部203cに入り込みこれによりストライカ体1はインナーパーツ20に掛合される。(図5)それと共に、この正転によってインナーパーツ20のロック用突部204がロック溝213部の前側溝部213cから抜け出しストレート溝部213aに入り込む。前進位置にあるインナーパーツ20は付勢手段22の付勢により後退方向に常時付勢されていることから、このロック用突部204のストレート溝部213a内への入り込みによってインナーパーツ20は後退移動され、このインナーパーツ20の後退移動によってストライカ体1もキャッチャー体2の奥に引き込まれる。(図6)これにより、開閉動作体3の突き当たり部31と非動作体4の被突き当たり部42とが突き当たり合う状態が強制的に作り出され、また、この状態を安定的に維持させることができる。また、開閉動作体3の停止位置に向けた移動速度が比較的小さい場合であっても、これをストライカ体1とインナーパーツ20との前記掛合によって前記突き当たり部31と被突き当たり部42とが突き当たり合う開閉動作体3の所期の停止位置まで開閉動作体3を確実に移動させることができる。
【0047】
例えば、引き戸30にこの係止機構を用いた場合には、引き戸30が開口部を隙間なく塞いだ状態を引き戸30の閉じ込み動作に伴って確実に作り出すことができるとともに、この状態を安定的に維持させることができる。
【0048】
また、かかる係止機構にあっては、付勢手段22によるインナーパーツ20の後退移動に制動を付与する制動手段23を有していることから、開閉動作体3の停止位置に向けた移動速度が比較的大きい場合であっても、これを減衰させることができ、前記突き当たり部31と被突き当たり部42とが強く突き当たって衝撃音が生じてしまうことがないようにすることができる。
【0049】
(制動手段23)
図示の例では、かかる制動手段23は、
(1)インナーパーツ20に備えられたシリンダ230と、
(2)このシリンダ230内の空間を2分割するオリフィス231aを備えた頭部231と、
(3)アウターパーツ21に備えられてこのシリンダ230内に入れ込まれた前記頭部231を支持する軸部232とを備えており、
(4)インナーパーツ20の後退移動によってオリフィス231aを通過する流体の流動抵抗によって制動力を発生させるようになっている。
【0050】
具体的には、図示の例にあっては、インナーパーツ20の主体部202の後方室202c内に前記シリンダ230が組み込まれている。また、軸部232の後端がアウターパーツ21の外筒体214の後端に組み付けられている。軸部232の前端とシリンダ230の前端との間には第一圧縮コイルバネ233が介装されており、未動作時には頭部231はシリンダ230の後端側に位置される。シリンダ230内には前記流体として典型的にはシリコンオイルなどの粘性流体が充填される。(図1)
【0051】
前進位置にあるインナーパーツ20が付勢手段22の付勢によって後退移動されると、これに伴ってシリンダ230が、頭部231に備えられたオリフィス231aに流体を通過させながら、後方に移動される。これにより、このインナーパーツ20の移動に適切に制動を付与することができる。
【0052】
また、この実施の形態にあっては、インナーパーツ20の押し込み速度が大きくなればなるほどオリフィス231aに至る流体の流路236が狭められるようにしてある。
【0053】
具体的には、図示の例にあっては、頭部231は軸部232の軸線方向に沿って前後動可能にこの軸部232に組み合わされると共に、この頭部231の後方には筒状部231bが形成されている。そして、この頭部231は、この頭部231の筒状部231b内に位置されるように軸部232に備え付けられた流路形成体234とこの頭部231の背面との間に介装された第二圧縮コイルバネ235によって常時前方に向けて付勢されている。流体は流路形成体234の外面と筒状部231bの内面との間の流路236を通るようになっている。この流路形成体234は後方に向かうほど段階的に外径を大きくするように構成されている。そして、シリンダ230が移動する速度、すなわち、係止装置を構成するインナーパーツ20が後退移動する速度、つまり、開閉動作体3が閉じ込み移動する速度が大きくなればなるほど、このシリンダ230の移動に伴って流体の抵抗により第二圧縮コイルバネ235の付勢に抗して頭部231が後方に移動され、前記流路236が狭められるようになっている。
【0054】
これによりこの実施の形態にあっては、係止装置を構成するインナーパーツ20が後退移動する速度、つまり、開閉動作体3が閉じ込み移動する速度が大きくなればなるほど、この後退移動に対する制動力を大きくさせることができ、開閉動作体3の停止位置に向けた移動速度の大きさ如何にかかわらず、衝撃音を生じさせないような態様で前記突き当たり部31たり部と被突き当たり部42とを突き当て合わせるようにすることができる。かかる制動手段23としては、より具体的には、本出願人が先に開示した特願2003−433572号所載のものを用いることができる。
【0055】
(その他の構造)
また、この実施の形態にあっては、後退位置にあるインナーパーツ20のキャッチ溝203の奥側溝部203cにストライカ体1の係止突部11が引っかかった開閉動作体3の停止位置からこの開閉動作体3を元の位置に向けて、つまり、図示の例にあっては引き戸30を開き方向に移動操作させることにより前進位置に向けてインナーパーツ20が移動されることに伴って、ロック用突部204がロック溝213のコーナー外隅部213dに押し当てられてインナーパーツ20が逆転され、この逆転によってこの係止突部11がキャッチ溝203の奥側溝部203cから抜け出すようになっている。
【0056】
図示の例にあっては、前記停止位置(図7)から開閉動作体3を元の位置に向けて移動させることに伴ってインナーパーツ20が前進移動されると、インナーパーツ20のロック用突部204がロック溝213の後端側から前端に向けて移動されると共に、前記のようにアール状に形成されたロック溝213のコーナー外隅部213dに後方から押し当てられ、この押し当たりによってインナーパーツ20が逆転されるようになっている。(図8)
【0057】
これにより、この実施の形態にあっては、前記停止位置にある開閉動作体3を開き方向に移動させることにより、インナーパーツ20のロック用突部204を再びロック溝213の前側溝部213cに入り込ませてインナーパーツ20を前記前進位置に復帰させ、かつ、この状態を維持することができると共に、このインナーパーツ20とストライカとの掛合を解いてインナーパーツ20の受け入れ部201内からストライカ体1を抜け出させることができ、係止機構による開閉動作体3の停止位置維持状態をワンアクションで円滑に解除させることができる。(図9)
【0058】
また、この実施の形態にあっては、インナーパーツ20の受け入れ部201におけるキャッチ溝203の入り口溝部203aの入り口側方に、誤操作によって正転して後退位置に移動されたインナーパーツ20にストライカ体1を突き当てることにより係止突部11に突き当たってこの係止突部11がキャッチ溝203に入り込むようにインナーパーツ20を逆転させるカム面203gが形成してある。
【0059】
図示の例にあっては、インナーパーツ20の主体部202の筒前端に形成されたストライカ体1の係止突部11の一対の導入凹部202f、202fの側方にそれぞれ、この導入凹部202fに近づくに連れて次第に後退する傾斜を持ったカム面203gが形成されている。そして、インナーパーツ20の受け入れ部201内にストライカ体1を入れ込むことなく、つまり、開閉動作体3を停止位置に移動させない状態において誤ってインナーパーツ20を正転させてしまった場合において、付勢手段22の付勢によって後退されたインナーパーツ20のこのカム面203gに停止位置に向けて開閉動作体3を移動させることにより前記係止突部11を突き当てさせることができるようになっている。
【0060】
インナーパーツ20が誤って後退された状態から開閉動作体3を停止位置に向けて移動させると、前記カム面203gにストライカ体1の係止突部11が突き当たり、インナーパーツ20は逆転される。(図10)これにより、ストライカ体1の係止突部11をキャッチ溝203に入り込ませることが可能となる。(図11)このとき、インナーパーツ20のロック用突部204はロック溝213の後端に位置されるが、ロック溝213の後端には前記後側溝部213fが形成されていることから、この逆転が妨げられることはない。(図11)ストライカ体1の係止突部11がキャッチ溝203に入り込むと、係止突部11がキャッチ溝203のコーナー外隅部203eに押し当たり、インナーパーツ20は正転され、キャッチ溝203の奥側溝部203cに係止突部11が引っかかり、正規にキャッチャー体2にストライカ体1を受け入れさせた場合と同じ状態が作り出される。(図12から図13)
【0061】
また、この実施の形態にあっては、ストライカ体1の左右両側にそれぞれ係止突部11が形成されていると共に、
インナーパーツ20の前後方向に沿ったこのインナーパーツ20の中心軸線を含んだ仮想の平面の一方側と他方側とにそれぞれ、キャッチ溝203とロック溝213とロック用突部204とが形成されている。
【0062】
図示の例にあっては、インナーパーツ20の中心軸線を含んだ第一の仮想の平面xの両側にロック溝213とロック用突部204が形成されており、また、この第一の仮想の平面xに直交するインナーパーツ20の中心軸線を含んだ第二の仮想の平面yの両側にキャッチ溝203が形成されている。
【0063】
この結果、この実施の形態にあっては、開閉動作体3の停止位置への移動に伴ってインナーパーツ20を円滑に正転させることができ、また、この正転によってインナーパーツ20にストライカ体1を掛合させた開閉動作体3の停止位置からこの開閉動作体3を開き方向に移動させることにより、インナーパーツ20を円滑に逆転させてかかる掛合を解きつつインナーパーツ20が前進位置に復帰された状態を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】係止機構の要部破断平面図
【図2】同要部破断側面図
【図3】キャッチャー体2の正面図
【図4】係止機構の要部破断側面図(a図)、要部破断平面図(b図)およびキャッチャー体2の正面図(c図)(なお、c図においてはストライカ体1を図2のA−A線位置で断面にした状態で示している。以下図13まで同様)
【図5】係止機構の要部破断側面図(a図)、要部破断平面図(b図)およびキャッチャー体2の正面図(c図)
【図6】係止機構の要部破断側面図(a図)、要部破断平面図(b図)およびキャッチャー体2の正面図(c図)
【図7】係止機構の要部破断側面図(a図)、要部破断平面図(b図)およびキャッチャー体2の正面図(c図)
【図8】係止機構の要部破断側面図(a図)、要部破断平面図(b図)およびキャッチャー体2の正面図(c図)
【図9】係止機構の要部破断側面図(a図)、要部破断平面図(b図)およびキャッチャー体2の正面図(c図)
【図10】係止機構の要部破断側面図(a図)、要部破断平面図(b図)およびキャッチャー体2の正面図(c図)
【図11】係止機構の要部破断側面図(a図)、要部破断平面図(b図)およびキャッチャー体2の正面図(c図)
【図12】係止機構の要部破断側面図(a図)、要部破断平面図(b図)およびキャッチャー体2の正面図(c図)
【図13】係止機構の要部破断側面図(a図)、要部破断平面図(b図)およびキャッチャー体2の正面図(c図)
【符号の説明】
【0065】
1 ストライカ体
2 キャッチャー体
20 インナーパーツ
201 受け入れ部
21 アウターパーツ
22 付勢手段
23 制動手段
3 開閉動作体
31 突き当たり部
4 非動作体
42 被突き当たり部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
停止位置において非動作体の被突き当たり部に突き当てられる開閉動作体の突き当たり部及びこの非動作体の被突き当たり部のいずれか一方に備え付けられるストライカ体と、これらの他方に備え付けられるキャッチャー体とを有する係止機構であって、
キャッチャー体は、
ストライカ体の受け入れ部を備えたインナーパーツと、
このインナーパーツを前後動可能で、かつ、インナーパーツの前後軸を中心に回動可能に収めるアウターパーツと、
インナーパーツを常時アウターパーツ内に引き込む後退方向に付勢する付勢手段と、
この付勢手段によるインナーパーツの後退方向の移動に制動を付与する制動手段とを有しており、
インナーパーツの前進位置において、付勢手段の付勢により、インナーパーツの一部がアウターパーツに引っかかって、この付勢によるインナーパーツの後退移動が阻止されるようになっていると共に、
前進位置にあるインナーパーツの受け入れ部内に開閉動作体の停止位置に向けた移動に伴って入り込むストライカ体によってインナーパーツが回動され、
この回動によって受け入れ部にストライカ体が係止され、かつ、前記インナーパーツの後退移動の阻止が解除されるようになっていることを特徴とする開閉動作体の停止位置における引き込み係止機構。
【請求項2】
停止位置において非動作体の被突き当たり部に突き当てられる開閉動作体の突き当たり部及びこの非動作体の被突き当たり部のいずれか一方に備え付けられるストライカ体と、これらの他方に備え付けられるキャッチャー体とを有する係止機構であって、
ストライカ体は、
開閉動作体の移動方向に沿って延びる軸部と、
この軸部の側部から側方に突き出す係止突部とを備えており、
キャッチャー体は、
ストライカ体の受け入れ部を備えたインナーパーツと、
このインナーパーツを前後動可能で、かつ、インナーパーツの前後軸を中心に回動可能に収めるアウターパーツと、
インナーパーツを常時アウターパーツ内に引き込む後退方向に付勢する付勢手段と、
この付勢手段によるインナーパーツの後退方向の移動に制動を付与する制動手段とを有しており、
インナーパーツの受け入れ部には、ストライカ体の受け入れ方向に沿った入り口溝部と、この入り口溝部の奥端に連通してこの連通箇所にコーナーを作りながらこの受け入れ方向に交差する向きに向けて延びる奥側溝部とからなるキャッチ溝が形成されており、
インナーパーツ及びアウターパーツのいずれか一方には、インナーパーツの移動方向に沿ったストレート溝部と、このストレート溝部の前端に連通してこの連通箇所にコーナーを作りながらこの移動方向に交差する向きに向けて延びる前側溝部とからなるロック溝が形成されていると共に、これらの他方にこのロック溝に入り込むロック用突部が形成されており、
インナーパーツの前進位置において、ロック溝の前側溝部に付勢手段の付勢によってロック用突部が引っかかるようになっていると共に、
前進位置にあるインナーパーツの受け入れ部内に開閉動作体の停止位置に向けた移動に伴って入り込むストライカ体の係止突部がキャッチ溝のコーナー外隅部に押し当てられてインナーパーツが正転され、
この正転によってこの係止突部がキャッチ溝の奥側溝部に引っかかり、かつ、前記ロック溝の前側溝部内にあったロック用突部がストレート溝部内に入り込むようになっていることを特徴とする開閉動作体の停止位置における引き込み係止機構。
【請求項3】
後退位置にあるインナーパーツのキャッチ溝の奥側溝部にストライカ体の係止突部を引っかけさせて停止位置に位置づけられた開閉動作体を元の位置に向けて移動操作させることにより前進位置に向けてインナーパーツが移動されることに伴って、ロック用突部がロック溝のコーナー外隅部に押し当てられてインナーパーツが逆転され、
この逆転によってこの係止突部がキャッチ溝の奥側溝部から抜け出すようになっていることを特徴とする請求項1記載の開閉動作体の停止位置における引き込み係止機構。
【請求項4】
インナーパーツの受け入れ部におけるキャッチ溝の入り口溝部の入り口側方に、誤操作によって正転して後退位置に移動されたインナーパーツにストライカ体を突き当てることにより係止突部に突き当たってこの係止突部がキャッチ溝に入り込むようにインナーパーツを逆転させるカム面が形成してあることを特徴とする請求項2又は請求項3記載の開閉動作体の停止位置における引き込み係止機構。
【請求項5】
ストライカ体の左右両側にそれぞれ係止突部が形成されていると共に、
インナーパーツの前後方向に沿ったこのインナーパーツの中心軸線を含んだ仮想の平面の一方側と他方側とにそれぞれ、キャッチ溝とロック溝とロック用突部とが形成されていることを特徴とする請求項2から請求項4のいずれか1項に記載の開閉動作体の停止位置における引き込み係止機構。
【請求項6】
制動手段が、
インナーパーツ及びアウターパーツのいずれか一方に備えられたシリンダと、
このシリンダ内の空間を2分割するオリフィスを備えた頭部と、
インナーパーツ及びアウターパーツの他方に備えられてこのシリンダ内に入れ込まれた前記頭部を支持する軸部とを備え、
インナーパーツの後退移動によってオリフィスを通過する流体の流動抵抗によって制動力を発生させるようになっていることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の開閉動作体の停止位置における引き込み係止機構。
【請求項7】
インナーパーツの押し込み速度が大きくなればなるほどオリフィスに至る流体の流路が狭められるようにしてあることを特徴とする請求項6記載の開閉動作体の停止位置における引き込み係止機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2006−16782(P2006−16782A)
【公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−193351(P2004−193351)
【出願日】平成16年6月30日(2004.6.30)
【出願人】(000135209)株式会社ニフコ (972)