説明

開閉動作体の停止位置における引き込み係止機構

【課題】開閉動作体の停止状態を、その移動速度の如何にかかわらず、適切に作りだし、かつ、安定的に維持すると共に、この停止を穏やかになさしむる。
【解決手段】インナーパーツ20の前進位置において、ロック溝229の前側溝部229bにロック用突部204が引っかかるようになっていると共に、回動体200のフック状部203をストライカ体1の進入空間y内に入り込ませない傾動位置に回動体200が位置づけられるようになっている。停止位置に向けた開閉動作体Dの移動によりストライカ体1の頭部12が傾動位置にある回動体200の突き当たり部206に突き当たり、これにより回動体200が軸体205を回動中心としてフック状部203を進入空間yに入り込ませ、かつ、ロック溝229の前側溝部229b内にあったロック用突部204をストレート溝部229a内に入り込ませる向きに回動されるようになっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、開き戸や引き戸、引き出しなどの開閉動作体をそれが閉じ込み切った位置などの停止位置において、この停止状態を安定的に維持するように、係止する機構に関する。
【背景技術】
【0002】
スライダに設けた凹凸形状部を受け部材に設けた凹凸形状部に、引き戸の停止位置への移動時に入れ込ませて、引き戸の閉じ込み時の突き当たり衝撃を和らげるようにした緩衝装置として、特許文献1に示されるものがある。
【0003】
しかるに、かかる緩衝装置にあっては、引き戸の閉じ方向に向けた移動速度が過大である場合には、前記衝撃を完全には和らげ得るものではない。また、この移動速度が小さい場合、引き戸を閉じ切らせる前にこの引き戸を停止させてしまうものであった。
【特許文献1】特開平8−21147号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この発明が解決しようとする主たる問題点は、開閉動作体の停止状態を、開閉動作体のその停止位置に向けた移動速度の如何にかかわらず、適切に作りだし、かつ、それを安定的に維持できるようにすると共に、この停止を穏やかになさしむるようにする点にある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記問題点を解決するために、この発明にあっては、開閉動作体の停止位置における引き込み係止機構を、以下の(1)〜(5)の構成を備えたものとした。
(1)停止位置において非動作体の被突き当たり部に突き当てられる開閉動作体の突き当たり部やその近傍及びこの非動作体の被突き当たり部やその近傍のいずれか一方に備え付けられるストライカ体と、これらの他方に備え付けられるキャッチャー体とを有する係止機構であって、
(2)ストライカ体は、
開閉動作体の移動方向に沿って延びる首部とこの移動方向に交叉する向きにこの首部から突き出す頭部とを備えたフック状部を有しており、
(3)キャッチャー体は、
インナーパーツと、
このインナーパーツを前後動可能に収めるアウターパーツと、
インナーパーツを常時アウターパーツ内に引き込む後退方向に付勢するコイルバネと、
このコイルバネによるインナーパーツの後退方向の移動に制動を付与する制動手段とを有しており、
(4)インナーパーツは、
前端部に首部と頭部とを備えたフック状部を有し、後端部の側部にロック用突部を有し、中間部に軸体を有し、かつ、フック状部と軸体との間にフック状部の頭部よりも先に突き出す突き当たり部を備えた回動体と、
この回動体の軸体の通し穴を備え、この通し穴に軸体を通して回動体に組み合わされると共に、バネ後端をアウターパーツに止着させたコイルバネのバネ前端が止着されたスライダ体とを有しており、
(5)アウターパーツには、
インナーパーツの移動方向に沿ったストレート溝部と、このストレート溝部の前端に連通してこの連通箇所にコーナーを作りながらこの移動方向に交差する向きに向けて延びる前側溝部とからなるロック用突部を納めるロック溝と、
このロック溝の側方にあってインナーパーツの移動方向に沿って延びる軸体の端部を納めるガイド溝とが形成されており、
(6)インナーパーツの前進位置において、ロック溝の前側溝部にコイルバネの付勢によってロック用突部が引っかかるようになっていると共に、この前進位置において回動体のフック状部を、停止位置に向けた開閉動作体の移動によってストライカ体が入り込む進入空間内に、入り込ませない傾動位置に回動体が位置づけられるようになっており、
(7)停止位置に向けた開閉動作体の移動によりストライカ体の頭部がこの傾動位置にある回動体の突き当たり部に突き当たるようになっていると共に、この突き当たりにより回動体が軸体を回動中心として、コイルバネの付勢に抗してインナーパーツをやや前進移動させながらそのフック状部を進入空間に入り込ませ、かつ、ロック溝の前側溝部内にあったロック用突部をストレート溝部内に入り込ませる向きに回動されるようになっている。
【0006】
かかる構成によれば、インナーパーツが前進位置にある状態から、停止位置に向けた開閉動作体の移動によりストライカ体の頭部が傾動位置にある回動体の突き当たり部に突き当てられると、軸体を前方に移動させる向きの力が回動体に作用される。回動体とスライダ体とは軸体を介して組み合わされていることから、この力の作用によってインナーパーツはコイルバネを引き延ばしながらやや前方に移動される。この前方への移動によって、ロック用突部とロック溝との圧接が解除されることから、回動体は軸体を中心として、そのフック状部の頭部を進入空間内に入り込ませると共に、ロック用突部をロック溝の前側溝部から抜け出させる向きに回動される。(以下、この状態を回動体の掛合動作位置という。)これにより、ストライカ体のフック状部に回動体のフック状部を進入空間内において掛合させることができる。ロック用突部がロック溝の前側溝部から抜け出されると、コイルバネの付勢により、このロック溝のストレート溝部に沿ってロック用溝部を案内しながらインナーパーツは後退移動されることとなる。ロック用突部と軸体間のピッチは変わらないことから、ストレート溝部にロック用突部が一旦入り込むと、回動体は掛合動作位置に位置づけられ続け、この回動体のフック状部とストライカ体のフック状部との掛合は解かれることがなく、ストライカ体はキャッチャー体内に、つまりは、アウターパーツ内に引き込まれる。これにより、開閉動作体の突き当たり部と非動作体の被突き当たり部とが突き当たり合う状態が強制的に作り出され、また、この状態を安定的に維持させることができる。また、開閉動作体の停止位置に向けた移動速度が比較的小さい場合であっても、これをストライカ体とインナーパーツとの前記掛合によって前記突き当たり部と被突き当たり部とが突き当たり合う開閉動作体の所期の停止位置まで開閉動作体を確実に移動させることができる。
【0007】
後退位置にあるインナーパーツの回動体のフック状部にストライカ体のフック状部を引っかけさせて停止位置に位置づけられた開閉動作体を元の位置に向けて移動操作させることにより前進位置に向けてインナーパーツが移動されることに伴って、回動体に、ロック用突部をロック溝のストレート溝部における前側溝部の形成側の溝壁に押しつけさせる向きの力が作用されるようにしておくこともある。
【0008】
このようにした場合、前記停止位置にある開閉動作体を開き方向に移動させることにより、回動体に作用される前記力によって、この回動体のロック用突部がアウターパーツのロック溝のストレート溝部と前側溝部との連通箇所に至る位置までインナーパーツが引き出されたときに、このロック用突部をこの前側溝部に再び入り込ませてインナーパーツを前記前進位置に復帰させ、かつ、この状態を維持することができる。ロック用突部が前側溝部に再び入り込むと同時にコイルバネの付勢により回動体は軸体を中心として再び傾動位置に回動され、回動体のフック状部とストライカ体のフック状部との掛合が解かれる。これにより、このインナーパーツとストライカとの掛合を解いてキャッチャー体内からストライカ体を抜け出させることができ、係止機構による開閉動作体の停止位置維持状態をワンアクションで円滑に解除させることができる。
【0009】
スライダ体の通し穴を、誤操作によってインナーパーツが後退位置に移動された状態において、開閉動作体を停止位置に向けて移動させることによるキャッチャー体内でのストライカ体のフック状部と回動体のフック状部との突き当たりによって、ロック用突部を回動中心としてコイルバネの付勢に抗してインナーパーツをやや前進移動させながら回動体を傾動位置に回動させる向きに傾斜した長穴状をなすように構成させておくこともある。
【0010】
インナーパーツが誤って後退された状態から開閉動作体を停止位置に向けて移動させると、キャッチャー体内でのストライカ体のフック状部と回動体のフック状部との突き当たりによって、回動体にはロック用突部を回動中心としてこの回動体を傾動位置に向けて回動させる向きの力が作用される。ここで、軸体の通し穴は前記のような長穴状をなしていることから、この力の作用によってこの通し穴の穴前端にあった軸体はこの通し穴の穴後端側に移動され、回動体は傾動位置に回動されると共に、この軸体の移動に伴ってコイルバネを引き延ばしながらインナーパーツはやや前方に移動される。ストライカ体のフック状部の頭部がこのように傾動位置に回動された回動体のフック状部の頭部の先まで入り込むと、コイルバネの弾性復帰によってインナーパーツは後方に移動されると共に、軸体はスライダ体の通し穴の穴前端に再び移動され、回動体は掛合動作位置に復帰される。これにより、正規にキャッチャー体にストライカ体を受け入れさせた場合と同じ状態が作り出される。
【0011】
前記制動手段が、
インナーパーツのスライダ体及びアウターパーツのいずれか一方に備えられたシリンダと、
このシリンダ内の空間を2分割するオリフィスを備えた頭部と、
インナーパーツのスライダ体及びアウターパーツの他方に支えられてこのシリンダ内に入れ込まれた前記頭部を支持する軸部とを備え、
インナーパーツの後退移動によってオリフィスを通過する流体の流動抵抗によって制動力を発生させるようになっているものとしておくこともある。
【0012】
このようにした場合、前進位置にあるインナーパーツが付勢手段の付勢によって後退移動されると、これに伴ってシリンダ内において頭部が、この頭部に備えられたオリフィスに流体を通過させながら、移動又は相対的に移動される。これにより、このインナーパーツの移動に適切に制動を付与することができる。
【0013】
前記インナーパーツの押し込み速度が大きくなればなるほどオリフィスに至る流体の流路が狭められるようにしておくこともある。
【0014】
このようにした場合、頭部が移動又は相対的に移動する速度、すなわち、係止装置を構成するインナーパーツが後退移動する速度、つまり、開閉動作体が停止位置に向けて移動する速度が大きくなればなるほど、この後退移動に対する制動力を大きくさせることができ、開閉動作体の停止位置に向けた移動速度の大きさ如何にかかわらず、衝撃音を生じさせないような態様で前記突き当たり部たり部と被突き当たり部とを突き当て合わせるようにすることができる。
【0015】
前記アウターパーツの前後軸を挟んだ両側にそれぞれ、ガイド溝とロック溝とを設けておくこともある。
【0016】
このようにした場合、アウターパーツの前後軸を挟んだ両側においてそれぞれ、インナーパーツの移動に規則性を付与することができ、このインナーパーツの移動を円滑に行わせることができる。
【発明の効果】
【0017】
この発明にかかる係止機構によれば、開閉動作体の停止状態を、開閉動作体の閉じ方向に向けた移動速度の如何にかかわらず、適切に作りだし、かつ、それを安定的に維持することができる。また、この停止を穏やかになさしむるようにすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、図1ないし図13に基づいて、この発明を実施するための最良の形態について説明する。
【0019】
なお、ここで図1および図2は、係止機構を構成するキャッチャー体2を構成する各部品を分離させた状態で、それぞれ示している。(図2は図1の右側を前側にしてかかる各部品を視ている。)また、図3および図4は、ストライカ体1をそれぞれ示している。また、図5は、かかる係止機構を開き戸D’に適用した例を示している。
【0020】
図6ないし図13は、かかる係止機構の動作を理解しやすいように、各動作の段階ごとにこれを表したものであり、開閉動作体Dが停止位置に向けて移動(往動)されると図6、図7、図8の順でストライカ体1とキャッチャー体2が係止され、開閉動作体Dはこの係止により停止位置(図8の位置)に位置づけられる。停止位置にある開閉動作体Dを元の位置に向けて移動操作(復動)すると図8、図9、図10の順でストライカ体1とキャッチャー体2との前記係止が解かれる。キャッチャー体2にストライカ体1を入れ込ませない状態で、誤操作によりキャッチャー体2のインナーパーツ20が後退移動されてしまった場合に、このキャッチャー体2内にストライカ体1を入れ込ませるように開閉動作体Dを停止位置に向けて移動させると、図11、図12、図13の順でストライカ体1とキャッチャー体2が係止され、開閉動作体Dはこの係止により停止位置に位置づけられる。
【0021】
この実施の形態にかかる係止機構は、開き戸や、引き戸や、引き出しなどの開閉動作体Dをその停止位置において、この停止状態を安定的に維持するように、係止するものである。
【0022】
例えば、開き戸や引き戸に用いられる場合にあっては、かかる係止機構によって、この開き戸や引き戸が開口部を塞いだ状態が維持される。
【0023】
また、引き出しに用いられる場合にあっては、かかる係止機構によって、この引き出しが収納されてこの引き出しの前板部によって引き出し収納体の開口部が塞がれた状態が維持される。
【0024】
かかる係止機構は、ストライカ体1とキャッチャー体2とを有している。
【0025】
ストライカ体1は、停止位置において非動作体Bの被突き当たり部Baに突き当てられる開閉動作体Dの突き当たり部Daやその近傍及びこの非動作体Bの被突き当たり部Baやその近傍のいずれか一方に備え付けられ、キャッチャー体2は、これらの他方に備え付けられる。
【0026】
例えば、かかる係止機構が鉛直軸を持ったヒンジDbによって開閉可能に収納体B’の開口部Bbを塞ぐ開き戸D’に用いられる場合には、開き戸D’のヒンジDb側と反対の側であってその裏面の上部にストライカ体1及びキャッチャー体2のいずれか一方が備え付けられ、また、この開き戸D’の停止位置、つまり、閉じ位置において、この開き戸D’のヒンジDb側と反対の側の裏面の上部が位置される収納体B’の開口部Bbの上壁内面にこれらの他方が備え付けられる。(図5)
【0027】
(ストライカ体1)
ストライカ体1は、開閉動作体Dの移動方向fに沿って延びる首部11とこの移動方向に交叉する向きにこの首部11から突き出す頭部12とを備えたフック状部10を有している。
【0028】
図示の例では、かかるストライカ体1は、開き戸D’のヒンジDb側と反対の側の裏面の上部からこの裏面に略直交する向きに突き出す上面開口のボックス状の突出体13として構成されている。そして、かかる突出体13の底板が前記首部11となり、前板が前記頭部12として機能するようになっている。
【0029】
(キャッチャー体2)
キャッチャー体2は、
インナーパーツ20と、
このインナーパーツ20を前後動可能に収めるアウターパーツ22と、
インナーパーツ20を常時アウターパーツ22内に引き込む後退方向(図6における左側)に付勢するコイルバネ、(図示の例では引っ張りコイルバネ24)と、
この引っ張りコイルバネ24によるインナーパーツ20の後退方向の移動に制動を付与する制動手段25とを有している。
【0030】
図示の例にあっては、筒前端226を開放させ、かつ、筒後端を閉塞させた角筒状をなすアウターパーツ22内に、インナーパーツ20が納められると共に、引っ張りコイルバネ24と制動手段25とが納められている。そして、図示の例にあっては、収納体B’における、開き戸D’の閉じ位置、つまり、停止位置において、この開き戸D’のヒンジDb側と反対の側の裏面の上部が位置される箇所に、このアウターパーツ22の開放された筒前端226が位置されるように、この収納体B’にアウターパーツ22を取り付けさせている。具体的には、アウターパーツ22は、底板221と一対の側板222、222と奥板223と上板224とを有している。上板224の前後方向に沿った両側部は側板222の外面よりも側方に張り出されており、この張り出し箇所にはネジなどの入れ込み穴225が形成されている。そして、図示の例にあっては、収納体B’の天板Bcの裏面にアウターパーツ22の上板224を添装させた状態で前記入れ込み穴225を通じてこの天板Bcにネジなどを打ち込むことで、かかる収納体B’の開口部Bbにアウターパーツ22の筒前端226を向けるようにして、この収納体B’にアウターパーツ22、つまりは、キャッチャー体2を備え付けるようにしている。
【0031】
(キャッチャー体2/インナーパーツ20)
インナーパーツ20は、回動体200と、スライダ体210とから構成されている。
【0032】
回動体200は、前端部201に首部203aと頭部203bとを備えたフック状部203を有し、後端部202の側部にロック用突部204を有し、中間部に軸体205を有し、かつ、フック状部203と軸体205との間にフック状部203の頭部203bよりも先に突き出す突き当たり部206を備えている。
【0033】
スライダ体210は、かかる回動体200の軸体205の通し穴213aを備え、この通し穴213aに軸体205を通して回動体200に組み合わされると共に、このスライダ体210には、バネ後端241をアウターパーツ22に止着させた引っ張りコイルバネ24のバネ前端240が止着されている。
【0034】
(キャッチャー体2/インナーパーツ20/回動体200)
図示の例では、回動体200は、首部203aの前端からこの首部203aに対して略直交する向きに下方に向けて突き出す頭部203bによってフック状部203を形成させている。頭部203bの前面は、頭部203bの頂端に向かうに連れて次第に後傾する傾斜面203cとなっている。首部203aの後端の左右両側部には、この首部203aの後端から後方に向けて突き出す延出部207が形成されている。また、この首部203aと延出部207との連接箇所からは、上端をこの連接箇所に一体に連接させて板状をなす突き当たり部206が下方に向けて突き出されている。図示の例では、この突き当たり部206の突き出し方向に対し首部203aの延び出し方向が略90度の角度を持つようになっている。また、突き当たり部206の下端は頭部203bの頂部よりも下方に位置されている。
【0035】
また、図示の例にあっては、一対の延出部207、207の後端の外面にそれぞれ、ロック用突部204が形成されている。一対のロック用突部204、204はそれぞれ、円柱状をなすように構成されており、また、インナーパーツ20の左右方向に沿った仮想の直線上に一対のロック用突部204、204の軸線がそれぞれ位置されるようになっている。
【0036】
また、図示の例にあっては、一対の延出部207、207の基部側であって、ロック用突部204の形成レベルよりも上方で、かつ、突き当たり部206よりも後方となる箇所に、それぞれ、軸体205の通し穴208が形成されている。そして、図示の例にあっては、インナーパーツ20の左右方向に軸線を沿わせるように、この一対の通し穴208、208に軸体205が通されると共に、この軸体205がスライダ体210の通し穴213aを通ってその端部205aを突き出させ、この突き出させた端部205aを後述するアウターパーツ22のガイド溝230に入り込ませるようになっている。
【0037】
(キャッチャー体2/インナーパーツ20/スライダ体210)
図示の例では、スライダ体210は、筒前端211aを閉塞させて、筒後端を開放させた筒状体211と、
この筒状体211の筒前端211a側を間に挟んで上方に立ち上がる一対の側板212、212と、
この側板212によって筒状体211の筒前端211a側の上部に支持されると共に、枠前部を筒状体211の筒前端211aよりも前方に張り出させた前後方向に長い略長方形状の内外郭形状を持った枠体213とを備えている。
【0038】
かかる枠体213の前後方向略中程に位置される箇所に、この枠体213の両枠側部においてそれぞれ、前記軸体205の通し穴213aが形成されており、回動体200は軸体205をこの通し穴213aに通した状態で、頭部203bと突き当たり部206の突き出し側を下にする向きで、この枠体213内にこの軸体205を中心とした回動を可能とされた状態で納められるようになっている。後述する回動体200の傾動位置においては、枠体213内から回動体200のフック状部203の頭部203bは下方に突き出されず、また、筒状体211の筒前端211aと突き当たり部206の背面との間には動作用隙間xが形成されるようになっている。インナーパーツ20が前進位置にある状態で開閉動作体Dが停止位置に向けて移動されると、スライダ体210の枠体213の下方にストライカ体1が入り込み、突き当たり部206の前面にストライカ体1のフック状部10の頭部12の外面が突き当たり、回動体200が枠体213内からそのフック状部203の頭部203bを突き出させるように回動され、ストライカ体1のフック状部10に回動体200のフック状部203が掛合される。すなわち、図示の例では、かかるスライダ体210の枠体213の下方が後述するストライカ体1の進入空間yとなっている。
【0039】
また、図示の例では、スライダ体210の枠体213の枠後部に、引っ張りコイルバネ24のバネ前端240の止め付け部213dが形成されていると共に、前記アウターパーツ22の奥板223の上部にこの引っ張りコイルバネ24のバネ後端241の止め付け部227が形成されている。
【0040】
また、図示の例では、スライダ体210の底部とこの底部側の両側部にそれぞれ、前後方向に延びるリブ214が形成されており、アウターパーツ22の底板221と、この底板221と側板222との接し合う内隅部とにそれぞれ形成された案内溝228にこのリブ214を入れ込ませるようにして、アウターパーツ22内に前後動可能にスライダ体210、つまり、インナーパーツ20が組み込まれるようになっている。
【0041】
また、図示の例では、スライダ体210の一対の側板212、212の内面と筒状体211の上部外面との間に、回動体200の延出部207が入り込むようになっていると共に、この側板212に形成されたバカ穴215を通じて、この側板212の外側に回動体200のロック用突部204が突き出されるようになっている。
【0042】
(キャッチャー体2/アウターパーツ22)
アウターパーツ22には、
インナーパーツ20の移動方向に沿ったストレート溝部229aと、このストレート溝部229aの前端に連通してこの連通箇所にコーナーを作りながらこの移動方向に交差する向きに向けて延びる前側溝部229bとからなるロック用突部204を納めるロック溝229と、
このロック溝229の側方にあってインナーパーツ20の移動方向に沿って延びる軸体205の端部を納めるガイド溝230とが形成されている。
【0043】
図示の例にあっては、かかるガイド溝230及びロック溝229は、アウターパーツ22の一対の側板222、222にそれぞれこの側板222を貫通するようにして形成されている。これにより、図示の例にあっては、アウターパーツ22の前後軸を挟んだ両側においてそれぞれ、インナーパーツ20の移動に規則性を付与することができ、このインナーパーツ20の移動を円滑に行わせることができるようになっている。また、図示の例では、ガイド溝230はロック溝229の上方に位置されている。また、アウターパーツ22の左側の側板222に形成されたガイド溝230及びロック溝229に対し、右側の側板222に形成されたガイド溝230及びロック溝229は、アウターパーツ22の前後軸を含んだ仮想の鉛直面を挟んだ線対称位置に線対称形状を持つように形成されている。
【0044】
かかるガイド溝230は、回動体200の軸体205の太さを略等しいか、これよりもやや広い溝巾を有している。このガイド溝230は、アウターパーツ22の筒前端226に近い位置から始まっている。
【0045】
一方、ロック溝229は、ロック用突部204の太さを略等しいか、これよりもやや広い溝巾を有している。このロック溝229の溝前端は、ガイド溝230の溝前端よりも後方に位置され、かつ、このロック溝229の溝後端は、ガイド溝230の溝後端よりも後方に位置されている。
【0046】
また、アウターパーツ22の全長は、インナーパーツ20のスライダ体210の全長よりも長く、インナーパーツ20の前進位置においては、スライダ体210の筒状体211の筒後端とアウターパーツ22の奥板223との間に間隔が形成されるようになっている。インナーパーツ20は、このスライダ体210の筒状体211内に後述のように入れ込まれた制動手段25を構成するシリンダ250の後端をアウターパーツ22の奥板223の内面に突き当てさせる位置まで後退移動できるようになっている。
【0047】
また、図示の例にあっては、前記ロック溝229のストレート溝部229aは、アウターパーツ22の前後軸に沿って延びるように形成されている。また、前側溝部229bは、このアウターパーツ22の前後軸に略直交する向きに延びている。そして、この前側溝部229bによって、前方側に向けられたロック用突部204の引っかかり面229cが形成されている。
【0048】
そして、この実施の形態にあっては、インナーパーツ20の前進位置において、ロック溝229の前側溝部229bに引っ張りコイルバネ24の付勢によってロック用突部204が引っかかるようになっていると共に、この前進位置において回動体200のフック状部203を、停止位置に向けた開閉動作体Dの移動によってストライカ体1が入り込む進入空間y内に、入り込ませない傾動位置に回動体200が位置づけられるようになっている。(図6)
【0049】
それと共に、停止位置に向けた開閉動作体Dの移動によりストライカ体1の頭部12がこの傾動位置にある回動体200の突き当たり部206に突き当たるようになっていると共に、この突き当たりにより回動体200が軸体205を回動中心として、引っ張りコイルバネ24の付勢に抗してインナーパーツ20をやや前進移動させながらそのフック状部203を進入空間yに入り込ませ、かつ、ロック溝229の前側溝部229b内にあったロック用突部204をストレート溝部229a内に入り込ませる向きに回動されるようになっている。(図6から図7)
【0050】
すなわち、インナーパーツ20が前進位置にある状態においては、引っ張りコイルバネ24によって後退方向に付勢されるスライダ体210を介して回動体200も後退方向に付勢されるが、回動体200はロック用突部204をアウターパーツ22のロック溝229の前側溝部229bに入れ込ませていることから、インナーパーツ20は前進位置に位置づけられる。ロック溝229の前側溝部229bは回動体200の軸体205を納めるスライダ体210の通し穴213a、および、この軸体205の端部205aを納めガイドするガイド溝203よりも下方に位置されることから、回動体200はロック用突部204を支点とするようにしてフック状部203を進入空間y内に入り込ませない上方に位置させた傾動位置に位置付けられる。また、回動体200の突き当たり部206は進入空間y内にあって斜め前方に突き出すように位置づけられる。
【0051】
(機能)
インナーパーツ20が前進位置にある状態から、停止位置に向けた開閉動作体Dの移動によりストライカ体1の頭部12が傾動位置にある回動体200の突き当たり部206に突き当てられると、軸体205を前方に移動させる向きの力が回動体200に作用される。回動体200とスライダ体210とは軸体205を介して組み合わされていることから、この力の作用によってインナーパーツ20は引っ張りコイルバネ24を引き延ばしながらやや前方に移動される。この前方への移動によって、ロック用突部204とロック溝229との圧接(具体的には、ロック溝229の引っかかり面229cとの圧接)が解除されることから、回動体200は軸体205を中心として、そのフック状部203の頭部203bを進入空間y内に入り込ませると共に、ロック用突部204をロック溝229の前側溝部229bから抜け出させる向きに回動される。(以下、この状態を回動体200の掛合動作位置という。)これにより、ストライカ体1のフック状部10に回動体200のフック状部203を進入空間y内において掛合させることができる。ロック用突部204がロック溝229の前側溝部229bから抜け出されると、引っ張りコイルバネ24の付勢により、このロック溝229のストレート溝部229aに沿ってロック用溝部を案内しながらインナーパーツ20は後退移動されることとなる。ロック用突部204と軸体205間のピッチは変わらないことから、ストレート溝部229aにロック用突部204が一旦入り込むと、回動体200は掛合動作位置に位置づけられ続け、この回動体200のフック状部203とストライカ体1のフック状部10との掛合は解かれることがなく、ストライカ体1はキャッチャー体2内に、つまりは、アウターパーツ22内に引き込まれる。(図7から図8)これにより、開閉動作体Dの突き当たり部Daと非動作体Bの被突き当たり部Baとが突き当たり合う状態が強制的に作り出され、また、この状態を安定的に維持させることができる。また、開閉動作体Dの停止位置に向けた移動速度が比較的小さい場合であっても、これをストライカ体1とインナーパーツ20との前記掛合によって前記突き当たり部Daと被突き当たり部Baとが突き当たり合う開閉動作体Dの所期の停止位置まで開閉動作体Dを確実に移動させることができる。
【0052】
例えば、収納体B’の開口部Bbを開閉可能に塞ぐ開き戸D’にこの係止機構を用いた場合には、開き戸D’が開口部Bbを隙間なく塞いだ状態を開き戸D’の閉じ込み動作に伴って確実に作り出すことができるとともに、この状態を安定的に維持させることができる。
【0053】
また、かかる係止機構にあっては、引っ張りコイルバネ24によるインナーパーツ20の後退移動に制動を付与する制動手段25を有していることから、開閉動作体Dの停止位置に向けた移動速度が比較的大きい場合であっても、これを減衰させることができ、前記突き当たり部Daと被突き当たり部Baとが強く突き当たって衝撃音が生じてしまうことがないようにすることができる。
【0054】
(制動手段25)
図示の例では、かかる制動手段25は、
(1)インナーパーツ20のスライダ体210に備えられたシリンダ250と、
(2)このシリンダ250内の空間を2分割するオリフィス251aを備えた頭部251と、
(3)アウターパーツ22に支えられてこのシリンダ250内に入れ込まれた前記頭部251を支持する軸部252とを備えており、
(4)インナーパーツ20の後退移動によってオリフィス251aを通過する流体の流動抵抗によって制動力を発生させるようになっている。
【0055】
具体的には、図示の例にあっては、インナーパーツ20のスライダ体210の筒状体211内に前記シリンダ250が組み込まれている。また、軸部252の後端がアウターパーツ22の奥板223に押し当てられている。軸部252の前端とシリンダ250の前端との間には第一圧縮コイルバネ253が介装されており、未動作時には頭部251はシリンダ250の後端側に位置される。シリンダ250内には前記流体として典型的にはシリコンオイルなどの粘性流体が充填される。(図6)
【0056】
前進位置にあるインナーパーツ20が引っ張りコイルバネ24の付勢によって後退移動されると、これに伴ってシリンダ250が、頭部251に備えられたオリフィス251aに流体を通過させながら、後方に移動される。これにより、このインナーパーツ20の移動に適切に制動を付与することができる。
【0057】
また、この実施の形態にあっては、インナーパーツ20の押し込み速度が大きくなればなるほどオリフィス251aに至る流体の流路254が狭められるようにしてある。
【0058】
具体的には、図示の例にあっては、頭部251は軸部252の軸線方向に沿って前後動可能にこの軸部252に組み合わされると共に、この頭部251の後方には筒状部251bが形成されている。そして、この頭部251は、この頭部251の筒状部251b内に位置されるように軸部252に備え付けられた流路形成体255とこの頭部251の背面との間に介装された第二圧縮コイルバネ256によって常時前方に向けて付勢されている。流体は流路形成体255の外面と筒状部251bの内面との間の流路254を通るようになっている。この流路形成体255は後方に向かうほど段階的に外径を大きくするように構成されている。そして、シリンダ250が移動する速度、すなわち、係止装置を構成するインナーパーツ20が後退移動する速度、つまり、開閉動作体D3が閉じ込み移動する速度が大きくなればなるほど、このシリンダ250の移動に伴って流体の抵抗により第二圧縮コイルバネ256の付勢に抗して頭部251が後方に移動され、前記流路254が狭められるようになっている。
【0059】
これによりこの実施の形態にあっては、係止装置を構成するインナーパーツ20が後退移動する速度、つまり、開閉動作体D3が閉じ込み移動する速度が大きくなればなるほど、この後退移動に対する制動力を大きくさせることができ、開閉動作体D3の停止位置に向けた移動速度の大きさ如何にかかわらず、衝撃音を生じさせないような態様で前記突き当たり部Daと被突き当たり部Baとを突き当て合わせるようにすることができる。かかる制動手段25としては、より具体的には、本出願人が先に開示した特願2003−433572号所載のものを用いることができる。
【0060】
(その他の構造)
また、この実施の形態にあっては、後退位置にあるインナーパーツ20の回動体200のフック状部203にストライカ体1のフック状部10を引っかけさせて停止位置に位置づけられた開閉動作体Dを元の位置に向けて、つまり、図示の例にあっては開き戸D’を開き方向に移動(つまり、復動)操作させることにより、前進位置に向けてインナーパーツ20が移動されることに伴って、回動体200に、ロック用突部204をロック溝229のストレート溝部229aにおける前側溝部229bの形成側の溝壁229dに押しつけさせる向きの力が作用されるようになっている。
【0061】
図示の例にあっては、インナーパーツ20が後退位置にある状態において、回動体200のロック用突部204がロック溝229の溝後端に位置されるが、(図8)このロック用突部204の形成位置よりも軸体205の設けられた位置が上方に位置されることから、つまり、掛合動作位置にある回動体200のフック状部203の頭部203bを通る前後方向に沿った仮想の第一直線z2と、軸体205を通る仮想の第二直線z1との間に、ロック用突部204が位置されるようになっていることから、後退位置にあるインナーパーツ20を開閉動作体Dの復動によって前進位置に向けて移動されると、ロック用突部204はロック溝229のストレート溝部229aにおける前側溝部229bの形成側の溝壁229dに押しつけられながら摺動される。
【0062】
これにより、この実施の形態にあっては、前記停止位置にある開閉動作体Dを開き方向に移動させることにより、回動体200に作用される前記力によって、この回動体200のロック用突部204がアウターパーツ22のロック溝229のストレート溝部229aと前側溝部229bとの連通箇所に至る位置までインナーパーツ20が引き出されたときに、このロック用突部204をこの前側溝部229bに再び入り込ませてインナーパーツ20を前記前進位置に復帰させ、かつ、この状態を維持することができる。ロック用突部204が前側溝部229bに再び入り込むと同時に引っ張りコイルバネ24の付勢により回動体200は軸体205を中心として再び傾動位置に回動され、回動体200のフック状部203とストライカ体1のフック状部10との掛合が解かれる。これにより、このインナーパーツ20とストライカとの掛合を解いてキャッチャー体2内からストライカ体1を抜け出させることができ、係止機構による開閉動作体Dの停止位置維持状態をワンアクションで円滑に解除させることができる。(図9から図10)
【0063】
また、この実施の形態にあっては、スライダ体210の通し穴213aが、誤操作によってインナーパーツ20が後退位置に移動された状態において、開閉動作体Dを停止位置に向けて移動させることによるキャッチャー体2内でのストライカ体1のフック状部10と回動体200のフック状部203との突き当たりによって、ロック用突部204を回動中心として引っ張りコイルバネ24の付勢に抗してインナーパーツ20をやや前進移動させながら回動体200を傾動位置に回動させる向きに傾斜した長穴状をなすように構成されている。
【0064】
図示の例にあっては、かかるスライダ体210の通し穴213aは、ロック用突部204を円心とし、このロック用突部204と軸体205との間のピッチを半径とした仮想の円の円弧z3よりも曲率を大きくした仮想の円の円弧に沿って後方に延びる長穴状をなすようになっている。
【0065】
そして、前記進入空間yにストライカ体1を入れ込むことなく、つまり、開閉動作体Dを停止位置に移動させない状態において誤ってインナーパーツ20を押し込んでしまい、このインナーパーツ20を後退移動させてしまった場合、回動体200は掛合動作位置に位置づけられることとなるが、この誤操作状態から停止位置に向けて開閉動作体Dを移動させることにより、アウターパーツ22内において回動体200のフック状部203の頭部203bの前面にストライカ体1のフック状部10の頭部12の前面を突き当てさせることができるようになっている。(図11)
【0066】
インナーパーツ20が誤って後退された状態から開閉動作体Dを停止位置に向けて移動させると、キャッチャー体2内でのストライカ体1のフック状部10と回動体200のフック状部203との突き当たりによって、回動体200にはロック用突部204を回動中心としてこの回動体200を傾動位置に向けて回動させる向きの力が作用される。ここで、軸体205の通し穴213aは前記のような長穴状をなしていることから、この力の作用によってこの通し穴213aの穴前端213bにあった軸体205はこの通し穴213aの穴後端213c側に移動され、回動体200は傾動位置に回動されると共に、この軸体205の移動に伴って引っ張りコイルバネ24を引き延ばしながらインナーパーツ20はやや前方に移動される。(図11)ストライカ体1のフック状部10の頭部203bがこのように傾動位置に回動された回動体200のフック状部203の頭部203bの先まで入り込むと、引っ張りコイルバネ24の弾性復帰によってインナーパーツ20は後方に移動されると共に、軸体205はスライダ体210の通し穴213aの穴前端213bに再び移動され、回動体200は掛合動作位置に復帰される。これにより、正規にキャッチャー体2にストライカ体1を受け入れさせた場合と同じ状態が作り出される。(図12から図13)
【0067】
なお、この実施の形態にあっては、回動体200の軸体205の端部205aを納めるアウターパーツ22のガイド溝230の溝後端に連通して上方に延びる枝溝部230aが形成されており、前記のスライダ体210の通し穴213aの穴後端に向けての軸体205の移動を許容すると共に、これが規則的になされるようにしてある。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】キャッチャー体2の分解斜視図
【図2】キャッチャー体2の分解斜視図
【図3】ストライカ体1の平面図
【図4】同断面図
【図5】係止機構の使用状態を示した斜視図
【図6】係止機構の要部破断側面図(インナーパーツ20前進位置/回動体200傾動位置)
【図7】係止機構の要部破断側面図(インナーパーツ20前進位置よりさらにやや前進/回動体200掛合動作位置)
【図8】係止機構の要部破断側面図(インナーパーツ20後退/回動体200掛合動作位置)
【図9】係止機構の要部破断側面図(インナーパーツ20前進位置よりさらにやや前進/回動体200掛合動作位置)
【図10】係止機構の要部破断側面図(インナーパーツ20前進位置/回動体200傾動位置)
【図11】係止機構の要部破断側面図(インナーパーツ20後退位置/回動体200掛合動作位置/誤操作状態)
【図12】係止機構の要部破断側面図(インナーパーツ20後退位置/回動体200傾動位置)
【図13】係止機構の要部破断側面図(インナーパーツ20後退位置/回動体200掛合動作位置)
【符号の説明】
【0069】
1 ストライカ体
2 キャッチャー体
20 インナーパーツ
200 回動体
203 フック状部
203a 首部
203b 頭部
204 ロック用突部
205 軸体
205a 端部
206 突き当たり部
210 スライダ体
213a 通し穴
22 アウターパーツ
229 ロック溝
229a ストレート溝部
229b 前側溝部
230 ガイド溝
24 引っ張りコイルバネ
25 制動手段
D 開閉動作体
Da 突き当たり部
B 非動作体
Ba 被突き当たり部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
停止位置において非動作体の被突き当たり部に突き当てられる開閉動作体の突き当たり部やその近傍及びこの非動作体の被突き当たり部やその近傍のいずれか一方に備え付けられるストライカ体と、これらの他方に備え付けられるキャッチャー体とを有する係止機構であって、
ストライカ体は、
開閉動作体の移動方向に沿って延びる首部とこの移動方向に交叉する向きにこの首部から突き出す頭部とを備えたフック状部を有しており、
キャッチャー体は、
インナーパーツと、
このインナーパーツを前後動可能に収めるアウターパーツと、
インナーパーツを常時アウターパーツ内に引き込む後退方向に付勢するコイルバネと、
このコイルバネによるインナーパーツの後退方向の移動に制動を付与する制動手段とを有しており、
インナーパーツは、
前端部に首部と頭部とを備えたフック状部を有し、後端部の側部にロック用突部を有し、中間部に軸体を有し、かつ、フック状部と軸体との間にフック状部の頭部よりも先に突き出す突き当たり部を備えた回動体と、
この回動体の軸体の通し穴を備え、この通し穴に軸体を通して回動体に組み合わされると共に、バネ後端をアウターパーツに止着させたコイルバネのバネ前端が止着されたスライダ体とを有しており、
アウターパーツには、
インナーパーツの移動方向に沿ったストレート溝部と、このストレート溝部の前端に連通してこの連通箇所にコーナーを作りながらこの移動方向に交差する向きに向けて延びる前側溝部とからなるロック用突部を納めるロック溝と、
このロック溝の側方にあってインナーパーツの移動方向に沿って延びる軸体の端部を納めるガイド溝とが形成されており、
インナーパーツの前進位置において、ロック溝の前側溝部にコイルバネの付勢によってロック用突部が引っかかるようになっていると共に、この前進位置において回動体のフック状部を、停止位置に向けた開閉動作体の移動によってストライカ体が入り込む進入空間内に、入り込ませない傾動位置に回動体が位置づけられるようになっており、
停止位置に向けた開閉動作体の移動によりストライカ体の頭部がこの傾動位置にある回動体の突き当たり部に突き当たるようになっていると共に、この突き当たりにより回動体が軸体を回動中心として、コイルバネの付勢に抗してインナーパーツをやや前進移動させながらそのフック状部を進入空間に入り込ませ、かつ、ロック溝の前側溝部内にあったロック用突部をストレート溝部内に入り込ませる向きに回動されるようになっていることを特徴とする開閉動作体の停止位置における引き込み係止機構。
【請求項2】
後退位置にあるインナーパーツの回動体のフック状部にストライカ体のフック状部を引っかけさせて停止位置に位置づけられた開閉動作体を元の位置に向けて移動操作させることにより前進位置に向けてインナーパーツが移動されることに伴って、回動体に、ロック用突部をロック溝のストレート溝部における前側溝部の形成側の溝壁に押しつけさせる向きの力が作用されるようになっていることを特徴とする請求項1記載の開閉動作体の停止位置における引き込み係止機構。
【請求項3】
スライダ体の通し穴が、誤操作によってインナーパーツが後退位置に移動された状態において、開閉動作体を停止位置に向けて移動させることによるキャッチャー体内でのストライカ体のフック状部と回動体のフック状部との突き当たりによって、ロック用突部を回動中心としてコイルバネの付勢に抗してインナーパーツをやや前進移動させながら回動体を傾動位置に回動させる向きに傾斜した長穴状をなすように構成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の開閉動作体の停止位置における引き込み係止機構。
【請求項4】
制動手段が、
インナーパーツのスライダ体及びアウターパーツのいずれか一方に備えられたシリンダと、
このシリンダ内の空間を2分割するオリフィスを備えた頭部と、
インナーパーツのスライダ体及びアウターパーツの他方に支えられてこのシリンダ内に入れ込まれた前記頭部を支持する軸部とを備え、
インナーパーツの後退移動によってオリフィスを通過する流体の流動抵抗によって制動力を発生させるようになっていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の開閉動作体の停止位置における引き込み係止機構。
【請求項5】
インナーパーツの押し込み速度が大きくなればなるほどオリフィスに至る流体の流路が狭められるようにしてあることを特徴とする請求項4記載の開閉動作体の停止位置における引き込み係止機構。
【請求項6】
アウターパーツの前後軸を挟んだ両側にそれぞれ、ガイド溝とロック溝とが設けてあることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の開閉動作体の停止位置における引き込み係止機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2006−28917(P2006−28917A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−210300(P2004−210300)
【出願日】平成16年7月16日(2004.7.16)
【出願人】(000135209)株式会社ニフコ (972)