説明

開閉機構

【課題】ネジ等を用いずにチェッカ機構を容易に着脱することができるドア開閉機構を提供。
【解決手段】内部空間を有するフィメール100と、該フィメール100の内部空間内において回動自在に配置されるメール200と、該メール200内に配置されてフィメール100に対してメール200を回動自在且つ所定角度範囲内の回動位置を保持する回動トルクを制御するケース組立体300とを備え、ケース組立体300が係止片302と嵌合され、複数のチェッカボール55を円環状に配置したボールプレート310及び350と、該ボールプレート310及び350が嵌め合わされる円環状の溝が一面に刻設された溝プレート320及び340と、該溝プレート320及び340間に挟持されて前記溝プレートを複数のチェッカボール55を介してボールプレートに押圧するバネ330とを備えたドア開閉機構。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開閉するドアに連結され、該ドアを所定の開度位置に保持すべくドアの開閉トルクを制御する開閉機構に係り、特に自動車用のドアを車体に取り付けて該ドアの開閉トルクを制御するドアチェッカ機能を有する開閉機構に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に自動車用ドアの開閉機構は、図7に示す如く、ドア20を自動車の車体ボディ10に対して開閉自在に支持する一対のヒンジ30と、摺動抵抗を利用し、ドアに所定値以上の開閉操作力が加わらない限りはそのドアを所定の開度に保持するドアチェッカ40とから構成されている。このドアチェッカ40は、ドアが途中まで開いた状態を維持することにより、例えば坂道などにおいても半開き状態を維持するものである。
【0003】
尚、前記ドアチッカに関する技術が記載された文献としては、例えば下記特許文献が挙げられ、この文献には、ドアを無段階で保持する無段ドア開度保持機構と有段ドア開度保持機とを自動車のボディとドア間に並列に配置する技術が記載されている。
【特許文献1】特開2006−169888号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述の従来技術によるドア開閉機構は、ドアを回動自在に保持するヒンジとドアの開閉状態を規制するドアチェッカとが別設されていたため、部品点数が多く、各部品の組み立て作業が繁雑であると言う不具合があった。特に前記文献記載のドアチェッカは、有段階にドア開閉状態を保持する機構のため、構造が複雑であり、部品点数が多く、各部品の組み立て作業が繁雑であると言う不具合があった。
【0005】
本発明の目的は、ネジ等を用いずにチェッカ機構を容易に着脱することができるドア開閉機構を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するために本発明による開閉機構は、内部空間を有する第1部材と、該第1部材の内部空間内において回動自在に配置され、内部空間を有する第2部材と、該第2部材の内部空間に配置され、前記第1部材に対して第2部材を回動自在に保持すると共に前記第1部材と第2部材の所定角度の回動位置を保持する回動トルクを制御する第3部材と、前記第3部材に一端が係止され、他端が前記第1部材に係止され且つ第2部材を回動自在に貫通する一対の係止片とを備えたことを第1の特徴とする。
【0007】
また本発明は、前記特徴の開閉機構において、前記第3部材が、一面が前記一対の係止片と嵌合され、他面に複数のチェッカボールを円環状に配置した一対のボールプレートと、該一対のボールプレートが嵌め合わされる円環状の溝が一面に刻設された一対の溝プレートと、該一対の溝プレートの他面の間に配置され、前記溝プレートを複数のチェッカボールを介してボールプレートに押圧するバネとを備えたことを第2の特徴と、前記何れかの特徴の開閉機構において、前記第3部材が、前記係止片が貫通した第1部材及び第2部材の内部空間から着脱自在な着脱構造を備えたことを第3の特徴とし、該第3の特徴の開閉機構において、前記第1部材と係止され且つ第2部材の内部空間に突出した前記係止片と、該係止片の外周と回動不能に嵌合する溝を一面に有するボールプレートとから前記着脱構造を形成し、前記ボールプレートの溝に係止片を嵌合又は離脱することにより、第1部材の内部空間から第3部材を着脱自在に構成したことを第4の特徴とする。
【0008】
更に本発明は、前記第4の特徴の開閉機構において、前記ボールプレートの一面に設けた溝が、前記係止片を挿入するに従って前記バネを圧縮する傾斜面を備えたことを第5の特徴とし、前記第2乃至第5何れかの特徴の開閉機構において、前記溝プレートの円環状の溝が、チェッカボールの移動を制限する深さの半円状に刻設された複数の半球溝を有することにより、前記第1部材と第2部材の所定角度の回動位置を保持すべく回動トルクを制御することを第6の特徴とし、前記第2乃至6何れかの特徴の開閉機構において、前記溝プレートの円環状の溝が、同心円状に複数刻設されていることを第7の特徴とする。
【0009】
また本発明は、前記第2乃至7何れかの特徴の開閉機構において、前記第3部材が、前記一対のボールプレートと一対の溝プレートと該ボールプレート及び溝プレート間に挟持される複数のチェッカボールとバネとを収納する箱形状のケースを備えたことを第8の特徴とし、この第7の特徴の開閉機構において、前記第1部材が、前記第2部材と当接することにより回動範囲を所定角度内に制限する突起を備えたことを第8の特徴とし、前記何れかの特徴の開閉機構において、前記第1部材が車両ボデイに固定され、前記第2部材が車両ドアに固定され、前記第3部材が前記第2部材を第1部材に回動自在に保持すると共に前記第1部材と第2部材の所定角度の回動位置を保持する回動トルクを制御することを第9の特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明による開閉機構は、前記第3部材が、一対の係止片を介して第1部材の内部空間内に配置された第2部材を回動自在且つ前記第1部材と第2部材の所定角度の回動位置を保持する回動トルクを制御することにより、組立が容易なドア開閉機構を提供することができる。即ち本発明によるドア開閉機構は、チェッカ機能を有する第3部材をネジ等を用いずに着脱することができ、特に自動車に適用した場合、自動車の製造工程を短縮し、コストダウンを図ることができる。
【0011】
更に本発明による開閉機構は、一対のボールプレートと溝プレートと該溝プレートを複数のチェッカボールを介してボールプレートに押圧するバネとにより第3部材を構成することによって、第3部材が、第1部材に対して第2部材を回動自在に保持することができ、前記第1部材と係止されて第2部材の内部空間に突出した係止片及び該係止片の外周と回動不能に嵌合する溝を有するボールプレートとから着脱構造を構成することによって、第1部材と第2部材とを着脱自在にすることができ、更に本発明は、前記溝プレートの円環状の溝が、チェッカボールの移動を制限する深さの半円状に刻設された複数の半球溝を設けたことにより、前記第1部材と第2部材の所定角度の開状態を保持する回動トルクを制御することができる。
【0012】
更に本発明による開閉機構は、前記前記溝プレートの円環状の溝が、同心円状に複数刻設されていることによって、二重環状に配置した複数のチェッカボールにより溝プレートとボールプレートとを当接し、両者の強度を保持することができ、更に第3部材が、ボールプレートと一対の溝プレートとバネとを収納する箱形状のケースと当接する突起を設けたことにより、前記第1部材に対する第2部材の回動範囲を所定角度内に制限することができ、更に本機構を自動車ボディ及び自動車用ドアに適用することにより、チェッカ機構を含んだ容易に組み立て可能な自動車ドア用のドア開閉機構を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明によるドア開閉機構を図面を参照して詳細に説明する。図1は本実施形態によるドアチェッカ機能を有するドア開閉機構の概略構造を説明するための図、図2は本実施形態によるドア開閉機構の分解組立図、図3は本実施形態によるケース組立体の組み立て工程を説明するための図、図4は本実施形態によるドア開閉機構の円板を説明するための図、図5は本実施形態による上溝プレートを説明するための図、図6は本実施形態によるドアチェッカ機能を説明するための図である。
【0014】
まず、本実施形態によるドア開閉機構は、従来はドアを回動自在に支持するヒンジとドアチェッカとが別設されていたものであったのに対し、ドアを回動自在に支持するヒンジ機構とドアを所定の角度で開状態を保持するドアチェッカ機構とを1つの機構として兼用すると共に、前記自動車の車体に対してドアを容易に着脱することができ、組立が容易なものである。
【0015】
<全体構造>
このドア開閉機構の概略構成は、図1に示す如く、例えば、自動車の車体ボディにネジ等により固定される概略コ字形状のフィメール100と、該概略コ字形状のフィメール100の内部空間に収納され、該フィメール100に対して回動自在に取り付けられ、上下に延びる取付片202が設けられたメール200と、該メール200内に嵌入され、固定されたフィメール100に対してメール200を回動自在且つ着脱自在に保持するケース組立体300とから構成され、例えば自動車ドアに適用する際には、前記フィメール100を自動車の車体側に固定すると共に、メール200をドアに取り付け、該メール200をフィメール100のコ字状の凹部にはめ込んだ状態で、メール200にケース組立体300を組み込むことによって、車体にドアを容易に取り付け、例えば図中の矢印A方向にメール200を往復回動自在且つ所定の角度で開状態を維持できる様に構成されている。尚、本実施形態によるフィメール100は特許請求の範囲の欄の第1部材に相当し、メール200が同第2部材に相当し、ケース組立体300が同第3部材に相当するものとする。
【0016】
<フィメール100>
このドア開閉機構のフィメール100は、分解組立状態を示す図2に表した如く、車体に固定するための2つのネジ孔102aが開口された取付片102と、該取付片102と直交し、後述するケース組立体300の係合片302a及び302bの端部が嵌合する開口部101a及び101bが開口された一対の折曲片101とから構成され、この取付片102及び一対の折曲片101が形成するコ字形状の内部空間にメール200が回動自在に嵌め込まれ、矢印Bの如く取り外しが容易な様に構成されている。尚、本実施形態による自動車用のドア開閉機構の場合、ドアの開閉角度が80度に制限されているため、後述するメール200の回動角度を制限するための突起をフィメール100の側面に設けても良い。
【0017】
<メール200>
該メール200は、前記フィメール100の前記コ字形状の内部空間に挿入可能な寸法に折曲され且つネジ孔201a及び201bが開口された一対の折曲片201と、該一対の折曲片201を連結する連結片203と、前記一対の折曲片201の端部から上下方向に折曲され、ドア等の可動部に取り付けるためのネジ孔202a及び202bが開口された取付片202とから構成される。
【0018】
<ケース組立体300>
前記ケース組立体300は、前記フィメール100にメール200を回動及び着脱自在に取り付けるものであって、一側面が開口し且つ上下面に円形状の開口301aが開口された箱状のケース301と、該ケース301内に組み込まれ、フィメール100及びメール200とを回動及び着脱自在に取り付けるための係止片302a及び302bと、後述するチェッカボール55を複数嵌合した上下ボールプレート310及び350と、該上下ボールプレート310及び350にチェッカボール55を介して押し付けられる上溝プレート320及び下溝プレート340と、該上下溝プレート320及び340間に配置されて図中の上下方向に復元力を付勢する螺旋状のバネ330とから構成される。尚、本実施形態によるケース組立体300は、内部に収納した上下溝プレート/上下ボールプレート/バネ他の部品が外部に出ないように蓋を設けるのが望ましい。
【0019】
このケース組立体300は、概略箱形状のケース301内に圧縮したバネ330を収納し、該バネ330の復元力によって上下溝プレート320及び340並びに上下ボールプレート310及び350を上下方向に離れるように押圧し、この押圧力によって上下ボールプレート310及び350の上下端に嵌合させた係合片302a及び302bの一端部が前記メール200開口したネジ孔201ab及び202abを貫通し、及びフィメール100の開口101a及び101bに回動不能に嵌合することによって、フィメール100に対してメール200を取り付けることができる。
【0020】
このケース組立体300は、複数のチェッカボール55を介して上下ボールプレート310及び350と上下溝プレート320及び340との相対的な回動を許容しており、これによってフィメール100に対してメール200を回動自在に保持することができる。
【0021】
本実施形態によるケース組立体300の上下ボールプレート310及び350は、一方の面に前記係合片の一端と回動不能に嵌合する形状の溝が開口された係合部311及び351が設けられ、他面に前記チェッカボール55を回動自在に嵌め込むための半球溝が開口されており、例えば下ボールプレートの円板352の他面には、図3(a)及び図4に示す如く、8つのチェッカボール55の約半分を収納する深さに刻設された半球溝58が設けられ、この半球溝58にチェッカボール55が回動自在に嵌合されている。また前記係合部311及び351は、係合片302a及び302bの他端に設けられた角状片が挿入される溝が設けられ、この溝は、前記係合片302a及び302bの他端が挿入されるに従ってバネ330を圧縮して上下方向に復元力を付勢するための傾斜面が設けられている。尚、本実施形態による前記上下ボールプレート310及び350は、係合部311及び351の溝に設けた傾斜面によってケース組立体300をフィメール100及びメール200の内部空間への装着時にバネ300を圧縮する例を説明したが、本発明はこれに限られるものではなく、例えばケース組立体300にバネ330を挟んで圧縮する機構を設けることや、他のガイド機構によりバネ330を圧縮しながらケース内に挿入する様に構成しても良い。
【0022】
本実施形態における8つの半球溝58は、外輪側と内輪側の2つの同心円状に間隔をもって個々に4個づつ2段に段差をもって直交する様に配置し、該8つの半球溝にチェッカボール55を該溝内において回動自在に嵌合しているが、これは円板352の中心軸を通るように4つの半球溝を設け、これを直交させる様に配置した場合、円板352の直径が強度の点から大きくなることを防止するため、段差をもって配置したものである。また本実施形態によるドア開閉機構は、上下溝プレートの円環状の溝を同心円状に2環に刻設していることによって、二重環状に配置した多数のチェッカボールにより溝プレートとボールプレートとを当接し、両者間の押し付け力を強くすることができる。
【0023】
前記上下溝プレート320及び340は、前記円板の半球溝に嵌め込んだ8つのチェッカボールを嵌め込む2連の円環状のリング溝及び該リング溝中に設けられた半球溝とが刻設されており、例えば上溝プレート320は、図5(a)に示す如く、円環状に配置されたリング溝51a1〜51a8及び半球溝53a1〜53a8とから成る外側の円環溝と、同様に配置されたリング溝51b1〜51b8及び半球溝53b1〜53b8とから成る内側の円環溝が刻設されている。これら溝は、図5(a)中のZ−Z断面を直線状として示す図5(b)の如く、半球溝53a1/53a3/53a5/53a7がチェッカボール55の下半分と嵌合する半月状凹形状を成し、これに続くリング溝51a1/51a3/51a5/51a7が徐々に深さが深くなる溝形状を成し、これに続く半球溝53a2/53a4/53a6/53a8がチェッカボール55の動きを阻止するように扇状に刻設された溝形状を成し、これに続くリング溝51a2/51a4/51a6/51a8がプレート面と平行に刻設されている溝形状を成している。
【0024】
このように本実施形態によるドア開閉機構は、上下ボールプレート310及び350に嵌め込まされたチェッカボールが、上下溝プレートの円環状に配置されたリング溝及び半球溝内を回転しながら移動することによって、フィメール100に対してメール200を回動自在に支持することができる。これを具体的に説明すると、例えば円板352の溝に保持されたチェッカボール55が、図6に示した如くチェッカボール55a1〜55a4、55b1〜55b4として間隔を持って配置されている状態から、チェッカボール55a1が半球溝53a1に/チェッカボール55a2が半球溝53a3に/チェッカボール55a3が半球溝53a5に/チェッカボール55a4が半球溝53a7に移動し、同様にチェッカボール55b1〜55b4も次の半球溝に移動することによって、メール200がフィメール100に対して所定角度(45度以下)回転して保持され、更なる回転により次の半球溝に移動して嵌め込むことによって、更にメール200が回転する様に構成されている。この回転は、上下ボールプレートと溝プレートのみであれば360度以上回転可能であるが、本実施形態においては、自動車用ドアのため例えば80度以内において回動可能に構成されている。
【0025】
また前記リング溝51a1/51a3/51a5/51a7は、ドア全開状態から開度40度に締まる迄のチェッカボール55が通る溝であり、図5(b)に示す如く、初期荷重を低減するために図の時計回り方向に向かって溝の深さが深くなるように構成されていると共に、このリング溝に続く半球溝53a2/53a4/53a6/53a8の図5(b)の右側を深く刻設していることにより回動を一時的に阻止してドア位置を保持するチェッカ機能を達成している。
【0026】
<ケース組立体300の組立>
このように構成されたケース組立体300は、図3(a)に示す如く円板352の半球溝58にチェッカボール55をはめ込み、図3(b)に示す如く該チェッカボール55を上向きにした状態で上溝プレート320を上方からチェッカボール55が溝に嵌るように組み立て、図3(c)に示す如くケース301の上下の円形状の開口301aに円板312及び352の係合部311及び351をはめ込み、上下溝プレート320及び340の間に圧縮したバネ330を嵌め込むことにより組み立てることができる。
【0027】
<組立−動作>
この様に本実施形態によるドア開閉機構は、前記図3に示したケース組立体300の上下の係合部311及び351の溝に、該溝と形状が一致する係合片302a及び302bを嵌め合わせ、前記バネ330を圧縮した状態でケース組立体300から突出する係合片302a及び302bの上端部をメール200のネジ孔201a及び201bを通してフィメール100の開口部101a及び101bに嵌合することによって、組み立てることがでる。
【0028】
本実施形態によるドア開閉機構を自動車に適用する例を説明すると、例えばフィメール100とメール200の孔(開口部101aとネジ孔201a、開口部101bとネジ孔201b)の位置合わせを行う工程と、該位置合わせを行った前記上下の孔に係合片302a及び302bを挿入する工程と、この挿入した係合片302a及び302bの開口部101a及び101bから上下に突出した部分をかしめることによりフィメール100とメール200とを回転自在に結合する工程と、この結合したメール200をネジ孔202aを用いてドアに取り付ける工程と、このドアを取り付けた開閉機構のフィメール100をネジ孔102aを用いて図7の車体ボディの支柱に取り付ける工程と、該ドアを全開した状態でフィメール100とメール200にケース組立体300を差し込んで開閉機構を完成させる工程とを行うことによって、ケース組立体300の係合部311及び351が係合片302a及び302bを上下方向にバネ復元力を付勢した状態でドアを車体ボディに取り付けることができる。従って本実施形態によるドア開閉構造は、前記バネ復元力によってメール200を貫通してフィメール100の開口部に取り付けられる係合片302a及び302bを強固にフィメール100に押し付け、これらの結合を強固にすることができる。
【0029】
本実施形態によるドア取付構造は、前記ケース組立体300内の上下ボールプレート310及び350が内方の上下溝プレート320及び340に対してチェッカボール55の回動によって相対的に回動することができると共に、上下溝プレート320及び340に円環状に間隔をもって設けた半球溝53a1〜53a8及び53a1〜53b8にチェッカボール55が嵌め合わされることによって、回動を一時的に保持するチェッカ(ラッチ)機能を達成しているため、自動車に適用した場合、ドアを車体に対して回動自在且つ所定角度でのドア開状態を保持することができる。
【0030】
また本実施形態によるドア取付構造は、車体ボディ側のフィメール100とドア側のメール200からケース組立体300を着脱自在に構成したことにより、自動車ドアとチェッカ機構の取付作業を容易にすることができる。また本実施形態によるドア開閉機構は、ドアが車体ボディにほぼ閉じた際にモータによりドアを自動的に閉じ且つロックするものにも適用することができる。
【0031】
また前記実施形態としては第3部材(チェッカ機構であるケース組立体)の例として回転するチェッカボール及び該ボールを案内する溝を有するプレート等を内在してフィメールに対するメールの回動並びに所定角度の回動位置を保持する回動トルクを制御する機構を説明したが、本発明による第3部材の内部機構はこれに限られるものではなく、例えば、直線状に配列した凹凸上を回転する円板部が移動することによってフィメールに対するメールの回動並びに所定角度の回動位置を保持する回動トルクを制御するクランク機構等の他の機構によりチェッカ機構(ケース組立体)を構成し、当該チェッカ機構を着脱自在に構成しても良い。
【0032】
また本願発明者は、新規なチェッカ機構を発明したものであって、このチエッカ機構は、一面に複数のチェッカボールを円環状に配置した一対のボールプレートと、該一対のボールプレートが嵌め合わされる円環状の溝が一面に刻設された一対の溝プレートと、該一対の溝プレートの他面の間に配置され、前記溝プレートを複数のチェッカボールを介してボールプレートに押圧するバネとを備え、前記一対のボールプレートと溝プレートとを相対的に回動自在且つ所定角度の回動位置を保持する回動トルクを制御するチエッカ機構として表すことができる。
【産業上の利用可能性】
【0033】
前述の実施形態は、本発明によるドア開閉機構を自動車のドア開閉機構に適用した例を説明したが本発明はこれに限られるものではなく、例えば住宅用ドアのヒンジやその他重量物のドア/扉/蓋等を開閉するあらゆるヒンジ機構に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の一実施形態によるドア開閉機構の概略構造を説明するための図。
【図2】本実施形態によるドア開閉機構の分解組立図。
【図3】本実施形態によるケース組立体の組み立て工程を説明するための図。
【図4】本実施形態によるドアチェッカの円板を説明するための図。
【図5】本実施形態による上溝プレートを説明するための図。
【図6】本実施形態によるドアチェッカ機能を説明するための図。
【図7】従来技術によるドアチェッカを説明するための図。
【符号の説明】
【0035】
10:車体ボディ、20:ドア、30:ヒンジ、40:ドアチェッカ、51a1〜51a8:リング溝、53a1〜53a8:半球溝、51a1〜51a8:リング溝、51b1〜51b8:リング溝、53a1〜53a8:半球溝、53b1〜53b8:半球溝、55a1〜55a4:チェッカボール、55b1〜55b4:チェッカボール、58:半球溝、100:フィメール、101:折曲片、102:取付片、102a:ネジ孔、200:メール、201:折曲片、201a:ネジ孔、202:取付片、202a:ネジ孔、203:連結片、300:ケース組立体、301:ケース、302a:係合片、310:上ボールプレート、311:係合部、312:円板、320:上溝プレート、330:バネ、350:下溝プレート、352:円板。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部空間を有する第1部材と、該第1部材の内部空間内において回動自在に配置され、内部空間を有する第2部材と、該第2部材の内部空間に配置され、前記第1部材に対して第2部材を回動自在に保持すると共に前記第1部材と第2部材の所定角度の回動位置を保持する回動トルクを制御する第3部材と、該第3部材に一端が係止され、他端が前記第1部材に係止され且つ第2部材を回動自在に貫通する一対の係止片とを備えた開閉機構。
【請求項2】
前記第3部材が、一面が前記一対の係止片と嵌合され、他面に複数のチェッカボールを円環状に配置した一対のボールプレートと、該一対のボールプレートが嵌め合わされる円環状の溝が一面に刻設された一対の溝プレートと、該一対の溝プレートの他面の間に配置され、前記溝プレートを複数のチェッカボールを介してボールプレートに押圧するバネとを備えた請求項1記載の開閉機構。
【請求項3】
前記第3部材が、前記係止片が貫通した第1部材及び第2部材の内部空間から着脱自在な着脱構造を備えた請求項1又は2記載の開閉機構。
【請求項4】
前記第1部材と係止され且つ第2部材の内部空間に突出した前記係止片と、該係止片の外周と回動不能に嵌合する溝を一面に有するボールプレートとから前記着脱構造を形成し、前記ボールプレートの溝に係止片を嵌合又は離脱することにより、第1部材の内部空間から第3部材を着脱自在に構成した請求項3記載の開閉機構。
【請求項5】
前記ボールプレートの一面に設けた溝が、前記係止片を挿入するに従って前記バネを圧縮する傾斜面を備えた請求項4記載の開閉機構。
【請求項6】
前記溝プレートの円環状の溝が、チェッカボールの移動を制限する深さの半円状に刻設された複数の半球溝を有することにより、前記第1部材と第2部材の所定角度の回動位置を保持する回動トルクを制御する請求項2乃至5何れかに記載の開閉機構。
【請求項7】
前記溝プレートの円環状の溝が、同心円状に複数刻設されている請求項2乃至6何れかに記載の開閉機構。
【請求項8】
前記第3部材が、前記一対のボールプレートと一対の溝プレートと該ボールプレート及び溝プレート間に挟持される複数のチェッカボールとバネとを収納する箱形状のケースを備えた請求項2乃至7何れかに記載の開閉機構。
【請求項9】
前記第1部材が、前記第2部材と当接することにより回動範囲を所定角度内に制限する突起を備えた請求項8記載の開閉機構。
【請求項10】
前記第1部材が車両ボデイに固定され、前記第2部材が車両ドアに固定され、前記第3部材が前記第2部材を第1部材に回動自在に保持すると共に前記第1部材と第2部材の所定角度の回動位置を保持する回動トルクを制御する請求項1乃至9何れかに記載の自動車ドア用の開閉機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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