説明

開閉蓋付き容器

【課題】開閉蓋に対する容器本体の密閉を簡単かつシンプルな構成にて実現可能にする。
【解決手段】容器本体12の開口部の外周に係止縁25が突設され、開閉蓋11に容器本体12の開口を覆う天部13と係止縁25を含む容器本体12の側壁周辺を囲んで前記天部13周辺から垂下するフランジ14とを設け、このフランジ14より内方の前記天部13の下面にリング状のシールパッキン24を装着し、前記フランジ14の一部に形成された切欠17に係止部材19を設け、この係止部材19に容器本体12の係止縁25に係止可能な係止突起20を設けた構成である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上方に開口を有する容器の開口部に開閉蓋を着脱可能に取り付けてなる開閉蓋付き容器に関するものである。特に、ガラス製、樹脂製、陶磁器製の容器に適用できるものである。
【背景技術】
【0002】
家庭で調理された惣菜等の食品を密閉保存するのに、従来から合成樹脂製の開閉蓋付き容器が広く用いられている。この密閉タイプの開閉蓋付き容器は、これに惣菜等を収納して冷蔵庫に保管した場合に、その惣菜等の臭いや水分、汁などが外に漏れ出して、他の食品に付着したり、移ったりすることを防止できる点で有用である。
【0003】
この開閉蓋付き容器は、容器本体と、この容器本体の開口部を塞ぐための開閉蓋と、この開閉蓋を容器本体の開口部に密着保持させるための係止部材を持つ。そして、容器本体内からの臭いや水分漏れを防止するため、および容器本体の開口部に対する開閉蓋の密閉度を高めるために、前記係止部材に種々の工夫がなされている。例えば、四角形(弁当箱形)の開閉蓋付き容器では、開閉蓋の対向する二側に、この開閉蓋を容器本体に密着させるための係止部材を設け、これらの係止部材を容器本体外側のフランジと係止(ロック)させることで、開閉蓋を容器本体の開口部に密着させ、容器本体内を密閉するというものがある(例えば、特許文献1参照)。しかし、このような対向する二側に係止部材を形成したものでは、まだ密閉度が十分ではなく、開閉蓋の四側全てに係止部材を設け、容器本体内を密閉するものも開発されていた(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平06−156519号公報
【特許文献2】特開2004−307059号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の開閉蓋付き容器では、良好な密閉状態を得るために、開閉蓋の四側に係止部材が取り付けられているので、開蓋時および閉蓋時ごとに4個の係止部材を前記容器本体の係止縁に係止または係止解除操作しなければならなかった。この係止解除操作は、使用者にとって大変煩わしく、四側の係止部材全てを係止させずに使用する状況が危惧されていた。また、従来の開閉蓋付き容器では、係止縁や係止機構が明確に分かるように外部に露出して、容器全体の美観を損ねていた。
【0006】
本発明はかかる従来の問題点に着目してなされたものであり、その目的とするところは、開閉蓋と容器本体とを係止箇所を少なくしても、良好な密閉度が得られ、かつ意匠性に優れた開閉蓋付き容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前述した目的を達成するために、本発明にかかる開閉蓋付き容器は、上方に開口し、この開口部の外周に係止縁が突設された容器本体と、該容器本体の開口部を覆う天部と、前記係止縁を含む前記容器本体の側壁周辺を囲むように、前記天部周辺から垂下するフランジとを有する開閉蓋と、前記フランジ内方の前記天部の下面に装着されたリング状のシールパッキンと、前記フランジの一部に切欠を有し、この切欠に形成された係止部材と、該係止部材に設けられ、容器本体の前記係止縁に係止可能な係止突起と、を備えたことを特徴とする。
【0008】
また、本発明にかかる開閉蓋付き容器は、上方に開口し、この開口部の外周に係止縁が突設された容器本体と、
該容器本体の開口部を覆う天部と、前記係止縁を含む前記容器本体の側壁周辺を囲むように、前記天部周辺から垂下するフランジとを有する開閉蓋と、
前記フランジより内方の前記天部の下面であって前記容器本体の開口端に対応する位置に装着されたリング状のシールパッキンと、
前記フランジの少なくとも1箇所に切欠を有し、この切欠に形成された該フランジの外方へ開くように回動操作可能に連設された係止部材と、
該係止部材の内側に設けられ、容器本体の前記係止縁に係止可能な第1の係止突起と、
前記係止部材が設けられたフランジに対向する他のフランジの内側位置に突設され、前記容器本体の係止縁に係止可能な第2の係止突起と、を備えたことを特徴とする。
【0009】
さらに、本発明にかかる開閉蓋付き容器は、
上方に開口し、この開口部の外周に係止縁が突設された容器本体と、
該容器本体の開口部を覆う天部と、前記係止縁を含む前記容器本体の側壁周辺を囲むように、前記天部周辺から垂下するフランジとを有する開閉蓋と、
前記フランジより内方の前記天部の下面であって、前記容器本体の開口端に対応する位置に装着されたリング状のシールパッキンと、
前記フランジのうち対向するまたは隣接するフランジの少なくとも1箇所に切欠を有し、この切欠に形成された前記フランジの外方へ開くように回動操作可能に連設された係止部材と、
該係止部材の内側に突設され、容器本体の前記係止縁に係止可能な係止突起と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、係止縁を含む容器本体の側壁周辺を囲むように開閉蓋にフランジを形成し、かつフランジの切欠に係止部材を形成したことにより、係止時に開閉蓋がずれることなく確実に容器本体に開閉蓋を圧着できる。また、容器本体の側壁周辺は、少なくとも係止縁が覆われるようにフランジおよび係止部材で囲まれているので、開閉蓋の圧着後も開閉蓋がずれにくくなり、密閉を維持しやすくなる。さらに、容器本体の側壁周辺を係止縁が覆われるようにフランジおよび係止部材を形成したため、開閉蓋付き容器全体の外観がシンプルになり、意匠性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施形態による開閉蓋付き容器を示す正面図である。
【図2】図1に示した開閉蓋で第1の係止部材を外方へ開けた状態の正面図である。
【図3】図1に示した開閉蓋の左側面図である。
【図4】図1に示した開閉蓋で第2の係止部材を外したときの右側面図である。
【図5】図2に示した開閉蓋の平面図である。
【図6】図2に示した開閉蓋の底面図である。
【図7】図5に示した開閉蓋のA‐A線断面図である。
【図8】図5に示した開閉蓋のB‐B線断面図である。
【図9】図7に示した開閉蓋要部の拡大図である。
【図10】図7に示すシールパッキンの正面図である。
【図11】図1における容器本体を一部破断して示す正面図である。
【図12】本発明の他の実施形態を示す縦断面図である。
【図13】図12に示した実施形態の平面図である。
【図14】図13に示した開閉蓋のC‐C線断面図である。
【図15】本発明の他の実施形態による開閉蓋付き容器を示す斜視図である。
【図16】図15における係止部材の開放状態を示す斜視図である。
【図17】本発明の他の実施形態による開閉蓋付き容器を示す斜視図である。
【図18】図17における係止部材の開放状態を示す斜視図である。
【図19】本発明の他の実施形態による開閉蓋付き容器を示す斜視図である。
【図20】図19における係止部材の開放状態を示す斜視図である。
【図21】本発明の他の実施形態による開閉蓋付き容器を示す斜視図である。
【図22】図21における係止部材の分離状態を示す斜視図である。
【図23】図22における開閉蓋付き容器を中央部付近で切断して示す縦断面図である。
【図24】図21における開閉蓋付き容器のA‐A線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以上、本発明について簡潔に説明した。さらに、以下に説明される発明を実施するための形態を、添付の図面を参照して詳細に説明する。
まず、本発明の実施の形態にかかる開閉蓋付き容器は、上方に開口し、この開口部の外周に係止縁が突設された容器本体と、該容器本体の開口を覆う天部と、前記係止縁を含む前記容器本体の側壁周辺を囲むように、前記天部周辺から垂下するフランジとを有する開閉蓋と、前記フランジより内方の前記天部の下面に装着されたリング状のシールパッキンと、前記フランジの一部に切欠を有し、この切欠に形成された係止部材と、該係止部材に設けられ、容器本体の前記係止縁に係止可能な係止突起と、を備えたものである。
(実施例1)
この実施例は、容器本体および開閉蓋が四側を有する矩形であり、開閉蓋に異なる2種類の形状の係止部材を対向配置した例である。
【0013】
以下、この開閉蓋付き容器の実施例を、図1〜図11を参照しながら具体的に説明する。本実施例の開閉蓋付き容器は開閉蓋11と、耐熱ガラス製の容器本体12とを備えて構成される。これらのうち開閉蓋11は合成樹脂製の成形品で、硬質であるが全体として僅かに変形可能な弾性を持つ。具体的には、ポリプロピレン樹脂やシリコーン樹脂である。
【0014】
この開閉蓋11は平面視で略正方形または矩形をなす天部13と、この天部13の四周縁から下方に垂下するフランジ14とを一体に有する。天部13は、図7および図8に示すように、周辺部の所定幅に亘って平らな環状平坦部13aと、この環状平坦部13aから天部13の中央部に向かって傾斜する傾斜部13bと、この傾斜部13bに続き、前記環状平坦部13aより低位の矩形平坦部13cとを一体に有する。
【0015】
フランジ14は、天部13の周縁から僅か斜め下方に、しかも外方へ僅か湾曲するような形態をなし、天部13との接続部付近の所定長部分は厚肉部14aとなっており、その下部の短い部分は天部13と略同一厚みの肉薄部14bとなっており、さらにその下部は下方に向かって徐々に厚肉となる厚肉変化部14cとなっている。このフランジ14の垂下長(上下方向の幅)は、前記容器本体12の上下幅の略1/3〜1/2に達し、後述の容器本体12の係止縁25を外方から十分に覆うサイズの長さを持つ。
【0016】
また、前記天部13の下面であって、具体的には天部13における環状平板部13aが傾斜部13bに連続する部位には、矩形リング状の垂下片15が突設されている。この垂下片15の下端部外周は、下方に向かって徐々に肉薄となるテーパ部15aとされる。そして、この垂下片15と、フランジ14の厚肉部14aと、平板部13aとで囲まれた間には矩形のリング溝16が形成されている。このリング溝16は、下方に向けて開放されており、内部に後述のシールパッキン24が装着される。
【0017】
図3および図7に示すように、前記フランジ14の左側面の中央部には、このフランジ14の内外に貫通し、かつ下方に開口する切欠17が形成されている。この切欠17の開口幅は開閉蓋11の幅寸法の略1/2程度(本体容器12の側壁の直線部とほぼ同じ長さ)と広幅になっている。この切欠17には、環状平板部13aの上面に連続する極薄の肉薄部分18を介して、第1の係止部材19が収容可能になっている。この肉薄部分18は図9に示す通りである。なお、この第1の係止部材19の幅W2は、開閉蓋11の幅寸法W1の略1/2程度と広幅になっている。すなわち、切欠17と第1の係止部材19との幅はほぼ同じである。
【0018】
従って、この第1の係止部材19は、前記肉薄部分18を中心として、つまりこの肉薄部分18をヒンジ部として回動可能になり、切欠17内に収容および取り外し可能になっている。図1及び図4には、第1の係止部材19が切欠17に収容している状態を示し、図2、図3、図5、図6および図7は、その係止を解除して第1の係止部材19を容器本体12の側方へ跳ね上げた状態を示す。
【0019】
第1の係止部材19の内側面には第1の係止突起20が突設されている。この第1の係止突起20は第1の係止部材19の中ほどに、第1の係止部材19の長さW2と同じだけ幅方向に水平に延設されている。このように第1の係止突起20の幅方向の長さとしたことによって、容器本体12の側壁の直線部と同じ長さとなり、一側全体を係止可能とすることができる。この第1の係止突起20はその先端部上縁に、図9に示すように、係止爪部20aが前記延設方向に突設されている。この係止爪部20aは容器本体12の外側に設けられた後述の係止縁25に係止可能になっている。ここで、第1の係止部材19の外側面は、係止爪部20aを係止縁25に係止させたときに、フランジ14の外側面と面一となるように形成され、下端部(摘み片19a)はフランジ14の下端よりも長くなるように形成されている。これにより、使用者が第1の係止部材19を容易に判別できる。また、係止縁25との距離を長くできるので、係止後の取り外しを容易に行うことができる。なお、下端部のみを湾曲させることでも、判別させることは可能である。なお、上記や図1では、第1の係止部材19の下端部をフランジ14の下端よりも長くするものを示したが、第1の係止部材19の下端部とフランジ14の下端とを同じ長さとしたものは、意匠性の点から好ましい形状である。上記したように、第1の係止突起20を第1の係止部材19の垂下長の中ほどに形成することで、第1の係止突起20から第1の係止部材19の下端までの距離が長くなり、係止および係止解除を非常に容易に行うことができる。すなわち、「薄肉部分18から第1の係止突起20までの長さ」と、「第1係止突起20から第1の係止部材の下端までの長さ」との関係を、「薄肉部分18から第1の係止突起20までの長さ」≦「第1係止突起20から第1の係止部材19の下端までの長さ」を満たすようにすることが好ましい。
【0020】
一方、前記フランジ14の右側面の中央部には、図4に示すように、側方および下方に開口する切欠21が形成されている。この切欠21はフランジ14の一部に肉薄部21aを残すように形成されている。この切欠21の開口幅W3は開閉蓋11の幅寸法W1の略1/2程度(本体容器12の側壁の直線部とほぼ同じ長さ)と広幅とされている。そして、この肉薄部21aの中央部には、長方形の突起挿入孔21bが貫通するように設けられている。
【0021】
前記切欠21には、この切欠21の適合する第2の係止部材22が、図7に示すように嵌め込まれている。この第2の係止部材22の厚みおよび形状は、これが切欠21に嵌め込まれたとき、この第2の係止部材22を含む部位の厚みが、この切欠21が設けられない部位のフランジ14の厚みと同等とされている。そして、この第2の係止部材22の内側面には、第2の係止突起23が一体に突設されている。この第2の係止突起23は前記突起挿入孔21bを通してフランジ14の内側面からこれの中心方向に向かって突出している。
【0022】
また、この第2の係止突起23の先端部にも前記第1の係止突起20に設けられたものと同様の係止爪部を設けてもよい。なお、この係止突起23を持つ第2の係止部材22を切欠21に嵌め込む理由は、開閉蓋11のフランジ14の内側面に突出する係止突起を一体成形することが、一回の成形工程では困難であることによる。
【0023】
前記リング溝16にはシールパッキン24が嵌挿されている。このシールパッキン24はリング溝16に対し着脱可能とすることで、このシールパッキン24とともにリング溝16の洗浄を容易化している。シールパッキン24はゴムや合成樹脂などの弾性部材(特に、シリコーン樹脂)からなり、ここではリング状のゴムチューブが用いられる。このシールパッキン24はリング溝16に圧縮状態で係止され、リング溝16から容易に脱落することはない。なお、シールパッキン24は一部(下部)がリング溝16の開口部の外に食み出している。シールパッキン24としては、中空で断面矩形のシリコーン樹脂製のものが特に好ましい。なお、図10ではシールパッキン24の形状が、断面矩形であることを分かりやすく説明するために、棒状のものを示した。実際にリング溝16内に嵌挿するときには、棒状のものの両端を接着した環状のものとして使用する。
【0024】
一方、容器本体12は、ガラス製、樹脂製、陶磁器製を使用することが可能である。例えば耐熱ガラス製ならば、電子レンジやオーブンでの食品の加熱処理に利用可能である。この容器本体12は平面視で略矩形をなす。この容器本体12は開口縁付近の外側面(外周面)に係止縁25が突設されている。この係止縁25の下面は、前記第1の係止突起20の係止爪20aおよび前記第2の係止突起23の先端部または図示しない係止爪部が係止可能な、例えば円弧状切欠形状となっている。
【0025】
かかる構成になる開閉蓋11は、容器本体12に対し、以下のように装着される。まず、開閉蓋11の第1の係止部材19を、肉薄部分18を中心にして回動して、図2、図3、図5〜図7および図9に示すように、略水平方向に立ち上げておく。続いて、図11に示すような容器本体12上に、図7に示すような開閉蓋11を対向させ、さらに開閉蓋11を容器本体12の開口を覆う方向に下降させる。この開閉蓋11の下降操作の当初は、開閉蓋11を右下がりに構えて、第2の係止突起23を容器本体12の係止縁25の下面に入り込ませるように、開閉蓋11を操作する。そして、第2の係止突起23と係止縁25との係合状態を維持したまま、開閉蓋11を水平状態に戻す。
【0026】
この状態では、第2の係止突起23と係止縁25とが係止状態になるとともに、容器本体12の開口縁の一部がリング溝16内のシールパッキン24に当接される。続いて、天部13の上面を指先等で押し下げる。すると、容器本体12の開口縁全周にリング溝16内のシールパッキン24が接触する。そこで、第1の係止部材19を肉薄部分18を中心として下方へ回動操作し、この第1の係止部材19をフランジ14側部に形成された切欠17に収容させる。
【0027】
この回動操作は容器本体12の外側面に向けて少し強めの力で行う。このため、この第1の係止部材19の第1の係止突起20が、これに対応する容器本体12所定部位における係止縁25の下面に滑り込むようにして入り込む。この動作では、第1の係止突起20がその係止縁25を上方に持ち上げるように支持し、第1の係止突起20とその係止縁25とが係止状態になる。
【0028】
従って、かかる係止状態では、容器本体12の開口縁がリング溝16内のシールパッキン24にさらに強く突き当てられるとともに、第2の係止突起23側においても、容器本体12の開口縁がリング溝16内のシールパッキン24に強く突き当てられる。このため、シールパッキン24は容器本体12の開口縁に押されて撓み変形し、開閉蓋11はシールパッキン24を介して容器本体12の開口部を図12に示すように圧着され容器を密閉する。これにより、容器本体12内の惣菜や汁ものの匂いなどが外に漏れないようになる。
【0029】
一方、開閉蓋11を容器本体12から外すには、第1の係止部材19の摘み片19aを指先で持ち上げ、これを肉薄部分18を中心にして上方に跳ね上げるように回動させる。これにより、この第1の係止部材19の第1の係止突起20が容器本体12の係止縁25の下面から外され、シールパッキン24の反発力も加わって、この部位において開閉蓋11が容器本体12の開口縁より上方に僅か浮き上がる。
【0030】
これにより開閉蓋11は第2の係止突起23と容器本体12の係止縁25の係止部を中心に左上りに傾き、その係止部の係合状態も緩む。そこで、この係止状態を解除する方向に開閉蓋11を回動操作しながら容器本体12から引き離すことで、この係止状態が解消され、容器本体12の開口が開かれる。これによれ容器本体12内の惣菜などの収納物を取り出すことができる。つまり、開閉蓋11は第1の係止部材19を指で持ち上げるという簡単な操作で、容器本体12の開口を開くことができる。
【0031】
(実施例2)
この実施例は、容器本体および開閉蓋が四側を有する矩形であり、開閉蓋に同形状の係止部材を対向配置した例である。
前記実施例1では、開閉蓋11の一側(面)の一箇所にのみ、第1の係止突起20付きの第1の係止部材19を取り付けた場合を示した。この実施例2では、図12から図14に示すように、開閉蓋11Aの対向する二側(面)の各一箇所に、前記実施例1で示した第1の係止部材19と同じ係止部材19Aを取り付けた構成である。
【0032】
この場合には、図7に示したフランジ14側面の切欠21、薄肉部21a、突起挿入孔21bおよび第2の係止突起23付きの第2の係止部材22が省かれる。この開閉蓋11Aでは、これを容器本体12に装着する際に、各係止部材19Aを上方に跳ね上げておき、この開閉蓋11Aを略水平状態にして容器本体12の開口部に被せ、さらに天部13を指で軽く押し下げる。そして容器本体12の開口縁に前記シールパッキン24が接触した時点で、対向する2つの係止部材19Aを別々にまたは同時に下方に向けて回動操作する。
【0033】
これによりこれら係止部材19Aの第1の係止突起(以下、単に係止突起という)20が、それぞれ容器本体12の係止縁25の下面に滑り込んでこれに係止される。このため開閉蓋11Aは容器本体12に対して係止部材19Aの操作量に応じて下降し、容器本体12の開口縁がリング溝16内のシールパッキン24に強い圧力で突き当てられる。このため開閉蓋11Aと容器本体12の開口部との間が水密的、気密的に封止できる。
【0034】
この実施例でも、各係止部材19Aは、開閉蓋11Aの一辺の幅の半分程度の長さの幅を持ち、前記フランジ14は係止縁25を含む容器本体12の側壁を囲むように略L字状に下方に垂下する形態で、天板を含む他部に比べ厚肉に形成されている。これにより、係止部材19Aの係止突起20を容器本体12の係止縁25に強制的に係止させるときに、係止部材19Aは容易に撓むことがなく、開閉蓋11Aに装着されたシールパッキン24に対し容器本体12の開口縁を強い力で圧着させることができる。
【0035】
このため、この係止部材19Aの操作によって、この係止部材19A対応部位以外の開閉蓋11Aと容器本体12との十分な圧着状態も合わせて得られ、内部に収容された惣菜や汁物の水分や匂いが冷蔵庫内に漏れ出ることを防止できる。また、前記係止突起20に対応する容器本体12の係止縁25は係止部材19Aおよびフランジ14により、外から覆うため、これらは開閉蓋11や容器本体12の外から看取されず、外見を良好に維持することができる。
容器本体12の外周には係止縁25以外に突出物が他に存在せず、前記開閉蓋11とともにこの容器本体の取扱いや洗浄作業も簡単になり、コストを低く抑えることができる。また、容器本体の開口端から係止縁25までの形状を曲線形状の斜面としたことにより、開閉蓋11を取り外した容器本体自体を食卓へ並べても違和感なく使用できる。
上記実施例では、開閉蓋の対向位置に係止部材を2つ形成したものであったが、矩形容器であれば、四側全てに係止部材を形成してもよいし、対向位置のフランジの各々に係止部材を2つ以上形成してもよい。水平断面が円形の容器であれば、係止部材を偶数箇所(2または4箇所)形成することはもちろんのこと、奇数箇所(3または5箇所)形成することもできる。また、図12から図14では、第1の係止部材19の下端部をフランジ14の下端よりも長くするものを示したが、第1の係止部材19の下端部とフランジ14の下端とを同じ長さとしたものは、意匠性の点から好ましい形状である。なお、第1の係止突起20から係止部材19Aの下端までの距離を10mm以上確保できる状態であれば、係止部材19Aの下端部がフランジ14の下端よりも短くてもよい。
【0036】
(実施例3)
この実施例3の開閉蓋付き容器は、図15の概念図に示すように、容器本体12および開閉蓋11Bが平面視で矩形をなすものである。これらのうち開閉蓋11Bは四側にフランジ14を有し、これらのうち互いに隣接する2つのフランジ14の中央部に切欠17を有する。これらの切欠17はフランジ14の内外に貫通し、かつ下方に開口している。また、これらの切欠17の上縁は開閉蓋11Bの天部13の周縁部にまで及んでいる。これらの切欠17にはその天部13の周縁部に連続する、図14に示したものと同様の肉薄部分18を介して各一の係止部材19Bが収納可能になっている。
【0037】
ここで、係止部材19Bの幅は開閉蓋11の幅寸法の略1/2程度と広幅であり、かつ前記切欠17と略同一幅である。従って、この係止部材19Bは、前記肉薄部分18を中心として、つまりこの肉薄部分18をヒンジ部として回動可能になり、切欠17内に収容および取り外し可能になっている。図15は、係止部材19Bが切欠17に収容している状態を示し、図16は、その係止を解除して係止部材19Bを容器12の側方へ跳ね上げた状態を示す。
【0038】
図15に示す嵌合状態では、係止部材19Bの外側面は、フランジ14の外側面と面一とされる。また、前述と同様に係止部材19Bに設けられた係止突起20には、先端部上縁に図9に示したものと同様の係止爪部20aが突設され、この係止爪部20aが容器本体12の係止縁25に係止可能になっている。さらに、図15および図16では省略したが、図8に示すような開閉蓋11B下面のリング溝16に、前記同様の形態でシールパッキン24が嵌挿されている。
【0039】
係止突起20は係止部材19Bの中ほどにこの係止部材19Bと同じ長さ分、幅方向に水平に延設されている。このような係止突起20とすることによって、係止爪部20aの全長分を容器本体12の係止縁25に確実に係止させることができる。この結果、開閉蓋11Bの容器本体12に対する密着度、密閉度を高めることができる。
【0040】
一方、容器本体12は耐熱ガラスからなり、これが電子レンジやオーブンでの食品の加熱処理に利用可能になっている。この容器本体12は開口縁付近の外側面(外周面)に前述の係止縁25が突設されている。この係止縁25の下面は、前記係止突起20の係止爪部20aが係止可能な形状となっている。
【0041】
かかる構成になる開閉蓋11Bは、容器本体12に対し、以下のように装着される。まず、開閉蓋11Bの係止部材19Bを、肉薄部分18を中心にして回動させ、図16に示すように斜め上方に向けて立ち上げておく。続いて、図11に示すような容器本体12上に、開閉蓋11Bを対向させ、この開閉蓋11Bを容器本体12の開口部を覆う方向に下降させる。この開閉蓋11Bの下降操作の当初は、容器本体12の開口縁上に開閉蓋11Bの天板13下面が少し当るように載置する。これにより容器本体12の開口縁上面がリング溝16内のシールパッキン24に軽く圧接される。続いて、係止部材19Bを薄肉部18を中心に回動して、切欠17内に嵌め込む。
【0042】
この嵌め込み(嵌合)操作は容器本体12の外側面に向けて少し強めの力で行う。このため、この係止部材19Bにおける係止突起20が、これに対向する容器本体12の所定部位における係止縁25の下面に滑り込むようにして入り込む。この動作では、係止突起20がその係止縁25を上方に持ち上げるように支持し、係止突起20とその係止縁25とが十分な嵌合状態になる。この状態では、係止部材19Bが設けられていない他の各フランジ14は、内側面が対向する係止縁25の外側面に突き当てられるようにしてこの係止縁25に圧接保持される。
【0043】
従って、かかる嵌合状態では、容器本体12の開口縁上面がリング溝16内のシールパッキン24に強く突き当てられる。このため、シールパッキン24は容器本体12の開口縁上面に押されて撓み変形し、開閉蓋11Bはシールパッキン24を介して容器本体12の開口部を密閉する。これにより、容器本体12内の惣菜や汁ものの匂いなどが外に漏れないように封止することができる。
【0044】
一方、開閉蓋11を容器本体12から外すには、係止部材19Bの下端部を指先で持ち上げ、これを肉薄部分18を中心にして上方に跳ね上げるように回動させる。これにより、係止部材19Bにおける係止突起20が容器本体12の係止縁25の下面から外れ、シールパッキン24の反発力も加わって、この部位において開閉蓋11Bが容器本体12の開口縁より上方に浮き上がる。
【0045】
そこで、この開閉蓋11Bを容器本体12から引き離すことで、容器本体12の開口部が開かれる。これにより容器本体12内から惣菜などの収納物を取り出すことができる。つまり、開閉蓋11Bは係止部材19Bを指で持ち上げるという操作で、容器本体12の開口部を簡単に開くことができる。なお、この実施の形態において、係止部材19Bが設けられない側のフランジの内側面に、図7に示した第2の係止突起23と同様の係止突起(図示しない)を設けることで、開閉蓋11Bによる容器本体12の開口部の密閉をより確実にすることができる。
【0046】
(実施例4)
この実施例4の開閉蓋付き容器は、図17の概念図に示すように、容器本体12および開閉蓋11Cが平面視で略矩形をなす。これらのうち、開閉蓋11Cは四側にフランジ14を一体に有し、これら四側のフランジ14の中央部にはそれぞれ各一の切欠(切溝)17Aを有する。これらの切欠17Aはフランジ14の下縁からこのフランジの天部13の周縁部まで垂直に延びている。そして、前記フランジ14のうち隣接する2つのフランジ14の前記切欠17Aが前記天部13の周縁部に達する位置を結ぶ直線上に折り目(折り曲げ線)31が型付けされている。これにより天部13の三角形状の開閉領域32が、図18に示すようにその折り目31を中心に上方へ折り返し(回動)可能になっている。
【0047】
三角形状の各開閉領域32およびこれらに連続するフランジ14は係止部材19Cを構成し、図上、二つの開閉領域32によって挟まれた残りの天部13に対し、折り目31を中心に回動可能である。この回動によって容器本体12のうち対向する二つの角部付近の開口部を前記開閉領域32が開閉する。係止部材19Cにおけるフランジ14の内側面には、この内側面の全長に亘って、図示しないが前述同様の係止爪部20aを持つ係止突起20が設けられている。これらの係止突起20は、図18に示す状態の開閉領域32側の天部13を押し下げて、前記折り目31をヒンジ部として回動することにより、容器本体12外側の係止縁25に嵌合可能になる。
【0048】
一方、その開閉領域32側の天部13を折り目を中心に跳ね上げることにより、図18に示すように容器本体12の角部の開口部を開放可能にする。ここで、前記係止部材19Cは、開閉蓋11Cの素材が前述のような合成樹脂によって所定の撓み特性、伸縮特性を持つように形成されているため、前記係止縁25に対する嵌合、嵌合解除操作をスムースに行える。
【0049】
一方、容器本体12は例えば耐熱ガラスからなり、これが電子レンジやオーブンでの食品の加熱処理に利用可能になっている。この容器本体12は開口縁付近の外側面(外周面)に前述のような係止縁25が突設されている。この係止縁25の下面は、前記係止突起20の係止爪部20aが係止可能な形状となっている。
【0050】
かかる構成になる開閉蓋11Cは容器本体12に対し、以下のようにして装着される。まず、容器本体12とは分離状態にある開閉蓋11Cの係止部材19Cを、折り目31を中心に回動し、図18に示すように、角部を斜め上方に向けて持ち上げておく。続いて、容器本体12上に開閉蓋11Cを対向させ、水平に保ちながらさらに容器本体12の開口部を覆うように下降させる。これにより開閉蓋11Cはその開口部上にこれを塞ぐように載置される。続いて、天部13の領域32上に指を当てて係止部材19Cを折り目31を中心に強めに回動操作する。これにより、係止突起20はこれに対向する容器本体12の係止縁25の下面に、前述同様に滑り込むようにして嵌合し、図17に示す状態になる。
【0051】
従って、かかる嵌合状態では、容器本体12の開口縁がリング溝16内のシールパッキン24に強く突き当てられる。このため、シールパッキン24は容器本体12の開口縁に押されて撓み変形し、開閉蓋11Cはシールパッキン24を介して容器本体12の開口部を密閉する。これにより、容器本体12内の惣菜や汁ものの水分や匂いなどが外に漏れないように封止することができる。
【0052】
ここで、シールパッキン24は開閉蓋11Cの全体、つまり開閉領域32およびこの開閉領域32を除く部位を含む天部13下面のリング溝16内に、前述のように設けられており、係止部材19Cの開閉時には伸縮する。従って、係止部材19Cを図17に示すように閉じた際にはシールパッキン24が圧縮され、容器本体12内の前記汁や匂いが外に漏れることはない。また、係止部材19Cの開放操作をシールパッキン24が妨げることもない。
【0053】
開閉蓋11を容器本体12から外すには、係止部材19C角部下縁を指先で持ち上げ、これを、折り目31を中心にして上方に跳ね上げるように回動操作する。これにより、係止部材19Cにおける係止突起20が容器本体12の係止縁25の下面から外れ、シールパッキン24の反発力も加わって、この部位において、係止部材1Cの開閉領域32が容器本体12の開口縁より上方に浮き上がる。
【0054】
そこで、この係止部材1Cの開閉領域32を容器本体12から引き離し、さらにこれらの開閉領域32に隣接する天部13を同時に容器本体12から引き上げる。これにより容器本体12全体の開口部が開かれる。これにより容器本体12内の惣菜などの収納物を取り出すことができる。つまり、開閉蓋11Cは係止部材19Cを指で持ち上げるという操作で、容器本体12の開口部を簡単に開くことができる。
【0055】
(実施例5)
この実施例5の開閉蓋付き容器は、図19の概念図で示すように、容器本体12および開閉蓋11Dが平面視で略長方形を成すものである。これらのうち、開閉蓋11Dは四側にフランジ14を有し、これらのフランジ14の対向する長辺のフランジ14にはその長さ(水平方向の長さ)を所定比率で三等分した位置に2本ずつの切欠(切溝)17Bが形成されている。これらの切欠17Bはフランジ14の下縁からフランジ14の天部13の周縁部まで垂直に延びている。
【0056】
そして対向する2つの長辺のフランジ14において、前記切欠17Bが天部13の周縁部に達する位置どうしを結ぶ線上に、折り目(折り曲げ線)34が型付けされている。この折り目34は、天部13に長方形状の開閉領域33を上方へ折り返し可能にしている。これらの開閉領域33およびこれらに連続し、平面視でコ字状をなすフランジ14はそれぞれ係止部材19Dを構成し、開閉領域33,33間の残りの領域の天部13に対し、折り目34を中心に回動可能になっている。この回動によって容器本体12の開口部のうち長さ方向両端部の二つの領域(各一の開閉領域)33が開閉する。
【0057】
また、これらの係止部材19Dにおけるフランジ(平面視でコ字状をなす)14の容器本体の短辺に対応する内側面には、これらの内側面の全長に亘って前述したものと同様の係止爪部20aを持った係止突起20が水平配置されている。これらの係止突起20はこれらの開閉領域33側の天部13を押し下げるように、折り目34を中心に回動することにより、容器本体12外側の前記係止縁25に嵌合可能になっている。一方、その開閉領域33側の天部13を折り目34を中心に跳ね上げることにより、容器本体12の開口部両端付近が開放する。ここで、前記係止部材19Dは、開閉蓋11Dの素材が前述のような合成樹脂によって所定の撓み特性、伸縮特性を持つように形成されているため、前記係止縁25に対する嵌合および嵌合解除操作が容易に行える。
【0058】
容器本体12は前述同様に耐熱ガラスからなり、これが電子レンジやオーブンでの食品の加熱処理に利用可能になっている。この容器本体12は開口縁付近の外側面(外周面)に前述のような係止縁25が突設されている。この係止縁25の下面は、前記係止突起20の係止爪部20aが係止可能な形状となっている。
【0059】
かかる構成になる開閉蓋11Dは容器本体12に対し、以下に示すように装着される。まず、容器本体12とは分離状態にある開閉蓋11Dの開閉領域33を、折り目34を中心に回動し、図20に示すように斜め上方に向けて持ち上げておく。続いて、容器本体12上に開閉蓋11Dを対向させ、水平に保ちながらさらに容器本体12の開口部を覆うように下降させる。これにより開閉蓋11Dはその開口部上にこれを覆うように載置される。続いて、係止部材19Dの開閉領域33を折り目34を中心に強めに押し下げるように回動操作する。これにより、係止突起20はこれに対向する容器本体12の係止縁25の下面に滑り込むようにして嵌合し、図19に示す状態になる。
【0060】
従って、かかる嵌合状態では、容器本体12の開口縁に、開閉蓋11D下面のリング状のリング溝16内のシールパッキン24が強く突き当てられる。このため、シールパッキン24は容器本体12の開口縁に押されて撓み変形し、開閉蓋11Dはシールパッキン24を介して容器本体12の開口部の全体を密閉する。これにより、容器本体12内の惣菜や汁ものの匂いなどが外に漏れないように封止することができる。
【0061】
一方、開閉蓋11を容器本体12から外すには、係止部材19D側のフランジ14下縁を指先で持ち上げ、これを折り目34を中心にして上方に跳ね上げるように回動させる。これにより、この係止部材19Dにおける係止突起20が容器本体12の係止縁25の下面から外れ、シールパッキン24の反発力も加わって、この部位において開閉蓋11Dが容器本体12の開口縁より上方に僅か浮き上がる。
【0062】
続いて開閉蓋11Dの全体を容器本体12から引き離すことで、相互の係合状態が解消され、容器本体12の開口部全体が開かれる。これにより容器本体12内の惣菜などの収納物を取り出すことができる。つまり、開閉蓋11Dは係止部材19Dを指で持ち上げるという操作で、容器本体12の開口部を簡単に開くことができる。
【0063】
(実施例6)この実施例6の開閉蓋付き容器は、図21の概念図に示すように、容器本体12および開閉蓋11Eが平面視で略矩形を成すものである。これらのうち開閉蓋11Eは合成樹脂製で比較的厚みが大きい板材からなる。この開閉蓋11Eは天部13Aとこの天部13Aの四側に連続するフランジ14を有し、天部13Aおよびこの天部13Aに続くフランジ14のそれぞれに、図22に示すような所定深さ(板材の厚みより小さい)の切欠であるガイド切欠35aおよび35bが形成されている。
【0064】
これらのガイド切欠35aおよび35bには、図22に示すようなコ字状に曲折された係止部材36が装着可能になっている。この係止部材36は開閉蓋11Eの板材の厚みより薄めの合成樹脂によってコ字状に成形されて、全体として所定の弾力性および撓み特性を持つ厚さとされる。この係止部材36は、水平片36aとこの水平片36aの両端に垂下するように延設された係止片36bとからなる。各係止片36bの内側面には、図9に示したものと同様の係止爪部20aを持つ係止突起20が突設されている。また、水平片36aの両端に係止片36bが連続する部位は、図9に示したものと同様の肉薄部分18となっている。このため、各係止片36bは肉薄部分18をヒンジとして回動可能になり、それぞれが鎖線で示すように外方へ跳ね上げ可能になっている。なお、開閉蓋11Eの下面に形成された図7、図8に示したものと同様のリング溝16には、シールパッキン24が嵌挿されている。
【0065】
かかる構成になる開閉蓋11Eは、容器本体12の開口部を塞ぐことができるサイズであり、図22および図23に示すように、その開口部上を覆うように載置する。次に、係止部材36をその開閉蓋11Eの上方にかざして、図23の矢印方向に下降させ、水平片36aをガイド切欠35aに嵌め込む。そして、水平片36aを押さえつつ係止片36bを下方に向けて回動操作する。これにより、係止部材36の水平片36aおよび係止片36bがそれぞれガイド切欠35a、35bに密着するとともに、係止片36b内側の係止突起20が、これに対向する容器本体12の前記係止縁25の下面に滑り込むように入り込む。
【0066】
従って、かかる係止部材36を開閉蓋11Eを介して容器本体12に嵌合させた状態では、容器本体12の開口縁が開閉蓋11E下面のシールパッキン24にさらに強く突き当てられる。このため、シールパッキン24は容器本体12の開口縁に押されて撓み変形し、開閉蓋11Eはシールパッキン24を介して、容器本体12の開口部を図21および図24に示すように密閉状態に塞ぐ。これにより、容器本体12内の惣菜や汁ものの匂いなどが外に漏れないように封止することができる。
【0067】
一方、開閉蓋11Eを容器本体12から外すには、係止部材36の係止片36b下縁を指先で持ち上げる。これにより、この係止部材36の係止突起20が容器本体12の係止縁25の下面から強制的に外され、係止片36bが外方へ跳ね上げられる。このとき、シールパッキン24の反発力も加わって、この部位において開閉蓋11Eの全体が容器本体12の開口縁より上方に僅か浮き上がる。
【0068】
これにより開閉蓋11Eを容器本体12から上方へ引き離すことで、この係合状態が解消され、容器本体12の開口部が開かれる。従って、容器本体12内の惣菜などの収納物を取り出すことができる、前述と同様に、開閉蓋11は係止部材36を指で持ち上げるという簡単な操作で、容器本体12の開口部を開くことができる。
【0069】
なお、図示しないが、前記係止部材19を、前記開閉蓋11の天部13周辺から垂下するフランジ14の四周全てに設けることもできる。この場合にも、開閉蓋11による容器本体の良好な密閉状態が得られ、かつ優れた意匠性が得られる。さらに、係止部材19を、前記天部13周辺から垂下する複数のフランジ14の少なくとも1つに2個以上設けることもできる。この場合にも、開閉蓋11による容器本体12のさらに良好な密閉状態が得られ、かつ優れた意匠性が得られる。
【0070】
以上のように、本実施の形態によれば、開閉蓋11の容器本体12に対する係止箇所を、開閉蓋11および容器本体12における一側の一箇所または対向する二側の各一箇所としても、開閉蓋11に対する容器本体12の密閉を簡単かつシンプルな構成に実現できるとともに、しかも洗浄が容易で、美観を損ねることがない開閉蓋付き容器を提供できる。
【産業上の利用可能性】
【0071】
本発明は開閉蓋に対する容器本体の密閉を簡単かつシンプルな構成に実現でき、しかも洗浄が容易で、美観を損ねることがないという効果を有し、ガラス容器等の開口部に開閉蓋を着脱可能に取り付けてなる開閉蓋付き容器等に有用である。
【符号の説明】
【0072】
11、11A〜11E 開閉蓋
12 容器本体
13 天部
13a 環状平坦部
13b 傾斜部
13c 矩形平坦部
14 フランジ
14a 厚肉部
14b 薄肉部
14c 厚肉変化部
15 垂下片
15a テーパ面
16 リング溝
17、17A、17B 切欠
18 薄肉部分
19 第1の係止部材
19a 摘み片
19A〜19D 係止部材
20 第1の係止突起(係止突起)
20a 係止爪部
21 切欠
21a 薄肉部
21b 突起挿入孔
22 第2の係止部材
23 第2の係止突起
24 シールパッキン
25 係止縁
35a、35b ガイド切欠
36 係止部材
36a 水平片
36b 係止片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上方に開口し、この開口部の外周に係止縁が突設された容器本体と、
該容器本体の開口を覆う天部と、前記係止縁を含む前記容器本体の側壁周辺を囲むように、前記天部周辺から垂下するフランジとを有する開閉蓋と、
前記フランジより内方の前記天部の下面に装着されたリング状のシールパッキンと、
前記フランジの一部に切欠を有し、この切欠に形成された係止部材と、
該係止部材に設けられ、容器本体の前記係止縁に係止可能な係止突起と、を備えたことを特徴とする開閉蓋付き容器。
【請求項2】
前記係止部材が2箇所以上に形成された請求項1記載の開閉蓋付き容器。
【請求項3】
前記係止部材の少なくとも1箇所が、前記フランジの外方へ開くように回動操作可能である請求項2記載の開閉蓋付き容器。
【請求項4】
前記係止部材が対向配置された請求項2または3記載の開閉蓋付き容器。
【請求項5】
前記係止部材の垂下長が、前記フランジの垂下長よりも長い請求項1〜4のいずれかに記載の開閉蓋付き容器。
【請求項6】
上方に開口し、この開口部の外周に係止縁が突設された容器本体と、
該容器本体の開口部を覆う天部と、前記係止縁を含む前記容器本体の側壁周辺を囲むように、前記天部周辺から垂下する肉厚のフランジとを有する開閉蓋と、
前記フランジより内方の前記天部の下面であって前記容器本体の開口端に対応する位置に装着されたリング状のシールパッキンと、
前記フランジの少なくとも1箇所に切欠を有し、この切欠に形成された該フランジの外方へ開くように回動操作可能に連設された係止部材と、
該係止部材の内側に設けられ、容器本体の前記係止縁に係止可能な第1の係止突起と、
前記係止部材が設けられたフランジに対向する他のフランジの内側位置に突設され、前記容器本体の係止縁に係止可能な第2の係止突起と、を備えたことを特徴とする開閉蓋付き容器。
【請求項7】
前記第1の係止突起は、前記係止部材の撓みによって容器本体の前記係止縁に係脱可能であることを特徴とする請求項6に記載の開閉蓋付き容器。
【請求項8】
上方に開口し、この開口部の外周に係止縁が突設された容器本体と、
該容器本体の開口部を覆う天部と、前記係止縁を含む前記容器本体の側壁周辺を囲むように、前記天部周辺から垂下する肉厚のフランジとを有する開閉蓋と、
前記フランジより内方の前記天部の下面であって、前記容器本体の開口端に対応する位置に装着されたリング状のシールパッキンと、
前記フランジのうち対向するまたは隣接するフランジの少なくとも1箇所に切欠を有し、この切欠に形成された前記フランジの外方へ開くように回動操作可能に連設された係止部材と、
該係止部材の内側に突設され、容器本体の前記係止縁に係止可能な係止突起と、を備えたことを特徴とする開閉蓋付き容器。
【請求項9】
前記係止部材が前記開閉蓋の天部の一部を開閉領域として含むことを特徴とする請求項8に記載の開閉蓋付き容器。
【請求項10】
前記係止部材が前記開閉蓋の天部に型付けされた折り目で折り曲げ可能とされていることを特徴とする請求項8または9に記載の開閉蓋付き容器。
【請求項11】
前記係止突起は、前記係止部材の撓みによって容器本体の前記係止縁に係脱可能であることを特徴とする請求項8〜10のいずれかに記載の開閉蓋付き容器。
【請求項12】
前記係止部材の垂下長が、前記フランジの垂下長よりも長いことを特徴とする請求項6〜11に記載の開閉蓋付き容器。
【請求項13】
前記係止部材が、前記天部周辺から垂下するフランジの四周全てに設けられていることを特徴とする請求項6〜12に記載の開閉蓋付き容器。
【請求項14】
前記係止部材が、天部周辺から垂下する複数のフランジの少なくとも1つに2個以上設けられることを特徴とする請求項6〜13に記載の開閉蓋付き容器。
【請求項15】
前記開閉蓋が合成樹脂性の成形品であることを特徴とする請求項6〜14に記載の開閉蓋付き容器。
【請求項16】
前記容器本体がガラス製であることを特徴とする請求項6〜15に記載の開閉蓋付き容器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate


【公開番号】特開2012−192976(P2012−192976A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−158333(P2011−158333)
【出願日】平成23年7月19日(2011.7.19)
【出願人】(508315486)株式会社岩城ハウスウエア (6)
【Fターム(参考)】