説明

開閉装置用清掃装置及び開閉装置

【課題】開閉体の表面に付着した塵埃は勿論、開閉体を構成するスラット間のへこんだ連結部に溜まった塵埃も効率よく掻き出すことができる開閉装置用清掃装置を提供する。
【解決手段】開閉装置1に設けられスライドして開閉動作する開閉体3に付着した異物を除去する回転ブラシ11を備え、前記回転ブラシ11は、回転軸11aと、前記回転軸11aの外周に形成され所定の毛丈を有すると共に前記開閉体3の表部及び/又は裏部に摺接する複数のブラシ片11bからなるもので、開閉体3の表面に付着した異物は、回転ブラシ11で確実に除去されるとともに、開閉体3を形成するスラット3a間に堆積した異物も回転するブラシ片11bで掻き出されるので、常に開閉体3をきれいな状態で維持することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通称シャッター装置と呼ばれるスライドして開閉動作する開閉装置の開閉体に付着した汚れを除去する開閉装置用清掃装置及び、それを備えた開閉装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種の開閉装置用清掃装置として、一方向にのみ回転可能なローラ状の拭取部材を、開閉装置の開閉体の開放方向に沿うように、かつ、前記開閉体の表面または/及び裏面に摺接するように配し、前記開閉体が開閉方向の内の一方向に移動したときに、ローラ状の拭取部材の回転を阻止して、その拭取部材の表面で開閉体に付着している異物を拭取るようにしたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
又、同特許文献1に記載された他の例として、ゴムなどの弾性体からなる拭取片の先端側を、開閉体の表面または/及び裏面に傾斜させて弾接させ、開閉体が開閉方向のいずれかの方向に移動したときに、拭取片の先端で、開閉体に付着した異物を、こそぐようにして取り除くようにしたものもある。
【0004】
又、複数の支持具と、一端がその支持具に回動自在に支持されると共に、巻き上げられた開閉体(シャッター)に表面に向かって湾曲した可動アームと、その可動アームの先端に取り付けられたブラシ部材を備え、可動アームとブラシ部材の自重で、ブラシ部材の先端が開閉体の表面に摺接するようにして、開閉体が開閉方向に移動したときに、ブラシ部材で、開閉体の表面に付着した異物を除去するようにしたものも有る(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2008−008031号公報
【特許文献2】実公平4−005675号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
開閉装置の開閉体は、一般に複数のスラットを回動自在に連結して構成されているが、上記特許文献1に記載された従来のローラ状の拭取部材を用いた開閉体用清掃装置の構成では、開閉体の清掃時に、回転が阻止された拭取部材の一部を開閉体の表面に押さえつけるようにして、開閉体の表面を拭くだけなので、開閉体を構成する各スラット間のへこみ部分の汚れを取り除くことが出来ず、又、場合によっては、スラットの表面から取り除いたほこりをスラット間のへこみ部分に押し込んでしまうなど、開閉装置の開閉体を綺麗に出来ないといった課題があった。
【0006】
また、同特許文献1に記載された、ゴムなどの弾性体からなる拭取片を用いた従来の開閉体用清掃装置の構成では、同様の課題を有すると共に、開閉体が、拭取片によって開閉体の表面に付着した異物が除去される方向に移動したときに、拭取片の先端が、隣り合うスラット間のへこんだ連結部に引っ掛かりがちになるので、拭取片が早く消耗するなどの課題もあった。
【0007】
又、上記特許文献2に記載されたような従来の開閉体用清掃装置の構成では、ブラシ部材を、それとアームの自重で開閉体の表面に押し当てているだけなので、ブラシ部材に塵埃が集積したり、また、スラット間の塵埃を掻きだすような作用も少ないなどの課題があった。
【0008】
本発明は、上記従来の課題を解決するもので、開閉装置の開閉体の表面に付着した塵埃は勿論、開閉体を構成するスラット間のへこんだ連結部に溜まった塵埃も効率よく掻き出すことができる開閉体用清掃装置及び開閉装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記従来の課題を解決するために、本発明の開閉体用清掃装置は、開閉装置に設けられスライドして開閉動作する開閉体に付着した異物を除去する回転ブラシを備え、前記回転ブラシは、回転軸と、前記回転軸の外周に形成され所定の毛丈を有すると共に前記開閉体の表部及び/又は裏部に摺接する複数のブラシ片からなるもので、開閉体の表面に付着した異物は、回転ブラシで確実に除去されるとともに、開閉体を形成するスラット間に堆積した異物も回転するブラシ片で掻き出されるので、常に開閉体をきれいな状態で維持することができる。
【0010】
また、本発明の開閉装置は、スライドして開閉動作する開閉体と、前記開閉体を開放方向又は/及び閉塞方向に移動させるための駆動手段と、請求項3又は4に記載の開閉装置用清掃装置を備え、回転ブラシが、開閉体の一端から他端まで移動する間は、前記開閉体の移動動作を停止し、前記回転ブラシが他端に到達した時に、前記開閉体を、前記回転ブラシの有効清掃長分だけ移動させた後、再び一時停止させ、その間に、前記回転ブラシを他端から一端に移動させる動作を繰り返して、前記開閉体の清掃を行うようにしたもので、回転ブラシをスラットの幅方向に移動させて異物を確実に除去するという清掃効果を最も発揮できる開閉体の動きなので、より一層清掃効果が高まる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の開閉体用清掃装置及び開閉装置は、開閉装置の開閉体の表面に付着した塵埃は勿論、開閉体を構成するスラット間のへこんだ連結部に溜まった塵埃を効率よく掻き出すことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
第1の発明は、開閉装置に設けられスライドして開閉動作する開閉体に付着した異物を除去する回転ブラシを備え、前記回転ブラシは、回転軸と、前記回転軸の外周に形成され所定の毛丈を有すると共に前記開閉体の表部及び/又は裏部に摺接する複数のブラシ片からなるもので、開閉体の表面に付着した異物は、回転ブラシで確実に除去されるとともに、開閉体を形成するスラット間に堆積した異物も回転するブラシ片で掻き出されるので、常に開閉体をきれいな状態で維持することができる。
【0013】
第2の発明は、特に、第1の発明の1本の回転ブラシの回転軸に、毛丈の異なるブラシ片を形成したもので、開閉体の表面の異物は、毛丈の短いブラシ片で確実に除去され、開閉体を形成するスラット間のへこんだ連結部(へこみ部)の中の異物は、毛丈の長いブラシ片で掻き出されるので、しっかりと異物を除去することができる。
【0014】
第3の発明は、特に、第1又は第2の発明の開閉体を、複数のスラットを回動自在に連結して構成し、回転ブラシを前記スラット間の連結部に沿って移動可能に設けたもので、開閉体のスラット間のへこんだ連結部に入った異物を確実に除去することができる。
【0015】
第4の発明は、特に、第3の発明の回転ブラシの回転外径を、回転軸方向で変化させたもので、例えば、開閉体のスラット間のへこんだ連結部に、回転ブラシの回転外径の大きい部分、すなわち毛丈が長いブラシ片が当接し、前記開閉体の平面部には、回転ブラシの回転外径の小さい部分、すなわち毛丈が短いブラシ片が当接するような、そろばん珠のようなイメージの回転ブラシを使用すれば、ブラシ片が、開閉体の断面の凸凹にぴったりとフィットし、かつ回転しながらスラットと平行に移動していくので、開閉体を、スラット間のへこんだ連結部も含めて全面を確実にきれいに掃除することができる。
【0016】
第5の発明は、スライドして開閉動作する開閉体と、前記開閉体を開放方向又は/及び閉塞方向に移動させるための駆動手段と、請求項3又は4に記載の開閉装置用清掃装置を備え、回転ブラシが、開閉体の一端から他端まで移動する間は、前記開閉体の移動動作を停止し、前記回転ブラシが他端に到達した時に、前記開閉体を、前記回転ブラシの有効清掃長分だけ移動させた後、再び一時停止させ、その間に、前記回転ブラシを他端から一端に移動させる動作を繰り返して、前記開閉体の清掃を行うようにしたもので、回転ブラシをスラットの幅方向に移動させて異物を確実に除去するという清掃効果を最も発揮できる開閉体の動きなので、より一層清掃効果が高まる。
【0017】
第6の発明は、特に、第5の発明の回転ブラシによって開閉体から除去された異物を、開閉装置外へ放出するための外気開放部を設けたもので、除去した異物が開閉装置外に放出されるので、除去した異物が開閉装置用清掃装置内に集積することがなく、開閉装置用清掃装置のメンテナンスが不要になる。
【0018】
以下、本発明の実施例について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施例によって本発明が限定されるものではない。
【0019】
(実施例1)
【0020】
図1は、本発明の第1の実施例における開閉装置用清掃装置を備えた開閉装置の斜視図(建築物の内側から見た図)、図2は、図1のA−A断面図、図3(a)は、同開閉装置用清掃装置の回転ブラシの斜視図、図3(b)は、同回転ブラシのブラシ体の部分斜視図、図4は、同開閉装置の開閉体を清掃する様子を示す部分断面図である。
【0021】
図1〜4において、1は、倉庫や車庫などの建築物2に設置された開閉装置で、上下方向に開閉動作する開閉体3と、開閉体3の上端が固定され、開閉体3を巻き取ったり、繰り出したりする巻き取り体4と、巻き取り体4を双方向に回転駆動する第1の駆動手段5と、本実施例における開閉装置用清掃装置6(以下、「清掃装置6」という)と、少なくとも巻き取り体4を収納する収納ケース7を備えている。
【0022】
2aは、開閉体3の幅方向の端部を上下方向にガイドするガイド部材で、建築物2に設けた出入口2bの両側部に固定されている。清掃装置6は、開閉体3の表面に付着した異物を除去するためのもので、本実施例では、収納ケース7の前面に設けた開口部8を通して、収納ケース7に着脱自在に装着できるようになっている。
【0023】
開閉体3は、横長略矩形状の金属を曲げ加工してなる複数のスラット3aを、上下に隣接するスラット3a間で回動するように連結して形成されると共に、最下端部に開閉体3の幅方向に渡って座板部材3bが接続されている。
【0024】
清掃装置6は、開閉体3と対向する面に開口部10aを有する回転ブラシケース10と、回転ブラシケース10に回転自在に設けられると共に、開口部10aを通して、開閉体3の略全幅に渡って摺接する回転ブラシ11と、回転ブラシ11を回転駆動する第2の駆動手段12を備えている。
【0025】
回転ブラシ11は、一端が第2の駆動手段12に連結された回転軸11aと、回転軸11aの外周長手方向に直線状或いは螺旋状に配されると共に、それぞれ断面が略C字状の複数の溝部11cと、端部より溝部11cに挿入されるブラシ体11dから構成され、ブラシ体11dのそれぞれは、略中央部で芯線11eを挟んで折り曲げられ、所定の毛丈を有すると共に、開閉体3の表部に摺接するブラシ片11bと、芯線11eと共にブラシ片11bの下端を挟持する断面略C字状の帯状体11fから構成され、帯状体11fを溝部11cの一方の端部から挿入することにより、ブラシ体11dが回転軸11aに取り付けられ、回転ブラシ11が完成するようになっている。
【0026】
図3(c)は、回転ブラシ11のブラシ体11dの他の例を示す部分斜視図で、ブラシ体11dを、基布11jと、基布11jの上面に植設されたブラシ片11bとで構成し、基布11jを、回転軸11aに設けた溝部11cの一方の端部から挿入して、回転ブラシ11を完成するようにしても良い。
【0027】
なお、図3(d)は、回転軸11aに螺旋状に設けられた溝部11cにブラシ体11dを取り付けた例を示す回転ブラシ11の端部の側面図である。
【0028】
以上のように構成された本実施例における清掃装置6及びそれを搭載した開閉装置1の動作、作用は以下の通りである。
【0029】
開閉体3の開閉は、一般的な開閉装置同様、第1の駆動手段5を動作させて行う。具体的には、図示しない第1のスイッチを操作して、「開」を選択すると、第1の駆動手段5が一方向(図2中の矢印A方向)に回転して、巻き取り体4で開閉体3が巻き取られ、開閉体3で閉じられていた建築物2の出入り口2bが開放される。
【0030】
出入り口2bを閉じるときは、第1のスイッチを操作して「閉」を選択することにより、第1の駆動手段5が逆方向(図2中の矢印B方向)に回転し、底板部材3bが接地するまで、巻き取り体4で開閉体3が送り出されて、出入り口2bが閉鎖される。
【0031】
本実施例における清掃装置6による開閉体3の清掃は以下のようにして行われる。
【0032】
使用者が、開閉体3が汚れてきた、と感じたら、開閉体3の周辺に人や動物が居ないことを確認したうえで、図示しない清掃動作用の第2のスイッチを操作する。第2のスイッチが操作されると、第1の駆動手段5及び第2の駆動手段12に通電され、開閉体3が一方向、例えば開放方向に移動しながら、その表面が、回転する回転ブラシ11で清掃され、付着していた異物が清掃装置6の回転ブラシケース10の底部に堆積する。
【0033】
上記の例では、開閉体3を開放方向に移動させながら、回転ブラシ11で異物を除去するようにしたが、開閉体3を閉塞方向に移動させながら、回転ブラシ11で異物を除去するようにしても良い。また、回転ブラシケース10の底部に堆積した異物は、清掃装置6を開閉装置1から取り外して、簡単に行うことができる。
【0034】
以上のように、本実施例によれば、開閉体3の表面に付着した異物は、回転ブラシ11で確実に除去される。開閉体3を形成するスラット3a間の連結部3cはへこんでいるため特に異物が溜まりがちだが、本実施例では、回転ブラシ11のブラシ片11bにより、その異物も効率よく掻き出されるので、常に開閉体3をきれいな状態で維持することができる。
【0035】
(実施例2)
【0036】
図5(a)は、本発明の第2の実施例における開閉装置用清掃装置の回転ブラシの斜視図、(b)は、同開閉装置の開閉体を清掃する様子を示す部分断面図である。なお、上記第1の実施例における開閉装置用清掃装置と同一部分については、同一符号を付して、その説明を省略する。
【0037】
本実施例における開閉装置用清掃装置の回転ブラシ14は、図5に示すように、回転軸14aの外周に設けた直線状又は螺旋状の溝部14dに、毛丈の異なるブラシ片14b、14cを交互に配して形成されたもので、これにより開閉体3の表面の異物は、毛丈の短いブラシ片14cで確実に除去され、開閉体3を形成するスラット3a間の連結部3c(へこみ部)の中の異物は、毛丈の長いブラシ片14bで掻き出されるので、しっかりと異物を除去することができる。
【0038】
(実施例3)
【0039】
図6(a)は、本発明の第3の実施例における開閉装置用清掃装置を搭載した開閉装置の断面図、図6(b)は、同開閉装置用清掃装置の回転ブラシの斜視図、図7は、開閉装置用清掃装置を備えた開閉装置の斜視図、図8は、同開閉装置用清掃装置の回転ブラシケースの移動構成を示す概略図である。なお、上記第1の実施例における開閉装置用清掃装置と同一部分については、同一符号を付して、その説明を省略する。
【0040】
上記第1及び第2の実施例では、回転ブラシ11、14を横向きに設けると共に、定位置で回転させて、開閉体3に付着した異物を除去するようにしたのに対し、本実施例は、回転ブラシ18を縦向きに設けると共に、その回転ブラシ18を回転させながら、開閉体3のスラット3aの連結部3cに沿って、左右方向に移動させて、開閉体3に付着した異物を除去するようにしたものである。
【0041】
図6、7、8において、本実施例における開閉装置用清掃装置16(以下「清掃装置16」という)は、開閉体3と対向する面に、垂直方向に配された開口部17aを有する回転ブラシケース17と、回転ブラシケース17内に回転自在に、かつ縦向きに設けられると共に、開口部17aを通して、開閉体3の表面に摺接する回転ブラシ18と、回転ブラシ18を回転駆動する第3の駆動手段19と、回転ブラシ18を収納した回転ブラシケース17を、開閉体3のスラット3a間の連結部3cに沿って、左右に移動させるための第4の駆動手段20を備えている。
【0042】
本実施例では、清掃装置16は、清掃装置16の下面に配設された2本のガイドレール30上を、スライドするよう構成されてあり、右端に形成されたユニット取出し蓋31から、開閉装置1の外部に取り出す事ができる。取り出した後、清掃装置16内の回転ブラシ18の交換等のメンテナンスができる。また、第4の駆動手段20は、左右方向における一方(図8において、右端)に配されると共にプーリーA21を有し、反対側(図8において、左端)にプーリーB22が回転自在に配され、この2つのプーリーA21とプーリーB22間にはワイヤー23が張架され、更にこのワイヤー23の一部が回転ブラシケース17の一部に連結されており、第4の駆動手段20を一方向に回転、例えば、時計方向に回転駆動すると、回転ブラシケース17を右方向に移動させ、反時計方向に回転駆動すると、回転ブラシケース17を左方向に移動させることが出来るようになっている。
【0043】
また、本実施例における回転ブラシ18は、図6(b)に示すように、一端が第3の駆動手段19に連結された回転軸18aと、回転軸18aの外周に巻き付けられたブラシ体18dから構成され、ブラシ体18dは、略中央部で芯線18eを挟んで折り曲げられると共に、開閉体3の表部に摺接するブラシ片18bと、芯線18eと共にブラシ片18bの下端を挟持する断面略C字状の帯状体18fから構成され、回転軸18aの外周にブラシ体18dを巻き付け固定した後、ブラシ片18bの先端が、開閉体3の連結部3cと、開閉体3の連結部3c以外の表面に沿うように、すなわち、回転軸18aの長手方向で、回転ブラシ18の回転外径を変化させるように、ブラシ片18bの先端を毛刈り加工して形成している。
【0044】
図6(c)は、回転ブラシ18の他の例を示すもので、ブラシ片18bを毛刈り加工する際に、回転ブラシ18の長手方向の外周端部に山形状の凸部18gを形成して、そろばん珠が連なったような形状になるようにしても良い。
【0045】
図6(d)は、回転ブラシ18の他の組み立て方法の一例を示す斜視図で、ブラシ体18dを、基布18jと、基布18jに植毛したブラシ片18bで形成し、基布18jを回転軸18aに巻きつけた後、回転軸18aの長手方向で、回転ブラシ18の回転外径を変化させるように、ブラシ片18bの先端を毛刈り加工して形成するようにしても良い。
【0046】
以上のように構成された本実施例における清掃装置16の動作、作用は、以下の通りである。
【0047】
本実施例では、回転ブラシ18を収納した回転ブラシケース17は、予め開閉体3の左端(初期位置)に配置されている。使用者が開閉体3の清掃を行うために、図示しない清掃スイッチをONすると、その時点で、開閉体3が閉じているときは、開閉体3の清掃運転が直ちに開始するが、清掃スイッチをONしたときに、開閉体3が開いていた場合、第1の駆動手段5が動作して、開閉体3を一旦閉じ、それから清掃運転が開始するようになっている。
【0048】
清掃運転が開始すると、第3の駆動手段19及び第4の駆動手段20に通電されて、回転ブラシ18が回転しながら、回転ブラシケース17が、開閉体3の左端から右端に向かって移動する。この間に、開閉体3の表面やスラット3a間の連結部3cに付着した異物は、回転ブラシ18のブラシ片18bできれいに除去され、除去された塵埃は、回転ブラシケース17内に落下する。
【0049】
そして、回転ブラシ18が、開閉体3の右端に達するまで回転ブラシケース17が移動すると、第3の駆動手段19と第4の駆動手段20への通電が自動的に一旦切られ、今度は、第1の駆動手段5に通電され、開閉体3を回転ブラシ18の有効清掃長分、すなわちブラシ片18bの長さ分に相当する距離だけ、開閉体3を開放方向に移動させた後、第1の駆動手段5への通電が切られる。次に、第3の駆動手段19及び、第4の駆動手段20に通電されて、回転ブラシ18を回転させながら、回転ブラシケース17を左方向へ移動させ、その間に開閉体3に付着した異物を回転ブラシ18で除去する。
【0050】
そして、回転ブラシ18が、開閉体3の左端に接するまで回転ブラシケース17が移動すると、第3の駆動手段19と第4の駆動手段20への通電が自動的に一旦切られ、再び第1の駆動手段5に通電され、開閉体3を回転ブラシ18の有効清掃長分に相当する距離だけ、開閉体3を再度開放方向に移動させ、再び、第3の駆動手段19で回転ブラシ18を回転させながら、第4の駆動手段20で回転ブラシケース17を右方向に移動させる。そして、開閉体3が全開するまで、上記動作を繰り返すことにより、開閉体3の全面が洩れなく清掃される。
【0051】
以上のように、本実施例における清掃装置16においては、回転ブラシ18を開閉体3のスラット3a間の連結部3cに沿って移動させるようにしたので、凹状の連結部3c内の異物も確実に除去することができる。
【0052】
又、回転ブラシ18の回転外径を、開閉体3の連結部3cに対向する部分は大きく、また、開閉体3の連結部3c以外の部分と対向する部分を小さくして、回転軸18a方向で変化させているので、回転ブラシ18の回転外径の大きい部分、すなわち毛丈が長いブラシ片18bが隣り合うスラット3a間の凹状の連結部3cに当接し、回転ブラシ18の回転外径の小さい部分、すなわち毛丈が短いブラシ片18bが、開閉体3の連結部3c以外の表面に当接するようになり、ブラシ片18bが、開閉体3の表面の凹凸にぴったりとフィットし、かつ回転しながらスラット3aと平行に移動していくので、スラット3a間のへこんだ連結部3cも含めて、開閉体3の全面を確実にきれいに掃除できる。
【0053】
(実施例4)
【0054】
図8は、本発明の第4の実施例における開閉装置用清掃装置の概略構成を示す斜視図である。なお、上記第1の実施例における開閉装置用清掃装置と同一部分については、同一符号を付して、その説明を省略する。
【0055】
本実施例における清掃装置6の一方の端部には、回転ブラシケース10内に堆積した異物を吸引し、パイプ状の部材で形成された外気開放部25を通して、清掃装置6外に排出する送風機26が設けられている。
【0056】
以上のように、本実施例によれば、回転ブラシ11によって開閉体3から除去された異物を、開閉装置6外へ放出するための外気開放部25を設けているので、除去された異物が清掃装置6内に集積することがなく、清掃装置6のメンテナンスが不要になるものである。
【0057】
なお、外気開放部25を延長して、吸引された異物を、建築物2の外に排出するようにすれば、清掃装置6が設置された建築物2内が清潔に保たれることは言うまでも無い。
【0058】
なお、上記各実施例では、いずれも清掃装置6、16で開閉体3の前面を清掃するようにしたが、回転ブラシ11、14又は18を、開閉体3の裏面側に設け、開閉体3の裏面を清掃したり、或いは、開閉体3の前面側及び裏面側の両方に設けて、両面を同時に清掃できるようにしても良い。
【0059】
上記各実施例におけるブラシ片11b、14b、14c、18bの毛材として、ナイロン、ポリエチレン、ポロプロピレン(PP)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等の合成樹脂モノフィラメントを使用しているが、前記以外にも、モップ状の拭き部材、不織布を使用しても良い。また、ブラシ片11b、14b、14c、18bを、回転軸11a、14a、18aに、着脱自在に取り付けられるようにすれば、ブラシ片11b、14b、14c、18bを取り外し、代わりに、濡れたモップや不織布をセットするようにすれば、濡れ拭きする事もできる。
【0060】
また、開閉体3に散水した後に、前記開閉体3をブラッシングするようにすれば、より一層きれいにする事ができ、高い掃除効果を発揮できる。
【産業上の利用可能性】
【0061】
以上のように、本発明の開閉装置用清掃装置及び開閉装置は、開閉体の表面に付着した塵埃は勿論、開閉体を構成するスラット間のへこんだ連結部に溜まった塵埃も効率よく掻き出すことができるもので、複数のスラットを連結して構成した開閉体は勿論、シート状の開閉体を備えた各種開閉装置に広く適用できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の第1の実施例における開閉装置用清掃装置を備えた開閉装置の斜視図(建築物の内側から見た図)
【図2】図1のA−A断面図
【図3】(a)同開閉装置用清掃装置の回転ブラシの斜視図、(b)同回転ブラシのブラシ体の部分斜視図、(c)同回転ブラシのブラシ体の他の例を示す部分斜視図、(d)回転ブラシの回転軸にブラシ体を螺旋状に取り付けた例を示す端部の側面図
【図4】同開閉装置の開閉体を清掃する様子を示す部分断面図
【図5】(a)本発明の第2の実施例における開閉装置用清掃装置の回転ブラシの斜視図、(b)同開閉装置の開閉体を清掃する様子を示す部分断面図
【図6】(a)本発明の第3の実施例における開閉装置用清掃装置を搭載した開閉装置の断面図、(b)同開閉装置用清掃装置の回転ブラシの斜視図、(c)同回転ブラシの他の例を示す側面図、(d)同回転ブラシの他の組み立て方法の一例を示す斜視図
【図7】開閉装置用清掃装置を備えた開閉装置の斜視図
【図8】同開閉装置用清掃装置の回転ブラシケースの移動構成を示す概略図
【図9】本発明の第4の実施例における開閉装置用清掃装置の概略構成を示す斜視図
【符号の説明】
【0063】
1 開閉装置
2 建築物
3 開閉体
6、16 開閉装置用清掃装置(清掃装置)
11、14、18 回転ブラシ
11a 回転軸
11b、14b、14c、18b ブラシ片
25 外気開放部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開閉装置に設けられスライドして開閉動作する開閉体に付着した異物を除去する回転ブラシを備え、前記回転ブラシは、回転軸と、前記回転軸の外周に形成され所定の毛丈を有すると共に前記開閉体の表部及び/又は裏部に摺接する複数のブラシ片からなることを特徴とする開閉装置用清掃装置。
【請求項2】
1本の回転ブラシの回転軸に、毛丈の異なるブラシ片を形成した請求項1に記載の開閉装置用清掃装置。
【請求項3】
開閉体を、複数のスラットを回動自在に連結して構成し、回転ブラシを前記スラット間の連結部に沿って移動可能に設けたことを特徴とする請求項1又は2に記載の開閉装置用清掃装置。
【請求項4】
回転ブラシの回転外径を、回転軸方向で変化させたことを特徴とする請求項3に記載の開閉装置用清掃装置。
【請求項5】
スライドして開閉動作する開閉体と、前記開閉体を開放方向又は/及び閉塞方向に移動させるための駆動手段と、請求項3又は4に記載の開閉装置用清掃装置を備え、回転ブラシが、開閉体の一端から他端まで移動する間は、前記開閉体の移動動作を停止し、前記回転ブラシが他端に到達した時に、前記開閉体を、前記回転ブラシの有効清掃長分だけ移動させた後、再び一時停止させ、その間に、前記回転ブラシを他端から一端に移動させる動作を繰り返して、前記開閉体の清掃を行うようにした開閉装置。
【請求項6】
回転ブラシによって開閉体から除去された異物を、開閉装置外へ放出するための外気開放部を設けたことを特徴とする請求項5に記載の開閉装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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