説明

開閉装置

【課題】ガイドレール内の抜止めレールと一体的に鍵受け部を具備するとともに、この鍵受け部の交換を容易にする。
【解決手段】開閉体10が閉鎖した際に、開閉体10における幅方向端部側の抜止部材を、ガイドレール20内の抜止レール21に係合させて、開閉体10がガイドレール20から開閉体幅方向へ抜けるのを阻むとともに、開閉体10の幅方向端部から鍵バー15bを突出させて、鍵バー15bをガイドレール20内の鍵受け部21b3に係止するようにした開閉装置において、抜止レール21は、ガイドレール20に固定された本体部材21aと、ガイドレール20及び/又は本体部材21aに対し開閉体幅方向へ着脱可能な着脱部材21bとを具備し、着脱部材21bは、鍵受け部21b3を有するとともに、ガイドレール20の開口部を通過するように形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、住宅やビル、倉庫、工場、地下街、トンネル、車両の荷台等の構築・構造物における開口部分や内部等に配設され、前記開口部分を閉鎖したり、躯体内部の空間を仕切ったり開放したりする開閉装置に関し、特にシャッター装置として好適な開閉装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、一般的な開閉装置のガイドレール内は、開閉体の幅方向端部から突出する抜止部材を係止して開閉体がガイドレールから抜けるのを阻む抜止めレールや、全閉時の開閉体の幅方向端部から突出する鍵バーを受けて開閉体を開放不能に保持する鍵受け部、開閉体の閉鎖方向側の障害物を検知する障害物センサ等、複数種類の機器が収納されるため、スペース的な余裕がない。
そこで、例えば特許文献1の図5に示す従来技術では、ガイドレール内に、鍵受け部(係止部)としての機能を併せ持った抜止めレール(内レール)を設けて、ガイドレール内空間を効率的に利用するようにしている。
【0003】
ところで、前記鍵受け部は、防犯性を損ねないようにガイドレール内に強固に固定されている必要があるが、その一方で、開閉体側の鍵バー(爪部)との係合や摺接等によって傷ついて掛かりが悪くなるおそれもあり、このような場合には交換できることが好ましい。
しかしながら、前記従来技術において、鍵受け部を交換しようとした場合、鍵受け部と一体の前記抜止めレールを、ガイドレールから上方へ抜く必要があり、その交換作業が容易ではなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−182455号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、このような問題に対処することを課題の一例とするものである。すなわち、ガイドレール内の抜止めレールと一体的に鍵受け部を具備すること、この鍵受け部の交換を容易にすること等が本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための技術的手段は、空間を仕切るようにして閉鎖動作する開閉体と、該開閉体の幅方向の端部を開口部に挿入して開閉方向へ案内するガイドレールとを備え、前記開閉体が閉鎖した際に、前記開閉体における幅方向端部側の抜止部材を、前記ガイドレール内の抜止レールに係合させて、前記開閉体が前記ガイドレールから開閉体幅方向へ抜けるのを阻むとともに、前記開閉体の幅方向端部から鍵バーを突出させて、該鍵バーを前記ガイドレール内の鍵受け部に係止するようにした開閉装置において、前記抜止レールは、前記ガイドレールに固定された本体部材と、前記ガイドレール及び/又は前記本体部材に対し開閉体幅方向へ着脱可能な着脱部材と、を具備し、前記着脱部材は、前記鍵受け部を有するとともに、前記ガイドレールの前記開口部を通過するように形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、以上説明したように構成されているので、以下に記載されるような作用効果を奏する。
ガイドレールから鍵受け部を外す際には、ガイドレール及び/又は本体部材に対し、着脱部材を開閉体幅方向へ外し、外された着脱部材をガイドレールの開口部に通過させてガイドレール外へ取り出すことができる。また、ガイドレール内に新たな鍵受け部を装着する際には、前記と逆のて手順を行えばよい。
よって、ガイドレール内の抜止めレールと一体的に鍵受け部を具備できる上、鍵受け部の交換を容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明に係る開閉装置の一例を示す背面図である。
【図2】図1の(II)−(II)線断面図である。
【図3】抜止め部材及び巻重ね緩衝部材の一例を示す斜視図である。
【図4】図1の(IV)−(IV)線断面図である。
【図5】抜止部材の着脱片部を外した状態を示す要部断面図である。
【図6】抜止部材の着脱片部を外した状態を示す要部斜視図である。
【図7】抜止め部材及び巻重ね緩衝部材の他例を示す斜視図である。
【図8】抜止め部材及び巻重ね緩衝部材の他例を示す斜視図である。
【図9】抜止部材の他例を示す要部断面図である。
【図10】ガイドレールの開閉体緩衝手段の交換手順を(a)〜(c)に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本実施の形態の一例は、空間を仕切るようにして閉鎖動作する開閉体と、該開閉体の幅方向の端部を開口部に挿入して開閉方向へ案内するガイドレールとを備え、前記開閉体が閉鎖した際に、前記開閉体における幅方向端部側の抜止部材を、前記ガイドレール内の抜止レールに係合させて、前記開閉体が前記ガイドレールから開閉体幅方向へ抜けるのを阻むとともに、前記開閉体の幅方向端部から鍵バーを突出させて、該鍵バーを前記ガイドレール内の鍵受け部に係止するようにした開閉装置において、前記抜止レールは、前記ガイドレールに固定された本体部材と、前記ガイドレール及び/又は前記本体部材に対し開閉体幅方向へ着脱可能な着脱部材と、を具備し、前記着脱部材は、前記鍵受け部を有するとともに、前記ガイドレールの前記開口部を通過するように形成されている。
【0010】
さらに好ましい形態では、前記本体部材は、前記ガイドレールに沿う長尺状に形成されるとともに、その長さ方向の中途部分に切欠部を有し、前記着脱部材は、前記切欠部に嵌め合わせられるように形成されている。
この構成によれば、着脱部材が本体部材の切欠部に嵌め合わせられるようにしているため、該着脱部材の位置決めを容易に行える上、該着脱部材を開閉体開閉方向へずれることのないように頑強に具備することができる。
【0011】
さらに好ましい形態では、前記着脱部材は、前記ガイドレール及び/又は前記本体部材に止着される一片部と、該一片部から開閉体幅方向へ延設された他片部とからなり、前記鍵受け部は、前記他片部に切込みを形成し、該切込みに沿う部分を曲げて鍵バー側へ突出させてなる。
この構成によれば、頑強な鍵受け部を有する着脱部材を、簡素な構造で提供することができる。
【0012】
また、他の形態では、空間を仕切るようにして閉鎖動作する開閉体と、該開閉体の幅方向の端部を開口部に挿入して開閉方向へ案内するガイドレールとを備え、前記ガイドレールを前記開口部を有する断面略コ字状に形成するとともに、前記開口部の縁部分に、前記開閉体が当接した際の衝撃を緩和する開閉体緩衝手段を設けるようにした開閉装置であって、該開閉体緩衝手段は、剛性材料から形成され前記ガイドレールに止着される止着部材と、弾性材料から形成され前記開閉体の表面又は裏面に近接又は接触するように前記止着部材に固定される緩衝部とを具備してなる。
この構成によれば、止着部材の着脱によって緩衝部の交換を行うことができる。この形態は、前記構成の独立した発明としても前記作用効果を奏する。
【0013】
なお、本明細書中において、「開閉体厚さ方向」とは、閉鎖状態の開閉体の厚さ方向を意味する。また、「開閉体幅方向」とは、開閉体の開閉方向と直交する方向であって、開閉体厚さ方向ではない方向を意味する。また、「開閉体開閉方向」とは、開閉体が開口部や内部空間を仕切ったり開放したりするためにスライドする方向を意味する。
【0014】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
この開閉装置1は、空間を仕切るようにして閉鎖動作する開閉体10と、該開閉体10の幅方向の端部を開口部20aに挿入して開閉方向へ案内するガイドレール20と、開閉体10をその開放方向側(図示例によれば上方側)で巻き取る巻取装置30と、を具備してなるシャッター装置である。
【0015】
開閉体10は、横長矩形板状のスラット11,11’を、隣接するスラット間で回動するように複数連接し、これら複数のスラット11,11’の閉鎖方向側の端部に、全閉時の当接対象部位p(例えば、床面や地面、枠部材等)に当接させるための座板部材12を、開閉体幅方向にわたって接続している(図1参照)。
【0016】
複数のスラット11,11’のうち、おおよそ膝の高さから腰の高さ程の位置に配置された一つのスラット11’には、後述する施錠機構15が設けられる。
また、スラット11’以外の他のスラット11には、一つ置きに抜止部材13が設けられる。
【0017】
一方のスラット11は、図3に示すように、中空部Sを有する断面枠状に形成され、その上端側と他端側に、他のスラット11に接続するための断面フック状もしくはカール状等の係止部11a,11bを有する。
このスラット11は、中空部Sを開閉厚さ方向に挟む板状部分11c,11cを有し、その一方の板状部分11cを、抜止部材13の保持片部13bと止着片部13aの間に挿入する。また、各板状部分11cには、後述する止着具16を挿通するための貫通孔11c1,11c1が設けられる。
【0018】
なお、図3に示す一例によれば、複数のスラット11の全てについて、それぞれ中空部Sを設けているが、この中空部Sは抜止部材13を有するスラット11のみに設けるようにしてもよい。さらに、この中空部Sは、抜止部材13を有するスラット11において、少なくとも開閉体幅方向の両端側に設ければよい。
そして、スラット11内における前記中空部S以外の部分には、必要に応じて、断熱材や防音材などが設けられる。
【0019】
上下に連接された複数のスラット11のうち、一つ置きに配設されるスラット11には、その開閉体幅方向の両端部に、それぞれ抜止部材13が設けられる。
【0020】
抜止部材13は、スラット11の開閉体幅方向の開口端部から中空部Sへ挿入されてスラット11に止着される止着片部13aと、止着片部13aに対し、開閉体厚さ方向に所定間隔を置いて配置された保持片部13bと、止着片部13aに連結されるとともにスラット11の幅方向端部に当接されるカバー部13cと、該カバー部13cと前記保持片部13bの端部とを連結する連結部13dと、カバー部13cから突出してガイドレール20内に係合される係合部13eとから一体に形成され、前記保持片部13bに巻重ね緩衝部材14を一体に装着している。
【0021】
止着片部13aは、スラット11内に挿入されて嵌合するように形成され、止着具16,16(図示例によればリベット)を挿通するための貫通孔(図示せず)が設けられる。
【0022】
保持片部13bは、止着片部13aに対し間隔を置いて略平行に設けられた板状の部材であり、その略中央部に、巻重ね緩衝部材14を挿通するための貫通孔13b1を有し、該貫通孔13b1の上下両側に、止着具16を挿通する貫通孔13b2を有する。この貫通孔13b2は、所謂座ぐり孔であり、止着具16の頭部を保持片部13bに埋め込んでいる。
【0023】
カバー部13cは、スラット11縦断面の外形に近似する形状の板状部材であり、中空部Sを覆うようにしてスラット11の幅方向端部に当接される。
【0024】
接続部13dは、止着片部13aと保持片部13bの間隔を、巻重ね緩衝部材14及びスラット11の板状部分11cを挿入可能な程度に保持して、これら止着片部13aと保持片部13bを開閉体幅方向の端部側で接続している。
【0025】
係合部13eは、図示例によればハンマーヘッド状に突端側の断面積を拡大した突起である。この係合部13eの他例としては、フック状等としてもよい。
【0026】
また、巻重ね緩衝部材14は、ゴムや弾性合成樹脂、スポンジ状の多孔質部材等からなる、弾性を有する板状の部材であり、抜止部材13の保持片部13b裏側に配置される被支持片部14aと、該被支持片部14aの表面から突出する凸部14bとからなる。
【0027】
被支持片部14aは、保持片部13bの裏面に沿う板状に形成され、その上下に止着具16を挿通するための貫通孔14a1,14a1を有する。
凸部14bは、被支持片部14a面の中央部から開閉体厚さ方向へ突出する突起であり、保持片部13bの貫通孔13b1に嵌合するように形成される。この凸部14bは、保持片部13b表面よりも突出して、開閉体10が巻き重ねられた際の衝撃を緩和するように、その突出寸法が適宜に設定されている。
【0028】
前記構成の巻重ね緩衝部材14は、抜止部材13における保持片部13bと止着片部13aとの間に挿入されるとともに、凸部14bを保持片部13bの貫通孔13b1に嵌合した状態で、抜止部材13と一体的に扱われる。
【0029】
これら一体状の抜止部材13及び巻重ね緩衝部材14は、止着片部13aをスラット11の中空部Sに挿通するようにして、スラット11に装着される。より詳細に説明すれば、止着片部13aを中空部Sに挿入するとともに、止着片部13aと巻重ね緩衝部材14裏面との間にスラット11の一方の板状部分11cを挿入させる。
そして、保持片部13b、巻重ね緩衝部材14、止着片部13a及びスラット11が、これら全てに挿通される止着具16によって固定される。
【0030】
したがって、上記構成によれば、抜止部材13をスラット11に装着する作業によって、巻重ね緩衝部材14の開閉体幅方向の位置を高精度に位置決めすることができ、ひいては、巻重ね緩衝部材14が、例えば障害物センサの電線やその他の機器等、ガイドーレール内の部位に干渉するようなことを防ぐことができる。
その上、メンテナンス等で抜止部材13又は巻重ね緩衝部材14を交換する場合には、止着具16を切断して、抜止部材13及び巻重ね緩衝部材14を同時に外して、新たなものに交換すればよい。すなわち、抜止部材13及び巻重ね緩衝部材14を一体的に扱うことができるので、メンテナンス性が良好である。
【0031】
また、他方のスラット11’は、板状部材を縦断面凹状に形成してなり、その凹状部分に、施錠機構15を具備している(図1及び図4参照)。
施錠機構15は、開閉体裏面側のサムターン15aの操作、又は開閉体表面側に差し込まれるキー部材(図示せず)の操作によって、スラット11’の開閉体幅方向の端部から鍵バー15b(図4参照)を進退させ、該鍵バー15bをガイドレール20内の鍵受け部21b3に係脱させる機構である。この機構の基本構造は、例えば特開2005−180030号公報に開示される周知の構造とすることが可能である。
【0032】
また、ガイドレール20は、例えばアルミ合金材料の引抜き成形または押し出し成形、鋼板や他の金属板の曲げ加工等によって、開閉体10の幅方向の端部を開口部20aに挿入して囲む断面略コの字状の部材である。
このガイドレール20内の底部には、抜止部材13を係脱するための抜止レール21が固定されている。
【0033】
抜止レール21は、ガイドレール20の底部に固定された本体部材21aと、本体部材21aに対し開閉体幅方向へ着脱可能な着脱部材21bとからなる(図6参照)。
【0034】
本体部材21aは、ガイドレール20の上下方向の略全長にわたる長尺状の部材であり、ガイドレール20底部に止着される止着片部21a1と、該止着片部21a1から開閉体幅方向へ突出するとともに開閉体厚さ方向に間隔を置いて設けられた二つの突片部21a2,21a2と、各突片部21a2の突端側で他方の突片部21a2側へ突出して抜止部材13の係合部13eに係合される被係合部21a3,21a3と、該被係合部21a3,21a3の外側で開閉体厚さ方向に向き合う凹部21a4,21a4とから一体に形成される(図6参照)。
【0035】
前記止着片部21a1には、前記止着具21c(図示例によればリベット)を挿通するための貫通孔21a11や、該止着片部21a1に対し着脱部材21bを止着するためのねじ穴21a12が設けられる。
【0036】
前記ねじ穴21a12は、ガイドレール20の開口部20aに対応する位置であって、且つ抜止レール21の開口部21e(被係合部21a3,21a3の間)に対応する位置に設けられる。この構成によれば、着脱部材21bの着脱作業を、ガイドレール20の開口部20a及び抜止レール21の開口部21eに挿通される工具(例えばドライバー等)によって行うことができる。
【0037】
また、前記凹部21a4,21a4は、図示しない障害物検知センサを係合して開閉体開閉方向へ導くように形成される。
【0038】
上記構成の本体部材21aには、その長さ方向の中途部分に切欠部21a5が設けられ、この切欠部21a5に、着脱部材21bを嵌め合せている(図6参照)。
前記切欠部21a5は、開閉体開閉方向へ延設された突片部21a2、被係合部21a3及び凹部21a4を、その延設方向の中途部分で切欠することで形成される。
【0039】
着脱部材21bは、本体部材21aの底部(止着片部21a1)に重ね合わせられて止着される一片部21b1と、該一片部21b1から開閉体幅方向へ立ち上がり突出する他片部21b2とから一体に形成され、図6の一例によればLアングル状に形成される。この着脱部材21bは、本体部材21aにおける切欠部21a5に丁度嵌り合うように、開閉体開閉方向の長さが設定されている。また、この着脱部材21bは、ガイドレール20の開口部20aを通過するように、開閉体厚さ方向の寸法が設定されている。
【0040】
前記一片部21b1には図示しない貫通孔が設けられる。そして、一片部21b1は、前記貫通孔に挿通される止着具21d(図示例によればボルト又はネジ(図5参照))によって、本体部材21aの底部に着脱可能に止着される。
この一片部21b1は、前記着脱が抜止レール21の開口部21eを介して行われるように、抜止レール21の開口部21eに対応するように配置される。
【0041】
前記他片部21b2は、本体部材21aにおける突片部21a2と略同様の板状に形成され、その開閉体幅方向の寸法は、突片部21a2の開閉体幅方向の寸法と略同等に設定される。この他片部21b2の突端側には、本体部材21aの凹部21a4に連続する凹部等は存在しない。
そして、前記他片部21b2には、鍵受け部21b3が開閉体開閉方向へ所定間隔を置いて複数設けられる。前記所定間隔は、上下の他片部21b2,21b2間に鍵バー15b(図4参照)が挿入されるように設定される。
【0042】
各鍵受け部21b3は、前記他片部21b2にコ字状又はU字状等の切込み21b4を形成し、該切込み21b4に沿う内側部分を曲げて抜止レール21内部側(詳細には本体部材21aの両突片部21a2,21a2間)へ突出させてなる。図示例によれば、鍵受け部21b3の突端側は、鍵バー15bの係脱性を良好にするように、逆L字状に曲げ形成される(図6参照)。
【0043】
そして、着脱部材21bを本体部材21aに嵌めた状態では、当然であるが、開閉体10が着脱部材21bに対応する箇所を通過できるようになっている。すなわち、着脱部材21bにおける各部の寸法(具体的には、他片部21b2の開閉体厚さ方向の寸法や、一片部21b1の開閉体幅方向の寸法、鍵受け部21b3の突出寸法及び開閉体幅方向の位置等)は、開閉体10の幅方向端部の抜止部材13が抜止レール21内における着脱部材21bに対応する箇所を開閉体開閉方向に通過できるように、適宜に設定されている。
また、着脱部材21bを本体部材21aに嵌めた状態では、上述した図示しない障害物検知センサも、着脱部材21bに対応する箇所を開閉体開閉方向に通過できるように、着脱部材21bの各部の寸法が適宜に設定されている。
【0044】
上記構成の抜止レール21によれば、図2に示すように、開閉体10の抜止部材13を被係合部21a3,21a3間に挿通させ係合することで、強風等に起因して開閉体10がガイドレール20から開閉体幅方向へ抜けてしまうのを阻むことができる。
【0045】
さらに、図4に示すように、全閉時の開閉体10の幅方向端部から突出する鍵バー15bを、抜止レール21内の鍵受け部21b3に係合させて、開閉体10を開放不能に施錠することができる。
この際、着脱部材21bにおける他片部21b2の突端側には、抜止部材13と係合する被係合部21a3等がないため(図6参照)、前記被係合部21a3等によって鍵バー15bの進退が妨げられるのを防ぐことができる。
【0046】
また、本体部材21aに対し着脱部材21bを止着した状態で、これらを一体的に扱うことができ、製造時の作業性が良好である。
【0047】
また、鍵受け部21b3が磨耗や損傷等した場合には、開閉体10を開放し、ガイドレール20の開口部20aにドライバー等の工具を差し入れ、該工具により止着具21dを外せば、着脱部材21bのみを抜止レール21から分離し、開口部20aを介してガイドレール20の外部へ取り出すことができ、さらに、新たな着脱部材21bを前記と逆の手順により本体部材21aに装着することができる(図5参照)。
【0048】
また、ガイドレール20における開口部20aの両縁部分には、それぞれ、開閉体10が厚さ方向へ振動して当接した際の衝撃を緩和する開閉体緩衝手段23が設けられている(図2参照)。
この開閉体緩衝手段23は、剛性材料から形成されガイドレール20に止着される止着部材23aと、弾性材料から形成され開閉体10の表面又は裏面に近接又は接触するように止着部材23aに固定される緩衝部23bとを具備してなる。
【0049】
止着部材23aは、図示例によれば断面矩形枠状であって開閉体開閉方向へ連続する長尺状に形成される。この止着部材23aは、ネジやボルト等の止着具23cによって、ガイドレール20における開口部20a側の端面に止着される。
【0050】
また、緩衝部23bは、合成樹脂材料等の弾性を有する材料からなり、止着部材23aによって嵌合支持されるとともに開閉体10面へ向かって突出するように形成され、開閉体開閉方向へ連続する長尺状に設けられる。この緩衝部23bの突端側には、断面に二股状の突片部23b1,23b1を有する。各突片部23b1は、開閉体10の当接によって柔軟に撓むように、開閉体10面に対し傾斜するように設けられる。
【0051】
上記構成の開閉体緩衝手段23によれば、緩衝部23bが磨耗や損傷等した場合に、その緩衝部23bを直接着脱することなく、止着部材23aの着脱によって緩衝部23bを交換することができる。
すなわち、一般的に緩衝部23bは、開閉体10の摺接や当接によって容易に外れてしまうことのないように、ガイドレール20に対しその上下側から挿入する等して、頑強に嵌合保持される。そのため、このような緩衝部23bを直接着脱するのは困難である。
しかしながら、上記構成の開閉体緩衝手段23では、緩衝部23bと一体的な止着部材23aを止着具23cによって着脱する構造であるため、緩衝部23bを頑強に保持できる上、該緩衝部23bを止着部材23aと一緒に交換することができ、その交換作業が容易である。
【0052】
なお、上記実施の形態では、図5に示すように、止着状態の二つの開閉体緩衝手段23,23の間の開口部20aに着脱部材21bを通過できるようにしたが、他例としては、開閉体緩衝手段23,23を止着した状態では、着脱部材21bがガイドレール20の開口部20a(開閉体緩衝手段23,23の間)を通過できないようにし、ガイドレール20から一時的に開閉体緩衝手段23,23が取り外されることによって開口部20aが広げられ、その広がった空間に着脱部材21bが通過されるようにしてもよい。
この態様によれば、いたずらや悪意等によって着脱部材21bが簡単に取り外されてしまうようなことを防ぎ、防犯性を向上することができる。
【0053】
次に、上記構成の開閉装置1について、一部の構成を他のものに置換した態様を説明する。なお、以下の態様において、置換部分以外の構成については、同一の符号を付けることで重複する詳細説明を省略する。
【0054】
図7に示す態様は、上記開閉装置1に対し、上記抜止部材13を抜止部材13’に置換したものである。
抜止部材13’は、上記抜止部材13に対し、保持片部13b、接続部13d及び巻重ね緩衝部材14を省くとともに、カバー部13cにおける開閉体幅方向の縁部分(端部)に巻重ね緩衝部材14’を固定してなる。
巻重ね緩衝部材14’は、上記巻重ね緩衝部材14と同様の弾性材料からなり、カバー部13cの縁部分から開閉体厚さ方向へ突出するとともに、該縁部分に沿うようにして開閉体開閉方向へわたって延設される。この巻重ね緩衝部材14’は、接着又は二重成形によってカバー部13cの縁部分に固定される。
そして、前記構成の抜止部材13’は、止着片部13aがスラット11の幅方向端部に挿入され、止着具16によってスラット11に固定される。
前記巻重ね緩衝部材14’によれば、より簡素な構造でもって、開閉体10の巻き重ね時の衝撃及び騒音等を軽減することができる。しかも、開閉体10面に対する巻重ね緩衝部材14’の突出寸法を、カバー部13cの厚さ方向の寸法により適宜に設定することができる。
【0055】
図8に示す態様は、上記開閉装置1に対し、スラット11をスラット11”に置換するとともに、抜止部材13を抜止部材13”に置換したものである。
スラット11”は、板状部材を縦断面凹状に形成してなり、その上下端部にカール状の接続部11a”,11b”を有する。このスラット11”における幅方向端部側の前面部分には、巻重ね緩衝部材14の凸部14bを挿通し突出させる貫通孔11c”が設けられる。
また、抜止部材13”は、上記抜止部材13に対し、保持片部13b、接続部13dを省くとともに、止着片部13aの前面に巻重ね緩衝部材14を固定してなる。巻重ね緩衝部材14を止着片部13aに固定する手段は、接着や二重成形とすればよい。
そして、この抜止部材13”は、巻重ね緩衝部材14の凸部14bをスラット11”の貫通孔11c”に挿通させて、止着具16によってスラット11”の裏面に止着される。
この態様によれば、中空部を有さない板状のスラット11”に対し、簡素な構造でもって抜止部材13”及び巻重ね緩衝部材14を精度よく配置することができ、その上、抜止部材13”及び巻重ね緩衝部材14の交換等のメンテナンス作業も容易である。
【0056】
図9に示す態様は、ガイドレール20について、上記抜止レール21を抜止レール21’に置換した構成とされる。
抜止レール21’は、ガイドレール20に沿って開閉体開閉方向へ連続する長尺状の部材であり、その開閉体厚さ方向の片半部(図9によれば上半部)をガイドレール20の底部に固定される本体部材21a’とするとともに、他の片半部(図9によれば下半部)を着脱可能な着脱部材21b’としている。
本体部材21a’は、上述した本体部材21aの片半部と略同様の断面形状を呈し、止着具21c(図示例によればリベット)によってガイドレール20底面に固定されている。
着脱部材21b’は、本体部材21a’と略同長さの部材であり、おおまかには本体部材21a’と対象な断面形状を有する。この着脱部材21b’には、上記抜止レール21と同様にして複数の鍵受け部21b3が設けられる。
この着脱部材21b’は、ガイドレール20の開口部20aを通過可能なように、その開閉体厚さ方向の寸法が設定される。
そして、この着脱部材21b’は、止着具21d(図示例によればネジ又はボルト)によってガイドレール20の底面に着脱可能に止着される。
【0057】
着脱部材21b’を本体部材21a’に嵌めた状態では、当然であるが、開閉体10が着脱部材21b’に対応する箇所を通過できるようになっている。すなわち、着脱部材21b’における各部の寸法は、開閉体10の幅方向端部の抜止部材13が抜止レール21’内における着脱部材21b’に対応する箇所を開閉体開閉方向に通過できるように、適宜に設定されている。
また、着脱部材21b’を本体部材21a’に嵌めた状態では、上述した図示しない障害物検知センサも、着脱部材21b’に対応する箇所を開閉体開閉方向に通過できるように、着脱部材21b’の各部の寸法が適宜に設定されている。
【0058】
よって、図9に示す態様によれば、鍵受け部21b3を損傷や磨耗等のために交換する場合、着脱部材21b’のみを着脱し開口部20aに通過させて交換すればよく、その作業性が良好である。
【0059】
なお、図9に示す態様では、止着状態の二つの開閉体緩衝手段23,23の間の開口部20aに着脱部材21b’を通過できるようにしたが、他例としては、開閉体緩衝手段23,23を止着した状態では、着脱部材21b’がガイドレール20の開口部20a(開閉体緩衝手段23,23の間)を通過できないようにし、ガイドレール20から一時的に開閉体緩衝手段23,23が取り外されることによって開口部20aが広げられ、その広がった空間に着脱部材21b’が通過されるようにしてもよい。
この態様によれば、いたずらや悪意等によって着脱部材21b’が簡単に取り外されてしまうようなことを防ぎ、防犯性を向上することができる。
【0060】
また、図10に示す態様は、上記開閉装置1に対し、上記ガイドレール20をガイドレール20’に置換したものである。なお、図示を省略するが、このガイドレール20’の内部には、必要に応じて上記構成の抜止レール21又は抜止レール21’が設けられる。
このガイドレール20’の開口部20a’の縁部分には、製造時に、緩衝部材24が嵌合され、該緩衝部材24が磨耗や損傷等した場合には、該緩衝部材24を開閉体緩衝手段25に交換できるようにしてある。
【0061】
緩衝部材24は、合成樹脂材料等の弾性を有する材料からなり、開閉体開閉方向へわたってガイドレール20’の開口部20a’の縁部分に嵌合されている。なお、この緩衝部材24は、開閉体10との摺接や当接により容易に外れることのないように、頑強に嵌合されている。したがって、この緩衝部材24は、交換の際、切断されてガイドレール20’から外される。
【0062】
開閉体緩衝手段25は、緩衝部材24を外した後のガイドレール20’(図10(b)参照)に対し装着されるものである。
この開閉体緩衝手段25は、ガイドレール20’における開口部20a’の縁部分に対し、開閉体厚さ方向におけるガイドレール20外側から装着される片半部25aと、同縁部分に対し、開閉体厚さ方向におけるガイドレール20内側から装着される他半部25bと、該他半部25bに嵌合される緩衝部25cと、片半部25a及び他半部25bをガイドレール20’に止着する止着具25dとから構成される。
前記片半部25aと他半部25bは、開閉体開閉方向へわたる長尺状の部材であり、互いに嵌り合うように形成されている。
また、緩衝部25cは、モヘアと呼称されるブラシ状の緩衝材であり、開閉体開閉方向へわたって緩衝部25cに嵌合されている。
【0063】
緩衝部材24を外したガイドレール20’に対し開閉体緩衝手段25を装着する場合、ガイドレール20’の開口部20a’の縁部分を挟み込むようにして、片半部25aと他半部25bが装着され、これら片半部25a及び他半部25bが止着具25dによってガイドレール20’に止着固定される。
【0064】
よって、図10に示す態様によれば、磨耗や損傷等した緩衝部材24を新しいものに交換するのが困難な場合に、該緩衝部材24を切断等して取り外し、ガイドレール20’に対し開閉体緩衝手段25を容易に装着することができる。
【0065】
また、巻取装置30は、開閉体10を送出したり収納したりする収納ケース31、該収納ケース31内に回動自在に支持された巻取軸32、及び該巻取軸32を巻き取り方向へ付勢するスプリング(図示せず)等を具備し、開閉体10を巻取軸32によって巻き取ったり繰り出したりする(図1参照)。
【0066】
なお、図10に示す態様の変形例としては、開閉体緩衝手段25の片半部25aと他半部25bを、ガイドレール20’に装着された状態の緩衝部材24を挟み込むように形成してもよい。この変形例によれば、ガイドレール20’に装着された状態の緩衝部材24を覆うようにして、開閉体緩衝手段25が装着されるため、古い緩衝部材24を取り外す必要がなく、よりメンテナンス性を向上することができる。
【符号の説明】
【0067】
1:開閉装置 10:開閉体
11,11’,11”:スラット 11c”:貫通孔
13:抜止部材 13a:止着片部
13b:保持片部 13b1:貫通孔
13c:カバー部 13e:係合部
14:巻重ね緩衝部材 15b:鍵バー
16:止着具 20:ガイドレール
20a:開口部 21:抜止レール
21a:本体部材 21b:着脱部材
21b3:鍵受け部 21b4:切込み
23:開閉体緩衝手段 23a:止着部材
23b:緩衝部 32:巻取軸
S:中空部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
空間を仕切るようにして閉鎖動作する開閉体と、該開閉体の幅方向の端部を開口部に挿入して開閉方向へ案内するガイドレールとを備え、前記開閉体が閉鎖した際に、前記開閉体における幅方向端部側の抜止部材を、前記ガイドレール内の抜止レールに係合させて、前記開閉体が前記ガイドレールから開閉体幅方向へ抜けるのを阻むとともに、前記開閉体の幅方向端部から鍵バーを突出させて、該鍵バーを前記ガイドレール内の鍵受け部に係止するようにした開閉装置において、
前記抜止レールは、前記ガイドレールに固定された本体部材と、前記ガイドレール及び/又は前記本体部材に対し開閉体幅方向へ着脱可能な着脱部材と、を具備し、前記着脱部材は、前記鍵受け部を有するとともに、前記ガイドレールの前記開口部を通過するように形成されていることを特徴とする開閉装置。
【請求項2】
前記本体部材は、前記ガイドレールに沿う長尺状に形成されるとともに、その長さ方向の中途部分に切欠部を有し、
前記着脱部材は、前記切欠部に嵌め合わせられるように形成されていることを特徴とする請求項1記載の開閉装置。
【請求項3】
前記着脱部材は、前記ガイドレール及び/又は前記本体部材に止着される一片部と、該一片部から開閉体幅方向へ延設された他片部とからなり、
前記鍵受け部は、前記他片部に切込みを形成し、該切込みに沿う部分を曲げて鍵バー側へ突出させてなることを特徴とする請求項1又は2記載の開閉装置。
【請求項4】
前記ガイドレールを前記開口部を有する断面略コ字状に形成するとともに、前記開口部の縁部分に、前記開閉体が当接した際の衝撃を緩和する開閉体緩衝手段を設けるようにした開閉装置であって、
該開閉体緩衝手段は、剛性材料から形成され前記ガイドレールに止着される止着部材と、弾性材料から形成され前記開閉体の表面又は裏面に近接又は接触するように前記止着部材に固定される緩衝部とを具備してなることを特徴とする請求項1乃至3何れか1項記載の開閉装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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