説明

関節を大きく動かす足裏マッサージ器

【課題】健常者の健康増進と、老化や病気等で同じ姿勢を続けて、関節の動きが悪くなった人のリハビリ用として、足裏のマッサージと、膝肩などの関節を大きく動かす運動ができる、構造が簡単で安価な「関節を大きく動かす足裏マッサージ器」を提供する。
【解決手段】足裏をマッサージする軸1の両側に、「軸1の周長」の3倍(一例)の楕円等の、軸と同心円ではないツバ2を設ける。足裏を周長10cmの軸1に乗せて10cm移動し、軸1とツバ2が一回転する時、「足裏と軸1との接点の移動距離」と、「床とツバ2との接点の移動距離」の比は、「軸1の周長」と「ツバ2の周長」の比と同じになる。ゆえに、軸1(マッサージ器)はツバ2を介して床の上を30cm移動し、軸1上の足裏は床に対して、10+30=40(cm)移動する為、従来品より膝等の関節を大きく動かす事ができる。また、ツバ2が楕円等である為、転がって使用者から遠くに離れる事を防止できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は足裏をマッサージする器具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
足裏マッサージ器具は色々な形状の物が有り、使用方法から大別すると、足を上下に動かして足踏みをする物と、マッサージ器具の軸や軸に通した輪の上に足を乗せて、足を前後に動かして、軸や輪を転がすようにする物になる。軸の両端に車輪を付けて、中程に足裏を乗せて転がす物が、特許の先願にある。
【特許文献1】特開2001−070386号公報
【0003】
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
足を上下に動かして足踏みをする足裏マッサージ器具は、膝の関節の動作角度が小さい。ももを高く上げて足踏みをすると、動作角度は大きくなるが、マッサージ回数が多くなると疲れる為、体力のない人は回数を多く出来ない。
【0005】
足を前後に動かす足裏マッサージ器具で、マッサージ器具が床と一定の位置を保ったまま足裏をマッサージする、軸が一つの物は、足裏を動かした長さしか、床と足裏の位置がずれない為、膝の関節の動作角度が小さくなる。また、ソロバンのように、軸や軸に通した輪が多い多軸品は、足を乗せる部分の長さが長い為、足裏がマッサージ器具から外れない状態が長くなり、「足を乗せる部分の長さ」+「最大で足裏の長さ」だけ、床に対して足裏を動かせるが、足裏がマッサージ器具に接する部分が多い為、足裏への圧力が小さくなり、マッサージの刺激が減少する。軸や輪が多いと、保管に場所を取る、製作コストが高くなるなどの欠点が有る。
【0006】
軸の両端に車輪を付けた先願は、足を乗せる部分と該車輪との径の比が1:1に近い為、足裏が、足裏と軸との接点が移動した2倍に近い長さしか、(該比が1:1の場合は足裏を動かした長さと同じだけ軸が床上を転がる為、2倍になる)床に対して移動しない為、先願は関節を動かす効果についてはふれていない。しかし、その効果はあるが少ないこと。及び、側面形状において、軸と車輪が同心円である為、転がるときに重心の上下動がなく、転がりだすとなかなか止まり難い為、使用者から遠くに離れてしまう等の欠点がある。
【0007】
本発明の課題は従来品の欠点を解消して、体力のない人が、足裏のマッサージの回数とマッサージの刺激を減少させることなく、膝の関節を大きく動かす運動ができる、構造が簡単で安価な「関節を大きく動かすマッサージ器」を提供することである。以下、本発明品と従来品を区別する為に、本発明品についてはマッサージ器と言い、従来品については上記のように、マッサージ器具と言う。
【課題を解決するための手段】
【0008】
足裏をマッサージする突起が多数ある軸の両側にツバを設ける。ツバは楕円や多角形の角をまるめた形状や円形のツバを軸と偏心させる等、軸の中心からツバの外周までの長さに差が付くように設ける。ツバは一部をくりぬく、一部を欠く、一部に重りを付けるなどして、ツバの中心とマッサージ器の重心をずらす。ツバは軸と一体にする、または、ツバと軸を別体にして、軸にツバを止めるピン、キー、ゴム輪等を取付けて、軸とツバを同時に回転するようにすると共に、ツバを取り外して別の形状のツバに交換できるようにする。
【0009】
ツバの外周には、滑り止めと、床の保護と、防音を目的にゴムを設ける。または、ツバをゴム製にして、ツバの周囲を凹凸にする等、ツバにこれらの機能を持たせる。
【発明の効果】
【0010】
足を軸に乗せて動かし、軸を一回転した時、「足裏と軸(含む突起)との接点の移動距離」と、「床とツバ(含むゴム輪)との接点の移動距離」の比は、「該軸の周長」と「該ツバの周長」の比と同じになる。ゆえに、比を1:3にして、周長が10cmの軸上で足裏を10cm移動して軸を一回転すると、軸(マッサージ器)はツバを介して、足裏と同じ向きに床の上を30cm移動する事になり、床に対して足裏は、10+30=40(cm)移動する。足を前後に動かすと、足裏が40cm移動する往復運動ができる。同条件で該比を1:3.5にすると、10+35=45(cm)移動する為、特に、肩の関節を大きく動かしたい時に有効である。軸を定位置で使用すると、この条件では10cmの移動である。
【0011】
該比が1:3の場合、マッサージ器を床の一定の位置で使用する従来品に比べて4倍、床上に軸を直接置いて使用する場合に比べても2倍近く、床に対して足裏を移動できることになり、マッサージをしながら、少ない動作(疲労)で膝の関節を大きく動かす往復運動ができる。また、手をマッサージ器の軸に乗せて動かすと、肩や肘の関節を大きく動かす往復運動ができる。また、比に相当する3倍早い足の動作が疲労感なく、得られる。
【0012】
図6で補足説明する。図表は周長が10cmの軸51の上に足53を乗せ、10cm移動して、軸51を一回転する時に、マッサージ器の周長比(1:3と1:1)の違いによる、足裏と軸51との接点の移動を比較するものである。周長比は軸51(含、突起):ツバ52(含、ゴム輪)を示す。点A接点55は、足裏を軸に乗せて動かす前の、足裏と軸との接点。点B接点56は、足裏を軸に乗せて動かした後の、足裏と軸との接点を示す。
【0013】
図6では、表と組合せ易くする為に、突起とゴム輪を省略している。軸51とツバ52が同心円の場合、足裏と軸51との接点は上下動が「0」であり、該接点は直線的に移動するが、同心円以外の場合は上下動をする。該接点は上下動の幅に応じて、「曲線S−S」54に示すように接点が移動し、移動の量(長さ)と質が変化する。注)周長比1:1は実質的には軸51を床上で直接転がすに等しい状態である。
【0014】
また、ツバが楕円等であることと、ツバの一部をくりぬく、一部を重くする等で、マッサージ器を転がり難くして、使用者から、遠くに離れてしまうのを防止する効果がある。この他、前述の課題であげた従来品の欠点を同時に解消している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図1で説明する。軸1とツバ2が別体で、ツバ2を別の形状の物に交換(足の動作を変える)または、分解して保管できる例の一つである。軸1は丸パイプの中程に足裏をマッサージする多数の突起1aを設け、その両側には、ピン穴1bを設ける。ツバ2は周長が軸1の周長の3、5倍位ある楕円にして外周には溝2aを設け、該溝2aにゴム輪3を取付ける。また、ツバ2に軸1を挿入するあな2bと、ツバ2の回り止め穴2cを設ける。
【0016】
ゴム輪小4を軸1の端よりの突起1aを超える所まで入れる。ツバ2を軸1の突起1aに接する位置まで挿入する。L形ピン5の短い辺の先端をツバ2の方に向けて、長い方の辺をピン穴1bに通し、該先端をツバ2の回り止め穴2cに合わせて、ツバ2をL形ピン5の方にずらす。ゴム輪小4をツバ2と突起1aの間にずらしてツバ2の位置を決める。
【0017】
図1の楕円のツバ2を別形状の物と、交換する場合は、上記と逆の手順で、ゴム輪小4とツバ2を戻してから、L形ピン5を抜いて、ツバ2を別形状の物と入れ替えて、再び、L形ピン5を通し、ツバ2をL形ピン5の方にずらし、ゴム輪小4をツバ2と突起1aの間にずらして取付ける。
【0018】
足を軸1に乗せて、前後に動かすと、膝の関節を大きく動かす往復運動と足裏マッサージが同時にできる。また、軸1に手を乗せて前後に動かすと、肩、肘の関節を大きく動かす往復運動ができる。この使用方法は、以下の実施例についても、同じである為、以下の実施例での記述は省略する。また、図は細部をわかり易くするため、軸1の径をツバ2に比べ、20%位拡大している。以下の図も同様である。
【第1実施例】
【0019】
第1実施例は図2で説明する。軸11は丸パイプの中程に足裏をマッサージする多数の突起11aを設け、その両側には、軸側キー溝11bと、ツバ12の位置を決めるゴム輪小14を取付ける内側溝11c、外側溝11dを設ける。
【0020】
ツバ12は周長が軸1の周長の3、5倍位ある長円にして外周には溝12aを設け、該溝12aにゴム輪13を取付ける。また、ツバ12に軸11の端を挿入するあな12bと、ツバ側キー溝12cを設ける。ツバ12の両平面に環状溝12dを設け、環状溝12dの一部に重り16を取付ける。さらにツバ12を大きくして、慣性が大きい時に、マッサージ器が止まり難くなるのを防止する効果が大きくなる。ゴム輪小14を軸1の内側溝11cに取付ける。キー15を軸側キー溝11bに入れる。これとツバ側キー溝12cが合うように、軸11の端をツバ12のあな12bに挿入する。ツバ12が軸11から抜けないようにゴム輪小14を軸11の外側溝11dに取付ける。
【0021】
この例の応用例として、軸側キー溝1bを無しにして、軸1とキー15を一体にする。または、内側溝11c、外側溝11dの幅を狭くしてゴム輪小14の替わりにCリングを使用することもできる。
【第2実施例】
【0022】
第2実施例は図3で説明する。軸21は丸パイプの棒の中程に、足裏をマッサージする多数の突起21aを設け、その両側には、軸21とツバ22のずれを防ぐ切り欠き部21bと、ツバ22を軸21から抜けないようにする為の抜け止め具24を取付ける溝AとB(21cと21d)とを設けたものである。
【0023】
ツバ22は円形にして、外周に溝22aを設け、該溝22aにゴム輪23を取付ける。マッサージ器全体の重心をツバ22の中心からずらして、マッサージ器を転がり難くする為、ツバ22の中心から外れた位置に、軸21の切り欠き部21bを挿入する「あなA」22b、及び、「あなB」と「あなC」(22cと22d)を設ける。軸21の切り欠き部21bを、ツバ2の「あなA」22bに合わせて、挿入する。抜け止め具24を軸21の溝AとB(21cと21d)を利用して取付け、円形のツバ22が軸21から抜けないようにする。
【第3実施例】
【0024】
第3実施例は図4で説明する。軸31は八角の棒の中程に、ネジ33の下穴31aを多数設けたもので、該下穴31aに突起片34を、ネジ33で取付けて足裏をマッサージする部分にする。軸31の両側にピン36を圧入するピンあな31bを設ける。
【0025】
ツバ32はゴムで製作し、八角の角をまるめた平面形状にして、その周囲は凹凸32aにする。また、ツバ32には、軸31を挿入する為のあな32bと、ツバ32の中心とマッサージ器の重心をずらして、マッサージ器を転がり難くするあなA、B、C(32c、32d、32e)を設ける。ゴム輪35を軸31のネジ33に接するように取付け、ツバ32を軸31に挿入する。ピン36をピンあな31bに圧入する。図1から図4に示す、ツバの形状や軸への取付けは、それぞれ組合せをかえて実施することができる。
【第4実施例】
【0026】
第4実施例は図5で説明する。突起41aが多数ある軸41の両側に長円のツバ部41bを設けて、一体で成型する。ツバ部41bの周囲に溝41cを設けて、ゴム輪42を取付ける。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】「発明を実施するための最良の形態」の正面図と右側面図の破断図
【図2】第1実施例の正面図と右側面図の破断図
【図3】第2実施例の正面図と右側面図の破断図
【図4】第3実施例の正面図と右側面図
【図5】第4実施例の正面図
【図6】効果の説明図
【符号の説明】
【0028】
1 「発明を実施するための最良の形態]の軸
2 「発明を実施するための最良の形態」のツバ
3 「発明を実施するための最良の形態」のゴム輪
4 「発明を実施するための最良の形態」のゴム輪小
5 L形ピン
11 第1実施例の軸
12 第1実施例のツバ
13 第1実施例のゴム輪
14 第1実施例のゴム輪小
15 キー
16 重り
21 第2実施例の軸
22 第2実施例のツバ
23 第2実施例のゴム輪
24 抜け止め具
31 第3実施例の軸
32 第3実施例のツバ
33 ネジ
34 突起片
35 第3実施例のゴム輪
36 第3実施例のピン
41 第4実施例の軸
42 第4実施例のゴム輪
51 効果の説明図の軸
52 効果の説明図のツバ
53 足
54 曲線S−S
55 点A接点
56 点B接点

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多数の突起がある軸の両側に、楕円や多角形の角をまるくした形や円などのツバを、軸の中心からツバの外周までの長さに差が付くように設け、ツバの周囲にゴム輪を設けることを特徴とする、関節を大きく動かす足裏マッサージ器。
【請求項2】
ツバを軸の端に、着脱できるように組み込むことを特徴とする、請求項1に記載の関節を大きく動かす足裏マッサージ器。
【請求項3】
ツバとツバの周囲に設けるゴム輪とが、一体であることを特徴とする、請求項1または、請求項2に記載の、関節を大きく動かす足裏マッサージ器。
【請求項4】
軸に突起片を取付けて、多数の突起がある軸を構成することを特徴とする、請求項1または、請求項2または、請求項3に記載の、関節を大きく動かす足裏マッサージ器。
【請求項5】
ツバの一部をくりぬく、一部を欠く、一部に重りを取付けることを特徴とする、請求項1または、請求項2または、請求項3または、請求項4に記載の、関節を大きく動かす足裏マッサージ器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−88839(P2010−88839A)
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−282468(P2008−282468)
【出願日】平成20年10月6日(2008.10.6)
【出願人】(507250689)
【Fターム(参考)】