防振装置および撮像装置
【課題】撮影準備駆動中の省電力を、位置制御に対する影響を抑えながら達成可能な防振装置を提供すること。
【解決手段】デジタルカメラ本体100に対して光学系を移動可能に支持されたCCDステージ1251と、CCDステージ1251をデジタルカメラ本体100に対して移動させるアクチュエータ1255と、デジタルカメラ本体100に作用する加速度を検出する加速度センサ130と、加速度センサ130が検出する加速度があらかじめ設定された以上値である場合に、アクチュエータ1255の駆動力の上限値を低下させるCPUブロック1043と、を備えていることを特徴とする防振装置とした。
【解決手段】デジタルカメラ本体100に対して光学系を移動可能に支持されたCCDステージ1251と、CCDステージ1251をデジタルカメラ本体100に対して移動させるアクチュエータ1255と、デジタルカメラ本体100に作用する加速度を検出する加速度センサ130と、加速度センサ130が検出する加速度があらかじめ設定された以上値である場合に、アクチュエータ1255の駆動力の上限値を低下させるCPUブロック1043と、を備えていることを特徴とする防振装置とした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮影時の手ぶれを補正するのに最適な防振装置およびこの防振装置を備えた撮像装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、スチルカメラやビデオカメラ等の撮像装置の自動化が進み、自動露出や自動焦点調節機構などを備えたものが広く実用化されており、これらの多機能化の一環として、装置全体の振れに起因する像振れを補正する振れ補正機能を実現する技術もいくつか実用化されている。
【0003】
このような撮像装置として、撮影光軸に直交する方向に移動自在な撮像素子と、撮像素子を撮影光軸に直交する方向に駆動する駆動部と、撮像素子の位置を検出する位置検出部と、該位置検出部の出力に基づいて、撮像素子が基準位置にあることを示す基準位置情報を記憶する記憶部とを備え、前記駆動部により撮像素子を駆動する際に、記憶部に記憶された基準位置情報に基づき、撮像素子の位置を検出する撮像装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
この撮像装置においては、手ぶれによる撮影装置の振れ量を検出し、その検出した振れ量により光電変換手段を有する基板を変位させているときに、当該基板の変位量を検出する一方、検出した変位量により振れ量を補正して当該基板を変位させて、振れ補正を行うよう構成されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の撮像装置では、撮影準備動作時に、常時センタリングしているため、消費電力が多くなるが、このようなCCDステージ駆動中の省電力制御については考慮されていない。
しかし、世の中には、起動直後から撮像素子あるいはレンズを駆動し続けるカメラも出回っており、補正機構のサーボ制御時の省電力は、電池寿命や、また発熱の観点から課題となっている。
【0006】
本発明の課題は、撮影準備駆動中の省電力を、位置制御に対する影響を抑えながら達成可能な防振装置および撮像装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために本発明は、本体に対して光学系を移動可能に支持された可動部と、この可動部を前記本体に対して移動させる駆動手段と、前記本体の動きを検出する動き検出手段と、前記動き検出手段が検出する動きがあらかじめ設定された以上の動きである場合に、前記駆動手段の駆動力の上限値を低下させる制御手段と、を備えていることを特徴とする防振装置とした。
【0008】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の防振装置において、前記動き検出手段は、前記本体に作用する加速度を検出する手段であり、前記制御手段は、検出する加速度があらかじめ設定された値以上の場合に、前記駆動力の上限値を、前記加速度が大きいほど低下させることを特徴とする防振装置とした。
また、請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の防振装置において、前記制御手段は、検出する前記加速度の方向が重力と相殺される方向である場合には、前記駆動力の上限値の低下量を抑制することを特徴とすることを特徴とする防振装置とした。
【0009】
また、請求項4に記載の発明は、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の防振装置を備えた撮像装置であって、前記制御手段は、前記駆動手段の駆動力の上限値を、非露光時には、露光時よりも低下させることを特徴とする撮像装置とした。
また、請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の撮像装置において、レリーズ処理を行うレリーズスイッチを備え、前記制御手段は、前記レリーズスイッチが押されていない場合は、前記上限値を露光時の半分に低下させるとともに、前記動き検出手段が検出する動きがあらかじめ設定された以上の動きである場合に前記上限値を露光時の半分よりもさらに低下させ、前記レリーズスイッチが半押しされた場合は、前記上限値を、前記露光時における上限値と同じに設定し、前記レリーズスイッチが全押しされて撮影が行われた後は、前記駆動手段の駆動力の上限値を、前記露光時の半分に低下させる撮像装置とした。
【0010】
さらに、請求項6に記載の発明は、本体に対して光学系を移動可能に支持された可動部と、この可動部を前記本体に対して移動させる駆動手段と、前記本体に対する前記可動部の位置を検出する位置検出手段と、前記可動部を制御上の目標位置に移動させるよう前記駆動手段を駆動させる制御手段と、前記制御手段に含まれ、前記位置検出手段が検出する前記可動部の実位置と前記目標位置との差であるエラー量に応じ、前記可動部を、前記エラー量が縮まるよう移動させるフィードバック制御を実行するフィードバック制御部と、前記フィードバック制御時に、前記エラー量に上限値および下限値を設定し、かつ、前記光学系の非露光時には、露光時と比較して前記エラー量の前記上限値と前記下限値との間の幅を狭く設定する上下限値設定部と、を備えていることを特徴とする撮像装置とした。
また、請求項7に記載の発明は、本体に対して光学系を移動可能に支持された可動部と、この可動部を前記本体に対して移動させる駆動手段と、前記可動部の位置を検出する位置検出手段と、前記可動部を制御上の目標位置に移動させるよう前記駆動手段を駆動させる制御手段と、を備えた撮像装置の制御方法であって、前記位置検出手段が検出する前記可動部の実位置と前記目標位置との差であるエラー量に応じ、前記可動部を、前記エラー量が縮まるよう移動させるフィードバック制御を実行し、前記フィードバック制御時に、前記エラー量に上限値および下限値を設定し、かつ、前記光学系の非露光時には、露光時と比較して前記エラー量の前記上限値と前記下限値との間の幅を狭く設定するようにしたことを特徴とする撮像装置の制御方法とした。
【発明の効果】
【0011】
本発明の防振装置によれば、例えば、撮像装置を手に持って大きく振るといったような光学系のセンタリングを行う必要のない状況などのように防振装置の本体の動きが大きい場合は、制御手段は、駆動手段の駆動力の上限値を低下させる。
したがって、駆動力の上限値を低下させない場合と比較して、省電力化を図ることができる。また、このように駆動力の上限値を低下させた場合、可動部の移動性能(防振性能)は低下するおそれがあるが、上述のように本体の動きが大きい場合には、可動部の移動性能(防振性能)の必要性も低い可能性が高く、位置制御性能に与える影響を抑えることができる。
また、請求項2に記載の発明では、動き検出手段が検出する加速度に応じ、加速度が所定値以上の場合は、加速度が大きいほど駆動力の上限値を低下させるようにした。
したがって、本体が移動している場合において、一定速度の移動の場合よりも、速度変化が大きい移動の場合の方が、駆動力の上限値を低く抑えて、より省電力化を図ることができる。また、このように速度変化が大きい場合の方が、一定速度の場合よりも、可動部の移動性能(防振性能)の必要性も低い可能性が高く、位置制御性能に与える影響を抑えることができる。
また、請求項3に記載の発明では、力の作用方向に本体を移動させた場合のように、検出される加速度の方向が重力と相殺される方向である場合、可動部を移動させるのに必要な駆動力も小さくて済み、その駆動に必要な消費電力も抑えられる。そこで、このように検出される加速度の方向が重力と相殺される方向である場合には、駆動力の上限の低下を抑制しても消費電力を低く抑えることが可能であるため、省電力化を図りつつ、位置制御性能を高く確保することができる。
【0012】
請求項4に記載の発明では、撮像装置において、非露光時に、駆動力の上限値を露光時よりも低下させるようにしたため、位置制御の必要性が露光時よりも劣る非露光時に、位置制御性能に与える影響を抑えながら省電力化を図ることができる。
請求項5に記載の発明は、レリーズスイッチが押されていない場合、レリーズスイッチが押された場合と比較して位置制御の必要性が低く、上限値を露光時の半分に低下させて省電力を図ることができる。また、動き検出手段が検出する動きがあらかじめ設定された以上の動きである場合、位置制御の必要性が低いため、上限値を露光時の半分よりもさらに低下させ、さらに省電力化を図ることができる。
一方、レリーズスイッチが半押しされた場合は、位置制御の必要性が高まるため、駆動力の上限値を、露光時における上限値と同じに設定し、省電力化よりも位置制御性能を優先させる。また、レリーズスイッチが全押しされて撮影が行われた後には、駆動力の上限値を、露光時の半分に低下させて、再び、省電力化を図る。
以上のようにして、位置制御性能に与える影響を抑えながらく、きめの細かい省電力化を図ることができる。
【0013】
本願請求項6および請求項7に記載の発明は、フィードバック制御におけるエラー量に上下限の制限を加え、非露光時には、露光時と比較して上限値と下限値との間の幅を狭く設定することにより、可動部の動作を緩やかにできる。この結果、サーボ制御開始時などの可動部の動作開始時に、手に衝撃が伝わったり、駆動音が発生したりすることを軽減できる。
一方、露光時には、非露光時と比較して、上下限値による制限を抑えることで応答性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は本発明に係る撮像装置の一つである実施例1のデジタルスチルカメラを示しており、(a)はその上面図、(b)は正面図、(c)は背面図である。
【図2】図2はデジタルカメラ内部のシステム構成の概要を示すブロック回路図である。
【図3】図3はデジタルカメラの2つのモードの動作概要を示すフローチャートである。
【図4】図4はタイマ機能の動作を示す図である。
【図5】図5は手ぶれ補正を行う原理を説明する図である。
【図6】図6はデジタルカメラのレンズ鏡胴の固定筒を示す正面図である。
【図7】図7は図6のA−A’線に沿った縦断面図である。
【図8】図8は固定筒を示しており、(a)はその背面図、(b)はフレキシブルプリント基板を除いた背面図である。
【図9】図9はCCDステージの分解斜視図である。
【図10】図10は図8(b)のB−B’線に沿った縦断面図である。
【図11】図11は強制保持機構の要部を示しており、(a)はCCDステージとステッピングモータと変換機構との連結関係を示す斜視図、(b)は変換機構の部分を拡大した斜視図である。
【図12】図12は回転伝達ギヤのカム溝を示しており、(a)は回転伝達ギヤの底面図、(b)は(a)のC−C’に沿った断面図、(c)はカムピンが傾斜面部を摺動して回転伝達ギヤを押し上げた状態を示す図、(d)はカムピンが頂上平坦部に当接し回転伝達ギヤが最も押し上げられた状態を示す図、(e)はカムピンが絶壁を通過し谷底平坦部に当接して回転伝達ギヤが最も押し下げられた状態を示す図である。
【図13】図13は押さえピンと凹所との嵌合状態を示しており、(a)は押さえピンと凹所周壁との密接状態を示す図、(b)は押さえピンと凹所周壁との離間状態を示す図である。
【図14】図14はレンズの焦点距離とずれ量との関係を示す図である。
【図15】図15はぶれ角とCCD補正移動量との関係を示す図である。
【図16】図16はCCDのサーボ制御の制御周期を示しており、制御周期が0.0001[s]のときのタイミングチャートである。
【図17】図17は手ぶれ補正処理のフローチャートである。
【図18】図18はCCDが目標位置に移動する様子を示す図である。
【図19】図19は駆動力の上限値を制御するシステム構成の概要を示すブロック回路図である。
【図20】図20はサーボ制御における駆動力の上限値制御の処理の流れを示すフローチャートである。
【図21】図21は加速度に対する駆動力上限値の特性を示す駆動力上限値特性図である。
【図22】図22は実施例2の撮像装置においてエラー量の上下限値を制御するシステム構成の概要を示すブロック回路図であるである。
【図23】図23はフィードバック制御におけるエラー量の上限値および下限値の説明図である。
【図24】図24は実施例2のフィードバック制御におけるエラー量の上限値および下限値の制御の処理の流れを示すフローチャートである。
【図25】図25は実施例2の作用を説明する図であり、サーボ制御開始時にエラー量の上限値および下限値として制限上限値および制限下限値を用いた場合のCCDステージの移動の様子を示す作用説明図である。
【図26】図26は実施例2の作用と比較するための図であり、サーボ制御開始時にエラー量の上限値および下限値として従来と同様の通常上限値および通常下限値を用いた場合のCCDステージの移動の様子を示す作用説明図である。
【図27】図27は実施例3の撮像装置においてエラー量の上下限値を制御するシステム構成の概要を示すブロック回路図である。
【図28】図28は実施例3のフィードバック制御におけるエラー量の上限値および下限値の制御の処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を実施するための形態について、添付図面を参照しながら実施例を挙げて説明する。
【実施例1】
【0016】
以下、本発明の実施例を図面に従って説明する。
図1は、本発明に係る防振装置を搭載した撮像装置の一つである実施例1のデジタルスチルカメラ(以下、デジタルカメラという)示しており、(a)はその上面図、(b)は正面図、(c)は背面図である。また、図2はデジタルカメラ内部のシステム構成の概要を示すブロック回路図である。
【0017】
このデジタルカメラは、撮影光軸を有した撮影光学系と、撮影光軸上に配置された撮像素子と、撮影光学系および撮像素子を前記撮影光軸に直交するX−Y方向に移動させる駆動部と、撮像素子で撮像した画像をモニタリング表示する表示部とを備え、駆動部により撮影光学系と撮像素子との少なくとも一方を移動させることにより手ぶれ補正を行う手ぶれ補正機能付きのデジタルカメラ(撮像装置)であり、以下に、その構成を詳細に説明する。
【0018】
図1(a)に示すように、デジタルカメラ本体100の上面には、レリーズスイッチ(レリーズシャッタ)SW1、モードダイヤルスイッチSW2、およびサブLCD(液晶ディスプレイ)1が配設されている。
【0019】
また、図1(b)に示すように、デジタルカメラ本体100の正面には、撮影レンズを含む鏡胴ユニット7、光学ファインダ4、ストロボ発光部3、測距ユニット5、リモートコントロール受光部6が設けられている。
【0020】
図1(c)に示すようにデジタルカメラ本体100の背面には、電源スイッチSW13、LCDモニタ1’、AFLED8、ストロボLED9、広角方向ズームスイッチSW3、望遠方向ズームスイッチSW4、セルフタイマの設定・削除するセルフタイマスイッチSW5、メニュースイッチSW6、上移動・ストロボセットスイッチSW7、右移動スイッチSW8、ディスプレイスイッチSW9、下移動・マクロスイッチSW10、左移動・画像確認スイッチSW11、OKスイッチSW12、手ぶれ補正スイッチSW14が設けられている。デジタルカメラ本体100の側面にはメモリカード/電池装填室の蓋2が設けられている。
【0021】
デジタルカメラの各部材の機能および作用は公知であるので、その説明は省略することにし、次にカメラの内部のシステム構成を図2に基づき図1を参照しながら説明する。
図2に示すように、デジタルスチルカメラプロセッサ(以下、プロセッサという)104は、A/D変換器10411、第1CCD信号処理ブロック1041、第2CCD信号処理ブロック1042、CPUブロック1043、ローカルSRAM1044、USBブロック1045、シリアルブロック1046、JPEG・CODECブロック(JPEG圧縮・伸長を行うブロック)1047、RESIZEブロック(画像データのサイズを補間処理により拡大・縮小するブロック)1048、TV信号表示ブロック(画像データを液晶モニタ・TVなどの外部表示機器に表示させるためのビデオ信号に変換するブロック)1049、メモリカードコントローラブロック(撮影画像データを記録するメモリカードの制御を行うブロック)10410を有している。これらの各ブロックは相互にバスラインで接続されている。
【0022】
また、プロセッサ104の外部にはRAW-RGB画像データ(ホワイトバランス設定、γ設定が行われた状態の画像データ)、YUV画像データ(輝度データ、色差データ変換が行われた状態の画像データ)、JPEG画像データ(JPEG圧縮された状態の画像データ)を保存するSDRAM103が配置され、このSDRAM103はプロセッサ104にメモリコントローラ(図示せず)、バスラインを介して接続されている。
【0023】
プロセッサ104の外部には、さらに、RAM107、内蔵メモリ(メモリカードスロットにメモリカードが装着されていない場合でも撮影画像データを記憶するためのメモリ)120、制御プログラム、パラメータなどが格納されたROM108が設けられ、これらもバスラインによってプロセッサ104に接続されている。
【0024】
ROM108に格納された制御プログラムは、デジタルカメラの電源スイッチSW13(図1参照)をオンすると、プロセッサ104のメインメモリ(図示せず)にロードされ、プロセッサ104は、その制御プログラムに従って各部の動作制御を行うとともに、制御データ、パラメータ等をRAM107等に一時的に保存させる。
【0025】
鏡胴ユニット7は、ズームレンズ71aを有するズーム光学系71、フォーカスレンズ72aを有するフォーカス光学系72、絞り73aを有する絞りユニット73、メカニカルシャッタ74aを有するメカニカルシャッタユニット74からなるレンズ鏡筒を備えている。
なお、ズームレンズ71a、フォーカスレンズ72aおよび絞り73aは撮影光学系を構成している。また、撮影光学系の光軸をZ軸とするとともに、このZ軸に直交する平面をX-Y平面とする。
【0026】
ズーム光学系71、フォーカス光学系72、絞りユニット73、メカニカルシャッタユニット74は、ズームモータ71b、フォーカスモータ72b、絞りモータ73b、メカニカルシャッタモータ74bによってそれぞれ駆動されるようになっている。
また、鏡胴ユニット7の各モータ71b〜74bは、モータドライバ75によって駆動され、このモータドライバ75は、プロセッサ104のCPUブロック1043によって制御される。
そして、鏡胴ユニット7の各光学系によりCCD101に被写体像が結像され、CCD101は被写体像を画像信号に変換してF/E-IC102に画像信号を出力する。
F/E-IC102は画像ノイズ除去用のため相関二重サンプリングを行うCDS1021、利得調整用のAGC1022、アナログデジタル変換を行うA/D変換部1023から構成されている。
すなわち、F/E-IC102はその画像信号に所定の処理を施し、アナログ画像信号をデジタル信号に変換してプロセッサ104の第1CCD信号処理ブロック1041に向けてこのデジタル信号を出力する。
【0027】
これらの信号制御処理は、プロセッサ104の第1CCD信号処理ブロック1041から出力されるVD(垂直同期)-HD(水平同期)信号によりTG1024を介して行われる。そのTG1024はそのVD-HD信号に基づき駆動タイミング信号を生成する。
【0028】
プロセッサ104のCPUブロック1043は、音声記録回路1151による音声記録動作を制御するようになっている。
音声記録回路1151はマイクロフォン(以下、マイクという)1153で変換された音声記録信号のマイクAMP(アンプリファイア)1152による増幅信号を指令に応じて記録する。
【0029】
CPUブロック1043は、音声再生回路1161の動作も制御する。
音声再生回路1161は、指令により適宜メモリに記憶されている音声信号を再生してオーディオAMP1162に出力し、スピーカ1163から音声を出力させるように構成されている。
CPUブロック1043は、さらに、ストロボ回路114を制御することによってストロボ発光部3から照明光を発光させる。これに加えて、CPUブロック1043は、測距ユニット5も制御する。
CPUブロック1043は、プロセッサ104のサブCPU109に接続され、サブCPU109はLCDドライバ111を介してサブLCD1による表示制御を行う。
サブCPU109は、さらに、AFLED8、ストロボLED9、リモートコントロール受光部6、各スイッチSW1〜SW14からなる操作キーユニット、ブザー113に接続されている。
【0030】
USBブロック1045は、USBコネクタ122に接続され、シリアルブロック1046はシリアルドライバ回路1231を介してRS-232Cコネクタ1232に接続されている。
TV信号表示ブロック1049は、LCDドライバ117を介してLCDモニタ1’に接続されると共に、ビデオAMP(TV信号表示ブロック1049から出力されたビデオ信号を75Ωインピーダンスに変換するためのAMP(アンプリファイア))118を介してビデオジャック(カメラをTVなどの外部表示機器に接続するためのジャック)119に接続されている。
メモリカードコントローラブロック10410は、メモリカードスロット121のカード接点に接続されている。
【0031】
LCDドライバ117は、LCDモニタ1’を駆動するとともに、TV信号表示ブロック1049から出力されたビデオ信号をLCDモニタ1’に表示させる信号に変換する役割を果たす。
LCDモニタ1’は、撮影前の被写体の状態監視するため、撮影画像を確認するため、メモリカードまたは内蔵メモリ120に記録された画像データを表示するために用いられる。
【0032】
デジタルカメラ本体100には、鏡胴ユニット7の一部を構成する固定筒10(図6参照)が設けられている。
この固定筒10には、図2に示すCCDステージ(可動部)1251がX-Y方向に移動可能に設けられている。光学系に含まれるCCD101は、手ぶれ補正機構の一部を構成するCCDステージ1251に搭載されている。この固定筒10およびCCDステージ1251の詳細な構造については後述する。
【0033】
CCDステージ1251は、駆動手段としてのアクチュエータ1255によって駆動され、アクチュエータ1255はドライバ1254によって駆動制御される。このドライバ1254は、コイルドライブ第1MDとコイルドライブ第2MDとから構成されている。
さらに、ドライバ1254は、AD(アナログデジタル)変換器IC1256に接続され、このA/D変換器IC1256は、CPUブロック1043により制御される。
【0034】
後述する固定筒10には、手ぶれ補正スイッチSW14がオフ、電源スイッチSW13がオフのときには、CCDステージ1251を中央位置(原点位置)に強制保持する保持機構1263が設けられている。
この保持機構1263は、アクチュエータとしてのステッピングモータSTMにより制御され、そのステッピングモータSTMは、ドライバ1261によって駆動される。このドライバ1261は、CPUブロック1043により駆動を制御される。
【0035】
CCDステージ1251には、位置検出素子1252が取り付けられている。
この位置検出素子1252の検出出力は、アンプ1253に入力され、増幅されてA/D変換器10411に入力される。
また、デジタルカメラ本体100には、ジャイロセンサ1241がピッチ(Pitch)方向とヨー(Yaw)方向との回転を検出可能に設けられ、ジャイロセンサ1241の検出出力はローパスフィルタ兼用のLPF-アンプ1242を介してA/D変換器10411に入力される。
さらに、デジタルカメラ本体100には、このデジタルカメラ本体100に作用する加速度を検出する動き検出手段としての加速度センサ130が搭載され、その検出出力が、A/D変換器10411に入力される。
【0036】
デジタルカメラは、図3に示す、「モニタリング処理」ブロックと「再生処理」ブロックの少なくとも2つのモードを有し、これら2つのモードを遷移する。
「モニタリング処理」ブロックの内部ではメニュー呼び出しを行うことができ、各種設定を変更することができる。
また、「再生処理」ブロックの内部では、撮影画像をLCDモニタ1’に表示させることができる。
【0037】
すなわち、図3のフローチャートに示すように、モードダイヤルスイッチSW2が撮影モードに設定されたか否か判断され(S1)、撮影モードに設定された場合(ステップS1のYes)、モニタリング処理が実行される(S2)。
モニタリング処理実行後、撮影命令が入力されたか否か判断され(S3)、入力された場合(ステップS2のYes)は撮影処理が実行され(S4)、その後、ステップS2に戻る。
撮影命令が入力されない場合(ステップS2のNo)は後述するステップS8に進む。
【0038】
また、ステップS1において、モードダイヤルスイッチSW2が撮影モードに設定されていない場合(ステップS1のNo)、さらにモードダイヤルスイッチSW2が再生モードに設定されたか否か判断される(S5)。
そして、再生モードに設定された場合(ステップS5のYes)、撮影画像をLCDモニタ1’に表示させる再生処理が実行され(S6)、再生モードに設定されていない場合(ステップS5のNo)、撮影・再生以外の処理が実行される(S7)。
【0039】
ステップS3,S6,S7の後、電源スイッチSW13が押下されたか否か判断され(S8)、押下された場合(ステップS8のYes)は処理を終了し、押下されていない場合(ステップS8のNo)はステップS1に戻り、処理が継続される。
【0040】
前述の図2に示したプロセッサ104は、タイマ機能を有している。
図4はタイマ機能の動作を示しており、フリーランタイマについてのフローチャートである。
セットした秒数がカウントダウンされ秒数がゼロになることを契機に割り込みを発生させる。なお、カウントダウン中の秒数はレジスタで参照することができる。
タイマにカウントするX秒をセットして(S11)、カウントをスタートし(S12)、設定したX秒後に所定の割り込み処理を実行する(S13)。
【0041】
フリーランタイマによる処理はリセット命令の確認を行い(S14)、リセット命令のないとき(ステップS14のNo)、ステップS11に戻り、リセット命令のあるとき(ステップS14のYes)、カウントダウンの処理を終了する。
つまり、フリーランタイマは、リセット命令を実行しない限りX秒間隔の割り込みを繰り返し実行しつづける。
【0042】
図5は、CCD101をスライドさせて手ぶれ補正を行う原理を示している。
撮像面(CCD面)がP1の位置にあるとき、被写体の像はOに投影される。
しかし、手ぶれにより、デジタルカメラがθx,θyだけ回転した場合、撮像面は点線で示すP2の位置に移動して、被写体が写る場所がO’に移動する。
そこで、撮像面がP1になるようにCCD101をdx,dyだけ平行移動してやることにより、被写体の撮像面上での投影位置を元の位置に戻すことができる。
【0043】
次に、手ぶれ補正機構の構成について図6〜図8を参照しながら説明する。
図6〜図8は複数のレンズが収納される固定筒10を示しており、図6は正面図、図7は図6のA-A’線に沿った縦断面図、図8((a)および(b))は背面図である。
図6および図7に示すように、固定筒10は箱形形状を呈し、その内側がレンズ鏡筒受入用の収納空間とされている。
固定筒10の背面には、全体的に略矩形状を呈する図7に示す板状のベース部材11が取り付けられている。
その固定筒10の内周壁には、ここではレンズ鏡筒を繰り出し・繰り入れるためのヘリコイド12が形成されている。
固定筒10は、図6に示すように少なくとも2つの角部が切り欠かれ、一方の角部10aは後述するステッピングモータSTMの取り付け部とされ、他方の角部10bは後述するフレキシブルプリント基板20の折り曲げ箇所とされている。
【0044】
図2に示すCCDステージ1251は、図7に示すベース部材11に設けられている。
CCDステージ1251は、図9に分解して示すように環枠形状のX方向ステージ13と、矩形状のY方向ステージ14と、載置ステージ15とから大略構成されている。
【0045】
X方向ステージ13はベース部材11に固定されている。
このX方向ステージ13には、X方向に延びる一対のガイド軸13a,13bがY方向に間隔を開けて設けられている。
X方向ステージ13には、直方体形状の4個の永久磁石16a〜16dが配置されている。これら4個の永久磁石16a〜16dは、2個一対とされ、一対の永久磁石16a,16bは、X-Y平面内でY方向に間隔を開けて平行に配置されている。
本実施例では、一対のガイド軸13a,13bが、一対の永久磁石16a,16bを貫通する構成とされているが、これに限るものではなく一対のガイド軸13a,13bに併設して設けられていても良い。
一対の永久磁石16c,16dは、X-Y平面内でX方向に間隔を開けて平行に配置されている。
【0046】
Y方向ステージ14は、Y方向に延びる一対のガイド軸14c,14dがX方向に間隔を開けて設けられている。
そのY方向ステージ14には、X方向に間隔を開けて対向する2個一対の被支承部17a,17a’,17b,17b’がY方向に間隔を開けて形成されている。
各一対の被支承部(17a,17a’),(17b,17b’)は、X方向ステージ13の一対のガイド軸13a,13bにそれぞれ可動可能に支承され、これによりY方向ステージ14がX方向に可動可能とされている。
【0047】
CCD101は、載置ステージ15に固定されている。
載置ステージ15は、X方向に張り出した一対のコイル取付板部15c,15dと、Y方向に張り出した一対のコイル取付板部15a,15bとを有する。
CCD101は、その載置ステージ15の中央に固定されている。
載置ステージ15には、CCD101の撮像面と同じ側にY方向に間隔を開けて対向する2個一対の被支承部(符号を略す)がX方向に間隔を開けて形成され、各一対の被支承部はY方向ステージ14の一対のガイド軸14c,14dに可動可能に支承され、これにより載置ステージ15は全体としてX-Y方向に可動可能とされている。
【0048】
CCD101には、撮像面と反対側の面に保護板19が貼り付けられている。保護板19にはその中央にテーパ形状の凹所19aが形成されている。この凹所19aの機能については後述する。
【0049】
一対のコイル取付板部15c,15dには、それぞれ偏平かつ渦巻き状のアクチュエータ1255としてのコイル体COL1,COL1’が貼り付けられている。これらコイル体COL1,COL1’は、直列接続されている。
また、一対のコイル取付板部15a,15bにおいても、それぞれ偏平かつ渦巻き状のアクチュエータ1255としてのコイル体COL2,COL2’が貼り付けられている。これらのコイル体COL2,COL2’も、同様に直列接続されている。
【0050】
各コイル体COL1,COL1’は、それぞれ各永久磁石16c,16dに臨まされている。
各コイル体COL2,COL2’は、それぞれ永久磁石16a,16bに臨まされている。
一対のコイル体COL1,COL1’は、X方向にCCD101を可動させるのに用いられ、一対のコイル体COL2,COL2’はY方向にCCD101を可動させるのに用いられる。
【0051】
また、コイル体COL1,COL1’には、図8(a)に示すように、各コイル体COL1,COL1’をX方向に横断する方向に磁性材料からなる吸着棒35(鉄製の棒)が設けられ、この吸着棒35を取り付けることで、磁力により磁石(の着いたステージ)と棒(の着いたステージ)を引きつけて、ガタを抑えている。
【0052】
図9に戻り、一対のコイル取付板部15c,15dの一方のコイル取付板部15dに位置検出素子1252としてのホール素子1252aが設けられ、同様に一対のコイル取付板部15a,15bの一方のコイル取付板部15bにホール素子1252bが設けられている。
【0053】
なお、CCD101は、図10に示すフレキシブルプリント基板20を介して、図2に示すF/E-IC102に電気的に接続され、位置検出素子1252としての各ホール素子1252a,1252bは、フレキシブルプリント基板20を介してアンプ(オペレーションアンプ)1253に電気的に接続され、アクチュエータ1255としての各コイル体COL1,COL1’,COL2,COL2’は、ドライバ1254(図2参照)に電気的に接続されている。
【0054】
図2に示す保持機構1263は、図8(b)のB-B’線に沿った縦断面を示す図10と、図11(a)および(b)に拡大して示すように、ステッピングモータSTMを有する。このステッピングモータSTMの駆動制御については後述することにし、保持機構1263のメカニカルな構成を先に詳細に説明する。
【0055】
ステッピングモータSTMは、図6に示すように、固定筒10の角部10aに設けられている。そして、図11に示すように、そのステッピングモータSTMの出力軸20Aには出力ギヤ21が設けられている。
【0056】
また、固定筒10の角部10a(図6参照)には、回転運動を直線運動に変換する図10に示す変換機構22が設けられている。
変換機構22は、回転伝達ギヤ23、往復動シャフト24、付勢コイルスプリング25、強制押さえ板26およびバネ受け部材27とから大略構成されている。
固定筒10の角部10a(図6参照)にはZ軸方向に間隔を開けて一対の支承部28,29が形成されている。この支承部28は、モータ取付板から構成されている。
往復動シャフト24は、支承部29とモータ取付板28との間に掛け渡されて支承されている。
回転伝達ギヤ23は、一対の支承部28,29の間に位置しており、往復動シャフト24に回転可能に支承されるとともに、出力ギヤ21に噛合されている。
【0057】
往復動シャフト24の一端側の部分は、支承部29を貫通してベース部材11の背面側に臨んでいる。
付勢コイルスプリング25は、バネ受け部材27と支承部29との間に設けられ、往復動シャフト24はその付勢コイルスプリング25により支承部28に向けて付勢されている。
往復動シャフト24には、回転伝達ギヤ23の軸穴端面と係合する段差部24aが形成されている。
【0058】
回転伝達ギヤ23には、図12(a)〜(e)に示すように、その一方の端面部にカム溝31が形成されている。
このカム溝31は、回転伝達ギヤ23の周回り方向に延び、谷底平坦部31a、頂上平坦部31b、および谷底平坦部31aから頂上平坦部31bに向かって連続的に傾斜する傾斜面部31cから構成されている。
その谷底平坦部31aと頂上平坦部31bとの間は、後述するカムピン32が回転方向から衝合する衝合壁としての絶壁31dとなっている。
【0059】
支承部28(図10参照)には、カムピン32が固定され、そのカムピン32の先端はカム溝31に摺接されている。
【0060】
絶壁31dから傾斜面部31cの傾斜開始位置31eまでの谷底平坦部31aの回転方向の長さは、ステッピングモータSTMの回転制御信号に換算して2パルス分に相当する。
傾斜面部31cの傾斜開始位置31eから頂上平坦部31bに通じる傾斜終端位置31fまでの傾斜面部31cの回転方向長さは、ステッピングモータSTMの回転制御信号に換算して30パルス分に相当する。
傾斜終端位置31fから絶壁31dまでの間の頂上平坦部31bの回転方向長さは、ステッピングモータSTMの回転制御信号に換算して3パルス分に相当し、ステッピングモータSTMの35パルス分が回転伝達ギヤ23の1回転に対応し、回転伝達ギヤ23の1回転により往復動シャフト24がZ軸方向に1往復される。
【0061】
図11に示すように、強制押さえ板26は、ベース部材11の背面側に設けられている。
強制押さえ板26は、図10および図11(a)に示すように、CCD101の中心に向かって長く延びる構成とされ、その強制押さえ板26の基端部26aは往復動シャフト24の一端部に固定されている。
その強制押さえ板26の自由端部26bには、テーパ形状の押さえピン33が固定されている。
強制押さえ板26の延びる方向途中には、ガイド軸26cが突出形成されている。
【0062】
図8(a)および(b)に示すベース部材11には、位置決め突起11a,11b、コイル取り付け突起11c、および係合突起11dが形成されている。
コイル取り付け突起11cには、ネジリコイルバネ34の巻回部34aが取り付けられ、ネジリコイルバネ34の一端部34bは係合突起11dに係合され、ネジリコイルバネ34の他端部34cはガイド軸26cに係合されている。
ベース部材11には、ガイド軸26cをガイドするガイド穴(図示を略す)が形成されている。
【0063】
強制押さえ板26は、そのネジリコイルバネ34によって位置決め突起11aに当接されつつ、往復動シャフト24の往復動に伴ってベース部材11に対して離反接近する方向(Z軸方向)に往復動される。
ガイド軸26cは、強制押さえ板26の往復動を安定した姿勢で行わせる役割を果たす。
【0064】
押さえピン33は、凹所19aと嵌合することにより、載置ステージ15(図9参照)を機械的に原点位置に保持させる役割を果たし、図13(a)に拡大して示すように、押さえピン33の周壁33aと保護板19の凹所周壁19bとが密接に嵌合した状態が、カムピン32のホールド待機位置(図12(d)参照)に相当し、図13(b)に拡大して示すように押さえピン33の周壁33aと保護板19の凹所周壁19bとが最大離間した状態が、カムピン32のレリーズ待機位置(図12(e)参照)に対応し、カムピン32のホールド待機位置は載置ステージ15の強制原点位置でもある。
【0065】
なお、本実施例においては、CCDステージ1251は可動手段を、SDRAM103は第1および第2の記憶手段を、プロセッサ104は更新手段をそれぞれ構成している。
また、強制押さえ板26、押さえピン33および凹所19a等は、保持手段を構成している。
【0066】
次に、CCD101の移動目標地点は、図2に示すジャイロセンサ1241からの入力を基に決定される。
ジャイロセンサ1241は、デジタルカメラのPitch(ピッチ)方向の回転、およびYaw(ヨー)方向の回転を捉えるように配置されている。
A/D変換器10411は、ジャイロセンサ1241からの出力をT[s]間隔で取り込んでAD変換する。
【0067】
ここで、
ωyaw(t):Yaw方向の瞬間角速度
ωpitch(t):Pitch方向の瞬間角速度
θyaw(t):Yaw方向の変化角度
θpitch(t):Pitch方向の変化角度
Dyaw(t):Yaw方向の回転に対応して移動する像移動量
Dpitch(t):Pitch方向の回転に対応して移動する像移動量とすると、
Yaw方向の瞬間角速度ωyaw(t)は、下記式(a)により求められる。
ωyaw(t)= C *(ADyaw - Offsetyaw)ωpitch(t)= C *(ADpitch- Offsetpitch)・・(a)
なお、Offsetyaw, Offsetpitchはそれぞれ静止時のyaw、pitchの出力である。
【0068】
また、Yaw方向の変化角度は下記(1)式で求められる。
θyaw(t)=Σωyaw(i)×T(iは0からtまで)・・・・(1)
また、Pitch方向の変化角度は下記(2)式で求められる。
θpitch(t)=Σωpitch(i)×T(iは0からtまで)・・(2)
一方、ズームポイントzp、フォーカスポイントfpから焦点距離fが決定される。
また、Yaw方向の回転に対応して移動する像移動量は下記(3)式で求められる。
Dyaw(t)=f×tan(θyaw(t))・・・・・・・(3)
また、Pitch方向の回転に対応して移動する像移動量は下記(4)式で求められる。
Dpitch(t)=f×tan(θpitch(t))・・・・・(4)
上記(3)式および(4)式で求めた結果がCCD101の移動すべき量になる。
図14は焦点距離によるCCD移動量を示し、また、図15および(表1)はぶれ角とCCD補正移動量との関係を示している。
【表1】
【0069】
図16は、CCD101を動かすためのサーボ制御の制御周期を示すタイミングチャートである。
本実施例では、周期T=0.00025[s]毎に図17に示すフローチャートが実行される。
すなわち、ステップS21にて、上述のYaw(ヨー)方向の角速度ωyaw(t)に基づいてYaw方向の変化角度θyaw(t)を求め、上記式(3)に基づいて得られたYaw方向の回転に対応して移動する像移動量Dyaw(t)から、CCD101のYaw(ヨー)方向の目標値をセットしてステップS21に進む。
【0070】
また、ステップS22では、上述のPitch方向の瞬間角速度ωpitch(t)に基づいてPitch方向の変化角度θpitch(t)を求め、上記式(4)に基づいて得られたPitch方向の回転に対応して移動する像移動量Dpitch(t)から、CCD101のPitch(ピッチ)方向の目標値をセットし、ステップS23に進み、サーボ制御を実行する。
その結果、CCD101は、目標位置に対して図18に示すように動くことになる。
図17のフローチャートを処理するために要する時間は、0.0001[s]に設定されている(図16参照)。
【0071】
次に、本実施例において実施するサーボ制御について説明する。
図19はCPUブロック1043において、サーボ制御を実行する部分を示すブロック図であり、制御器1043aおよびループゲイン1403bとを備え、A/D変換器IC1256およびドライバ1254を含む制御出力を介し、制御対象であるアクチュエータ1255(COL1,COL1’,COL2,COL2’)を駆動する。
【0072】
次に、デジタルカメラの動作について、説明する。
まず、静止画撮影時の動作を、図20のフローチャートに基づいて説明する。
この図20に示す処理は、電源スイッチSW13および手ぶれ補正スイッチSW14の操作によりスタートし、この起動時には、CCD101を固定している保持機構1263(強制押さえ板26先端の押さえピン33が保護板19の凹所19aから外れて、載置ステージ15を保持する機構)による保持を解除し、サーボ制御を開始する(ステップS31)。
【0073】
このサーボ制御の開始時である非露光時において、まず、アクチュエータ1255の駆動力の上限値を、露光時の50%に制約するゲイン設定を行う(ステップS32)。
次に、50msに一回のタイミングで出力される加速度センサ130の出力に基づいてデジタルカメラに作用している加速度Gを演算する(ステップS33)。
この加速度Gを求めるのにあたり、本実施例では、下記式(5)の演算を行う。
G=(Gx2+Gy2+Gz2)1/2 ・・・(5)
ここで、Gxは、X軸方向に作用する重力加速度を含む加速度であり、Gyは、Y軸方向に作用する加速度であり、GzはZ軸方向に作用する加速度である。
【0074】
そして、加速度Gが設定値(本実施例では1.5G)以上であるか否か判定し(ステップS34)、設定値以上の場合は、図21に示すあらかじめ設定された駆動力特性に基づいて、加速度の大きさに応じて駆動力の上限値を低下させる(ステップS35)。
一方、加速度Gが設定値未満の場合は、駆動力の上限値をステップS32で設定した50%に維持する。なお、図21に示すように、駆動力上限値は、露光時には100%に設定するが、非露光時であるモニタリング時には、デジタルカメラ本体100に作用している加速度に応じ、設定値である1.5G未満では50%に設定し、一方、1.5G以上となると、加速度Gの大きさに反比例し加速度Gが大きくなるほど上限値を50%よりも低下させる設定としている。
【0075】
次に、レリーズ1であるか否かを判定し(ステップS36)、レリーズ1であれば駆動力の上限値を露光時の特性である100%に設定し(ステップS37)、レリーズ1でない場合は、ステップS32からの処理を繰り返す。
ここで、レリーズ1について説明を加える。
レリーズスイッチSW1は、2段押下スイッチであり、このレリーズスイッチSW1を押し下げた場合、1段目の半押しの状態を示す信号と、2段目の完全押し状態を示す信号とが出力される。そこで、前者の半押し状態をレリーズ1と称し、後者の2段目の完全押し状態をレリーズ2と称する。
【0076】
レリーズ1に入って駆動力の上限値を100%に設定した後は、レリーズスイッチSW1が半押しのレリーズ1(RL1)の状態からオフされたか否か判断し(ステップS38)、オフされていなければステップS39へ進み、オフされていればS41へ進んでサーボ制御を停止する。
【0077】
レリーズ1の状態が維持された場合、次に、レリーズ2がオンされたか否か判断され(ステップS39)、オンされた場合はステップS40へ進み、オンされていない場合はS38へ戻る。
【0078】
レリーズ2がオンされた場合、手ぶれ補正および撮影を実行し(ステップS40)、その後、アクチュエータ1255の駆動力の上限値が50%に制限され(ステップS41)、その後、サーボ制御が停止される(ステップS42)。
なお、撮影時には、SDRAM103に記憶された位置データに基づいて、CCDステージ1251の移動が制御される。つまり、SDRAM103に記憶された位置データを、CCDステージ1251の動作基準位置として用いて、CCDステージ1251の移動が制御される。
また、サーボ制御停止後は、次の制御タイミングにおいて、ステップS31からの処理が繰り返され、サーボ制御が開始されて駆動力の上限値が50%に制約される。
また、レリーズ1状態およびレリーズ2状態の処理は、サブCPU109を経由してCPUブロック1043が制御する。
【0079】
次に、実施例の作用を説明する。
(撮影前)
撮影を行う前において、電源スイッチSW13および手ぶれ補正スイッチSW14を操作すると、サーボ制御が実行されて、CCD101のセンタリングが行われる。
このとき、アクチュエータ1255の駆動力の上限値が50%に制限される。
したがって、手にデジタルカメラを持って腕を振って歩行しデジタルカメラ本体100に遠心力が発生している場面では、アクチュエータ1255の駆動力の上限値が50%以下に落ち、センタリング性能は落ちるが電力消費が抑えられる。このように、デジタルカメラを手に持って腕を振っている場合には、ユーザは、表示画面を確認することが難しいため、デジタルカメラ本体100に作用する加速度が大きいほどセンタリング性能を低下させても、ユーザが不快感をおぼえることは生じないかまたは少ない。
【0080】
次に、構図合わせ時について説明する。
この構図合わせ時において横にデジタルカメラを動かす場合、動かし始めと動かし終わりのタイミングでは、デジタルカメラ本体100に作用する加速度が大きくなるため、駆動力の上限値は、加速度の大きさに応じて50%以下に制御される。したがって、センタング性能は落ちるが、電力消費が抑えられる。
一方、構図合わせ時において横にデジタルカメラを動かす場合、動かし始めと動かし終わりとの間の動かしている最中は、ほぼ等速運度であるため、駆動力の上限値は50%に制限される。この場合、動かし始めや動かし終わりと比較して、センタリング性能を確保する。
【0081】
また、構図合わせ時において、デジタルカメラの移動方向が重力の作用方向である下方である場合は、上記式(5)においてGX2の値が重力と相殺されるため、算出される加速度Gの値が小さくなる。このため、デジタルカメラの移動方向が下方以外の方向に動いた場合と比較して、同じ加速度で動かしたとしても、算出される加速度Gが小さくなり、図21に示す特性に基づいて決定される駆動力の上限値の低下が抑えられる。
すなわち、デジタルカメラを下方に移動させた場合、CCD101を移動させる必要な駆動力が小さくて済みその分消費電力も抑えることが可能な状況であるため、センタリング性能を落として電力消費を抑える必要がない。
【0082】
(撮影時)
撮影時、レリーズスイッチSW1を押した場合、レリーズ1となった時点で、アクチュエータ1255の駆動力の上限値が100%に設定される。
したがって、レリーズ1としてデジタルカメラを動かす場合には、アクチュエータ1255の駆動力の上限値を低下させていないので、センタリング性能を確保できる。
【0083】
以上説明したように、実施例では、非露光時であって撮影前のレリーズ1およびレリーズ2以外の状況では、アクチュエータ1255の駆動力の上限値を50%以下に低下させるようにしたために、消費電力を抑えることができる。このような非レリーズ状態では、ユーザは、露光時と比較して位置制御の必要性が低いので、センタリング性能が低下しても、省電力を優先する。
一方、レリーズ1時およびレリーズ2時には、駆動力の上限値を100%とすることによりセンタリング性能を確保できる。また、レリーズ2として、撮影を行った後には、駆動力の上限値を50%に戻すことにより、きめの細かい省電力化を図ることができる。
さらに、デジタルカメラ本体100に作用する加速度が、設定値である1.5Gを越えた場合には、デジタルカメラ本体100に作用する加速度が大きいほどアクチュエータ1255の駆動力の上限値を低く抑えるようにした。これは、デジタルカメラ本体100に作用する加速度が大きくなるほど、ユーザが表示画面を確認することが難しくなるため、センタリング性能をさらに低下させてもユーザに違和感を与える可能性は低く、いっそうの消費電力の抑制を図ることが可能である。
【0084】
加えて、デジタルカメラ本体100に作用する加速度方向が重力と相殺される方向である場合は、アクチュエータ1255の駆動力の上限値を抑えないようにした。すなわち、デジタルカメラを下方に移動させた場合、CCD101を移動させるのに大きな駆動力が不要であり、消費電力も抑制される。よって、このように必要な消費電力が低い状況では、センタリング性能を落とさないようにして、ユーザに違和感を与えないようにできる。
【0085】
そして、実施例では、動き検出手段として、加速度センサ130を用いた。これにより、構図合わせ時に、横にデジタルカメラを等速で動かした場合でも、動かし始めと動かし終わりのセンタリング機能が重要でない状態を検出し、駆動力の上限値を50%よりもさらに低い値に制御して、電力消費を抑えることができる。一方、横にデジタルカメラを動かす場合において、動かしている最中のように、ほぼ等速運度で移動させている場合は、駆動力の上限値を50%に制限して、省電力化を図りつつ、ある程度のセンタリング機能を確保できる。このような、デジタルカメラの動きと、省電力化とセンタリング性能とを高いレベルで両立することが可能となる。
【実施例2】
【0086】
次に、本発明の実施例2の撮像装置としてのデジタルスチルカメラについて説明する。なお、この実施例2は、実施例1の一部を変更したもので、実施例1と共通する構成については説明を省略する。
【0087】
この実施例2は、サーボ制御時に可動部としてのCCDステージ1251の実位置と目標位置との差であるエラー量を低下させるよう駆動力を決定するフィードバック制御において、エラー量の上限値および下限値を設定する制御を追加した例である。
【0088】
以下、この追加の制御について詳細に説明する。
前述したように、実施例のデジタルスチルカメラでは、サーボ制御の実行時に、可動部としてのCCDステージ1251は、制御上の目標位置に収束するよう図18に示すように位置を制御される。
【0089】
このCCDステージ1251の位置を制御するのにあたり、制御手段としてのプロセッサ104のCPUブロック1043は、図22に示すように、アクチュエータ1255への制御出力を制御器1043aにフィードバックさせている。すなわち、CPUブロック1043は、位置検出素子1252が検出するCCDステージ1251の実位置(実位置値(+))と目標位置(目標値(−))との差であるエラー量を低下させるようCCDステージ1251を移動させるフィードバック制御を実行している。なお、このフィードバック制御として、本実施例では、PID(Proportional Integral Differential)制御を実行している。
【0090】
そして、上下限飽和部(上下限設定部)221では、フィードバック制御において、目標値と実位置値との差であるエラー量が、上限値あるいは下限値を超えた場合、エラー量を上限値あるいは下限値に置き換える処理が行われる。
【0091】
さらに、上下限飽和部221は、エラー量の上限値および下限値を、露光時と非露光時とで変更する処理を行っている。すなわち、上下限飽和部221は、フィードバック制御開始後(サーボ制御の開始直前)、非露光時は、エラー量の上限値および下限値として、図23に示すように、両者間の上下幅を狭く制限した制限上限値および制限下限値を用いる。一方、上下限飽和部221は、露光時には、エラー量の上限値および下限値として、非露光時よりも両者の幅を拡げた通常上限値および通常下限値を用いる。
ここで、実施例2では、通常上限値および通常下限値は、A/D変換器IC1256の分解能と同じ(1/1)に設定しており、図18に示した目標値上限値および目標値下限値と同程度の値に設定されている。
一方、制限上限値および制限下限値は、A/D変換器IC1256の分解能の(1/10に設定されている。
【0092】
次に、図24のフローチャートにより、上下限飽和部221におけるエラー量の上限値および下限値の可変制御について説明する。なお、このフローチャートでは、実施例1と同じ処理を行うステップには、実施例1と同じ符号を付けて説明を省略し、実施例1と異なる処理を行うステップのみを説明する。
【0093】
まず、サーボ制御を開始する前のステップS201では、エラー量の上限値および下限値を、制限上限値および制限下限値に設定する。
また、ステップS39においてレリーズ2が押されて進むステップS202では、エラー量の上限値および下限値を、通常上限値および通常下限値に設定する。
【0094】
次に、実施例2の作用を説明する。
(サーボ制御開始時)
実施例2では、サー制御開始の直前に、エラー量の上限値および下限値を、制限上限値および制限下限値(A/D変換器IC1256の分解能の1/10)に設定する。
【0095】
このサーボ制御開始時点の動作を図23、図24、図25により説明する。
サーボ制御開始時点で、図23の実線で示すように実位置が変化した場合に、エラー量の上下限値として従来と同等の値である通常上限値および通常下限値を用いたときには、エラー量は、そのまま使用される。この場合、図26に示すように、センタリング動作が急になり、センタリングの開始時に、カメラ内でCCDステージ1251が可動幅の端から中心へ勢いよく移動することで、衝撃が手に伝わったり、駆動音が発生したりするおそれがある。
【0096】
それに対し、本実施例2では、サーボ制御開始時点で、エラー量の上下限値として制限上限値および制限下限値を用いるため、図23に示すように、実位置が制限上下限値を超えた時点で、エラー量は制限上限値および制限下限値に置き換えられる。
この場合、エラー量が、制限上下限値に制限されるため、図25に示すように、図26に示した例よりもセンタリング動作が緩やかになる。その結果、サーボ制御開始時に、手に衝撃が伝わったり、駆動音が発生したりすることを軽減できる。
【0097】
(撮影時)
撮影に伴いレリーズ2がオンされると、露光前の時点で、エラー量の上限値および下限値を、通常上限値および通常上限値(A/D変換器IC1256の分解能と同じ)に設定し、その後、手ぶれ補正および撮影が実行される。
したがって、撮影時の手ぶれ補正などの制御応答性は、従来と同等に確保できる。
【0098】
以上のように、実施例2では、実施例1で示した駆動力の上限を制限するのに加え、フィードバック制御におけるエラー量の上下限値を制限することにより、サーボ制御開始時に、手に衝撃が伝わったり、駆動音が発生したりすることを軽減することができる。
また、露光時には、エラー量の上限値および下限値として通常上限値および通常下限値を用いることで、制御応答性を確保することができる。
【実施例3】
【0099】
次に、本発明の実施例3の撮像装置としてのデジタルスチルカメラについて説明する。なお、この実施例3は、実施例2の変更例であり、実施例1および実施例2と共通する構成については説明を省略する。
【0100】
実施例3では、実施例2と比較して、駆動力上限の制御を省略したもので、それに伴い図27に示すようにループゲイン1043bを省略している。よって、実施例3では、図28のフローチャートに示すように、実施例1で実施した駆動力上限の制御に必要なステップS32〜S35、S37、S41を省略している。
【0101】
したがって、実施例3では、サーボ制御の実行直前に、エラー量の上限値および下限値を制限上限値および制限下限値に設定し、レリーズ2が押されるとエラー量の上限値および下限値を通常上限値および通常下限値に設定する。
【0102】
よって、実施例3にあっても、実施例2と同様に、非露光時には、センタリング動作が緩やかになり、サーボ制御開始時に、手に衝撃が伝わったり、駆動音が発生したりすることを軽減できる。また、露光時には、エラー量の上限値および下限値として通常上限値および通常下限値を用い、制御応答性を確保することができる。
【0103】
以上、本発明の実施の形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形および置換を加えることができる。
【0104】
例えば、実施例では、本発明の防振装置を、デジタルカメラに適用した例を示したが、その適用範囲は、デジタルカメラに限定されるものではなく、双眼鏡や望遠鏡、ビデオカメラなどにも適用可能である。
【0105】
また、動き検出手段として加速度センサ130を用いた例を示したが、これに限定されず、ジャイロセンサを用いることもできる。そして、ジャイロセンサで検出した角加速度が所定値以上である場合に、駆動力の上限値を下げるようにしてもよい。あるいは動き検出手段としては、例えば、速度センサを用い、速度が所定以上である場合に、駆動力の上限値を下げるようにしてもよい。
【0106】
また、光学系における可動部としてCCDステージ1251を示したが、これに限定されず、撮影光学系(ズームレンズ71a、フォーカスレンズ72aおよび絞り73a)をX−Y方向に移動させたり、CCDステージ1251と撮影光学系とを相対的にX−Y方向に移動させたりしてもよい。
【0107】
また、実施例2,3では、エラー量の制限上下限値をA/D変換器ICの分解能の1/10とし、通常上下限値をA/D変換器ICの分解能と同じに設定した例を示した。しかし、制限上下限値および通常上下限値は、非露光時に露光時と比較して、上下限値の幅を狭く設定していれば、所望の効果を得ることができる。よって、通常状下限値および制限上下限値の幅は、それぞれ、実施例で示したものに限定されず、任意に選択することができる。
【符号の説明】
【0108】
7 鏡胴ユニット(光学系)
71 ズーム光学系
72 フォーカス光学系
100 デジタルカメラ本体(本体)
101 CCD(光学系)
130 加速度センサ(動き検出手段)
221 上下限飽和部(上下限値設定部)
1043 CPUブロック(制御手段:フィードバック制御部)
1251 CCDステージ(可動部)
1252 位置検出素子(位置検出手段)
1255 アクチュエータ(駆動手段)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0109】
【特許文献1】特開2007−094320号公報
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮影時の手ぶれを補正するのに最適な防振装置およびこの防振装置を備えた撮像装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、スチルカメラやビデオカメラ等の撮像装置の自動化が進み、自動露出や自動焦点調節機構などを備えたものが広く実用化されており、これらの多機能化の一環として、装置全体の振れに起因する像振れを補正する振れ補正機能を実現する技術もいくつか実用化されている。
【0003】
このような撮像装置として、撮影光軸に直交する方向に移動自在な撮像素子と、撮像素子を撮影光軸に直交する方向に駆動する駆動部と、撮像素子の位置を検出する位置検出部と、該位置検出部の出力に基づいて、撮像素子が基準位置にあることを示す基準位置情報を記憶する記憶部とを備え、前記駆動部により撮像素子を駆動する際に、記憶部に記憶された基準位置情報に基づき、撮像素子の位置を検出する撮像装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
この撮像装置においては、手ぶれによる撮影装置の振れ量を検出し、その検出した振れ量により光電変換手段を有する基板を変位させているときに、当該基板の変位量を検出する一方、検出した変位量により振れ量を補正して当該基板を変位させて、振れ補正を行うよう構成されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の撮像装置では、撮影準備動作時に、常時センタリングしているため、消費電力が多くなるが、このようなCCDステージ駆動中の省電力制御については考慮されていない。
しかし、世の中には、起動直後から撮像素子あるいはレンズを駆動し続けるカメラも出回っており、補正機構のサーボ制御時の省電力は、電池寿命や、また発熱の観点から課題となっている。
【0006】
本発明の課題は、撮影準備駆動中の省電力を、位置制御に対する影響を抑えながら達成可能な防振装置および撮像装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために本発明は、本体に対して光学系を移動可能に支持された可動部と、この可動部を前記本体に対して移動させる駆動手段と、前記本体の動きを検出する動き検出手段と、前記動き検出手段が検出する動きがあらかじめ設定された以上の動きである場合に、前記駆動手段の駆動力の上限値を低下させる制御手段と、を備えていることを特徴とする防振装置とした。
【0008】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の防振装置において、前記動き検出手段は、前記本体に作用する加速度を検出する手段であり、前記制御手段は、検出する加速度があらかじめ設定された値以上の場合に、前記駆動力の上限値を、前記加速度が大きいほど低下させることを特徴とする防振装置とした。
また、請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の防振装置において、前記制御手段は、検出する前記加速度の方向が重力と相殺される方向である場合には、前記駆動力の上限値の低下量を抑制することを特徴とすることを特徴とする防振装置とした。
【0009】
また、請求項4に記載の発明は、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の防振装置を備えた撮像装置であって、前記制御手段は、前記駆動手段の駆動力の上限値を、非露光時には、露光時よりも低下させることを特徴とする撮像装置とした。
また、請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の撮像装置において、レリーズ処理を行うレリーズスイッチを備え、前記制御手段は、前記レリーズスイッチが押されていない場合は、前記上限値を露光時の半分に低下させるとともに、前記動き検出手段が検出する動きがあらかじめ設定された以上の動きである場合に前記上限値を露光時の半分よりもさらに低下させ、前記レリーズスイッチが半押しされた場合は、前記上限値を、前記露光時における上限値と同じに設定し、前記レリーズスイッチが全押しされて撮影が行われた後は、前記駆動手段の駆動力の上限値を、前記露光時の半分に低下させる撮像装置とした。
【0010】
さらに、請求項6に記載の発明は、本体に対して光学系を移動可能に支持された可動部と、この可動部を前記本体に対して移動させる駆動手段と、前記本体に対する前記可動部の位置を検出する位置検出手段と、前記可動部を制御上の目標位置に移動させるよう前記駆動手段を駆動させる制御手段と、前記制御手段に含まれ、前記位置検出手段が検出する前記可動部の実位置と前記目標位置との差であるエラー量に応じ、前記可動部を、前記エラー量が縮まるよう移動させるフィードバック制御を実行するフィードバック制御部と、前記フィードバック制御時に、前記エラー量に上限値および下限値を設定し、かつ、前記光学系の非露光時には、露光時と比較して前記エラー量の前記上限値と前記下限値との間の幅を狭く設定する上下限値設定部と、を備えていることを特徴とする撮像装置とした。
また、請求項7に記載の発明は、本体に対して光学系を移動可能に支持された可動部と、この可動部を前記本体に対して移動させる駆動手段と、前記可動部の位置を検出する位置検出手段と、前記可動部を制御上の目標位置に移動させるよう前記駆動手段を駆動させる制御手段と、を備えた撮像装置の制御方法であって、前記位置検出手段が検出する前記可動部の実位置と前記目標位置との差であるエラー量に応じ、前記可動部を、前記エラー量が縮まるよう移動させるフィードバック制御を実行し、前記フィードバック制御時に、前記エラー量に上限値および下限値を設定し、かつ、前記光学系の非露光時には、露光時と比較して前記エラー量の前記上限値と前記下限値との間の幅を狭く設定するようにしたことを特徴とする撮像装置の制御方法とした。
【発明の効果】
【0011】
本発明の防振装置によれば、例えば、撮像装置を手に持って大きく振るといったような光学系のセンタリングを行う必要のない状況などのように防振装置の本体の動きが大きい場合は、制御手段は、駆動手段の駆動力の上限値を低下させる。
したがって、駆動力の上限値を低下させない場合と比較して、省電力化を図ることができる。また、このように駆動力の上限値を低下させた場合、可動部の移動性能(防振性能)は低下するおそれがあるが、上述のように本体の動きが大きい場合には、可動部の移動性能(防振性能)の必要性も低い可能性が高く、位置制御性能に与える影響を抑えることができる。
また、請求項2に記載の発明では、動き検出手段が検出する加速度に応じ、加速度が所定値以上の場合は、加速度が大きいほど駆動力の上限値を低下させるようにした。
したがって、本体が移動している場合において、一定速度の移動の場合よりも、速度変化が大きい移動の場合の方が、駆動力の上限値を低く抑えて、より省電力化を図ることができる。また、このように速度変化が大きい場合の方が、一定速度の場合よりも、可動部の移動性能(防振性能)の必要性も低い可能性が高く、位置制御性能に与える影響を抑えることができる。
また、請求項3に記載の発明では、力の作用方向に本体を移動させた場合のように、検出される加速度の方向が重力と相殺される方向である場合、可動部を移動させるのに必要な駆動力も小さくて済み、その駆動に必要な消費電力も抑えられる。そこで、このように検出される加速度の方向が重力と相殺される方向である場合には、駆動力の上限の低下を抑制しても消費電力を低く抑えることが可能であるため、省電力化を図りつつ、位置制御性能を高く確保することができる。
【0012】
請求項4に記載の発明では、撮像装置において、非露光時に、駆動力の上限値を露光時よりも低下させるようにしたため、位置制御の必要性が露光時よりも劣る非露光時に、位置制御性能に与える影響を抑えながら省電力化を図ることができる。
請求項5に記載の発明は、レリーズスイッチが押されていない場合、レリーズスイッチが押された場合と比較して位置制御の必要性が低く、上限値を露光時の半分に低下させて省電力を図ることができる。また、動き検出手段が検出する動きがあらかじめ設定された以上の動きである場合、位置制御の必要性が低いため、上限値を露光時の半分よりもさらに低下させ、さらに省電力化を図ることができる。
一方、レリーズスイッチが半押しされた場合は、位置制御の必要性が高まるため、駆動力の上限値を、露光時における上限値と同じに設定し、省電力化よりも位置制御性能を優先させる。また、レリーズスイッチが全押しされて撮影が行われた後には、駆動力の上限値を、露光時の半分に低下させて、再び、省電力化を図る。
以上のようにして、位置制御性能に与える影響を抑えながらく、きめの細かい省電力化を図ることができる。
【0013】
本願請求項6および請求項7に記載の発明は、フィードバック制御におけるエラー量に上下限の制限を加え、非露光時には、露光時と比較して上限値と下限値との間の幅を狭く設定することにより、可動部の動作を緩やかにできる。この結果、サーボ制御開始時などの可動部の動作開始時に、手に衝撃が伝わったり、駆動音が発生したりすることを軽減できる。
一方、露光時には、非露光時と比較して、上下限値による制限を抑えることで応答性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は本発明に係る撮像装置の一つである実施例1のデジタルスチルカメラを示しており、(a)はその上面図、(b)は正面図、(c)は背面図である。
【図2】図2はデジタルカメラ内部のシステム構成の概要を示すブロック回路図である。
【図3】図3はデジタルカメラの2つのモードの動作概要を示すフローチャートである。
【図4】図4はタイマ機能の動作を示す図である。
【図5】図5は手ぶれ補正を行う原理を説明する図である。
【図6】図6はデジタルカメラのレンズ鏡胴の固定筒を示す正面図である。
【図7】図7は図6のA−A’線に沿った縦断面図である。
【図8】図8は固定筒を示しており、(a)はその背面図、(b)はフレキシブルプリント基板を除いた背面図である。
【図9】図9はCCDステージの分解斜視図である。
【図10】図10は図8(b)のB−B’線に沿った縦断面図である。
【図11】図11は強制保持機構の要部を示しており、(a)はCCDステージとステッピングモータと変換機構との連結関係を示す斜視図、(b)は変換機構の部分を拡大した斜視図である。
【図12】図12は回転伝達ギヤのカム溝を示しており、(a)は回転伝達ギヤの底面図、(b)は(a)のC−C’に沿った断面図、(c)はカムピンが傾斜面部を摺動して回転伝達ギヤを押し上げた状態を示す図、(d)はカムピンが頂上平坦部に当接し回転伝達ギヤが最も押し上げられた状態を示す図、(e)はカムピンが絶壁を通過し谷底平坦部に当接して回転伝達ギヤが最も押し下げられた状態を示す図である。
【図13】図13は押さえピンと凹所との嵌合状態を示しており、(a)は押さえピンと凹所周壁との密接状態を示す図、(b)は押さえピンと凹所周壁との離間状態を示す図である。
【図14】図14はレンズの焦点距離とずれ量との関係を示す図である。
【図15】図15はぶれ角とCCD補正移動量との関係を示す図である。
【図16】図16はCCDのサーボ制御の制御周期を示しており、制御周期が0.0001[s]のときのタイミングチャートである。
【図17】図17は手ぶれ補正処理のフローチャートである。
【図18】図18はCCDが目標位置に移動する様子を示す図である。
【図19】図19は駆動力の上限値を制御するシステム構成の概要を示すブロック回路図である。
【図20】図20はサーボ制御における駆動力の上限値制御の処理の流れを示すフローチャートである。
【図21】図21は加速度に対する駆動力上限値の特性を示す駆動力上限値特性図である。
【図22】図22は実施例2の撮像装置においてエラー量の上下限値を制御するシステム構成の概要を示すブロック回路図であるである。
【図23】図23はフィードバック制御におけるエラー量の上限値および下限値の説明図である。
【図24】図24は実施例2のフィードバック制御におけるエラー量の上限値および下限値の制御の処理の流れを示すフローチャートである。
【図25】図25は実施例2の作用を説明する図であり、サーボ制御開始時にエラー量の上限値および下限値として制限上限値および制限下限値を用いた場合のCCDステージの移動の様子を示す作用説明図である。
【図26】図26は実施例2の作用と比較するための図であり、サーボ制御開始時にエラー量の上限値および下限値として従来と同様の通常上限値および通常下限値を用いた場合のCCDステージの移動の様子を示す作用説明図である。
【図27】図27は実施例3の撮像装置においてエラー量の上下限値を制御するシステム構成の概要を示すブロック回路図である。
【図28】図28は実施例3のフィードバック制御におけるエラー量の上限値および下限値の制御の処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を実施するための形態について、添付図面を参照しながら実施例を挙げて説明する。
【実施例1】
【0016】
以下、本発明の実施例を図面に従って説明する。
図1は、本発明に係る防振装置を搭載した撮像装置の一つである実施例1のデジタルスチルカメラ(以下、デジタルカメラという)示しており、(a)はその上面図、(b)は正面図、(c)は背面図である。また、図2はデジタルカメラ内部のシステム構成の概要を示すブロック回路図である。
【0017】
このデジタルカメラは、撮影光軸を有した撮影光学系と、撮影光軸上に配置された撮像素子と、撮影光学系および撮像素子を前記撮影光軸に直交するX−Y方向に移動させる駆動部と、撮像素子で撮像した画像をモニタリング表示する表示部とを備え、駆動部により撮影光学系と撮像素子との少なくとも一方を移動させることにより手ぶれ補正を行う手ぶれ補正機能付きのデジタルカメラ(撮像装置)であり、以下に、その構成を詳細に説明する。
【0018】
図1(a)に示すように、デジタルカメラ本体100の上面には、レリーズスイッチ(レリーズシャッタ)SW1、モードダイヤルスイッチSW2、およびサブLCD(液晶ディスプレイ)1が配設されている。
【0019】
また、図1(b)に示すように、デジタルカメラ本体100の正面には、撮影レンズを含む鏡胴ユニット7、光学ファインダ4、ストロボ発光部3、測距ユニット5、リモートコントロール受光部6が設けられている。
【0020】
図1(c)に示すようにデジタルカメラ本体100の背面には、電源スイッチSW13、LCDモニタ1’、AFLED8、ストロボLED9、広角方向ズームスイッチSW3、望遠方向ズームスイッチSW4、セルフタイマの設定・削除するセルフタイマスイッチSW5、メニュースイッチSW6、上移動・ストロボセットスイッチSW7、右移動スイッチSW8、ディスプレイスイッチSW9、下移動・マクロスイッチSW10、左移動・画像確認スイッチSW11、OKスイッチSW12、手ぶれ補正スイッチSW14が設けられている。デジタルカメラ本体100の側面にはメモリカード/電池装填室の蓋2が設けられている。
【0021】
デジタルカメラの各部材の機能および作用は公知であるので、その説明は省略することにし、次にカメラの内部のシステム構成を図2に基づき図1を参照しながら説明する。
図2に示すように、デジタルスチルカメラプロセッサ(以下、プロセッサという)104は、A/D変換器10411、第1CCD信号処理ブロック1041、第2CCD信号処理ブロック1042、CPUブロック1043、ローカルSRAM1044、USBブロック1045、シリアルブロック1046、JPEG・CODECブロック(JPEG圧縮・伸長を行うブロック)1047、RESIZEブロック(画像データのサイズを補間処理により拡大・縮小するブロック)1048、TV信号表示ブロック(画像データを液晶モニタ・TVなどの外部表示機器に表示させるためのビデオ信号に変換するブロック)1049、メモリカードコントローラブロック(撮影画像データを記録するメモリカードの制御を行うブロック)10410を有している。これらの各ブロックは相互にバスラインで接続されている。
【0022】
また、プロセッサ104の外部にはRAW-RGB画像データ(ホワイトバランス設定、γ設定が行われた状態の画像データ)、YUV画像データ(輝度データ、色差データ変換が行われた状態の画像データ)、JPEG画像データ(JPEG圧縮された状態の画像データ)を保存するSDRAM103が配置され、このSDRAM103はプロセッサ104にメモリコントローラ(図示せず)、バスラインを介して接続されている。
【0023】
プロセッサ104の外部には、さらに、RAM107、内蔵メモリ(メモリカードスロットにメモリカードが装着されていない場合でも撮影画像データを記憶するためのメモリ)120、制御プログラム、パラメータなどが格納されたROM108が設けられ、これらもバスラインによってプロセッサ104に接続されている。
【0024】
ROM108に格納された制御プログラムは、デジタルカメラの電源スイッチSW13(図1参照)をオンすると、プロセッサ104のメインメモリ(図示せず)にロードされ、プロセッサ104は、その制御プログラムに従って各部の動作制御を行うとともに、制御データ、パラメータ等をRAM107等に一時的に保存させる。
【0025】
鏡胴ユニット7は、ズームレンズ71aを有するズーム光学系71、フォーカスレンズ72aを有するフォーカス光学系72、絞り73aを有する絞りユニット73、メカニカルシャッタ74aを有するメカニカルシャッタユニット74からなるレンズ鏡筒を備えている。
なお、ズームレンズ71a、フォーカスレンズ72aおよび絞り73aは撮影光学系を構成している。また、撮影光学系の光軸をZ軸とするとともに、このZ軸に直交する平面をX-Y平面とする。
【0026】
ズーム光学系71、フォーカス光学系72、絞りユニット73、メカニカルシャッタユニット74は、ズームモータ71b、フォーカスモータ72b、絞りモータ73b、メカニカルシャッタモータ74bによってそれぞれ駆動されるようになっている。
また、鏡胴ユニット7の各モータ71b〜74bは、モータドライバ75によって駆動され、このモータドライバ75は、プロセッサ104のCPUブロック1043によって制御される。
そして、鏡胴ユニット7の各光学系によりCCD101に被写体像が結像され、CCD101は被写体像を画像信号に変換してF/E-IC102に画像信号を出力する。
F/E-IC102は画像ノイズ除去用のため相関二重サンプリングを行うCDS1021、利得調整用のAGC1022、アナログデジタル変換を行うA/D変換部1023から構成されている。
すなわち、F/E-IC102はその画像信号に所定の処理を施し、アナログ画像信号をデジタル信号に変換してプロセッサ104の第1CCD信号処理ブロック1041に向けてこのデジタル信号を出力する。
【0027】
これらの信号制御処理は、プロセッサ104の第1CCD信号処理ブロック1041から出力されるVD(垂直同期)-HD(水平同期)信号によりTG1024を介して行われる。そのTG1024はそのVD-HD信号に基づき駆動タイミング信号を生成する。
【0028】
プロセッサ104のCPUブロック1043は、音声記録回路1151による音声記録動作を制御するようになっている。
音声記録回路1151はマイクロフォン(以下、マイクという)1153で変換された音声記録信号のマイクAMP(アンプリファイア)1152による増幅信号を指令に応じて記録する。
【0029】
CPUブロック1043は、音声再生回路1161の動作も制御する。
音声再生回路1161は、指令により適宜メモリに記憶されている音声信号を再生してオーディオAMP1162に出力し、スピーカ1163から音声を出力させるように構成されている。
CPUブロック1043は、さらに、ストロボ回路114を制御することによってストロボ発光部3から照明光を発光させる。これに加えて、CPUブロック1043は、測距ユニット5も制御する。
CPUブロック1043は、プロセッサ104のサブCPU109に接続され、サブCPU109はLCDドライバ111を介してサブLCD1による表示制御を行う。
サブCPU109は、さらに、AFLED8、ストロボLED9、リモートコントロール受光部6、各スイッチSW1〜SW14からなる操作キーユニット、ブザー113に接続されている。
【0030】
USBブロック1045は、USBコネクタ122に接続され、シリアルブロック1046はシリアルドライバ回路1231を介してRS-232Cコネクタ1232に接続されている。
TV信号表示ブロック1049は、LCDドライバ117を介してLCDモニタ1’に接続されると共に、ビデオAMP(TV信号表示ブロック1049から出力されたビデオ信号を75Ωインピーダンスに変換するためのAMP(アンプリファイア))118を介してビデオジャック(カメラをTVなどの外部表示機器に接続するためのジャック)119に接続されている。
メモリカードコントローラブロック10410は、メモリカードスロット121のカード接点に接続されている。
【0031】
LCDドライバ117は、LCDモニタ1’を駆動するとともに、TV信号表示ブロック1049から出力されたビデオ信号をLCDモニタ1’に表示させる信号に変換する役割を果たす。
LCDモニタ1’は、撮影前の被写体の状態監視するため、撮影画像を確認するため、メモリカードまたは内蔵メモリ120に記録された画像データを表示するために用いられる。
【0032】
デジタルカメラ本体100には、鏡胴ユニット7の一部を構成する固定筒10(図6参照)が設けられている。
この固定筒10には、図2に示すCCDステージ(可動部)1251がX-Y方向に移動可能に設けられている。光学系に含まれるCCD101は、手ぶれ補正機構の一部を構成するCCDステージ1251に搭載されている。この固定筒10およびCCDステージ1251の詳細な構造については後述する。
【0033】
CCDステージ1251は、駆動手段としてのアクチュエータ1255によって駆動され、アクチュエータ1255はドライバ1254によって駆動制御される。このドライバ1254は、コイルドライブ第1MDとコイルドライブ第2MDとから構成されている。
さらに、ドライバ1254は、AD(アナログデジタル)変換器IC1256に接続され、このA/D変換器IC1256は、CPUブロック1043により制御される。
【0034】
後述する固定筒10には、手ぶれ補正スイッチSW14がオフ、電源スイッチSW13がオフのときには、CCDステージ1251を中央位置(原点位置)に強制保持する保持機構1263が設けられている。
この保持機構1263は、アクチュエータとしてのステッピングモータSTMにより制御され、そのステッピングモータSTMは、ドライバ1261によって駆動される。このドライバ1261は、CPUブロック1043により駆動を制御される。
【0035】
CCDステージ1251には、位置検出素子1252が取り付けられている。
この位置検出素子1252の検出出力は、アンプ1253に入力され、増幅されてA/D変換器10411に入力される。
また、デジタルカメラ本体100には、ジャイロセンサ1241がピッチ(Pitch)方向とヨー(Yaw)方向との回転を検出可能に設けられ、ジャイロセンサ1241の検出出力はローパスフィルタ兼用のLPF-アンプ1242を介してA/D変換器10411に入力される。
さらに、デジタルカメラ本体100には、このデジタルカメラ本体100に作用する加速度を検出する動き検出手段としての加速度センサ130が搭載され、その検出出力が、A/D変換器10411に入力される。
【0036】
デジタルカメラは、図3に示す、「モニタリング処理」ブロックと「再生処理」ブロックの少なくとも2つのモードを有し、これら2つのモードを遷移する。
「モニタリング処理」ブロックの内部ではメニュー呼び出しを行うことができ、各種設定を変更することができる。
また、「再生処理」ブロックの内部では、撮影画像をLCDモニタ1’に表示させることができる。
【0037】
すなわち、図3のフローチャートに示すように、モードダイヤルスイッチSW2が撮影モードに設定されたか否か判断され(S1)、撮影モードに設定された場合(ステップS1のYes)、モニタリング処理が実行される(S2)。
モニタリング処理実行後、撮影命令が入力されたか否か判断され(S3)、入力された場合(ステップS2のYes)は撮影処理が実行され(S4)、その後、ステップS2に戻る。
撮影命令が入力されない場合(ステップS2のNo)は後述するステップS8に進む。
【0038】
また、ステップS1において、モードダイヤルスイッチSW2が撮影モードに設定されていない場合(ステップS1のNo)、さらにモードダイヤルスイッチSW2が再生モードに設定されたか否か判断される(S5)。
そして、再生モードに設定された場合(ステップS5のYes)、撮影画像をLCDモニタ1’に表示させる再生処理が実行され(S6)、再生モードに設定されていない場合(ステップS5のNo)、撮影・再生以外の処理が実行される(S7)。
【0039】
ステップS3,S6,S7の後、電源スイッチSW13が押下されたか否か判断され(S8)、押下された場合(ステップS8のYes)は処理を終了し、押下されていない場合(ステップS8のNo)はステップS1に戻り、処理が継続される。
【0040】
前述の図2に示したプロセッサ104は、タイマ機能を有している。
図4はタイマ機能の動作を示しており、フリーランタイマについてのフローチャートである。
セットした秒数がカウントダウンされ秒数がゼロになることを契機に割り込みを発生させる。なお、カウントダウン中の秒数はレジスタで参照することができる。
タイマにカウントするX秒をセットして(S11)、カウントをスタートし(S12)、設定したX秒後に所定の割り込み処理を実行する(S13)。
【0041】
フリーランタイマによる処理はリセット命令の確認を行い(S14)、リセット命令のないとき(ステップS14のNo)、ステップS11に戻り、リセット命令のあるとき(ステップS14のYes)、カウントダウンの処理を終了する。
つまり、フリーランタイマは、リセット命令を実行しない限りX秒間隔の割り込みを繰り返し実行しつづける。
【0042】
図5は、CCD101をスライドさせて手ぶれ補正を行う原理を示している。
撮像面(CCD面)がP1の位置にあるとき、被写体の像はOに投影される。
しかし、手ぶれにより、デジタルカメラがθx,θyだけ回転した場合、撮像面は点線で示すP2の位置に移動して、被写体が写る場所がO’に移動する。
そこで、撮像面がP1になるようにCCD101をdx,dyだけ平行移動してやることにより、被写体の撮像面上での投影位置を元の位置に戻すことができる。
【0043】
次に、手ぶれ補正機構の構成について図6〜図8を参照しながら説明する。
図6〜図8は複数のレンズが収納される固定筒10を示しており、図6は正面図、図7は図6のA-A’線に沿った縦断面図、図8((a)および(b))は背面図である。
図6および図7に示すように、固定筒10は箱形形状を呈し、その内側がレンズ鏡筒受入用の収納空間とされている。
固定筒10の背面には、全体的に略矩形状を呈する図7に示す板状のベース部材11が取り付けられている。
その固定筒10の内周壁には、ここではレンズ鏡筒を繰り出し・繰り入れるためのヘリコイド12が形成されている。
固定筒10は、図6に示すように少なくとも2つの角部が切り欠かれ、一方の角部10aは後述するステッピングモータSTMの取り付け部とされ、他方の角部10bは後述するフレキシブルプリント基板20の折り曲げ箇所とされている。
【0044】
図2に示すCCDステージ1251は、図7に示すベース部材11に設けられている。
CCDステージ1251は、図9に分解して示すように環枠形状のX方向ステージ13と、矩形状のY方向ステージ14と、載置ステージ15とから大略構成されている。
【0045】
X方向ステージ13はベース部材11に固定されている。
このX方向ステージ13には、X方向に延びる一対のガイド軸13a,13bがY方向に間隔を開けて設けられている。
X方向ステージ13には、直方体形状の4個の永久磁石16a〜16dが配置されている。これら4個の永久磁石16a〜16dは、2個一対とされ、一対の永久磁石16a,16bは、X-Y平面内でY方向に間隔を開けて平行に配置されている。
本実施例では、一対のガイド軸13a,13bが、一対の永久磁石16a,16bを貫通する構成とされているが、これに限るものではなく一対のガイド軸13a,13bに併設して設けられていても良い。
一対の永久磁石16c,16dは、X-Y平面内でX方向に間隔を開けて平行に配置されている。
【0046】
Y方向ステージ14は、Y方向に延びる一対のガイド軸14c,14dがX方向に間隔を開けて設けられている。
そのY方向ステージ14には、X方向に間隔を開けて対向する2個一対の被支承部17a,17a’,17b,17b’がY方向に間隔を開けて形成されている。
各一対の被支承部(17a,17a’),(17b,17b’)は、X方向ステージ13の一対のガイド軸13a,13bにそれぞれ可動可能に支承され、これによりY方向ステージ14がX方向に可動可能とされている。
【0047】
CCD101は、載置ステージ15に固定されている。
載置ステージ15は、X方向に張り出した一対のコイル取付板部15c,15dと、Y方向に張り出した一対のコイル取付板部15a,15bとを有する。
CCD101は、その載置ステージ15の中央に固定されている。
載置ステージ15には、CCD101の撮像面と同じ側にY方向に間隔を開けて対向する2個一対の被支承部(符号を略す)がX方向に間隔を開けて形成され、各一対の被支承部はY方向ステージ14の一対のガイド軸14c,14dに可動可能に支承され、これにより載置ステージ15は全体としてX-Y方向に可動可能とされている。
【0048】
CCD101には、撮像面と反対側の面に保護板19が貼り付けられている。保護板19にはその中央にテーパ形状の凹所19aが形成されている。この凹所19aの機能については後述する。
【0049】
一対のコイル取付板部15c,15dには、それぞれ偏平かつ渦巻き状のアクチュエータ1255としてのコイル体COL1,COL1’が貼り付けられている。これらコイル体COL1,COL1’は、直列接続されている。
また、一対のコイル取付板部15a,15bにおいても、それぞれ偏平かつ渦巻き状のアクチュエータ1255としてのコイル体COL2,COL2’が貼り付けられている。これらのコイル体COL2,COL2’も、同様に直列接続されている。
【0050】
各コイル体COL1,COL1’は、それぞれ各永久磁石16c,16dに臨まされている。
各コイル体COL2,COL2’は、それぞれ永久磁石16a,16bに臨まされている。
一対のコイル体COL1,COL1’は、X方向にCCD101を可動させるのに用いられ、一対のコイル体COL2,COL2’はY方向にCCD101を可動させるのに用いられる。
【0051】
また、コイル体COL1,COL1’には、図8(a)に示すように、各コイル体COL1,COL1’をX方向に横断する方向に磁性材料からなる吸着棒35(鉄製の棒)が設けられ、この吸着棒35を取り付けることで、磁力により磁石(の着いたステージ)と棒(の着いたステージ)を引きつけて、ガタを抑えている。
【0052】
図9に戻り、一対のコイル取付板部15c,15dの一方のコイル取付板部15dに位置検出素子1252としてのホール素子1252aが設けられ、同様に一対のコイル取付板部15a,15bの一方のコイル取付板部15bにホール素子1252bが設けられている。
【0053】
なお、CCD101は、図10に示すフレキシブルプリント基板20を介して、図2に示すF/E-IC102に電気的に接続され、位置検出素子1252としての各ホール素子1252a,1252bは、フレキシブルプリント基板20を介してアンプ(オペレーションアンプ)1253に電気的に接続され、アクチュエータ1255としての各コイル体COL1,COL1’,COL2,COL2’は、ドライバ1254(図2参照)に電気的に接続されている。
【0054】
図2に示す保持機構1263は、図8(b)のB-B’線に沿った縦断面を示す図10と、図11(a)および(b)に拡大して示すように、ステッピングモータSTMを有する。このステッピングモータSTMの駆動制御については後述することにし、保持機構1263のメカニカルな構成を先に詳細に説明する。
【0055】
ステッピングモータSTMは、図6に示すように、固定筒10の角部10aに設けられている。そして、図11に示すように、そのステッピングモータSTMの出力軸20Aには出力ギヤ21が設けられている。
【0056】
また、固定筒10の角部10a(図6参照)には、回転運動を直線運動に変換する図10に示す変換機構22が設けられている。
変換機構22は、回転伝達ギヤ23、往復動シャフト24、付勢コイルスプリング25、強制押さえ板26およびバネ受け部材27とから大略構成されている。
固定筒10の角部10a(図6参照)にはZ軸方向に間隔を開けて一対の支承部28,29が形成されている。この支承部28は、モータ取付板から構成されている。
往復動シャフト24は、支承部29とモータ取付板28との間に掛け渡されて支承されている。
回転伝達ギヤ23は、一対の支承部28,29の間に位置しており、往復動シャフト24に回転可能に支承されるとともに、出力ギヤ21に噛合されている。
【0057】
往復動シャフト24の一端側の部分は、支承部29を貫通してベース部材11の背面側に臨んでいる。
付勢コイルスプリング25は、バネ受け部材27と支承部29との間に設けられ、往復動シャフト24はその付勢コイルスプリング25により支承部28に向けて付勢されている。
往復動シャフト24には、回転伝達ギヤ23の軸穴端面と係合する段差部24aが形成されている。
【0058】
回転伝達ギヤ23には、図12(a)〜(e)に示すように、その一方の端面部にカム溝31が形成されている。
このカム溝31は、回転伝達ギヤ23の周回り方向に延び、谷底平坦部31a、頂上平坦部31b、および谷底平坦部31aから頂上平坦部31bに向かって連続的に傾斜する傾斜面部31cから構成されている。
その谷底平坦部31aと頂上平坦部31bとの間は、後述するカムピン32が回転方向から衝合する衝合壁としての絶壁31dとなっている。
【0059】
支承部28(図10参照)には、カムピン32が固定され、そのカムピン32の先端はカム溝31に摺接されている。
【0060】
絶壁31dから傾斜面部31cの傾斜開始位置31eまでの谷底平坦部31aの回転方向の長さは、ステッピングモータSTMの回転制御信号に換算して2パルス分に相当する。
傾斜面部31cの傾斜開始位置31eから頂上平坦部31bに通じる傾斜終端位置31fまでの傾斜面部31cの回転方向長さは、ステッピングモータSTMの回転制御信号に換算して30パルス分に相当する。
傾斜終端位置31fから絶壁31dまでの間の頂上平坦部31bの回転方向長さは、ステッピングモータSTMの回転制御信号に換算して3パルス分に相当し、ステッピングモータSTMの35パルス分が回転伝達ギヤ23の1回転に対応し、回転伝達ギヤ23の1回転により往復動シャフト24がZ軸方向に1往復される。
【0061】
図11に示すように、強制押さえ板26は、ベース部材11の背面側に設けられている。
強制押さえ板26は、図10および図11(a)に示すように、CCD101の中心に向かって長く延びる構成とされ、その強制押さえ板26の基端部26aは往復動シャフト24の一端部に固定されている。
その強制押さえ板26の自由端部26bには、テーパ形状の押さえピン33が固定されている。
強制押さえ板26の延びる方向途中には、ガイド軸26cが突出形成されている。
【0062】
図8(a)および(b)に示すベース部材11には、位置決め突起11a,11b、コイル取り付け突起11c、および係合突起11dが形成されている。
コイル取り付け突起11cには、ネジリコイルバネ34の巻回部34aが取り付けられ、ネジリコイルバネ34の一端部34bは係合突起11dに係合され、ネジリコイルバネ34の他端部34cはガイド軸26cに係合されている。
ベース部材11には、ガイド軸26cをガイドするガイド穴(図示を略す)が形成されている。
【0063】
強制押さえ板26は、そのネジリコイルバネ34によって位置決め突起11aに当接されつつ、往復動シャフト24の往復動に伴ってベース部材11に対して離反接近する方向(Z軸方向)に往復動される。
ガイド軸26cは、強制押さえ板26の往復動を安定した姿勢で行わせる役割を果たす。
【0064】
押さえピン33は、凹所19aと嵌合することにより、載置ステージ15(図9参照)を機械的に原点位置に保持させる役割を果たし、図13(a)に拡大して示すように、押さえピン33の周壁33aと保護板19の凹所周壁19bとが密接に嵌合した状態が、カムピン32のホールド待機位置(図12(d)参照)に相当し、図13(b)に拡大して示すように押さえピン33の周壁33aと保護板19の凹所周壁19bとが最大離間した状態が、カムピン32のレリーズ待機位置(図12(e)参照)に対応し、カムピン32のホールド待機位置は載置ステージ15の強制原点位置でもある。
【0065】
なお、本実施例においては、CCDステージ1251は可動手段を、SDRAM103は第1および第2の記憶手段を、プロセッサ104は更新手段をそれぞれ構成している。
また、強制押さえ板26、押さえピン33および凹所19a等は、保持手段を構成している。
【0066】
次に、CCD101の移動目標地点は、図2に示すジャイロセンサ1241からの入力を基に決定される。
ジャイロセンサ1241は、デジタルカメラのPitch(ピッチ)方向の回転、およびYaw(ヨー)方向の回転を捉えるように配置されている。
A/D変換器10411は、ジャイロセンサ1241からの出力をT[s]間隔で取り込んでAD変換する。
【0067】
ここで、
ωyaw(t):Yaw方向の瞬間角速度
ωpitch(t):Pitch方向の瞬間角速度
θyaw(t):Yaw方向の変化角度
θpitch(t):Pitch方向の変化角度
Dyaw(t):Yaw方向の回転に対応して移動する像移動量
Dpitch(t):Pitch方向の回転に対応して移動する像移動量とすると、
Yaw方向の瞬間角速度ωyaw(t)は、下記式(a)により求められる。
ωyaw(t)= C *(ADyaw - Offsetyaw)ωpitch(t)= C *(ADpitch- Offsetpitch)・・(a)
なお、Offsetyaw, Offsetpitchはそれぞれ静止時のyaw、pitchの出力である。
【0068】
また、Yaw方向の変化角度は下記(1)式で求められる。
θyaw(t)=Σωyaw(i)×T(iは0からtまで)・・・・(1)
また、Pitch方向の変化角度は下記(2)式で求められる。
θpitch(t)=Σωpitch(i)×T(iは0からtまで)・・(2)
一方、ズームポイントzp、フォーカスポイントfpから焦点距離fが決定される。
また、Yaw方向の回転に対応して移動する像移動量は下記(3)式で求められる。
Dyaw(t)=f×tan(θyaw(t))・・・・・・・(3)
また、Pitch方向の回転に対応して移動する像移動量は下記(4)式で求められる。
Dpitch(t)=f×tan(θpitch(t))・・・・・(4)
上記(3)式および(4)式で求めた結果がCCD101の移動すべき量になる。
図14は焦点距離によるCCD移動量を示し、また、図15および(表1)はぶれ角とCCD補正移動量との関係を示している。
【表1】
【0069】
図16は、CCD101を動かすためのサーボ制御の制御周期を示すタイミングチャートである。
本実施例では、周期T=0.00025[s]毎に図17に示すフローチャートが実行される。
すなわち、ステップS21にて、上述のYaw(ヨー)方向の角速度ωyaw(t)に基づいてYaw方向の変化角度θyaw(t)を求め、上記式(3)に基づいて得られたYaw方向の回転に対応して移動する像移動量Dyaw(t)から、CCD101のYaw(ヨー)方向の目標値をセットしてステップS21に進む。
【0070】
また、ステップS22では、上述のPitch方向の瞬間角速度ωpitch(t)に基づいてPitch方向の変化角度θpitch(t)を求め、上記式(4)に基づいて得られたPitch方向の回転に対応して移動する像移動量Dpitch(t)から、CCD101のPitch(ピッチ)方向の目標値をセットし、ステップS23に進み、サーボ制御を実行する。
その結果、CCD101は、目標位置に対して図18に示すように動くことになる。
図17のフローチャートを処理するために要する時間は、0.0001[s]に設定されている(図16参照)。
【0071】
次に、本実施例において実施するサーボ制御について説明する。
図19はCPUブロック1043において、サーボ制御を実行する部分を示すブロック図であり、制御器1043aおよびループゲイン1403bとを備え、A/D変換器IC1256およびドライバ1254を含む制御出力を介し、制御対象であるアクチュエータ1255(COL1,COL1’,COL2,COL2’)を駆動する。
【0072】
次に、デジタルカメラの動作について、説明する。
まず、静止画撮影時の動作を、図20のフローチャートに基づいて説明する。
この図20に示す処理は、電源スイッチSW13および手ぶれ補正スイッチSW14の操作によりスタートし、この起動時には、CCD101を固定している保持機構1263(強制押さえ板26先端の押さえピン33が保護板19の凹所19aから外れて、載置ステージ15を保持する機構)による保持を解除し、サーボ制御を開始する(ステップS31)。
【0073】
このサーボ制御の開始時である非露光時において、まず、アクチュエータ1255の駆動力の上限値を、露光時の50%に制約するゲイン設定を行う(ステップS32)。
次に、50msに一回のタイミングで出力される加速度センサ130の出力に基づいてデジタルカメラに作用している加速度Gを演算する(ステップS33)。
この加速度Gを求めるのにあたり、本実施例では、下記式(5)の演算を行う。
G=(Gx2+Gy2+Gz2)1/2 ・・・(5)
ここで、Gxは、X軸方向に作用する重力加速度を含む加速度であり、Gyは、Y軸方向に作用する加速度であり、GzはZ軸方向に作用する加速度である。
【0074】
そして、加速度Gが設定値(本実施例では1.5G)以上であるか否か判定し(ステップS34)、設定値以上の場合は、図21に示すあらかじめ設定された駆動力特性に基づいて、加速度の大きさに応じて駆動力の上限値を低下させる(ステップS35)。
一方、加速度Gが設定値未満の場合は、駆動力の上限値をステップS32で設定した50%に維持する。なお、図21に示すように、駆動力上限値は、露光時には100%に設定するが、非露光時であるモニタリング時には、デジタルカメラ本体100に作用している加速度に応じ、設定値である1.5G未満では50%に設定し、一方、1.5G以上となると、加速度Gの大きさに反比例し加速度Gが大きくなるほど上限値を50%よりも低下させる設定としている。
【0075】
次に、レリーズ1であるか否かを判定し(ステップS36)、レリーズ1であれば駆動力の上限値を露光時の特性である100%に設定し(ステップS37)、レリーズ1でない場合は、ステップS32からの処理を繰り返す。
ここで、レリーズ1について説明を加える。
レリーズスイッチSW1は、2段押下スイッチであり、このレリーズスイッチSW1を押し下げた場合、1段目の半押しの状態を示す信号と、2段目の完全押し状態を示す信号とが出力される。そこで、前者の半押し状態をレリーズ1と称し、後者の2段目の完全押し状態をレリーズ2と称する。
【0076】
レリーズ1に入って駆動力の上限値を100%に設定した後は、レリーズスイッチSW1が半押しのレリーズ1(RL1)の状態からオフされたか否か判断し(ステップS38)、オフされていなければステップS39へ進み、オフされていればS41へ進んでサーボ制御を停止する。
【0077】
レリーズ1の状態が維持された場合、次に、レリーズ2がオンされたか否か判断され(ステップS39)、オンされた場合はステップS40へ進み、オンされていない場合はS38へ戻る。
【0078】
レリーズ2がオンされた場合、手ぶれ補正および撮影を実行し(ステップS40)、その後、アクチュエータ1255の駆動力の上限値が50%に制限され(ステップS41)、その後、サーボ制御が停止される(ステップS42)。
なお、撮影時には、SDRAM103に記憶された位置データに基づいて、CCDステージ1251の移動が制御される。つまり、SDRAM103に記憶された位置データを、CCDステージ1251の動作基準位置として用いて、CCDステージ1251の移動が制御される。
また、サーボ制御停止後は、次の制御タイミングにおいて、ステップS31からの処理が繰り返され、サーボ制御が開始されて駆動力の上限値が50%に制約される。
また、レリーズ1状態およびレリーズ2状態の処理は、サブCPU109を経由してCPUブロック1043が制御する。
【0079】
次に、実施例の作用を説明する。
(撮影前)
撮影を行う前において、電源スイッチSW13および手ぶれ補正スイッチSW14を操作すると、サーボ制御が実行されて、CCD101のセンタリングが行われる。
このとき、アクチュエータ1255の駆動力の上限値が50%に制限される。
したがって、手にデジタルカメラを持って腕を振って歩行しデジタルカメラ本体100に遠心力が発生している場面では、アクチュエータ1255の駆動力の上限値が50%以下に落ち、センタリング性能は落ちるが電力消費が抑えられる。このように、デジタルカメラを手に持って腕を振っている場合には、ユーザは、表示画面を確認することが難しいため、デジタルカメラ本体100に作用する加速度が大きいほどセンタリング性能を低下させても、ユーザが不快感をおぼえることは生じないかまたは少ない。
【0080】
次に、構図合わせ時について説明する。
この構図合わせ時において横にデジタルカメラを動かす場合、動かし始めと動かし終わりのタイミングでは、デジタルカメラ本体100に作用する加速度が大きくなるため、駆動力の上限値は、加速度の大きさに応じて50%以下に制御される。したがって、センタング性能は落ちるが、電力消費が抑えられる。
一方、構図合わせ時において横にデジタルカメラを動かす場合、動かし始めと動かし終わりとの間の動かしている最中は、ほぼ等速運度であるため、駆動力の上限値は50%に制限される。この場合、動かし始めや動かし終わりと比較して、センタリング性能を確保する。
【0081】
また、構図合わせ時において、デジタルカメラの移動方向が重力の作用方向である下方である場合は、上記式(5)においてGX2の値が重力と相殺されるため、算出される加速度Gの値が小さくなる。このため、デジタルカメラの移動方向が下方以外の方向に動いた場合と比較して、同じ加速度で動かしたとしても、算出される加速度Gが小さくなり、図21に示す特性に基づいて決定される駆動力の上限値の低下が抑えられる。
すなわち、デジタルカメラを下方に移動させた場合、CCD101を移動させる必要な駆動力が小さくて済みその分消費電力も抑えることが可能な状況であるため、センタリング性能を落として電力消費を抑える必要がない。
【0082】
(撮影時)
撮影時、レリーズスイッチSW1を押した場合、レリーズ1となった時点で、アクチュエータ1255の駆動力の上限値が100%に設定される。
したがって、レリーズ1としてデジタルカメラを動かす場合には、アクチュエータ1255の駆動力の上限値を低下させていないので、センタリング性能を確保できる。
【0083】
以上説明したように、実施例では、非露光時であって撮影前のレリーズ1およびレリーズ2以外の状況では、アクチュエータ1255の駆動力の上限値を50%以下に低下させるようにしたために、消費電力を抑えることができる。このような非レリーズ状態では、ユーザは、露光時と比較して位置制御の必要性が低いので、センタリング性能が低下しても、省電力を優先する。
一方、レリーズ1時およびレリーズ2時には、駆動力の上限値を100%とすることによりセンタリング性能を確保できる。また、レリーズ2として、撮影を行った後には、駆動力の上限値を50%に戻すことにより、きめの細かい省電力化を図ることができる。
さらに、デジタルカメラ本体100に作用する加速度が、設定値である1.5Gを越えた場合には、デジタルカメラ本体100に作用する加速度が大きいほどアクチュエータ1255の駆動力の上限値を低く抑えるようにした。これは、デジタルカメラ本体100に作用する加速度が大きくなるほど、ユーザが表示画面を確認することが難しくなるため、センタリング性能をさらに低下させてもユーザに違和感を与える可能性は低く、いっそうの消費電力の抑制を図ることが可能である。
【0084】
加えて、デジタルカメラ本体100に作用する加速度方向が重力と相殺される方向である場合は、アクチュエータ1255の駆動力の上限値を抑えないようにした。すなわち、デジタルカメラを下方に移動させた場合、CCD101を移動させるのに大きな駆動力が不要であり、消費電力も抑制される。よって、このように必要な消費電力が低い状況では、センタリング性能を落とさないようにして、ユーザに違和感を与えないようにできる。
【0085】
そして、実施例では、動き検出手段として、加速度センサ130を用いた。これにより、構図合わせ時に、横にデジタルカメラを等速で動かした場合でも、動かし始めと動かし終わりのセンタリング機能が重要でない状態を検出し、駆動力の上限値を50%よりもさらに低い値に制御して、電力消費を抑えることができる。一方、横にデジタルカメラを動かす場合において、動かしている最中のように、ほぼ等速運度で移動させている場合は、駆動力の上限値を50%に制限して、省電力化を図りつつ、ある程度のセンタリング機能を確保できる。このような、デジタルカメラの動きと、省電力化とセンタリング性能とを高いレベルで両立することが可能となる。
【実施例2】
【0086】
次に、本発明の実施例2の撮像装置としてのデジタルスチルカメラについて説明する。なお、この実施例2は、実施例1の一部を変更したもので、実施例1と共通する構成については説明を省略する。
【0087】
この実施例2は、サーボ制御時に可動部としてのCCDステージ1251の実位置と目標位置との差であるエラー量を低下させるよう駆動力を決定するフィードバック制御において、エラー量の上限値および下限値を設定する制御を追加した例である。
【0088】
以下、この追加の制御について詳細に説明する。
前述したように、実施例のデジタルスチルカメラでは、サーボ制御の実行時に、可動部としてのCCDステージ1251は、制御上の目標位置に収束するよう図18に示すように位置を制御される。
【0089】
このCCDステージ1251の位置を制御するのにあたり、制御手段としてのプロセッサ104のCPUブロック1043は、図22に示すように、アクチュエータ1255への制御出力を制御器1043aにフィードバックさせている。すなわち、CPUブロック1043は、位置検出素子1252が検出するCCDステージ1251の実位置(実位置値(+))と目標位置(目標値(−))との差であるエラー量を低下させるようCCDステージ1251を移動させるフィードバック制御を実行している。なお、このフィードバック制御として、本実施例では、PID(Proportional Integral Differential)制御を実行している。
【0090】
そして、上下限飽和部(上下限設定部)221では、フィードバック制御において、目標値と実位置値との差であるエラー量が、上限値あるいは下限値を超えた場合、エラー量を上限値あるいは下限値に置き換える処理が行われる。
【0091】
さらに、上下限飽和部221は、エラー量の上限値および下限値を、露光時と非露光時とで変更する処理を行っている。すなわち、上下限飽和部221は、フィードバック制御開始後(サーボ制御の開始直前)、非露光時は、エラー量の上限値および下限値として、図23に示すように、両者間の上下幅を狭く制限した制限上限値および制限下限値を用いる。一方、上下限飽和部221は、露光時には、エラー量の上限値および下限値として、非露光時よりも両者の幅を拡げた通常上限値および通常下限値を用いる。
ここで、実施例2では、通常上限値および通常下限値は、A/D変換器IC1256の分解能と同じ(1/1)に設定しており、図18に示した目標値上限値および目標値下限値と同程度の値に設定されている。
一方、制限上限値および制限下限値は、A/D変換器IC1256の分解能の(1/10に設定されている。
【0092】
次に、図24のフローチャートにより、上下限飽和部221におけるエラー量の上限値および下限値の可変制御について説明する。なお、このフローチャートでは、実施例1と同じ処理を行うステップには、実施例1と同じ符号を付けて説明を省略し、実施例1と異なる処理を行うステップのみを説明する。
【0093】
まず、サーボ制御を開始する前のステップS201では、エラー量の上限値および下限値を、制限上限値および制限下限値に設定する。
また、ステップS39においてレリーズ2が押されて進むステップS202では、エラー量の上限値および下限値を、通常上限値および通常下限値に設定する。
【0094】
次に、実施例2の作用を説明する。
(サーボ制御開始時)
実施例2では、サー制御開始の直前に、エラー量の上限値および下限値を、制限上限値および制限下限値(A/D変換器IC1256の分解能の1/10)に設定する。
【0095】
このサーボ制御開始時点の動作を図23、図24、図25により説明する。
サーボ制御開始時点で、図23の実線で示すように実位置が変化した場合に、エラー量の上下限値として従来と同等の値である通常上限値および通常下限値を用いたときには、エラー量は、そのまま使用される。この場合、図26に示すように、センタリング動作が急になり、センタリングの開始時に、カメラ内でCCDステージ1251が可動幅の端から中心へ勢いよく移動することで、衝撃が手に伝わったり、駆動音が発生したりするおそれがある。
【0096】
それに対し、本実施例2では、サーボ制御開始時点で、エラー量の上下限値として制限上限値および制限下限値を用いるため、図23に示すように、実位置が制限上下限値を超えた時点で、エラー量は制限上限値および制限下限値に置き換えられる。
この場合、エラー量が、制限上下限値に制限されるため、図25に示すように、図26に示した例よりもセンタリング動作が緩やかになる。その結果、サーボ制御開始時に、手に衝撃が伝わったり、駆動音が発生したりすることを軽減できる。
【0097】
(撮影時)
撮影に伴いレリーズ2がオンされると、露光前の時点で、エラー量の上限値および下限値を、通常上限値および通常上限値(A/D変換器IC1256の分解能と同じ)に設定し、その後、手ぶれ補正および撮影が実行される。
したがって、撮影時の手ぶれ補正などの制御応答性は、従来と同等に確保できる。
【0098】
以上のように、実施例2では、実施例1で示した駆動力の上限を制限するのに加え、フィードバック制御におけるエラー量の上下限値を制限することにより、サーボ制御開始時に、手に衝撃が伝わったり、駆動音が発生したりすることを軽減することができる。
また、露光時には、エラー量の上限値および下限値として通常上限値および通常下限値を用いることで、制御応答性を確保することができる。
【実施例3】
【0099】
次に、本発明の実施例3の撮像装置としてのデジタルスチルカメラについて説明する。なお、この実施例3は、実施例2の変更例であり、実施例1および実施例2と共通する構成については説明を省略する。
【0100】
実施例3では、実施例2と比較して、駆動力上限の制御を省略したもので、それに伴い図27に示すようにループゲイン1043bを省略している。よって、実施例3では、図28のフローチャートに示すように、実施例1で実施した駆動力上限の制御に必要なステップS32〜S35、S37、S41を省略している。
【0101】
したがって、実施例3では、サーボ制御の実行直前に、エラー量の上限値および下限値を制限上限値および制限下限値に設定し、レリーズ2が押されるとエラー量の上限値および下限値を通常上限値および通常下限値に設定する。
【0102】
よって、実施例3にあっても、実施例2と同様に、非露光時には、センタリング動作が緩やかになり、サーボ制御開始時に、手に衝撃が伝わったり、駆動音が発生したりすることを軽減できる。また、露光時には、エラー量の上限値および下限値として通常上限値および通常下限値を用い、制御応答性を確保することができる。
【0103】
以上、本発明の実施の形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形および置換を加えることができる。
【0104】
例えば、実施例では、本発明の防振装置を、デジタルカメラに適用した例を示したが、その適用範囲は、デジタルカメラに限定されるものではなく、双眼鏡や望遠鏡、ビデオカメラなどにも適用可能である。
【0105】
また、動き検出手段として加速度センサ130を用いた例を示したが、これに限定されず、ジャイロセンサを用いることもできる。そして、ジャイロセンサで検出した角加速度が所定値以上である場合に、駆動力の上限値を下げるようにしてもよい。あるいは動き検出手段としては、例えば、速度センサを用い、速度が所定以上である場合に、駆動力の上限値を下げるようにしてもよい。
【0106】
また、光学系における可動部としてCCDステージ1251を示したが、これに限定されず、撮影光学系(ズームレンズ71a、フォーカスレンズ72aおよび絞り73a)をX−Y方向に移動させたり、CCDステージ1251と撮影光学系とを相対的にX−Y方向に移動させたりしてもよい。
【0107】
また、実施例2,3では、エラー量の制限上下限値をA/D変換器ICの分解能の1/10とし、通常上下限値をA/D変換器ICの分解能と同じに設定した例を示した。しかし、制限上下限値および通常上下限値は、非露光時に露光時と比較して、上下限値の幅を狭く設定していれば、所望の効果を得ることができる。よって、通常状下限値および制限上下限値の幅は、それぞれ、実施例で示したものに限定されず、任意に選択することができる。
【符号の説明】
【0108】
7 鏡胴ユニット(光学系)
71 ズーム光学系
72 フォーカス光学系
100 デジタルカメラ本体(本体)
101 CCD(光学系)
130 加速度センサ(動き検出手段)
221 上下限飽和部(上下限値設定部)
1043 CPUブロック(制御手段:フィードバック制御部)
1251 CCDステージ(可動部)
1252 位置検出素子(位置検出手段)
1255 アクチュエータ(駆動手段)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0109】
【特許文献1】特開2007−094320号公報
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体に対して光学系を移動可能に支持された可動部と、
この可動部を前記本体に対して移動させる駆動手段と、
前記本体の動きを検出する動き検出手段と、
前記動き検出手段が検出する動きがあらかじめ設定された以上の動きである場合に、前記駆動手段の駆動力の上限値を低下させる制御手段と、
を備えていることを特徴とする防振装置。
【請求項2】
前記動き検出手段は、前記本体に作用する加速度を検出する手段であり、
前記制御手段は、検出する加速度があらかじめ設定された値以上の場合に、前記駆動力の上限値を、前記加速度が大きいほど低下させることを特徴とする請求項1に記載の防振装置。
【請求項3】
前記制御手段は、検出する前記加速度の方向が重力と相殺される方向である場合には、前記駆動力の上限値の低下量を抑制することを特徴とする請求項2に記載の防振装置。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の防振装置を備えた撮像装置であって、
前記制御手段は、前記駆動手段の駆動力の上限値を、非露光時には、露光時よりも低下させることを特徴とする撮像装置。
【請求項5】
請求項4に記載の撮像装置において、
レリーズ処理を行うレリーズスイッチを備え、
前記制御手段は、
前記レリーズスイッチが押されていない場合は、前記上限値を露光時の半分に低下させるとともに、前記動き検出手段が検出する動きがあらかじめ設定された以上の動きである場合に前記上限値を露光時の半分よりもさらに低下させ、
前記レリーズスイッチが半押しされた場合は、前記上限値を、前記露光時における上限値と同じに設定し、
前記レリーズスイッチが全押しされて撮影が行われた後は、前記駆動手段の駆動力の上限値を、前記露光時の半分に低下させることを特徴とする撮像装置。
【請求項6】
本体に対して光学系を移動可能に支持された可動部と、
この可動部を前記本体に対して移動させる駆動手段と、
前記本体に対する前記可動部の位置を検出する位置検出手段と、
前記可動部を制御上の目標位置に移動させるよう前記駆動手段を駆動させる制御手段と、
前記制御手段に含まれ、前記位置検出手段が検出する前記可動部の実位置と前記目標位置との差であるエラー量に応じ、前記可動部を、前記エラー量が縮まるよう移動させるフィードバック制御を実行するフィードバック制御部と、
前記フィードバック制御時に、前記エラー量に上限値および下限値を設定し、かつ、前記光学系の非露光時には、露光時と比較して前記エラー量の前記上限値と前記下限値との間の幅を狭く設定する上下限値設定部と、
を備えていることを特徴とする撮像装置。
【請求項7】
本体に対して光学系を移動可能に支持された可動部と、
この可動部を前記本体に対して移動させる駆動手段と、
前記可動部の位置を検出する位置検出手段と、
前記可動部を制御上の目標位置に移動させるよう前記駆動手段を駆動させる制御手段と、
を備えた撮像装置の制御方法であって、
前記位置検出手段が検出する前記可動部の実位置と前記目標位置との差であるエラー量に応じ、前記可動部を、前記エラー量が縮まるよう移動させるフィードバック制御を実行し、
前記フィードバック制御時に、前記エラー量に上限値および下限値を設定し、かつ、前記光学系の非露光時には、露光時と比較して前記エラー量の前記上限値と前記下限値との間の幅を狭く設定するようにしたことを特徴とする撮像装置の制御方法。
【請求項1】
本体に対して光学系を移動可能に支持された可動部と、
この可動部を前記本体に対して移動させる駆動手段と、
前記本体の動きを検出する動き検出手段と、
前記動き検出手段が検出する動きがあらかじめ設定された以上の動きである場合に、前記駆動手段の駆動力の上限値を低下させる制御手段と、
を備えていることを特徴とする防振装置。
【請求項2】
前記動き検出手段は、前記本体に作用する加速度を検出する手段であり、
前記制御手段は、検出する加速度があらかじめ設定された値以上の場合に、前記駆動力の上限値を、前記加速度が大きいほど低下させることを特徴とする請求項1に記載の防振装置。
【請求項3】
前記制御手段は、検出する前記加速度の方向が重力と相殺される方向である場合には、前記駆動力の上限値の低下量を抑制することを特徴とする請求項2に記載の防振装置。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の防振装置を備えた撮像装置であって、
前記制御手段は、前記駆動手段の駆動力の上限値を、非露光時には、露光時よりも低下させることを特徴とする撮像装置。
【請求項5】
請求項4に記載の撮像装置において、
レリーズ処理を行うレリーズスイッチを備え、
前記制御手段は、
前記レリーズスイッチが押されていない場合は、前記上限値を露光時の半分に低下させるとともに、前記動き検出手段が検出する動きがあらかじめ設定された以上の動きである場合に前記上限値を露光時の半分よりもさらに低下させ、
前記レリーズスイッチが半押しされた場合は、前記上限値を、前記露光時における上限値と同じに設定し、
前記レリーズスイッチが全押しされて撮影が行われた後は、前記駆動手段の駆動力の上限値を、前記露光時の半分に低下させることを特徴とする撮像装置。
【請求項6】
本体に対して光学系を移動可能に支持された可動部と、
この可動部を前記本体に対して移動させる駆動手段と、
前記本体に対する前記可動部の位置を検出する位置検出手段と、
前記可動部を制御上の目標位置に移動させるよう前記駆動手段を駆動させる制御手段と、
前記制御手段に含まれ、前記位置検出手段が検出する前記可動部の実位置と前記目標位置との差であるエラー量に応じ、前記可動部を、前記エラー量が縮まるよう移動させるフィードバック制御を実行するフィードバック制御部と、
前記フィードバック制御時に、前記エラー量に上限値および下限値を設定し、かつ、前記光学系の非露光時には、露光時と比較して前記エラー量の前記上限値と前記下限値との間の幅を狭く設定する上下限値設定部と、
を備えていることを特徴とする撮像装置。
【請求項7】
本体に対して光学系を移動可能に支持された可動部と、
この可動部を前記本体に対して移動させる駆動手段と、
前記可動部の位置を検出する位置検出手段と、
前記可動部を制御上の目標位置に移動させるよう前記駆動手段を駆動させる制御手段と、
を備えた撮像装置の制御方法であって、
前記位置検出手段が検出する前記可動部の実位置と前記目標位置との差であるエラー量に応じ、前記可動部を、前記エラー量が縮まるよう移動させるフィードバック制御を実行し、
前記フィードバック制御時に、前記エラー量に上限値および下限値を設定し、かつ、前記光学系の非露光時には、露光時と比較して前記エラー量の前記上限値と前記下限値との間の幅を狭く設定するようにしたことを特徴とする撮像装置の制御方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【公開番号】特開2012−215809(P2012−215809A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−200269(P2011−200269)
【出願日】平成23年9月14日(2011.9.14)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月14日(2011.9.14)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
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