説明

防水シート及び下張り防水施工方法

【課題】
本発明は、施工が簡単な下張り防水施工方法を提供することを目的としている。
【解決手段】
下張り防水施工方法は、基材10と、この基材10の一方の面に付着した改質アスファルトの層11と、改質アスファルトの層11の基材10の面と反対の面に複数の改質アスファルトの層11の凹凸部が形成され、改質アスファルトの層11に付着し、改質アスファルトの層11の凹凸部に沿って付着して凹凸面が形成される不織布の層12とを備え、不織布の層12が表側になるように巻回された防水シート1であって、この巻回された防水シート1を解いて不織布の層12を防水施工をしようとする下地2に接着材3を介して防水シ−ト1を付着させるものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防水シート及び下張り防水施工方法に係り、特に、施工が簡単な防水シート及び下張り防水施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本件出願人は、先に、基材と、この基材の一方の面に付着した改質アスファルトの層と、前記改質アスファルトの層の前記基材の面と反対の面に複数の凹凸部が形成されると共に、前記複数の凹凸部の内の複数の凹部は互いに連通し、前記複数の凹凸部の内の凸部には、粘着材が塗布され、この粘着材に付着した離型シ−トとを備えた防水シ−トであって、この防水シ−トの前記離型シ−トを剥して防水施工をしようとする下地に前記粘着材を介して前記防水シ−トを付着させる下張り防水施工方法を提案した。
【特許文献1】特願2004−223246
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記の防水シ−トにあっては、作業現場において、離型シ−トを剥がす作業が伴うと共に、剥がした離型シ−トを処理しなければならず施工が面倒であるという問題点が生じた。
本発明は、上記問題点を除去するようにした防水シート及び下張り防水施工方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的を達成するために、請求項1記載の下張り防水施工方法は、基材と、この基材の一方の面に付着した改質アスファルトの層と、前記改質アスファルトの層の前記基材の面と反対の面に複数の改質アスファルトの層の凹凸部が形成され、前記改質アスファルトの層に付着し、前記改質アスファルトの層の凹凸部に沿って付着して凹凸面が形成される不織布の層とを備え、前記不織布の層が表側になるように巻回された防水シートであって、この巻回された防水シートを解いて前記不織布の層を防水施工をしようとする下地に接着材を介して前記防水シ−トを付着させるものである。
【0005】
また、請求項2記載の防水シートは、基材と、この基材の一方の面に付着した改質アスファルトの層と、前記改質アスファルトの層の前記基材の面と反対の面に複数の改質アスファルトの層の凹凸部が形成され、前記改質アスファルトの層に付着し、前記改質アスファルトの層の凹凸部に沿って付着して凹凸面が形成される不織布の層と、この不織布の層が表側になるように巻回され、この巻回されている状態を保持する保持手段を備えているものである。
【発明の効果】
【0006】
請求項1記載の下張り防水施工方法によれば、不織布の層が表側になるように巻回された防水シートであるため、従来のような離型シ−トを使用しなくても、改質アスファルトの層と基材とが付着するのを防ぎ、巻回された防水シートを解いて不織布の層をそのまま防水施工をしようとする下地に位置させることができ、しかも、改質アスファルトの層は不織布の層で覆われているため、施工現場で改質アスファルトが露出していないため、結露を防いで、防水施工に支障を来すことを防止し、更に、従来のような離型シ−トを使用しないため、離型シ−トを剥がす作業及び剥がした離型シ−トの廃棄作業をも不要となり、下張り防水施工が簡単となる。
【0007】
請求項2記載の防水シートによれば、不織布の層が表側になるように巻回された防水シートであるため、従来のような離型シ−トを使用しなくても、改質アスファルトの層と基材とが付着するのを防ぎ、巻回された防水シートを解いて不織布の層をそのまま防水施工をしようとする下地に位置させることができ、しかも、改質アスファルトの層は不織布の層で覆われているため、施工現場で改質アスファルトが露出していないため、結露を防いで、防水施工に支障を来すことを防止し、更に、従来のような離型シ−トを使用しないため、離型シ−トを剥がす作業及び剥がした離型シ−トの廃棄作業をも不要となり、防水施工が簡単となる。
【実施例】
【0008】
本発明の一実施例の下張り防水施工方法を図面を参照して説明する。
図1乃至図5において、1は防水シ−トで、防水シ−ト1は、基材10と、この基材10の一方の面に付着した改質アスファルトの層11と、改質アスファルトの層11の基材10の面と反対の面(施工面である下地2に接触する面)に複数の改質アスファルトの層11の凹凸部11a、11bが形成され、また、改質アスファルトの層11に付着し、改質アスファルト11の層11の凹凸部11a、11bに沿って付着して凹凸面が形成される不織布の層12と、この不織布の層12が表側になるように巻回され、この巻回されている状態を保持する保持手段13とを備えている。
なお、保持手段13は、例えば、図1に示すように巻回されて円柱状に形成された防水シ−ト1の外周に付着する接着テープであり、この接着テープに代えて、円柱状に形成された防水シ−ト1全体を覆う包装紙(図示せず)でも、また、輪状のゴムバンド(図示せず)でも良い。
【0009】
基材10は、例えば、合成樹脂フィルム(例えば、PETフィルム)、不織布(例えば、ポリエステル繊維)とガラスメッシュを組み合わせたもの、合成樹脂フィルム(例えば、PETフィルム)とガラスメッシュを組み合わせたもの、不織布(例えば、ポリエステル繊維)、ガラスメッシュ、合成樹脂フィルム(例えば、PETフィルム)を組み合わせたものである。
【0010】
また、改質アスファルトの層11の改質アスファルトは、合成ゴムあるいは合成樹脂を加えてアスファルトの性質を改良したもので、本実施例にあっては、特に、ブロ−ンとワックスを混入した改質アスファルトが良い。改質アスファルトの層11は、エンボス加工(表面に機械的方法によって凹凸模様を着けること)が施されている。
即ち、改質アスファルトの層11の複数の凹凸部11a、11bは、例えば、図4に示すような菱形のエンボスパタ−ンに形成されている。
なお、菱形のエンボスパタ−ンは、ストレ−トのものに比し、通気性を確保しながら
、しかも、接着強度を向上させ、耐風圧に耐えることができる。
また、層11の複数の凹凸部11a、11bは、図4に示す形状に限らず、例えば、
円形、長方形、円形と長方形を組み合わせたものと種々ある。
【0011】
不織布の層12は、例えば、ポリエチレン繊維を使用して、5〜20g/m2 程度の不織布で構成され、改質アスファルトの層11に付着し、改質アスファルトの層11の凹凸部11a、11bに沿って付着して凹凸面が形成される。そして、不織布の層12の複数の凹凸面の内の複数の凹面12aは互いに連通して通気溝を形成し、下地から発生する水蒸気を逃がす通路となる。
【0012】
従って、巻回された防水シート1を解いて不織布の層12を防水施工をしようとする下地2に予め塗られていた接着材3を介して防水シ−ト1を付着させて下張り防水施工を行うことができる(図5参照)。
この実施例によれば、不織布の層11が表側になるように巻回された防水シート1であるため、従来のような離型シ−トを使用しなくても、改質アスファルトの層11と基材10とが付着するのを防ぎ、巻回された防水シート1を解いて不織布の層11をそのまま防水施工をしようとする下地2に面するように位置させることができ、しかも、改質アスファルトの層11は不織布の層12で覆われているため、施工現場で改質アスファルトの層11が露出していないため、結露を防いで、防水施工に支障を来すことを防止し、更に、従来のような離型シ−トを使用しないため、離型シ−トを剥がす作業及び剥がした離型シ−トの廃棄作業をも不要となり、下張り防水施工が簡単となる。なお、下地2から発生する水蒸気は、凹面12aを通って、凹面12aに連通する図示しない脱気筒より排出される。
【0013】
また、下地2に防水シ−ト1を付着させて下張り防水施工を行った後、基材10の上に塗膜を形成したり(塗膜防水)、アスファルトのシ−トを張って(アスファルト防水)、防水性を確保するようにしている。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、本発明の一実施例の防水シ−トの概略的斜視図である。
【図2】図2は、図1の巻回された防水シートを解いた状態の概略的斜視図である。
【図3】図3は、図2の3−3線による概略的断面図である。
【図4】図4は、図3の防水シ−トを裏面側から見た状態の概略的図である。
【図5】図5は、図3の防水シ−トを防水施工をしようとする下地に付着させた状態の概略的断面図である。
【符号の説明】
【0015】
1 ・・・・・防水シ−ト
2 ・・・・・下地
3 ・・・・・接着材
10 ・・・・・基材
11 ・・・・・改質アスファルトの層
12 ・・・・・不織布の層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材と、この基材の一方の面に付着した改質アスファルトの層と、前記改質アスファ
ルトの層の前記基材の面と反対の面に複数の改質アスファルトの層の凹凸部が形成され、
前記改質アスファルトの層に付着し、前記改質アスファルトの層の凹凸部に沿って付着して凹凸面が形成される不織布の層とを備え、前記不織布の層が表側になるように巻回された防水シートであって、
この巻回された防水シートを解いて前記不織布の層を防水施工をしようとする下地に接着材を介して前記防水シ−トを付着させる
ことを特徴とする下張り防水施工方法。
【請求項2】
基材と、この基材の一方の面に付着した改質アスファルトの層と、前記改質アスファ
ルトの層の前記基材の面と反対の面に複数の改質アスファルトの層の凹凸部が形成され、
前記改質アスファルトの層に付着し、前記改質アスファルトの層の凹凸部に沿って付着して凹凸面が形成される不織布の層と、この不織布の層が表側になるように巻回され、この巻回されている状態を保持する保持手段を備えている
ことを特徴とする防水シート。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−138543(P2007−138543A)
【公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−333496(P2005−333496)
【出願日】平成17年11月18日(2005.11.18)
【出願人】(591022656)静岡瀝青工業株式会社 (13)