説明

防水パンまたは排水口の排水構造

【課題】ヘアキャッチャーの取手に排水がかかり難く、取手が汚れることのない防水パンまたは排水口の排水構造を提供する。
【解決手段】取手5付きのヘアキャッチャー4が取り付けられる防水パン3の排水枡部3bにおいて、ヘアキャッチャー4の取手5を迂回して排水するように、堤防部6bを排水枡の凹部底面32に立設して構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴室における防水パンまたは排水口の排水構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に開示されているように、ユニットバス等の排水トラップに冠着自在にヘアキャッチャーが取り付けられ、このヘアキャッチャーで髪の毛等のゴミを捕集できるように構成されており、ヘアキャッチャーには、指で挟んでヘアキャッチャーを持ち上げることができるように取手が設けられている。
【特許文献1】特開2002−13176号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ヘアキャッチャーの取手はヘアキャッチャー本体よりも上方に突出しているが、この取手の部分に排水が流れ込むと、排水中の髪の毛等のゴミが取手に絡み付いて取手が汚れてしまい、指で挟んで持つ時に抵抗感が生じ、不衛生であるという問題点があった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は上記従来の問題点に鑑み案出したものであって、取手に髪の毛等が絡み付くことがなく、ヘアキャッチャーの取手が汚れない防水パンまたは排水口の排水構造を提供するものであり、その請求項1は、取手付きのヘアキャッチャーが取り付けられる防水パンの排水枡部において、前記ヘアキャッチャーの取手を迂回して排水するように、堤防部を排水枡の凹部底面に立設したことである。
【0005】
また、請求項2は、取手付きのヘアキャッチャーが取り付けられる防水パンの排水枡部において、前記ヘアキャッチャーの取手を迂回して排水するように、排水枡部に取り付けられる排水トラップの上面であるフランジ部に堤防部を立設したことである。
【0006】
また、請求項3は、前記堤防部が、前記防水パンまたは前記排水トラップのフランジ部と別体で形成されていることである。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、取手付きのヘアキャッチャーが取り付けられる防水パンの排水枡部において、前記ヘアキャッチャーの取手を迂回して排水するように、堤防部を排水枡の凹部底面に立設したことにより、ヘアキャッチャーの取手に向かって流れる排水が堤防部で遮られ、取手に排水中の髪の毛等が絡み付くことがなく、取手は汚れないために、抵抗感なく取手を持ってヘアキャッチャーを持ち上げることができ、衛生的なものとなる。
【0008】
また、取手付きのヘアキャッチャーが取り付けられる防水パンの排水枡部において、前記ヘアキャッチャーの取手を迂回して排水するように、排水枡部に取り付けられる排水トラップの上面であるフランジ部に堤防部を立設したことにより、取手へ向かう排水を遮蔽して良好に迂回させることができ、フランジ部に対しヘアキャッチャーの位置が固定され、ヘアキャッチャーの取手と堤防部が必ず一致するので、フランジ部の取付位置が限定されないため施工し易いものとなり、それぞれの現場の状況に合わせて排水の流れに適した堤防部の位置に修正することができるものとなる。
【0009】
また、前記堤防部が、前記防水パンまたは前記排水トラップのフランジ部と別体で形成されていることにより、既存の防水パンの排水枡部に後付けで良好に堤防部を取り付けて、ヘアキャッチャーの取手に排水が向かわないようにして、取手の汚れを良好に防ぐことができるものとなる。
【実施例】
【0010】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
図1は、浴室の概略斜視構成図であり、浴室1内には浴槽2が設けられており、洗い場3aを形成する防水パン3の浴槽2側には、下方へ凹み状に排水枡部3bが一体形成されており、この排水枡部3bには排水口3cが形成されている。
【0011】
この排水口3cには図2に拡大斜視図で示すように、着脱可能にヘアキャッチャー4が取り付けられており、ヘアキャッチャー4には、指で挟んで持ち上げることのできる取手5が一体形成されている。この取手5は、ヘアキャッチャー4の外周から立ち上がる立上片5aと、立上片5aの上端で略水平に外側へ延びる水平片5bでL字状に形成されている。
【0012】
排水枡部3bの上部は、ヘアキャッチャー4を取り付ける排水口3cの外周側に排水勾配の傾斜をもつ面状の凹部底面32が形成されており、凹部底面32の外周に凹部立上壁31が形成されて、この凹部立上壁31の上端が洗い場3aと連続しており、この排水枡部3bの凹部底面32には、ヘアキャッチャー4の取手5の外側に堤防部材6が取り付けられている。
【0013】
この堤防部材6は、FRPで別体に形成されたものであり、凹部底面32に当接する面をもつ固定部6aの一端から上方に立ち上げて堤防部6bが一体形成されており、固定部6aを凹部底面32に貼着等して固定させることで、堤防部6bを取手5の外側に立設させて、取手5に排水が流れていかないようにすることができるものである。
【0014】
洗い場3aからの排水は、排水枡部3bの凹部底面32内に流入して、ヘアキャッチャー4に流れ込み、排水中の髪の毛等のゴミがヘアキャッチャー4で捕集されるのであるが、排水は堤防部6bに遮られて取手5にはいかず、取手5の周囲を迂回してヘアキャッチャー4に流れ込むものであり、取手5には排水がいかないために、取手5に排水中の髪の毛等が絡み付くことがなく、また排水の汚れが取手5に付着することがなく、そのため、取手5には汚れが付き難いものとなり、良好にこの取手5を指で挟んでヘアキャッチャー4を上方に持ち上げて、ヘアキャッチャー4に捕集された髪の毛等を落とすことができるものである。
また、取手5は汚れていないために、取手5を持つ時の抵抗感が軽減されて、指が汚れることがなく、衛生的にヘアキャッチャー4を持ち上げることができるものとなる。
【0015】
なお、図2では、取手5はヘアキャッチャー4の外周に1ヶ所のみ形成されているが、ヘアキャッチャー4の外周に対向状に2ヶ所、取手5,5が設けられているような場合には、それぞれの取手5,5の外側にそれぞれ堤防部材6を取り付けて、堤防部6bで取手5へ向かう排水を遮蔽して迂回させることができるものである。
【0016】
なお、本例では、堤防部材6は、防水パン3とは別体で形成したものを後付けできるように構成しているが、排水枡部3bの凹部底面32に予め一体で上方へ立ち上げて堤防部6bを排水口3cの外周に形成させておいても良く、このように堤防部6bが一体形成されている場合には、この堤防部6bにヘアキャッチャー4の取手5を整合させて、ヘアキャッチャー4を排水口3cに取り付けることで、取手5に排水がかかるのを防ぎ、また取手5の汚れを防ぐことができるものとなる。
また、堤防部6bは、取手5へ水がかからないようにできるものであれば、ブロック状のものであっても、円弧状のものであっても、形状は限定されるものではない。
【0017】
なお、図3は変更例を示すものであり、図3では、排水枡部3bの凹部底面32の下方に取り付けられる図示しない排水トラップの上面であるフランジ部7に、堤防部材6を取り付けたものであり、この堤防部材6は、ヘアキャッチャー4の取手5の水平片5bの下部位置に配置されたものであり、取手5へ向かう排水を遮蔽して良好に迂回させることができるものである。
このような構成では、フランジ部7に対しヘアキャッチャー4の位置が固定され、ヘアキャッチャーの取手5と堤防部6bが必ず一致するので、フランジ部7の取付位置が限定されないため施工し易いものとなり、それぞれの現場の状況に合わせて排水の流れに適した堤防部6bの位置に修正することができるものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】浴室の概略斜視構成図である。
【図2】排水枡部の排水口にヘアキャッチャーを取り付けた状態の要部拡大斜視構成図である。
【図3】変更例を示し、排水トラップのフランジ部に堤防部材を取り付けた構成の要部拡大斜視構成図である。
【符号の説明】
【0019】
1 浴室
2 浴槽
3 防水パン
3a 洗い場
3b 排水枡部
3c 排水口
4 ヘアキャッチャー
5 取手
5a 立上片
5b 水平片
6 堤防部材
6a 固定部
6b 堤防部
7 フランジ部
32 凹部底面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
取手付きのヘアキャッチャーが取り付けられる防水パンの排水枡部において、前記ヘアキャッチャーの取手を迂回して排水するように、堤防部を排水枡の凹部底面に立設したことを特徴とする防水パンまたは排水口の排水構造。
【請求項2】
取手付きのヘアキャッチャーが取り付けられる防水パンの排水枡部において、前記ヘアキャッチャーの取手を迂回して排水するように、排水枡部に取り付けられる排水トラップの上面であるフランジ部に堤防部を立設したことを特徴とする防水パンまたは排水口の排水構造。
【請求項3】
前記堤防部が、前記防水パンまたは前記排水トラップのフランジ部と別体で形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の防水パンまたは排水口の排水構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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