説明

防汚フィルタ

【課題】交換時の手の汚れを軽減できる防汚フィルタを提供すること。
【解決手段】本発明の防汚フィルタであるレンジフード用フィルタ1Aは、シート材で形成され、給排気口に着脱されるものである。レンジフード用フィルタ1Aは、汚れの原因となる物質を捕獲する通気性の濾過部2と、着脱時に把持する把持部3とを備えている。把持部3は、濾過部2の外方で、縁部である、レンジフード用フィルタ1Aの外方の両端部1a及び/又は両側部1bに設けられている。把持部3の通気度は、濾過部2の通気度より低く形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給排気口に取り付けて使用する防汚フィルタに関する。
【背景技術】
【0002】
換気扇やレンジフードの吸入口には、調理時に発生する油煙や埃等(以下、油煙等ともいう。)によって排煙用のファン等が直接汚れないようにするために、油煙等を捕獲するグリスフィルタと称される金属製のフィルタが取り付けられている。しかし、このグリスフィルタは、掃除が面倒であるため、その手間を軽減するために、その外側に更に不織布等の素材からなる使い捨ての防汚フィルタ(所謂レンジフード用フィルタ)が取り付けられて使用されている。
【0003】
この種のレンジフード用フィルタは使用に伴って油煙等により汚染されていくため、汚染されたレンジフード用フィルタは適切な時期に交換する必要がある。また、換気扇やレンジフードは、頻繁に使用する場合からまれにしか使用しない場合まで、使用者により使用状況はさまざまである。そのため、特許文献1には、レンジフード用フィルタの一部に油煙等の通過を阻止する部分を形成することで、フィルタの汚染度に対応させてフィルタの適切な交換時期を表示できるレンジフード用フィルタ及びそのフィルタの交換時期表示方法が開示されている。また特許文献2には、レンジフード用フィルタと表示要素とを汚染物質である油煙等との親和性の異なる素材で構成する事によるレンジフード用フィルタの交換時期表示方法が開示されている。
【0004】
しかしながら、前記の特許文献1及び2に記載のレンジフード用フィルタをはじめとして、一般に市販されている不織布等からなるレンジフード用フィルタは、使用により油煙等からの油や煤、また空気中のホコリを捕集し、交換時にはその表面が油やホコリ等によって汚染されている。使用者は使用されたレンジフード用フィルタを直接手で持って交換を行わなければならないため、手が油等で汚れてしまう。このように手が汚れることは使用者に非常にストレスを与える。特許文献1及び特許文献2には、手の汚れを軽減する構成について何ら記載されておらず、手の汚れを軽減するとの効果についても何ら記載されていない。また、表示部を構成する位置の記載はなく、交換時の手の汚れを防ぐ構造とはなっていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−240297号公報
【特許文献2】特開2004−53041号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、本発明の課題は、前述した従来技術が有する欠点を解消し、交換時の手の汚れを軽減できる防汚フィルタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、シート材で形成され、給排気口に着脱される防汚フィルタであって、汚れの原因となる物質を捕獲する通気性の濾過部と、着脱時に把持する把持部とを備え、前記把持部は、前記濾過部の外方で、前記防汚フィルタの縁部に設けられており、前記把持部の通気度は、前記濾過部の通気度より低い防汚フィルタを提供するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の防汚フィルタによれば、使用後の防汚フィルタの交換時に手の汚れを軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、本発明の第1実施形態のレンジフード用フィルタの平面図である。
【図2】図2は、図1に示すレンジフード用フィルタのY−Y断面図である。
【図3】図3は、本発明の第2実施形態のレンジフード用フィルタの平面図である。
【図4】図4は、図3に示すレンジフード用フィルタのY−Y断面図である。
【図5】図5は、本発明の第3実施形態のレンジフード用フィルタの平面図である。
【図6】図6は、図5に示すレンジフード用フィルタのY−Y断面図である。
【図7】図7は、レンジフードのグリスフィルタにレンジフード用フィルタを取り付けた状態を示す斜視図である。
【図8】図8は、油の捕集性の試験状態を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の防汚フィルタであるレンジフード用フィルタの好ましい第1実施形態について、図1〜図2,図7に基づいて説明する。尚、各図中、同一符号は同一の構成要素を示している。
【0011】
第1実施形態のレンジフード用フィルタ1A(以下、「フィルタ1A」ともいう)は、図1及び図2に示すように、シート材で形成され、レンジフードの給排気口やグリスフィルタに着脱されるフィルタである。フィルタ1Aは、図1及び図2に示すように、汚れの原因となる物質を捕獲する通気性の濾過部2と、着脱時に把持する把持部3とを備えている。把持部3は、特に、フィルタ1Aの交換時の手の汚れを防ぐために設けられている。第1実施形態のフィルタ1Aは、図2に示すように、濾過部2を形成するシート材20と別シート材30とが接合一体化されて形成されている。以下、具体的に説明する。
【0012】
第1実施形態のフィルタ1Aは、図1に示すように、長方形状であり、以下、その長手方向をY方向といい、その幅方向をX方向という。フィルタ1Aは、図2に示すように、把持部3を、濾過部2を形成するシート材20の縁部である、長手方向((フィルタ1Aの長手方向(Y方向)と同方向))の両端部20a,20aそれぞれの一方面に別シート材30を固着して、形成している。フィルタ1Aは、交換のし易さや通気性や換気性の維持という観点から、把持部3を、図1に示すように、濾過部2の外方で、縁部である、長手方向(Y方向)の両端部1a,1aそれぞれに設けている。フィルタ1Aにおいては、図1に示すように、フィルタ1A及びシート材20との大きさが同じであり、フィルタ1Aの長手方向(Y方向)の両端部1a,1aと、濾過部2を形成するシート材20の長手方向(Y方向)の両端部20a,20aとは同じ領域である。
【0013】
濾過部2を形成するシート材20は、図1に示すように、フィルタ1Aの長手方向(Y方向)に長い長方形状のシートである。別シート材30は、図1に示すように、フィルタ1Aの幅方向(X方向)に長い長方形状のシートである。フィルタ1Aは、図1,図2に示すように、シート材20の長手方向(Y方向)の端部20a領域に、その端縁20a1に沿って幅方向(X方向)に連続して長方形状の別シート材30を配し、固着して形成されている。第1実施形態のフィルタ1Aにおいては、把持部3は、フィルタ1Aの長手方向(Y方向)の両端部1a,1aに形成され、シート材20と別シート材30とから形成されている。フィルタ1Aは、金属からなるグリスフィルタに当接するグリスフィルタ当接面側にシート材20を配し、グリスフィルタ非当接面側に別シート材30を配して使用される。
【0014】
フィルタ1Aは、図1に示すように、その長手方向(Y方向)の長さL1が、260mm〜1800mmであり、その幅方向(X方向)の長さW1が、260mm〜600mmである。フィルタ1Aの端部1aは、図1に示すように、Y方向の長さL2が、20mm〜100mmである。フィルタ1Aの長さL1に対するフィルタ1Aの1個の端部1aの長さL2の比(L2/L1)は、取替え時の把持部の持ちやすさと、通気性や換気性の維持の両立の観点から、4%〜20%であることが好ましく、5%〜10%であることが更に好ましい。
フィルタ1Aは、装着時の2個の把持部3の総面積が、通気性や換気性の維持という観点から、フィルタ1Aの全面積に対して5%〜30%、特に10%〜25%となるように形成されることが好ましい。
【0015】
フィルタ1Aは、把持部3の通気度が、濾過部2の通気度より低く形成されている。濾過部2の通気度は、油の捕集性及び油煙等の十分な吸引の観点から、20〜150m/KPa・sであることが好ましく、30〜130m/KPa・sであることが更に好ましい。濾過部2の通気度は、カトーテック(株)のKES−F8−AP1(通気性試験機)にて測定される。濾過部2の通気度は、濾過部2を形成するシート材20の構成繊維の繊維径や、坪量等を調整することにより、コントロールできる。把持部3を通過する油煙等の量を十分に少なくし、使用後のフィルタ1Aの交換時に手の汚れを軽減する観点、及び使用後のフィルタ1Aの濾過部2と把持部3との汚染度の差を見分け易い観点から、把持部3の通気度は、濾過部2の通気度の0〜60%の範囲であることが好ましく、0〜20%の範囲であることが更に好ましい。
【0016】
第1実施形態のフィルタ1Aにおいては、図2に示すように、把持部3における上流側(グリスフィルタ非当接面側)の面上に、油吸収性部材4を固着している。詳述すると、フィルタ1Aにおいては、図1,2に示すように、別シート材30のグリスフィルタ非当接面側の上面全域が、油吸収性部材4により覆われている。
【0017】
第1実施形態のフィルタ1Aにおいては、図1に示すように、四隅に、小袋状の磁石収容部50を備えている。磁石収容部50は、金属からなるグリスフィルタ61(図7参照)にフィルタ1Aを固定するブロック状の磁石5を収容する部分である。磁石5は、使い捨てのレンジフード用フィルタをレンジフードのグリスフィルタ61に取り付ける際に一般的に用いられるものである。フィルタ1Aの四隅それぞれに形成された磁石収容部50は、図1に示すように、把持部3に形成されており、シート材20と別シート材30との間に非接着領域を設けることにより形成されている。詳細には、1個の磁石5を囲むように、フィルタ1Aの中央側に開いたコの字状の固着部により、シート材20及び別シート材30を固着することにより形成されている。
【0018】
フィルタ1Aの濾過部2を形成するシート材20は、繊維シートからなる。繊維シートとしては、繊維材料からなり、シート形態を有しているものであれば、その種類に特に制限はない。本実施形態のフィルタ1Aが、使い捨てのものであることや、嵩高で油捕集能が高いことが必要であることを考慮すると、繊維シートとして不織布を用いることが好ましい。
【0019】
シート材20の繊維シートとして用いられる不織布としては、従来知られている種々のタイプのものを特に制限なく用いることができる。例えばメルトブローン不織布、スパンボンド不織布、繊維間を熱接着させるヒートボンド不織布のエアスルー不織布、エアレイド不織布、繊維を交絡させるスパンレース不織布、ケミカルボンド不織布、ニードルパンチ不織布、樹脂等の塗工により繊維を接着する不織布等が挙げられる。本実施形態のレンジフード用のフィルタ1Aには、難燃性が好ましいことから、不織布を構成する繊維はその融点が高いことが望ましい。したがって熱融着によらずシート化が可能な不織布を用いることが有利である。この観点から、不織布としてスパンレース不織布を用いることが好ましい。また、構成繊維として難燃性繊維を用いた場合は、厚みがあり通気による圧力損失を低減する事が可能なエアスルー不織布やエアレイド不織布も好適に用いる事ができる。尚、ここで言う難燃性繊維とは、LOI(Limited Oxygen Index:限界酸素指数)値が26以上の繊維を示す。
【0020】
シート材20の繊維シートの繊維径は、油煙を確実に捕集しつつ通気性を確保するという観点から、5μm以上35μm未満とすることが望ましい。なお、繊維シートを構成する繊維は、そのすべてが前記の範囲の繊維径を有していることが望ましいが、本発明の効果を損なわない範囲において、前記の範囲外の繊維径を有する繊維が少量含まれていてもよい。
【0021】
フィルタ1Aの濾過部2の坪量や厚みは、フィルタ1Aの強度やグリスフィルタ61(図7参照)への取り付け性と関係している。即ち、濾過部2の坪量が低すぎると、グリスフィルタ61への装着時に伸びが生じて弛みができ易く、隙間なくフィルタを取り付けるのが困難な場合がある。また長期間の使用によって、捕集した油により濾過部2の自重が増加して、伸びが生じる場合がある。このような伸びや弛みの発生は、フィルタ1Aとグリスフィルタ61との間に隙間を生じる原因になる。この隙間は油煙等の進入経路となり、それに起因してグリスフィルタ61やレンジフード6の内部、例えばファン等が汚れることがある。
【0022】
以上の観点から、濾過部2を形成するシート材20の坪量は20〜150g/m2、特に20〜100g/m2であることが好ましい。また濾過部2での厚みは、0.5〜10mm、特に1〜8mmであることが好ましい。
【0023】
フィルタ1Aの別シート材30は、シート形態の材料からなる。シート形態の材料としては、使用者がサイズをあわせるために自由にカットが可能であり、取り付けに有利なようにある程度の柔軟性を持たせるという観点から、繊維材料からなるシート、合成樹脂製フィルム、アルミ箔等が好ましい。経済性や廃棄性の観点から、別シート材30は、特に、シート材20より通気度の低い繊維材料からなるシートであること、特に不織布であることが好ましい。
グリスフィルタ61やレンジフード6等の排気口枠体へのフィット性、サイズ調整性、廃棄性(ゴミの分別のし易さ)の観点から、フィルタ1Aは、繊維材料からなるシート材20と繊維材料からなる別シート材30とから形成されていることが好ましい。
【0024】
別シート材30の繊維材料からなるシートとしては、従来知られている種々のタイプの不織布を特に制限なく用いることができる。例えばメルトブローン不織布、スパンボンド不織布、繊維間を熱接着させるヒートボンド不織布のエアスルー不織布、エアレイド不織布、繊維を交絡させるスパンレース不織布、ケミカルボンド不織布、ニードルパンチ不織布、樹脂等の塗工により繊維を接着する不織布などが挙げられる。
【0025】
別シート材30の繊維シートの繊維径は、濾過部2と比較して密度を高め、通気度を低くする必要があるという観点から、濾過部2を構成するシート材20の構成繊維径より細いことが好ましく、具体的には、5μm以上30μm未満とすることが望ましい。なお、繊維シートを構成する繊維は、そのすべてが前記の範囲の繊維径を有していることが望ましいが、本発明の効果を損なわない範囲において、前記の範囲外の繊維径を有する繊維が少量含まれていてもよい。
【0026】
別シート材30の坪量は、繊維材料からなるシートの場合には、15〜500g/m2であることが好ましく、20〜300g/m2であることが更に好ましく、その厚みは0.5〜10mmであることが好ましく、1〜8mmであることが更に好ましい。
【0027】
別シート材30が繊維材料からなるシートの場合には、フィルタ1Aの把持部3での坪量(濾過部2を形成する繊維シートからなるシート材20と、別シート材30との総合坪量)は、30〜600g/m2であることが好ましく、40〜400gm2であることが更に好ましく、その厚みは、1〜20mmであることが好ましく、2〜16mmであることが更に好ましい。
【0028】
フィルム1Aの濾過部2を形成するシート材20及び別シート材30の構成部材は防炎性であることが好ましい。例えば、ガラス繊維、炭素繊維などの不燃性繊維、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリクラール、難燃ポリエステル、難燃アクリル、難燃レーヨン、難燃ポリプロピレン、難燃ポリエチレン等の難燃性繊維又は難燃性樹脂を用いることが好ましい。あるいは、不燃物繊維及び/又は難燃性繊維を混綿することが好ましい。難燃性の繊維又は樹脂とは、LOI値が26以上の繊維又は樹脂のことである。
【0029】
フィルム1Aのシート材20及び別シート材30の構成部材が不燃性や難燃性でない場合、又は不燃性や難燃性であっても防炎性が不十分である場合には、後加工工程でハロゲン系又はリン系の難燃剤をシート材20又は別シート材30の構成部材に施したり、ポリホウ酸の難燃剤をシート材20又は別シート材30の構成部材に施したりしてもよい。あるいは難燃剤を含んだ樹脂をバインダとしてシート材20又は別シート材30の構成繊維表面に施して、その被膜を形成してもよい。
【0030】
フィルム1Aのシート材20及び別シート材30の構成部材が不燃性や難燃性でない場合には、該構成部材として、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン等のポリオレフィン系材料、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系材料、ナイロン6、ナイロン66等のポリアミド系材料、ポリアクリルニトリル系材料、レーヨン、各種ゴム等からなる部材を用いることができる。また、該構成部材として、ポリ塩化ビニル等のビニル系材料や、ポリ塩化ビニリデン等のビニリデン系等からなる部材を用いることもできる。更に、該構成部材として、これらの材料の変成物、アロイ又は混合物等からなる部材を用いることもできる
【0031】
上述したように、本実施形態のフィルム1Aにおいては、その把持部3が、濾過部2を形成するシート材20に別シート材30を固着することにより形成されている。固着する方法としては、シート材20及び別シート材30の構成材料等に応じ、接着剤による接着や熱の作用による融着、及び超音波エンボスによる融着等の公知の接合手段が採用される。
【0032】
フィルタ1Aに備えられた油吸収性部材4としては、住友スリーエム製のマイクロポーラスフィルム等の油吸収性フィルムや、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン等の親油性の繊維層等を用いることができる。別シート材30と油吸収性部材4とは、接合一体化されているか、又は非接合状態で積層されている。別シート材30と油吸収性部材4とが接合一体化されている場合、両者の接合方法としては、これらの層の構成材料等に応じ、接着剤による接着や熱の作用による融着、及び超音波による融着等の公知の接合手段が採用される。
【0033】
上述した本発明の第1実施形態のレンジフード用フィルタ1Aを使用した際の作用効果について説明する。
フィルタ1Aは、図7に示すように、レンジフード6の金属部位である、例えば、グリスフィルタ61に取り付けられる。図7においては、グリスフィルタ61を覆うように、2枚のフィルタ1Aを並置して取り付けている。各フィルタ1Aは、その四隅の磁石収容部50それぞれにブロック状の磁石5を収容し、グリスフィルタ61に当接するグリスフィルタ当接面側にシート材20を配し、グリスフィルタ非当接面側に別シート材30を配して取り付けられ、使用される。グリスフィルタ61に取り付けられたフィルタ1Aにおいては、把持部3の通気度が濾過部2の通気度より低く形成されているので、油煙が濾過部2を通過し、把持部3での通過を阻止することができる。そのため、把持部3の表面につく汚れを軽減することができ、使用後のフィルタ1Aの交換時に把持部3をもって交換することで、手の汚れを軽減することができる。また、把持部3の表面につく汚れを軽減することができるので、フィルタ1Aの使用後には、濾過部2と把持部3との汚染度に差が現れるので、交換時期を目視にて判断することができる。
【0034】
第1実施形態のレンジフード用フィルタ1Aは、図2に示すように、把持部3における上流側の上面に、油吸収性部材4を配している。油吸収性部材4は表面について油を吸収して内部に閉じ込めることができるため、使用時に把持部3が油煙等にさらされたとしても、油煙等による汚染を、油吸収性部材4によって吸収することができるので、手の汚れを更に軽減できる。
【0035】
第1実施形態のレンジフード用フィルタ1Aは、図7に示すように、2枚のフィルタ1Aを並置して取り付けているが、グリスフィルタ61を覆う大きさの1枚のフィルタ1Aを取り付けてもよい。図7に示すように、2枚のフィルタ1Aを並置して取り付けることにより、例えば、使用後の汚れの程度が2枚のフィルタ1A同士で異なる場合に、汚れのひどい方のフィルタ1Aのみを交換すればよく、経済的である。また、グリスフィルタ61に、その半分の大きさのフィルタ1Aを2枚別々に取り付けることにより、操作性が向上する。
【0036】
第1実施形態のレンジフード用フィルタ1Aは、図2に示すように、ブロック状の磁石5を収容する小袋状の磁石収容部50を備えている為、何度も使用して使いまわす磁石4を汚し難い。
【0037】
第1実施形態のレンジフード用フィルタ1Aは、図2に示すように、把持部3を、濾過部2を形成するシート材20の長手方向(Y方向)の両端部20a,20aそれぞれに別シート材30を固着して形成されている。その為、フィルタ1Aの把持部3(両端部1a,1a)は、2枚のシート材を備え、1枚のシート材からなる濾過部2よりも剛性が高いので、グリスフィルタ61へのフィルタ1Aの取り付け性が向上する。
【0038】
次に、本発明の第2実施形態のレンジフード用フィルタについて、図3及び図4に基づいて説明する。
第2実施形態のレンジフード用フィルタ1B(以下、「フィルタ1B」ともいう)については、第1実施形態のレンジフード用フィルタ1Aと異なる点について説明し、同様の点については、同一の符号を付して説明を省略する。特に説明しない点は、第1実施形態のレンジフード用フィルタ1Aと同様であり、第1実施形態のレンジフード用フィルタ1Aの説明が適宜適用される。
【0039】
フィルタ1Bは、図3に示すように、長方形状であり、以下、その長手方向をY方向といい、その幅方向をX方向という。フィルタ1Bは、図4に示すように、把持部3を、濾過部2を形成するシート材20の縁である、長手方向((フィルタ1Aの長手方向(Y方向)と同方向))の両端縁20a1,20a1及び両側縁20b1,20b1それぞれに、両端縁20a1,20a1及び両側縁20b1,20b1それぞれから外方に延出する別シート材30を固着して、形成している。フィルタ1Bは、図3,図4に示すように、別シート材30を、濾過部2を形成する1枚の長方形状のシート材20の外方で、その全周縁20a1,20a1,20b1,20b1に沿って配し固着して、形成されている。即ち、フィルタ1Bは、把持部3を、図3に示すように、濾過部2の外方で、長手方向(Y方向)の両端部1a,1a及び両側部1b,1bそれぞれに設けて、形成されている。フィルタ1Bの濾過部2及び把持部3は、互いに固着する部位以外では、図4に示すように、それぞれ1枚のシート材から形成されている。第2実施形態のフィルタ1Bにおいては、把持部3は、図3に示すように、フィルタ1Bの長手方向(Y方向)の両端部1a,1a及び両側部1b,1bに形成され、別シート材30のみから形成されている。
【0040】
フィルタ1Bは、図3に示すように、その長手方向(Y方向)の長さL1及び幅方向(X方向)の長さW1に関しては、フィルタ1Aと同じであるが、濾過部2を形成するシート材20の長手方向(Y方向)の長さL3が、200mm〜1800mmであり、その幅方向(X方向)の長さW3が、200mm〜600mmである。フィルタ1Bの端部1aは、図3に示すように、Y方向の長さL2に関しては、フィルタ1Aと同じであるが、フィルタ1Bの側部1bは、X方向の長さW2が、20mm〜100mmである。フィルタ1Bの長さL1に対するフィルタ1Bの1個の端部1aの長さL2の比(L2/L1)は、フィルタ1Aと同じであるが、フィルタ1Bの長さW1に対するフィルタ1Bの1個の側部1bの長さW2の比(W2/W1)は、取替え時の把持部の持ちやすさと、通気性や換気性の維持の両立の観点から、4%〜20%であることが好ましく、5%〜10%であることが更に好ましい。
【0041】
尚、フィルタ1Bは、フィルタ1Aと異なり、油吸収性部材4を配しておらず、ブロック状の磁石5を収容する小袋状の磁石収容部50を備えていない。
【0042】
上述した本発明の第2実施形態のレンジフード用フィルタ1Bを使用した際の作用効果について説明する。
第2実施形態のレンジフード用フィルタ1Bは、油吸収性部材4による効果及び磁石収容部50を備えている効果以外については、第1実施形態のレンジフード用フィルタ1Aと同様の効果が得られる。以下、第1実施形態のレンジフード用フィルタ1Aと異なる効果について説明する。尚、フィルタ1Bは、磁石収容部50を備えていないので、フィルタ1Bの四隅それぞれに、ブロック状の磁石5を露出した状態で配してグリスフィルタ61に取り付けられる。
【0043】
第2実施形態のレンジフード用フィルタ1Bは、フィルタ1Bは把持部3が単体の不織布であるため、第1実施形態のフィルタ1Aと比較して把持部3の厚みを薄くすることができる。その結果、磁石で取り付けを行う際、磁石とレンジフード・換気扇本体との距離が近くなり、吸引力が増し、取り付けやすくなる。また、切ってサイズをあわせる際にも、切りやすく扱いやすい。
【0044】
次に、本発明の第3実施形態のレンジフード用フィルタについて、図5及び図6に基づいて説明する。
第3実施形態のレンジフード用フィルタ1C(以下、「フィルタ1C」ともいう)については、第1実施形態のレンジフード用フィルタ1Aと異なる点について説明し、同様の点については、同一の符号を付して説明を省略する。特に説明しない点は、第1実施形態のレンジフード用フィルタ1Aと同様であり、第1実施形態のレンジフード用フィルタ1Aの説明が適宜適用される。
【0045】
フィルタ1Cは、図5に示すように、長方形状であり、以下、その長手方向をY方向といい、その幅方向をX方向という。フィルタ1Cは、図6に示すように、濾過部2を形成するシート材20が熱可塑性繊維で構成されている。フィルタ1Cにおいては、図6に示すように、把持部3を、濾過部2を形成するシート材20の縁部である、長手方向((フィルタ1Aの長手方向(Y方向)と同方向))の両端部20a,20aそれぞれにおける熱可塑性繊維を熱融着することによってフィルム化して形成している。フィルタ1Cにおいては、濾過部2及び把持部3が、図6に示すように、一枚のシート材20から形成されている。第3実施形態のフィルタ1Cにおいては、把持部3は、図5に示すように、フィルタ1Cの長手方向(Y方向)の両端部1a,1aに形成され、図6に示すように、濾過部2のシート材20の長手方向(Y方向)の両端部20a,20aをフィルム化して形成されている。
【0046】
フィルタ1Cは、図5に示すように、その長手方向(Y方向)の長さL1及び幅方向(X方向)の長さW1に関しては、フィルタ1Aと同じである。フィルタ1Cの端部1aは、図5に示すように、Y方向の長さL2に関しては、フィルタ1Aと同じである。また、フィルタ1Cの長さL1に対するフィルタ1Cの1個の端部1aの長さL2の比(L2/L1)も、フィルタ1Aと同じである。
【0047】
尚、フィルタ1Cは、フィルタ1Aと異なり、油吸収性部材4を配しておらず、ブロック状の磁石5を収容する小袋状の磁石収容部50を備えていない。
【0048】
上述した本発明の第3実施形態のレンジフード用フィルタ1Cを使用した際の作用効果について説明する。
第3実施形態のレンジフード用フィルタ1Cは、油吸収性部材4による効果及び磁石収容部50を備えている効果以外については、第1実施形態のレンジフード用フィルタ1Aと同様の効果が得られる。以下、第1実施形態のレンジフード用フィルタ1Aと異なる効果について説明する。尚、フィルタ1Cは、磁石収容部50を備えていないので、フィルタ1Cの四隅それぞれに、ブロック状の磁石5を露出した状態で配してグリスフィルタ61に取り付けられる。
【0049】
第3実施形態のレンジフード用フィルタ1Cは、フィルタ1Cは把持部3がフィルム化した薄いシートであるため、フィルタ1Aと比較して把持部3の厚みが薄い。その結果、磁石で取り付けを行う際、磁石とレンジフード・換気扇本体との距離が近くなり、吸引力が増し、取り付けやすくなる。また、切ってサイズをあわせる際にも、切りやすく扱いやすい。さらに、フィルタ1Cは、一枚の不織布を後加工でフィルム化させるだけでよいため部材が少なく、生産上の工程が少なくすみ、コスト面で有利である。
【0050】
本発明の防汚フィルタは、上述の第1〜第3実施形態のレンジフード用フィルタに何ら制限されるものではなく、適宜変更可能である。また、上述の第1〜第3実施形態のレンジフード用フィルタにおける各構成要件は、本発明の趣旨を損なわない範囲で、適宜組み合わせて実施できる。
【0051】
例えば、上述の第1〜第3実施形態のレンジフード用フィルタ1A,1B,1Cにおいては、その形状が縦長の長方形状であるが、横長の長方形状や正方形状等の四角形状であってもよく、三角形状や、円状や、楕円状であってもよい。レンジフード用フィルタの形状が、円状や、楕円状である場合の、縁部とは、外周縁部のことを意味し、縁とは、外周縁のことを意味する。
【0052】
また、上述の第1〜第3実施形態のレンジフード用フィルタ1A,1B,1Cにおいては、把持部3は、図1,図3,図5に示すように、その長手方向(Y方向)端部1aの全域に形成されているが、一部に形成されていてもよい。同様に、上述の第2実施形態のレンジフード用フィルタ1Bにおいては、把持部3は、図3に示すように、その長手方向(Y方向)側部1bの全域にも形成されているが、一部に形成されていてもよい。
【0053】
また、上述の第1,第3実施形態のレンジフード用フィルタ1A,1Cにおいては、図1,図5に示すように、把持部3を、その長手方向(Y方向)の両端部1aにのみ設け、上述の第2実施形態のレンジフード用フィルタ1Bにおいては、図3に示すように、把持部3を、その長手方向(Y方向)両端部1a及び両側部1bに設けているが、長手方向(Y方向)の両側部1bにのみ設けてもよい。
【0054】
また、上述の第1実施形態のレンジフード用フィルタ1Aにおいては、図1,図2に示すように、把持部3における上流側(グリスフィルタ非当接面側)の面上全域を覆うように、油吸収性部材4が設けられているが、一部に設けられていてもよく、特に、小袋状の磁石収容部50を覆うように設けられていてもよい。
【0055】
本発明の防汚フィルタは、レンジフード用フィルタ以外にも、例えば、エアコン用フィルタ、室内外通気口用フィルタ等のフィルタに好適に用いることができる。
【実施例】
【0056】
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明する。しかしながら本発明の範囲はかかる実施例に制限されない。
【0057】
〔実施例1〕
図5,図6に示す構造のレンジフード用フィルタを製造した。
濾過部2を形成するシート材20としては、表1に記載の坪量45g/m2のエアスルー不織布を用いた。シート材20の不織布のサイズは、Y方向に30cm、X方向に28cmである。シート材20の不織布は、芯がポリプロピレンで、鞘がポリエチレンからなる芯鞘型複合繊維(繊維径17.5μm)から構成されていた。シート材20の不織布の通気度は54m/(kPa・s)であった。
実施例1のレンジフード用フィルタにおいては、把持部3を、濾過部2を形成するシート材20のY方向の上端部5cm及び下端部5cmの範囲に200度に加熱したアイロンにより繊維同士を熱融着させフィルム化して形成した。
【0058】
〔実施例2〕
図1,図2に示す構造のレンジフード用フィルタを製造した。
濾過部2を形成するシート材20としては、実施例1と同じ不織布を用いた。別シート材30としては、表1に記載の坪量45g/m2のエアスルー不織布を用いた。
別シート材30の不織布のサイズは、Y方向に5cm、X方向に28cmである。別シート材30の不織布は、芯がポリプロピレンで、鞘がポリエチレンからなる芯鞘型複合繊維(繊維径17.5μm)から構成され、さらに200度のアイロンでフィルム化されていた。
実施例2のレンジフード用フィルタにおいては、把持部3を、濾過部2を形成するシート材20のY方向の上端部5cm及び下端部5cmの範囲それぞれに別シート材30の不織布を重ね合わせてラインエンボスにより融着し一体化して形成した。
【0059】
〔実施例3〕
図1,図2に示す構造のレンジフード用フィルタを製造した。
濾過部2を形成するシート材20としては、実施例1と同じ不織布を用いた。
別シート材30としては、表1に記載の坪量90g/m2のエアスルー不織布を用いた。別シート材30の不織布のサイズは、Y方向に5cm、X方向に28cmである。別シート材30の不織布は、芯がポリプロピレンで、鞘がポリエチレンからなる芯鞘型複合繊維(繊維径17.5μm)から構成され、さらに200度のアイロンでフィルム化されていた。
実施例3のレンジフード用フィルタにおいては、把持部3を、濾過部2を形成するシート材20のY方向の上端部5cm及び下端部5cmの範囲それぞれに別シート材30の不織布を重ね合わせてラインエンボスにより融着し一体化して形成した。
【0060】
〔実施例4〕
図3,図4に示す構造のレンジフード用フィルタを製造した。但し、実施例4のレンジフード用フィルタには、長手方向の両側縁部1b,1bに把持部3を有していない。
濾過部2を形成するシート材20としては、実施例1と同じ不織布を用いた。但し、シート材20の不織布のサイズは、Y方向に20cm、X方向に28cmである。
別シート材30としては、表1に記載の坪量45g/m2のエアスルー不織布を用いた。別シート材30の不織布のサイズは、Y方向に6cm、X方向に28cmである。別シート材30の不織布は、芯がポリプロピレンで、鞘がポリエチレンからなる芯鞘型複合繊維(繊維径17.5μm)から構成され、さらに200度のアイロンでフィルム化されていた。
実施例4のレンジフード用フィルタにおいては、把持部3を、濾過部2を形成するシート材20のY方向の上端縁20a1及び下端縁20a1それぞれから外方に別シート材30の不織布が延出するように配してラインエンボスにより融着し一体化して形成した。
【0061】
〔実施例5〕
図5,図6に示す構造のレンジフード用フィルタを製造した。
濾過部2を形成するシート材20としては、表1に記載の坪量50g/m2のスパンレース不織布を用いた。シート材20の不織布のサイズは、Y方向に30cm、X方向に28cmである。シート材20の不織布は、ポリプロピレン繊維(繊維径16μm)から構成されていた。シート材20の不織布の通気度は34m/(kPa・s)であった。
実施例5のレンジフード用フィルタにおいては、把持部3を、濾過部2を形成するシート材20のY方向の上端部5cm及び下端部5cmの範囲に200度に加熱したアイロンにより繊維同士を熱融着させフィルム化して形成した。
【0062】
〔実施例6〕
図1,図2に示す構造のレンジフード用フィルタを製造した。
濾過部2を形成するシート材20としては、実施例5と同じ不織布を用いた。
別シート材30としては、表1に記載の坪量45g/m2のエアスルー不織布を用いた。別シート材30の不織布のサイズは、Y方向に5cm、X方向に28cmである。別シート材30の不織布は、芯がポリプロピレンで、鞘がポリエチレンからなる芯鞘型複合繊維(繊維径17.5μm)から構成され、さらに200度のアイロンでフィルム化されていた。
実施例6のレンジフード用フィルタにおいては、把持部3を、濾過部2を形成するシート材20のY方向の上端部5cm及び下端部5cmの範囲それぞれに別シート材30の不織布を重ね合わせてラインエンボスにより融着し一体化して形成した。
【0063】
〔実施例7〕
図3,図4に示す構造のレンジフード用フィルタを製造した。但し、実施例7のレンジフード用フィルタには、長手方向の両側縁部1b,1bに把持部3を有していない。
濾過部2を形成するシート材20としては、実施例5と同じ不織布を用いた。但し、シート材20の不織布のサイズは、Y方向に20cm、X方向に28cmである。
別シート材30としては、表1に記載の坪量45g/m2のエアスルー不織布を用いた。別シート材30の不織布のサイズは、Y方向に6cm、X方向に28cmである。別シート材30の不織布は、芯がポリプロピレンで、鞘がポリエチレンからなる芯鞘型複合繊維(繊維径17.5μm)から構成され、さらに200度のアイロンでフィルム化されていた。
実施例7のレンジフード用フィルタにおいては、把持部3を、濾過部2を形成するシート材20のY方向の上端縁20a1及び下端縁20a1それぞれから外方に別シート材30の不織布が延出するように配してラインエンボスにより融着し一体化して形成した。
【0064】
〔実施例8〕
図1,図2に示す構造のレンジフード用フィルタを製造した。
濾過部2を形成するシート材20としては、表1に記載の坪量40g/m2のエアレイド不織布を用いた。シート材20の不織布のサイズは、Y方向に30cm、X方向に28cmである。シート材20の不織布は、芯がポリプロピレンで、鞘がポリエチレンからなる芯鞘型複合繊維(繊維径30μm)から構成されていた。シート材20の不織布の通気度は317m/(kPa・s)であった。
別シート材30としては、表1に記載の坪量45g/m2のエアスルー不織布を用いた。別シート材30の不織布のサイズは、Y方向に5cm、X方向に28cmである。別シート材30の不織布は、芯がポリプロピレンで、鞘がポリエチレンからなる芯鞘型複合繊維(繊維径17.5μm)から構成され、さらに200度のアイロンでフィルム化されていた。
実施例8のレンジフード用フィルタにおいては、把持部3を、濾過部2を形成するシート材20のY方向の上端部5cm及び下端部5cmの範囲それぞれに別シート材30の不織布を重ね合わせてラインエンボスにより融着し一体化して形成した。
【0065】
〔比較例1〕
比較例1のレンジフード用フィルタは、実施例1のレンジフード用フィルタの濾過部2を形成するシート材20と同じ不織布で形成されている。尚、比較例1のレンジフード用フィルタは、把持部3を有していない。
【0066】
〔比較例2〕
比較例2のレンジフード用フィルタは、実施例5のレンジフード用フィルタの濾過部2を形成するシート材20と同じ不織布で形成されている。尚、比較例2のレンジフード用フィルタは、把持部3を有していない。
【0067】
〔比較例3〕
比較例3のレンジフード用フィルタは、実施例8のレンジフード用フィルタの濾過部2を形成するシート材20と同じ不織布で形成されている。尚、比較例3のレンジフード用フィルタは、把持部3を有していない。
【0068】
〔評価〕
実施例及び比較例で得られたレンジフード用フィルタについて、通気度及び使用評価を以下の方法で測定、評価した。尚、比較例で得られたレンジフード用フィルタには、把持部が設けられていないため、実施例で得られたレンジフード用フィルタの把持部と同じ領域を測定した。得られた結果を以下の表1に示す。
【0069】
〔通気度の測定〕
ろ過部と把持部の通気度は、カトーテック(株)のKES−F8−AP1(通気性試験機)にて測定した。
【0070】
〔使用評価〕
実施例及び比較例で得られたレンジフード用フィルタについて、濾過部および把持部の単位面積当たりの油捕集量、濾過部と把持部の色差を以下の方法で評価した。
財団法人ベターリビングが公表している優良住宅部品性能試験方法書における換気ユニット(台所ファン)フィルタの油捕集効率試験(BLT VU−08)を参考にして、試験順序を以下のように行った。図8にこの試験状態を示す。
1.コンロの上にのせたフライパンに食用油12.4g、粉状ウコン0.1gの混合物入れて1分間熱する。
2.上方より、水滴を200g/25分で滴下し油煙を発生させる。
3.発生した油煙を換気扇で排気する。
4.排気する際にフィルタで油分を捕集する。
5.1回の試験時間は、30分とし、2回行う。
6.試験後と試験前の濾過部および把持部の重量を測定し、その差をそれぞれ濾過部および把持部の面積によって割ることで単位面積当たりの油捕集量を得た。
7.試験後の濾過部と把持部の色彩(L*** 表色系)をミノルタカメラ株式会社製色彩色差計CR−210を用いて測定し、JIS Z 8730 7.1.1に記載の計算式を用いて色差ΔE*abを求めた。
尚、比較例のレンジフード用フィルタについては、その中央部分とその上下端部の各端から5cm部分の色差を測定した。
【0071】
【表1】

【0072】
表1に示す結果から明らかなように、各実施例のレンジフード用フィルタは、濾過部に対して把持部に付着する油の量が少なく、その部分をもって交換を行うことで手の汚れを軽減できることがわかる。また、濾過部と把持部の色差も大きく、使用時にレンジフード用フィルタの汚れを視認しやすく、取替え時の目安になることがわかる。表1に示す結果から明らかなように、濾過部と把持部との通気度の差が大きいほど油付着量の差及び色差は大きくなり、より手の汚れを軽減させ、汚染の具合を視認しやすくなることがわかる。
これに対して、把持部の存在しない各比較例のレンジフード用フィルタは、その全面が略均一に油によって汚染され、交換時に手が汚れやすいことがわかる。また、濾過部と把持部の色差も殆どなく、使用時にレンジフード用フィルタの汚れを視認し難いことがわかる。
【符号の説明】
【0073】
1A,1B,1C レンジフード用フィルタ
1a レンジフード用フィルタの長手方向(Y方向)の端部
1b レンジフード用フィルタの長手方向(Y方向)の側部
2 濾過部
20 濾過部2を形成するシート材
20a シート材20のY方向の端部
20a1 シート材20のY方向の端縁
20b1 シート材20のY方向の側縁
3 把持部
30 別シート材
4 油吸収性部材
5 磁石
50 磁石収容部
6 レンジフード
61 グリスフィルタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート材で形成され、給排気口に着脱される防汚フィルタであって、
汚れの原因となる物質を捕獲する通気性の濾過部と、着脱時に把持する把持部とを備え、
前記把持部は、前記濾過部の外方で、前記防汚フィルタの縁部に設けられており、
前記把持部の通気度は、前記濾過部の通気度より低い防汚フィルタ。
【請求項2】
前記把持部は繊維材料で形成されている請求項1に記載の防汚フィルタ。
【請求項3】
前記把持部を、前記濾過部を形成するシート材の縁部に別シート材を固着して形成した請求項2に記載の防汚フィルタ。
【請求項4】
前記把持部を、前記濾過部を形成するシート材の縁に、該縁から外方に延出する別シート材を固着して形成した請求項2に記載の防汚フィルタ。
【請求項5】
前記別シート材は、前記シート材より通気度の低い繊維材料からなる請求項3又は4に記載の防汚フィルタ。
【請求項6】
前記濾過部を形成するシート材が熱可塑性繊維で構成されており、
前記把持部を、前記シート材の縁部における前記熱可塑性繊維を熱融着することによってフィルム化して形成した請求項2に記載の防汚フィルタ。
【請求項7】
前記把持部における上流側の面上に、油吸収性部材を固着してなる請求項1〜6の何れかに記載の防汚フィルタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−78868(P2011−78868A)
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−231338(P2009−231338)
【出願日】平成21年10月5日(2009.10.5)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】