説明

防災表示装置

【課題】 CRT画面に設定されている断面キープランエリアを有効に利用できる防災表示装置を提供する。
【解決手段】 制御部19は、グラフィックエリアに表示される平面図の各フロアに対応してフロア選択スイッチ50が配列されたフロア選択ウィンドウ画面を断面キープランエリアに表示し、状態変化した端末機器のシンボルが配置された平面図がグラフィックエリアに表示したとき、その平面図のフロアに対応付けられたフロア選択スイッチ50を他のフロア選択スイッチと識別可能に表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば建物の各フロアに配設された各種の端末機器の状態を画面に表示する防災表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の防災表示装置は、端末機器が配置されている建物の平面図をCRT画面のグラフィックエリアに表示すると共に、火災受信機を通じて建物に配置されている端末機器の状態変化(発報、異常等)を確認すると、状態変化した端末機器のシンボルの色を変化させて、同じ平面図上に配置されている他のシンボルと識別できるようにしている。また、グラフィックエリアに所望の平面図を表示する場合は、フロア表示部に表示された所望のフロア名をクリックすることで、その平面図をグラフィックエリアに表示させることができる(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2004−5137号公報(第6−7頁、図3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前述した従来の防災表示装置では、オペレータの操作性を考慮すると、CRT画面にフロア表示部(以下、「断面キープランエリア」という)を常時表示させて置くことが必要であるが、その断面キープランエリアは画面切替機能のみであり、その割りにはCRT画面のエリアを少なからず占有しているため、限られたCRT画面を有効に利用することができていなかった。
【0004】
本発明は、かかる課題を解決するためになされたもので、断面キープランエリアだけに限らず、表示エリアが固定されているグラフィックエリアやアラームリストエリアも含め有効に利用できる防災表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(1)本発明に係る防災表示装置は、建物に配設された各種の端末機器が接続された火災受信機に接続されて、端末機器のシンボルが配置された建物の各フロアの平面図を表示部のグラフィックエリアに表示すると共に、火災受信機から送られてくる状態情報に基づいて状態変化した端末機器を確認したとき、その状態変化した端末機器のシンボルを同一平面図上に配置されている他の端末機器のシンボルと識別可能に表示する防災表示装置において、表示部にグラフィックエリアに隣接して断面キープランエリアを設け、この断面キープランエリアに、グラフィックエリアに表示される建物の各フロアに対応して設けられて、選択操作されることで対応するフロアの平面図をグラフィックエリアに表示するフロア選択スイッチが配列されたフロア選択ウィンドウ画面を表示する断面キープラン表示手段を備え、断面キープラン表示手段は、火災受信機を通じて状態変化した端末機器を確認すると、その状態変化した端末機器のシンボルが配置された平面図のフロアに対応付けられたフロア選択スイッチを他のフロア選択スイッチと識別可能に表示する。
(2)本発明に係る防災表示装置は、前記(1)において、断面キープラン表示手段は、フロア選択ウィンドウ画面に建物選択スイッチを表示し、建物選択スイッチが操作されたとき、フロア選択ウィンドウ画面に代えて、火災受信機の監視対象となっている複数の建物に応じて建物断面選択スイッチが配列された建物紹介ウィンドウ画面を表示し、火災受信機を通じて状態変化した端末機器を確認すると、その端末機器が配設された建物に対応付けられた建物断面選択スイッチを他の建物断面選択スイッチと識別可能に表示する。
(3)本発明に係る防災表示装置は、前記(2)において、断面キープラン表示手段は、建物断面選択スイッチが選択操作されたとき、建物紹介ウィンドウ画面に代えて、その建物断面選択スイッチに対応付けられた建物のフロア選択スイッチが配列されたフロア選択ウィンドウ画面を表示する。
(4)本発明に係る防災表示装置は、前記(2)又は(3)の何れかにおいて、断面キープラン表示手段は、断面キープランエリアにフロア選択ウィンドウ画面を表示しているときに、そのフロア選択ウィンドウ画面に対応する建物に配設されていない端末機器が状態変化したことを確認すると、建物選択スイッチの表示を変化させる。
(5)本発明に係る防災表示装置は、前記(1)〜(4)の何れかにおいて、表示部にグラフィックエリアに隣接してアラームリストエリアを設け、このアラームリストエリアに、状態変化した端末機器の情報を一覧表示可能に表示すると共に、そのリスト上の各端末機器毎に選択スイッチを表示するアラームリスト表示手段を備え、アラームリスト表示手段は、選択スイッチが操作されたとき、その選択スイッチに対応付けられた端末機器のシンボルが配置された平面図をグラフィックエリアに表示する。
(6)本発明に係る防災表示装置は、前記(1)〜(5)の何れかにおいて、グラフィックエリアに表示される建物の各フロアの平面図は、それぞれ全体平面図であって、グラフィックエリアに平面図が表示された際にスクロールバーを表示し、このスクロールバーの操作に基づいてグラフィックエリア上の平面図を上下左右に移動させる表示位置設定手段を備えたものである。
【発明の効果】
【0006】
(1)本発明においては、グラフィックエリアに表示される建物の各フロアに対応して設けられて、選択操作されることで対応するフロアの平面図をグラフィックエリアに表示するフロア選択スイッチが配列されたフロア選択ウィンドウ画面を表示し、火災受信機を通じて状態変化した端末機器を確認すると、その状態変化した端末機器のシンボルが配置された平面図のフロアに対応付けられたフロア選択スイッチを他のフロア選択スイッチと識別可能に表示するようにしたので、断面キープランを警報代表表示としての機能を持たせることができ、表示部の限られた画面エリアを有効に活用することができる。特に、複数のフロアで火災が発生している場合などもフロアの位置を直感的に確認することができ、また延焼している場合も延焼状況を直感的に把握することが可能になる。
(2)本発明においては、建物選択スイッチが操作されたとき、フロア選択ウィンドウ画面に代えて、火災受信機の監視対象となっている複数の建物に応じて建物断面選択スイッチが配列された建物紹介ウィンドウ画面を表示し、火災受信機を通じて状態変化した端末機器を確認すると、その端末機器が配設された建物に対応付けられた建物断面選択スイッチを他の建物断面選択スイッチと識別可能に表示するようにしたので、大規模な防災システムに対しても、限られた画面エリアを有効に利用することができ、複数の建物で火災が発生している場合なども直感的に確認することができる。
(3)本発明においては、建物断面選択スイッチが選択操作されたとき、建物紹介ウィンドウ画面に代えて、その建物断面選択スイッチに対応付けられた建物のフロア選択スイッチが配列されたフロア選択ウィンドウ画面を表示するようにしたので、大規模な防災システムに対しても、限られた画面エリアを有効に利用することができ、複数の建物で火災が発生している場合なども直感的に確認することができる。
(4)本発明においては、断面キープランエリアにフロア選択ウィンドウ画面を表示しているときに、そのフロア選択ウィンドウ画面に対応する建物に配設されていない端末機器が状態変化したことを確認すると、建物選択スイッチの表示を変化させるようにしたので、大規模な防災システムに対しても、限られた画面エリアを有効に利用することができ、複数の建物で火災が発生している場合なども直感的に確認することができる。
(5)本発明においては、アラームリストエリアに、状態変化した端末機器の情報を一覧表示可能に表示すると共に、そのリスト上の各端末機器毎に選択スイッチを表示し、選択スイッチが操作されたとき、その選択スイッチに対応付けられた端末機器のシンボルが配置された平面図をグラフィックエリアに表示するようにしたので、複雑な操作を行うことなく、アラームリスト上の各種情報を確認でき、しかも、選択スイッチの操作により端末機器のシンボルが配置された平面図の現状を確認することができる。
(6)本発明においては、グラフィックエリアに表示されている平面図をスクロールバーの操作によって上下左右に移動できるようにしたので、限られたグラフィックエリアであっても全体平面図を表示することが可能になり、また、平面図の画像データとして画面サイズ(グラフィックエリアサイズ)に合わせて分割化した部分平面図を用いていた従来と比べ、メモリ容量の縮小、分割化の工数低減、平面図選択操作の容易化が計れるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
実施の形態1.
図1は本発明の実施の形態1に係る防災表示装置の全体を示すブロック構成図である。
図において、1は防災表示装置、2は防災表示装置1が接続された火災受信機である。この防災表示装置1と火災受信機2は、一体化した構成としてもよい。火災受信機2には、建物内に配設された各種の端末機器と信号線を介して接続されており、例えば、煙感知器20、熱感知器21等の火災感知器、火災発見者が操作する発信機22、地区ベル装置23、ガス漏れ検知器24,防火戸25や、防災用動力としての加圧排煙機26,排煙機27、消火ポンプ28等が接続されている。
【0008】
3は商用電源、4はスイッチがオフされたときに、防災表示装置1の制御部19に移報信号を出力する機能を備えたブレーカ、5は防災表示装置1にブレーカ4を介して商用電源3からの電源を供給する予備電源装置である。この予備電源装置5は、停電したり予備電源の電圧が低下したときに制御部19に電圧低下を知らせる信号を出力する。なお、防災表示装置1の制御部19は、移報信号が入力されたとき、或いは電圧低下を検知したときは、本装置1の動作を終了し、かつ、予備電源装置5に電源断を制御する停止出力を発するようになっている。
【0009】
11は火災受信機2から移報される各種の端末機器の状態情報を信号伝送により受信したり、各種の制御信号を送信するインターフェイス部である。12は火災受信機2によって定期的に実施される煙感知器20や熱感知器21等の端末機器(火災感知器)の試験結果情報を外部記録媒体のフロッピー(登録商標)ディスク6に記録したり、そのフロッピー(登録商標)ディスク6に記録した前記の試験結果情報等の各種情報を読み出したりする外部記録媒体駆動部(フロッピー(登録商標)ディスクドライバ等)である。この外部記録媒体駆動部12は、制御部19によって制御される。
【0010】
13は制御部19を動作させる制御プログラムや処理プログラム、各種の端末機器のシンボルが配置された建物のフロア毎の平面図、その平面図の各フロアに対応して設けられて、選択操作されることで対応するフロアの平面図を後述するグラフィックエリアに表示するフロア選択スイッチが配列されたフロア選択ウィンドウ画面、アラームリストのウィンドウ画面等の各種の画像データが格納されている例えばハードディスクの記憶部である。前述した平面図は、火災受信機2の監視対象となっている建物の各フロアの全体平面図である。
【0011】
前記の処理プログラムには、動作説明時に述べるが、グラフィックエリアに表示される平面図の各フロアに対応して設けられて、選択操作されることで対応するフロアの平面図を後述するグラフィックエリアに表示するフロア選択スイッチが配列されたフロア選択ウィンドウ画面を断面キープラン表示エリアに表示し、火災受信機2を通じて発報、起動(作動)、或いは異常による状態変化した端末機器を確認すると、その状態変化した端末機器のシンボルが配置された平面図のフロアに対応付けられたフロア選択スイッチを例えば「赤」に変化させる断面キープラン表示手段、状態変化した端末機器の情報を一覧表示可能に表示すると共に、そのリスト上の各端末機器毎に選択スイッチを表示し、選択スイッチが操作されたとき、その選択スイッチに対応付けられた端末機器のシンボルが配置された平面図をグラフィックエリアに表示するアラームリスト表示手段、及びグラフィックエリアに平面図が表示された際にスクロールバーを表示し、このスクロールバーの操作に基づいてグラフィックエリア上の平面図を上下左右に移動させる表示位置設定手段の各機能をプログラミングしたものも含まれている。
【0012】
14は制御部19の制御によって映出される画像を出力する画像出力部、15は画像出力部14から出力される画像を例えばCRTに表示する表示手段のCRT表示部、16はマウス17が接続される操作入力部で、CRT表示部15の画面上にポインタを表示し、マウス17の移動操作に基づいてそのポインタを移動し、クリック操作による入力を判別して制御部19に通知する。ここで、CRT表示部15の画面上には、後述する各種スイッチが表示されるようになっており、オペレータによるこの各種スイッチの選択操作は、選択したいスイッチ上にポインタを移動操作し、次に、クリック操作を行うことにより実施される。なお、前記移動操作やクリック操作は、画面上のタッチパネル操作でも可能となっている。また、表示手段として、必ずしもCRTでなくともよく、LCDやプラズマディスプレイ等であってもよい。18はLANを介して副表示機30と接続するためのインターフェイス部である。副表示機30は、図示していないがCRT表示部を有し、このCRT表示部に防災表示装置1に表示されている画面を表示したり、画面を切り換える機能を備えている。
【0013】
次に、図2を用いてCRT表示部15における画面の基本構成を説明する。図2は実施の形態におけるCRT表示部の画面の基本構成を示す図である。
CRT表示部15の画面は、メニューバー表示エリア、時刻表示エリア、グラフィックエリア、平面キープランエリア、断面キープランエリア、防災用動力表示エリア、アラームリストエリア、消防活動支援表示エリア、及び基本表示操作エリアからなっている。
【0014】
メニューバー表示エリアは、各種のスイッチを表示するエリアであり、時刻表示エリアは現在の日時を表示するエリアである。グラフィックエリアは、建物の各フロアの平面図画像や、メニューバー表示エリアに表示された各スイッチの選択操作による画像を表示するエリアで、平面図画像が表示された際には、平面図を上下及び左右に移動させるスクロールバー40,41が表示される。図2に示す平面図は、例えば地下1F・地上30Fの3棟(タワーA、B、C)の高層マンションの1F部分の平面図で、前述したスクロールバー40、41の操作によってグラフィックエリアからはみ出しているエリアが表示される。
【0015】
平面キープランエリアは、グラフィックエリアに表示される平面図と同じフロアの縮小全体平面図(図示せず)をウィンドウ表示するエリアであり、断面キープランエリアは、グラフィックエリアに表示される平面図の各フロアに対応してフロア選択スイッチ50が配列されたフロア選択ウィンドウ画面を表示するエリアである。フロア選択ウィンドウ画面上の各フロア選択スイッチ50は、前述した3棟(タワーA、B、C)の高層マンションを断面形状で表現した画像で、その建物の各フロアに対応して配列されている。この各フロア選択スイッチ50は、選択操作されることで対応するフロアの平面図をグラフィックエリアに表示する。また、フロア選択ウィンドウ画面には、選択操作されることで各フロアの火災発生状況を建物の断面図で表示する「火災断面図スイッチ」、状態変化した端末機器のシンボルが配置された平面図が複数ある場合に、その平面図を循環的に切り換えてグラフィックエリアに表示する「警報画面送りスイッチ」、現在映出中の画像の前に表示されていた画像をグラフィックエリアに表示する「前画面送りスイッチ」が設けられている。なお、フロア選択ウィンドウ画面には、ショッピングセンター等のような低層の建物の場合は、図3(a)に示すようにフロア選択スイッチ50を一列に配列して表示し、地下5F、地上40Fの高層オフィスを表示する場合は、同図(b)に示すようにフロア選択スイッチ50を4列(複数列)に並べて断面キープランエリア内に納まるようにする。
【0016】
防災用動力表示エリアは、例えば消火ポンプ表示エリアと排煙機表示エリアとからなり、状態変化(制御状態になったとき、停止状態から起動状態になったとき、また異常状態になったとき)した消火ポンプ28や排煙機27等を文字情報及びシンボル表示でウィンドウ表示するエリアである。アラームリストエリアは、状態変化(発報、故障)した煙感知器20や熱感知器21、手動或いは自動で動作又は故障した排煙口、防火ダンパ等の状態変化した各種端末機器を時系列にウィンドウ表示するエリアである。このエリアには、状態変化した端末機器毎に選択スイッチ60が表示されると共に、アラームリストを上下に移動させるスクロールバー61が表示される。前述した選択スイッチ60は、その選択スイッチ60に対応する端末機器のシンボルが配置された平面図をグラフィックエリアに表示させるためのスイッチである。消防活動支援表示エリアは、消防活動の支援に要する各種スイッチを備える画像を表示するためのエリアであり、基本表示操作エリアは、火災断定、画面消去、復旧、音響停止等を操作したり、その状態を表示するための各種スイッチを備える画像をウィンドウ表示するエリアである。
【0017】
前記のように構成された本実施の形態の防災表示装置の動作について図1、図2及び図4を用いて説明する。なお、図4はアラームリストに状態変化した端末機器の情報を登録するときの動作を示すフローチャートである。
【0018】
防災表示装置1の制御部19は、通常時のスクリーンセーバ機能により、CRT表示部15に「正常監視中」を表示しているときに、例えば高層マンションの1階に設置された煙感知器20の状態変化(発報)を火災受信機2からの状態情報に基づいて確認すると、スクリーンセーバ機能を解除し、次に、その煙感知器20のシンボルが設置された1階平面図の画像データを記憶部13から読み出してグラフィックエリアに切換表示をする(図2参照)。この時、発報した煙感知器20のシンボル51aを同一平面図上に配置されている他の端末機器のシンボル(図示せず)と識別できるように色を赤等に変化させて点滅表示し、点滅表示のシンボルと同じ警戒区域(例えば同じ部屋)に配置されている炎シンボル52aを赤等にし、地区ベル装置を鳴動させる。
【0019】
この時、「保守」、「防災諸警報」、「消火設備モード」、「業務用ガス遮断弁」、「消火ポンプ制御」、「排煙機制御」等の各スイッチをメニューバー表示エリアに表示し、出火階(1F)の縮小全体平面図を平面キープランエリアに表示し、高層マンションの各棟の各フロアに対応してフロア選択スイッチ50が配列されたフロア選択ウィンドウ画面を断面キープランエリアに表示すると共に、出火階である1Fのフロア選択スイッチ50を赤等で表示する。この時、「警報画面送りスイッチ」も赤等で表示されて変化する。また、消火ポンプ表示ウィンドウ画面を消火ポンプ表示エリアに表示し、排煙機表示ウィンドウ画面を排煙機表示エリアに表示し、「消防活動支援」及び「基本表示操作」をそれぞれタイトルバーとするウィンドウ画面を各エリアに表示する。さらに、状態変化している端末機器の情報と選択スイッチ60を一覧化したアラームリストをアラームリストエリアにウィンドウ表示する。そのため、アラームリストには、図2には示していないが、アラームリストの最上段(1行目)に、先程発報した煙感知器20の情報、及び出火階(1F)の平面図と関連付けた選択スイッチ60のみを表示している。
【0020】
この状態において、例えば出火階からタワーCの2Fに延焼して、その階の煙感知器20等が発報した場合、制御部19は、その状態情報に基づいて断面キープランエリアに表示されているタワーCの2F表示のフロア選択スイッチ50を赤等で表示し、また、その発報した端末機器の情報をアラームリスト上に追記する。この時、制御部19は、状態変化した端末機器が配置されているフロア(2F)の平面図及びそのシンボルを認識しており、赤等に変化している2F表示のフロア選択スイッチ50が操作されたときは、グラフィックエリアに表示している1Fの平面図に代えて、2Fの平面図を表示し、かつ状態変化した端末機器のシンボルの色を赤等に変化させて点滅表示する。スクロールバー40,41が操作されたときは、そのスクロールバー40,41の動作に基づいてグラフィックエリアからはみ出している部分の平面図をグラフィックエリア内に誘導する。なお、前述した1Fの平面図から2Fの平面図への切換表示は、赤等に変化している「警報画面送りスイッチ」の操作によっても行うことができる。
【0021】
ここで、状態変化した端末機器の情報をアラームリストに登録するときの動作を図4のフローチャートに基づいて説明する。
防災表示装置1の制御部19は、状態変化(発報、作動、故障等)を火災受信機2を通じて確認したとき(S1)、状態変化した対象機器の判別に入り(S2)、状態変化を確認できなかったときは、アラームリストに登録した情報で回復(前記の発報、作動、故障等の回復)したものがあるかどうかの判定に入る(S7)。S2において、状態変化した対象機器が火災受信機2と判断したときは、S4においてアラームリストに登録されている情報が例えば1000報以下かどうかの判定に入り、対象機器が端末機器と判断したときは、前述したように状態変化した端末機器が配置されている平面図の表示、その端末機器のシンボルの点滅表示等の処理に入る(S3)。そして、前記と同様にアラームリストに登録されている情報が1000報以下かどうかを判定し(S4)、その情報が1000報を超えていた場合は、一番古い情報を削除し(S5)、先程取り込んだ最新の端末機器の情報を登録する(S6)。また、アラームリストに登録されている情報が1000報以下の場合は、前記と同様に先程取り込んだ最新の端末機器の情報を登録する(S6)。この時、その端末機器のシンボルが配置されている図面と関連付けた選択スイッチ60をアラームリスト上に表示する。
【0022】
その後、アラームリストに登録した情報で回復したものがあるかどうかを判定し(S7)、回復した情報がないときはS9に進むが、アラームリストに登録した情報の中で回復したものがあるときは、該当する端末機器の情報を削除する(S8)。なお、情報の回復の有無は火災受信機2からの状態情報に基づくものである。情報削除した後は、アラームリスト上に表示している選択スイッチ60が操作されたかどうかを判定し(S9)、操作されていないときはS1に戻って前述した動作を繰り返し、また、選択スイッチ60の操作を確認したときは、その選択スイッチ60に関連付けられた端末機器が配置されたフロアの平面図をグラフィックエリアに表示し(S10)、前記と同様にS1に戻って一連の動作を繰り返す。なお、アラームリストのウィンドウ画面に表示されているスクロールバー61が操作されたときは、アラームリスト上の各種情報を上方或いは下方に移動する。
【0023】
以上のように実施の形態1によれば、グラフィックエリアに表示される平面図の各フロアに対応して設けられて、選択操作されることで対応するフロアの平面図をグラフィックエリアに表示するフロア選択スイッチ50が配列されたフロア選択ウィンドウ画面を断面キープランエリアに表示し、火災受信機2を通じて状態変化した端末機器を確認すると、その状態変化した端末機器のシンボルが配置された平面図のフロアに対応付けられたフロア選択スイッチ50を赤等で表示するようにしたので、断面キープランを警報代表表示としての機能を持たせることができ、CRT表示部15の限られた画面エリアを有効に活用することが可能になる。特に、複数のフロアで火災が発生している場合などもフロアの位置を直感的に確認することができ、また延焼している場合も延焼状況を直感的に把握することが可能になる。
【0024】
また、アラームリストエリアに、状態変化した端末機器の情報を一覧表示可能に表示すると共に、そのリスト上の各端末機器毎に選択スイッチ60を表示し、選択スイッチ60が操作されたとき、その選択スイッチ60に対応付けられた端末機器のシンボルが配置された平面図をグラフィックエリアに表示するようにしたので、複雑な操作を行うことなく、アラームリスト上の全ての各種情報を確認でき、しかも、選択スイッチ60の操作により端末機器のシンボルが配置された平面図の現状を確認することができる。
【0025】
さらに、グラフィックエリアに表示されている平面図をスクロールバーの操作によって上下左右に移動できるようにしたので、限られたグラフィックエリアであっても全体平面図を表示することが可能になり、また、平面図の画像データとして画面サイズ(グラフィックエリアサイズ)に合わせて分割化した部分平面図を用いていた従来と比べ、メモリ容量の縮小、分割化の工数低減、平面図選択操作の容易化が計れるという効果がある。
【0026】
実施の形態2.
実施の形態1は、監視対象となる建物を一つの建物(3棟からなる高層マンション)としたが、本実施の形態は、複数の建物、例えば同一敷地内に建設された某大学の各建物(棟)を監視対象としたものであり、以下、図5を用いて説明する。図5は断面キープランエリアに表示される画像を示す図である。
本実施の形態は、実施の形態1における高層マンションの断面キープランとなるフロア選択ウィンドウ画面に代えて、火災受信機2の監視対象となっている教育学部棟、文・法・経済学部棟や、総合教育棟等の各建物に応じて建物断面選択スイッチ70が配列された建物紹介ウィンドウ画面、各建物にそれぞれ対応してフロア選択スイッチ50が配列された複数のフロア選択ウィンドウ画面の画像データが記憶部13に格納されている。なお、建物紹介ウィンドウ画面及びフロア選択ウィンドウ画面には、前記の「警報画面送りスイッチ」、「前画面送りスイッチ」の他に、棟選択スイッチ71(建物選択スイッチ)が表示されるようになっている。
【0027】
また、前記の記憶部13には、グラフィックエリアに表示される平面図の各フロアに対応して設けられて、選択操作されることで対応するフロアの平面図をグラフィックエリアに表示するフロア選択スイッチ50が配列されたフロア選択ウィンドウ画面を断面キープランエリアに表示し、火災受信機2を通じて状態変化した端末機器を確認すると、その状態変化した端末機器のシンボルが配置された平面図のフロアに対応付けられたフロア選択スイッチ50を例えば赤等で表示し、また、そのフロア選択ウィンドウ画面に表示された棟選択スイッチ71が操作されたとき、フロア選択ウィンドウ画面に代えて、火災受信機2の監視対象となっている各建物に応じて建物断面選択スイッチ70が配列された建物紹介ウィンドウ画面を表示し、この建物紹介ウィンドウ画面がグラフィックエリアに表示されているときに、火災受信機2を通じて状態変化した端末機器を確認すると、その端末機器が配設された建物に対応付けられた建物断面選択スイッチ70を例えば赤等で表示し、さらに、建物断面選択スイッチ70が選択操作されたとき、建物紹介ウィンドウ画面に代えて、その建物断面選択スイッチ70に対応付けられた建物のフロア選択スイッチ50が配列されたフロア選択ウィンドウ画面を表示し、またさらに、断面キープランエリアにフロア選択ウィンドウ画面を表示しているときに、そのフロア選択ウィンドウ画面に対応する建物に配設されていない端末機器が状態変化したことを確認すると、棟選択スイッチ71を赤等に変化させる断面キープラン表示手段の機能がプログラミングされた処理プログラムが格納されている。
【0028】
本実施の形態においては、防災表示装置1の制御部19が火災受信機2からの状態情報に基づいて例えば自然科学5号館の1F平面図をグラフィックエリアに表示した際、断面キープランエリアにその5号館の各フロアに対応して配列されたフロア選択スイッチ50を有するフロア選択ウィンドウ画面を表示すると共に、1F表示のフロア選択スイッチ50を赤等で表示する。この時、自然科学5号館からの延焼等によって、隣接する例えば自然科学1・2・3号館の1号館が火災を発生した場合は、自然科学5号館のフロア選択ウィンドウ画面に表示されている棟選択スイッチ71を赤等に変化させて、他の棟も火災が発生していることをオペレータに知らせる。この棟選択スイッチ71がクリックされたときは、制御部19は、自然科学5号館のフロア選択ウィンドウ画面に代えて、各建物に応じて配列された建物断面選択スイッチ70を有する建物紹介ウィンドウ画面を表示する。この場合、自然科学5号館及び自然科学1・2・3号館の建物断面選択スイッチ70を赤等に変化させて、火災を発生している2棟をオペレータに特定させる。棟選択スイッチ71によって自然科学1・2・3号館の建物断面選択スイッチ70が選択された場合は、制御部19は、その建物断面選択スイッチ70に対応付けられた自然科学1・2・3号館のフロア選択スイッチ50が配列されたフロア選択ウィンドウ画面を断面キープランエリアに表示する。この時、1号館の6Fが火災を発生していた場合、6F表示のフロア選択スイッチ50を赤等で表示する。
【0029】
以上のように実施の形態2によれば、グラフィックエリアに表示される平面図の各フロアに対応して設けられて、選択操作されることで対応するフロアの平面図をグラフィックエリアに表示するフロア選択スイッチ50が配列されたフロア選択ウィンドウ画面を断面キープランエリアに表示し、火災受信機2を通じて状態変化した端末機器を確認すると、その状態変化した端末機器のシンボルが配置された平面図のフロアに対応付けられたフロア選択スイッチ50を赤等で表示し、また、そのフロア選択ウィンドウ画面に表示された棟選択スイッチ71が操作されたとき、フロア選択ウィンドウ画面に代えて、火災受信機2の監視対象となっている各建物に応じて建物断面選択スイッチ70が配列された建物紹介ウィンドウ画面を表示し、この建物紹介ウィンドウ画面がグラフィックエリアに表示されているときに、火災受信機2を通じて状態変化した端末機器を確認すると、その端末機器が配設された建物に対応付けられた建物断面選択スイッチ70を赤等で表示し、さらに、建物断面選択スイッチ70が選択操作されたとき、建物紹介ウィンドウ画面に代えて、その建物断面選択スイッチ70に対応付けられた建物のフロア選択スイッチ50が配列されたフロア選択ウィンドウ画面を表示し、またさらに、断面キープランエリアにフロア選択ウィンドウ画面を表示しているときに、そのフロア選択ウィンドウ画面に対応する建物に配設されていない端末機器が状態変化したことを確認すると、つまり、前記実施の形態では、状態変化した端末機器が複数あり、それぞれが異なる建物に配設されているときは、棟選択スイッチ71を赤等に変化させるようにしたので、大規模な防災システムに対しても、限られた画面エリアを有効に利用することができ、複数の建物で火災が発生している場合なども直感的に確認することができる。
【0030】
前述した実施の形態において、断面キープランエリアにフロア選択ウィンドウ画面を表示しているときに、そのフロア選択ウィンドウ画面に対応する建物に配設されていない端末機器が状態変化したことを確認すると、棟選択スイッチ71を赤等に変化させるようにしたが、通常状態のときの表示と識別可能に表示変化させればよく、例えば点滅状態に表示変化させるなどして識別できるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の実施の形態1に係る防災表示装置の全体を示すブロック構成図である。
【図2】実施の形態1におけるCRT表示部の画面の基本構成を示す図である。
【図3】断面キープランエリアに表示される他のフロア選択ウィンドウ画面の表示例を示す図である。
【図4】アラームリストに状態変化した端末機器の情報を登録するときの動作を示すフローチャートである。
【図5】実施の形態2における断面キープランエリアに表示される画像を示す図である。
【符号の説明】
【0032】
1 防災表示装置、2 火災受信機、3 商用電源、4 ブレーカ、5 予備電源装置、6 外部記録媒体、11 インターフェイス部、12 外部記録媒体駆動部、13 記憶部、14 画像出力部、15 CRT表示部、16 操作入力部、17 マウス、
18 インターフェイス部、19 制御部、40,41,61 スクロールバー、
50 フロア選択スイッチ、60 選択スイッチ、70 建物断面選択スイッチ、
71 棟選択スイッチ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物に配設された各種の端末機器が接続された火災受信機に接続されて、前記端末機器のシンボルが配置された建物の各フロアの平面図を表示部のグラフィックエリアに表示すると共に、前記火災受信機から送られてくる状態情報に基づいて状態変化した端末機器を確認したとき、その状態変化した端末機器のシンボルを同一平面図上に配置されている他の端末機器のシンボルと識別可能に表示する防災表示装置において、
前記表示部にグラフィックエリアに隣接して断面キープランエリアを設け、この断面キープランエリアに、グラフィックエリアに表示される建物の各フロアに対応して設けられて、選択操作されることで対応するフロアの平面図をグラフィックエリアに表示するフロア選択スイッチが配列されたフロア選択ウィンドウ画面を表示する断面キープラン表示手段を備え、
前記断面キープラン表示手段は、前記火災受信機を通じて状態変化した端末機器を確認すると、該状態変化した端末機器のシンボルが配置された平面図のフロアに対応付けられたフロア選択スイッチを他のフロア選択スイッチと識別可能に表示することを特徴とする防災表示装置。
【請求項2】
前記断面キープラン表示手段は、前記フロア選択ウィンドウ画面に建物選択スイッチを表示し、建物選択スイッチが操作されたとき、前記フロア選択ウィンドウ画面に代えて、前記火災受信機の監視対象となっている複数の建物に応じて建物断面選択スイッチが配列された建物紹介ウィンドウ画面を表示し、前記火災受信機を通じて状態変化した端末機器を確認すると、その端末機器が配設された建物に対応付けられた建物断面選択スイッチを他の建物断面選択スイッチと識別可能に表示することを特徴とする請求項1記載の防災表示装置。
【請求項3】
前記断面キープラン表示手段は、前記建物断面選択スイッチが選択操作されたとき、前記建物紹介ウィンドウ画面に代えて、その建物断面選択スイッチに対応付けられた建物のフロア選択スイッチが配列されたフロア選択ウィンドウ画面を表示することを特徴とする請求項2記載の防災表示装置。
【請求項4】
前記断面キープラン表示手段は、前記断面キープランエリアにフロア選択ウィンドウ画面を表示しているときに、該フロア選択ウィンドウ画面に対応する建物に配設されていない端末機器が状態変化したことを確認すると、前記建物選択スイッチの表示を変化させることを特徴とする請求項2又は3記載の防災表示装置。
【請求項5】
前記表示部にグラフィックエリアに隣接してアラームリストエリアを設け、このアラームリストエリアに、状態変化した端末機器の情報を一覧表示可能に表示すると共に、そのリスト上の各端末機器毎に選択スイッチを表示するアラームリスト表示手段を備え、
前記アラームリスト表示手段は、前記選択スイッチが操作されたとき、その選択スイッチに対応付けられた端末機器のシンボルが配置された平面図をグラフィックエリアに表示することを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の防災表示装置。
【請求項6】
グラフィックエリアに表示される建物の各フロアの平面図は、それぞれ全体平面図であって、
グラフィックエリアに平面図が表示された際にスクロールバーを表示し、このスクロールバーの操作に基づいてグラフィックエリア上の平面図を上下左右に移動させる表示位置設定手段を備えたことを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載の防災表示装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate