説明

防災装置

【課題】既存の住宅でも安価に設置でき、大きな地震に対して居住者の安全を確保できる防災装置を提供すること。
【解決手段】左右対称の一対の側面枠2A、2Bと、これらの側面枠2A,2Bの上端に取り付けられる天面枠3と、前記一対の側面枠2A、2Bの下端に取り付けられる一対のベース枠4A、4Bと、天面枠3とベース枠4A、4Bとを連結する一対の中間柱5A、5Bとで、家屋内の寝室等に設置される鉄骨製の防災装置1を構成し、布団やベッド等の寝具を収容できるスペースを形成している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大きな地震により家屋が倒壊したり、家具が倒れた際に就寝中の居住者を保護できるようにした防災装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種の防災装置は、木造の家屋内に鉄骨で組み立てた耐震ルームを形成し、大きな地震があったときに、居住者がそこへ逃げ込むことにより居住者の安全を確保できるようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特許第3190616号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述した耐震ルームは専門業者による工事を必要とするため、高価になるとともに、既設の住宅には設置が難しいという問題があった。
【0004】
そこで本発明は、上述した問題点に鑑み、既存の住宅でも安価に設置でき、大きな地震に対して居住者の安全を確保できる防災装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このため第1の発明は、左右対称の一対の側面枠と、これらの側面枠の上端に取り付けられる天面枠と、前記一対の側面枠の下端に取り付けられる一対のベース枠と、前記天面枠と一対のベース枠とを連結する一対の中間柱とで寝具を収容できるスペースを形成したことを特徴とする。
【0006】
第2の発明は、左右対称の一対の側面枠と、これらの側面枠の上端に取り付けられる天面枠と、前記一対の側面枠の下側中間部に取り付けられ、かつ、前記天面枠と同一部材からなる床面枠と、前記天面枠と床面枠とを連結する一対の中間柱とを有し、前記床面枠に寝具を設置できるようにしたことを特徴とする。
【0007】
第3の発明は、第1又は第2の発明において、天面枠にはネットが取り付けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、既存の住宅でも、床面から天井までの空間にこの防災装置を設置することにより、大きな地震の発生時に家屋の倒壊、家具の転倒、天井崩落などがあっても防災装置を構成する天面枠、側面枠及び中間柱によってこれらを受け止め、防災装置の中に空間が確保されるため、中にいる居住者を保護でき、防災装置の中にベッドや布団等の寝具を入れたり、寝具を設置できるので、防災装置の中で安心して就寝することができる。また、天面枠にネットが取り付けられたものでは、天面枠から破片が飛び込むのも防止でき、一層安全である。
【0009】
また、周囲が枠体で構成されているため、防災装置の空間内で安全な方向を見極めてから外へ脱出することができ、しかも、左右の側面板、天面枠と床面枠、一対の中間柱など、部品が共通化されているため、防災装置を安価に量産することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の防災装置を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら説明する。先ず、第1の実施形態を示す図1及び図2において、1は家屋内の寝室等に設置される鉄骨製の防災装置であり、左右対称の一対の側面枠2A、2Bと、これらの側面枠2A,2Bの上端に取り付けられる天面枠3と、前記一対の側面枠2A、2Bの下端に取り付けられる一対のベース枠4A、4Bと、天面枠3とベース枠4A、4Bとを連結する一対の中間柱5A、5Bとで布団やベッド等の寝具を収容できるスペースを形成している。
【0011】
前記側面枠2A,2Bは同一部材であり、左右対称に配置されている。そして、各側面枠2A,2Bは上端部に取付け枠6a、下端部に取付け枠6bを有する左右一対の縦枠6と、これら左右一対の縦枠6を連結する上下2本の横桟7と、2本の横桟7を連結する側面視H字状の補強桟8と、上の横桟7に取り付けられたアーチ状の補強桟9とで構成されている。
【0012】
前記天面枠3は一対の横枠10と、これらを連結する4本の横桟11とからなり、天面枠3の上部には直径3ミリの金属棒を50平方ミリメートルの網状にした金属ネット12が溶接により取り付けられている。前記中間柱5A、5Bの上下端部にはL型の取付け片5a、5bが設けられている。
【0013】
これらの左右対称の一対の側面枠2A、2Bと、天面枠3と、一対のベース枠4A、4Bと、中間柱5A、5Bとは、取付け枠6a、6bと取付け片5a、5bと取付け穴13とを利用し、それぞれボルト14とナット15により着脱自在に組み立てられている。
【0014】
即ち、左右一対の側面枠2A、2B間に天面枠3を取付け枠6aを介して各取付け穴13にボルト14をねじ込むことにより、ナット15で抜けを防止して固定し、また左右一対の側面枠2A、2B間に一対のベース枠4A、4Bを取付け枠6bを介して各取付け穴13にボルト14をねじ込むことにより、ナット15で抜けを防止して固定し、更に天面枠3と一対のベース枠4A、4Bとにそれぞれ中間柱5A、5Bを取付け片5a、5bを介して各取付け穴13にボルト14をねじ込むことにより、ナット15で抜けを防止して固定する。
【0015】
上述した実施形態では、既存の住宅でも、床面から天井までの空間に防災装置1を簡単に設置することができ、大きな地震の発生時に家屋の倒壊、家具の転倒、天井崩落等があっても防災装置1を構成する天面枠3、側面枠2A、2B及び中間柱5A,5Bによってこれらを受け止め、防災装置1の中に空間が確保されるため、中にいる居住者を保護することができ、防災装置1の中にベッドや布団等の寝具を入れることができるので、防災装置1の中で安心して就寝することができる。また、天面枠3には金属ネット12が取り付けられているので、天面枠3から天井の大きな破片が飛び込むのを防止でき、より安全である。
【0016】
また、周囲が枠体で構成されているため、防災装置1の空間内で室内の安全な方向を見極めてから外へ脱出することができ、しかも、左右の側面板2A、2B、一対のベース枠4A,4B、一対の中間柱5A,5Bなど、部品が共通化されているため、防止装置1を安価に量産することができる。
【0017】
また、第2の実施形態を示す図3及び図4に示すように、ベース枠4A、4Bの代わりに、前記天面枠3と同一形状の床面枠3Bを設け、この床面枠3Bを側面枠2A,2Bの下側中間部に取付け、床面枠3Bにも前記金属ネット12を取付けることにより、床面枠3Bの上にマットや畳を敷いて、更に布団等の寝具を載せる。但し、天面枠3と床面枠3Bとを連結する一対の中間柱5C、5Dは、第1の実施形態の中間柱5A、5Bより短いものを使用する。
【0018】
このようにすることにより、この第2の実施形態も第1の実施形態と同様な効果、即ち部品を共用化し、安価に大量生産できるようにしつつ、防災装置1をベッド兼用として使用することもできる。
【0019】
以上のように本発明の実施態様について説明したが、上述の説明に基づいて当業者にとって種々の代替例、修正又は変形が可能であり、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲で前述の種々の代替例、修正又は変形を包含するものである。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】防災装置の一例を示す斜視図である。
【図2】同じく分解斜視図である。
【図3】防災装置の他の一例を示す斜視図である。
【図4】同じく分解斜視図である。
【符号の説明】
【0021】
1 防災装置
2A、2B 側面枠
3 天面枠
3B 床面枠
4A、4B ベース枠
5A〜5D 中間柱
12 金属ネット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右対称の一対の側面枠と、これらの側面枠の上端に取り付けられる天面枠と、前記一対の側面枠の下端に取り付けられる一対のベース枠と、前記天面枠と一対のベース枠とを連結する一対の中間柱とで寝具を収容できるスペースを形成したことを特徴とする防災装置。
【請求項2】
左右対称の一対の側面枠と、これらの側面枠の上端に取り付けられる天面枠と、前記一対の側面枠の下側中間部に取り付けられ、かつ、前記天面枠と同一部材からなる床面枠と、前記天面枠と床面枠とを連結する一対の中間柱とを有し、前記床面枠に寝具を設置できるようにしたことを特徴とする防災装置。
【請求項3】
天面枠にはネットが取り付けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の防災装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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