説明

防犯灯

【課題】小型、軽量化が可能であり、かつ、効率良く照明することのできる防犯灯を提供すること。
【解決手段】屋外に立設した電柱2に取り付けられる防犯灯本体4を備え、前記防犯灯本体4に、街路進行方向Aを照射する第1LEDユニット31、前記街路進行方向Aと反対の方向を照射する第2LEDユニット32、及び、前記街路進行方向Aと略直交する路面側の方向Bを照射する第3LEDユニット33の少なくとも3つのLEDユニットを設け、前記防犯灯本体4の背面部5を前記電柱2の外周面2Aに沿った形状に形成した防犯灯1を構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、屋外に立設した例えば電柱などの支柱に取り付けられる防犯灯に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、街路側に立設した電柱などの支柱に取り付けられて街路面を照明する防犯灯が知られている。この種の防犯灯は、一般に、線状光源と、この線状光源からの光を街路側に反射する反射板とを防犯灯本体に収納し、また、防犯灯本体の投光開口に透光性のグローブを設けて構成されている。
ところで、屋外に設置される照明器具においては、道路際の民家の窓や田畑に光り漏れが生じ光公害が発生することがあり、上記の防犯灯においても、光公害の対策を講じる必要がある。
そこで従来の防犯灯においては、線状光源の長手方向を街路進行方向と略平行となるように設置すると共に、この線状光源から放射された光の配光を、上記反射板及びグローブで制御して光公害を防止する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−12473号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の防犯灯においては、反射板を如何に設計しようとも、漏れ光を無くすことができず光のロスが生じる、といった問題がある。さらに、単数の線状光源を光制御するには、少なくとも当該線状光源を覆う寸法の反射板を要するため、防犯灯本体のサイズが大きくなるばかりか、防犯灯本体の重量も重くなる。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、小型、軽量化が可能であり、かつ、効率良く照明することのできる防犯灯を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明は、屋外に立設した支柱に取り付けられる防犯灯本体を備え、前記防犯灯本体に、街路進行方向を照射する第1LEDユニット、前記街路進行方向と反対の方向を照射する第2LEDユニット、及び、前記街路進行方向と略直交する路面側の方向を照射する第3LEDユニットの少なくとも3つのLEDユニットを設け、前記防犯灯本体の背面部を前記支柱の外周面に沿った形状に形成したことを特徴とする防犯灯を提供する。
【0006】
また本発明は、上記発明において、前記第1、第2及び第3LEDユニットを着脱自在に取り付けるユニット取付部を前記防犯灯本体に設け、前記ユニット取付部に複数の放熱フィンを形成したことを特徴とする。
【0007】
また本発明は、上記発明において、前記防犯灯本体内部に仕切板を設けて上下に仕切り、前記仕切板の下側に前記ユニット取付部及び前記第1、第2及び第3LEDユニットを配設すると共に、前記第1、第2及び第3LEDユニットに電力を供給する電源モジュールを前記仕切板の上側に配設したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、街路進行方向を照射する第1LEDユニット、前記街路進行方向と反対の方向を照射する第2LEDユニット、及び、前記街路進行方向と略直交する路面側の方向を照射する第3LEDユニットの3つのLEDユニットを設けて防犯灯の光源を構成したため、ランプを光源とし、また、ランプを覆う反射板を備えた従来の防犯灯に比べて、小型・軽量化が可能になる。
さらに、3つのLEDユニットを光源として用いるため、それぞれのLEDユニットの配光及び光放射方向を各個に制御することが可能となり、これにより漏れ光の原因となる無駄な方向への光照射を無くし、効率よく路面を照明することができる。
また本発明によれば、防犯灯本体の背面部を支柱の外周面に沿った形状に形成したため、防犯灯本体を支柱に取り付ける際に、背面部に支柱が嵌り込むこととなり、防犯灯本体の街路側の張り出し量を抑え、コンパクトな防犯灯が実現される。さらに、防犯灯本体が支柱に嵌り込むようにして取り付けられるため、横方向からの風圧に対する強度が高められる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施形態に係る防犯灯の斜視図。
【図2】防犯灯の底面図。
【図3】防犯灯の背面図。
【図4】防犯灯の側面図。
【図5】図2におけるI−I線をみた断面図。
【図6】防犯灯の分解斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
図1は本実施形態に係る防犯灯1を下から見た斜視図、図2は防犯灯1の底面図、図3は防犯灯1の背面図、図4は防犯灯1の左側面図である。
これらの図に示すように、防犯灯1は、屋外に立設した支柱の一例たる電柱2(図2参照)に取り付けられ街路を照明するものであり、光源部3と、この光源部3を収納する防犯灯本体4とを有している。
【0011】
防犯灯本体4は、電柱2の外周面2Aに沿った円弧を描くように屈曲した背面部5を有すると共に、防犯灯本体4の街路側(正面側)の輪郭8が背面部5と略同心円状に屈曲し、全体的に底面視略扇型に形成されている。
上記背面部5には、図3に示すように、金属帯状の取付バンド7を挿通する挿通孔6Aが形成された一対の取付部6が設けられており、この取付バンド7を電柱2の周囲に締め付けて防犯灯本体4が電柱2に取り付けられる。
【0012】
防犯灯本体4を電柱2に取り付ける際には、電柱2の外周面2Aに沿って背面部5が屈曲しているため、この背面部5に電柱2が嵌り込むこととなる。これにより、防犯灯本体4の街路側への張り出し量を抑え、コンパクトな防犯灯1が実現される。
さらに、防犯灯本体4が電柱2に嵌り込むようにして取り付けられるため、横方向からの風圧に対する強度が高められる。
【0013】
図5は図2のI−I線における断面を見た図であり、図6は防犯灯1の分解図である。
上記防犯灯本体4には、図5に示すように、その内部を上下に仕切り電気部品収納室11Aと、光源収納室11Bとを形成する仕切板10が設けられている。この仕切板10は、複数のネジ13により防犯灯本体4に固定されており、電気部品収納室11Aにおいては、光源部3に電力を供給する電源モジュール12などの電気部品を仕切板10に載置させて収納されている。
このように、防犯灯本体4の内部を上下に仕切り、上側に電気部品収納室11Aを形成し、下側に光源収納室11Bを形成する構成とすることで、防犯灯本体4の背面側に電源モジュールなどを配設した構成の防犯灯に比べ、路面側への防犯灯の出っ張りが抑制される。
【0014】
上記防犯灯本体4の光源収納室11Bは、仕切板10と対向する側(防犯灯1の取付状態においては底面側)が開口して投光開口14が形成されており、この投光開口14には、図6に示すように、光源収納室11Bを覆う光透過性のグローブ20が取り付けられている。このグローブ20には、防犯灯本体4よりも上側に向かう光をカットするための遮光部21が形成されている。この遮光部21は、グローブ20の外周面上に水平方向に延びるライン状の溝を上下方向に複数形成してなるラインプリズムにより形成されており、このラインプリズムにより透過光が散乱されて遮光が行われる。
【0015】
上記光源収納室11Bに収納された光源部3は、第1、第2及び第3LEDユニット31〜33と、光源収納室11Bに固設され、第1〜第3LEDユニット31〜33を取り付けて着脱自在に固定するユニット取付部35とを有している。
【0016】
上記第1LEDユニット31及び第2LEDユニット32は共に沿った街路進行方向A(図2参照)に沿う方向を照明するものであり、本実施形態では第1LEDユニット31が街路進行方向Aに主として光を放射し、第2LEDユニット32が街路進行方向Aと略反対方向に主として光を放射する。また、上記第3LEDユニット33は、電柱2から街路側に向かう方向B(図2参照)に主として光を放射するものである。
【0017】
なお、第1及び第2LEDユニット31、32を街路進行方向Aに対して入れ替えるようにしても良い。また、厳密には、上記第1LEDユニット31及び第2LEDユニット32の光放射方向は互いに正反対になる訳ではなく、防犯灯1による照射範囲によって上記第1LEDユニット31の光照射方向と、第2LEDユニット32の光放射方向とが成す角度が規定される。
【0018】
上記第1〜第3LEDユニット31〜33のそれぞれは、例えば図5に示すように、アクリル樹脂などの樹脂材を砲弾型に形成してなるレンズ体40とLED素子45とを備えて構成したLED光源41を、高熱伝導性材から形成されたマウント基板42にマウントして構成されており、上記レンズ体40の形状を調整することで配光特性が制御可能に構成されている。
【0019】
本実施形態においては、街路進行方向Aと、その反対方向を照射する第1及び第2LEDユニット31及び32のそれぞれの配光を狭角配光とすることで、防犯灯1から遠方で十分な輝度を維持可能にすると共に、街路側を照射する第3LEDユニット33の配光を広角配光とすることで防犯灯1の近傍を広く照射し、全体的に照度ムラが抑制される。
【0020】
また、防犯灯には明るさの基準があり、歩行者交通量の多い少ないによって基準値が異なるものの、防犯灯としては、少なくとも歩行者交通量の少ない場合の基準値を満たすことが推奨されている。歩行者交通量の少ない場合の明るさの基準は、街路の路面の明るさの平均が3ルクス以上であり、街路の中心軸上で路面からの高さが1.5m(メートル)のところの鉛直面照度が0.5ルクスであり、さらに、4m(メートル)先の歩行者の挙動などが視認可能な程度であることである。
本実施形態においては、上記のように第1及び第2LEDユニット31、32の各々に狭角タイプを用いているため、LEDユニットの出力をいたずらに高めることなく、防犯灯1から4m(メートル)遠方においても歩行者の挙動が十分に視認可能な照度を達成することが可能となる。
【0021】
さて、ユニット取付部35は高熱伝導性材料から形成され、相互に一定の間隙を介して平行に配列された多数の放熱フィン36が一体成形されている。また、これらの放熱フィン36は、図6に示すように、第1〜第3LEDユニット31〜33のマウント基板42の形状に合わせて一部が切り欠かれ、このマウント基板42が嵌め込まれる取付凹部50が形成されており、マウント基板42を取付凹部50に嵌め込んだ後、取付ネジ43によりマウント基板42を取付凹部50に固定する。これにより、マウント基板42が取付凹部50の取付面に面接触し、第1〜第3LEDユニット31〜33のLED素子45の発熱がマウント基板42及び取付凹部50を介して放熱フィン36に熱伝導し、当該放熱フィン36から効率よく放熱されることとなる。
【0022】
このように、本実施の形態によれば、防犯灯本体4に、街路進行方向Aを照射する第1LEDユニット31、前記街路進行方向Aと反対の方向を照射する第2LEDユニット32、及び、街路進行方向Aと略直交する路面側の方向Bを照射する第3LEDユニット33の各々を設けると共に、第1、第2及び第3LEDユニット31〜33の各々をユニット取付部35に取り付ける構成とした。このように、第1、第2及び第3LEDユニット31〜33により防犯灯の光源を構成したため、ランプを光源とし、また、ランプを覆う反射板を備えた従来の防犯灯に比べて、小型・軽量化が可能になる。
さらに、3つのLEDユニットを光源として用いるため、それぞれのLEDユニットの配光及び光放射方向を各個に制御することが可能となり、これにより漏れ光の原因となる無駄な方向への光照射を無くし、効率よく路面を照明することができる。
特に、本実施形態においては、上記第1及び第2LEDユニットを狭角配光としたため遠方で十分な輝度を維持可能にすると共に、上記第3LEDユニットの配光を広角配光としたため防犯灯の近傍を広く照射し、全体的に照度ムラを抑制することができる。
【0023】
また本実施形態によれば、第1、第2及び第3LEDユニット31〜33を着脱自在に取り付けるユニット取付部35を防犯灯本体4に設け、ユニット取付部35に複数の放熱フィン36を形成したため、第1、第2及び第3LEDユニット31〜33の放熱性を高め、使用寿命を延ばすことができる。また、第1、第2及び第3LEDユニット31〜33をユニット取付部35に着脱自在な構成としたため、LEDユニットの個別の交換が可能となる。
【0024】
また本実施形態によれば、防犯灯本体4の背面部5を電柱2の外周面2Aに沿った形状に形成したため、防犯灯本体4を電柱2に取り付ける際に、背面部5に電柱2が嵌り込むこととなり、防犯灯本体4の街路側への張り出し量を抑え、コンパクトな防犯灯1が実現される。さらに、防犯灯本体4が電柱2に嵌り込むようにして取り付けられるため、横方向からの風圧に対する強度が高められる。
【0025】
また本実施形態によれば、防犯灯本体4の内部に仕切板10を設けて上下に仕切り、仕切板10の下側にユニット取付部35及び第1、第2及び第3LEDユニット31〜33を配設すると共に、第1、第2及び第3LEDユニット31〜33に電力を供給する電源モジュールを仕切板10の上側に配設する構成としたため、防犯灯本体4の背面側に電源モジュールなどを配設した構成の防犯灯に比べ、路面側への防犯灯の出っ張りが抑制される。
【0026】
なお、上述した実施の形態は、あくまでも本発明の一態様を示すものであり、本発明の範囲内で任意に変形および応用が可能である。
例えば、上述した実施形態において、第1〜第3LEDユニット31〜33のマウント基板42を取付凹部50に固定する際に、取付ネジ43の締め付けを調整することで、ユニット取付部35に対する第1〜第3LEDユニット31〜33の取付角度を調整可能な構成にしても良い。
これにより、街路の形状や周囲の環境に応じて第1〜第3LEDユニット31〜33のそれぞれの光放射方向を簡単に調整することができ、民家や田畑などへの光の照射を防止し、漏れ光をより確実に抑制することができる。なお、第1〜第3LEDユニット31〜33のそれぞれの取付角度の調整は、上記取付ネジ43による角度調整に限らず、任意の機構を採用することができる。
【0027】
例えば、上述した実施形態では、1つのユニット取付部35に第1〜第3LEDユニット31〜33のそれぞれを取り付ける構成を説明したが、これに限らず、例えば、それぞれのLEDユニットごとにユニット取付部を設ける構成としても良く、さらに、防犯灯本体4に対する各ユニット取付部の取付角度を調整可能に構成することで、LEDユニットの取付角度を調整可能にしても良い。
また例えば、第1〜第3LEDユニット31〜33の3つのLEDユニットを備える防犯灯について説明したが、これに限らず、4つ以上のLEDユニットを備えても良いことは勿論である。
【符号の説明】
【0028】
1 防犯灯
2 電柱
4 防犯灯本体
5 背面部
10 仕切板
12 電源モジュール
20 グローブ
21 遮光部
31 第1LEDユニット
32 第2LEDユニット
33 第3LEDユニット
35 ユニット取付部
36 放熱フィン
40 レンズ体
42 マウント基板
43 取付ネジ
50 取付凹部
A 街路進行方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
屋外に立設した支柱に取り付けられる防犯灯本体を備え、
前記防犯灯本体に、街路進行方向を照射する第1LEDユニット、前記街路進行方向と反対の方向を照射する第2LEDユニット、及び、前記街路進行方向と略直交する路面側の方向を照射する第3LEDユニットの少なくとも3つのLEDユニットを設け、
前記防犯灯本体の背面部を前記支柱の外周面に沿った形状に形成したことを特徴とする防犯灯。
【請求項2】
請求項1に記載の防犯灯において、
前記第1、第2及び第3LEDユニットを着脱自在に取り付けるユニット取付部を前記防犯灯本体に設け、前記ユニット取付部に複数の放熱フィンを形成したことを特徴とする防犯灯。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の防犯灯において、
前記防犯灯本体内部に仕切板を設けて上下に仕切り、前記仕切板の下側に前記ユニット取付部及び前記第1、第2及び第3LEDユニットを配設すると共に、前記第1、第2及び第3LEDユニットに電力を供給する電源モジュールを前記仕切板の上側に配設したことを特徴とする防犯灯。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−216497(P2011−216497A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−168260(P2011−168260)
【出願日】平成23年8月1日(2011.8.1)
【分割の表示】特願2007−46499(P2007−46499)の分割
【原出願日】平成19年2月27日(2007.2.27)
【出願人】(000000192)岩崎電気株式会社 (533)
【Fターム(参考)】