説明

防犯装置に使用するための磁気キー

盗難防止用防犯装置の内部に保持された磁気的に引き付けることができる施錠機構を解錠するためのキー。キーは、その中に双極子磁石を保持する筐体を備える。双極子磁石は、防犯装置の本体の凹部に相補するように構成された特別に設計された断面形状である。磁石の形状は、磁石を凹部に一方向にのみ進入させ、適切なN極またはS極の1つを施錠機構に近接させることを可能にする。双極子磁石は、少なくともその一部が筐体から突出する延出位置と、磁石が筐体内に完全に後退する格納位置との間で、筐体内で移動可能である。磁石は、磁石を延出位置と格納位置との間で移動するように作動される筐体内のバネ付勢のスライドの上に載置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、防犯装置に関する。より具体的には、本発明は、防犯装置を解錠するためのキーに関する。具体的には、本発明は、防犯装置の磁気的に引き付けられる施錠機構を解錠するための双極子磁石を含む磁気キーに関する。
【背景技術】
【0002】
商品アイテムの盗難を阻止するための様々な防犯装置が市販されている。これらの防犯装置の一部は、商品の個別のアイテムに直接取り付けられ、他の防犯装置は、商品アイテムを陳列するシステムを固定するために使用される。これらの防犯装置の多くには、磁石を使用して解錠される錠が含まれる。
【0003】
商品アイテムに直接取り付けられる防犯装置の実施例は、英国特許第2,305,212号に開示されている。この装置には、商品アイテムを係合するフック、およびフックを所定の位置に固定するバネ付勢の錠が含まれる。システムを解錠するためには、磁石を錠の上に配設する。錠の位置は、直ちに明らかでないにも関わらず、装置は非常に簡単に無効になる。窃盗を計画する者は、ホームセンターまたは工芸店で市販の磁石を購入し、それを筐体の上全体にわたって移動し得、磁石が錠に近接した際に、磁石は簡単に装置を解錠する。
【0004】
同様に、仏特許第FR2690421号は、商品アイテムをケースに入れるための防犯装置を開示する。やはり、安全なケースには、磁石を使用して解錠される錠が含まれる。しかしながら、この錠の位置は、ケースには錠を収容する突出部を含む場合があるため非常に検知しやすい。やはり、それを解錠するために、任意の市販の磁石を錠に近接させ得る。
【0005】
これは、独特許第DE19843036号に示される装置にもまたみられる。この装置は、陳列システムを固定するために使用され、陳列用ロッドを所定の位置に固定するための錠を含む。しかしながら、特許の図2に図示するように、それを解錠するためには、任意の市販の磁石を、単に錠の上に配設させ得る。
【0006】
これらの上記に参照した装置の全ては、窃盗犯になり得る者に比較的アクセスしやすい施錠システム、および窃盗犯になり得る者が唯一必要とする道具が一般的な棒磁石であるため、不正な解錠を受けやすい。さらに、一般的な棒磁石および同等物を使用して、錠を解錠することは、磁石自体の性質により問題になり得る。磁石は、脆性の傾向があり、したがって、落下した場合に、欠ける傾向がある。チップは、磁石から発生する磁場を変更し得、したがって、落下後、磁石の磁性を減少する傾向がある。最後に、磁石は、それ自体に金属製物体を引き寄せる傾向がある。つまり、例えば、店員がキーリングに磁石を置くと、磁石はキーおよび硬貨等の周辺の物体を引き寄せる傾向がある。これは、磁石を使用する必要がある場合に問題となり、その使用前に、全ての引き寄せる物体をそこから取り外されなければならない。
【0007】
これらの問題は、特許出願公報整理番号第2006/0157431号として公開された、発明者Nagelskiらにより2005年11月4日に出願され、本発明の出願人に譲渡された、米国特許出願整理号第US11/267,524号にある程度提起されている。この出願公報において、商品を陳列用ロッドに固定する防犯装置が開示される。該装置には、該装置を解錠する特定の磁気キーを必要とする。防犯装置は、その中のチャンバ内に収容された磁気的に引き付けられるプランジャを備えた錠を含む。プランジャは、
施錠位置と解錠位置との間でチャンバ内を直線的に移動する。プランジャは、施錠位置にある時には、陳列用ロッドを係合し、商品がそこから取り外されるのを防止する。プランジャは、解錠位置にある時には、陳列用ロッドを係合せず、したがって、商品をロッドから取り外すことができる。チャンバは、装置の外面に近接するが、その存在および位置は、装置の簡単な外部検査からは明らかにならない。同様に、キーは、筐体によって完全に囲まれた磁石を備えるので、キーの簡単な外部検査では、磁石がその内部にあることが明らかにならない。装置の解錠に磁石が必要であると判断された場合であっても、装置および棒磁石を操作するのに極めて長い時間を費やさずに、施錠機構の場所を判断するのは困難である。この時間の消費は、窃盗犯が現場で捕らえられる可能性を高めることになる。許可された要員による使用のために特別に設計された磁気キーは、防犯装置の外面の位置決め溝内に係合しなければならない位置決めタブを有するものとして、この公報に開示されている。これは、装置の外面上に、かつ施錠機構に隣接して磁石を正しく位置決めする。位置決めタブが位置決め溝内に係合されていない場合、磁石は、防犯装置の外面に正しく位置決めされず、プランジャは移動せず、装置は施錠されたままとなる。
【0008】
したがって、当該技術には、装置の内部に配置された磁気的に引き付けられる施錠機構を含む、改善された防犯装置を解錠するために磁気キーを改善する必要性がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の装置は、改善された防犯装置を解錠するための磁気キーである。問題となる防犯装置は、本願と同時出願された、本発明者による2つの米国特許である、発明の名称「SECURITY DEVICE FOR LOCKING A PEG HOOK TO A PEG SUPPORT」および「HANG HOOK ASSEMBLY HAVING A SECURE FREE END」の主題を形成する。これらの出願書類に開示される防犯装置には、装置の内部チャンバ内に含まれ、防犯装置の外表面上に設置された棒磁石等の一般的な市販の磁石によってアクセスできない、または作動、つまり、解錠できない、磁気的に引き付けられる施錠システムが含まれる。
【0010】
本発明の磁気キーは、双極子磁石が移動可能に係合する筐体を備える。双極子磁石は、実質的に全体の磁石が筐体内に保持される第1の格納位置と、磁石が筐体から外方に延在する第2の延出位置との間で移動可能である。双極子磁石は、防犯装置に形成された、特別に設計またはパターン化された凹部に相補するパターンまたは形状で形成される。双極子磁石および凹部の形状は、磁石が1つの特定の方向に凹部だけに進入できるような形状である。さらに、双極子磁石は、必要かつ適切な磁石のN極またはS極のみを防犯装置の本体内の施錠機構に近接するように構成される。最後に、双極子磁石は、実質的に同サイズの非双極子の市販の磁石よりも実質的に頑丈になるように製造され、したがって、磁石の本体から発生するより強い磁力場を有する。したがって、双極子磁石は、磁気キーが非双極子磁石を含む場合以上に、防犯装置の内部深くに位置する施錠機構を解錠し得る。
【0011】
特殊形状の双極子磁石は、筐体内に保持され、防犯装置を解錠するのに必要とされる場合にのみ、筐体から外方に延在する。双極子磁石は、使用されていない場合に、筐体内に格納されまたは後退する。より具体的には、磁石は、必要な場合に、作動して双極子磁石の少なくとも一部を筐体から延在するバネ付勢のスライド上に保持される。筐体は、双極子磁石の保護を提供し、キーが落下した場合に、筐体が衝撃の影響を吸収し、したがって、磁石が欠ける可能性およびその磁性の低下を減少する。さらに、筐体は、双極子磁石周辺の物体がそれに接触することを防止し、絶縁体の役割を果たし、周辺の物体に対する双極子磁石の磁気的な引き付けを減少する。
【0012】
出願人が本原理を適用することを意図した最良の形態を示す、本発明の好適な実施形態
は、以下の説明に記載され、図面に示され、また、添付の特許請求の範囲に具体的かつ明確に指摘および記載されている。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に従う磁気キーの斜視図である。
【図2】図1の磁気キーの分解斜視図である。
【図3】磁気キーに含まれ得る無線周波コイルの斜視図である。
【図4】磁気キーの双極子磁石の後面図である。
【図5】双極子磁石の側面図である。
【図6】磁気キーから外方に延在する双極子磁石を有する磁気キーの正面図である。
【図7】図1の線7−7から見た縮退した非動作位置にある磁気キーの断面上面図である。
【図8】延在した動作位置にある磁気キーの断面上面図である。
【図9】防犯装置と係合し、それを解錠する磁気キーの側立面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明に従う磁気キーは、図1〜9に示され、概して、100で示される。キー100は、商品アイテムの盗難を阻止および防止するために、商品アイテム(図示せず)の陳列システムの一部を形成する防犯装置200(図9)を解錠するように適合される。
【0015】
本発明に従い、キー100は、超音波溶接、接着剤等によって互いに連結した、防犯装置200を解錠するための機構を取り囲む、第1の部分104および第2の部分106から成る筐体102を備える。筐体102の第1の部分104は、外表面104aおよび内表面104bを有する壁を備える。第1の部分104は、筐体の第1の端部102aに近接する第1の開口108、および外表面104aから内表面104bへ貫通して延在する縦方向のスロット110を画定する。第1の部分104は、解錠機構を部分的に収容する内部チャンバ112をも画定する。第1の溝114(図3)は、筐体102の第2の端部102bに形成される。ポスト116は、第1の部分104の内表面から外方に、チャンバ112へ延在する。一対の離間したリブ118(図4)は、第1の部分104の内表面上に提供され、筐体の近接した第1の端部102aから近接した第2の端部102bに延在する。
【0016】
筐体102の第2の部分106は、外表面106aおよび内表面106bを有する壁を備える。第2の部分106は、第1の端部102aに近接する第2の開口120、および第2の端部102bに近接する第2の溝122を画定する。第2の部分106は、第2の内部チャンバ124を画定する。複数の縦方向のトラック126は、第2の部分106の内表面106b上に提供され、筐体の第1の端部102aの近傍から端部102bの近傍へ延在する。第2の部分106はまた、内表面106bから外方に延在する、トラック126および筐体の周辺壁130から離間して、内壁128を提供する。空洞132は、内壁128と周辺壁130との間に画定される。空洞132は、長いAMコイル134(図2)または無線周波(RF)コイル137(図3)の1つを収容するようにサイズ設定される。コイル134または137は、キー100に組み込まれ、キー100が許可された要員により店舗から取り出された場合に、ドアの警報システムを作動する。
【0017】
第1および第2の部分104、106は、形状が相補的であり、超音波溶接によって一緒に固定された場合、第1および第2の開口108、120は、整列し、ランヤード(図示せず)が通過し得る孔7を共に形成する。次いで、ランヤードは、キー100が従業員に安全に保持されるように、従業員のキーリングまたはベルトに固定され得るが、それでも使用するのに容易にアクセス可能である。さらに、第1および第2の部分104、106が一緒に固定される場合、第1および第2の溝114、122は、筐体102の第2の
端部102bに開口部138を形成する。
【0018】
本発明の特定の特徴に従い、筐体102の開口部138は、実質的に同一の形状であるキーの解錠機構部分が開口部138を通って筐体の内外の移動を可能にする特別な形状である。本発明の好適な実施形態において、開口部138は、実質的にD字形状である(図5)。しかしながら、例えば、台形、六角形、または三角形等のいかなる他の形状をも使用し得る。
【0019】
キーの解錠機構は、第1および第2の部分104、106の内部チャンバ112、124により形成されるように、筐体102の内部に収容される。解錠機構には、リブ118および126に沿った往復移動に適合したスライド140、スライド140を筐体102内の格納位置へ付勢するバネ142、およびキー100が店の従業員によって作動された場合に、スライド140で運ばれ、開口部138を通って外方に延出可能な永久双極子磁石144が含まれる。スライド140には、平面状の上部壁および底部壁146、148が含まれ、それらから延在する一対の円弧状の側壁150、152がこれらに伴う。スライド140は、スライド140の両端部を通ってアクセスできる縦方向のボア154を画定する。側壁150、152は、それぞれリップ156(図2)で終端し、リップ156は、互いから距離を置いて離間される。距離は、トラック126間の距離と相補的である。リップ156は、トラック126上でスライド140を連動し、筐体102内を移動する際にスライド140を誘導するのに役立つ。スライド140は、上部壁146と底部壁148との間で、ボア154の縦軸に対して垂直に延在する内壁158(図3)をさらに含む。スライド140の上部壁146は、開口160(図2)、およびその中のU字形状のスロット162を画定する。上部壁146の内表面は、2つの離間された凹部164、166(図3)をも画定する。スライド140の底部壁148は、上部壁146の開口160の反対側に開口168を画定し、上部壁146のスロット162の反対側に位置するスロット170を画定する。底部壁148は、凹部164、166と反対側に、一直線上に配置された2つの離間したスロット174、177をさらに画定する。開口160、168、スロット162、170、174、177および凹部164、166の全ては、スライド140のボア154と連通する。
【0020】
第1のピン176は、第1の一直線上に配列された凹部およびスロット164、174内に保持される。第2のピン178は、第2の一直線上に配列された凹部およびスロット166、177内に保持される。バネ142は、ポスト116と第1のピン176との間に延在し、プッシュナット180によってポスト116上に保持される。スロット162および170は、スライド140上に提供され、スライド140がトラック126に沿って移動した場合に、スライド140の第1の端部146aが、ポスト116を超えて僅かな距離を移動することを可能にする。
【0021】
スライド140は、ネジ184によって作動ボタン182に連結される。ボタン182の端部182a(図2)は、筐体102の第1の部分104のスロット110を通って挿入され、スライド140の開口160にきつく適合する。ネジ184は、スライド140の底壁148の開口168を通って、第1の部分104のスロット110を通って、ボタン182内のボアへ挿入される。スクリュードライバの先端部は、ネジ184を締めるために、スロット168を通って挿入され得る。
【0022】
図4および5を参照し、本発明の特定の特徴に従い、解錠機構には、永久双極子磁石144がさらに含まれる。永久双極子磁石は、複数のより小さな磁気ブロックから特別に製造された磁石である。ブロックは、第1の所定の領域にN極、および第2の所定の領域にS極を有する磁石を製造するように特別な方法で互いに配設され、固定される。同様の大きさの従来の磁石と比較すると、双極子磁石は、遥かに強い磁界強度を有する。本発明で
利用される双極子磁石144は、ネオジム、鉄、およびホウ素の合金(NdFeB)から製造される。具体的には、好ましい磁石144は、ニッケルめっきされた焼結NdFeB磁石である。
【0023】
本発明の別の特定の特徴に従い、双極子磁石144は、スライド140のボア154の部分154a内に適合するように成形および伸長される。磁石144は、筐体102のスライド140の縦軸と実質的に一直線上に配置される縦軸「X」を有する。磁石144もまた、防犯装置200の特別に設計および成形された凹部に係合し得るように、特別な断面形状を有するように製造される。図1〜6に示す本発明の好適な実施形態において、磁石144の断面形状は、実質的に、D字形状であり、防犯装置200内の相補的にD字形状の凹部内に受けられるように設計されている。磁石144には、平面186および円弧状面188を有する細長い壁が含まれる。円弧状面188は、平面186に始まり、そこで終端し、D字形状の磁石を形成する。磁石144は、端部面190、192をさらに含む、細長い部材である。平面186は、磁石の縦軸に対して直角に配向され、かつスライド140の第2のピン178をその中に受けるようにサイズ設定されるチャネル194を提供される。スライド140および磁石144は、十分に相補的形状になるように構成され、図3および4に示すとおり、磁石144がスライド140の内表面の少なくとも一部に対してきつく保持されることに留意されたい。したがって、スライド140がリブ118、126に沿って移動する場合に、磁石144は、1つのユニットとしてスライド140と共に移動する。
【0024】
本発明の別の特定の特徴に従い、双極子磁石144もまた、磁石の平面186に指定の極を、円弧状面188にもう一方の極を形成するように特別に製造される。これは、磁石144が防犯装置200の凹部に挿入された場合に、適切な磁極だけが施錠機構に近接するように製造される。誤った磁極が防犯装置の施錠機構に近接した場合、次いで、施錠機構は磁石によって反発され、施錠位置に残留し得る。したがって、双極子磁石144は、磁石144のN極またはS極の1方が平面186に形成され、N極およびS極のもう一方が平面186の正反対の円弧面188の一部に形成されるように製造される。本発明の好適な実施形態において、平面186は、防犯装置200の施錠機構を解錠するために使用される磁石144の部分である。
【0025】
複数の産業または店舗に応じたキー100が製造されることが考えられる。それぞれのキーは、特別かつ異なる断面形状の双極子磁石を有し、それにより、キーがその産業または店舗用に特別に製造された防犯装置の相補的な形状の凹部にのみ係合することが可能になる。したがって、双極子磁石は、台形形状等のD字形状以外の断面形状で製造され得る。相補的形状のスライドは、異なる形状の磁石を保持し、取り扱うために提供され得ることが理解されるであろう。
【0026】
付属の図面に図示するとおり、キー100は、右利きの人が使用するように設計されている。ユーザは、親指をボタン144に乗せて右手で装置を持ち、キー100の方向は磁石144の平面186が地面に向かって下方に向くような方向であると考えられる。キー100は、代替的または追加的に左利き用に製造され得ることを当業者は理解するであろう。
【0027】
図6および9は、筐体102の凹部領域103は、キー100を使用して、防犯装置200を解錠する場合に、陳列用ロッドアセンブリ204の円筒状ロッド202の表面部分をその中に適合するように成形されることを示す。凹部領域103がロッド202上に配置される場合、ロッド202は、以下に記載されるとおり、キー100を防犯装置200の凹部206に向かって正確に配向し、方向付けるためのガイドとして作動する。防犯装置200は、ロッドアセンブリ204を陳列用ボード210に施錠するベースアセンブリ
である。ロッドアセンブリは、上部ロッド202および下部ロッド203を備える。防犯装置200はまた、装置の内部に固定されたチャンバ252内に収容される施錠機構250も含む。施錠機構250は、市販の磁石が防犯装置200の外表面上に設置された場合に、機構250が施錠されたままでいられる十分な厚さの壁254によってキー100との直接接触から分離される。好ましくは、施錠機構250は、従来のキーまたはスイッチの手段により直接アクセスできない、または係合できない。
【0028】
施錠機構250は、ロッド202が貫通する通路260内にばね258によって付勢され、ひいては、ロッド202を施錠する金属シャトルアセンブリ256を含む。施錠機構250は、プラスチック等の材料から成る非金属性の絶縁のベース部262もまた含む。絶縁のベース部262は、シャトルアセンブリ256の金属と、ロッド202の金属との間に配置され、ロッド202がシャトルアセンブリ256の磁石198に引き付けられるのを実質的に防止する。施錠機構250が通路260内に延在する時には、ベース部262を、ロッド202のノッチ262内に受け、それによって、ロッド202およびベースアセンブリ200を互いに施錠する。施錠機構250が解錠位置にある場合、ベース部262は、ロッド202のノッチ262から後退し、したがって、ロッド202は、自由に移動することができる。施錠機構250は、施錠位置と解錠位置との間で、通路260に対して実質的に直角である方向に移動することに留意されたい。
【0029】
以下の方法で、キー100を使用して、防犯装置の施錠機構250を解錠する。店の従業員は、キー100を右手に持ち、矢印「Y」(図4)の方向にボタン144を押す。ボタン144は、それが容易に係合するように、直立部分144aで終端する傾斜した上端部を有するように構成されることを留意されたい。矢印「Y」の方向にボタン144を押すことで、スライド140は、第1の位置(図7)から第2の位置(図8)へ、筐体102内を移動する。図7に示す第1の位置では、キー100は、非動作位置であり、スライド140は、磁石144全体が筐体102の内部チャンバ154に格納されるような方法で配設される。ボタン144が矢印「Y」方向に押されると、スライド140は、リブ118、126に沿って、筐体102の終端102bに向かって筐体102の内部内を移動する。スライド140のこの動作により、バネ142は、図3に示す第1の長さから図4に示す第2の長さまで拡張する。さらに、筐体102の第2の終端102bに向かうスライド140の動作により、磁石144の外端144aは、筐体102から、その第2の終端102bの開口部138を通って、第2の延在位置へ摺動して出る。磁石144がこの延出位置にある場合、その比較的小さい部分は筐体102内に残留し、その第2のより大きな部分は、筐体102から外方に延在する。筐体102から外方に延在する磁石144の部分は、防犯装置200の凹部206に、それを解錠するために、挿入可能な磁性の突出部198(図4)を形成する。突出部198が筐体102から外方に延在する場合、スライド140は、第2の位置にある。
【0030】
キー100が、磁石144を筐体102から外方に延出させて、この作動状態にあるときに、店の従業員は、その上部表面が防犯装置200の凹部領域103に着座するように、筐体102をロッド202上に配置する(図6および9)。筐体102は、磁性の突出部198が防犯装置200の相補的に形成された凹部206に進入するまで、ロッド202に沿って押される。突出部198は、凹部206の長さに相補的な長さであり、その中に係合するように設計されている。これにより、磁石144は、そこから発生する力場が施錠機構250の範囲に進入するのに十分な程度まで確実に凹部206に進入する。それによって、双極子磁石144の的確な極は、施錠機構250に近接させられる。磁石のN極とS極との間に延在する磁石144の磁場は、施錠機構240をチャンバ252内で上方に引き付け、それにより、そのベース部262をロッド202のノッチ264から後退する。より具体的には、磁石144の平面186は、防犯装置200の表面、この場合、施錠機構250の金属要素に近接して配置される、凹部206に近接する壁254の内表
面と接触して配置される。双極性磁石144は、シャトルアセンブリ256を、それに向かって引き寄せ、それによって、通路260に対して直角に、施錠状態から解錠状態に施錠機構250を移動する。
【0031】
店の従業員が防犯装置200を使用する作業を終了した場合、筐体102上のボタン144は解放される。これにより、筐体102内のバネ142は、収縮し、その本来の形状および位置に戻り、それによって、トラック126に沿ってスライド140を後退し、矢印「Y」と反対方向に筐体102の内部へ戻す。スライド140が筐体102の端部102aに向かって移動すると、磁石144は、それとともに摺動し、突出部198は、筐体102の内部チャンバ112、124に後退して戻る。したがって、スライド140は、その第1の位置に移動して戻り、キー144は再び休止状態となる。
【0032】
本発明の好適な実施形態は、図示され、開口部138および磁石144が、概して、D字形状であり、スライド140が、磁石144を収容するように成形されることが示されて説明される。D字形状の磁石144は、防犯装置200のD字形状の凹部に相補して係合するように設計されている。磁石と防犯装置200とのこの相補関係は、防犯装置200が不正な者によって解錠できないことを確実にするのに役立つ。しかしながら、双極子磁石は、いかなる他の所望の形状で形成され得、他の形状の磁石は、相補的形状のスライド内に保持され、筐体の相補的形状の開口部を通って延在し、解錠される相補的形状の凹部および防犯装置200に挿入されることは、当業者は理解するであろう。
【0033】
磁石144は、防犯装置200の凹部に相補的である特別な断面形状で製造され得、よって、それ自体で、つまり筐体内に保持された磁石を保持しないで使用され得ることを理解されたい。しかしながら、様々な理由により、磁石144をスライド140に接続し、筐体102内に磁石144を保持することが望ましい。第1の理由は、磁石を、前述のとおり、落下、欠け、およびその磁気のあらゆる低下から保護することである。双極子磁石はまた、「通常」の磁石よりも遥かに強い。したがって、磁石144が筐体102によって保護されなかった場合、車のキー、硬貨、クリップ等の周辺の物体をそれ自体に引き付け得る。
【0034】
防犯装置200の施錠機構250がキー100の双極子磁石に向かって引き付けられると開示されている一方、施錠機構250は、代替として、磁石により反発するようにベースアセンブリ200内に設置され、そのように反発する場合に、ロッドアセンブリ204のロッドから解放され得ることを理解されたい。
【0035】
上述の説明では、簡潔さ、明確さ、および理解のために特定の用語を使用した。そのような用語は、説明目的で使用され、広義に解釈されることを意図したものであるので、これに起因するいかなる不必要な制限も、先行技術の要件を越えて暗示されるものではない。
【0036】
さらに、本発明の説明および図は一実施例であり、本発明は、示された、または記述された厳密な詳細に制限されない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
防犯装置の内部に含まれる磁気的に引き付けられる施錠機構を解錠するためのキーであって、
筐体と、
前記筐体のチャンバ内に載置された双極子磁石とを備え、前記磁石は、前記磁石の実質的に全てが前記筐体内に位置する格納位置と、前記磁石の少なくとも一部が前記筐体から外方に突出する延出位置との間で移動可能であり、前記磁石が前記延出位置にあり、前記施錠機構に近接された際に、前記磁石からの力場が、前記施錠機構を施錠位置から解錠位置へ移動する、キー。
【請求項2】
前記双極子磁石は、独特な断面形状を有し、前記防犯装置内の相補的な形状の凹部内に受けられるように適合される、請求項1に記載のキー。
【請求項3】
前記双極子磁石は、実質的にD字形状の断面であり、前記防犯装置内の相補的D字形状の凹部に受けられるように適合される、請求項2に記載のキー。
【請求項4】
前記双極子磁石は、第1の端部、第2の端部、およびそれらの間に延在する細長い壁を有し、前記双極子磁石は、前記第1の端部と前記第2の端部との間に延在する縦軸を有し、実質的に前記縦軸に沿って、縮退位置と延在位置との間で前記筐体内を移動する、請求項3に記載のキー。
【請求項5】
前記双極子磁石の前記細長い壁は、
実質的に平面と、
D字形状の断面を形成するように前記平面に始まり、そこで終端する円弧状面と、
を備える、請求項4に記載のキー。
【請求項6】
前記双極子磁石は、前記平面が前記磁石のN極およびS極のうちの1つを備え、前記円弧状面が前記磁石のN極およびS極のもう一方を備えるように製造される、請求項5に記載のキー。
【請求項7】
前記双極子磁石は、ネオジム鉄ボロン磁石である、請求項1に記載のキー。
【請求項8】
前記筐体は、
第1の部分と、
第2の部分とを備え、前記第1の部分および前記第2の部分のそれぞれは、その中に前記磁石を受けるように相補的に成形およびサイズ設定された内部チャンバの一部を画定し、前記第1の部分および第2の部分は、それぞれ前記内部チャンバへの開口部の一部を画定し、前記磁石は、前記開口部を通って、前記格納位置と前記延出位置との間で移動可能である、請求項1に記載のキー。
【請求項9】
前記筐体は、前記筐体の前記第1の側面の内表面上に形成された少なくとも1つのトラックをさらに含み、前記磁石は、前記トラックに沿って移動可能である、請求項8に記載のキー。
【請求項10】
前記筐体は、スライドをさらに含み、前記スライドは、その中に前記磁石の第2の部分を受けるように相補的に内部のボアを画定し、前記スライドは、前記磁石を前記延出位置と格納位置との間で移動するために、前記トラックに沿って往復移動可能である、請求項9に記載のキー。
【請求項11】
前記第1のスライドは、離間され、縦に整列されたトラックの対を含み、前記スライドは、離間されたリップを含み、それらは、そこに前記スライドを固定するように前記トラックと係合可能である、請求項10に記載のキー。
【請求項12】
前記磁石は、その前記平面上に溝を画定し、前記溝は、前記磁石の前記縦軸に対して直角に配設され、前記スライドは、前記磁石およびスライドを互いに固定するように、スライドの第1と第2の面との間、および前記磁石の溝を通って延在するピンをさらに含む、請求項11に記載のキー。
【請求項13】
前記スライドと前記筐体の前記第1および第2の側面のうちの1つとの間に延在する張力バネをさらに含み、前記バネは、前記スライドおよびひいては前記磁石を前記筐体内の前記格納位置に付勢する、請求項12に記載のキー。
【請求項14】
前記筐体の前記第1および第2の側面の1つから内方に、その前記内部チャンバへ延在するポストをさらに含み、前記バネは、1つの端部を前記ポストに、かつもう一方の端部を前記スライドに固定される、請求項13に記載のキー。
【請求項15】
前記筐体は、前記筐体の前記第1および第2の側面の1つに画定されるスロットに沿って移動可能な作動装置ボタンをさらに含み、前記ボタンは、第1の位置と第2の位置との間で移動可能であり、前記作動装置ボタンは、前記筐体内の前記第1および第2のトラックに沿って前記スライドを移動させるように、前記スライドに操作できるように接続される、請求項14に記載のキー。
【請求項16】
前記作動装置ボタンは、そこへ加えられた外部からの指の圧力によって前記第1の位置から前記第2の位置まで移動可能であり、前記作動装置ボタンが、前記筐体に沿って、その第1の位置からその第2の位置まで移動したときに、前記バネの伸長が生じ、前記作動装置ボタン上の指の圧力が開放されたときに、前記バネは、その本来の長さおよび位置に収縮する、請求項15に記載のキー。
【請求項17】
前記筐体は、その中に第2のチャンバをさらに画定し、前記キーは、前記第2のチャンバ内に保持された長いAMコイルおよびRFコイルの1つをさらに備える、請求項1に記載のキー。
【請求項18】
前記筐体は、前記筐体の外表面の一部に画定された軸方向の溝をさらに含み、前記軸方向の溝は、前記防犯装置のロッド状部分をその中に受けるように適合され、それにより、前記ロッド状部分は、前記防犯装置と前記筐体との係合を誘導するためのガイドとして機能する、請求項1に記載のキー。
【請求項19】
前記筐体は、その外表面に画定されたスロットをさらに含み、前記スロットは、そこを通るランヤードコネクタを受けるように適合される、請求項1に記載のキー。
【請求項20】
防犯装置の外表面から内方に位置するチャンバを画定する防犯装置と、
前記チャンバ内に配置された、磁気的に引き付けることができ、かつ前記防犯装置を物体に施錠するように適合される施錠機構であって、前記施錠機構は、前記チャンバ内で、施錠位置と解錠位置との間を直線的に移動可能である、施錠機構と、
前記装置の前記外表面から前記装置の内方に、前記内部チャンバおよびその中の施錠機構の直線運動に対して直角に延在する凹部であって、前記凹部は、独特の断面形状で形成され、内壁によって前記チャンバから分離する、前記凹部との組み合わせにおいて、
キーは、
筐体と、
前記筐体内に載置され、実質的に全ての前記磁石が前記筐体内に配置される格納位置と、少なくとも一部の前記磁石が前記筐体から外方に突出する延出位置との間を移動可能である双極子磁石とを備え、前記双極子磁石は、前記凹部の形状を相補する断面形状を有し、前記磁石が前記延出位置にあり、前記凹部に挿入されたとき、施錠機構を前記施錠位置から前記解錠位置へ磁気的に移動する。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公表番号】特表2010−515846(P2010−515846A)
【公表日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−545569(P2009−545569)
【出願日】平成20年1月4日(2008.1.4)
【国際出願番号】PCT/US2008/000129
【国際公開番号】WO2008/088680
【国際公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【出願人】(508078086)インビュー・セキュリティ・プロダクツ・インコーポレイテッド (7)
【氏名又は名称原語表記】INVUE SECURITY PRODUCTS INC.