説明

防眩ミラーのヒータ構造

【課題】防眩機能の他にヒータ機能を併せ持つ構造であっても、同構造を簡素化することができる防眩ミラーのヒータ構造を提供する
【解決手段】ECミラーには、一対のガラス基材の間にECセル5が挟み込み配置される。ECセル5は、一対の電極6,8と、これらの間に挟まれたEC層とからなる。透明電極8の両側に、+側ヒータ端子14と−側ヒータ端子15とを設ける。+側ヒータ端子14は、抵抗12を介して対向電極6に接続される。そして、ECミラーでヒータ機能を動作させる際には、一対のヒータ端子14,15間に電圧を印加することにより、対向電極6を開放状態にして透明電極8を通電する。よって、透明電極8が発熱し、ミラー鏡面に付着した水滴等が透明電極8の熱により蒸発する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鏡の眩しさを低く抑えることが可能な防眩ミラーのヒータ構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両のサイドミラーには、鏡面の反射像を防眩して写すことが可能な防眩ミラーが広く使用されている。この防眩ミラーには、エレクトロクロミズムという現象を利用して防眩機能を満たすミラー、いわゆるEC(エレクトロクロミック)ミラーが一般的に広く知られている。なお、エレクトロクロミズムとは、電圧印加によって光物性を可逆変化させる現象のことを言う。この種のECミラーでは、EC層の裏側に反射材を取り付け、強度確保のためにEC層を一対のガラス基板で挟み込む構造をとっている。
【0003】
また、車両のサイドミラーは、車外に設置されるため、例えば天候悪化や路面環境悪化時、鏡面に水滴が付着することが多い。このように、鏡面に水滴が付着すると、水滴により光の散乱が起こり、反射像を鏡面に明瞭に映し出すことができなくなる。この問題を解消するために、サイドミラーの鏡裏面に発熱体としてPTC(Positive Temperature Coefficient)ヒータを貼り付け、このPTCヒータにより発せられる熱によって、鏡面に付着した水滴を蒸発させて除去する技術(特許文献1等参照)が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−109422号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、引用文献1の技術では、防眩ミラー組み立ての際に、EC層の裏面にPTCヒータを貼り付ける工程が必要となるので、防眩ミラーの組立工程がかさむ問題があった。また、PTCヒータが別途必要にもなるので、その分だけ防眩ミラーに必要となる部品点数が増える問題があり、またPTCヒータの分だけ防眩ミラー全体の重量が重くなる問題もあった。さらに、PTCヒータはミラーの最裏面に貼り付いているので、鏡面を温めるには2枚のガラス基板を熱する必要があるので、水滴を蒸発させるのに充分な温度まで鏡面を熱するには、多くの電力を必要とする問題もあった。
【0006】
本発明の目的は、防眩機能の他にヒータ機能を併せ持つ構造であっても、同構造を簡素化することができる防眩ミラーのヒータ構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記問題点を解決するために、本発明では、透明電極と対向電極との間に防眩層が形成され、これら電極間に電位差を発生させることで、鏡面に写る反射像を前記防眩層により防眩する防眩ミラーのヒータ構造において、前記透明電極に正負一対のヒータ給電端子を設け、前記対向電極を開放状態にして正側ヒータ給電端子及び負側ヒータ給電端子の間に電圧を印加した際には、前記透明電極がヒータとして動作することを要旨とする。
【0008】
この構成によれば、防眩層の両側の透明電極及び対向電極の間に電位差を発生させると、防眩機能が作用してミラー反射像の明瞭さが確保され、対向電極を開放した状態で透明電極に電圧を印加すると、対向電極がヒータとして動作することにより、ミラー鏡面に付着した水滴等が除去される。このため、本構成においては、防眩層の透明電極を防眩機能及びヒータ機能の両方に共用するので、防眩ミラーに必要となる部品点数が少なくなる。よって、防眩機能とヒータ機能とでそれぞれ別の部材が設けられたミラーと比較して、ミラーの構造を簡素化することが可能となる。
【0009】
このように、ミラー構造を簡素化することが可能となれば、ミラーを組み立てる際の組立工数を少なく抑えることが可能となる。また、ミラーの部品点数が少なくなれば、ミラーを軽量化することも可能となる。さらに、ヒータ機能でミラー鏡面を温める際、透明電極の熱が直にミラーの表面に伝達される。このため、熱を効率よくミラー表面に伝えることが可能となるので、ミラー表面を短時間で温めることが可能となり、ヒータ機能動作時の省電力化も可能となる。
【0010】
本発明では、前記正側ヒータ給電端子と前記対向電極との間に、バイアス用の抵抗が接続され、前記正側ヒータ給電端子及び前記負側ヒータ給電端子の間に、前記防眩層の負側を給電するダイオードが接続されていることを要旨とする。
【0011】
この構成によれば、本構成のヒータ構造を抵抗及びダイオードという簡素な構成で実現することが可能となる。
本発明では、透明電極及び対向電極の間に発光層が設けられ、これら電極間に電位差を発生させることで、前記発光層により照明を可能とし、当該発光層の前記透明電極にも前記防眩層と同様のヒータ機能を持たせたことを要旨とする。
【0012】
この構成によれば、ミラーの一部を照明装置として使用するので、ミラーに各種通知を表示することが可能となる。また、この照明機能も防眩機能と同様のヒータ機能を持つので、照明部分のヒータも簡素な構造で済ますことが可能となる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、防眩機能の他にヒータ機能を併せ持つ構造であっても、同構造を簡素化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】第1実施形態におけるECミラーの外観を示す斜視図。
【図2】ECミラーの鏡部分の構造を示す断面図。
【図3】ECミラーの電気的構成を示す回路図。
【図4】ECミラーのEC機能を動作させた状態を示す回路図。
【図5】ECミラーのヒータ機能を動作させた状態を示す回路図。
【図6】第2実施形態におけるECミラーの外観を示す斜視図。
【図7】ECミラーの鏡部分の構造を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(第1実施形態)
以下、本発明を具体化した防眩ミラーのヒータ構造の第1実施形態を図1〜図5に従って説明する。
【0016】
図1に示すように、車両の左右両側には、エレクトロクロミズムによる防眩機能を備えたサイドミラー(以降、ECミラー1と記す)が設けられている。このECミラー1には、外枠のケース部分を構成する本体部2が設けられている。この本体部2には、ECミラー1の鏡部分として板状のミラー部3が設けられている。ミラー部3は、複数部材を層状に重ね合わせた物品からなるとともに、この表部分に反射像を写し出すことが可能となっている。なお、ECミラー1が防眩ミラーに相当する。
【0017】
図2に示すように、ミラー部3の表面及び裏面には、ミラー部3を外部衝撃から保護する一対の基材4a,4bが設けられている。これら基材4a,4bは、例えば透明ガラスが使用されるとともに、平板形状形成されている。
【0018】
これら一対の基材4a,4bの間には、EC機能を実現するECセル5が介装されている。ECセル5は、対向電極6、EC層7及び透明電極8の多層により構成されるとともに、一対の電極6,8の間にEC層7が挟み込み配置されている。EC層7は、電圧が印加されると、透光性が可逆的に変化する透明層であって、酸化発色層、固体電解質層及び還元発色層の多層構造をなしている。酸化発色層には、例えばIrO(酸化イリジウム)、NiO(酸化ニッケル)等が使用される。固体電解質層には、例えばTaO(五酸化二タンタル)、SiO(酸化シリコン)、Cr(酸化クロム)等が使用される。還元発色層には、例えばWO(酸化タングステン)、MoO(酸化モリブデン)、V(酸化バナジウム)等が使用される。なお、EC層7が防眩層に相当する。
【0019】
対向電極6は、EC層7の一方に電荷を印加する電極である。本例の対向電極6は、電極機能の他に鏡機能も有する。よって、対向電極6は、例えばAl(アルミニウム)やITO(インジウム・ティン・オキサイド)等が使用される。
【0020】
透明電極8は、EC層7の他方に電荷を印加する電極である。即ち、対向電極6と協同して、EC層7の両端に電圧差を発生させる。透明電極8は、例えばITO等が使用され、対向電極6に写される反射像が外から見えるように透明となっている。
【0021】
図3に示すように、透明電極8の一端子9は、EC層7の+側端子としての+側EC端子10に接続されるとともに、透明電極8の他端子11は、抵抗12を介して対向電極6に接続されている。また、対向電極6は、EC層7の−側端子として−側EC端子13に接続されている。そして、EC機能がオンして、+側EC端子10が高電位をとると、対向電極6及び透明電極8間に電位差が発生する。このため、EC層7が酸化還元反応により着消色してEC機能が動作し、防眩効果を発揮する。
【0022】
また、本例の透明電極8は、EC層7の一電極として動作する機能のみならず、ECミラー1の鏡面を温めることにより、鏡面に付着した水滴(水分)を蒸発させるヒータ機能も兼ね備えている。本例の場合、透明電極8は、EC機能及びヒータ機能の一方を選択的に実行する。即ち、対向電極6及び透明電極8の間に電圧差を発生させる状態をとると、EC機能として動作し、一方で、対向電極6を開放した状態(オープン状態)で透明電極8のみ通電させると、ヒータ機能として動作する。
【0023】
この場合、透明電極8の両側には、ヒータ給電用の+側ヒータ端子14及び−側ヒータ端子15が設けられている。+側ヒータ端子14は、透明電極8の他端子11と抵抗12との間の中間端子16に接続されている。また、−側ヒータ端子15は、透明電極8の一端子9に接続されている。ヒータ端子14,15の間に電圧が印加された際、透明電極8は開放状態(オープン状態)をとる。なお、+側ヒータ端子14が正側ヒータ給電端子に相当し、−側ヒータ端子15が負側ヒータ給電端子に相当する。
【0024】
+側ヒータ端子14及び−側ヒータ端子15の間には、逆流防止用のダイオード17が接続されている。ダイオード17は、EC機能をオンしたときに、+側EC端子10の電圧が同時に透明電極8の両端子9,11に加わるようにするためのもので、電極間電圧の上昇を促進させる機能を持つ。また、ダイオード17は、ヒータ機能がオンされたときに、電極間電圧がショートするのを防止する機能も持つ。
【0025】
車両には、ECミラー1の動作を管理するコントローラ18が設けられている。コントローラ18は、一対のEC端子10,13及び一対のヒータ端子14,15に接続されている。コントローラ18は、各種スイッチ(図示略)からの入力信号を基に、これら端子10,13〜15にかかる電圧を制御して、ECミラー1の動作を、オフ状態、EC機能オン状態、ヒータ機能オン状態の3状態のいずれかに設定する。
【0026】
さて、図4に示すように、入力信号としてEC機能オン要求がコントローラ18に入力されたとする。このとき、コントローラ18は、一対のEC端子10,13間に電圧を印加する。すると、ECミラー1の電気配線には、図4の矢印経路をとる電流が流れ、対向電極6及び透明電極8間に電圧差が発生する。これにより、EC層7が酸化還元反応により着消色し、EC機能が動作する。よって、ECミラー1の鏡面に写る反射像から眩しさが消去され、反射像が明瞭に鏡面に写り込む。
【0027】
一方、図5に示すように、入力信号としてヒータ機能オン要求がコントローラ18に入力されたとする。このとき、コントローラ18は、一対のヒータ端子14,15間に電圧を印加する。すると、ECミラー1の電気配線には、図5の矢印経路をとる電流が流れ、透明電極8のみが給電される。よって、透明電極8のみが発熱し、ヒータとして機能する。このとき、EC層7は逆接されるため、動作しない。従って、透明電極8の熱によってECミラー1の鏡面が温められ、鏡面に付着した水滴を蒸発させて、鏡面に写る反射像の明瞭さが確保される。
【0028】
従って、本例の場合、ECセル5の一電極を構成する透明電極8を、EC機能のみならずヒータ機能にも使用するので、透明電極8をEC機能及びヒータ機能の両機能に使用することが可能となる。このため、ECミラー1に必要な部品点数が削減されるので、ECミラー1の構造を簡素化することが可能となる。また、このように、ECミラー1の部品点数が削減されれば、ECミラー1の組立工数削減、ECミラー1の軽量化等の効果も得られる。
【0029】
また、本例の場合、ミラー鏡面をヒータ機能により温める際には、表側の基材4aのすぐ裏に貼り付く透明電極8を発熱させるので、透明電極8により熱せられる部材は表側の1枚の基材4aのみとなる。このため、透明電極8の熱が直に表側の基材4aに伝わることになるので、表側の基材4aの表面温度を所定温度、つまり水滴を蒸発可能な温度まで上昇させる時間が短く済む。よって、透明電極8の通電時間が短く済むので、ヒータ機能の省電力化が可能となる。
【0030】
本実施形態の構成によれば、以下に記載の効果を得ることができる。
(1)本例のヒータ機能付きECミラー1では、ECセル5の一電極を構成する透明電極8をEC機能及びヒータ機能の両機能に共用する。よって、ECミラー1にヒータ機能を搭載しても、ECミラー1に必要となる部品点数が少なく済むので、ECミラー1の構造を簡素化することができる。また、ECミラー1の部品点数を少なく抑えられれば、ECミラー1の組立工数を削減でき、かつECミラー1を軽量化することもできる。
【0031】
(2)本例のヒータ機能は、表側の基材4aのすぐ裏面に位置する透明電極8に通電し、この透明電極8から発生する熱でミラー鏡面を直に温める。このため、透明電極8の熱を効率よくミラー表面に伝えることが可能となるので、ミラー表面を短時間で温めることができる。よって、ヒータ機能に必要となる電力を省電力化することができる。
【0032】
(3)透明電極8をヒータとして使用する際には、対向電極6を開放して通電するので、透明電極8がECとして動作することはない。よって、透明電極8をヒータとして動作する際に、同時にECが作用せずに済むので、ヒータ動作中であっても鏡の反射率が低下せず、鏡面に反射像を明瞭に写し出すことができる。
【0033】
(4)1つの透明電極8をEC機能及びヒータ機能の両方に共用する本例のECミラー1は抵抗12及びダイオード17により実現されるので、実施に際してECミラー1の構造が複雑化することはない。
【0034】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態を図6及び図7に従って説明する。なお、本例は、第1実施形態のEC機能を他の機能に変更したのみの構成であるため、同様の部分は同一符号を付して説明を省略し、異なる部分についてのみ詳述する。
【0035】
図6に示すように、ECミラー1の一部分には、安全走行に関係する通知動作を運転者に対して実行するインジケータ20が設けられている。インジケータ20は、例えばヒータがオンすると点灯(点滅)して、鏡が熱くなっていることを運転者に通知する安全機能の一種である。本例のECミラー1は、EC機能及びヒータ機能に加え、鏡面の一部分にインジケータ機能を設けたミラーとなっている。
【0036】
ミラー部3においてインジケータ20に相当する箇所には、ECセル5に代えて有機ELセル、具体的にはEC層7に代えて有機EL層21が部分的に設けられている。有機EL層21の両側には、一対の電極22,23が設けられている。表側の透明電極23は、抵抗24を介して裏側の対向電極22に接続されている。透明電極23の+側EL端子25と、対向電極22の−側EL端子26とは、コントローラ18に接続されている。有機EL層21は、一対の電極22,23間に電圧が印加されると、有機化合物中の電子及びホールの再結合により生じる励起子によって発光する。なお、有機EL層21が発光層に相当する。
【0037】
また、透明電極23の両側は、ヒータ給電用の+側ヒータ端子14及び−側ヒータ端子15のそれぞれに接続されている。本例の場合、+側ヒータ端子14は、透明電極23の他端子27と抵抗24との間の中間端子に接続されている。−側ヒータ端子15は、透明電極23の一端子28に接続されている。ヒータ端子14,15の間に電圧が印加された際、透明電極23は開放状態(オープン状態)をとる。
【0038】
さて、コントローラ18は、入力信号としてインジケータ点灯要求を入力すると、インジケータ機能をオンさせるために、有機EL層21の一対の電極22,23に電圧を印加する。これにより、有機EL層21が発光し、ECミラー1のインジケータ20が点灯(点滅も可)する。一方、コントローラ18は、入力信号としてヒータ機能オン要求を入力すると、透明電極23のみを通電する。これにより、透明電極23がヒータとして動作し、鏡面に付着した水滴を蒸発させる。
【0039】
本実施形態によれば、第1実施形態に記載の(1)〜(4)に加えて、以下の効果を得ることができる。
(5)ECミラー1の鏡面の一部にインジケータ20を設けたので、鏡が熱くなっている通知をECミラー1で運転者に通知することができる。
【0040】
(6)インジケータ20を構成する有機ELの透明電極23をインジケータ機能のみならずヒータ機能にも共用するので、これらインジケータ20をヒータ機能付きとする場合に、必要となる部品点数を少なく抑えることができる。
【0041】
なお、実施形態はこれまでに述べた構成に限らず、以下の態様に変更してもよい。
・第1及び第2実施形態において、防眩機能は、EC機能により実現されることに限らず、EC以外の現象を使用した機能でもよい。
【0042】
・第1及び第2実施形態において、対向電極6は、鏡の機能を持つものに限定されない。例えば、対向電極6を電極のみの機能を持つものとし、鏡の層を対向電極6と別に設けてもよい。
【0043】
・第1及び第2実施形態において、ヒータ機能は、設定温度を変更可能としてもよい。
・第1及び第2実施形態において、対向電極6,22は、透明及び有色のどちらでもよい。
【0044】
・第1及び第2実施形態において、裏面側の基材4bは、透明及び有色のどちらでもよい。
・第1及び第2実施形態において、EC端子10,13間に印加する電圧と、ヒータ端子14,15に印加する電圧とは、異なる値でもよいし、同じ値としてもよい。
【0045】
・第1及び第2実施形態において、ECミラー1は、抵抗12及びダイオード17を備える構成に限らず、必要な機能を満たせるものであれば、他のデバイス素子に適宜変更可能である。
【0046】
・第2実施形態において、インジケータ機能は、ECミラー1の一部分に形成されることに限らず、自身のみで1つの装置、つまりインジケータ装置(照明装置)をなしてもよい。
【0047】
・第2実施形態において、発光層は、有機EL層21に限定されず、例えば液晶等の他のものに変更してもよい。
・第1及び第2実施形態において、ECミラー1の搭載対象は、車両に限定されず、他の装置や機器に応用してもよい。
【0048】
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について、それらの効果とともに以下に追記する。
(イ)請求項1〜3のいずれかにおいて、前記対向電極がミラーの鏡面も兼ねている。この構成によれば、対向電極に電極及び鏡面の2機能を持たせるので、ミラーの部品点数を少なく抑えることが可能となる。
【0049】
(ロ)透明電極と対向電極との間に発光層が形成され、これら電極間に電位差を発生させることで、前記発光層により照明が可能な照明装置のヒータ構造において、前記透明電極に正負一対のヒータ給電用端子を設け、前記対向電極を開放状態にして正側ヒータ給電用端子及び負側給電用端子の間に電圧を印加した際には、前記透明電極がヒータとして動作することを特徴とする照明装置のヒータ構造。ところで、例えば車両のランプ等の照明装置では、天候悪化や路面環境悪化時に装置表面に水滴が付着すると、この水滴によって光が遮られて見え難くなる可能性がある。しかし、本構成によれば、発光層の透明電極をヒータとして動作させれば、装置表面に付着した水滴を除去することが可能となるので、照明光が見え難くなる状況を生じ難くすることが可能となる。
【符号の説明】
【0050】
1…防眩ミラーとしてのECミラー、6…対向電極、7…防眩層としてのEC層、8…透明電極、12…抵抗、14…正側ヒータ給電端子としての+側ヒータ端子、15…負側ヒータ給電端子としての−側ヒータ端子、17…ダイオード、21…発光層としての有機EL層、22…対向電極、23…透明電極、24…抵抗。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明電極と対向電極との間に防眩層が形成され、これら電極間に電位差を発生させることで、鏡面に写る反射像を前記防眩層により防眩する防眩ミラーのヒータ構造において、
前記透明電極に正負一対のヒータ給電端子を設け、前記対向電極を開放状態にして正側ヒータ給電端子及び負側ヒータ給電端子の間に電圧を印加した際には、前記透明電極がヒータとして動作する
ことを特徴とする防眩ミラーのヒータ構造。
【請求項2】
前記正側ヒータ給電端子と前記対向電極との間に、バイアス用の抵抗が接続され、前記正側ヒータ給電端子及び前記負側ヒータ給電端子の間に、前記防眩層の負側を給電するダイオードが接続されている
ことを特徴とする請求項1に記載の防眩ミラーのヒータ構造。
【請求項3】
透明電極及び対向電極の間に発光層が設けられ、これら電極間に電位差を発生させることで、前記発光層により照明を可能とし、当該発光層の前記透明電極にも前記防眩層と同様のヒータ機能を持たせた
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の防眩ミラーのヒータ構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−178273(P2011−178273A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−44282(P2010−44282)
【出願日】平成22年3月1日(2010.3.1)
【出願人】(000003551)株式会社東海理化電機製作所 (3,198)
【Fターム(参考)】