説明

防眩性ハードコートフィルム、それを用いた偏光板および画像表示装置、ならびに防眩性ハードコートフィルムの製造方法

【課題】極めて低ヘイズで、防眩性を有し、白ボケを防止できる防眩性ハードコートフィルムを提供する。
【解決手段】透明プラスチックフィルム基材の少なくとも一方の面に、微粒子を含有する防眩性ハードコート層を有するフィルムであって、全ヘイズ値が0〜5%の範囲内にあり、前記防眩性ハードコート層表面の任意な箇所の長さ4mmにおいて、表面粗さプロファイルの粗さ平均線に平行で0.1μmの高さに位置する第1の基準線を越える凸状部の数Ntotalが15個以上あり、かつ、Ntotalと前記第1の基準線を越え前記平均線の前記凸状部を横切る部分の線分の長さが50μm以上の凸状部の数N50とが0.4≦N50/Ntotal≦0.8の関係を満たし、かつ、前記平均線に平行で0.2μmの高さに位置する第2の基準線を越える凸状部のうち、前記平均線を横切る部分の線分の長さが50μm以下である凸状部の数が10個以下である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防眩性ハードコートフィルム、それを用いた偏光板および画像表示装置、ならびに防眩性ハードコートフィルムの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
防眩性ハードコートフィルムは、陰極管表示装置(CRT)、液晶表示装置(LCD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)およびエレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)等の、様々な画像表示装置において、外光の反射や像の映り込みによるコントラストの低下を防止するために、ディスプレイ表面に配置される。近年、LCD、特にテレビ用途などにおいては、高画質化、高コントラスト化が進んでいる。LCDのコントラスト低下の原因の一つとして、表面に配置される防眩性ハードコートフィルムのヘイズ値の影響がある。そこで、よりコントラストを高くするために、低ヘイズ値の防眩性ハードコートフィルムが求められるようになってきた。
【0003】
従来の比較的高いヘイズ値を有する防眩性ハードコートフィルムでは、蛍光灯の映り込みと顔の映り込みの程度には、ほとんど差異はなかった。蛍光灯は、直接光の映り込みであり、光量が強くシンプルな像であり、人間の肉眼では、映り込みの輪郭像がはっきり見えるか否かで、防眩性を判断している。一方、顔の映り込みは、間接光の映り込みであり、光量が弱く、複雑な像である。この場合、人間の肉眼では、像全体のぼやけ具合で防眩性を判断している。しかしながら、低ヘイズ値を実現するために、防眩性をぎりぎりまで抑えた防眩性ハードコートフィルムにおいては、蛍光灯と顔に代表される上記2種類の映り込みを両立させるための設計は困難であった。また、低ヘイズを維持しつつ防眩性を高めるために表面凹凸を大きく荒らすと、斜め方向から見た場合、反射光の散乱が強くなりすぎて白ぼけて見えるという、いわゆる斜め方向の白ボケの問題がある。防眩性の向上と白ボケ改善やコントラスト改善は、一般的に相反関係にあるとされているが、これらの特性を両立させるための、種々の提案がなされている。例えば、防眩層中に前記粒子から形成される三次元立体構造の凝集部を存在させるという検討がなされている(例えば、特許文献1〜3参照。)、また、最表面の凹凸形状を規定のものにして映り込み防止と白ボケ防止を両立させようとする検討もなされているが(例えば、特許文献4、5参照。)、これらは蛍光灯の映り込みについて検討されているに過ぎず、顔の映り込みや、両映り込みの防止の両立についての検討はなされていなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−316413号公報
【特許文献2】特開2007−264113号公報
【特許文献3】特開2007−249191号公報
【特許文献4】国際公開第2006/0088202号
【特許文献5】特開2009−98657号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明は、テレビやモニター(特に画素数が140ppi以下のもの)などのLCD等の画像表示装置の特性を落とすことなく視認性を向上させる防眩性ハードコートフィルムを提供することを目的とする。すなわち、極めて低ヘイズで、かつ優れた蛍光灯および顔の防眩性を有し、さらに白ボケを防止して黒表示時における黒の濃さの向上をすることができる防眩性ハードコートフィルム、それを用いた偏光板および画像表示装置、ならびに前記防眩性ハードコートフィルムの製造方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するために、本発明の防眩性ハードコートフィルムは、透明プラスチックフィルム基材の少なくとも一方の面に、微粒子を含有する防眩性ハードコート層を有する防眩性ハードコートフィルムであって、前記防眩性ハードコートフィルムの全ヘイズ値が0〜5%の範囲内にあり、
前記防眩性ハードコート層表面の任意な箇所の長さ4mmにおいて、表面粗さプロファイルの粗さ平均線に平行で0.1μmの高さに位置する第1の基準線を越える凸状部の数Ntotalが15個以上あり、
かつ、前記第1の基準線を越える凸状部であって、前記平均線の前記凸状部を横切る部分の線分の長さが50μm以上の凸状部の数をN50としたとき、NtotalとN50とが下記式(1)の関係を満たし、
かつ、前記平均線に平行で0.2μmの高さに位置する第2の基準線を越える凸状部のうち、前記平均線を横切る部分の線分の長さが50μm以下である凸状部の数が10個以下であることを特徴とする。
0.4≦N50/Ntotal≦0.8 (1)
【0007】
本発明の偏光板は、偏光子および防眩性ハードコートフィルムを有する偏光板であって、前記防眩性ハードコートフィルムが、前記本発明の防眩性ハードコートフィルムであることを特徴とする。
【0008】
本発明の画像表示装置は、防眩性ハードコートフィルムを備える画像表示装置であって、前記防眩性ハードコートフィルムが前記本発明の防眩性ハードコートフィルムであることを特徴とする。
【0009】
本発明の画像表示装置は、偏光板を備える画像表示装置であって、前記偏光板が前記本発明の偏光板であることを特徴とする。
【0010】
本発明の防眩性ハードコートフィルムの製造方法は、前記本発明の防眩性ハードコートフィルムを製造する製造方法であって、
前記微粒子、ハードコート層形成材料、ならびに、溶媒を含む防眩性ハードコート層形成材料を準備する工程と、
前記防眩性ハードコート層形成材料を前記透明プラスチックフィルム基材の少なくとも一方の面に塗工して塗膜を形成する工程と、
前記塗膜を硬化させて前記防眩性ハードコート層を形成する工程とを含み、
前記溶媒として、アルコール系溶媒の比率が50重量%以上である溶媒を用いることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の防眩性ハードコートフィルムによれば、例えば、テレビやモニター(特に画素数が140ppi以下のもの)などの液晶パネル等において、特徴ある凹凸形状を実現することにより蛍光灯の防眩性と顔の防眩性とを両立し、かつ、白ボケを防止することができる。また、低ヘイズ化により、暗室環境下での画像表示装置の黒表示時における黒の濃さの向上をすることができる。したがって、本発明の防眩性ハードコートフィルムまたは偏光板を用いた画像表示装置は、表示特性が優れたものになる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1(a)】図1(a)は、実施例1の防眩性ハードコートフィルムの断面表面形状の、測定長さ4mmのうちの0〜1mmの範囲を示したプロファイルである。
【図1(b)】図1(b)は、実施例1の防眩性ハードコートフィルムの断面表面形状の、測定長さ4mmのうちの1〜2mmの範囲を示したプロファイルである。
【図1(c)】図1(c)は、実施例1の防眩性ハードコートフィルムの断面表面形状の、測定長さ4mmのうちの2〜3mmの範囲を示したプロファイルである。
【図1(d)】図1(d)は、実施例1の防眩性ハードコートフィルムの断面表面形状の、測定長さ4mmのうちの3〜4mmの範囲を示したプロファイルである。
【図2】図2は、実施例2の防眩性ハードコートフィルムの断面表面形状の、測定長さ4mmのプロファイルである。(a)は0〜1mmの範囲、(b)は1〜2mmの範囲、(c)は2〜3mmの範囲、(d)は3〜4mmの範囲である。
【図3】図3は、実施例3の防眩性ハードコートフィルムの断面表面形状の、測定長さ4mmのプロファイルである。(a)は0〜1mmの範囲、(b)は1〜2mmの範囲、(c)は2〜3mmの範囲、(d)は3〜4mmの範囲である。
【図4】図4は、実施例4の防眩性ハードコートフィルムの断面表面形状の、測定長さ4mmのプロファイルである。(a)は0〜1mmの範囲、(b)は1〜2mmの範囲、(c)は2〜3mmの範囲、(d)は3〜4mmの範囲である。
【図5】図5は、比較例1の防眩性ハードコートフィルムの断面表面形状の、測定長さ4mmのうちの0〜1mmの範囲を示したプロファイルである。
【図6】図6は、比較例2の防眩性ハードコートフィルムの断面表面形状の、測定長さ4mmのうちの3〜4mmの範囲を示したプロファイルである。
【図7】図7は、比較例3の防眩性ハードコートフィルムの断面表面形状の、測定長さ4mmのうちの3〜4mmの範囲を示したプロファイルである。
【図8】図8は、比較例4の防眩性ハードコートフィルムの断面表面形状の、測定長さ4mmのうちの3〜4mmの範囲を示したプロファイルである。
【図9】図9は、比較例5の防眩性ハードコートフィルムの断面表面形状の、測定長さ4mmのうちの3〜4mmの範囲を示したプロファイルである。
【図10】図10は、比較例6の防眩性ハードコートフィルムの断面表面形状の、測定長さ4mmのうちの0〜1mmの範囲を示したプロファイルである。
【図11】図11は、比較例7の防眩性ハードコートフィルムの断面表面形状の、測定長さ4mmのうちの3〜4mmの範囲を示したプロファイルである。
【図12】図12は、比較例8の防眩性ハードコートフィルムの断面表面形状の、測定長さ4mmのうちの3〜4mmの範囲を示したプロファイルである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の防眩性ハードコートフィルムにおいて、前記防眩性ハードコート層表面の任意な箇所の測定面積595μm×452μmにおいて、表面粗さプロファイルの粗さ平均面に平行で0.5μmの高さに位置する基準面を越える凸部の数Mtotalが40〜150個の範囲内であり、
totalと、前記凸部のうち前記基準面における断面積が100μm以上の凸部の数M100とが下記式(2)の関係を満たすことが好ましい。
0.15≦M100/Mtotal≦0.5 (2)
【0014】
本発明の防眩性ハードコートフィルムにおいて、前記防眩性ハードコート層が、前記微粒子と、ハードコート層形成材料とを用いて形成されており、前記ハードコート層形成材料と前記微粒子との屈折率の差が0.001〜0.02の範囲であり、前記微粒子として、重量平均粒径が0.5〜8μmの範囲である球状もしくは不定形の微粒子を1種類以上含み、前記ハードコート層形成材料100重量部に対して、前記微粒子が2〜15重量部の範囲で含まれていることが好ましい。
【0015】
前記防眩性ハードコート層の厚みが、前記微粒子の重量平均粒径の1.6〜3倍の範囲であることが好ましい。
【0016】
また、前記防眩性ハードコート層の厚みが、3μm以上、7.5μm未満の範囲であることが好ましい。
【0017】
つぎに、本発明について詳細に説明する。ただし、本発明は、以下の記載により制限されない。
【0018】
本発明の防眩性ハードコートフィルムは、透明プラスチックフィルム基材の少なくとも片面に、防眩性ハードコート層を有するものである。
【0019】
前記透明プラスチックフィルム基材は、特に制限されないが、可視光の光線透過率に優れ(好ましくは光線透過率90%以上)、透明性に優れるもの(好ましくはヘイズ値1%以下のもの)が好ましく、例えば、特開2008−90263号公報に記載の透明プラスチックフィルム基材があげられる。前記透明プラスチックフィルム基材としては、光学的に複屈折の少ないものが好適に用いられる。本発明の防眩性ハードコートフィルムは、例えば、保護フィルムとして偏光板に使用することもでき、この場合には、前記透明プラスチックフィルム基材としては、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリカーボネート、アクリル系ポリマー、環状ないしノルボルネン構造を有するポリオレフィン等から形成されたフィルムが好ましい。また、本発明において、後述するように、前記透明プラスチックフィルム基材は、偏光子自体であってもよい。このような構成であると、TAC等からなる保護層を不要とし偏光板の構造を単純化できるので、偏光板若しくは画像表示装置の製造工程数を減少させ、生産効率の向上が図れる。また、このような構成であれば、偏光板を、より薄層化することができる。なお、前記透明プラスチックフィルム基材が偏光子である場合には、防眩性ハードコート層が、従来の保護層としての役割を果たすことになる。また、このような構成であれば、防眩性ハードコートフィルムは、例えば、液晶セル表面に装着される場合、カバープレートとしての機能を兼ねることになる。
【0020】
本発明において、前記透明プラスチックフィルム基材の厚みは、特に制限されないが、例えば、強度、取り扱い性などの作業性および薄層性などの点を考慮すると、10〜500μmの範囲が好ましく、より好ましくは20〜300μmの範囲であり、最適には、30〜200μmの範囲である。前記透明プラスチックフィルム基材の屈折率は、特に制限されない。前記屈折率は、例えば、1.30〜1.80の範囲であり、好ましくは、1.40〜1.70の範囲である。
【0021】
前記防眩性ハードコート層は、前記微粒子および前記ハードコート層形成材料を用いて形成される。前記ハードコート層形成材料は、例えば、熱硬化性樹脂、紫外線や光で硬化する電離放射線硬化性樹脂があげられる。前記ハードコート層形成材料として、市販の熱硬化型樹脂や紫外線硬化型樹脂等を用いることも可能である。
【0022】
前記熱硬化型樹脂や紫外線硬化型樹脂としては、例えば、熱、光(紫外線等)または電子線等により硬化するアクリレート基およびメタクリレート基の少なくとも一方の基を有する硬化型化合物が使用でき、例えば、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アルキッド樹脂、スピロアセタール樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリチオールポリエン樹脂、多価アルコール等の多官能化合物のアクリレートやメタクリレート等のオリゴマーまたはプレポリマー等があげられる。これらは、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
【0023】
前記ハードコート層形成材料には、例えば、アクリレート基およびメタクリレート基の少なくとも一方の基を有する反応性希釈剤を用いることもできる。前記反応性希釈剤は、例えば、特開2008−88309号公報に記載の反応性希釈剤を用いることができ、例えば、単官能アクリレート、単官能メタクリレート、多官能アクリレート、多官能メタクリレート等を含む。前記反応性希釈剤としては、3官能以上のアクリレート、3官能以上のメタクリレートが好ましい。これは、防眩性ハードコート層の硬度を、より優れたものにできるからである。前記反応性希釈剤としては、例えば、ブタンジオールグリセリンエーテルジアクリレート、イソシアヌル酸のアクリレート、イソシアヌル酸のメタクリレート等もあげられる。これらは、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
【0024】
前記防眩性ハードコート層を形成するための微粒子は、形成される防眩性ハードコート層表面を凹凸形状にして防眩性を付与し、また、前記防眩性ハードコート層のヘイズ値を制御することを主な機能とする。前記防眩性ハードコート層のヘイズ値は、前記微粒子と前記ハードコート層形成材料との屈折率差を制御することで、設計することができる。前記微粒子としては、例えば、無機微粒子と有機微粒子とがある。前記無機微粒子は、特に制限されず、例えば、酸化ケイ素微粒子、酸化チタン微粒子、酸化アルミニウム微粒子、酸化亜鉛微粒子、酸化錫微粒子、炭酸カルシウム微粒子、硫酸バリウム微粒子、タルク微粒子、カオリン微粒子、硫酸カルシウム微粒子等があげられる。また、有機微粒子は、特に制限されず、例えば、ポリメチルメタクリレート樹脂粉末(PMMA微粒子)、シリコーン樹脂粉末、ポリスチレン樹脂粉末、ポリカーボネート樹脂粉末、アクリルスチレン樹脂粉末、ベンゾグアナミン樹脂粉末、メラミン樹脂粉末、ポリオレフィン樹脂粉末、ポリエステル樹脂粉末、ポリアミド樹脂粉末、ポリイミド樹脂粉末、ポリフッ化エチレン樹脂粉末等があげられる。これらの無機微粒子および有機微粒子は、一種類を単独で使用してもよいし、二種類以上を併用してもよい。
【0025】
前記微粒子の重量平均粒径は、0.5〜8μmの範囲であることが好ましい。前記微粒子の重量平均粒径が、前記範囲より大きくなると、画像鮮明性が低下し、また前記範囲より小さいと、十分な防眩性が得られず、ギラツキも大きくなるという問題が生じやすくなる。前記微粒子の重量平均粒径は、より好ましくは、2〜6μmの範囲、さらに好ましくは、2〜5μmの範囲である。また、前記微粒子の重量平均粒径は、前記防眩性ハードコート層の厚みの33〜62.5%の範囲であることも好ましい。なお、前記微粒子の重量平均粒径は、例えば、コールターカウント法により測定できる。例えば、細孔電気抵抗法を利用した粒度分布測定装置(商品名:コールターマルチサイザー、ベックマン・コールター社製)を用い、微粒子が前記細孔を通過する際の微粒子の体積に相当する電解液の電気抵抗を測定することにより、前記微粒子の数と体積を測定し、重量平均粒径を算出する。
【0026】
前記微粒子の形状は特に制限されず、例えば、ビーズ状の略球形であってもよく、粉末等の不定形のものであってもよいが、略球形のものが好ましく、より好ましくは、アスペクト比が1.5以下の略球形の微粒子であり、最も好ましくは球形の微粒子である。
【0027】
前記微粒子の配合割合は、前記ハードコート層形成材料100重量部に対し、2〜15重量部の範囲が好ましく、より好ましくは、4〜10重量部の範囲である。
【0028】
前記防眩性ハードコート層の厚みは、前記微粒子の重量平均粒径の1.6〜3倍の範囲であることが好ましく、より好ましくは1.7〜2.5倍の範囲である。さらに、前記防眩性ハードコート層の厚みは、塗工性および鉛筆硬度の観点から、3μm以上、7.5μm未満の範囲であることが好ましく、この厚み範囲になるように前記微粒子の重量平均粒径を調整することが好ましい。前記厚みが前記所定の範囲であれば、蛍光灯と顔の双方の映り込み防止特性を両立するために、大きな凹凸と小さな凹凸をバランスよく含む本発明の防眩性ハードコートフィルムの表面形状を実現しやすい。
【0029】
本発明の防眩性ハードコートフィルムは、全へイズ値が0〜5%の範囲内である。前記全ヘイズ値とは、JIS K 7136(2000年版)に準じた防眩性ハードコートフィルム全体のヘイズ値(曇度)である。前記全ヘイズ値は、0.5〜4%の範囲がより好ましく、さらに好ましくは1〜3%の範囲である。全ヘイズ値を上記範囲とするためには、前記微粒子と前記ハードコート層形成材料との屈折率差が0.001〜0.02の範囲となるように、前記微粒子と前記ハードコート層形成材料とを選択することが好ましい。全ヘイズ値が前記範囲であることにより、鮮明な画像が得られ、また、暗所でのコントラストを向上させることができる。全ヘイズ値が低すぎると映り込みが起こりやすくなる。
【0030】
本発明の防眩性ハードコートフィルムは、防眩性ハードコート層表面の凹凸形状において、前記防眩性ハードコート層表面の任意な箇所の長さ4mmにおいて、表面粗さプロファイルの粗さ平均線に平行で0.1μmの高さに位置する第1の基準線を越える凸状部の数Ntotalが15個以上あり、かつ、前記第1の基準線を越える凸状部であって、前記平均線の前記凸状部を横切る部分の線分の長さが50μm以上の凸状部の数をN50としたとき、NtotalとN50とが0.4≦N50/Ntotal≦0.8の関係を満たし、かつ、前記平均線に平行で0.2μmの高さに位置する第2の基準線を越える凸状部のうち、前記平均線を横切る部分の線分の長さが50μm以下である凸状部の数が10個以下である。
【0031】
前記Ntotalが15個未満と少ないと、蛍光灯と顔の防眩性が得られにくくなる点で好ましくない。前記Ntotalは、15〜40個の範囲が好ましく、より好ましくは17〜25個の範囲である。比較的大きな凸状部の数を表すN50の、Ntotalに対する割合(N50/Ntotal)が、0.4未満では蛍光灯の防眩性が得られにくく、0.8を超えると顔の防眩性が得られにくい。N50/Ntotalは、0.42〜0.75の範囲が好ましく、より好ましくは、0.45〜0.7の範囲である。前記平均線に平行で0.2μmの高さに位置する第2の基準線を越える凸状部のうち、前記平均線を横切る部分の線分の長さが50μm以下である凸状部の数が10個を超えると、細く高さが高い凹凸が多くなることで無駄な散乱光が増え、白ボケにつながる。Ntotalの数、N50/Ntotalおよび第2の基準線を越えて前記平均線を横切る部分の線分の長さが50μm以下の凸状部の数が所定の範囲にある防眩性ハードコートフィルムであると、大きな凹凸と小さな凹凸をバランスよく含むために蛍光灯と顔の双方の映り込み防止特性を両立することが可能となるとともに、白ボケが改善される。
【0032】
本発明の防眩性ハードコートフィルムは、前記凸状部の大きさと数および割合での規定がなされ、さらに、前記範囲のヘイズ値で規定される内部散乱を有することで、蛍光灯と顔の防眩性向上を両立させ、かつ、白ボケを防止し、暗室環境下でのコントラストも向上させることができる。
【0033】
本発明の防眩性ハードコートフィルムは、前記防眩性ハードコート層表面の任意な箇所の測定面積595μm×452μmにおいて、表面粗さプロファイルの粗さ平均面に平行で0.5μmの高さに位置する基準面を越える凸部の数Mtotalが40〜150個の範囲内であり、Mtotalと、前記凸部のうち前記基準面における断面積が100μm以上の凸部の数M100とが0.15≦M100/Mtotal≦0.5の関係を満たすことが好ましい。Mtotalが40個以上であると、蛍光灯および顔の防眩性がより得られやすくなる。また、150個以下であると、白ボケがより防止できる。前記Mtotalは、40〜120個の範囲が好ましく、より好ましくは、45〜100個の範囲である。M100/Mtotalが上記範囲であると、蛍光灯の防眩性の点で好ましい。M100/Mtotalは、0.17〜0.45の範囲が好ましく、より好ましくは、0.2〜0.4の範囲である。
【0034】
本発明の防眩性ハードコートフィルムは、例えば、前記微粒子、前記ハードコート層形成材料および溶媒を含む防眩性ハードコート層形成材料を準備し、前記防眩性ハードコート層形成材料を前記透明プラスチックフィルム基材の少なくとも一方の面に塗工して塗膜を形成し、前記塗膜を硬化させて前記防眩性ハードコート層を形成することにより、製造できる。本発明の防眩性ハードコートフィルムの製造においては、金型による転写方式や、サンドブラスト、エンボスロールなどの適宜な方式で凹凸形状を付与する方法などを、併せて用いることもできる。
【0035】
前記溶媒は、特に制限されず、種々の溶媒を使用可能であり、一種類を単独で使用してもよいし、二種類以上を併用してもよい。ハードコート層形成材料組成や微粒子の種類、含有量等に応じて、本発明の防眩性ハードコートフィルムを得るために、最適な溶媒種類や溶媒比率が存在する。
【0036】
例えば、後述の実施例で使用したハードコート層形成材料につき、塗膜を硬化させることで防眩性ハードコート層を形成する場合は、前記溶媒として、アルコール系溶媒の比率が50重量%以上である溶媒を用いることで本発明の特性を有する防眩性ハードコートフィルムが得られる。アルコール系溶媒の比率は、53〜90重量%であることが好ましい。溶媒の種類や比率によって、ヘイズ値、表面形状等が変化するが、上記アルコール系溶媒比率の溶媒を用いると、好適な防眩性ハードコート層が得られるので、好ましい。
【0037】
前記防眩性ハードコート層形成材料には、各種レベリング剤を添加することができる。前記レベリング剤としては、例えば、フッ素系またはシリコーン系のレベリング剤があげられ、好ましくは、シリコーン系レベリング剤である。前記シリコーン系レベリング剤としては、反応性シリコーンが特に好ましい。前記反応性シリコーンを添加することにより、表面に滑り性が付与され耐擦傷性が長期間にわたり持続するようになる。また、前記反応性シリコーンとしてヒドロキシル基を有するものを用いれば、後述のように反射防止層(低屈折率層)としてシロキサン成分を含有するものを、前記防眩性ハードコート層上に形成した場合、前記反射防止層と前記防眩性ハードコート層の密着性が向上する。
【0038】
前記レベリング剤の配合量は、前記樹脂成分全体100重量部に対して、例えば、5重量部以下、好ましくは0.01〜5重量部の範囲である。
【0039】
前記防眩性ハードコート層形成材料には、必要に応じて、性能を損なわない範囲で、顔料、充填剤、分散剤、可塑剤、紫外線吸収剤、界面活性剤、防汚剤、酸化防止剤、チクソトロピー化剤等が添加されてもよい。これらの添加剤は一種類を単独で使用してもよく、また二種類以上併用してもよい。
【0040】
前記防眩性ハードコート層形成材料には、例えば、特開2008−88309号公報に記載されるような、従来公知の光重合開始剤を用いることができる。
【0041】
前記防眩性ハードコート層形成材料を透明プラスチックフィルム基材上に塗工する方法としては、例えば、ファンテンコート法、ダイコート法、スピンコート法、スプレーコート法、グラビアコート法、ロールコート法、バーコート法等の塗工法を用いることができる。
【0042】
前記防眩性ハードコート層形成材料を塗工して前記透明プラスチックフィルム基材の上に塗膜を形成し、前記塗膜を硬化させる。前記硬化に先立ち、前記塗膜を乾燥させることが好ましい。前記乾燥は、例えば、自然乾燥でもよいし、風を吹きつけての風乾であってもよいし、加熱乾燥であってもよいし、これらを組み合わせた方法であってもよい。
【0043】
前記防眩性ハードコート層形成材料の塗膜の硬化手段は、特に制限されないが、紫外線硬化が好ましい。エネルギー線源の照射量は、紫外線波長365nmでの積算露光量として、50〜500mJ/cmが好ましい。照射量が、50mJ/cm以上であれば、硬化がより十分となり、形成される防眩性ハードコート層の硬度もより十分なものとなる。また、500mJ/cm以下であれば、形成される防眩性ハードコート層の着色を防止することができる。
【0044】
以上のようにして、前記透明プラスチックフィルム基材の少なくとも一方の面に、前記防眩性ハードコート層を形成することにより、本発明の防眩性ハードコートフィルムを製造することができる。なお、本発明の防眩性ハードコートフィルムは、前述の方法以外の製造方法で製造してもよい。本発明の防眩性ハードコートフィルムの硬度は、鉛筆硬度において、層の厚みにも影響されるが、例えば、2H以上の硬度を有する。
【0045】
本発明の防眩性ハードコートフィルムの一例としては、透明プラスチックフィルム基材の片方の面に、防眩性ハードコート層が形成されているものをあげることができる。前記防眩性ハードコート層は、微粒子を含んでおり、これによって、防眩性ハードコート層の表面が凹凸形状となっている。なお、この例では、透明プラスチックフィルム基材の片面に防眩性ハードコート層が形成されているが、本発明は、これに限定されず、透明プラスチックフィルム基材の両面に防眩性ハードコート層が形成された防眩性ハードコートフィルムであってもよい。また、この例の防眩性ハードコート層は、単層であるが、本発明は、これに制限されず、前記防眩性ハードコート層は、二層以上が積層された複数層構造であってもよい。
【0046】
本発明の防眩性ハードコートフィルムにおいて、前記防眩性ハードコート層の上に、反射防止層(低屈折率層)を配置してもよい。例えば、画像表示装置に防眩性ハードコートフィルムを装着した場合、画像の視認性を低下させる要因のひとつに空気と防眩性ハードコート層界面での光の反射が上げられる。反射防止層は、その表面反射を低減させるものである。なお、防眩性ハードコート層および反射防止層は、透明プラスチックフィルム基材の両面に形成してもよい。また、防眩性ハードコート層および反射防止層は、それぞれ、二層以上が積層された複数層構造であってもよい。
【0047】
本発明において、前記反射防止層は、厚みおよび屈折率を厳密に制御した光学薄膜若しくは前記光学薄膜を二層以上積層したものである。前記反射防止層は、光の干渉効果を利用して入射光と反射光の逆転した位相を互いに打ち消し合わせることで反射防止機能を発現する。反射防止機能を発現させる可視光線の波長領域は、例えば、380〜780nmであり、特に視感度が高い波長領域は450〜650nmの範囲であり、その中心波長である550nmの反射率を最小にするように反射防止層を設計することが好ましい。
【0048】
光の干渉効果に基づく前記反射防止層の設計において、その干渉効果を向上させる手段としては、例えば、前記反射防止層と前記防眩性ハードコート層の屈折率差を大きくする方法がある。一般的に、二ないし五層の光学薄層(厚みおよび屈折率を厳密に制御した薄膜)を積層した構造の多層反射防止層では、屈折率の異なる成分を所定の厚さだけ複数層形成することで、反射防止層の光学設計の自由度が上がり、より反射防止効果を向上させることができ、分光反射特性も可視光領域で均一(フラット)にすることが可能になる。前記光学薄膜において、高い厚み精度が要求されるため、一般的に、各層の形成は、ドライ方式である真空蒸着、スパッタリング、CVD等で実施される。
【0049】
また、汚染物の付着防止および付着した汚染物の除去容易性の向上のために、フッ素基含有のシラン系化合物若しくはフッ素基含有の有機化合物等から形成される汚染防止層を前記反射防止層上に積層することが好ましい。
【0050】
本発明の防眩性ハードコートフィルムにおいて、前記透明プラスチックフィルム基材および前記防眩性ハードコート層の少なくとも一方に対し表面処理を行うことが好ましい。前記透明プラスチックフィルム基材表面を表面処理すれば、前記防眩性ハードコート層または偏光子若しくは偏光板との密着性がさらに向上する。また、前記防眩性ハードコート層表面を表面処理すれば、前記反射防止層または偏光子若しくは偏光板との密着性がさらに向上する。
【0051】
前記透明プラスチックフィルム基材の一方の面に前記防眩性ハードコート層が形成されている防眩性ハードコートフィルムにおいて、カール発生を防止するために、他方の面に対し溶剤処理を行ってもよい。また、前記透明プラスチックフィルム基材の一方の面に前記防眩性ハードコート層が形成されている防眩性ハードコートフィルムにおいて、カール発生を防止するために、他方の面に透明樹脂層を形成してもよい。
【0052】
本発明の防眩性ハードコートフィルムは、通常、前記透明プラスチックフィルム基材側を、粘着剤や接着剤を介して、LCDに用いられている光学部材に貼り合せることができる。なお、この貼り合わせにあたり、前記透明プラスチックフィルム基材表面に対し、前述のような各種の表面処理を行ってもよい。
【0053】
前記光学部材としては、例えば、偏光子または偏光板があげられる。偏光板は、偏光子の片側または両側に透明保護フィルムを有するという構成が一般的である。偏光子の両面に透明保護フィルムを設ける場合は、表裏の透明保護フィルムは、同じ材料であってもよいし、異なる材料であってもよい。偏光板は、通常、液晶セルの両側に配置される。また、偏光板は、2枚の偏光板の吸収軸が互いに略直交するように配置される。
【0054】
つぎに、本発明の防眩性ハードコートフィルムを積層した光学部材について、偏光板を例にして説明する。本発明の防眩性ハードコートフィルムを、接着剤や粘着剤などを用いて偏光子または偏光板と積層することによって、本発明の機能を有した偏光板を得ることができる。
【0055】
前記偏光子としては、特に制限されず、各種のものを使用できる。前記偏光子としては、例えば、ポリビニルアルコール系フィルム、部分ホルマール化ポリビニルアルコール系フィルム、エチレン・酢酸ビニル共重合体系部分ケン化フィルムなどの親水性高分子フィルムに、ヨウ素や二色性染料等の二色性物質を吸着させて一軸延伸したもの、ポリビニルアルコールの脱水処理物やポリ塩化ビニルの脱塩酸処理物等のポリエン系配向フィルム等があげられる。
【0056】
前記偏光子の片面または両面に設けられる透明保護フィルムとしては、透明性、機械的強度、熱安定性、水分遮蔽性、位相差値の安定性などに優れるものが好ましい。前記透明保護フィルムを形成する材料としては、例えば、前記透明プラスチックフィルム基材と同様のものがあげられる。
【0057】
前記、透明保護フィルムとしては、特開2001−343529号公報(WO01/37007)に記載の高分子フィルムがあげられる。前記高分子フィルムは、前記樹脂組成物を、フィルム状に押出成型することにより製造できる。前記高分子フィルムは、位相差が小さく、光弾性係数が小さいため、偏光板等の保護フィルムに適用した場合には、歪みによるムラなどの不具合を解消することができ、また透湿度が小さいため、加湿耐久性に優れる。
【0058】
前記透明保護フィルムは、偏光特性や耐久性などの点から、トリアセチルセルロース等のセルロース系樹脂製のフィルムおよびノルボルネン系樹脂製のフィルムが好ましい。前記透明保護フィルムの市販品としては、例えば、商品名「フジタック」(富士フイルム社製)、商品名「ゼオノア」(日本ゼオン社製)、商品名「アートン」(JSR社製)などがあげられる。前記透明保護フィルムの厚みは、特に制限されないが、強度、取扱性等の作業性、薄層性等の点より、例えば、1〜500μmの範囲である。
【0059】
前記防眩性ハードコートフィルムを積層した偏光板の構成は、特に制限されないが、例えば、前記防眩性ハードコートフィルムの上に、透明保護フィルム、前記偏光子および前記透明保護フィルムを、この順番で積層した構成でもよいし、前記防眩性ハードコートフィルム上に、前記偏光子、前記透明保護フィルムを、この順番で積層した構成でもよい。
【0060】
本発明の画像表示装置は、本発明の防眩性ハードコートフィルムを用いる以外は、従来の画像表示装置と同様の構成である。例えば、LCDの場合、液晶セル、偏光板等の光学部材、および必要に応じ照明システム(バックライト等)等の各構成部品を適宜に組み立てて駆動回路を組み込むこと等により製造できる。
【0061】
本発明の液晶表示装置は、任意の適切な用途に使用される。その用途は、例えば、パソコンモニター、ノートパソコン、コピー機等のOA機器、携帯電話、時計、デジタルカメラ、携帯情報端末(PDA)、携帯ゲーム機等の携帯機器、ビデオカメラ、テレビ、電子レンジ等の家庭用電気機器、バックモニター、カーナビゲーションシステム用モニター、カーオーディオ等の車載用機器、商業店舗用インフォメーション用モニター等の展示機器、監視用モニター等の警備機器、介護用モニター、医療用モニター等の介護・医療機器等である。
【実施例】
【0062】
つぎに、本発明の実施例について、比較例と併せて説明する。ただし、本発明は、以下の実施例および比較例により制限されない。なお、下記実施例および比較例における各種特性は、下記の方法により評価または測定を行った。
【0063】
(全ヘイズ値)
全へイズ値の測定方法は、JIS K 7136(2000年版)のヘイズ(曇度)に準じ、ヘイズメーター((株)村上色彩技術研究所製、商品名「HM−150」)を用いて測定した。
【0064】
(算術平均表面粗さRa)
防眩性ハードコートフィルムの防眩性ハードコート層が形成されていない面に、MATSUNAMI社製のガラス板(厚み1.3mm)を粘着剤で貼り合わせ、高精度微細形状測定器(商品名;サーフコーダET4000、(株)小坂研究所製)を用いて、カットオフ値0.8mmの条件で前記防眩性ハードコート層の表面形状を測定し、算術平均表面粗さRaを求めた。なお、前記高精度微細形状測定器は、前記算術平均表面粗さRaを自動算出する。前記算術平均表面粗さRaは、JIS B 0601(1994年版)に基づくものである。
【0065】
(表面粗さの基準線を越える凸状部数)
前記表面形状の測定により得られた粗さプロファイル(Fプロファイル)において、前記プロファイルの粗さ平均線に平行で0.1μmの高さに位置する線を第1の基準線、前記プロファイルの粗さ平均線に平行で0.2μmの高さに位置する線を第2の基準線とした。任意の測定領域4mmの直線上で、前記第1の基準線を越える凸状部の数を計測したものを測定値Ntotalとし、前記第1の基準線を越える凸状部のうち、前記平均線の前記凸状部を横切る基準線の線分の長さが50μm以上である凸状部の数を計測したものを測定値N50とした。また、前記第2の基準線を越える凸状部のうち、前記平均線の前記凸状部を横切る部分の線分の長さが50μm以下の凸状部の数を計測したものを測定値とした。凸状部の数の計測は、ピークの数ではなく、前記基準線を横切る部分の数を計測する。
【0066】
(基準面を越える凸部の数とその面積)
防眩性ハードコートフィルムの防眩性ハードコート層が形成されていない面に、MATSUNAMI社製のガラス板(厚み1.3mm)を粘着剤で貼り合わせ、非接触式3次元表面形状測定器(商品名;Wyko、日本ビーコ(株)製)を用いて、対物レンズ10倍、測定面積595μm×452μmにて、前記防眩性ハードコート層の表面形状を測定した。測定したデータを、Z軸の下限を400nm、上限を500nmと設定し、白黒のグレースケールにて表示する。この処理により、500nmを越える凸部のみを白色表示にすることができる。この画像をJPEG形式で保存し、保存したファイルを画像解析ソフト(商品名;A像くん、旭化成エンジニアリング(株)製)にて開く。前記ソフトの解析コマンド「粒子解析」にて、グレースケールを2値化(閾値210、小図形除去5)し、500nmを越える各凸部の数Mtotalと断面積を測定する。断面積が100μm以上の凸部の数をM100とする。
【0067】
(顔の防眩性評価)
(1)防眩性ハードコートフィルムの防眩性ハードコート層が形成されていない面に、黒色アクリル板(三菱レイヨン(株)製、厚み2.0mm)を粘着剤で貼り合わせ、裏面の反射をなくしたサンプルを作製した。
(2)一般的にディスプレイを用いるオフィス環境下(約1000Lx)において、上記で作製したサンプルの防眩性を、下記の基準で目視にて判定した。
判定基準
AA:顔の写り込みがなく、視認性への影響がない。
A :顔の写り込みがあるが、実用上問題がない。
B :顔の写り込みがあり、少し気になる。
C :くっきりと顔が写り込んでおり、かなり気になる。
【0068】
(蛍光灯の防眩性評価)
(1)防眩性ハードコートフィルムの防眩性ハードコート層が形成されていない面に、黒色アクリル板(三菱レイヨン(株)製、厚み2.0mm)を粘着剤で貼り合わせ、裏面の反射をなくしたサンプルを作製した。
(2)一般的にディスプレイを用いるオフィス環境下(約1000Lx)において、上記で作製したサンプルを蛍光灯の真下に配置し、下記の基準で防眩性を目視にて判定した。
判定基準
AA:蛍光灯の写り込みがなく、視認性への影響がない。
A :蛍光灯が写り込んでいるが、輪郭線はぼやけて見える。
B :蛍光灯の輪郭線が見え、少し気になる。
C :くっきりと蛍光灯の輪郭線が写り込んでおり、かなり気になる。
【0069】
(白ボケ評価)
(1)防眩性ハードコートフィルムの防眩性ハードコート層が形成されていない面に、黒色アクリル板(日東樹脂工業(株)製、厚み1.0mm)を粘着剤で貼り合わせ、裏面の反射をなくしたサンプルを作製した。
(2)一般的にディスプレイを用いるオフィス環境下(約1000Lx)にて、上記で作製したサンプルの平面に対し垂直方向を基準(0°)として60°の方向から見て、白ボケ現象を目視により観察し、下記の判定基準で評価した。
判定基準
AA:白ボケがほとんどない。
A :白ボケがあるが、視認性への影響は小さい。
B :白ボケが強く、視認性を著しく低下させる。
【0070】
(透明プラスチックフィルム基材およびハードコート層の屈折率)
透明プラスチックフィルム基材およびハードコート層の屈折率は、アタゴ社製のアッベ屈折率計(商品名:DR−M2/1550)を用い、中間液としてモノブロモナフタレンを選択し、前記フィルム基材および前記ハードコート層の測定面に対して測定光を入射させるようにして、前記装置に示される規定の測定方法により測定を行った。
【0071】
(微粒子の屈折率)
微粒子をスライドガラスの上に載せ、屈折率標準液を前記微粒子上に滴下し、カバーガラスを被せ試料を作製した。その試料を顕微鏡で観察し、微粒子の輪郭が屈折率標準液との界面で最も見え難くなる屈折率標準液の屈折率を微粒子の屈折率とした。
【0072】
(微粒子の重量平均粒径)
コールターカウント法により、微粒子の重量平均粒径を測定した。具体的には、細孔電気抵抗法を利用した粒度分布測定装置(商品名:コールターマルチサイザー、ベックマン・コールター社製)を用い、微粒子が細孔を通過する際の微粒子の体積に相当する電解液の電気抵抗を測定することにより、微粒子の数と体積を測定し、重量平均粒径を算出した。
【0073】
(防眩性ハードコート層の厚み)
(株)ミツトヨ製のマイクロゲージ式厚み計を用い、防眩性ハードコートフィルムの全体厚みを測定し、前記全体厚みから、透明プラスチックフィルム基材の厚みを差し引くことにより、防眩性ハードコート層の厚みを算出した。
【0074】
(実施例1)
ハードコート層形成材料として、イソシアヌル酸トリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートおよびイソホロンジイソシアネートポリウレタンからなる紫外線硬化型樹脂(DIC(株)製、商品名「ユニディック 17−806」、固形分:80重量%、溶媒:酢酸ブチル)を準備した。前記ハードコート層形成材料の硬化皮膜の屈折率は、1.53であった。前記ハードコート層形成材料の樹脂固形分100重量部あたり、前記微粒子としてアクリルとスチレンの架橋粒子(積水化成品工業(株)製、商品名「テクポリマーXX−133AA」、重量平均粒径:3.0μm、屈折率:1.525)を5重量部、レベリング剤(DIC(株)製、商品名「GRANDIC PC−4100」)を1.0重量部、光重合開始剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、商品名「イルガキュア907」)を5重量部混合した。この混合物を、固形分濃度が35重量%となるように、イソプロピルアルコール(IPA)/シクロペンタノン(CPN)混合溶媒(重量比70/30)で希釈して、防眩性ハードコート層形成材料を調製した。
【0075】
透明プラスチックフィルム基材として、トリアセチルセルロースフィルム(富士フィルム(株)製、商品名「TD80UL」、厚さ:80μm、屈折率:1.48)を準備した。前記透明プラスチックフィルム基材の片面に、前記防眩性ハードコート層形成材料を、コンマコータを用いて塗布して塗膜を形成した。ついで、100℃で1分間加熱することにより前記塗膜を乾燥させた。その後、高圧水銀ランプにて積算光量300mJ/cmの紫外線を照射し、前記塗膜を硬化処理して厚み6.0μmの防眩性ハードコート層を形成し、実施例1の防眩性ハードコートフィルムを得た。
【0076】
(実施例2)
前記混合物を、IPAで希釈したこと以外は、実施例1と同様な方法にて、実施例2の防眩性ハードコートフィルムを得た。
【0077】
(実施例3)
前記混合物を、IPAで希釈し、厚み5.0μmの防眩性ハードコート層を形成した以外は、実施例1と同様な方法にて、実施例3の防眩性ハードコートフィルムを得た。
【0078】
(実施例4)
前記ハードコート層形成材料の樹脂固形分100重量部あたり、前記微粒子を10重量部、前記レベリング剤を0.5重量部混合し、前記混合物を、固形分濃度が50重量%となるように、IPA/トルエン混合溶媒(重量比75/25)で希釈し、厚み5.0μmの防眩性ハードコート層を形成した以外は、実施例1と同様な方法にて、実施例4の防眩性ハードコートフィルムを得た。
【0079】
(比較例1)
厚み4.5μmの防眩性ハードコート層を形成した以外は、実施例2と同様な方法にて、比較例1の防眩性ハードコートフィルムを得た。
【0080】
(比較例2)
前記ハードコート層形成材料の樹脂固形分100重量部あたり、前記微粒子を10重量部混合し、厚み6.4μmの防眩性ハードコート層を形成した以外は、実施例2と同様な方法にて、比較例2の防眩性ハードコートフィルムを得た。
【0081】
(比較例3)
前記ハードコート層形成材料の樹脂固形分100重量部あたり、前記レベリング剤を0.5重量部混合し、前記混合物を、固形分濃度が45重量%となるように、IPA/CPN混合溶媒(重量比40/60)で希釈し、厚み8.0μmの防眩性ハードコート層を形成した以外は、実施例1と同様な方法にて、比較例3の防眩性ハードコートフィルムを得た。
【0082】
(比較例4)
前記ハードコート層形成材料の樹脂固形分100重量部あたり、前記レベリング剤を0.5重量部混合し、前記混合物を、固形分濃度が50重量%となるように、CPNで希釈した以外は、実施例1と同様な方法にて、比較例4の防眩性ハードコートフィルムを得た。
【0083】
(比較例5)
厚み6.0μmの防眩性ハードコート層を形成した以外は、実施例4と同様な方法にて、比較例5の防眩性ハードコートフィルムを得た。
【0084】
(比較例6)
前記ハードコート層形成材料の樹脂固形分100重量部あたり、前記微粒子を12重量部混合し、前記レベリング剤を0.5重量部混合し、前記混合物を、固形分濃度が45重量%となるように希釈し、厚み5.5μmの防眩性ハードコート層を形成した以外は、実施例2と同様な方法にて、比較例6の防眩性ハードコートフィルムを得た。
【0085】
(比較例7)
前記ハードコート層形成材料として、(A)成分:ジペンタエリスリトールおよびイソホロンジイソシアネート系ポリウレタン、(B)成分:表面を有機分子により修飾したシリカ微粒子(重量平均粒径100nm以下)を、(A)成分合計:(B)成分=2:3の重量比で含有するハードコート層形成材料(JSR(株)製、商品名「オプスターZ7540」、固形分:56重量%、溶媒:酢酸ブチル/メチルエチルケトン(MEK)=76/24)を準備した。前記ハードコート層形成材料の硬化皮膜の屈折率は、1.485であった。前記ハードコート層形成材料の樹脂固形分100重量部あたり、前記微粒子としてアクリルとスチレンの架橋粒子(積水化成品工業(株)製、商品名「テクポリマーXX80AA」、重量平均粒径:5.5μm、屈折率:1.515)を5重量部、レベリング剤(大日本インキ化学工業(株)製、商品名「GRANDIC PC−4100」)を0.1重量部、光重合開始剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、商品名「イルガキュア127」)を0.5重量部混合した。この混合物を、固形分濃度が45重量%、酢酸ブチル/MEK比率が2/1となるように希釈して、防眩性ハードコート層形成材料を調製した。
【0086】
前記防眩性ハードコート層形成材料を用い、厚み9μmの防眩性ハードコート層を形成した以外は、実施例1と同様な方法にて、比較例7の防眩性ハードコートフィルムを得た。
【0087】
(比較例8)
前記紫外線硬化型樹脂(DIC(株)製、商品名「ユニディック 17−806」)の樹脂固形分100重量部あたり、前記レベリング剤を1.0重量部、前記光重合開始剤を5重量部混合し、前記混合物を、固形分濃度が2重量%となるようにIPAで希釈した塗工液を、実施例1で得られた防眩性ハードコートフィルムの防眩性ハードコート層上に、コンマコータを用いて塗布して塗膜を形成した。ついで、100℃で1分間加熱することにより前記塗膜を乾燥させた。その後、高圧水銀ランプにて積算光量300mJ/cmの紫外線を照射し、前記塗膜を硬化処理して厚み0.1μmの層を形成し、比較例8の防眩性ハードコートフィルムを得た。
【0088】
このようにして得られた実施例1〜4および比較例1〜8の各防眩性ハードコートフィルムについて、各種特性を測定若しくは評価した。その結果を、図1〜図12および下記表1に示す。
【0089】
【表1】

【0090】
前記表1に示すように、実施例においては、蛍光灯の防眩性、顔の防眩性および白ボケのすべてについて、良好な結果が得られた。一方、比較例においては、蛍光灯の防眩性、顔の防眩性および白ボケの一部については良好な結果が得られてはいるものの、すべての特性について良好なものは得られなかった。
【0091】
すなわち、比較例1および2においては、蛍光灯および顔の防眩性は確保できるものの、前記平均線に平行で0.2μmの高さに位置する第2の基準線を越える凸状部のうち、前記平均線を横切る部分の線分の長さが50μm以下である凸状部の数が10個以上あるため、余分な散乱が発生してしまい、白ボケ評価において良好な結果が得られなかったことがわかる。比較例3〜5は、Ntotalが15個未満であるため、蛍光灯および顔の防眩性において良好な結果が得られなかったことがわかる。比較例6および7は、N50/Ntotalが0.4未満であるため、顔の防眩性は良好であるが、蛍光灯の防眩性において良好な結果が得られなかったことがわかる。比較例8は、N50/Ntotalが0.8を超えるため、蛍光灯の防眩性は良好であるが、顔の防眩性において良好な結果が得られなかったことがわかる。本発明において規定した凸状部の数、大きさおよびヘイズ値を測定することで、目視評価をすることなく蛍光灯の防眩性、顔の防眩性および白ボケ等の視認性の傾向を把握することも可能である。
【0092】
図1〜図12は前記実施例および比較例で得られた防眩性ハードコートフィルムの断面表面形状のプロファイルである。前記実施例で得られた防眩性ハードコートフィルムにおいては、前記比較例で得られた防眩性ハードコートフィルムに比べて、大きな凹凸と小さな凹凸とを全体にバランスよく含んでいる。前記実施例のような表面凹凸形状の防眩性ハードコートフィルムは、凸状部の大きさ、数および割合とが規定した範囲にあるものであり、さらに、所定のヘイズ値を満たすことにより、防眩性ハードコートフィルムとして良好に用いることができることがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0093】
本発明の防眩性ハードコートフィルムによると、蛍光灯の防眩性と顔の防眩性とを両立し、かつ、白ボケを防止することができる。また、低ヘイズ化により、暗室環境下での画像表示装置の黒表示時における黒の濃さの向上をすることができる。したがって、本発明の防眩性ハードコートフィルムは、例えば、偏光板等の光学部材、液晶パネルおよびLCD等の画像表示装置に好適に使用でき、その用途は制限されず、広い分野に適用可能である。さらに、本発明において規定した凸状部の数等を測定することで、目視評価をすることなく防眩性、白ボケ等の視認性の傾向を把握することも可能であり、防眩性フィルムの評価の指標としても有効である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明プラスチックフィルム基材の少なくとも一方の面に、微粒子を含有する防眩性ハードコート層を有する防眩性ハードコートフィルムであって、前記防眩性ハードコートフィルムの全ヘイズ値が0〜5%の範囲内にあり、
前記防眩性ハードコート層表面の任意な箇所の長さ4mmにおいて、表面粗さプロファイルの粗さ平均線に平行で0.1μmの高さに位置する第1の基準線を越える凸状部の数Ntotalが15個以上あり、
かつ、前記第1の基準線を越える凸状部であって、前記平均線の前記凸状部を横切る部分の線分の長さが50μm以上の凸状部の数をN50としたとき、NtotalとN50とが下記式(1)の関係を満たし、
かつ、前記平均線に平行で0.2μmの高さに位置する第2の基準線を越える凸状部のうち、前記平均線を横切る部分の線分の長さが50μm以下である凸状部の数が10個以下であることを特徴とする防眩性ハードコートフィルム。
0.4≦N50/Ntotal≦0.8 (1)
【請求項2】
前記防眩性ハードコート層表面の任意な箇所の測定面積595μm×452μmにおいて、表面粗さプロファイルの粗さ平均面に平行で0.5μmの高さに位置する基準面を越える凸部の数Mtotalが40〜150個の範囲内であり、
totalと、前記凸部のうち前記基準面における断面積が100μm以上の凸部の数M100とが下記式(2)の関係を満たす、請求項1記載の防眩性ハードコートフィルム。
0.15≦M100/Mtotal≦0.5 (2)
【請求項3】
前記防眩性ハードコート層が、前記微粒子と、ハードコート層形成材料とを用いて形成されており、前記ハードコート層形成材料と前記微粒子との屈折率の差が0.001〜0.02の範囲であり、前記微粒子として、重量平均粒径が0.5〜8μmの範囲である球状もしくは不定形の微粒子を1種類以上含み、前記ハードコート層形成材料100重量部に対して、前記微粒子が2〜15重量部の範囲で含まれている、請求項1または2記載の防眩性ハードコートフィルム。
【請求項4】
前記防眩性ハードコート層の厚みが、前記微粒子の重量平均粒径の1.6〜3倍の範囲である、請求項1から3のいずれか一項に記載の防眩性ハードコートフィルム。
【請求項5】
前記防眩性ハードコート層の厚みが、3μm以上、7.5μm未満の範囲である、請求項1から4のいずれか一項に記載の防眩性ハードコートフィルム。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載の防眩性ハードコートフィルムおよび偏光子を有することを特徴とする偏光板。
【請求項7】
請求項1から5のいずれか一項に記載の防眩性ハードコートフィルムを備えることを特徴とする画像表示装置。
【請求項8】
請求項6記載の偏光板を備えることを特徴とする画像表示装置。
【請求項9】
請求項1から5のいずれか一項に記載の防眩性ハードコートフィルムを製造する製造方法であって、
前記微粒子、ハードコート層形成材料、ならびに、溶媒を含む防眩性ハードコート層形成材料を準備する工程と、
前記防眩性ハードコート層形成材料を前記透明プラスチックフィルム基材の少なくとも一方の面に塗工して塗膜を形成する工程と、
前記塗膜を硬化させて前記防眩性ハードコート層を形成する工程とを含み、
前記溶媒として、アルコール系溶媒の比率が50重量%以上である溶媒を用いることを特徴とする防眩性ハードコートフィルムの製造方法。

【図1(a)】
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【図1(b)】
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【図1(c)】
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【図1(d)】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−81217(P2011−81217A)
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−233938(P2009−233938)
【出願日】平成21年10月7日(2009.10.7)
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
【Fターム(参考)】