説明

防虫ネットおよびネットハウス用資材

【課題】孔の目ズレを生じさせることなく、開孔率の低下を防いで通気性を保ち、かつ防虫効果を高めることができる防虫ネットを提供する。
【解決手段】防虫ネット10は農作物を栽培するネットハウス1を構成するものである。防虫ネット10は樹脂製のフィルム基材11を備え、フィルム基材11に多数の孔12が開孔されている。フィルム基材11を開孔することにより孔12が形成されているので、縦糸と横糸を折り込んで孔を形成する場合に比べて使用中に孔12に目ズレが生じることはない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、害虫が侵入するのを防止することができる農業分野で用いられる防虫ネットおよびネットハウス用資材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、農業分野で使用される防虫ネットは、縦糸と横糸とを略同一の間隔でネット状に織って形成したネットからなっている。この防虫ネットは、縦糸および横糸を織ることにより形成された多数の孔を含む。
【0003】
しかしながら、防虫効果を高めるために孔を小さくしようとする場合に、孔を小さくする前の防虫ネットの通気性を維持するために、小さい孔を数多く形成する必要が生じる。小さい孔を数多く形成するためには縦糸と横糸の幅(太さ)を小さくする必要があるが、この場合は縦糸および横糸の強度が低下するため防虫ネット全体の機械的強度が低下し、防虫ネットが部分的に破損することも考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−129854号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明はこのような点を考慮してなされたものであり、通気性および機械的強度を低下させることなく、防虫効果を向上させることができる防虫ネットおよびネットハウス用資材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、フィルム基材に複数の孔が設けられた平板状ネット部材を備えることを特徴とする防虫ネットである。
【0007】
本発明は、フィルム基材は樹脂フィルムであることを特徴とする防虫ネットである。
【0008】
本発明は、複数の孔はネット部材に第1の方向に第1ピッチで直線上に並んで配置され、かつ第1の方向に直交する第2の方向に第1ピッチと同一長の第2ピッチで直線上に並んで配置されていることを特徴とする防虫ネットである。
【0009】
本発明は、複数の孔は、隣接する2つの孔の中心間の距離が同一となるよう配置されていることを特徴とする防虫ネットである。
【0010】
本発明は、各孔は円形形状をもつことを特徴とする防虫ネットである。
【0011】
本発明は、各孔は正六角形形状をもち、互いに同一方向を向くことを特徴とする防虫ネットである。
【0012】
本発明は、複数の孔を含むネット部材は、山形状の断面形状をもつことを特徴とする防虫ネットである。
【0013】
本発明は、複数の孔を含むネット部材に取付けられた補強材を更に備え、補強材は複数の孔より大きな形状の開口を有するフレーム材からなることを特徴とする防虫ネットである。
【0014】
本発明は、フィルム基材に複数の孔が設けられたネット部材と、ネット部材に連接する密閉部材とを備え、ネット部材と密閉部材は同一のフィルム基材からなることを特徴とするネットハウス用資材である。
【発明の効果】
【0015】
以上のように本発明によれば、防虫ネットのネット部材はフィルム基材に対し、多数の孔を開孔することにより得られるので、縦糸と横糸を織ることにより防虫ネットを作製する場合に比べて、通気性および機械的強度を低下させることなく、防虫効果を向上させることができる防虫ネットおよびネットハウス用資材を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、本発明の実施の形態におけるネットハウスを示す斜視図。
【図2】図2は防虫ネットを示す拡大図。
【図3】図3(a)(b)(c)は、防虫ネットの変形例を示す図。
【図4】図4(a)(b)は、防虫ネットの他の変形例を示す図。
【図5】図5は、防虫ネットの他の変形例を示す図。
【図6】図6(a)(b)は、防虫ネットの他の変形例を示す図。
【図7】図7(a)(b)(c)は、防虫ネットの他の変形例を示す図。
【図8】図8(a)(b)(c)は、防虫ネットの他の変形例を示す図。
【図9】図9(a)(b)は、比較例としての防虫ネットを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
発明の実施の形態
図1および図2により本発明の実施の形態について説明する。
【0018】
このうち図1はネットハウスを示す斜視図であり、図2は防虫ネット示す拡大図である。
【0019】
図1および図2において、例えば野菜や果物等の農作物を栽培するネットハウス1が示されている。このネットハウス1は基本パイプ2と、基本パイプ2に取付けられ後述する防虫ネット10を有するネットハウス用資材10Aを備えている。
【0020】
このうち、ネットハウス用資材10Aは、多数の孔12を含む防虫ネット10と、この防虫ネット10の下方に位置する下方密閉部材5aと、防虫ネット10の上方に位置する上部密閉部材5bとを有している。
【0021】
この場合、下部密閉部材5a、防虫ネット10および上部密閉部材5bは、いずれも一体成形されたフィルム基材11からなっている。下部密閉部材5aおよび上部密閉部材5bは、一体成形されたフィルム基材11のうち何ら加工を加えることなく形成された密閉性を有する領域からなり、防虫ネット10はフィルム基材11に対して多数の孔12を開孔することにより得られた通気性を有する領域からなる。
【0022】
また、ネットハウス1の側面には、側方へ突出する箱形部4を形成する追加パイプ3が設けられ、この追加パイプ3には箱形部4の上面および側面を形成する紫外線除去フィルム6が取付けられている。
【0023】
また追加パイプ3には、箱形部4の正面を形成する追加防虫ネット10Bが取付けられており、この追加防虫ネット10Bは上述した防虫ネット10と同様の構成を有し、フィルム基材11に対して多数の孔12を開孔することにより得られる。
【0024】
次に防虫ネット10について、以下詳述する。
【0025】
防虫ネット10は、多数の孔12を有するフィルム基材(ネット部材)11を備えている。
【0026】
この場合、多数の孔12を有するフィルム基材11は、フィルム基材11を準備し、このフィルム基材11に対してパンチング加工、打ち抜き加工、エッチング加工を施すことによって、正六角形状の多数の孔12を開孔することにより得られ、フィルム基材11は孔12の周囲に線状に残る。
【0027】
この場合、孔12の最大長さは0.4mm、線状に残るフィルム基材11の幅は0.1mmとなっており、各孔12の中心12a間の距離lは等しくなっている。
【0028】
フィルム基材11としては樹脂製の樹脂フィルムまたは樹脂薄板(以下、「樹脂フィルム」と言う)あるいは金属フィルムまたは金属薄板(以下、「金属フィルム」と言う)を用いることができ、いずれの場合も樹脂フィルムあるいは金属フィルムに対してパンチング加工、打ち抜き加工、エッチング加工を施すことによって、多数の孔12を開孔することができる。
【0029】
このようにフィルム基材11を準備し、フィルム基材11に対してパンチング加工、打ち抜き加工、エッチング加工を施して多数の孔12を有するフィルム基材11が得られるので、フィルム基材11の表面を平滑に保つことができる。また防虫ネット10に孔12の目ズレが生じることはない。すなわち、例えば樹脂製の縦糸31aと樹脂製の横糸31bを織ることにより孔32を有する防虫ネット30を作製する場合(図9(a))、使用に際して孔32の目ズレが生じることも考えられ、防虫効果を高めるために孔32の開孔面積を小さくしようとする場合に、目ズレは大きな問題となるが、本発明によれば、フィルム基材11を開孔することにより孔12が形成されるので、孔12の目ズレが生じることはない。
【0030】
さらに言えば、上述した目ズレが生じることを防止するために樹脂製の縦糸31aと樹脂製の横糸31bとを融着させて孔32を有する防虫ネット30を作製する場合(図9(b))、この融着部33が膨らんで孔32の開口面積が減少することも考えられるが、本発明によれば、防虫ネット30はこのような融着部33をもたないので開孔面積が減少することもない。
【0031】
(フィルム基材11)
次にフィルム基材11の材料について述べる。このうち、フィルム基材11としては以下のような材料を利用することができる。
【0032】
フィルム基材11としては、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリエチレン、ポリビニルアルコール、ビニロン、ナイロン、ポリオレフィンなどの樹脂フィルムを用いることができる。
【0033】
このような樹脂フィルムは、透光性があり植物成育のための採光を妨げることはない。また、透光性を絞ってネットハウス1内部の温度上昇を防ぐ場合は、酸化チタンなどを混ぜた樹脂フィルムを用いることができる。この場合、酸化チタン等を混ぜる割合を自由に調整し、透光性を制御できる。
【0034】
また樹脂フィルムを発泡させ、フィルム基材11に保温性能を付与するなどの機能付加を施してもよい。
【0035】
なお、樹脂フィルムは複数材料を積層した多層フィルムからなっていてもよく、引っ張りに強いポリエチレンと突き刺しに強いナイロンを積層したフィルムを利用し、引っ張り、突き刺し共に強いフィルムを利用することができる。
【0036】
さらにフィルム基材11として金属フィルムを用いてもよい。この場合、金属フィルムとしてアルミ板、ステンレス板、銅板などを利用することができる。金属フィルムの表面は金属光沢があるため、虫に対する忌避効果が期待できる。また金属フィルムは数年間の経年変化による伸びや縮みも樹脂フィルムより少ない。
【0037】
さらにまたフィルム基材11として、切断された場合に切断面が毛羽立つ材料を用いてもよい。
【0038】
このようにフィルム基材11が切断時に毛羽立つことにより、孔12内に毛羽立った微細毛を形成することができ、孔12の防虫効果を高めることができる。
【0039】
なお、このような切断面が毛羽立つ材料としては、ポリエチレンを延伸させたスズランテープが考えられる。
【0040】
またフィルム基材11表面に、虫を殺虫するための防虫剤を混入した粘着剤を塗布してもよい。
【0041】
(粘着剤)
まず防虫剤を混入した粘着剤としては、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤などを用いることができるが、これらの中で、粘着性能の点からアクリル系粘着剤が好ましく、特にアクリル系二液架橋型粘着剤が好適である。
【0042】
また粘着剤としては、天然ゴム系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、シリコン系共重合体、アクリル酸エステル共重合体、メタクリル酸エステル共重合体、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン、マレイン酸およびその無水物の共重合体、ポリエチレンイミン、メラミン樹脂、尿素樹脂が利用できる。
【0043】
さらに粘着剤としては、従来の捕虫シートと同様のものでよく、フッ素樹脂系、ケイ素樹脂系、ウレタン樹脂系、アクリル樹脂系のどれかが好ましい。また、ポリブテン系のものも用いられる。
【0044】
また粘着剤としては、分子量が1万〜50万、且つ不飽和度が5モル%以下の高分子エラストマーと、分子量100〜1万の軟化剤とからなる粘着剤組成物を用いてもよい。
【0045】
高分子エラストマーとしては、ポリイソブチレンゴム、ブチルゴム、ニトリルゴム、スチレン−ブタジエンゴム、スチレン−エチレン・プロピレン−スチレンゴム、アクリルゴム等から選ばれた少なくとも一種がこの発明では特に限定されることなく好適に使用できる。特にポリイソブチレンゴムとブチルゴムは後述する軟化剤との相溶性が適度であり、飛翔害虫に対して優れた捕獲能力を示すのでより好ましく使用される。また、200〜800nmにおける波長透過率が90%以上の無色透明、白色又は淡黄色の色調を有する高分子エラストマーを使用すると、シート、フィルム等からなる粘着剤基材の色相を著しく阻害しないため、色に対する害虫の習性を利用した積極的な誘引を行うことができる。
【0046】
軟化剤としては液状ポリイソプレン、液状ポリブタジエン、ポリブデン、液状ポリイソブチレン等の中から選ばれた少なくとも一種が限定されることなく好適に使用される。
【0047】
(防虫剤)
防虫剤としては、ペルメトリン、デルタメストリン等のピレスロイド化合物;クロチアニジン、ジノテフラン等のネオニコチノイド化合物;フィプロニル、エチプロール等のアリールピラゾール化合物;フェノカルブ、メトキシジアゾン等のカーバメート化合物;フェニトロチオン等の有機リン化合物があげられる。
【0048】
また防虫剤として、ペルメトリン、シペルメトリン、シフェノトリン、d−フェノトリン、レスメトリン、d−レスメトリン、フェンバレレート、エスフェンバレレート、エスビオトリン、フェンプロパトリン、エトフェンプロックス、トラロメトリン、デルタメトリン、シラフルオフェン、シフルトリン、ビフェントリン、アレスリン、d−アレスリン、ピレトリン、テトラメスリン、トランスフルトリン、メトフルトリン、ジメフルトリン、プロフルトリン等を用いることができる。
【0049】
図1および図2において、フィルム基材11に対して多数の開孔を形成することにより多数の孔12を有するフィルム基材11が得られるので、縦糸と横糸を織ることにより孔を有する防虫ネットを作製する場合に比べて孔12の目ズレが生じることはなく、かつ縦糸と横糸を融着させる場合に比べて開孔面積が減少することはない。
【0050】
このようにフィルム基材11の孔12に目ズレが生じることはないので、防虫ネット10の防虫効果を高めることができ、また孔12の開孔面積が減少することはないので、防虫ネット10の通気性を維持することができる。
【0051】
本発明の変形例
次に図3(a)(b)(c)乃至図8(a)(b)(c)により本発明の変形例について説明する。図3(a)(b)(c)乃至図8(a)(b)(c)に示す変形例において、図1および図2に示す実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0052】
まず図3(a)(b)(c)に示す変形例において、図3(a)は孔の中心の配置を示す仮想的な防虫ネットを示す図であり、図3(b)および図3(c)は防虫ネットの孔の形状を示す図である。
【0053】
図3(a)(b)(c)に示すように、防虫ネット10はフィルム基材11を備え、フィルム基材11に多数の孔12が開孔されている。多数の孔12は縦方向に第1ピッチPで等しい間隔で直線上に配置され、横方向に第1ピッチPと同一長の第2ピッチPで等しい間隔で直線上に配置されている。
【0054】
図3(a)に示すように、縦方向の孔12の間隔、すなわち第1ピッチPは、孔12の中心12a間の縦方向の間隔であり、横方向の孔12の間隔、すなわち第2ピッチPは孔12の中心12a間の横方向の間隔となる。なお、図3(a)は上述のように、孔12の中心12a間の間隔を示す仮想的な防虫ネットの平面図である。
【0055】
図3(b)に示すように、多数の孔12が縦方向に第1ピッチPで等しい間隔で直線上に配置され、横方向に第2ピッチPで等しい間隔で直線上に配置される限り、孔12の形状は正方形状でも良い(図3(b))。また孔12の形状を円形としてもよい(図3(c))。
【0056】
図3(a)(b)(c)に示す変形例において、孔12は縦方向に第1ピッチPで等間隔に直線上に形成され、横方向に第1ピッチPと同一長の第2ピッチPで等間隔に直線上に形成されているため、フィルム基材11に対して孔を開孔する作業を容易かつ確実に行なうことができる。
【0057】
次に図4(a)(b)により、本発明の他の変形例について説明する。ここで図4(a)は孔の中心の配置を示す仮想的な防虫ネットを示す図であり、図4(b)は防虫ネットの孔の形状を示す図である。
【0058】
図4(a)(b)に示すように、防虫ネット10はフィルム基材11を備え、フィルム基材11に多数の孔12が開孔されている。
【0059】
図4(a)に示すように、多数の孔12はいずれかの隣接する2つの孔12の中心12a間の距離lが常に同一となるよう配置されている。
【0060】
このように、いずれかの隣接する2つの孔12の中心12a間の距離lが同一である限り、孔12の形状は円形となっていてもよい(図4(b))。
【0061】
なお、図4(a)は上述のように、孔12の中心12a間の距離の関係を示す仮想的な防虫ネットの平面図である。
【0062】
また図4(b)において、いずれかの隣接する2つの孔12の中心12a間の距離lが同一であって、かつ孔12の形状が円形となる例を示したが、いずれかの隣接する2つの孔12の中心12a間の距離lが同一である限り、孔12の形状を正六角形としてもよく、ひょうたん形としても良く、楕円形としてもよく、さらに円形の孔12と、正六角形の孔12と、楕円形の孔12を組合せて配置してもよい。
【0063】
例えば防虫ネット10のうち、作業者近傍の領域では通気性の高い正六角形状の孔12を設け、通気性が求められない領域では円形の孔12を設けてもよい。
【0064】
このようにいずれかの隣接する2つの孔12の中心12a間の距離lを同一とすることにより、例えば孔12の形状を正六角形として、孔12の開孔面積の増加を図ることができる。
【0065】
次に図5により、本発明の更なる変形例について述べる。
【0066】
図5に示すように、防虫ネット10はフィルム基材11を備え、フィルム基材11に多数の孔12が開孔されている。また孔12は円形形状を有している。
【0067】
またフィルム基材11の各孔12の形状は互いに等しくなっているが、単位面積当たりの孔12の個数はフィルム基材11の領域によって変えている。
【0068】
このように単位面積当たりの孔12の個数をフィルム基材11の領域毎に変えることによって、防虫ネット10の通気性を領域毎に変えることができる。
【0069】
また各孔12は円形形状を有するため、孔12に汚れが付着しにくくなっており、たとえ孔12に汚れが付着しても清掃が容易となっている。
【0070】
さらに図6(a)(b)により、本発明の他の変形例について説明する。
【0071】
図6(a)に示すように、防虫ネット10はフィルム基材11を備え、フィルム基材11に多数の孔12が開孔されている。各孔12は同一形状の正六角形状をもつ。この場合、図6(a)に示すように、単位面積当たりの孔12の個数をフィルム基材11の全領域で同一とすることにより、防虫ネット10の通気性を均一化させることができる。
【0072】
また図6(b)に示すように、各孔12が同一形状の正六角形状をもち、かつ単位面積当たりの孔12の個数をフィルム基材の領域毎に変えることによって、防虫ネット10の通気性を領域毎に変えることができる。
【0073】
次に図7(a)(b)(c)により、本発明の他の変形例について説明する。
【0074】
図7(a)(b)に示すように、防虫ネット10はフィルム基材11を備え、フィルム基材11に多数の孔12が開孔されている。
【0075】
また多数の孔12を含むフィルム基材11は山形状の断面形状をもっている。図7(a)(b)において、フィルム基材11が樹脂フィルムからなる場合、あるいは金属フィルムからなる場合、いずれの場合においてもフィルム基材11を図示しないプレス機により賦形化させることにより、フィルム基材11に山形状の断面形状をもたせることができる。
【0076】
このようにフィルム基材11が山形状の断面形状をもつことにより、防虫ネット10を正面からみた場合に、単位面積当たりの孔12の個数を増大させることができ、単位面積内のいずれかの孔が機能しなくなった場合においても、その影響を小さくさせることができる。
【0077】
なお、防虫ネット10のフィルム基材11が山形状の断面を安定してもつことができるよう、孔12を有するフィルム基材11の表面に孔12の形状より大きな形状をもつ開口16aを有する表面側補強材15aを取付けるとともに、フィルム基材11の裏面に孔12の形状より大きな形状をもつ開口16bを有する裏面側補強材15bを取付けてもよい。
【0078】
次に図8(a)(b)(c)により、本発明の他の変形例について説明する。
【0079】
図8(a)に示すように、防虫ネット10は開孔された多数の孔12を含むフィルム基材11と、このフィルム基材11表面に取付けられこのフィルム基材11を補強する補強材17とを備えている。
【0080】
また補強材17はフィルム基材11に形成された開孔12の形状よりかなり大きな形状の多数の開口18を有するフレーム材からなっており、このため図8(a)においてフィルム基材11の孔12は省略されている。
【0081】
例えば、図8(a)において、補強材17の開口18が、縦20cm×横10cmの長方形の形状を有しており、フィルム基材11の孔12の最大長は0.4mmとなっている。このため、図8(a)において、フィルム基材11の孔12は示されていない。
【0082】
ところで、フィルム基材11が樹脂フィルムからなり、補強材17が金属材からなる場合、フィルム基材11と補強材17を接着剤で接着させることができる。
【0083】
またフィルム基材11が樹脂フィルムからなり、補強材17が樹脂材からなる場合、フィルム基材11と補強材17を熱プレスにより溶着することができる。
【0084】
なお、防虫ネット10の基材フィルム11の全域に補強材17を設ける必要はなく、基材フィルム11のうち、重量がかかる上方部分、あるいは風が当たる部分のみに補強材17を設けてもよい。
【0085】
さらに図8(a)において、防虫ネット10の補強材17が長方形の開口18をもつフレーム材から構成されているが、補強材17を正六角形の多数の開口18をもつフレーム材から構成してもよい(図8(b)参照)。
【0086】
あるいは防虫ネットの補強材17を三角形状の多数の開口18をもつフレーム材から構成してもよい(図8(c)参照)。
【符号の説明】
【0087】
1 ネットハウス
2 基本パイプ
3 追加パイプ
4 箱形部
10 防虫ネット
10A ネットハウス用資材
10B 追加防虫ネット
11 フィルム基材
12 孔
12a 孔の中心
15a 表面側補強材
16b 裏面側補強材
17 補強材
18 開口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルム基材に複数の孔が設けられた平板状ネット部材を備える
ことを特徴とする防虫ネット。
【請求項2】
フィルム基材は樹脂フィルムであることを特徴とする請求項1記載の防虫ネット。
【請求項3】
複数の孔はネット部材に第1の方向に第1ピッチで直線上に並んで配置され、かつ第1の方向に直交する第2の方向に第1ピッチと同一長の第2ピッチで直線上に並んで配置されていることを特徴とする請求項1または2記載の防虫ネット。
【請求項4】
複数の孔は、隣接する2つの孔の中心間の距離が同一となるよう配置されていることを特徴とする請求項1または2のいずれか記載の防虫ネット。
【請求項5】
各孔は円形形状をもつことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか記載の防虫ネット。
【請求項6】
各孔は正六角形形状をもち、互いに同一方向を向くことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか記載の防虫ネット。
【請求項7】
複数の孔を含むネット部材は、山形状の断面形状をもつことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか記載の防虫ネット。
【請求項8】
複数の孔を含むネット部材に取付けられた補強材を更に備え、
補強材は複数の孔より大きな形状の開口を有するフレーム材からなることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか記載の防虫ネット。
【請求項9】
フィルム基材に複数の孔が設けられたネット部材と、
ネット部材に連接する密閉部材とを備え、
ネット部材と密閉部材は同一のフィルム基材からなる
ことを特徴とするネットハウス用資材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−139208(P2012−139208A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−1340(P2011−1340)
【出願日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】