説明

防虫用光源の作製方法

【課題】昆虫の走光性を利用した防虫方法で、効率的防虫用光源を簡易に作製する方法を提供する。
【解決手段】イミダゾロン顔料、クリヤー、硬化剤、シンナーを混合して、白色の蛍光灯のガラス管に塗布することによる防虫用光源の作成方法であって、前記防虫用光源は、イミダゾロン顔料とクリヤーの混合物の塗布によって0.50μm付近以下の放射光の短波長側を遮断するものであり、かつクリヤーの割合を変えることにより、前記短波長側を0.45μmから0.53μmまでの範囲で変える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、野菜や果樹等の農作物の害虫である夜蛾類、カメムシ類等の昆虫を防除する防虫用光源の作製方法にかんする。
【背景技術】
【0002】
夜間加害活動する夜蛾類として、果樹の成熟果を吸害するアケビコノハ、アカエグリバなどがあり、トマト、ネギ、ショウガなどの野菜、カーネーション、キクなどの花き類を加害するものとしてハスモンヨトウ、シロイチモジヨトウ、オオタバコガ、アワノメイガなどがある。
【0003】
これら夜蛾類の農作物被害防止方法として走光性を活用したものがあり、代表的光源として青色蛍光灯、黄色蛍光灯がある(例えば特許文献1参照)。青色蛍光灯は0.30μmから0.55μmの波長域の光を放射し、最大放射ピークは0.43μm付近にあり、一般的に、誘引行動をひきおこす。
【0004】
黄色蛍光灯は0.50μmから0.70μmの波長域の光を放射し、最大放射ピークが0.585μm付近にあり、この蛍光体は0.585μm付近に主発光ピーク波長を有しており、0.50μm以下の短波長域の光をチタンイエローを含む顔料で遮断したものである。黄色灯の防虫のメカニズムは複眼の明適化による夜蛾類の忌避あるいは行動抑制であり、そのために必要な照度は約1ルックス以上であるといわれている。
【0005】
青色蛍光灯使用の時は、飛来昆虫を捕獲する必要があるが、それが非常に困難であるため黄色蛍光灯がより防虫用光源として効果的である。
【特許文献1】特開平1−187755号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
昆虫の忌避行動あるいは誘引行動をとる放射波長域はその種類によって異なる。例えば、同じ夜蛾類でシロイチモジヨトウは0.43μm、オオタバコガは0.53μnm以上の波長域の放射光に忌避行動をとり、それ以下の短波長域で誘引行動をとる。
【0007】
ただ、走光性を示すいずれの昆虫も0.50μm付近以上の長波長域の放射光には行動抑制、あるいは忌避行動を示すといわれており、慣行の黄色蛍光灯はそれに基づき作製されている。
【0008】
慣行の黄色蛍光灯は放射光量が低く、防虫のための最低照度を維持するために設置灯数を多くしなければならない。
【0009】
本発明は、上記の問題点を解消し、より放射光量が高い防虫用忌避光源を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明の方法は、0.50μm付近以上の長波長側の効率的放射、および0.50μm付近以下の短波長側の遮断にイミダゾロン顔料を用いた塗料とクリヤーの適当な割合の混合物を発光管、あるいはその外球に塗布する下記のものとしている
(1)イミダゾロン顔料、クリヤー、硬化剤、シンナーを混合して、白色の蛍光灯のガラス管に塗布することによる防虫用光源の作成方法であって、前記防虫用光源は、イミダゾロン顔料とクリヤーの混合物の塗布によって0.50μm付近以下の放射光の短波長側を遮断するものであり、かつクリヤーの割合を変えることにより、前記短波長側を0.45μmから0.53μmまでの範囲で変えることを特徴とする防虫用光源の作成方法
(2)イミダゾロン顔料とクリヤーを6:5の割合で混合し、これを硬化剤、シンナーと混合して、色温度4,200Kの白色の蛍光灯のガラス管に塗布する(1)記載の防虫用光源の作成方法
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば慣行の黄色蛍光灯よりも効果的光源の作製、さらにイミダゾロン顔料の含有率を変えることにより、同じ発光管でいろいろな昆虫に対応できる防虫光源の簡単な作製が可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の好適な実施の形態を説明する。防虫用光源は0.50μm付近以下の波長域を遮断し、それ以上の波長域を効率よく透過することである。
【0013】
ベンズイミダゾロン、クリヤー、硬化剤、シンナーを6:5:5:13の割合で混合し白色の蛍光灯(色温度4,200K)のガラス管に塗布する。ここでクリヤーの割合を変えることにより、放射光の短波長側を0.45μmから0.53μmまで簡単に変えることができる。
【0014】
本発明に係わる防虫用蛍光灯の分光分布特性を図1に示す。この蛍光灯は0.545μm付近に最大放射ピークを持ち、従来の黄色蛍光灯の約1.3倍の照度を持つ。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】防虫用光源の分光特性図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
イミダゾロン顔料、クリヤー、硬化剤、シンナーを混合して、白色の蛍光灯のガラス管に塗布することによる防虫用光源の作成方法であって、前記防虫用光源は、イミダゾロン顔料とクリヤーの混合物の塗布によって0.50μm付近以下の放射光の短波長側を遮断するものであり、かつクリヤーの割合を変えることにより、前記短波長側を0.45μmから0.53μmまでの範囲で変えることを特徴とする防虫用光源の作成方法
【請求項2】
イミダゾロン顔料とクリヤーを6:5の割合で混合し、これを硬化剤、シンナーと混合して、色温度4,200Kの白色の蛍光灯のガラス管に塗布する請求項1記載の防虫用光源の作成方法


【図1】
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【公開番号】特開2009−39128(P2009−39128A)
【公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−242323(P2008−242323)
【出願日】平成20年9月22日(2008.9.22)
【分割の表示】特願平10−352041の分割
【原出願日】平成10年10月28日(1998.10.28)
【出願人】(592181783)エヌビイテイ株式会社 (7)
【Fターム(参考)】