説明

防護ネットを用いてトンネル壁又はトンネル天井をライニングする方法及び装置

防護ネット又は同様のものを用い、トンネル壁又は天井をライニングする方法において、ウェブ形防護ネット材料(8)がリール(7)から巻き解かれ、締め付けボルトによりトンネル壁又は天井に締結される。リール(7)は、回転可能に構成される。シャフト(30)の周りのリール(7)の回転は、防護ネット材料(8)を巻き解くために制御され、該シャフト(30)は、リール(7)と共にトンネル壁又は天井に沿って段階状に機械的に移動される。各段階で巻き解かれる防護ネット材料(8)は、好ましくは、伸張され機械的に締結される。従って、ライニングプロセスを迅速に行うことができると同時に、上記プロセスを実施する人達が直接的な危険に曝されない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1のプレアンブルによる、防護ネットを用いてトンネル壁又はトンネル天井をライニングする方法、並びに本方法を実施する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
好ましくは鋼線製の防護ネットを用いて、トンネル、例えば採掘トンネルをライニングすることは周知である。ウェブ形の防護ネット材料がリールから巻き解かれ、締め付けボルトによりトンネル壁又はトンネル天井に締結される。一般的には、防護ネット材料を配置するために昇降プラットフォーム又は同様のものが使用される。大型のリールは、取り扱いが難しく、作業者が多くの危険に曝される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の基礎をなす目的は、開始時における特定の様式の方法を提案すること、及び本方法を実施する装置を提案することであり、これにより操作が実質的に簡素で迅速なものとなり、作業を実施する人達の安全性が向上する。
【0004】
この目的は、本発明による請求項1の方法によって、並びに請求項7の特徴を有する装置によって達成される。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明による方法並びに本発明による装置の好ましい更なる展開は、独立請求項の主題を形成する。
【0006】
本発明による、防護ネットを用いてトンネル壁又はトンネル天井をライニングする方法、並びに本方法を実施する装置は、防護ネット材料の大型リール、並びに巻き解き及び締結プロセスの機械的実施に関する簡単であるが正確な取り扱いを可能にし、これらは、例えば、従来のドリルジャンボのようなメインユニットから制御することができ、その結果、これらのプロセスを実施する人達が直接的な危険に曝されることがなく、実質的に安全性が向上する。
【0007】
以下において、各図面を用いて本発明をより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】リールから防護ネット材料を巻き解く装置及び係止装置を備えた、トンネル壁及びトンネル天井をライニングするメインユニットの斜視図である。
【図2】防護ネット材料を巻き解く装置の正面図である。
【図3】図2による装置の側面図である。
【図4】閉鎖位置にある図2による装置の一部としてのクランプ装置である。
【図5】開放位置にある図4によるクランプ装置の一部である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は、本発明による、防護ネットを用いてトンネル壁又はトンネル天井をライニングするためのメインユニットを示している。可動伸縮アーム2がその一方端においてメインユニットに取り付けられ、該アームは、他方端上にリール7からウェブ形防護ネット材料8を巻き解くための装置10を有する。装置10は、図2〜5により以下でより詳細に説明するが、アーム2によってトンネル壁又はトンネル天井に沿って段階的に移動することができ、リール7は、トンネル壁又はトンネル天井に実質的に平行し且つアーム2の移動方向に対して横断方向に保持される。それぞれの段階で巻き解かれる防護ネット材料8は、メインユニット1の別の可動伸縮アーム3により支持される係止装置4を用いてトンネル壁又はトンネル天井に締結される。
【0010】
このようにすると、例えば、トンネルの第1の側壁は、最初に、ウェブ形防護ネット材料8で中間まで覆うことができ、これに対応して締め付けボルトが係止装置4により駆動され、その後、アーム2により装置10が上昇し、巻き解かれた防護ネット材料8の別の部分が伸張されて締結される。このプロセスは、防護ネット材料8でトンネル天井及び他の側壁も覆われるまで継続する。
【0011】
次に、メインユニット1は、更なるトンネル部分を覆うために防護ネット材料8のウェブ幅に応じてトンネルの長手方向でトンネル内を移動する。メインユニット1は、適切なシャーシを備えることが有利である。
【0012】
次に以下では、ウェブ形防護ネット材料8をリール7から巻き解く装置10について説明する。ウェブ形防護ネット材料8は、管体6上でリール7に巻き上げられる。リール7を備えた管体6は、回転軸Aの周りでホルダ11内に回転可能に保持される。図2によれば、ホルダ11は、ベース14(上面12及び下面13を備え、必要に応じある角度で上方に向けた側方領域を備える)と、該ベースから突き出る2つのキャリングアーム20とを備え、該キャリングアームの自由端部は、回転軸Aをもたらし、管体6を貫通して突出するシャフト30の末端部分31を固定する手段を備える。図3〜5に示す例示的な実施形態では、これらの手段は、開放位置から閉鎖位置に移動可能なクランプ・ジョー22のそれぞれのペアにより形成される。シャフト30には、側方ガイドプレート33が割り当てられ、クランプ装置と相互作用し、シャフト30をクランプ・ジョー22に確実に保持するのを助ける。
【0013】
クランプ・ジョー22はそれぞれ、それぞれのキャリングアーム20の中空要素21上の第1の端部52により枢動可能にヒンジ連結され(枢動軸51)、中空要素21内に配置された共通線形駆動部により回転可能に移動することができる。好ましくは、中空要素21内には流体ピストン/シリンダユニット63を備えたハウジング64があり、これにより歯付ラック61が作動され、それぞれの歯車60によってクランプ・ジョー22を開放位置から閉鎖位置に、及びその逆に旋回させるようにする。
【0014】
クランプ・ジョー22の第2の端部にはそれぞれ凹部53が設けられ、その凹部53の間には、シャフト30の末端部分31がクランプ・ジョー22の閉鎖位置の状態でクランプされる。凹部53は共に、菱形又は矩形の断面を有するスペース56を形成する(図4)。
【0015】
更に、各クランプ・ジョー22は、第1の端部52と凹部53との間に延長又は突出部57を有する。突出部57は、図5によるクランプ・ジョー22の開放位置において、支持表面58がクランプされることになるシャフト30の末端部分3に対して形成されるように相互に延びる。クランプ・ジョー22を閉鎖すると、突出部57の末端部分31は、凹部53又はスペース56内に誘導される。突出部57は、これらの遠位端59がクランプ・ジョー22の開放位置において重なるように側部に位置付けられる(図5)。閉鎖位置において、クランプ・ジョーの2つのペアのスペース56は、シャフト30がホルダ11のベース14に平行に保持されるように一致する。上述のように、クランプ・ジョー22を開放位置から閉鎖位置に移動させると、シャフト30のセルフセンタリング又は自己位置決めが行われる。
【0016】
本発明によるウェブ形防護ネット材料8を巻き解くための装置10は更に、回転軸Aの周り又は所定位置に確実に保持されたシャフト30の周りのリール7の回転運動を制御する手段を備える。
【0017】
図2に示す例示的な実施形態では、これらの手段40は、リール表面79と係合し、(好ましくは油圧)駆動モータ42に作動可能に接続される圧力ローラ41を備える。例えば、タイヤ又は歯車とすることができる圧力ローラ41の回転軸は、シャフト30に平行に配置される。圧力ローラ41と共に駆動モータ42は、ホルダ11のベース14上に移動可能に配置されたプラットフォーム43上に位置づけされ、シャフト30を確実に保持するようにする。プラットフォーム43を移動させるため、よって圧力ローラ41をリール7に半径方向で移動させるために、好ましくは少なくとも1つの油圧ピストン/シリンダユニットが設けられ、ハウジング44内に収容される。別のハウジング46は、これらのピストン/シリンダユニット及び油圧駆動モータ42用の種々の作動及び安全構成要素を収容する。
【0018】
圧力ローラ41は、プラットフォーム43をその外側周辺区域45と共に移動させることにより、有利にはリール7の中心領域においてリール表面79と接触させることができる。圧力ローラ41は、防護ネット材料8の制御された巻き解きをもたらすために回転駆動され、或いは、巻き解きを阻止するために圧力ローラ41の回転が停止される。巻き解き時にはリール直径が減少し、ピストン/シリンダユニットにより圧力ローラが自動的に移動され、リール表面79と常に接触を維持するようにする。従って、圧力ローラ41及びリール7の回転運動を制御する手段40全体は、必要に応じて、防護ネット材料8の制御された巻き解きとして、及びリール7に作用するブレーキとしての両方に用いることができる。
【0019】
圧力ローラを自動的に移動させるために、ピストン/シリンダユニットの代わりに、例えばバネ要素などの他の手段を用いることもできる。
【0020】
シャフト30を固定するために、クランプ・ジョー22の代わりに他の手段を用いることもできる。シャフト30の代わりに、好ましくは、リール自体を両側部上で同軸の側方シャフトと共に形成してもよい。
【0021】
本発明による、防護ネットを用いてトンネル壁又はトンネル天井をライニングする方法、並びに本方法を実施する装置は、防護ネット材料の大型リール、並びに巻き解き及び締結プロセスの機械的実施に関する簡単であるが正確な取り扱いを可能にし、これらは、例えば、メインユニットにより制御することができ、その結果、これらのプロセスを実施する人達が直接的な危険に曝されることがなく、実質的に安全性が向上する。
【符号の説明】
【0022】
7 リール
8 防護ネット材料
30 シャフト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
防護ネット又は同様のものを用いて、ウェブ形防護ネット材料(8)がリール(7)から巻き解かれるようにしてトンネル壁又はトンネル天井をライニングする方法において、
前記リール(7)が回転可能に構成され、前記防護ネット材料(8)を巻き解くために該リール(7)の回転運動が制御され、前記リール(7)がトンネル壁又はトンネル天井に沿って機械的に移動される、
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
それぞれの段階で巻き解かれた前記防護ネット材料(8)は、好ましくは伸張されて前記トンネル壁又はトンネル天井に締結される、
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記リール(7)の回転運動が、前記リールの表面(79)と係合する圧力ローラ(41)によって制御され、前記圧力ローラ(41)は、パイロット制御で回転可能に駆動されて半径方向で前記リール(7)に移動される、
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記トンネル壁又はトンネル天井に沿って前記リール(7)と共にシャフト(30)の段階的移動が可能な伸縮アーム(2)を用いて実施され、前記伸縮アームは、一方端でメインユニット(1)に取り付けられ、他方端で前記リール(7)と共に前記シャフト(30)を支持し、前記シャフト(30)が、前記トンネル壁又はトンネル天井に実質的に平行で且つ前記移動可能なアーム(2)の移動方向に対して横方向に保持される、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
【請求項5】
各段階で巻き解かれた前記防護ネット材料(7)が、前記メインユニット(1)に割り当てられた別の移動可能且つ伸縮可能に設計されたアーム(3)によって支持される係止装置を用いてパイロット制御状態で締結される、
ことを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記メインユニット(1)が、前記防護ネット材料(8)のウェブ幅に応じて前記トンネルの長手方向で前記トンネル内に段階的に移動される、
ことを特徴とする請求項4又は5に記載の方法。
【請求項7】
前記シャフト(30)の周りの前記リール(7)の回転運動を制御する手段(40)及び前記トンネル壁又はトンネル天井に沿って前記リール(7)と共に前記シャフト(30)を収容する前記ホルダ(11)を段階的に移動させる手段によって、前記ウェブ形防護ネット材料(7)を備えた前記リール(7)が回転可能に配置されるシャフト(30)を固定するホルダ(11)によって特徴付けられる、
請求項1に記載の方法を実施する装置。
【請求項8】
前記ホルダ(11)が、ベース(14)と、該ベースから突き出る2つのキャリングアーム(20)とを有し、これらキャリングアームの自由端部が、前記シャフト(30)の末端部分(31)を収容し且つ固定する手段を備える、
ことを特徴とする請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記シャフト(30)の末端部分(31)を収容し且つ固定するために前記キャリングアーム(20)の自由端部に配置される手段が、開放位置から閉鎖位置に移動可能なクランプ・ジョー(22)のペアによってそれぞれ形成される、
ことを特徴とする請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記クランプ・ジョー(22)がそれぞれ、前記それぞれのキャリングアーム(20)の中空要素(21)上の第1の端部で枢動可能にヒンジ連結され、前記中空要素(21)内に配置された共通線形駆動部(63、61)により回転可能に移動することができ、前記クランプ・ジョー(22)の第2の端部(54)に凹部(53)がそれぞれ設けられ、これらの凹部(53)の間に前記シャフト(30)の末端部分(31)を前記クランプ・ジョー(22)の閉鎖位置でクランプすることができる、
ことを特徴とする請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記クランプ・ジョー(22)がそれぞれ、前記2つの端部(52、54)の間にそれぞれの突出部(57)を備え、前記クランプ・ジョー(22)のそれぞれのペアの側部に重なる該突出部(57)が、前記クランプ・ジョー(22)の開放位置において、クランプされることになる前記シャフト(30)の末端部分(31)に対する支持表面(58)を形成する、
ことを特徴とする請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記シャフト(30)の周りで前記リール(7)の回転運動を制御する手段(40)が、前記リール表面(79)と係合する圧力ローラ(41)によって形成され、前記圧力ローラ(41)が、駆動モータ(42)に作動可能に接続され且つ半径方向で前記リール(7)に移動可能である、
ことを特徴とする請求項7から11の何れかに記載の装置。
【請求項13】
前記駆動モータ(42)が、前記シャフト(30)を固定するために前記ホルダ(11)のベース(14)上に移動可能に配置されるプラットフォーム(43)上の圧力ローラ(41)と共に置かれ、前記プラットフォーム(43)を移動させて、前記圧力ローラ(41)を前記リール(7)に半径方向で移動するために、少なくとも1つのピストン/シリンダユニットが設けられ、
ことを特徴とする請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記トンネル壁又はトンネル天井に沿って前記リール(7)と共に前記シャフト(30)を収容する前記ホルダ(11)の段階的に移動するための手段は、移動可能な伸縮アーム(2)によって形成され、該伸縮アーム(2)は、一方端でメインユニット(1)に取り付けられ、他方端で前記リール(7)と共に前記シャフト(30)を支持し、前記シャフト(30)が、前記トンネル壁又はトンネル天井に実質的に平行で且つ前記移動可能なアーム(2)の移動方向に対して横方向に延びる、
ことを特徴とする請求項7から13の何れかに記載の装置。
【請求項15】
前記メインユニット(1)が、締め付けボルト又は同様のものを取り付けるため、又は巻き解かれた前記防護ネット材料(8)を締結するための係止装置(4)を用いて別の移動可能伸縮アーム(3)を支持する、
ことを特徴とする請求項7から14の何れかに記載の装置。
【請求項16】
前記巻き解かれた防護ネット材料(8)が、締結の前に前記係止装置(4)で伸張することができる、
ことを特徴とする請求項15に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2012−504713(P2012−504713A)
【公表日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−521457(P2011−521457)
【出願日】平成21年7月24日(2009.7.24)
【国際出願番号】PCT/EP2009/005392
【国際公開番号】WO2010/015339
【国際公開日】平成22年2月11日(2010.2.11)
【出願人】(510301231)ジェオブルッグ・アーゲー (5)
【出願人】(511034413)ロック・エンジニアリング・(オーストラリア)・ピイティワイ・リミテッド (1)
【Fターム(参考)】