説明

防護管挿入機

【課題】長手方向に対して径の大きさが一定ではない筒状の防護管を長手方向へ送る際に、径の変化に関わらず、安定して繰り出すことのできる簡易な構成を用いた防護管挿入機を提供する。
【解決手段】それぞれ防護管31を挟んで対向配置されるゴムローラ18a〜18dを備え、互いに逆位相の往復運動を行う2組の繰出し部9a、9bが離れる場合(a)、前方へ移動するゴムローラ18a、18bは回転せず摩擦力により防護管31を前方へ送る。また、後方へ移動するゴムローラ18c、18dは送られる防護管31上を従動回転により転がりながら、径の異なる雌型嵌合部33を搖動アーム20c、20dの搖動により乗り越える。また、180度位相が進んだ状態(b)では、繰出し部9aと9bとの働きは入れ替わり、繰り出し動作は連続して維持される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電柱等に架設された電線の外周を被覆することにより保護する防護管を電線に挿入する防護管挿入機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電柱上に架設された電線の近傍において作業を行う場合、作業者又は作業用の機器が電線に触れることを防止して安全を図るために、また、樹木等に近接する電線を保護するために、電線の外周を絶縁材からなる防護管によって覆うこととしている。
【0003】
図9は連結された防護管の外観斜視図である。
【0004】
この図に示した防護管31を構成する本体部32、雌型嵌合部33及び雄型嵌合部34は、弾性と可撓性とを有する絶縁材料を用いて形成されている。そして、これらは、仮想線で示したように、電線30を内部に収容できる径を有すると共に、本体部32の上方側の側面には、長手方向に向かって一直線に伸びるスリット状開口部37が形成されている。これにより、このスリット状開口部37を開いて内部に電線30を収納し、防護管31の有する弾性に基づく復元力に任せて閉じさせることにより、電線30を覆うことができる。ここで、スリット状開口部37を形成する対向した両端縁部からは、それぞれ、円筒の半径方向外方へ平行に延びる一対の背びれ部39が形成されている。
【0005】
また、この図に示すように、防護管31の長手方向の一端には、雄型嵌合部34が形成され、他端には、この雄型嵌合部34を有した他の防護管31と接続可能な雌型嵌合部33が形成されている。これら連結される防護管31はそれぞれ所定長さに設定されており、互いの雌雄嵌合部33、34にて複数本が継ぎ足され、長い電線30を覆うことができる。
【0006】
ここで、雄型嵌合部34は、本体部32よりも径が大きくなっている。そして、雌型嵌合部33には、嵌合時に雄型嵌合部34を収容でき、内部で係合させることができる収容部36が形成されている。このように、雌型嵌合部33の収容部36は、雄型嵌合部34よりも更に径が大きくなっている。
【0007】
通常は、上記のような防護管31を電線30へ取付ける際には、先ず1本目の防護管31を電線30に挿入後、続いて2本目の防護管31の先端を電線30に挿入し、この電線30に挿入した状態で、これら2本の防護管31同士を雌雄嵌合部33、34にて接続する。そして、このような動作を繰り返すことにより、電線に複数本の防護管を挿入する。次に、このように連結しながら防護管31を電線に挿入する装置について説明する。
【0008】
図10は、従来の防護管挿入装置の平面図である。
【0009】
図10に示すように、防護管挿入装置40は、一対のゴムローラ41a、41bを備え、これらゴムローラ41a、41bは、それぞれの回転軸42a、42b同士が互いに平行となるように対向配置されている。そして、電線を被覆するための防護管31は、これらゴムローラ41a、41bの間に、その長手方向とゴムローラ41a、41bの回転軸42a、42bの方向とがほぼ垂直となるように配置される。
【0010】
このように、防護管31は、対向する側面外方から一対のゴムローラ41a、41bにより挟持される。そして、この一対のゴムローラ41a、41bが図の矢印方向に回転することにより、防護管31は矢印Bの方向、すなわち、被覆される電線の方向へ送り出される。
【0011】
これらゴムローラ41a、41bの回転駆動力は、それぞれ、駆動ギア43a、43b及び従動ギア44a、44bを介して伝達される。また、各ゴムローラ41a、41bは、従動ギア44a、44bの回転軸42c、42dを支軸とし、ゴムローラ41a、41bの回転軸42a、42bに垂直な平面内にて搖動可能な搖動アーム45a、45bにより支持されている。また、それぞれの搖動アーム45a、45bの先端は、各ゴムローラ41a、41b同士が接近する方向に、すなわち、防護管31を挟む方向に付勢するスプリング46により接続されている。
【0012】
したがって、スプリング46により設定される所定の付勢力により、防護管31を挟持した状態で送ることができ、また、上記雌雄嵌合部33、34等が通過する際の径の変化に対しても、スプリング46が伸縮することにより一対のゴムローラ41a、41b同士の間隔が追従可能な構成となっている。
【0013】
尚、このような防護管挿入装置については、例えば、特許文献1に記載がある。
【特許文献1】特開平8−149641号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、上記従来のような防護管挿入装置40では、防護管31に対してゴムローラ41a、41bは常に回転した状態で接しているので、両者間に十分な摩擦力を得ることは難しい。このため、防護管31をゴムローラ41a、41bで挟持する力を大きく設定せざるを得ない。更に、防護管31は上記のように長手方向に対してスリット状の開口部37が形成されているので、可撓性により変形し易くもある。これにより、防護管31を安定して支持するためには、若干の変形を生じさせるくらいの挟持力が必要となる場合がある。
【0015】
したがって、このように大きな挟持力を与えながら防護管31を繰り出すには、大出力の駆動源が必須の構成要件となり、通常は、油圧装置等を用いた大掛かりな駆動装置が採用される。よって、設置が容易でないばかりか、コストも嵩んでしまう。
【0016】
また、防護管31の変形を伴いながら繰り出し、その変形した防護管31を電線に装着していくので、構成素材が弾性を有しているとはいえ、低温での使用など、使用環境の変化によって一時的に若干の可塑性が現れるような場合において、あまりにも大きな変形を生じてしまうと、電線への装着が安定して行えないという場合も生じ得る。
【0017】
更に、この挟持力を大きく設定し過ぎると、径がほぼ一定である本体部32に対しては、その強化された挟持力により大きな摩擦力が得られ、滑りが生じることなく繰出す力が防護管31へ効率よく伝達されるものの、防護管31同士を連結している雌雄嵌合部33、34が通過する際には、対向するゴムローラ41a、41b同士の間隔を広げるという、突起部分に対する退避動作が困難となる。
【0018】
ここで、この雌雄嵌合部33、34等の突起部分の表面を転がりながらゴムローラ同士の間隔を広げるという退避機構をうまく動作させるためには、突起部分の表面からゴムローラ41a、41b側に働く半径方向外向きの摩擦力を効率よく得る必要がある。
【0019】
すなわち、防護管31を挟持するための半径方向内向きに働くスプリング46の付勢力を大きく設定し過ぎると、突起部分からゴムローラ41a、41bに対して働く半径方向外向きの摩擦力が相殺されてしまい、退避機構の機能が損なわれる。
【0020】
このように、挟持力が弱いと、防護管の全体において滑りが生じ易くなり、逆に、挟持力が強すぎると、径の変化に追従できず、突起部分において滑りが生じ易くなるというように、雌雄嵌合部等の径の異なる突起部分を有する筒状体を繰出す場合の挟持力の調整は容易ではない。
【0021】
また、防護管の半径方向外方に働く、突起部分からゴムローラへの摩擦力を増加させるために、防護管を繰り出す力を大きく設定するなどして、ゴムローラと突起部分との突き当たり時の押し圧力を大きくする対処が考えられるが、この場合にも上記と同様に、大きな駆動力を得るためには、大掛かりな駆動装置が必要となる。
【0022】
このように、防護管のような、径の大きさが一定ではない筒状体の径の変化に関わらず適切な挟持力に基づき、安定した繰出し動作を行わせるための構成を、例えば人力による操作も可能となるような簡易な構成にて実現することは容易ではない。
【0023】
本発明は、上記課題を解決するものであり、長手方向に対して径の大きさが一定ではない筒状の防護管を長手方向へ送る際に、径の変化に関わらず、安定して繰り出すことのできる簡易な構成を用いた防護管挿入機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0024】
本発明は上記目的を達成するため、軸方向のスリットで切開されたほぼ円筒状の管状体からなる防護管を前方に繰り出すために前記防護管内に挿通状態で配置される案内ロッドと、前記案内ロッドの側方に配置され、一方向のみ回転可能であると共に、前記案内ロッドとの間に前記防護管の一部を挟むローラと、前記ローラを前記案内ロッド側に向け付勢する付勢手段と、前記ローラを支持して、前記案内ロッドの軸方向に平行に移動するベースと、前記ベースを前記案内ロッドの軸方向に平行に往復前後動させる駆動機構とを備え、前記ベースが前進動するとき、前記ローラは非回転状態で前記防護管に接してこれを前進動させ、前記ベースが後退動するとき、前記ローラは回転して前記防護管上を転動することを特徴とするものである。
【0025】
このように構成すると、防護管は、その一部を内側の案内ロッドと外側のローラとで挟持されるので、可撓性を有している場合であっても、スリットの存在のために大きく撓んでその形状を崩してしまうことなく、安定して挟持される。そして、ベースが前進動するときは、防護管は回転しないローラと共に前方へ連れ持って移動させられるので、このとき、防護管とローラとの相対的な位置関係は固定されており、挟持状態は安定する。また、ベースが後退動するときは、ローラが防護管上を転動することができるので、防護管に対してローラが干渉することがない。
【0026】
また、本発明は、軸方向のスリットで切開されたほぼ円筒状の管状体からなる防護管を前方に繰り出すために前記防護管内に挿通状態で配置される案内ロッドと、前記案内ロッドの両側方に配置され、一方向のみ回転可能であると共に、前記案内ロッドとの間に前記防護管の一部を挟む一対のローラと、前記一対のローラを前記案内ロッド側に向け付勢する付勢手段と、前記一対のローラを支持して、前記案内ロッドの軸方向に平行に移動するベースとをそれぞれ備える前後2組の繰出し部と、前記2組の繰出し部における前後のベースを前記案内ロッドの軸方向に平行に、且つ互いに逆位相となるように往復前後運動させる駆動機構とを備え、前側のベースが前進動するとき、前側の一対のローラは非回転状態で前記防護管に接してこれを前進動させ、これと並行して、後側のベースが後退動し、後側のローラは回転して前記防護管上を転動する一方、後側のベースが前進動するとき、後側の一対のローラは非回転状態で前記防護管に接してこれを前進動させ、これと並行して、前側のベースが後退動し、前側のローラは回転して前記防護管上を転動することを特徴とするものである。
【0027】
このように構成すると、防護管は、その一部を内側の案内ロッドと外側のローラとで挟持されるので、可撓性を有している場合であっても、スリットの存在のために大きく撓んでその形状を崩してしまうことなく、安定して挟持される。また、ローラは対をなして防護管を両側方から挟むように配置されるので、防護管に対するローラからの力の方向が一直線上又は同一平面上で一致し、更に挟持状態が安定する。そして、一方のベースが前進動するときは、防護管は回転しないローラと共に前方へ連れ持って移動させられるので、防護管とローラとの相対的な位置関係は固定され、挟持状態は安定すると共に、これと並行して後退動する他方のベースでは、ローラが防護管上を転動するので、防護管に干渉することなく、防護管はスムーズに前進動することができる。更に、これらベース及びローラを含む2組の繰出し部は、一方が前進動するときには他方は後退動するというように、互いに逆位相となるように往復前後運動を行うので、防護管は、常に、いずれか一方の繰出し部により前進動され、連続して繰り出し動作が行われる。
【0028】
また、上記構成において、前記駆動機構は、外部からの回転駆動力を入力端に受け、出力端へ伝達する動力伝達機構を介して得られる、伝達回転駆動力に基づいて前記2組の繰出し部を駆動するクランク機構であって、互いに180度の位相差を有する2つのクランク部を備え、これら2つのクランク部が、前記2組の繰出し部のいずれか一方とそれぞれ連結された構成とすれば、簡単な構成にて、2組の繰出し部を、互いに逆位相に運動させることが可能となる。
【0029】
また、上記各構成において、前記案内ロッドは、前記ローラと対向するそれぞれの側面に、前記防護管の内壁との摺接による摩擦を低減する摩擦低減手段を備えた構成とすれば、防護管と案内ロッドとの間の摩擦力が低減されるので、前記ローラは小さな付勢力でも充分に防護管を連れ持って前進動することが可能となる。
【0030】
また、上記各構成において、前記ローラは、搖動可能な搖動アームを介して前記ベースに支持され、前記搖動アームが前記案内ロッドの軸方向と垂直な方向から前方側へ傾いた状態で前記案内ロッドに当接離間する構成とすれば、前記ローラが前記ベースと共に前進動する場合には、当接する前記防護管から前記ローラ側に作用する摩擦力は、搖動アームを案内ロッド側へ搖動させようとする分力を生じるので、案内ロッドとローラとによる防護管の挟持状態が安定する。また、前記ローラが前記ベースと共に後退動する場合には、当接する前記防護管から前記ローラ側に作用する摩擦力は、搖動アームを案内ロッド側から離す向きの分力を生じるので、ローラから防護管への干渉が更に緩和される。
【0031】
また、上記各構成において、前記案内ロッドは、前記防護管の挿通状態において、前記スリットの間から外径方向に突出し、繰り出される前記防護管の前記スリットを案内する案内板が側面に形成された構成であるとすると、防護管のスリットの形成された向きを固定することができ、電線への装着が安定する。
【0032】
また、案内ロッド側へ向けてローラに付勢を与え、案内ロッドとローラとの間に管状体の一部を挟持し、このローラを支持するベースを往復前後運動させる駆動機構を設け、更に、前進動するときにローラの回転を止め、また、後退動するときに管状体上をローラが転動するようにして管状体を繰り出す構成は、上記の防護管を繰り出す防護管挿入機に適用できる。
【発明の効果】
【0033】
本発明によれば、防護管を、その内部に挿通配置した案内ロッドと外部のローラとの間に挟んで前進動させるので、たとえスリットの形成された防護管が可撓性を有していても、大きく変形することがない。これにより、防護管の変形が最小限に抑えられ、電線等への被覆状態が良好となる。また、防護管は、回転しないローラにより押圧された状態で前進動されるので、ローラとの当接状態が一定となり安定して繰り出される。そして、ベースと共に後退動するローラは防護管上を転動し、防護管に干渉しないので、前進動の効率は損なわれない。
【0034】
また、本発明において、ローラが、案内ロッドを挟んで対となるように配置すると、ローラから防護管に加わる力の方向が一直線となるので、防護管の挟持状態が安定する。そして、上記ローラとベースとの構成からなる繰出し部を2組用いて、それぞれが互いに逆位相となるように前後の往復運動をさせる構成とすると、常に、何れか一方の繰出し部により、防護管が前進動されるので、作業効率を向上させることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
以下、本発明に係る防護管挿入機の実施の形態につき、図を参照しながら説明する。尚、以下の説明は本発明の具体例であって、特許請求の範囲を限定するものではない。また、各図面中同一部分については同一符号を用いるものとする。
【0036】
図1は本発明の実施の形態に係る防護管挿入機の使用例を示した外観斜視図である。
【0037】
この図に示すように、この実施の形態における防護管挿入機1は、電柱等に横設される電線30の下方から取り付けられる。そして、防護管31は、電線30に対して浅い角度で当接するように矢印Aの方向に繰り出され、仮想線で示した防護管31のように電線30の外側に装着される。ここで、この実施の形態では、繰り出し動作のための動力は、外部からの回転駆動力を受ける防護管挿入機1の入力部23に連結された操作棒24を介して伝達される。尚、ここでは図示していないが、この操作棒24は、内部に回転伝達機構を有するものである。
【0038】
次に、電線30に対する防護管31の繰り出し方向を一定の状態に保持し、案内するための機構について、図2〜図5を用いて説明する。
【0039】
図2は図1の防護管挿入機の拡大斜視図であり、図3は図1の防護管挿入機の平面図であり、図4は図1の防護管挿入機の側面図であり、また、図5は図1の防護管挿入機の正面図である。
【0040】
これらの図に示すように、この実施の形態に係る防護管挿入機1の中央には、ほぼ水平方向に伸びるように、防護管31を案内するための案内ロッド2が配置されている。使用時において、防護管31は、この案内ロッド2をその内部空間に摺接させるように挿通して、電線30へ向けて繰り出される。このように、防護管31は、この軸方向に案内ロッド2により案内支持される。そして、この案内ロッド2の上端からは、ほぼ垂直上方へ延びると共に、背ビレ状に案内ロッド2の長手方向に広がり、防護管31の一対の背びれ部39を案内する案内板3を備えている。すなわち、この案内板3は、防護管31の一対の背びれ部39を、自身の両面にそれぞれ沿わせるように通過させ、防護管31がその軸周りに回転して捩れを生じないように案内するものである。この実施の形態においては、防護管31は、上記図1に示したように、案内ロッド2及び案内板3に沿って、それぞれの雌型嵌合部33を先頭にして矢印Aの方向に送られる。
【0041】
そして、案内ロッド2の側方には、防護管31の内側面との摩擦を低減し、繰り出しをスムーズにするための複数の案内ローラ4(摩擦低減手段)が備えられている。これら複数の案内ローラ4はそれぞれ自由に回転可能であり、案内ロッド2の両側面に、その長手方向に対して等間隔に並ぶように配置されている。また、これら複数の案内ローラ4の回転軸方向は、案内ロッド2の長手方向に対して直角な方向となるように設定される。そして、これら案内ローラ4のローラ面は、それぞれ一部が案内ロッド2の側面よりも外方に突出するように配置されている。これにより、これら案内ローラ4が配置された案内ロッド2の側方においては、防護管31の内側面が自由回転可能な案内ローラ4に対して当接し、防護管31の長手方向への移動が容易になる。
【0042】
ここで、案内板3には、矢印Aに示す方向の前方側にフック部5が、また、後方側に締付具6が一体となって備えられている。そして、これらフック部5及び締付具6の2箇所において、防護管挿入機1が電線30に取付けられる。このような構成を用いて、設置の際には、図1に示すように横設された電線30に対して、先ず、フック部5のみを引っ掛けることにより、防護管挿入機1の重量の大半を電線30側に預けた状態にし、この状態において後方側を持ち上げて締付具6により本固定することができる。尚、この締付具6は、特に図5に示すように、ねじ受部6aと締付ねじ6bとにより電線30を側方から締め付け、固定する構成となっているが、締付ねじ6bの端部には、先端に工具を取付けた遠隔操作棒等を用いて容易に回転させ、締め付けることができるように遠隔操作用リング6cが形成されている。このように、フック部5と締付具6とを配置することにより、防護管挿入機1の重量を支えながら不安定な状態での取り付け作業や、防護管の繰り出し作業を行わなくても良い。
【0043】
次に、図4に、側方から見た電線30と案内ロッド2との位置関係が示されている。すなわち、電線30と案内ロッド2とは鋭角θをなすように配置されている。また、上述したように、防護管31の背びれ部39が電線30側に位置するように案内板3の方向が設定されている。そして、案内板3の矢印Aの方向の前方側には、特に、図2、3に詳細に示されているように、前方側に向かうにつれて側面方向の幅が広くなる背びれ誘導部7が備えられている。これにより、防護管31が矢印Aの方向へ送られる際、電線30に当接する前に、先ず、背びれ誘導部7により背びれ部39の前方が広がり始める。そして、電線30の径に近い間隔まで広がった状態で一対の背びれ部39は電線30に当接する。このように、閉じた状態の一対の背びれ部39が、その材質の有する可撓性により、電線30の太さ近くまで広がり、防護管31が電線30へスムーズに誘導され、装着されることが可能となる。このようにして、後方から更に送られて来た防護管31の他の背びれ部39も同様に、電線30に対する当接位置にて連続的に開かれる。一方、上記当接位置を通過した防護管31の他の部分は、その内部に電線30を納めた後、自身の有する弾性により、開いた状態の背びれ部39を閉じる。したがって、予め雌雄嵌合部33、34において複数の防護管31同士を接続しておけば、連続してスムーズに電線30へ防護管31が装着されていく。
【0044】
尚、この実施の形態では、前方側に電線30の外形に合わせたほぼ半円形状の切欠き8aが形成された電線当接部8が案内板3に対して一体に設けられており、設置状態において、電線30の下方側に、この切欠き8aが適合する。これにより、電線30に対してフック部5により引っ掛かった状態にある防護管挿入機1の前方側は、下方から当接する切欠き8aにより電線30との間隔が一定に保持されると共に、案内板3及び案内ロッド2を含む平面内に、常に電線30が含まれるように左右方向への振れが抑えられて安定する。
【0045】
以下、防護管31を矢印Aの方向へ、すなわち、電線30側へ繰り出す構成について説明を行う。
【0046】
図5に示すように、上記において説明した案内板3は、矩形の主フレーム21aの上端に一体となって固定されている。そして、この主フレーム21aの下端側には、主フレーム21aより小さい矩形の副フレーム21bが連結されている。また、この副フレーム21bとの境界となる主フレーム21aの下端部上面には、レール10が、案内ロッド2に対して下方位置に、且つ平行となるように固定されている。このレール10は、上方に、長手方向に伸びるスリット状の開口10aが形成され、その内部に扁平な空洞が設けられている。そして、このレール10の内部の空洞内を摺動可能に案内される被案内部10b、10c(ただし、前方の被案内部10bは隠れた位置にあるため図示せず)がそれぞれ下端側に設けられた、ほぼ水平に広がる前ベース17a及び後ベース17bが、レール10の上方に長手方向に並設されている。すなわち、レール10の開口10aを形成する両端縁が、これら被案内部10b、10cの抜け止めとして働き、前後ベース17a、17bのそれぞれを、レール10に沿ってほぼ水平に往復運動させるように軌道を固定することが可能となる。
【0047】
このように、これら前ベース17a及び後ベース17bは、それぞれ独立に、レール10の溝に対して前後に摺動可能となっている。そして、前後ベース17a、17bの上方には、案内ロッド2を両側方から挟むように、それぞれ一対のゴムローラ18a〜18dが垂直上方に立設され、下方には、副フレーム21bの前後側に懸かるように、ほぼ垂直下方に向かって伸びる垂下片11a、11bがそれぞれ形成されている。これら、前後ベース17a、17bの上方および下方に設けられる構成が、一体となってレール10上を摺動することにより、防護管31が前方へ繰り出されるので、これら前後2組のほぼ同一となる構成をそれぞれ前繰出し部9a及び後繰出し部9bとする。
【0048】
ここで、前後繰出し部9a、9bのうち、前後ベース17a、17bの上方側の構成は、レール10上における前後繰出し部9a、9bの前後運動と密接に関係するものである。したがって、先ず、前後ベース17a、17bの下方の垂下片11a、11bに水平方向の力を加えて、前後繰出し部9a、9bを前後運動させる操作部の構成について説明することとする。
【0049】
操作部12(駆動機構)は、図5に示すように、副フレーム21b内に配置されている。この操作部12は、図6に、分解斜視図として詳しく示されている。この図6に示されるように、操作部12は、180度の位相差を設けたクランクレバーが両端に形成された中央クランク体22をa介して左右双方にそれぞれ左クランク14b、右クランク14aを有する。これら左右クランク14b、14aの直線上のクランク軸13a、13bは水平方向に配設される(図4では紙面に垂直な方向)。すなわち、左クランク14bは、副フレーム21bの左側壁にクランク軸13aにおいて枢着支持される左クランクレバー22bと、中央クランク体22aとの間にクランクリンク15bが枢着されることにより構成され、また、右クランク14aは、副フレーム21bの右側壁にクランク軸13bにより枢着支持される右クランクレバー22cと、中央クランク体22aとの間にクランクリンク15aが枢着されることにより構成されている。そして、これらクランクリンク15a、15bは、上記前後繰出し部9a、9bの各々の前後ベース17a、17bから垂下する垂下片11a、11bにそれぞれリンクしている。
【0050】
そして、これら垂下片11a、11bは、上述のように前後ベース17a、17bと一体となっているため、これら下端のクランクリンク15a、15bとの接続位置は、レール10と並行な水平軌道上を移動する。更に、この実施の形態では、この水平軌道は、上記クランク軸13a、13bの高さ位置と一致するように設定されている。したがって、180度の位相差を持つ左クランク14bと右クランク14aとから変換され、得られる水平方向の運動は、一方が前進動しているときは、他方が後退動するという、クランク軸13a、13bを挟んでほぼ対称となる逆位相の往復前後運動となる。
【0051】
ここで、この実施の形態では、このような操作部12のクランク軸13bに対して、外部からの動力を伝達するために、動力伝達機構26を備えている。この動力伝達機構26は、クランク軸13bと繋がるほぼ水平方向の回転軸を有する傘型ギア16bと、この傘型ギア16bと組み合わされる傘型ギア16aとを有している。そして、この傘型ギア16aの回転軸は、外部からの回転駆動力を受けるための入力軸25に繋がっている。これにより、内部に回転力を伝達する機構を備えた遠隔操作棒等を連結することができるので、防護管挿入機1の支持と回転力の付与を兼ねることが可能となり、回転力が効率的に伝達されるように構成すれば、人力でも操作することが可能となる。
【0052】
次に、繰出し部9a、9bの詳細な構成について説明を行う。尚、ここでは、2つの繰出し部9a、9bは同一の構成を有しているため、一方の繰出し部9aのみについて説明を行う。
【0053】
繰出し部9aは、上述のように、案内ロッド2を挟むように垂直上方に伸びる一対のゴムローラ18a、18bを備えている。そして、これらゴムローラ18a、18bは、使用時に防護管31に接した状態において、防護管31に対する当接側が前方へ移動する方向にのみ回転が許容された構成となっている。すなわち、具体的には、図2に示すように、平面視において、ゴムローラ18aは時計回りの方向にのみ回転可能であり、また、ゴムローラ18bは反時計回りの方向にのみ回転可能である。尚、通常、この回転機構には、ラチェット機構等が採用される。
【0054】
ここで、これらゴムローラ18a、18bは、水平に搖動する一対の搖動アーム20a、20bにそれぞれ載置されている。そして、これら搖動アーム20a、20bは、前方側へ所定角度αだけ傾いた状態で、その載置しているゴムローラ18a、18bが案内ロッド2に当接するように、互いがスプリング19aにより繋がれることにより、内側へ付勢されている。
【0055】
次に、以上のような構成を有する前後繰出し部9a、9bが、逆位相の往復運動をするように、それぞれの垂下片11a、11bを操作されて行われる、防護管31の繰り出し動作について図7及び図8を用いて説明を行う。
【0056】
図7は図1の防護管挿入機による防護管の本体部の送り動作を示した模式図であり、図8は図1の防護管挿入機による防護管の雌雄嵌合部の送り動作を示した模式図である。尚、これらの図では、動作説明に必要のない構成については省略している。
【0057】
図7の(a)は、操作部12の左右クランク14a、14bから伸びるクランクリンク15a、15bにより得られる水平運動により、繰出し部9a、9b同士が互いに離れる方向に移動している状態を示している。ここで、上に述べたように、ゴムローラ18a〜18dは、防護管31に当接する側が前方へ移動する方向にのみ回転が許容されているため、防護管31に対して前方へ相対移動する繰出し部9aのゴムローラ18a、18bは回転することができない。そして、防護管31の内側では、これらゴムローラ18a、18bに対向するように、案内ロッド2の側面に複数の案内ローラ4が長手方向に並設されている。このように、前進動する前繰出し部9aにおいては、回転しないゴムローラ18a、18bと自由回転する案内ローラ4とにより防護管31の側壁の一部が挟持されている。これにより、ゴムローラ18a、18bが前進動するときに、これらに挟持されている防護管31は、ゴムローラ18a、18bに挟持されたまま前方へ連れ持って行かれる。
【0058】
これに対して、防護管31に対して後方へ相対移動する繰出し部9bのゴムローラ18c、18dは、それぞれ矢印R1、R2の方向に回転することができる。したがって、ゴムローラ18a、18bに連れ持って行かれる防護管31に対して殆ど干渉することなく、防護管31上を転動し、防護管31の前進動を妨げない。
【0059】
このようにして、前繰出し部9aの前方側の可動限界となる位置への移動に伴って、防護管31も前方へ移動する。
【0060】
次に、図7(b)は、クランクリンク15a、15bが前後方向へ水平に伸びきった状態から左右クランクの位相が進み、それぞれが副フレーム21bの内側へと引き戻される場合、すなわち、繰出し部9a、9b同士が互いに近づく方向に移動している状態を示している。ここでは、図7(a)の場合とは前進動および後退動の関係が逆となり、後繰出し部9bの前進動によりゴムローラ18c、18dが防護管31を前方に持って行く動作を、前繰出し部9aのゴムローラ18a、18bは妨げることなく回転し(図では矢印R3、R4の向き、スムーズに防護管31は前方へ繰出される。
【0061】
次に雌雄嵌合部33、34が前後繰出し部9a、9bの可動領域を通過する場合の防護管31の繰り出し動作について説明する。
【0062】
図8(a)は、前後繰出し部9a、9b同士が互いに離れる方向に移動している状態を示している。この場合、上記の図7(a)の場合と同様に、後方のゴムローラ18c、18dは回転可能であり、前方のゴムローラ18a、18bは回転できない。ここで、上記図7(a)の状態と異なるのは、雌雄嵌合部33、34が、後方の繰出し部9bの可動領域内に侵入する点である。ここで、この実施の形態におけるゴムローラ18c、18dは、後繰出し部9bのベース17bを含む面と平行な平面内において搖動可能な搖動アーム20c、20d上に載置されているため、本体部32よりも径の大きい雌雄嵌合部33、34が通過する際、搖動アーム20c、20dの搖動により外側へ退避することができる。また、このとき、ゴムローラ18c、18dは防護管31に対して転がることができるので、退避動作と回転動作との組み合わせによりスムーズに雌雄嵌合部33、34の通過を許容する。したがって、たとえ雌雄嵌合部33、34のような径の異なる部分があっても、繰り出し動作を行っていない繰出し部9bは、柔軟に径の変化に追従し、他方の繰出し部9aの繰り出し動作を妨げることを防ぐことが可能である。
【0063】
尚、搖動アーム20a〜20dの長さや回転可能な角度は、適用する防護管31の雌雄嵌合部33、34の径等を考慮して設定される。
【0064】
同様に、前後関係の入れ替わる図8(b)の状態では、後方側の繰出し部9bにより防護管31が支持固定され、前方へ送られる。ここで、この図に示すように、後方側のゴムローラ18c、18dは本体部32ではなく雌型嵌合部34を挟持している。しかし、回転しないゴムローラ18c、18dにより挟持し、そのまま前方へ送り出す動作は、図7に示した本体部32に対する場合の動作と同様である。したがって、スプリング19b(図示せず)の付勢力に基づく挟持力の違いはあるものの、たとえ収容部36のような突起した部分であっても、径の均等な部分と同様に、安定して送ることが可能である。そして、前繰出し部9aのゴムローラ18a、18bは、ちょうど雌雄嵌合部33、34の前方端部を乗り越える状態にあるが、こちら側のゴムローラ18a、18bは回転可能であり、また、搖動アーム20が外方へ回動することにより退避できるので、後繰出し部9bによる防護管31の送り動作を妨げることなく、スムーズに雌雄嵌合部33、34を通過させることが可能である。
【0065】
ここで、回転を停止し、当接部分の摩擦力により、防護管31を前方へ送るときのゴムローラ18には、搖動アーム20が前方へ傾斜していることにより、その摩擦力に基づいて防護管31を挟む方向へ押し付けられる力が生じる。すなわち、防護管31から回転しないゴムローラ18側へ作用する後方向きの摩擦力は、搖動アーム20を防護管31側に近づける方向へ搖動させようとする回転力を与える。これにより、ゴムローラ18が防護管31を挟持する力が付加され、ゴムローラ18による防護管31の支持固定状態が安定する。
【0066】
一方、防護管31に対して相対移動し、回転しているゴムローラ18に対しては、搖動アーム20が前方へ傾斜した構成は、防護管31から離れる方向へ押し出す力を生じるように作用する。すなわち、ゴムローラ18を回転させながら相対的に前方へ移動する防護管31は、搖動アーム20を防護管31から離す方向へ搖動させようとする回転力を与える。これにより、ゴムローラ18が防護管31を挟持する力が低減され、ゴムローラ18の退避運動を容易にする。
【0067】
このように、この実施の形態の構成によれば、防護管31を支持固定し、十分な挟持力を必要とする場合には、それを補助するように付加的な挟持力を得ることができ、逆に、防護管31から離れて通過を許容する場合には、その退避を補助するように、挟持力を低減することができる。
【0068】
したがって、防護管31を挟持する力を、それ程大きく設定せずとも、繰出し時には安定した挟持力を得ることができ、突起部分が通過する際には、挟持する力が弱められ、スムーズに突起を回避することができる。
【0069】
また、挟持する力を大きくする必要が生じた場合であっても、防護管31の突起部分からゴムローラ18へ作用する力が、この挟持力を緩和する方向に働くので、調整許容範囲が大きくなり、挟持力の調整が容易となる。
【0070】
加えて、図7および図8の防護管31の送り動作図に示したように、並設される2つの前後繰出し部9a、9bは一方が後方へ向かって移動しているときは、他方は前方へ向かって移動する。すなわち、どの瞬間においても、いずれか一方は、常に、防護管31を前方へ送り出す動作をしているので、全体として見れば、効率的に無駄なく連続して防護管31の送り動作が行われる。
【0071】
尚、上記の実施の形態では、電線に防護管挿入機を取付けるために、フック部と締付部とを用いた構成を例として示したが、安定して電線に取付けることができる構成であれば、数及び組み合わせは、これに限らず、例えば、前後とも締付部にて構成しても構わない。
【0072】
また、上記の実施の形態では、電線に当接する直前で背びれ部を開くための背びれ誘導部を設けた構成を例として示したが、これは無くても構わない。
【0073】
更に、上記の実施の形態では、フック部の下方側に電線当接部を設け、電線に対する案内ロッドの軸方向合わせをする構成を例として示したが、例えば、電線に対して複数の締付け部により取り付けを行うなど、案内ロッドの軸方向が安定している場合は、この電線当接部は無くても構わない。
【0074】
更に、上記の実施の形態では、案内ロッドの側方に案内ローラを複数配置した構成を例として示したが、これに限らず、防護管の内壁と案内ロッドとの間の滑りを良くする構成であれば、他の構成であっても構わない。
【0075】
更に、上記の実施の形態では、繰出し部の対となるゴムローラは、平面視において、案内ロッドの伸びる方向に対してほぼ垂直となる方向に対向配置される構成を例として示したが、対抗配置でなくても構わない。
【0076】
更に、上記の実施の形態では、繰出し部を2組用いる構成を例として示したが、1組でも良く、また、3組以上であっても構わない。
【0077】
更に、上記の実施の形態では、防護管の背びれ部の位置決めをするために案内板を用いる構成を例として示したが、背びれ部の位置決めをできるものであれば、板状部材でなくても構わない。
【0078】
更に、上記の実施の形態では、案内ロッドは、ほぼ筒状の形状を有している構成を例として示したが、防護管の軸方向を安定して固定できる構成であれば、筒状以外の棒状体であっても構わない。
【0079】
更に、上記の実施の形態では、動力が動力受け部から傘型ギアを介して外部から伝達され、この伝達された動力を用いて、180度の位相差を有する2つのクランクを備えた操作部が、2組の繰出し部に逆位相の水平往復運動をさせる構成を例として示した。しかし、繰出し部が、レール上で、逆位相の水平往復運動をする構成であれば、これ以外の構成であっても構わない。
【0080】
更に、上記の実施の形態では、繰出し部において対となるゴムローラに、内側方向への付勢力を与えるためにスプリングを用いた構成を例として示したが、内側に付勢力を生じる構成であればこれ以外の構成であっても構わず、また、スプリングは、ゴムローラ毎に独立に備えられる構成であっても構わない。
【0081】
更に、上記の実施の形態では、繰出し部が1本のレール上を前後に滑る構成を例として示したが、これに限らず、繰出し部が前後に移動可能となる構成であれば、レールは複数本備えても良く、また、他のガイド構成を用いても構わない。
【0082】
更に、上記の実施の形態では、ゴムローラにより防護管を繰出す構成を例として示したが、防護管との間に滑りを生じない十分な摩擦力が得られるものであれば、ゴム以外のローラであっても構わない。
【産業上の利用可能性】
【0083】
長手方向に対して径が変化する防護管等の筒状体を繰り出すときに、大きな径の突起部分における引っ掛かりを防止することができ、小さな挟持力により筒状体を支持し、繰り出すことができる簡易な構成を用いることができるので、例えば、電柱等に架設された電線の外周を被覆することにより保護する防護管を電線に挿入する防護管挿入機等に用いることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】本発明の実施の形態に係る防護管挿入機の外観斜視図である。
【図2】図1の防護管挿入機の拡大斜視図である。
【図3】図1の防護管挿入機の平面図である。
【図4】図1の防護管挿入機の側面図である。
【図5】図1の防護管挿入機の正面図である。
【図6】図1の防護管挿入機の操作部の分解斜視図である。
【図7】図1の防護管挿入機による防護管の本体部の送り動作を示した模式図である。
【図8】図1の防護管挿入機による防護管の雌雄嵌合部の送り動作を示した模式図である。
【図9】従来の連結された防護管の外観斜視図である。
【図10】従来の防護管挿入装置の平面図である。
【符号の説明】
【0085】
1 防護管挿入機
2 案内ロッド
3 案内板
4 案内ローラ(摩擦低減手段)
9 繰出し部
10 レール
11 操作アーム
12 操作部(駆動機構、クランク機構)
17 ベース
18 ゴムローラ
19 スプリング
20 搖動アーム
26 動力伝達機構
α 所定の角度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸方向のスリットで切開されたほぼ円筒状の管状体からなる防護管を前方に繰り出すために前記防護管内に挿通状態で配置される案内ロッドと、
前記案内ロッドの側方に配置され、一方向のみ回転可能であると共に、前記案内ロッドとの間に前記防護管の一部を挟むローラと、前記ローラを前記案内ロッド側に向け付勢する付勢手段と、前記ローラを支持して、前記案内ロッドの軸方向に平行に移動するベースと、
前記ベースを前記案内ロッドの軸方向に平行に往復前後動させる駆動機構とを備え、
前記ベースが前進動するとき、前記ローラは非回転状態で前記防護管に接してこれを前進動させ、前記ベースが後退動するとき、前記ローラは回転して前記防護管上を転動することを特徴とする防護管挿入機。
【請求項2】
軸方向のスリットで切開されたほぼ円筒状の管状体からなる防護管を前方に繰り出すために前記防護管内に挿通状態で配置される案内ロッドと、
前記案内ロッドの両側方に配置され、一方向のみ回転可能であると共に、前記案内ロッドとの間に前記防護管の一部を挟む一対のローラと、前記一対のローラを前記案内ロッド側に向け付勢する付勢手段と、前記一対のローラを支持して、前記案内ロッドの軸方向に平行に移動するベースとをそれぞれ備える前後2組の繰出し部と、
前記2組の繰出し部における前後のベースを前記案内ロッドの軸方向に平行に、且つ互いに逆位相となるように往復前後運動させる駆動機構とを備え、
前側のベースが前進動するとき、前側の一対のローラは非回転状態で前記防護管に接してこれを前進動させ、これと並行して、後側のベースが後退動し、後側のローラは回転して前記防護管上を転動する一方、
後側のベースが前進動するとき、後側の一対のローラは非回転状態で前記防護管に接してこれを前進動させ、これと並行して、前側のベースが後退動し、前側のローラは回転して前記防護管上を転動することを特徴とする防護管挿入機。
【請求項3】
前記駆動機構は、外部からの回転駆動力を入力端に受け、出力端へ伝達する動力伝達機構を介して得られる、伝達回転駆動力に基づいて前記2組の繰出し部を駆動するクランク機構であって、
互いに180度の位相差を有する2つのクランク部を備え、これら2つのクランク部が、前記2組の繰出し部のいずれか一方とそれぞれ連結されたことを特徴とする請求項2記載の防護管挿入機。
【請求項4】
前記案内ロッドは、前記ローラと対向するそれぞれの側面に、前記防護管の内壁との摺接による摩擦を低減する摩擦低減手段を備えたことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の防護管挿入機。
【請求項5】
前記ローラは、搖動可能な搖動アームを介して前記ベースに支持され、前記搖動アームが前記案内ロッドの軸方向と垂直な方向から前方側へ傾いた状態で前記案内ロッドに当接離間することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の防護管挿入機。
【請求項6】
前記案内ロッドは、前記防護管の挿通状態において、前記スリットの間から外径方向に突出し、繰り出される前記防護管の前記スリットを案内する案内板が側面に形成されたことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の防護管挿入機。
【請求項7】
管状体を前方に繰り出すために前記管状体内に挿通状態で配置される案内ロッドと、
前記案内ロッドの側方に配置され、一方向のみ回転可能であると共に、前記案内ロッドとの間に前記管状体の一部を挟むローラと、
前記ローラを前記案内ロッド側に向け付勢する付勢手段と、
前記ローラを支持して、前記案内ロッドの軸方向に平行に移動するベースと、
前記ベースを前記案内ロッドの軸方向に平行に往復前後動させる駆動機構とを備え、
前記ベースが前進動するとき、前記ローラは非回転状態で前記管状体に接してこれを前進動させ、前記ベースが後退動するとき、前記ローラは回転して前記管状体上を転動することを特徴とする管状体繰出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−131723(P2008−131723A)
【公開日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−313144(P2006−313144)
【出願日】平成18年11月20日(2006.11.20)
【出願人】(000222037)東北電力株式会社 (228)
【出願人】(000222015)株式会社ユアテック (26)
【出願人】(591083772)株式会社永木精機 (65)