防護管装置
【課題】防護管を通信線に取り付ける際に、スパイラルハンガーや通信線の損傷や脱落を防止する。
【解決手段】防護管装置10は、防護管12の先端開口端縁部が支持具に接触したとき、防護管12に取り付けられた圧力センサ22によって防護管12に加えられた圧力を検出する。検出された圧力情報は、圧力センサ22に接続された音声出力装置42に出力される。音声出力装置42では、この圧力情報に基づいてブザー音や音声を出力することにより、防護管12がスパイラルハンガーに接触したことを作業者に告知する。作業者は、音声出力装置42から出力される音により、スパイラルハンガー等を破損および脱落させるまで力を加えることなく、防護箇所へ防護管装置10を送出設置することができる。
【解決手段】防護管装置10は、防護管12の先端開口端縁部が支持具に接触したとき、防護管12に取り付けられた圧力センサ22によって防護管12に加えられた圧力を検出する。検出された圧力情報は、圧力センサ22に接続された音声出力装置42に出力される。音声出力装置42では、この圧力情報に基づいてブザー音や音声を出力することにより、防護管12がスパイラルハンガーに接触したことを作業者に告知する。作業者は、音声出力装置42から出力される音により、スパイラルハンガー等を破損および脱落させるまで力を加えることなく、防護箇所へ防護管装置10を送出設置することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は通信線を保護するための防護管装置に関する。詳細には、防護管に取り付けられた検出部により防護管が支持具に接触したときに防護管に加えられた圧力を検出し、検出した圧力情報に基づいて防護管が支持具に接触したことを作業者に告知することで、通信線や支持具の損傷や脱落を防止したものである。
【背景技術】
【0002】
電柱間に添架された通信線路下でクレーンやレッカー等の大型機器を使用した作業を行う場合には、機器の接触等による通信線の損傷や切断等を防止するため、これらを防護する防護管を事前に取り付けている(特許文献1参照)。防護管を取り付ける際には、高所作業車を使用して通信線の高さまで上がり、作業者が防護箇所に位置した通信線に直接防護管を取り付けている。しかし、通信線が河川や家屋等を跨いで添架されているときには、高所作業車を使用することができない。このような場合には、一方の電柱から他方の電柱に向かって防護管を通信線に沿わせて目的の防護箇所まで送り出すことで、通信線の防護箇所に防護管を取り付けている。
【0003】
【特許文献1】特開2000−188816号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に開示される防護管を用いた場合、スパイラルハンガー工法を採用して通信線を添架しているような箇所では、電柱から防護箇所へ防護管を通信線に沿わせて送出しようとすると、防護管がスパイラルハンガーやこれを支持する吊り線などに引っ掛かってしまう場合がある。この場合には、スパイラルハンガーを破損および脱落させてしまうおそれがあるので、防護管が引っ掛からない位置まで作業者の経験則に基づいて戻し、再度防護管を目的の取付箇所まで送出するか、または、破損覚悟で防護管をさらに押し出すことで通信線に取り付けている。
【0005】
一方、通信線路下の作業時に通信線に防護管を取り付けないで作業を行う方法もある。この方法は、通信線にケプラーロープで危険標示を取り付けて、通信路下でのレッカー等の作業車へ注意を喚起するものである。しかし、危険標示の場合には、通信線を直接防護していないので、レッカー等の機器が接触した際、通信線を破損させてしまうおそれがある。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するものであり、防護管を通信線に取り付ける際に、スパイラルハンガーや通信線の損傷や脱落の防止を図ることが可能な防護管装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る防護管装置は、上記課題を解決するために、電柱に添架された通信線およびこれを支持する支持具を保護するための防護管装置であって、通信線および支持具を被覆する筒状をなす防護管と、防護管に着脱可能に取り付けられ、防護管が通信線または支持具に接触したときに防護管に加えられた圧力を検出する検出部と、検出部に接続され、検出部により供給された圧力情報に基づいて防護管が通信線または支持具に接触したことを告知する告知部とを備えるものである。
【0008】
本発明の防護管装置を通信線に設置する場合には、一方の電柱から防護管装置を通信線に沿わせて他方の電柱に向かって送り出す。本発明の防護管装置では、防護管の先端開口端縁部が支持具に接触したとき、防護管に取り付けられた検出部によって防護管に加えられた圧力を検出する。検出された圧力情報は、検出部に接続された告知部に出力される。告知部では、この圧力情報に基づいて防護管が支持具に接触したことを作業者に告知する。告知部は、例えば音を出力するスピーカや光を発光する発光ダイオードによって構成され、防護管が支持具に接触したことを音や光により作業者に知らせる。作業者は、告知部による告知により、支持具等を破損および脱落させるまで力を加えることなく、防護箇所へ防護管を送出設置することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、防護管が支持具等に接触したときの圧力を検出する検出部と、この検出部により検出された圧力情報に基づいて防護管が支持具等に接触したことを告知する告知部とを備えるため、通信線等を損傷および脱落させることなく、防護管装置を設置することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
[第1の実施の形態]
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
<防護管装置の構成例>
図1は、本発明に係る防護管装置10の構成を示す図である。図2(A)は防護管装置10の構成を示す断面図であり、図2(B)は図2(A)に示す防護管装置10のA−A線に沿った断面図である。図3は、防護管装置10のブロック構成を示す図である。
【0011】
防護管装置10は、図1〜図3に示すように、図示しない通信線を被覆する防護管12と、防護管12に加えられた圧力を検出する圧力センサ22と、防護管12が通信線や支持具に接触したことを告知する音声出力装置42と、圧力センサ22と音声出力装置42とを電気的に接続する配線部28とを備えている。
【0012】
防護管12は、両端部が開口された細長の円筒状をなし、例えば、可撓性および弾力性を有するポリエチレン等の絶縁材料から構成される。防護管12の長手方向の長さは例えば2〜3mである。防護管12の下部には、その長手方向に沿って防護管12を開閉可能に構成するための割れ目部26が形成される。割れ目部26によって切断された防護管12の周方向の両端部のそれぞれには、下方に突出したフランジ部14,14が設けられる。
【0013】
防護管12の先端部には、後述するスパイラルハンガー等を防護管装置10の開口端縁部に引っ掛からないようにして防護管12内に挿通させるための挿入ガイド部16が設けられる。挿入ガイド部16は、平面視リング状をなすと共にその開口部が防護管12の開口径の大きさから徐々に大きくなるような断面略ラッパ形状をなす。この挿入ガイド部16は、上述した防護管12と同様に、可撓性および弾力性を有するポリエチレン等の材料からなり、後述するスパイラルハンガー76等に接触したときの衝撃(圧力)を吸収し、圧力センサ22に圧力を伝達できるように構成される。
【0014】
圧力センサ22は、検出部の一例を構成し、防護管12の先端外周面であって挿入ガイド部16の上部背面側に、挿入ガイド部16と接触するようにして取り付けられる。圧力センサ22は、挿入ガイド部16がスパイラルハンガー76に接触したときの挿入ガイド部16に加えられる圧力を検出するものである。この圧力センサ22は、例えば面ファスナーやねじ等の連結部材により防護管12に着脱自在に取り付けることが可能であり、作業終了時には圧力センサ22を防護管12から取り外せるような構成となっている。
【0015】
音声出力装置42は、告知部の一例を構成し、圧力センサ22からの圧力データに基づいて音声信号の出力制御を行う制御装置44と、制御装置44から供給される音声信号に基づいて音を出力するスピーカ46とを有する。制御装置44およびスピーカ46は、例えば共通した一つの筐体に内蔵され、例えば面ファスナーやねじ等により防護管32(図4参照)に着脱可能に取り付けることができるようになっている。本例において音声出力装置42は、後述する他の配線付防護管装置(図4参照)に取り付けられ、後述する配線20を介して圧力センサ22と電気的に接続される。
【0016】
制御装置44は、全体の動作を制御するCPU(Central Processing Unit)と、動作を制御するプログラムや出力する音データが記憶されたROM(Read-Only Memory)等を有する。音データとしては、例えばブザー(警報)音や注意を喚起する音声が挙げられる。制御装置44は、圧力センサ22から供給される圧力データに基づいてROMから所定の音データを読み出してスピーカ46に出力する。スピーカ46は出力された音声信号に基づいて音を出力する。
【0017】
音声出力装置42は、防護管32の上部後端部に取り付けられ、配線20,40(図3参照)を介して圧力センサ22に接続される。本例では音声出力装置42は、出力される音声が作業者に最も効果的に聞き取れるように、最後尾に設置された配線付防護管装置30に取り付けられる(図6参照)。これにより、作業者は音声出力装置42に最も接近した位置で音声を聴くことができる。なお、音声出力装置42も上述した圧力センサ22と同様に、例えば面ファスナーやねじ等により防護管32に着脱自在に取り付けることができる。
【0018】
配線部28は、防護管12の後部に連結される他の防護管の配線と電気的に接続するための配線20と、配線20を敷設するための敷設部18とを有する。敷設部18は、防護管12の上部に防護管12の長手方向に沿って設けられ、配線20を敷設するための挿通孔18aを有した筒状体から構成される。配線20は、敷設部18の内部に敷設され、配線20の両端部のそれぞれには接続部として機能する例えば図示しないコネクタが設けられる。
【0019】
<配線付防護管装置の構成例>
本実施の形態では、上述した圧力センサ22が設置された防護管装置10は、電柱間に添架された通信線に最初に送り出される防護管であり、2番目以降に電線に送り出される配線付防護管装置30は上述した防護管装置10とは異なる構造を有している。以下に配線付防護管装置30の構成について説明する。
【0020】
図4は、配線付防護管装置30の構成を示す斜視図である。図5(A)は配線付防護管装置30の構成を示す断面図であり、図5(B)は図5(A)に示す配線付防護管装置30のB−B線に沿った断面図である。配線付防護管装置30は、図4および図5に示すように、防護管32と配線部60とを備えている。
【0021】
防護管32は、両端部が開口された細長の円筒状をなし、例えば、可撓性および弾力性を有するポリエチレン等の絶縁材料から構成される。防護管32の長手方向の長さは例えば2〜3mである。防護管32の下部には、その長手方向に沿って防護管32を開閉可能に構成するための割れ目部48が形成される。割れ目部48によって切断された防護管32の周方向の両端部のそれぞれには、下方に突出したフランジ部34,34が設けられる。
【0022】
配線部60は、防護管32の後部に連結される他の防護管の配線と電気的に接続するための配線40と、配線40を敷設するための敷設部38とを有する。敷設部38は、防護管32の上部に防護管32の長手方向に沿って設けられ、配線40を敷設するための挿通孔38aを有した筒状体から構成される。配線40は、敷設部38の内部に敷設され、配線40の両端部のそれぞれには接続部として機能する例えば図示しないコネクタが設けられる。
【0023】
防護管32上面の後端部には、音声出力装置42と配線40とを電気的に接続するための中継用配線58が設けられる。中継用配線58は、一端が配線40に接続され他端が敷設部38を貫通して敷設部38上面に露出するように設けられる。
【0024】
<防護管装置の設置例>
次に、本発明に係る防護管装置10および配線付防護管装置30を通信線72に取り付けた場合の取付例について説明する。図6は、防護管装置10および配線付防護管装置30の取付例を示す図である。図7(A)および図7(B)は、スパイラルハンガー工法により添架された通信線に防護管装置10を設置した例を示す図である。なお、図6では、便宜上通信線72のみ示すが、実際には吊り線およびスパイラルハンガーが添架されているものとする。また、本例では、通信線72が河川等に跨って添架されており、この通信線72の直下で工事を行うことを前提している。
【0025】
図6および図7に示すように、電柱70A,70B間には、スパイラルハンガー工法によって通信線72が添架されている。スパイラルハンガー工法では、電柱70A,70B間に架設された吊り線74に螺旋状のスパイラルハンガー76が巻き付けられ、このスパイラルハンガー76の内側に通信線72が挿通される。スパイラルハンガー76に挿通された通信線72は、スパイラルハンガー76によって支持されて、電柱70A,70B間に添架される。
【0026】
防護管装置10の取付作業時には、まず、作業者は、先端部に圧力センサ22が取り付けられた防護管装置10を、電柱70A側から通信線72に沿わせて電柱70B側に送り出す。続けて、配線付防護管装置30を電柱70A側から通信線72に沿わせて電柱70B側に送り出す。このとき、配線付防護管装置30の先端部の連結部36は防護管装置10の後端部の連結部24に連結されると共に、配線付防護管装置30の配線40と防護管装置10の配線20とが電気的に接続される。
【0027】
以後同様にして、複数本の配線付防護管装置30を続けて送り出し、最後に通信線72に送り出す配線付防護管装置30に上述した音声出力装置42を取り付ける。最後尾の配線付防護管装置30に音声出力装置42を取り付けるのは、出力される音が作業者に最も効果的に聞き取れるようにするためである。音声出力装置42と圧力センサ22とは配線20,40を介して電気的に接続される。なお、通信線72に設置する配線付防護管装置30の本数は、通信線72の保護箇所の長さに応じて適宜設定することができる。
【0028】
<防護管装置の動作例>
次に、本発明に係る防護管装置10の動作について説明する。
防護管装置10を通信線72に沿わせながら送り出すときに、防護管12の挿入ガイド部16がスパイラルハンガー76の例えば上端76a(図7参照)に接触すると、この接触時の圧力が挿入ガイド部16を介して圧力センサ22に伝達される。本例では、挿入ガイド部16が円筒状の防護管12の全周に亘って設けられているため、全方向の接触を検出することができる。
【0029】
防護管装置10の先端部に設置された圧力センサ22は、挿入ガイド部16から伝達される圧力を検出し、検出した圧力データを配線20,40を介して最後尾の配線付防護管装置30に設置された音声出力装置42の制御装置44に供給する。制御装置44は、圧力センサ22から供給された圧力データが予め設定した設定値(閾値)以上か否かを判断する。設定値は、例えば、防護管装置10が通信線72等に接触したときに通信線72等が破損および脱落しないような値に設定される。制御装置44は、圧力データが設定値以上の場合にはスピーカ46に音声信号を供給する。なお、制御装置44は、圧力の強弱に係らず、圧力を検出した場合にスピーカ46に音声信号を供給するように制御しても良い。
【0030】
スピーカ46は、制御装置44から供給された音声信号をアンプ等により増幅してブザー音や音声を出力する。作業者は、スピーカ46から出力されるブザー音等(警報)により、挿入ガイド部16がスパイラルハンガー76に接触したことを認識し、防護管装置10を引き戻したりして調整して再度通信線72に送り出す。
【0031】
以上説明したように、本実施の形態によれば、防護管装置10に圧力センサ22を設けるため、圧力センサ22が設定圧力で警報(ブザー音、音声、光)を発するので、作業者はこの警報に基づいて一旦送出操作を停止し、防護管装置10に圧力がかからないように再度送出させることができる。つまり、作業者の経験則に頼ることなく圧力センサ22による確実な圧力情報に基づいて防護管装置10の接触状態を認識することができる。これにより、通信線72やスパイラルハンガー76等を損傷および脱落させることなく、防護管装置10を確実かつ迅速に通信線72に設置できる。
【0032】
また、2本目以降の配線付防護管装置30には中継用の配線40が敷設されるため、設置箇所が遠方であって複数の配線付防護管装置30を使用する場合でも、先頭の防護管装置10の圧力センサ22の圧力データを最後尾の配線付防護管装置30の音声出力装置42に供給することができる。さらに、本発明に係る防護管装置10を使用することで、スパイラルハンガー76以外の通信線、高圧線、低圧線、FTTHドロップケーブル等の損傷や脱落も防止することができる。
【0033】
さらに、音声出力装置42を最後尾の配線付防護管装置30に取り付けるため、作業者は音声出力装置42に最も接近した位置でブザー音や音声を聴くことができ、迅速な対応が可能となる。
【0034】
[第2の実施の形態]
次に、本実施の形態について図面を参照して説明する。本実施の形態では圧力センサ22と音声出力装置42とが無線により接続されている点において上記第1の実施形態と異なっている。なお、上述した第1実施の形態と共通する防護管装置の構成要素には同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0035】
図8は、本発明の一実施形態に係る防護管装置100の示す斜視図である。図9は、防護管装置100のブロック構成を示す図である。
防護管装置100は、防護管12と、圧力センサ22と、音声出力装置42と、圧力センサ22と音声出力装置42との間で無線通信を行うための送信部50および受信部56とを有する。本例では送信部50は先頭の防護管装置100に着脱可能に設置され、受信部56は最後尾の防護管装置200に着脱可能に設置される。なお、防護管装置200には、従来から一般に使用されているタイプのものが用いられる。この防護管装置200は、円筒状の本体202と本体の割れ目部に設けられたフランジ部204,204とを備えている。
【0036】
送信部50は、圧力センサ22から供給される圧力データを例えば所定の周波数に変調して増幅する。送信部50にはアンテナ52が接続されており、増幅した圧力信号をアンテナ52から送信する。
【0037】
受信部56にはアンテナ54が接続されており、アンテナ54はアンテナ52から送信される圧力信号を受信する。受信部56は、アンテナ54から供給された圧力信号を復調等して音声出力装置42の制御装置44に供給する。制御装置44では、供給された圧力データが上述した設定値の範囲内か否かを判別する。設定値以上と判別した場合には音声信号がスピーカ46に供給され、スピーカ46からブザー音や音声が出力される。
【0038】
なお、受信部56およびアンテナ54は、送信部50と通信可能な範囲内であれば、防護管装置200以外に設置することもできる。例えば、電柱70A上で作業を行っている作業者が所持しても良いし、地上の作業員が所持しても良いし、作業車に設置しても良い。
【0039】
以上説明したように、本実施の形態によれば、圧力センサ22と音声出力装置42とは無線により接続されているため、防護管装置100の配線部28を設ける必要が無くなると共に、2番目以降の防護管には従来からの防護管装置200を用いることができるため、構成の簡易化を図ると共に低コスト化を図ることができる。
【0040】
なお、本発明の技術範囲は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述した実施の形態に種々の変更を加えたものを含む。
【0041】
例えば、作業者に接触を告知する告知部としては、上述した音声出力装置42の他にLED(light-emitting diode)等の発光素子を用いることができる。作業者は、防護管装置10,100が接触したときにLEDから発光される発光光を視認することで、挿入ガイド部16がスパイラルハンガー76に接触したことを認識できる。
【0042】
また、上述した実施の形態では、音声出力装置42を最後尾の配線付防護管装置30、防護管装置200に設置していたが、先頭の防護管装置10,100に圧力センサ22と共に設置しても良い。この場合には、音声が電柱70A側の作業者に視聴できるように、音声出力装置42から出力される音量を大きくすることが好ましい。これにより、一方の防護管装置10,100に圧力センサ22と音声出力装置42とを実装できるため、2本目以降の防護管は一般に市販されているものを用いることができる。その結果、配線部等を設ける必要がなく、低コスト化を図ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明は、スパイラルハンガー工法により添架された通信線に防護管を設置する場合に好適に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の一実施形態に係る防護管装置の構成例を示す斜視図である。
【図2】(A)および(B)は防護管装置の断面の構成例を示す断面図である。
【図3】防護管装置の構成例を示すブロック図である。
【図4】配線付防護管装置の構成例を示す図である。
【図5】(A)および(B)は配線付防護管装置の断面の構成例を示す断面図である。
【図6】防護管装置の設置例を示す図である。
【図7】スパイラルハンガー工法により添架された通信線に防護管装置を設置した例を示す図である。
【図8】本発明の他の実施形態に係る防護管装置の構成例を示す斜視図である。
【図9】防護管装置の構成例を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0045】
10,100,200・・・防護管装置、12・・・防護管、16・・・挿入ガイド部、18・・・敷設部、20・・・配線、22・・・圧力センサ、28・・・配線部、30・・・配線付防護管装置、32・・・防護管、38・・・敷設部、40・・・配線、42・・・音声出力装置、44・・・制御装置、46・・・スピーカ、50・・・送信部、56・・・受信部、60・・・配線部、70・・・電柱、72・・・通信線、74・・・吊り線、76・・・スパイラルハンガー
【技術分野】
【0001】
本発明は通信線を保護するための防護管装置に関する。詳細には、防護管に取り付けられた検出部により防護管が支持具に接触したときに防護管に加えられた圧力を検出し、検出した圧力情報に基づいて防護管が支持具に接触したことを作業者に告知することで、通信線や支持具の損傷や脱落を防止したものである。
【背景技術】
【0002】
電柱間に添架された通信線路下でクレーンやレッカー等の大型機器を使用した作業を行う場合には、機器の接触等による通信線の損傷や切断等を防止するため、これらを防護する防護管を事前に取り付けている(特許文献1参照)。防護管を取り付ける際には、高所作業車を使用して通信線の高さまで上がり、作業者が防護箇所に位置した通信線に直接防護管を取り付けている。しかし、通信線が河川や家屋等を跨いで添架されているときには、高所作業車を使用することができない。このような場合には、一方の電柱から他方の電柱に向かって防護管を通信線に沿わせて目的の防護箇所まで送り出すことで、通信線の防護箇所に防護管を取り付けている。
【0003】
【特許文献1】特開2000−188816号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に開示される防護管を用いた場合、スパイラルハンガー工法を採用して通信線を添架しているような箇所では、電柱から防護箇所へ防護管を通信線に沿わせて送出しようとすると、防護管がスパイラルハンガーやこれを支持する吊り線などに引っ掛かってしまう場合がある。この場合には、スパイラルハンガーを破損および脱落させてしまうおそれがあるので、防護管が引っ掛からない位置まで作業者の経験則に基づいて戻し、再度防護管を目的の取付箇所まで送出するか、または、破損覚悟で防護管をさらに押し出すことで通信線に取り付けている。
【0005】
一方、通信線路下の作業時に通信線に防護管を取り付けないで作業を行う方法もある。この方法は、通信線にケプラーロープで危険標示を取り付けて、通信路下でのレッカー等の作業車へ注意を喚起するものである。しかし、危険標示の場合には、通信線を直接防護していないので、レッカー等の機器が接触した際、通信線を破損させてしまうおそれがある。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するものであり、防護管を通信線に取り付ける際に、スパイラルハンガーや通信線の損傷や脱落の防止を図ることが可能な防護管装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る防護管装置は、上記課題を解決するために、電柱に添架された通信線およびこれを支持する支持具を保護するための防護管装置であって、通信線および支持具を被覆する筒状をなす防護管と、防護管に着脱可能に取り付けられ、防護管が通信線または支持具に接触したときに防護管に加えられた圧力を検出する検出部と、検出部に接続され、検出部により供給された圧力情報に基づいて防護管が通信線または支持具に接触したことを告知する告知部とを備えるものである。
【0008】
本発明の防護管装置を通信線に設置する場合には、一方の電柱から防護管装置を通信線に沿わせて他方の電柱に向かって送り出す。本発明の防護管装置では、防護管の先端開口端縁部が支持具に接触したとき、防護管に取り付けられた検出部によって防護管に加えられた圧力を検出する。検出された圧力情報は、検出部に接続された告知部に出力される。告知部では、この圧力情報に基づいて防護管が支持具に接触したことを作業者に告知する。告知部は、例えば音を出力するスピーカや光を発光する発光ダイオードによって構成され、防護管が支持具に接触したことを音や光により作業者に知らせる。作業者は、告知部による告知により、支持具等を破損および脱落させるまで力を加えることなく、防護箇所へ防護管を送出設置することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、防護管が支持具等に接触したときの圧力を検出する検出部と、この検出部により検出された圧力情報に基づいて防護管が支持具等に接触したことを告知する告知部とを備えるため、通信線等を損傷および脱落させることなく、防護管装置を設置することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
[第1の実施の形態]
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
<防護管装置の構成例>
図1は、本発明に係る防護管装置10の構成を示す図である。図2(A)は防護管装置10の構成を示す断面図であり、図2(B)は図2(A)に示す防護管装置10のA−A線に沿った断面図である。図3は、防護管装置10のブロック構成を示す図である。
【0011】
防護管装置10は、図1〜図3に示すように、図示しない通信線を被覆する防護管12と、防護管12に加えられた圧力を検出する圧力センサ22と、防護管12が通信線や支持具に接触したことを告知する音声出力装置42と、圧力センサ22と音声出力装置42とを電気的に接続する配線部28とを備えている。
【0012】
防護管12は、両端部が開口された細長の円筒状をなし、例えば、可撓性および弾力性を有するポリエチレン等の絶縁材料から構成される。防護管12の長手方向の長さは例えば2〜3mである。防護管12の下部には、その長手方向に沿って防護管12を開閉可能に構成するための割れ目部26が形成される。割れ目部26によって切断された防護管12の周方向の両端部のそれぞれには、下方に突出したフランジ部14,14が設けられる。
【0013】
防護管12の先端部には、後述するスパイラルハンガー等を防護管装置10の開口端縁部に引っ掛からないようにして防護管12内に挿通させるための挿入ガイド部16が設けられる。挿入ガイド部16は、平面視リング状をなすと共にその開口部が防護管12の開口径の大きさから徐々に大きくなるような断面略ラッパ形状をなす。この挿入ガイド部16は、上述した防護管12と同様に、可撓性および弾力性を有するポリエチレン等の材料からなり、後述するスパイラルハンガー76等に接触したときの衝撃(圧力)を吸収し、圧力センサ22に圧力を伝達できるように構成される。
【0014】
圧力センサ22は、検出部の一例を構成し、防護管12の先端外周面であって挿入ガイド部16の上部背面側に、挿入ガイド部16と接触するようにして取り付けられる。圧力センサ22は、挿入ガイド部16がスパイラルハンガー76に接触したときの挿入ガイド部16に加えられる圧力を検出するものである。この圧力センサ22は、例えば面ファスナーやねじ等の連結部材により防護管12に着脱自在に取り付けることが可能であり、作業終了時には圧力センサ22を防護管12から取り外せるような構成となっている。
【0015】
音声出力装置42は、告知部の一例を構成し、圧力センサ22からの圧力データに基づいて音声信号の出力制御を行う制御装置44と、制御装置44から供給される音声信号に基づいて音を出力するスピーカ46とを有する。制御装置44およびスピーカ46は、例えば共通した一つの筐体に内蔵され、例えば面ファスナーやねじ等により防護管32(図4参照)に着脱可能に取り付けることができるようになっている。本例において音声出力装置42は、後述する他の配線付防護管装置(図4参照)に取り付けられ、後述する配線20を介して圧力センサ22と電気的に接続される。
【0016】
制御装置44は、全体の動作を制御するCPU(Central Processing Unit)と、動作を制御するプログラムや出力する音データが記憶されたROM(Read-Only Memory)等を有する。音データとしては、例えばブザー(警報)音や注意を喚起する音声が挙げられる。制御装置44は、圧力センサ22から供給される圧力データに基づいてROMから所定の音データを読み出してスピーカ46に出力する。スピーカ46は出力された音声信号に基づいて音を出力する。
【0017】
音声出力装置42は、防護管32の上部後端部に取り付けられ、配線20,40(図3参照)を介して圧力センサ22に接続される。本例では音声出力装置42は、出力される音声が作業者に最も効果的に聞き取れるように、最後尾に設置された配線付防護管装置30に取り付けられる(図6参照)。これにより、作業者は音声出力装置42に最も接近した位置で音声を聴くことができる。なお、音声出力装置42も上述した圧力センサ22と同様に、例えば面ファスナーやねじ等により防護管32に着脱自在に取り付けることができる。
【0018】
配線部28は、防護管12の後部に連結される他の防護管の配線と電気的に接続するための配線20と、配線20を敷設するための敷設部18とを有する。敷設部18は、防護管12の上部に防護管12の長手方向に沿って設けられ、配線20を敷設するための挿通孔18aを有した筒状体から構成される。配線20は、敷設部18の内部に敷設され、配線20の両端部のそれぞれには接続部として機能する例えば図示しないコネクタが設けられる。
【0019】
<配線付防護管装置の構成例>
本実施の形態では、上述した圧力センサ22が設置された防護管装置10は、電柱間に添架された通信線に最初に送り出される防護管であり、2番目以降に電線に送り出される配線付防護管装置30は上述した防護管装置10とは異なる構造を有している。以下に配線付防護管装置30の構成について説明する。
【0020】
図4は、配線付防護管装置30の構成を示す斜視図である。図5(A)は配線付防護管装置30の構成を示す断面図であり、図5(B)は図5(A)に示す配線付防護管装置30のB−B線に沿った断面図である。配線付防護管装置30は、図4および図5に示すように、防護管32と配線部60とを備えている。
【0021】
防護管32は、両端部が開口された細長の円筒状をなし、例えば、可撓性および弾力性を有するポリエチレン等の絶縁材料から構成される。防護管32の長手方向の長さは例えば2〜3mである。防護管32の下部には、その長手方向に沿って防護管32を開閉可能に構成するための割れ目部48が形成される。割れ目部48によって切断された防護管32の周方向の両端部のそれぞれには、下方に突出したフランジ部34,34が設けられる。
【0022】
配線部60は、防護管32の後部に連結される他の防護管の配線と電気的に接続するための配線40と、配線40を敷設するための敷設部38とを有する。敷設部38は、防護管32の上部に防護管32の長手方向に沿って設けられ、配線40を敷設するための挿通孔38aを有した筒状体から構成される。配線40は、敷設部38の内部に敷設され、配線40の両端部のそれぞれには接続部として機能する例えば図示しないコネクタが設けられる。
【0023】
防護管32上面の後端部には、音声出力装置42と配線40とを電気的に接続するための中継用配線58が設けられる。中継用配線58は、一端が配線40に接続され他端が敷設部38を貫通して敷設部38上面に露出するように設けられる。
【0024】
<防護管装置の設置例>
次に、本発明に係る防護管装置10および配線付防護管装置30を通信線72に取り付けた場合の取付例について説明する。図6は、防護管装置10および配線付防護管装置30の取付例を示す図である。図7(A)および図7(B)は、スパイラルハンガー工法により添架された通信線に防護管装置10を設置した例を示す図である。なお、図6では、便宜上通信線72のみ示すが、実際には吊り線およびスパイラルハンガーが添架されているものとする。また、本例では、通信線72が河川等に跨って添架されており、この通信線72の直下で工事を行うことを前提している。
【0025】
図6および図7に示すように、電柱70A,70B間には、スパイラルハンガー工法によって通信線72が添架されている。スパイラルハンガー工法では、電柱70A,70B間に架設された吊り線74に螺旋状のスパイラルハンガー76が巻き付けられ、このスパイラルハンガー76の内側に通信線72が挿通される。スパイラルハンガー76に挿通された通信線72は、スパイラルハンガー76によって支持されて、電柱70A,70B間に添架される。
【0026】
防護管装置10の取付作業時には、まず、作業者は、先端部に圧力センサ22が取り付けられた防護管装置10を、電柱70A側から通信線72に沿わせて電柱70B側に送り出す。続けて、配線付防護管装置30を電柱70A側から通信線72に沿わせて電柱70B側に送り出す。このとき、配線付防護管装置30の先端部の連結部36は防護管装置10の後端部の連結部24に連結されると共に、配線付防護管装置30の配線40と防護管装置10の配線20とが電気的に接続される。
【0027】
以後同様にして、複数本の配線付防護管装置30を続けて送り出し、最後に通信線72に送り出す配線付防護管装置30に上述した音声出力装置42を取り付ける。最後尾の配線付防護管装置30に音声出力装置42を取り付けるのは、出力される音が作業者に最も効果的に聞き取れるようにするためである。音声出力装置42と圧力センサ22とは配線20,40を介して電気的に接続される。なお、通信線72に設置する配線付防護管装置30の本数は、通信線72の保護箇所の長さに応じて適宜設定することができる。
【0028】
<防護管装置の動作例>
次に、本発明に係る防護管装置10の動作について説明する。
防護管装置10を通信線72に沿わせながら送り出すときに、防護管12の挿入ガイド部16がスパイラルハンガー76の例えば上端76a(図7参照)に接触すると、この接触時の圧力が挿入ガイド部16を介して圧力センサ22に伝達される。本例では、挿入ガイド部16が円筒状の防護管12の全周に亘って設けられているため、全方向の接触を検出することができる。
【0029】
防護管装置10の先端部に設置された圧力センサ22は、挿入ガイド部16から伝達される圧力を検出し、検出した圧力データを配線20,40を介して最後尾の配線付防護管装置30に設置された音声出力装置42の制御装置44に供給する。制御装置44は、圧力センサ22から供給された圧力データが予め設定した設定値(閾値)以上か否かを判断する。設定値は、例えば、防護管装置10が通信線72等に接触したときに通信線72等が破損および脱落しないような値に設定される。制御装置44は、圧力データが設定値以上の場合にはスピーカ46に音声信号を供給する。なお、制御装置44は、圧力の強弱に係らず、圧力を検出した場合にスピーカ46に音声信号を供給するように制御しても良い。
【0030】
スピーカ46は、制御装置44から供給された音声信号をアンプ等により増幅してブザー音や音声を出力する。作業者は、スピーカ46から出力されるブザー音等(警報)により、挿入ガイド部16がスパイラルハンガー76に接触したことを認識し、防護管装置10を引き戻したりして調整して再度通信線72に送り出す。
【0031】
以上説明したように、本実施の形態によれば、防護管装置10に圧力センサ22を設けるため、圧力センサ22が設定圧力で警報(ブザー音、音声、光)を発するので、作業者はこの警報に基づいて一旦送出操作を停止し、防護管装置10に圧力がかからないように再度送出させることができる。つまり、作業者の経験則に頼ることなく圧力センサ22による確実な圧力情報に基づいて防護管装置10の接触状態を認識することができる。これにより、通信線72やスパイラルハンガー76等を損傷および脱落させることなく、防護管装置10を確実かつ迅速に通信線72に設置できる。
【0032】
また、2本目以降の配線付防護管装置30には中継用の配線40が敷設されるため、設置箇所が遠方であって複数の配線付防護管装置30を使用する場合でも、先頭の防護管装置10の圧力センサ22の圧力データを最後尾の配線付防護管装置30の音声出力装置42に供給することができる。さらに、本発明に係る防護管装置10を使用することで、スパイラルハンガー76以外の通信線、高圧線、低圧線、FTTHドロップケーブル等の損傷や脱落も防止することができる。
【0033】
さらに、音声出力装置42を最後尾の配線付防護管装置30に取り付けるため、作業者は音声出力装置42に最も接近した位置でブザー音や音声を聴くことができ、迅速な対応が可能となる。
【0034】
[第2の実施の形態]
次に、本実施の形態について図面を参照して説明する。本実施の形態では圧力センサ22と音声出力装置42とが無線により接続されている点において上記第1の実施形態と異なっている。なお、上述した第1実施の形態と共通する防護管装置の構成要素には同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0035】
図8は、本発明の一実施形態に係る防護管装置100の示す斜視図である。図9は、防護管装置100のブロック構成を示す図である。
防護管装置100は、防護管12と、圧力センサ22と、音声出力装置42と、圧力センサ22と音声出力装置42との間で無線通信を行うための送信部50および受信部56とを有する。本例では送信部50は先頭の防護管装置100に着脱可能に設置され、受信部56は最後尾の防護管装置200に着脱可能に設置される。なお、防護管装置200には、従来から一般に使用されているタイプのものが用いられる。この防護管装置200は、円筒状の本体202と本体の割れ目部に設けられたフランジ部204,204とを備えている。
【0036】
送信部50は、圧力センサ22から供給される圧力データを例えば所定の周波数に変調して増幅する。送信部50にはアンテナ52が接続されており、増幅した圧力信号をアンテナ52から送信する。
【0037】
受信部56にはアンテナ54が接続されており、アンテナ54はアンテナ52から送信される圧力信号を受信する。受信部56は、アンテナ54から供給された圧力信号を復調等して音声出力装置42の制御装置44に供給する。制御装置44では、供給された圧力データが上述した設定値の範囲内か否かを判別する。設定値以上と判別した場合には音声信号がスピーカ46に供給され、スピーカ46からブザー音や音声が出力される。
【0038】
なお、受信部56およびアンテナ54は、送信部50と通信可能な範囲内であれば、防護管装置200以外に設置することもできる。例えば、電柱70A上で作業を行っている作業者が所持しても良いし、地上の作業員が所持しても良いし、作業車に設置しても良い。
【0039】
以上説明したように、本実施の形態によれば、圧力センサ22と音声出力装置42とは無線により接続されているため、防護管装置100の配線部28を設ける必要が無くなると共に、2番目以降の防護管には従来からの防護管装置200を用いることができるため、構成の簡易化を図ると共に低コスト化を図ることができる。
【0040】
なお、本発明の技術範囲は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述した実施の形態に種々の変更を加えたものを含む。
【0041】
例えば、作業者に接触を告知する告知部としては、上述した音声出力装置42の他にLED(light-emitting diode)等の発光素子を用いることができる。作業者は、防護管装置10,100が接触したときにLEDから発光される発光光を視認することで、挿入ガイド部16がスパイラルハンガー76に接触したことを認識できる。
【0042】
また、上述した実施の形態では、音声出力装置42を最後尾の配線付防護管装置30、防護管装置200に設置していたが、先頭の防護管装置10,100に圧力センサ22と共に設置しても良い。この場合には、音声が電柱70A側の作業者に視聴できるように、音声出力装置42から出力される音量を大きくすることが好ましい。これにより、一方の防護管装置10,100に圧力センサ22と音声出力装置42とを実装できるため、2本目以降の防護管は一般に市販されているものを用いることができる。その結果、配線部等を設ける必要がなく、低コスト化を図ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明は、スパイラルハンガー工法により添架された通信線に防護管を設置する場合に好適に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の一実施形態に係る防護管装置の構成例を示す斜視図である。
【図2】(A)および(B)は防護管装置の断面の構成例を示す断面図である。
【図3】防護管装置の構成例を示すブロック図である。
【図4】配線付防護管装置の構成例を示す図である。
【図5】(A)および(B)は配線付防護管装置の断面の構成例を示す断面図である。
【図6】防護管装置の設置例を示す図である。
【図7】スパイラルハンガー工法により添架された通信線に防護管装置を設置した例を示す図である。
【図8】本発明の他の実施形態に係る防護管装置の構成例を示す斜視図である。
【図9】防護管装置の構成例を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0045】
10,100,200・・・防護管装置、12・・・防護管、16・・・挿入ガイド部、18・・・敷設部、20・・・配線、22・・・圧力センサ、28・・・配線部、30・・・配線付防護管装置、32・・・防護管、38・・・敷設部、40・・・配線、42・・・音声出力装置、44・・・制御装置、46・・・スピーカ、50・・・送信部、56・・・受信部、60・・・配線部、70・・・電柱、72・・・通信線、74・・・吊り線、76・・・スパイラルハンガー
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電柱に添架された通信線およびこれを支持する支持具を保護するための防護管装置であって、
前記通信線および前記支持具を被覆する筒状をなす防護管と、
前記防護管に着脱可能に取り付けられ、当該防護管が前記通信線または前記支持具に接触したときに前記防護管に加えられた圧力を検出する検出部と、
前記検出部に接続され、当該検出部により供給された圧力情報に基づいて前記防護管が前記通信線または前記支持具に接触したことを告知する告知部と
を備えることを特徴とする防護管装置。
【請求項2】
前記防護管の先端部に取り付けられ、前記通信線および支持具に前記防護管を前記防護管内部に導くためのガイド部をさらに備え、
前記検出部は前記ガイド部に接触して設けられた
ことを特徴とする請求項1に記載の防護管装置。
【請求項3】
前記検出部により検出された前記圧力情報を送信する送信部と、
前記送信部により送信された前記圧力情報を受信し、当該圧力情報を前記告知部に出力する受信部とをさらに備えた
ことを特徴とする請求項1に記載の防護管装置。
【請求項4】
前記防護管を先頭として、当該防護管に他の防護管が連結され、
前記検出部は先頭に位置する前記防護管に取り付けられ、前記告知部は前記他の防護管に取り付けられ、
前記検出部と前記告知部とは、前記防護管および前記他の防護管のそれぞれに設けられた配線部によって電気的に接続される
ことを特徴とする請求項1に記載の防護管装置。
【請求項5】
前記告知部は、音声を出力するスピーカまたは光を発光する発光ダイオードである
ことを特徴とする請求項1に記載の防護管装置。
【請求項1】
電柱に添架された通信線およびこれを支持する支持具を保護するための防護管装置であって、
前記通信線および前記支持具を被覆する筒状をなす防護管と、
前記防護管に着脱可能に取り付けられ、当該防護管が前記通信線または前記支持具に接触したときに前記防護管に加えられた圧力を検出する検出部と、
前記検出部に接続され、当該検出部により供給された圧力情報に基づいて前記防護管が前記通信線または前記支持具に接触したことを告知する告知部と
を備えることを特徴とする防護管装置。
【請求項2】
前記防護管の先端部に取り付けられ、前記通信線および支持具に前記防護管を前記防護管内部に導くためのガイド部をさらに備え、
前記検出部は前記ガイド部に接触して設けられた
ことを特徴とする請求項1に記載の防護管装置。
【請求項3】
前記検出部により検出された前記圧力情報を送信する送信部と、
前記送信部により送信された前記圧力情報を受信し、当該圧力情報を前記告知部に出力する受信部とをさらに備えた
ことを特徴とする請求項1に記載の防護管装置。
【請求項4】
前記防護管を先頭として、当該防護管に他の防護管が連結され、
前記検出部は先頭に位置する前記防護管に取り付けられ、前記告知部は前記他の防護管に取り付けられ、
前記検出部と前記告知部とは、前記防護管および前記他の防護管のそれぞれに設けられた配線部によって電気的に接続される
ことを特徴とする請求項1に記載の防護管装置。
【請求項5】
前記告知部は、音声を出力するスピーカまたは光を発光する発光ダイオードである
ことを特徴とする請求項1に記載の防護管装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【公開番号】特開2009−183052(P2009−183052A)
【公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−19272(P2008−19272)
【出願日】平成20年1月30日(2008.1.30)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年1月30日(2008.1.30)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【Fターム(参考)】
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