説明

防音間仕切りボックス

【課題】 間仕切り装置の据付け工事等の建築内装工事を行うに際して、発生する騒音を抑えて平日の昼間の工事が可能な防音間仕切りボックスの提供。
【解決手段】 防音間仕切りボックスは複数枚の間仕切り吸音パネル1,1・・をポール4,4・・を介して連結することで側壁部を構成し、又天井部も間仕切り吸音パネル1,1・・を連結した構造とし、そして側壁部には入口の周囲に気密材15を設けてドア2を取付け、上記間仕切り吸音パネル1は充填材の両面に表面材5a,5bを貼着した構造とし、内表面材5aのほぼ全域に複数の小さい穴を貫通し、そして上記充填材は複数の空間に仕切った一定厚さのハニカムコア6a,6b,6cを積層した構造とし、ハニカムコアの間には複数の小さい穴18,18・・を設けた薄いシート7a,7bを介在し、一方、外表面材5bには穴を設けないで全域遮音領域としたことを特徴とする防音間仕切りボックス。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は間仕切り装置の据付け工事やその他の建築内装工事を行うに際して発生する騒音を抑制する為に屋内に設置される防音間仕切りボックスに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年の建物は1フロアーがオープン状態で構築され、この大きな建物のフロアー内部の空間を所定の大きさに仕切る為に色々な間仕切り装置が据え付けられる。すなわち、間仕切り装置は建物本体から切り離して後で据え付けることが出来、部屋の大きさを自由に設定・変更することが可能であることから、近年では各部屋(オフィス空間)を間仕切り装置にて仕切る場合が多い。
【0003】
又、間仕切り装置にて仕切られた比較的大きなオフィス空間内で、個別の小さな空間を形成する為に背丈の低いパネルで構成されるローパーティションなるものも多用されている。さらに、上記間仕切り装置とは別に石こうボードと軽量鉄骨で構成される壁にて空間を仕切る場合もある。
【0004】
ところで、上記間仕切り装置を据え付ける場合、一般に間仕切りパネル、スタッド(ポール)、床レール、天井レールなどの各部材が用いられ、床レールは床面に固定され、天井レールは天井面に固定され、間仕切りパネルは床レールと天井レールの間に据付けられる。
【0005】
図9は一般的な間仕切り装置を表しているが、床レール(イ)の所々にはアジャスター(ロ)、(ロ)・・を配置すると共に、該アジャスター(ロ)、(ロ)・・に載って所定の高さに支持される巾木(ハ)に間仕切りパネル(ニ)が載置されている。そして、間仕切りパネル(ニ)の上端は天井レール(ホ)に嵌って位置決めされ、各間仕切りパネル(ニ)、(ニ)・・の間にはスタッド(ヘ)が介在して互いに連結している。
【0006】
このように構成される間仕切り装置によってオフィス空間が仕切られるが、オフィスの大きさ(広さ)を後で変更する場合もあり、このような場合には既存の間仕切り装置を撤去して新たな間仕切り装置を据え付けることで別のオフィス空間を作ることが可能である。すなわち、間仕切り装置は建物本体を改造することなく、オフィス空間を自由に変更出来るように成っている。
【0007】
ところで、既存の間仕切り装置を撤去して新たな間仕切り装置を据え付ける場合、オフィス空間の仕様に応じて間仕切りパネル、床レール、天井レール、スタッドなどを所定の寸法に切断加工し、又これら各部材を所定の場所にビス止めしなければならない。個々の部材は工場で製造されるが、間仕切り装置の据付け作業は現場作業となり、この際に発生する騒音は非常に大きなものとなる。
【0008】
従来では、間仕切り装置の据付け工事に際しての騒音は付きものであり、致し方ないといった考えが現実である。そこで、従来では建物の同一階及び上下階の迷惑にならないように、オフィス空間での間仕切り装置の据付けは休日工事が主であり、又は夜間工事を行っている。従って、施工業者に対しても過酷な労働を強いることになり、このような時間帯を利用して工事することから、工期も長くなる。勿論、内装工事は間仕切りだけでなく、建物の天井、壁、床などの一般的な工事も同じように大きな騒音を伴う。
【0009】
特開2007−334168号に係る「防音ボックス」は、組立及び解体が容易となされ、且つ強度が高められた防音ボックスである。この防音ボックスは側壁部の上下方向が一体のパネル体を用いて形成されていることで、パネル体を積み重ねる等の作業が必要とならず左右に連結手段を用いて連結するのみで側壁部を形成し、最後に覆蓋部を設けることで容易に防音ボックスの組立が可能となり、逆の手順により解体も容易となされるが、パネル体の上下方向全体に亘って補強部が設けられていることで強度が高められ、風圧や軽微な衝突に対して対抗でき得る強度を有している。
【0010】
ところで、この防音ボックスは風圧に耐え得る強度を備えているもので、屋外に設置して使用されるのが常である。従って、該防音ボックス内部で削岩機や地固め機などを使用する場合、発生する騒音は側壁部及び覆蓋部によって外部への伝播がある程度抑制される。本発明が対象とする防音ボックスとは、屋外に設置して使用するものではなく、あくまでも屋内に設置される。
【0011】
屋外に設置して使用される上記特開2007−334168号に係る「防音ボックス」は、それなりの効果を得ることが出来るであろうが、この防音ボックスは出願人が従来から製造・販売しているブースの構造と基本的には同じ構造であり、屋内で使用する場合には目的とする所期の効果を得ることは出来ない。あくまでも屋外の建設現場に設置するものであり、間仕切り装置の据付け作業時の騒音に比較して、削岩機や地固め機などの建設機械から発する騒音は非常に大きいことから、一般的な複数枚のパネル体で構成される側壁部及び覆蓋部に僅かな隙間があってもそれなりの防音効果が得られる。
【特許文献1】特開2007−334168号に係る「防音ボックス」
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
このように、屋外に設置される防音ボックスなるものは存在しているが、屋内に設置して同一階及び上下階の迷惑にならないようにする防音ボックスとしては要を足さない。すなわち、普通の間仕切りパネルを据付けて構成する単なるブースでは、気密性に欠けて僅かな隙間から音が漏れ、又間仕切りパネル自体に吸音機能が備わっている訳ではなく、あるレベルの騒音は漏れてしまう。本発明が求める騒音のレベルは従来の屋外設置の防音ボックスとは格段に異なる。本発明が解決しようとする課題はこの問題点であり、建物の内部に設置して同一フロアーにて仕事しても気にならない程度の防音効果のある防音間仕切りボックスを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
間仕切り装置を据付ける場合や建物の壁、天井、床などを施工する場合には最大100dB程度の騒音が発生する。この100dBとは電車が通過する際のガード下の騒音に匹敵する大きさであり、建物の同一階及び上下階の迷惑にならないように、従来では休日工事や夜間工事を行っている。そこで、本発明では、建物の壁や天井の下地となる軽量鉄骨、又は間仕切り装置を構成する床レールや天井レールなどの各部材の現場加工を防音間仕切りボックス内で行い、この際に発生する騒音が防音間仕切りボックスから漏れにくい構造としている。
【0014】
本発明に係る防音間仕切りボックスは、複数枚のパネルを据付けることで側壁部及び天井部を構成し、側壁部の一部には開閉する出入り口用ドアを取付け、又ガラス窓を備えている。ただし、ドアの隙間から音が漏れないように気密材を取付け、外からの明かりを取り入れる為に窓を設け、しかも該窓は遮音性のある構造としている。又、必要に応じて換気扇を装着するが、換気口には防音フードを設けて音が漏れない構造と成っている。
【0015】
そして、ボックスの側壁部及び天井部を構成するパネルは騒音を吸収する吸音パネルが使用される。吸音パネルの基本構造は充填材の両面に表面材を貼着したものであって、内側の表面材には複数の小さな穴を貫通し、内部の充填材としては小さい空間で仕切られるハニカムコアが用いられ、しかも複数枚が積層した状態で構成している。しかも、各ハニカムコアの間には複数の穴を形成している薄いシートを介在している。すなわち、充填材はハニカムコアとシートが交互に積層した構造と成っている。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る防音間仕切りボックスは建物の屋内現場に組立て設置され、この防音間仕切りボックス内で各部材の加工を行うことが出来る。最も大きな騒音を発する切断加工では約100dBに達するが、防音間仕切りボックスの外では約60dBまで低下する。60dBの騒音とは通常のオフィスと同じ程度であり、何ら騒音が気になることはない。又、防音間仕切りボックスは騒音を遮断するだけでなく、切断加工などに伴って発生するホコリやチリが建物内へ飛散することを防止することが出来る。
【0017】
上記間仕切り吸音パネルは、表面材に複数の小さな穴を設けている為に、ボックス内部で作業に伴う騒音が発生した場合、該騒音はパネルの穴を通過して内部へ進入し、内部の充填材にて吸収される。すなわち、パネル内部の充填材はハニカムコアにて構成され、該ハニカムコアの仕切られた空間内へ騒音が進入して減衰する。又、充填材としてのハニカムコアは複数層で構成されると共に、間には細かい穴を貫通した薄いシートが介在している。
【0018】
従って、表面材の小さな穴から進入した騒音の一部はハニカムコアの仕切り空間にて吸収されるが、他の一部はシートの穴を通過して積層されている隣のハニカムコアの仕切り空間へ進入する。そして、この仕切り空間内で吸収される。さらに、吸収されなかった騒音の一部はシートの穴を通過して、後方に積層しているハニカムコアの仕切り空間へ進入する。しかし、対向する反対側の表面材(ボックス外側の表面材)には穴が貫通していない為に、外へ漏れる音は小さくなる。
【0019】
このように、間仕切り装置の据付け工事やその他の建築内装工事で大きな騒音が発生しない為に、従来のような休日工事や夜間工事を行う必要はなく、平日の昼間に工事を行うことが可能となる。その結果、作業労働者にとっては楽な仕事環境となり、工事期間も短縮される。そして、本発明の防音間仕切りボックスは、パネルを組立てて構成したものであり、工事が完了した折には簡単に解体することが出来、又別の現場へ搬送して組立てることで再利用が可能である。さらに、ポールを介して間仕切りパネルを連結する構造である為に、現場によってその大きさ(広さ)は自由に調整可能となる。
【実施例】
【0020】
間仕切り装置の据付け工事やその他の建築内装工事を行うに際して、大きな騒音が出ても何ら問題とならない場合もあり、必ずしも本発明に係る防音間仕切りボックス内で切断加工などの作業を行う必要のないこともある。しかし、同一階又は上下階に既にオフィスが存在している場合には、大きな騒音を抑制する為に本発明の防音間仕切りボックスが必要となる。
【0021】
図1は間仕切り装置などの建築内装用の各部材を加工する為の防音間仕切りボックスの外観を示す本発明の具体例である。ここで、建築内装とは間仕切り装置も含めた概念であり、主として建物の壁、天井、床を対象とするが、その形態及び構造を限定するものではない。又、間仕切り装置の場合にはローパーティション、トイレブース、移動間仕切りも広義の間仕切り装置として対象とする。
【0022】
ところで、本発明の防音間仕切りボックスは複数枚の間仕切り吸音パネル1,1・・が組み立てられた構造と成っており、そして、少なくとも側壁部の一箇所には出入口用のドア2が取付けられている。天井も間仕切り吸音パネル1,1・・が配置された構造である。又、側壁部には窓3が設けられ、外からの明かりを取り入れることが出来る。そして、必要に応じて、ドア2にも窓3を設けることが出来る。
【0023】
本発明では、この防音間仕切りボックス内で建物の壁や天井などの下地となる軽量鉄骨、間仕切り装置の床レール及び天井レール、又その他の部材を所定の長さに切断する。この防音間仕切りボックスは外へ騒音が漏れにくいように、間仕切り吸音パネル1,1・・は、内部で発生した騒音を吸収することが出来る機能を備えている。部材を切断する際に発生する騒音は約100dBであるが、該間仕切り吸音パネル1,1・・に吸収されて、外へ漏れる音は小さくなる。勿論、騒音の漏れ防止だけでなく、チリやホコリが防音間仕切りボックスの外へ飛散することもない。
【0024】
図2は上記防音間仕切りボックスの横断面の一部を、図3は縦断面の一部を夫々表している。各間仕切り吸音パネル1,1・・の間にはポール4,4・・が介在して互いに連結して側壁部を構成している。ここで、上記間仕切り吸音パネル1,1・・の連結構造は同図に示す場合に限らず、他の方向にて連結することもある。そして、間仕切り吸音パネル1は内表面材5aと外表面材5bの間に充填材としてハニカムコア6a,6b,6cを積層し、各ハニカムコア6a,6b,6cの間には薄いシート7a,7bが介在して挟み込んだ構造と成っている。そして、内表面材5aには多数の小さい穴が貫通して設けられている。又、シート7a,7bにも多数の小さな穴が設けられている。
【0025】
又、図3の縦断面図に示すように、間仕切り吸音パネル1はアジャスター8にて適当な高さに支持され、間仕切り吸音パネル1の下端部には巾木9,9がマグネット10,10・・を介して取付けられ、巾木9の上端にはシール11aが沿設してパネル面12に隙間がないように密着している。同じく下端にはシール11bが沿設して床面13に密着し、隙間14を塞いでいる。図4はドア2が取付けられている箇所の縦断面であり、該ドア2を閉めたときに隙間が生じないように気密材15を入口の周囲に取付けている。
【0026】
ところで、本発明に係る防音間仕切りボックスの側壁部及び天井部を構成している間仕切り吸音パネル1は内部で行われる作業に際して発生する騒音を吸音する機能を備えている。図5は間仕切り吸音パネル1の断面を示している具体例である。同図の5aは内表面材、5bは外表面材であって、内外表面材5a,5bの間には3枚のハニカムコア6a,6b,6cが積層されている。そして、各ハニカムコア6a,6bの間には薄いシート7aが介在し、同じくハニカムコア6b,6cの間にも薄いシート7bが介在している。ここで、上記薄いシート7a,7bとしては、例えばアルミ箔や樹脂フイルムが使用される。
【0027】
上記ハニカムコア6a,6b,6cとは一定厚さの紙製又は金属製や樹脂製の構造体であり、複数の小さな仕切られた空間16a,16a・・・、16b,16b・・・、16c、16c・・・を形成している。そして、この空間16aは隣の空間16aと側壁17aにて仕切られているだけで、両面側は開口した貫通穴と成っている。従って、ハニカムコア6a,6b間にシート7aを介在することで、この貫通穴は閉じられるが、該シート7aには小さい穴18,18・・が設けられている。本発明では充填材としての上記ハニカムコア6は広義に解釈し、側壁17にて仕切られる空間16を形成しているものであれば、充填材として使用することが出来る。空間16の形状は特に限定しない。
【0028】
ところで、間仕切り吸音パネル1,1・・によって仕切られる防音ボックス内で騒音が発生した場合、その音波は周囲に拡散し、その一部は間仕切り吸音パネル1,1・・に当る。そして、該間仕切り吸音パネル1に当った音波は同図に示すように、内表面材5aに形成している小さな穴19を通過してハニカムコア6aの空間16aに進入する。この空間16aは内表面材5aの小さい穴19とシート7aに設けている小さい穴18があるのみで、該空間16aに進入した音波はハニカムコア6aの側壁17aを振動させてエネルギーを消耗し、直ちに減衰する。
【0029】
しかし、シート7aに設けた小さい穴18からは減衰しない一部の音波が通過し、積層されている隣のハニカムコア6bの空間16bへ進入する。そして、上記空間16aの場合と同じように、空間16bの側壁17bを振動させて減衰する。さらに、減衰しない音波はハニカムコア6cの空間16cへ進入する。ハニカムコア6cは外表面材5bにて閉じられている為に、防音ボックスの外へ漏れる音は小さくなる。
【0030】
このように、本発明の防音ボックスは間仕切り吸音パネル1,1・・にて構成され、この間仕切り吸音パネル1当った音波は穴19,19・・・から内部のハニカムコア6a,6b,6cの仕切り空間16a,16b,16cに進入して減衰することが出来る。そして、外側に貼着している外表面材5bは穴19,19・・を設けていない遮音領域と成っているために、防音ボックス外へ漏れる音は小さくなる。
【0031】
このように、本発明では簡単に組み立てることが出来る防音間仕切りボックスを現場に据付け、この防音間仕切りボックス内で間仕切り装置の各部材や建築内装用部材を加工する。例えば、間仕切りパネル、床レール、天井レール、スタッド、さらには建物の壁や天井を構成する石こうボード、そして石こうボードを取付ける為の下地材となる軽量鉄骨を所定の寸法に切断しなければならない。又、必要な箇所に穴及びネジ穴、更には溝などの加工を行うことが必要である。
【0032】
ここで、最も大きな騒音を発生する加工が切断加工であり、約100dBの大きさとなる。これは電車が通過する際のガード下の騒音に匹敵し、この騒音が周囲に拡散するならば、建物の同一階及び上下階に迷惑をかけることになる。
【0033】
しかし、本発明の防音間仕切りボックスを建物内部に据付けてその中で加工するならば、該防音間仕切りボックスを通過して外へ漏れる騒音は小さくなり、約60dB程度に低下する。図6、図7はその場合の騒音の大きさを表している。
図6は同じ部屋で巾木を高速カッターで切断した場合の騒音である。
A:防音間仕切りボックスなしの状態で、切断機から3mの位置での騒音は98dBとなる。
B:防音間仕切りボックスを使用した場合で、切断機から3mの位置での騒音は64dBに低下する。
C:防音間仕切りボックスを使用した場合で、切断機から10mの位置での騒音は60dBとなる。
【0034】
図7は巾木を高速カッターで切断した場合で、切断機から5m離れた隣の部屋での騒音である。
A:防音間仕切りボックスなしの状態では、82dBとなる。
B:防音間仕切りボックスを使用した場合には58dBまで低下する。
防音間仕切りボックスを使用するならば、一般には図7のBに示す状態であり、隣のオフィスでの騒音が58dB程度ならば、該騒音が気になることはない。
【0035】
参考までに、色々な場所での騒音は次の通りである。
(1)40dB 閑静な住宅街、図書館
(2)50dB 静かな公園、静かな事務所
(3)60dB 静かな乗用車の車内、普通の会話
(4)70dB 掃除機の音、電車の車内
(5)80dB 交通量の多い道路、地下鉄の車内
(6)90dB 工場、大声、犬の鳴き声(正面5m)
(7)100dB 電車が通過する際のガード下
(8)110dB 自動車のクラクション(前方2m)
図8は本発明の防音ボックスが設置される床面構造を示す具体例である。該防音間仕切りボックスは側壁部及び天井部は吸音パネル1,1・・が使用されることで、内部で発生する騒音が吸収され、外へ漏れる音は小さくなる。しかし、この騒音が床面を伝って外に漏れる場合がある。そこで、床面13に養生シート20を敷き、その上に防音パネル21(例えば、木質の多孔パネル)を敷いた状態で防音間仕切りボックスを据付けることがある。そして、防音パネル21の上には上記養生シート20を敷いている。ここで、該養生シート20及び防音パネル21は市販品を使用する。
【0036】
ところで、該防音間仕切りボックスは側壁部及び天井部に吸音パネル1,1・・・が使用され、全てのパネルを吸音パネル1とする場合が一般的であるが、必要に応じて一部のパネルを一般の間仕切りパネルを使用することもある。そして、上記側壁部に設ける窓3を構成する窓ガラスは、防音効果のある厚い(10mm程度)アクリルガラスが使用される。さらに、各吸音パネル1,1・・間に形成される目地を塞ぐ為に、マグネットテープを目地に沿って貼着することもある。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】防音間仕切りボックスの外観。
【図2】防音間仕切りボックスの一部横断面図。
【図3】防音間仕切りボックスの一部縦断面図。
【図4】ドアが取付けられている箇所の縦断面図。
【図5】間仕切り吸音パネルの断面図。
【図6】同室内での騒音状態。
【図7】隣室での騒音状態。
【図8】床面構造の具体例。
【図9】一般的な間仕切り装置。
【符号の説明】
【0038】
1 間仕切り吸音パネル
2 ドア
3 窓
4 ポール
5 表面材
6 ハニカムコア
7 シート
8 アジャスター
9 巾木
10 マグネット
11 シール
12 パネル面
13 床面
14 隙間
15 気密材
16 空間
17 側壁
18 穴
19 穴
20 養生シート
21 防音パネル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
間仕切り装置の据付等の建築内装工事を行うに際して、壁や天井、床を構成する各部材を加工する為に屋内に設置する防音間仕切りボックスにおいて、該防音間仕切りボックスは複数枚の間仕切り吸音パネルをポールを介して連結することで側壁部を構成し、又天井部も間仕切り吸音パネルを連結した構造とし、そして側壁部には入口の周囲に気密材を設けてドアを取付け、上記間仕切り吸音パネルは充填材の両面に表面材を貼着した構造とし、内表面材のほぼ全域に複数の小さい穴を貫通し、そして上記充填材は複数の空間に仕切った一定厚さのハニカムコアを複数枚積層した構造とし、ハニカムコアの間には複数の小さい穴を設けた薄いシートを介在し、一方、外表面材には穴を設けないで全域遮音領域としたことを特徴とする防音間仕切りボックス。
【請求項2】
上記側壁部及び天井部の一部に間仕切り吸音パネルを使用した請求項1記載の防音間仕切りボックス。
【請求項3】
側壁部の下端部には巾木を取着し、そして該巾木の上端にはパネル面に密着して隙間を塞ぐシールを沿設し、同じく巾木の下端には床面に密着して隙間を塞ぐシールを沿設した請求項1、又は請求項2記載の防音間仕切りボックス。
【請求項4】
上記間仕切り吸音パネル間の目地にはマグネットテープを貼着した請求項1、請求項2、又は請求項3記載の防音間仕切りボックス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−77744(P2010−77744A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−249553(P2008−249553)
【出願日】平成20年9月29日(2008.9.29)
【出願人】(000105693)コマニー株式会社 (105)
【Fターム(参考)】