説明

除塵装置

【課題】空気の噴射が停止した後の除塵結果の確認が容易な除塵装置を提供する。
【解決手段】放電針と、放電針に電圧を印加してイオンを発生させる電圧印加手段と、放電針の針先付近へ空気を供給してイオンを噴射する空気噴射手段と、光源と、少なくとも、空気噴射手段による空気の噴射が停止した後の期間(A期間)、光源を点灯し、当該期間の終了時に光源を消灯する光源制御手段と、を備える。作業者は光源の点灯を自身で行わなくてもよいので、空気の噴射が停止した後の除塵結果の確認が容易である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、除塵装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、イオン化した空気を除塵対象物に吹き付けて埃塵を除塵する除塵装置において、イオン化した空気を噴射するエアノズルの周辺に照光部を設け、照光部から発光される光で除塵対象物を照らすエアガン(除塵装置)が知られている(例えば特許文献1参照)。このエアガンでは、エアーの噴射を制御するためのエアー噴射ボタンと照光部の点灯を制御するための照光ボタンとがそれぞれ独立して設けられており、作業者がエアー噴射ボタンをオンにするとイオン化した空気が噴射され、照光ボタンをオンにすると照光部が点灯する。
【0003】
【特許文献1】実開平5−13588号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のエアガンによると、イオン化した空気の噴射が停止した後に除塵対象物を光で照らして除塵の結果を確認するとき、作業者は照光部を点灯させるために照光ボタンを操作しなければならない。
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、空気の噴射が停止した後の除塵結果の確認が容易な除塵装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の発明は、除塵装置であって、放電針と、前記放電針に電圧を印加してイオンを発生させる電圧印加手段と、前記放電針の針先付近へ空気を供給して前記イオンを噴射する空気噴射手段と、光源と、少なくとも、前記空気噴射手段による空気の噴射が停止した後の期間、前記光源を点灯し、前記期間の終了時に前記光源を消灯する光源制御手段と、を備える。
この発明によると、少なくとも、空気噴射手段による空気の噴射が停止した後の期間、光源を自動で点灯するので、作業者は空気の噴射が停止した後に光源からの光で除塵対象物を照らして除塵の結果を確認することができる。すなわち、作業者は空気の噴射が停止した後に除塵対象物を光で照らして除塵の効果を確認するとき、光源を点灯する作業を自身で行わなくてよい。
よってこの発明によると、空気の噴射が停止した後の除塵結果の確認が容易である。
【0006】
第2の発明は、第1の発明の除塵装置であって、前記光源制御手段は、前記空気噴射手段による空気の噴射が停止してから所定時間が経過すると前記光源を消灯する。
この発明によると、空気噴射手段による空気の噴射が停止してから所定時間が経過すると光源が自動的に消灯されるので、無駄な点灯による電力消費を低減できる。
【0007】
第3の発明は、第1又は第2の発明の除塵装置であって、トリガ信号を入力する入力手段を更に備え、前記光源制御手段は前記入力手段により前記トリガ信号が入力されると前記光源を点灯させ、前記空気噴射手段は前記光源制御手段によって前記光源が点灯されてから所定時間が経過すると空気の噴射を開始する。
この発明によると、空気噴射手段による空気の噴射前に所定時間光源が点灯されるので、除塵対象物のうち塵埃の多い箇所を事前に確認でき、そこを重点的に除塵させることができる。
【0008】
第4の発明は、第3の発明の除塵装置であって、前記空気噴射手段による空気の噴射方向に存在する物体を検出して検出信号を出力する光電センサを更に備え、前記トリガ信号は前記光電センサから出力される検出信号である。
この発明によると、光電センサから出力される検出信号をトリガとして光源を自動で点灯させることができる。
【0009】
第5の発明は、第1〜第4のいずれかの発明の除塵装置であって、前記光源制御手段は、前記空気噴射手段による空気の噴射中にも前記光源を点灯させる。
この発明によると、空気の噴射中にも光源が点灯するので、空気の噴射中にも除塵の効果を確認できる上、作業者は空気の噴射中であることを光源の点灯によって知ることができる。
【0010】
第6の発明は、第1〜第5のいずれかの発明の除塵装置であって、前記光源の点灯及び消灯を自動で行う自動制御モードと手動で行う手動制御モードとを切り替えるモード切替手段と、前記光源を点灯及び消灯する操作スイッチとを更に備え、前記自動制御モードでは前記光源制御手段により前記光源を点灯及び消灯し、前記手動制御モードでは作業者による前記操作スイッチの操作により前記光源を点灯及び消灯する。
この発明によると、光源制御手段による光源の制御が所望の状態でない場合に、手動制御モードに切り替え、手動で点灯、消灯を制御できるので、所望の状態に光源の点灯、消灯を制御することができる。
【0011】
第7の発明は、第1〜第6のいずれかの発明の除塵装置であって、除塵対象物を収容する収容室を有する筺体を備え、前記空気噴射手段は前記収容室内に空気を噴射し、前記光源は、前記収容室内を照射するように前記筺体の壁面に設けられ、前記壁面から前記収容室内に突出している。
光源の表面に埃が付着すると光量が低下する虞がある。この発明によると、光源が壁面から突出しているので、付着した埃を容易に拭き取ることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、空気の噴射が停止した後の除塵結果の確認が容易である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
<実施形態1>
本発明の実施形態1を図1ないし図9によって説明する。
(1)除電除塵装置の概略
図1は本発明の実施形態1に係る除電除塵装置1(除塵装置の一例)を表側から見た斜視図であり、図2は除電除塵装置1を裏側から見た斜視図である。除電除塵装置1は空気をイオン化して除電除塵対象物(除塵対象物の一例)に吹き付けることにより、除電除塵対象物を除電、除塵するための装置である。
【0014】
図1に示すように除電除塵装置1の筺体11は略L字状に形成されており、筺体11と透明な板状の部材12、13、14とによって収容室15が形成されている。収容室15の前面は開放されており、前面から除電除塵対象物が収容室15内に搬入、搬出される。
筺体11の上部にはコロナ放電によって空気をイオン化するタイプのイオン発生器16(以下「イオナイザ」という)が設けられている。イオナイザ16は収容室15の上方に設けられており、外部のエアコンプレッサから供給される圧縮空気をイオン化して収容室15内に向けて吹き付ける。
【0015】
例えば電子部品のように静電気によって破損する虞がある除電除塵対象物の場合は、イオン化した空気を吹き付けて静電気を中和することにより、静電気を除電することができる。
また、例えば静電気によって塵埃が付着した除電除塵対象物の場合は、イオン化した空気を吹き付けて除電することにより静電気による付着力を失わせ、風圧によって塵埃を飛散させることにより塵埃を除塵することができる。
【0016】
筺体11の台座部17は上側が開口しており、その開口は多数の通気孔が形成されているエキスパンドメタル18によって覆われている。エキスパンドメタル18は台座部17の開口を覆うことにより開口から筺体11内へ異物が進入することを防止している。吹き付けられた空気は筺体11内に設けられている排気ファン27(図5参照)によって開口から筺体11内に吸い込まれ、排気ダクト36(図2参照)から筺体11外に排気される。除電除塵装置1によると塵埃を筺体11内に吸い込むので、塵埃が再び除電除塵対象物に付着することを防止できる。
【0017】
図3は、除電除塵装置1を斜め下から見た斜視図である。図示するように筺体11の上部1aは収容室15の上方まで張り出しており、張り出している上部1aの下側の端面1bに3つの白色LED50(光源の一例)が設けられている。3つの白色LED50(以下「光源」という)は除電除塵対象物を照らすためのものであり、作業者は光源50から発光される光で除電除塵対象物を照らすことにより、除塵の結果を確認することが容易になる。
【0018】
図4は、光源50が端面1bから収容室15内に突出する様子を示す模式図である。図示するように光源50は端面1bから収容室15内に突出するように設けられている。光源50を端面1bから突出させると光源50の表面に塵埃が付着しても容易に拭き取ることができるので、塵埃が付着して光源50の光量が低下したとしても容易に回復させることができる。
【0019】
(2)除電除塵装置の構成
図5は、除電除塵装置1の要部構成を示すブロック図である。除電除塵装置1は、制御回路35、継手19、20、21、レギュレータ22、圧力センサ23、エアバルブ24、イオナイザ16、光電センサ25、動作設定部26、排気ファン27、操作パネル28、光源50などを備えている。
【0020】
継手19には外部のエアコンプレッサが接続される。継手19とレギュレータ22、レギュレータ22と継手20、継手20と圧力センサ23、継手20とエアバルブ24、エアバルブ24と継手21、及び継手21とイオナイザ16はそれぞれ樹脂製のチューブ29〜34によって接続されている。複数の継手19〜21及びチューブ29〜34はエアコンプレッサからの空気をイオナイザ16の放電針16b(図6参照)の針先付近へ供給してイオンを除電除塵対象物へ吹き付けるための空気供給流路部を構成している。
【0021】
制御回路35(電圧印加手段、及び光源制御手段の一例)は、CPU、ROM、RAM、フラッシュメモリ、各種の入出力インタフェースなどを有するマイクロコンピュータである。制御回路35にはレギュレータ22、圧力センサ23、エアバルブ24、イオナイザ16、光電センサ25、動作設定部26、排気ファン27、操作パネル28、光源50などが電気的に接続されており、制御回路35はこれら各部の作動を制御する。
【0022】
レギュレータ22は、エアコンプレッサから供給された空気の圧力脈動などを除去して空気の圧力を安定させる。
圧力センサ23は、空気供給流路部内の空気の圧力を検出して制御回路35に出力する。図示するように圧力センサ23はレギュレータ22とエアバルブ24との間の空気の圧力を測定し、制御回路35は圧力センサ23によって圧力異常を検出すると所定の異常時処理を実行する。
【0023】
エアバルブ24(空気噴射手段の一例)は、空気供給流路部を開閉する電磁弁である。エアバルブ24は制御回路35から出力される開閉信号によって駆動され、例えば開信号(ON)のとき空気供給流路部を開き、閉信号(OFF)のとき空気供給流路部を閉じる。
イオナイザ16(空気噴射手段の一例)は、放電針に交流電圧を印加して接地電極との間にコロナ放電を起こすいわゆる交流電圧タイプのものである。なお、イオナイザ16は交流電圧タイプのものに限定されず、例えば正極性及び負極性の直流電圧がそれぞれ印加される正負1対の放電針を備えたいわゆる直流電圧タイプのものを用いてもよい。
【0024】
光電センサ25(入力手段の一例)は、投光器25aと受光器25bとを有している。投光器25aと受光器25bとは収容室15内に上下に分かれて配置されており、投光器25aは図3に示すように光源50が設けられている端面1bに設けられている。
収容室15内に除電除塵対象物が搬入されていないときは投光器25aから発光された光が受光器25bに入光する。除電除塵対象物が収容室15内に搬入されると投光器25aから発光された光が除電除塵対象物によって遮られ、受光器25bから制御回路35に検出信号が出力される。制御回路35は受光器25bから検出信号が出力されることにより、収容室15内に除電除塵対象物が搬入されたことを検知する。
【0025】
動作設定部26(モード切替手段の一例)は、作業者が除電除塵装置1の動作を設定するためのものである。動作設定部26は図2に示すように除電除塵装置1の背面側に設けられており、各種の動作を設定するための複数のディップスイッチで構成されている。動作設定部26の詳細については後述する。
排気ファン27は、モータと当該モータによって回転駆動されるファンなどで構成されている。除電除塵対象物に吹き付けられたイオン化空気は排気ファン27によって開口から筺体11内に吸引され、筺体11の背面に設けられている排気ダクト36(図2参照)から外部に排気される。なお、排気ダクト36に図示しない連通ダクトを接続して集塵フィルタなどに集塵空気を案内することにより、塵埃をフィルタに集めるようにしてもよい。
【0026】
操作パネル28は、動作設定部26で設定される項目以外の設定項目を設定するためのものであり、設定情報や除電除塵装置1の動作状態といった各種の情報を表示するための表示装置、作業者が設定操作を行うための複数の押しボタン、光源50を点灯及び消灯する光源操作スイッチ(操作スイッチの一例)などで構成されている。
【0027】
(3)イオナイザの内部構造
図6は、イオナイザ16の内部構造を示す模式図である。イオナイザ16は、イオン生成室16a、イオン生成室16a内に配置されている放電針16b、接地電極16cなどを有している。
接地電極16cは金属の筒状部材で構成されており、イオン生成室16aにネジ固定されている。図示するように筒状の接地電極16cの内周部には放電針16bに近い側に筒状の絶縁物16fが嵌合されている。
【0028】
イオン生成室16aには空気供給流路部からイオン生成室16a内に空気を流入させる空気流入口16d、及び空気流入口16dから流入した空気を外部へ放出する空気放出口16eが形成されている。
イオナイザ16は放電針16bに交流電圧を印加して接地電極16cとの間にコロナ放電を起こすことにより、放電針16bの周囲の空気をプラスイオンとマイナスイオンとに交互にイオン化する。
【0029】
(4)動作設定部の詳細
図7は、動作設定部26によって設定される設定項目を示す模式図である。動作設定部26は7つのディップスイッチSW1〜SW7を有しており、各ディップスイッチ(以下「スイッチ」という)はそれぞれ1(ON)又は0(OFF)が選択的に設定される。
【0030】
スイッチSW1及びスイッチSW2は、除電・除塵の動作時間を切り替えるためのスイッチであり、スイッチSW1のON/OFFとスイッチSW2のON/OFFとの組み合わせにより4つの動作時間のいずれかを設定できる。
スイッチSW3は、スイッチSW1及びスイッチSW2によって設定される「除電・除塵動作時間切替」、並びにスイッチSW6によって設定される「排気ファン切替」において、光電センサ25の出力信号(検出信号)又は外部入力のいずれに従って動作するかを設定するためのものである。
【0031】
ここで外部入力とは、筺体11に設けられているインタフェース部41(図2参照)を介して外部から入力される信号(外部入力信号)をいい、作業者は外部入力信号を入力することによっても除電除塵装置1を動作させることが可能である。
スイッチSW4は、制御回路35がエアバルブ24に出力するパルス信号のモードを設定するためのスイッチである。「パルス」モードが設定されているときはパルス幅の短いパルスが一定のパルス間隔で出力される。一方、「ノーマル」モードが設定されているときはパルス幅の長い一つのパルス信号が連続的に出力される。
【0032】
スイッチSW5は、スイッチSW4で「パルス」モードが設定されているときのパルス信号のデューティ比を選択するためのスイッチである。本実施形態ではパルス信号の周波数は10Hzで固定であり、ディーティ比として50%又は10%のいずれかを選択できる。
スイッチSW6は、排気ファン27の動作タイミングを設定するためのスイッチである。
【0033】
スイッチSW7は、光源50の制御モードを設定するためのスイッチである。本実施形態では光源50の制御モードとして、光源50の点灯及び消灯を制御回路35が自動で行う自動制御モード、又は光源50の点灯及び消灯を作業者が手動で行う手動制御モードのいずれかを設定することができる。手動制御モードを設定した場合、作業者は前述した操作パネル28に設けられている光源操作スイッチを操作することにより、任意のタイミングで光源50を点灯及び消灯することができる。
【0034】
(5)除電除塵装置の作動
図8は、制御回路35に入出力される信号のタイミングチャートである。実施形態1では、光電センサ25から検出信号が入力されると光源50を点灯させ、光源50を点灯させてから所定時間経過後に空気の噴射を開始し、空気の噴射が停止してから所定時間が経過すると光源50を消灯する。以下、動作設定部26が図9に示すように設定されているものとして除電除塵装置1の作動を具体的に説明する。
【0035】
投光器25aから発光された光が除電除塵対象物によって遮光されると、受光器25bから制御回路35に検出信号(ON信号)が出力される。
制御回路35は、光電センサ25から検出信号が出力されてからT1ミリ秒[ms]が経過すると、排気ファン27に駆動信号を出力するとともに、光源50に点灯信号を出力する。これにより排気ファン27が動作を開始するとともに、光源50が点灯する。なお、排気ファン27を動作させるタイミングと光源50を点灯させるタイミングとは同じでなくてもよい。
【0036】
制御回路35は、排気ファン27を動作させてからT2ミリ秒が経過すると、イオナイザ16に放電許可信号を出力する。これによりイオナイザ16がコロナ放電を開始する。
制御回路35は、排気ファン27を動作させてからT3ミリ秒が経過すると、エアバルブ24に開信号を出力する。これによりエアバルブ24が空気供給流路部を開き、イオン化された空気の噴射が開始される。
【0037】
制御回路35は、エアバルブ24への開信号の出力を開始してから5秒が経過すると、イオナイザ16への放電許可信号の出力を停止するとともに、エアバルブ24への開信号の出力を停止する。これによりイオナイザ16でのコロナ放電が停止するとともに、エアバルブ24が閉状態となって空気の噴射が停止する。
【0038】
制御回路35は、イオナイザ16への放電許可信号の出力及びエアバルブ24への開信号の出力を停止してからT4ミリ秒が経過すると、排気ファン27への駆動信号の出力を停止するとともに、光源50への点灯信号の出力を停止する。これにより排気ファン27が停止するとともに、光源50が消灯する。なお、排気ファン27を停止させるタイミングと光源50を消灯させるタイミングとは同じでなくてもよい。
【0039】
図示する例では除電除塵対象物が搬出された後に再度光電センサ25から検知信号45が出力されている。しかしながら検知信号45は排気ファン27が停止する前であるため無視される。
また、排気ファン27が停止された後に検知信号46が出力されているが、検知信号46はT1ミリ秒未満である。T1ミリ秒未満である場合は何等かの電気的なノイズである可能性が高いので、検知信号46についても無視される。
【0040】
(6)実施形態の効果
以上説明した除電除塵装置1によると、少なくとも、エアバルブ24を閉じてイオナイザ16による空気の噴射が停止した後の期間(図中のA期間)、光源50を自動で点灯するので、作業者は空気の噴射が停止した後に光源50からの光で除電除塵対象物を照らして除塵の結果を確認することができる。すなわち、作業者は空気の噴射が停止した後に除電除塵対象物を光で照らして除塵の効果を確認するとき、光源50を点灯する作業を自身で行わなくてよい。
よってこの発明によると、空気の噴射が停止した後の除塵結果の確認が容易である。
【0041】
更に、除電除塵装置1によると、エアバルブ24を閉じてイオナイザ16による空気の噴射が停止してから所定時間(図8ではT4ミリ秒)が経過すると光源50が消灯されるので、無駄な点灯による電力消費を低減できる。
【0042】
更に、除電除塵装置1によると、空気の噴射中にも光源50が点灯するので、空気の噴射中にも除塵の効果を確認できる上、作業者は空気の噴射中であることを光源50の点灯によって知ることができる。
更に、除電除塵装置1によると、エアバルブ24を開いてイオナイザ16による空気の噴射を開始するより前に所定時間(図8ではT3ミリ秒)光源50が点灯される。この所定時間を適宜に設定することにより、除電除塵対象物のうち塵埃の多い箇所を空気の噴射が開始される前に事前に確認でき、そこを重点的に除塵させることができる。
【0043】
更に、除電除塵装置1によると、イオナイザ16による空気の噴射方向に存在する除電除塵対象物を検出する光電センサ25からの検出信号をトリガとして光源50を自動で点灯させることができる。
更に、除電除塵装置1によると、制御回路35による光源50の制御が所望の状態でない場合に、手動制御モードに切り替え、手動で点灯、消灯を制御できるので、所望の状態に光源50の点灯、消灯を制御することができる。
【0044】
<実施形態2>
次に、本発明の実施形態2を図10によって説明する。
図10は、制御回路35に入出力される信号のタイミングチャートである。実施形態2も動作設定部26が図9に示すように設定されているものとする。実施形態2では光電センサ25により検出信号が入力されると、空気の噴射を開始するとともに光源50を点灯させ、光電センサ25からの検出信号が停止してから所定時間が経過すると光源50を消灯する。
【0045】
投光器25aから発光された光が除電除塵対象物によって遮光されると、受光器25bから制御回路35に検出信号(ON信号)が出力される。
制御回路35は、光電センサ25から検出信号が出力されてからT1ミリ秒[ms]が経過すると、排気ファン27に駆動信号を出力する。これにより排気ファン27が動作を開始する。
【0046】
制御回路35は、排気ファン27を作動させてからT2ミリ秒が経過すると、イオナイザ16に放電許可信号を出力する。これによりイオナイザ16がコロナ放電を開始する。
制御回路35は、排気ファン27を作動させてからT3ミリ秒が経過すると、エアバルブ24に開信号を出力するとともに、光源50に点灯信号を出力する。これによりエアバルブ24が空気供給流路部を開いてイオン化された空気の噴射が開始されるとともに、光源50が点灯する。
【0047】
制御回路35は、エアバルブ24への開信号の出力を開始してから5秒が経過すると、イオナイザ16への放電許可信号の出力を停止するとともに、エアバルブ24への開信号の出力を停止する。これによりイオナイザ16でのコロナ放電が停止するとともに、エアバルブ24が閉状態となって空気の噴射が停止する。
【0048】
除電除塵対象物が搬出されて投光器25aから発光された光が受光器25bに入光すると、光電センサ25の検出信号がOFFになる。制御回路35は検出信号がOFFになってからT4ミリ秒が経過すると、排気ファン27への駆動信号の出力を停止するとともに、光源50への点灯信号の出力を停止する。これにより排気ファン27が停止するとともに、光源50が消灯する。
【0049】
なお、検出信号がOFFになってからT4ミリ秒が経過した後に光源50を消灯するのではなく、検出信号がOFFになると直ちに光源50を消灯してもよい。
また、排気ファン27を停止させるタイミングと光源50を消灯させるタイミングとは同じでなくてもよい。
【0050】
実施形態2によると、エアバルブ24が閉状態となって空気の噴射が停止した後も、除電除塵対象物が収容室15内にある間は光源50を消灯しない。したがって作業者は自身が納得するまで結果の確認を行うことができる。そして、作業者が確認を終えて除電除塵対象物を収容室15から搬出するとT4ms後に光源50を消灯するので、無駄な点灯による電力消費を低減できる。
【0051】
<実施形態3>
次に、本発明の実施形態3を図11によって説明する。
図11は、制御回路35に入出力される信号のタイミングチャートである。実施形態3も動作設定部26が図9に示すように設定されているものとする。実施形態3では空気の噴射が停止すると光源50を点灯させ、光源50を点灯させてから所定時間が経過すると光源50を消灯する。
【0052】
投光器25aから発光された光が除電除塵対象物によって遮光されると、受光器25bから制御回路35に検出信号(ON信号)が出力される。
制御回路35は、光電センサ25から検出信号が出力されてからT1ミリ秒[ms]が経過すると、排気ファン27に駆動信号を出力する。これにより排気ファン27が動作を開始する。
【0053】
制御回路35は、排気ファン27を動作させてからT2ミリ秒が経過すると、イオナイザ16に放電許可信号を出力する。これによりイオナイザ16がコロナ放電を開始する。
制御回路35は、排気ファン27を動作させてからT3ミリ秒が経過すると、エアバルブ24に開信号を出力する。これによりエアバルブ24が空気供給流路部を開き、イオン化された空気の噴射が開始される。
【0054】
制御回路35は、エアバルブ24への開信号の出力を開始してから5秒が経過すると、イオナイザ16への放電許可信号の出力を停止するとともに、エアバルブ24への開信号の出力を停止する。これによりイオナイザ16でのコロナ放電が停止するとともに、エアバルブ24が閉状態となって空気の噴射が停止する。制御回路35は、これと同時に光源50に点灯信号を出力する。これにより光源50が点灯する。
なお、空気の噴射の停止と光源50の点灯とは必ずしも同時でなくてもよく、例えば空気の噴射を停止してから遅れて光源50を点灯させてもよい。
【0055】
制御回路35は、イオナイザ16への放電許可信号の出力及びエアバルブ24への開信号の出力を停止してからT4ミリ秒が経過すると、排気ファン27への駆動信号の出力を停止するとともに、光源50への点灯信号の出力を停止する。これにより排気ファン27が停止するとともに、光源50が消灯する。なお、排気ファン27を停止させるタイミングと光源50を消灯させるタイミングとは同じでなくてもよい。
【0056】
実施形態3によると、イオナイザ16による空気の噴射が停止してから光源50を点灯させるので、電力消費を低減できる。
【0057】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0058】
(1)上記実施形態では光源50として白色LEDを例に説明したが、光源50は白色LED以外であってもよく、例えば蛍光灯を用いてもよい。
【0059】
(2)上記実施形態ではトリガ信号として、イオナイザ16による空気の噴射方向に存在する物体を検出する光電センサ25の検出信号を例に説明したが、トリガ信号は外部機器から入力される信号であってもよい。
【0060】
(3)上記実施形態1及び2ではイオナイザ16による空気の噴射中と空気の噴射が停止した後とで光源から放射される光の明るさは同じであるが、例えばイオナイザ16による空気の噴射中は相対的に暗い光を放射し、空気の噴射が停止した後の期間は相対的に明るい光を放射するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の一実施形態に係る除電除塵装置を表側から見た斜視図。
【図2】本発明の一実施形態に係る除電除塵装置を裏側から見た斜視図。
【図3】本発明の一実施形態に係る除電除塵装置を斜め下から見た斜視図。
【図4】本発明の一実施形態に係る光源を正面から見た模式図。
【図5】本発明の一実施形態に係る除電除塵装置のブロック図。
【図6】本発明の一実施形態に係る空気噴射手段の断面を示す模式図。
【図7】本発明の一実施形態に係る動作設定部の設定項目を示す模式図。
【図8】本発明の一実施形態に係るタイミングチャート。
【図9】本発明の一実施形態に係る設定の一例を示す模式図。
【図10】本発明の一実施形態に係るタイミングチャート。
【図11】本発明の一実施形態に係るタイミングチャート。
【符号の説明】
【0062】
1・・・除電除塵装置
1b・・・壁面(筺体の壁面)
11・・・筺体
15・・・収容室
16・・・イオナイザ(空気噴射手段)
24・・・エアバルブ(空気噴射手段)
25・・・光電センサ(入力手段)
26・・・動作設定部(モード切替手段)
28・・・操作パネル(操作スイッチ)
35・・・制御回路(電圧印加手段、光源制御手段)
50・・・白色LED(光源)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
放電針と、
前記放電針に電圧を印加してイオンを発生させる電圧印加手段と、
前記放電針の針先付近へ空気を供給して前記イオンを噴射する空気噴射手段と、
光源と、
少なくとも、前記空気噴射手段による空気の噴射が停止した後の期間、前記光源を点灯し、前記期間の終了時に前記光源を消灯する光源制御手段と、
を備える除塵装置。
【請求項2】
前記光源制御手段は、前記空気噴射手段による空気の噴射が停止してから所定時間が経過すると前記光源を消灯する請求項1に記載の除塵装置。
【請求項3】
トリガ信号を入力する入力手段を更に備え、
前記光源制御手段は前記入力手段により前記トリガ信号が入力されると前記光源を点灯させ、前記空気噴射手段は前記光源制御手段によって前記光源が点灯されてから所定時間が経過すると空気の噴射を開始する請求項1又は請求項2に記載の除塵装置。
【請求項4】
前記空気噴射手段による空気の噴射方向に存在する物体を検出して検出信号を出力する光電センサを更に備え、
前記トリガ信号は前記光電センサから出力される検出信号である請求項3に記載の除塵装置。
【請求項5】
前記光源制御手段は、前記空気噴射手段による空気の噴射中にも前記光源を点灯させる請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の除塵装置。
【請求項6】
前記光源の点灯及び消灯を自動で行う自動制御モードと手動で行う手動制御モードとを切り替えるモード切替手段と、
前記光源を点灯及び消灯する操作スイッチとを更に備え、
前記自動制御モードでは前記光源制御手段により前記光源を点灯及び消灯し、
前記手動制御モードでは作業者による前記操作スイッチの操作により前記光源を点灯及び消灯する請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の除塵装置。
【請求項7】
除塵対象物を収容する収容室を有する筺体を備え、
前記空気噴射手段は前記収容室内に空気を噴射し、
前記光源は、前記収容室内を照射するように前記筺体の壁面に設けられ、前記壁面から前記収容室内に突出している請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載の除塵装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−5600(P2010−5600A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−171357(P2008−171357)
【出願日】平成20年6月30日(2008.6.30)
【出願人】(000106221)サンクス株式会社 (578)
【Fターム(参考)】