説明

除湿用シート

【課題】本発明の課題は、バインダー及び吸着剤としてシリカを含有してなる吸着層が基材に設けられてなる除湿用シートにおいて、除湿再生を繰り返し行っても、高い除湿量を維持することができる耐久性に優れた除湿用シートを提供することである。
【解決手段】バインダー及び吸着剤としてシリカを含有してなる吸着層が基材に設けられてなる除湿用シートにおいて、吸着層がポリ塩化アルミニウムを含むことを特徴とする除湿用シート。ポリ塩化アルミニウムの含有量が吸着剤に対して2〜20質量%であることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、除湿再生を繰り返す除湿用シートに関するものである。
【背景技術】
【0002】
吸着剤及びバインダーを含有してなる吸着層が基材に設けられてなる除湿用シートは、デシカントロータ基材を始め、包装材料、押し入れやタンス用の除湿材料、壁紙や床材等の内装材料、調湿建材等に用いられている。吸着剤としては、比較的安価であるシリカが広く用いられている。
【0003】
例えば、シリカの一種であり、吸着剤として最も一般的なシリカゲルには、細孔容積が少なく、細孔径が小さく、低湿度域での吸湿力に優れているシリカゲルA型と、細孔容積が多く、細孔径が大きく、高湿度域での吸湿力に優れているシリカゲルB型がある。除湿再生を繰り返し行う代表的な用途としてデシカントロータが挙げられるが、吸湿速度及び放湿速度が速いシリカゲルA型は、このデシカントロータに好適に使用される。しかし、除湿再生を繰り返し行うと、除湿量が経時的に低下し、耐久性という点で問題があった。
【0004】
耐久性を向上させるために、除湿用シートにおいて、使用するバインダーのガラス転移温度を所定の温度以上にすることで、吸着剤と基材との接着力を強くする提案がなされている(特許文献1参照)。しかしながら、シリカを吸着剤として使用した場合には、除湿再生を繰り返すと、シリカ自体の除湿量が低下していくため(例えば、特許文献2参照)、バインダーによって接着力を向上させても、耐久性の問題を完全に解決することができていなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−190546号公報
【特許文献2】国際公開第2010/101110号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、バインダー及び吸着剤としてシリカを含有してなる吸着層が基材に設けられてなる除湿用シートにおいて、除湿再生を繰り返し行っても、高い除湿量を維持することができる耐久性に優れた除湿用シートを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題は、バインダー及び吸着剤としてシリカを含有してなる吸着層が基材に設けられてなる除湿用シートにおいて、吸着層がポリ塩化アルミニウムを含むことを特徴とする除湿用シートによって、解決できることを見出した。
【発明の効果】
【0008】
本発明の除湿シートでは、バインダー及び吸着剤としてシリカを含有してなる吸着層が基材に設けられていることによって、空気中の多くの水分を除湿することができ、かつ、吸着層がポリ塩化アルミニウムを含むことによって、除湿再生を繰り返し行っても、除湿量の低下が抑えられるという効果が得られた。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の除湿シートは、シリカを含む吸着剤及びバインダーを含有してなる吸着層が基材に設けられてなる除湿用シートであり、吸着層がポリ塩化アルミニウムを含むことを特徴としている。
【0010】
シリカとしては、珪藻土等の天然シリカ、乾式法シリカ、湿式法シリカ等の合成シリカを使用することができる。乾式法シリカは、一般的には火炎加水分解法によって製造され、具体的な製造方法としては、四塩化ケイ素を水素及び酸素と共に燃焼して作る方法が一般的である。四塩化ケイ素の代わりにメチルトリクロロシランやトリクロロシラン等のシラン類も使用することができる。湿式法シリカとしては、沈降法シリカ、ゲル法シリカ(シリカゲル)、ゾル法シリカが挙げられる。沈降法シリカは、ケイ酸ソーダと鉱酸(硫酸)をアルカリ条件で反応させて製造される。ゲル法シリカは、ケイ酸ソーダと鉱酸(硫酸)を酸性条件下で反応させて製造される。ゾル法シリカは、コロイダルシリカとも呼ばれ、ケイ酸ソーダの酸等による複分解やイオン交換樹脂層を通して得られるシリカゾルを加熱熟成して得られる。このうち、除湿能力の高いシリカゲルを好適に使用することができる。シリカゲルにはA型及びB型があるが、吸湿速度及び放湿速度が速いシリカゲルA型は、特にデシカントロータに好適に使用することができる。
【0011】
本発明の除湿用シートに含まれるシリカとしては、BET法による比表面積が500g/m以上のシリカであることが好ましい。比表面積が500g/mよりも低いと、所望の除湿量が得られない場合がある。また、シリカの細孔径は2〜7nmが好ましい。7nmを超える孔径であると除湿速度が遅くなり、除湿量が低下する場合がある。シリカの粒径は100μm以下が好ましく、20μm以下がより好ましい。粒径が100μmを超えると、除湿用シートからの脱離が起きやすくなることがある。
【0012】
ポリ塩化アルミニウムとは、下記式(1)で示される化合物である。除湿再生を繰り返すことによって、シリカの除湿量が低下するのは、シリカが高温高湿度下に置かれた時に、その構造が変化することが原因と考えられる。本発明では、吸着層がポリ塩化アルミニウムを含むことによって、高温高湿度下に置かれたシリカの除湿量が低下することが抑えられるが、これは、ポリ塩化アルミニウムがシリカのシラノール基同士を架橋することで、シリカの細孔壁に対して構造強化の作用を及ぼしているためと考えられる。
【0013】
[Al(OH)Cl6−n]m 式(1)
(1≦n≦5、m≦10)
【0014】
ポリ塩化アルミニウムの含有量は、シリカに対して2〜20質量%であることが好ましく、より好ましくは4〜10質量%であり、さらに好ましくは4〜6質量%である。ポリ塩化アルミニウムが2質量%未満の場合、除湿用シートが高温高湿度空気に暴露されると、除湿量が大きく低下するという問題が発生する場合がある。ポリ塩化アルミニウムが20質量%を超える場合、ポリ塩化アルミニウムが凝集剤のために塗工液が凝集してしまい、塗工が不可能になるという問題が発生する場合がある。またポリ塩化アルミニウムが液体の形態であるため、塗工液の固形分濃度を濃くすることができず、その結果、シートに十分な量の吸着剤を含有させることができないという問題が発生する場合がある。
【0015】
本発明の除湿用シートには、シリカ以外の無機系吸着剤、有機系吸着剤を含有させてもよい。シリカ以外の無機系吸着剤としては、活性炭、シリカアルミナゲル、アルミナ、ゼオライト、モンモリロナイト等のケイ酸塩鉱物を挙げることができる。有機系吸着剤としては、高吸水性高分子、カルボキシメチルセルロース等を挙げることができる。
【0016】
除湿用シートにおける全吸着剤の含有量は、30〜90質量%であることが好ましく、40〜80質量%であることがより好ましい。吸着剤の含有量が30質量%未満であると、十分な除湿量が得られない場合がある。90質量%を超えると、除湿用シートから吸着剤が脱離する場合がある。
【0017】
また、本発明の除湿用シートに吸湿性塩を含有させてもよい。吸湿性塩としては、具体的に、塩化リチウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化ナトリウム、塩化アルミニウム、塩化亜鉛等のハロゲン化金属塩、硫酸ナトリウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸亜鉛等の金属硫酸塩、酢酸カリウム等の金属酢酸塩、ケイ酸ナトリウム等の金属ケイ酸塩、塩酸ジメチルアミン等のアミン塩類、オルトリン酸等のリン酸化合物、塩酸グアニジン、リン酸グアニジン、スルファミン酸グアニジン等のグアニジン塩、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化マグネシウム等の金属水酸化物等を挙げることができる。吸湿性塩の含有量は、吸着剤の総量に対して0〜100質量%が好ましい。100質量%を超えると、液だれを起こす場合がある。
【0018】
バインダーの含有量は、吸着剤の総量に対して10〜60質量%であることが好ましく、より好ましくは20〜50質量%であり、さらに好ましくは30〜40質量%である。バインダーが吸着剤の総量に対して10質量%未満の場合、基材からシリカが脱落するという問題が発生する場合がある。60質量%を超える場合は、バインダーが吸着剤の除湿性能を阻害するという問題が発生する場合がある。
【0019】
バインダーとしては、アクリル樹脂、スチレンアクリル樹脂、アクリルコロイダルシリカ樹脂、スチレンアクリルコロイダルシリカ樹脂、アクリル酸エステル樹脂、酢酸ビニル樹脂、エチレン酢酸ビニル樹脂、シリコーン樹脂、塩化ビニル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、塩化ビニルスチレン樹脂、スチレンブタジエンゴム(SBR)樹脂、ポリビニルピロリドン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、メラミン樹脂等を用いることができ、またそれらを組み合わせたものも用いることができる。このうち、アクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ウレタン樹脂は、バインダーによるシートの除湿性能阻害の防止やシートからの吸着剤の脱離防止、シート強度向上、コルゲート加工性向上という効果が得られるため、より好ましく使用することができる。
【0020】
本発明の除湿用シートの製造方法は、
(I)基材に、シリカとポリ塩化アルミニウムを同時に塗工する方法
(II)基材にシリカを塗工した後に、ポリ塩化アルミニウムを塗工する方法
(III)基材にポリ塩化アルミニウムを塗工した後に、シリカを塗工する方法
を挙げることができる。
【0021】
製造方法(I)〜(III)において、用いることができる基材としては、紙、板紙、フィルム、織布、乾式不織布、湿式不織布、編物等の布帛、パンチングメタルシート等の金属板、アルミニウム箔、銅箔等の金属箔、有機粒子や無機粒子の凝集体フィルム等が挙げられる。これらは単独で用いても良いし、貼り合わせ等によって積層複合化して用いても良い。
【0022】
紙、板紙、フィルム、織布、乾式不織布、湿式不織布、編物を構成する繊維としては、オレフィン系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合体樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリビニルエーテル樹脂、ポリビニルケトン樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ジエン系樹脂、及びポリウレタン系樹脂等の熱可塑性合成樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、フラン樹脂、尿素樹脂、アニリン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂等の熱硬化性樹脂等が挙げられる。また、木材パルプ、楮、三椏、藁、ケナフ、竹、リンター、バガス、エスパルト、サトウキビ等の植物繊維、あるいはこれらを微細化したものを用いることができ、さらにセルロース再生繊維であるレーヨン繊維、アセテート等の半合成繊維、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素樹脂系繊維、シリコーン樹脂系繊維、ステンレスやニッケルウール等の金属繊維、炭素繊維、セラミック、ガラス繊維等も用いることができる。
【0023】
製造方法(I)とは、シリカとポリ塩化アルミニウム、バインダーを含む塗工液を調製し、基材に塗工する方法である。製造方法(I)の塗工液にはシリカとポリ塩化アルミニウムの他に、分散剤、保水剤、粘度調整剤、pH調整剤等が含まれていても良い。
【0024】
製造方法(II)と(III)において、基材にシリカを塗工する際の塗工液及びポリ塩化アルミニウムを塗工する際の塗工液には、それぞれ、分散剤、保水剤、粘度調整剤、pH調整剤等が含まれていても良い。
【0025】
塗工には、サイズプレス、ゲートロールコーター、エアナイフコーター、ブレードコーター、コンマコーター、バーコーター、グラビアコーター、キスコーター等の含浸または塗工装置を使用することができる。塗工後の基材はエアードライヤー、シリンダードライヤー、赤外方式ドライヤー等を用いて乾燥することができる。
【0026】
本発明の除湿用シートの坪量は、25〜300g/mであることが好ましく、40〜200g/mであることがより好ましく、50〜150g/mであることがさらに好ましい。坪量が25g/m未満の場合、空気中の水分を十分除湿できないという問題が発生する場合がある。坪量が300g/mを超えた場合、シートの厚みが厚くなりすぎるという問題が発生する場合がある。なお、坪量は、除湿用シートを90℃で2時間乾燥した後の質量を測定した値とする。
【0027】
本発明の除湿用シートの厚みは30〜420μmが好ましく、さらには、40〜300μmがより好ましい。厚みが30μm未満の場合、引っ張り強度あるいは引き裂き強度が弱いという問題が発生する場合がある。厚みが420μmを超えた場合、除湿剤1gあたりの除湿量の効率が悪くなるという問題が発生する場合がある。なお、除湿用シートをカレンダー処理等によって、厚みを調整したり、表面平滑性を向上させたりしてもよい。
【0028】
本発明の除湿用シートは単層構造であってもよいし、多層構造であってもよい。また、シート強度を高めるために、別種の紙、フィルム、布帛等の基材と積層複合化させても構わない。
【0029】
本発明の除湿用シートはそのまま使用してもよいし、プリーツ加工、コルゲート加工、積層加工、ロールコア加工、ドーナツ加工等から選ばれる少なくとも1つの成型加工法を施して使用してもよい。
【実施例】
【0030】
次に、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例に何ら限定されるものではない。なお、以下の実施例及び比較例において、特に断りのない場合、部数、百分率、比率は質量基準である。
【0031】
(実施例1)
シリカゲル(吸着剤、比表面積700m/g、細孔径2nm)100質量部、分散剤(ポリアクリル酸ナトリウム、東亞合成株式会社製、商品名:アロン(登録商標)T−50)4部、保水剤(ベントナイト、クニミネ工業株式会社製、商品名:クニピア(登録商標)F)4部、バインダー(アクリル樹脂、トーヨーケム株式会社製、商品名:トークリル(登録商標)X−4402)40質量部、ポリ塩化アルミニウム(理研グリーン株式会社製、商品名:ピュラケムWT、吸着剤に対して5質量%)を含有する水系分散液を塗工液として調製した。この塗工液をポリエチレンテレフタレート(PET)/ビニロンを成分とする乾式不織布(坪量50g/m、厚み370μm)に、含浸法で塗布して乾燥させ、除湿用シートを作製した。除湿用シートの吸着剤量は、30g/mであった。
【0032】
(実施例2〜3、比較例1)
ポリ塩化アルミニウムの含有量を表1記載のように変更した以外は、実施例1と同様にして、除湿用シートを作製した。
【0033】
(実施例4)
シリカゲル(吸着剤、比表面積700m/g、細孔径2nm)100質量部、分散剤(ポリアクリル酸ナトリウム、東亞合成株式会社製、商品名:アロン(登録商標)T−50)4部、保水剤(ベントナイト、クニミネ工業株式会社製、商品名:クニピア(登録商標)F)4部、バインダー(アクリル樹脂、日信化学工業株式会社製、商品名:ビニブラン(登録商標)2680)40質量部、ポリ塩化アルミニウム(理研グリーン株式会社製、商品名:ピュラケムWT、吸着剤に対して2質量%)を含有する水系分散液を塗工液として調製した。この塗工液をポリエチレンテレフタレート(PET)/ビニロンを成分とする乾式不織布(坪量50g/m、厚み370μm)に、含浸法で塗布して乾燥させ、除湿用シートを作製した。除湿用シートの吸着剤量は、30g/mであった。
【0034】
(実施例5〜6、比較例2)
ポリ塩化アルミニウムの含有量を表1記載のように変更した以外は、実施例4と同様にして、除湿用シートを作製した。
【0035】
(実施例7〜8)
バインダーとして、アクリル樹脂(日信化学工業株式会社製、商品名:ビニブラン(登録商標)2687)を使用した以外は、実施例4〜5と同様にして、除湿用シートを作製した。
【0036】
(実施例9)
バインダーとして、エチレン酢酸ビニル樹脂(住友化学株式会社製、商品名:BEF−9857)を使用した以外は、実施例2と同様にして、除湿用シートを作製した。
【0037】
(実施例10)
シリカゲル(吸着剤、比表面積700m/g、細孔径2nm)100質量部、分散剤(ポリジメチルジアリルアンモニウム塩、第一工業製薬株式会社製、商品名:シャロール(登録商標)DC−902P)4部、バインダー(ウレタン樹脂、DIC株式会社製、ハイドラン(登録商標)CP−7020)40質量部、ポリ塩化アルミニウム(理研グリーン株式会社製、商品名:ピュラケムWT、吸着剤に対して5質量%)を含有する水系分散液(濃度23.3質量%)を塗工液として調製した。この塗工液をポリエチレンテレフタレート(PET)/ビニロンを成分とする乾式不織布(坪量50g/m、厚み370μm)に、含浸法で塗布して乾燥させ、除湿用シートを作製した。シートの吸着剤量は、30g/mであった。
【0038】
(耐久性試験)
耐久性試験では、高温多湿下に除湿用シートを置き、その前後の除湿量を比較した。除湿用シート(20cm×15cm)を8つ折りにたたみ、水が3cm入った1Lのビーカーに吊す。この時、除湿用シートが水面やビーカーの壁面につかないようにする。ビーカーに蓋をし、空気の出入りがないように完全に密閉し、ビーカーごと60℃の恒温槽に入れて一週間静置する。その後、除湿用シートをビーカーから取り出し、90℃で1〜2時間乾燥させる。
【0039】
除湿用シートの除湿量の測定法は以下の方法である。得られた除湿用シート(20cm×15cm)を20℃、相対湿度70%に設定した恒温恒湿器に2分間吊した後取り出し、すぐに質量を測る。その後、80℃、相対湿度15%に設定した恒温恒湿器に1分間吊し、すぐに質量を測る。この操作を繰り返しほぼ平衡状態になってから、その質量差3回分の平均をX(g)とし、下記式(2)より、除湿用シートの除湿量を求める。耐久性試験前の除湿量と耐久性試験後の除湿量を測定し、その比率(耐久試験後の除湿量/耐久試験前の除湿量)と共に、表1に示した。
【0040】
除湿量(g/g・h)=X/(20×除湿用シートが含有する吸着剤量) 式(2)
【0041】
【表1】

【0042】
実施例1〜3及び比較例1の結果から、バインダー及び吸着剤としてシリカを含有してなる吸着層が基材に設けられてなる除湿用シートにおいて、吸着層がポリ塩化アルミニウムを含有している実施例1〜3では、含有していない比較例1と比べて、耐久試験後の除湿量低下が抑制されていた。また、実施例4〜6及び比較例2の結果からも、吸着層がポリ塩化アルミニウムを含有している実施例4〜6では、含有していない比較例2と比べて、耐久試験後の除湿量低下が抑制されていた。バインダー樹脂の種類を変えた実施例7、8においても、除湿量の比率は0.89以上と高い値を示した。分散剤の種類等を変えた10においても、除湿量の比率は0.89以上と高い値を示した。以上の結果から、ポリ塩化アルミニウムを吸着層に含有させることによって、高温高湿下に置いた場合でも、シリカの除湿量が低下しにくくなることが確認され、除湿再生を繰り返し行う用途において、高温高湿下に置かれた場合でも、本発明の除湿用シートはシリカの高い除湿量を維持できる。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明の除湿用シートは除湿量が多く、かつ除湿性能の劣化が少ないので、デシカント空調機のデシカントロータとして使用できるほか、ビル空調気化式加湿用素子、燃料電池用加湿用素子、除湿機用除湿素子、自動販売機等の吸水蒸散素子、冷却用吸水常散素子、全熱交換素子等の調湿素子にも利用可能である。また、包装材料、押し入れやタンス用の除湿材料、壁紙や床材等の内装材料、調湿建材にも利用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バインダー及び吸着剤としてシリカを含有してなる吸着層が基材に設けられてなる除湿用シートにおいて、吸着層がポリ塩化アルミニウムを含むことを特徴とする除湿用シート。
【請求項2】
ポリ塩化アルミニウムの含有量が吸着剤に対して2〜20質量%である請求項1記載の除湿用シート。

【公開番号】特開2013−43133(P2013−43133A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−183198(P2011−183198)
【出願日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【出願人】(000005980)三菱製紙株式会社 (1,550)
【Fターム(参考)】