説明

除草剤

【課題】作物の発生前から生育期まで長期間にわたって、多種多様の雑草を完全に防除できる畑作用除草剤、芝地用除草剤及び非農耕地用除草剤の提供。
【解決手段】下記式(A)の


除草性トリアゾリノン化合物と、次の除草性化合物群:グリホサートアンモニウム塩、シアナジン、シマジン、ジメテナミド、シンメチリン、セトキシジム、チフェンスルフロンメチル、テトラピオン、トリフルラリン、ビフェノックス、ピラクロニル、ベンディメタリン、レナシル、およびIPCなどから選ばれる少なくとも1種以上の化合物を有効成分として含有する構成要件とで構成している除草剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、畑作用除草剤、芝地用除草剤および非農耕地用除草剤に関するものである。
【背景技術】
【0002】
畑作の作物栽培地、芝地または非農耕地において、雑草防除を目的に多くの除草剤が使用されている。畑作地、芝地または非農耕地などに発生する雑草は多種多様であり、その発生も雑草および作物の発生前から生育期まで長期間にわたる。そのため使用される除草剤の能力としては、幅広い殺草スペクトラムを有し、長期間にわたって雑草の発生を防止し、かつ作物あるいは芝に対する安全性が高い除草剤が望まれている。しかしながら、多くの除草剤は多岐にわたる草種に対して充分な除草効果が認められるわけではなく、実用上は除草効果を補強するために、有効成分を2種以上含む混合剤の形で用いることが多い。
【0003】
本発明に関する、下記式(A)で示されるトリアゾリノン化合物は、公知の化合物である(特許文献1参照)。そしてこの化合物は、イネ科雑草を始めとする畑作地、芝地および非農耕地に生育する一年生単子葉雑草、一年生双子葉雑草に卓効を示し、比較的有効期間が長い。しかし、施用時期、対象雑草、有効成分量などによっては、多種多様に発生する雑草を完全に防除することはできないという欠点があった。
【特許文献1】国際公開第98/38176号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は以上のような従来の欠点に鑑み、作物の発生前から生育期まで長期間にわたって、多種多様の雑草を完全に防除できる畑作用除草剤、芝地用除草剤及び非農耕地用除草剤を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意検討した。その結果、下記式(A)で示されるトリアゾリノン化合物と、下記除草性化合物群より選ばれる少なくとも1種以上の化合物を混合すると、除草効果が増強され、混合による効果の和よりも高い防除効果が認められること、また、殺草スペクトラムが広く、長期にわたって雑草の発生を防除することが可能であること、更に畑作物、芝及び他の有用な植物に対して薬害がないことを見出して、本発明を完成させた。
したがって、本願の発明は下記式(A)
【化2】

式(A)

で示される除草性トリアゾリノン化合物である、1−(2,4−ジクロロフェニル)−N−(2,4−ジフルオロフェニル)−N−イソプロピル−1,5−ジヒドロ−5−オキソ−4H−1,2,4−トリアゾール−4−カルボキサミドと、次の除草性化合物群:アイオキシニル、アシュラム、アトラジン、アミカルバゾン、アラクロール、イオドスルフロン、イソウロン、イソキサベン、イソプロツロン、イマザキンアンモニウム塩、イマザピル、イマザモックスアンモニウム塩、イマゾスルフロンメチル、インダノファン、エトキシスルフロン、エトフメセート、塩素酸塩、エンドタール二ナトリウム塩、オキサジアルギル、オキサジクロメホン、オルソベンカーブ、カフェンストロール、カルフェントラゾンエチル、カルブチレート、カルベタミド、キザロホップエチル、キノクラミン、クミルロン、グリホサートアンモニウム塩、グリホサートイソプロアミン塩、グリホサートトリメシウム塩、グルホシネート、グルホシネートP、クレトジム、クロリムロンエチル、クロルフタリウム、シアナジン、シアン酸塩、シクロスルファムロン、ジクワット、シデュロン、ジチオピル、シノスルフロン、ジフルフェニカン、シマジン、ジメテナミド、シンメチリン、セトキシジム、ターバシル、チフェンスルフロンメチル、デスメディファム、テトラピオン、テブチウロン、テプラロキシジム、トリアジフラム、トリクロピル、トリフルラリン、トリフロキシスルフロンナトリウム塩、ナプロパミド、ニコスルフロン、パラコート、パラコートジクロリド、ハロスルフロンメチル、ビアラホス、ビスピリバックナトリウム塩、ビフェノックス、ピラクロニル、ピラゾスルフロンエチル、ピラフルフェンエチル、ピリブチカルブ、フェンメディファム、ブタミホス、フラザスルフロン、フルアジホップPブチル、フルアジホップブチル、フルカルバゾン、フルセトスルフロン、フルチアセットメチル、フルフェナセット、フルポキサム、フルミオキサジン、プロジアミン、プロスルホカルブ、プロピザミド、プロピゾクロール、プロピネブ、ブロマシル、プロメトリン、フロラスラム、ベスロジン、ベンタゾンナトリウム塩、ペンディメタリン、ベンフレセート、メコプロップPカリウム塩、メソトリオン、メタザクロール、メタミトロン、メトスルフロンメチル、メトラクロール、メトリブジン、ヨードスルフロンメチルナトリウム塩、リムスルフロン、レナシル、2,4−PA、8−ヒドロキシキノリン銅、BAH−043、BEH−447、BEH−507、DBN、DCBN、DCMU、DCPA、DPA、IPC、KUH−043、KUH−079、MCP、MCPAイソプロピルアミン塩、MCPAナトリウム塩、MCPAチオエチル、MCPP、MDBA、NAC、PAC、SAP、およびTPNより選ばれる少なくとも1種以上の化合物を有効成分として含有し、畑作用、芝地用および非農耕地用からなる群より選ばれる少なくとも1用途に効果を有することを特徴とする除草剤に関するものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明では、各化合物を混合することにより除草効果が増強され、混合による効果の和よりも高い除草効果が認められる。また、殺草スペクトラムが拡大し、多種多様に発生する雑草を完全に防除できる。したがって、これらの畑作用、芝地用および非農耕地用除草剤組成物は実質的に有効成分量を減じることが可能となった。さらに、畑作物栽培地では、作物の播種あるいは定植後における雑草発生前からある程度生育の進んだ時期まで、芝地においては、雑草の発生前から生育の進んだ時期までのいずれの時期に用いても優れた除草効果を現わし作物および芝類に対して薬害もない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下に、本発明の除草剤についてより詳しく説明する。
本発明で使用する除草性トリアゾリノン化合物である、1−(2,4−ジクロロフェニル)−N−(2,4−ジフルオロフェニル)−N−イソプロピル−1,5−ジヒドロ−5−オキソ−4H−1,2,4−トリアゾール−4−カルボキサミド(A)の防除対象雑草は比較的広範囲にわたる。その例として以下に述べるものが挙げられる。
【0008】
単子葉雑草としては、チモシー(Phleum)、イヌムギ(Bromus)、イヌビエ(Echinochloa)、トボシガラ(Festuca)、エノコログサ(Setaria)、メヒシバ(Digitaria)、オヒシバ(Eleusine)、カモジグサ(Agropyron)、カラスムギ(Avena)、カヤツリグサ(Cyperus)、キビ(Panicum)、ギョウギシバ(Cynodon)、スズメノカタビラ(Poa)、スズメノテッポウ(Alopecurus)、ドクムギ(Lolium)などがある。
【0009】
双子葉雑草としては、ヤエムグラ(Galium)、ノボロギク(Senecio)、ヒユ(Amaranthus)、アカザ(Chenopodium)、アサガオ(Ipomoea)、イチビ(Abutilon)、イヌタデ(Polygonum)、イヌガラシ(Rorippa)、イヌノフグリ(Veronica)、オナモミ(Xanthium)、カラシ(Sinapis)、コセンダングサ(Bidens)、スベリヒユ(Portulaca)、ノアザミ(Cirsium)、ノゲシ(Sonchus)、ハキダメギク(Galinsoga)、ハコベ(Stellaria)、ヒルガオ(Ipomoea)、ブタクサ(Ambrosia)、マメグンバイナズナ(Lepidium)などがある。
【0010】
本発明化合物を施用できる圃場における単子葉植物網の作物としては、コムギ(Triticum)、オオムギ(Hordeum)、イネ(Oryza)、サトウキビ(Saccharum)、トウモロコシ(Zea)、タマネギ(Allium)などがある。また、有用植物である芝に関しては、日本芝類(Zoysia)、バミューダグラス類(Cynodon)、ベントグラス類(Agrostis)、ブルーグラス類(Poa)、フェスク類(Festuca)、ライグラス類(Lolium)などがある。
【0011】
双子葉植物網の作物としては、ダイズ(Glycine)、アズキ(Vigna)、インゲンマメ(Phaseolus)、テンサイ(Beta)、アブラナ(Brassica)、ワタ(Gossypium)、トマト(Lycopersicon)などがある。
【0012】
本発明における前記式(A)で示される除草性トリアゾリノン化合物である、1−(2,4−ジクロロフェニル)−N−(2,4−ジフルオロフェニル)−N−イソプロピル−1,5−ジヒドロ−5−オキソ−4H−1,2,4−トリアゾール−4−カルボキサミドの除草剤としての使用は、これらの雑草および作物、芝、他の有用植物に対しても同じように適用することができる。
【0013】
本発明のもう一方の有効成分である除草性化合物群は、除草剤組成物としてすでに公知であり、例えば、農薬ハンドブック2005年版(社団法人日本植物防疫協会発行、2005年)、「平成19年度畑作関係除草剤試験申請書綴(試験計画及び薬剤特性)」、「平成19年度春夏作芝関係除草剤試験申請書綴(試験計画及び薬剤特性)」、「平成16年度秋冬作芝関係除草剤試験申請書綴(試験計画及び薬剤特性)」、「平成19年度緑地管理関係除草剤試験申請書綴(試験計画及び薬剤特性)」(財団法人 日本植物調節剤研究協会)などに記載されている。
【0014】
本発明で使用する畑作用、芝地用および非農耕地用除草剤は、有効成分として原体そのものを散布してもよいが、より便利に使用できるように担体とともに配合された形で製剤化される。
【0015】
除草剤として製剤化する場合には、その有効成分、すなわち前記式(A)で示される化合物および前記除草性化合物群のうち少なくとも一種類以上を、担体もしくは希釈剤、添加剤、および補助剤等の少なくとも一つと公知の手法で混合して、通常農薬として用いられる製剤形態、例えば、粒剤、微粒剤、水和剤、顆粒水和剤、乳剤、水溶剤、フロアブル剤、錠剤、粉剤、マイクロカプセル剤、ペースト剤などの適宜の形態として調合できる。また、使用時にタンク混合することも可能であり、更に他の公知の活性化合物、他の農薬、例えば、殺菌剤、殺虫剤、除草剤、殺ダニ剤、薬害軽減剤(セイフナー)、植物生長調節剤や肥料、土壌改良剤などと混合または併用して使用することができる。
【0016】
前記の製剤化に際して用いられる担体としては、一般に農薬製剤用に常用される担体ならば固体または液体のいずれのものでも使用できる。担体は特定のものに限定されるものではない。例えばこれら固体担体としては、鉱物質粉末(カオリン、ベントナイト、クレー、モンモリロナイト、タルク、珪藻土、雲母、バーミキュライト、石英、炭酸カルシウム、リン灰石、ホワイトカーボン、消石灰、珪砂、硫安、尿素など)、植物質粉末(大豆粉、小麦粉、木粉、タバコ粉、デンプン、結晶セルロースなど)、高分子化合物(石油樹脂、ポリ塩化ビニル、ケトン樹脂など)、アルミナ、ケイ酸塩、糖重合体、高分散性ケイ酸、ワックス類などが挙げられる。
【0017】
また、使用できる液体担体としては水、アルコール類(メチルアルコール、エチルアルコール、n-プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブタノール、エチレングリコール、ベンジルアルコールなど)、芳香族炭化水素類(トルエン、ベンゼン、キシレン、エチルベンゼン、メチルナフタレンなど)、エーテル類(エチルエーテル、エチレンオキシド、ジオキサン、テトラヒドロフランなど)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトン、イソホロンなど)、エステル類(酢酸エチル、酢酸ブチル、エチレングリコールアセテート、酢酸アミルなど)、酸アミド類(ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなど)、ニトリル類(アセトニトリル、プロピオニトリル、アクリロニトリルなど)、スルホキシド類(ジメチルスルホキシドなど)、アルコールエーテル類(エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルなど)脂肪族または脂環式炭化水素類(n-ヘキサン、シクロヘキサンなど)、工業用ガソリン(石油エーテル、ソルベントナフサなど)、石油留分(パラフィン類、灯油、軽油など)が挙げられる。
【0018】
乳剤、水和剤、フロアブル剤などに製剤化する場合には、乳化、分散、可溶化、湿潤、発泡、潤滑、拡展などの目的で各種の界面活性剤が本組成物に配合される。このような界面活性剤としては非イオン型界面活性剤(ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンソルビタンアルキルエステルなど)、陰イオン型界面活性剤(アルキルベンゼンスルホネート、アルキルスルホサクシネート、アルキルサルフェート、ポリオキシエチレンアルキルアルキルサルフェート、アリールスルホネートなど)、陽イオン型界面活性剤〔アルキルアミン類(ラウリルアミン、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライドなど)、ポリオキシエチレンアルキルアミン類〕、両性型界面活性剤〔カルボン酸(ベタイン型)、硫酸エステル塩など〕などが挙げられるが、これらの例示されたもののみに限定されるものでない。
【0019】
また、これらの他にポリビニルアルコール(PVA)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、アラビアゴム、ポリビニルアセテート、アルギン酸ソーダ、ゼラチン、トラガカントゴムなどの各種補助剤を使用することができる。
【0020】
前記の担体、界面活性剤および補助剤は、製剤の剤型、適用場面などを考慮して目的に応じてそれぞれ単独にあるいは組み合わせて適宜使用される。さらに、他の除草剤、殺菌剤、殺虫剤、植物生育調節剤、肥料などと併用することができる。特に他の除草剤の一種あるいは二種以上を配合することにより本発明の効果をより安定化することができる。
【0021】
本発明の畑作用除草剤は、作物の播種後から作物の生育期に施用することができるが、より好ましくは畑作地に生育する雑草の発生前から生育初期段階の施用が望ましい。また、芝地用除草剤としては芝地雑草の発生前から生育期、より好ましくは雑草の発生前から生育初期段階に施用するのが望ましい。また、非農耕地用除草剤は、雑草の発生前から生育の進んだ時期に施用することができる。より詳しく述べると、畑作用除草剤として麦類に適用する場合は、トリアゾリノン化合物(A)と、除草性化合物群としてMCPA、IPC、シマジン、プロメトリン、ベンタゾン、トリフルラリン、ペンディメタリン、アイオキシニル、またはピラフルフェンエチルのうち少なくとも1種以上の化合物との混合除草剤が望ましい。
【0022】
トウモロコシ類に対しては、同様に、トリアゾリノン化合物(A)と、除草性化合物群としてMCPA、IPC、アラクロール、メトラクロール、ジメテナミド、ニコスルフロン、シマジン、アトラジン、プロメトリン、ベンタゾン、ペンディメタリンのうち少なくとも1種類以上の化合物との混合除草剤が望ましい。
【0023】
豆類に対しては、同様に、トリアゾリノン化合物(A)と除草性化合物群としてフルアジホップ、キザロホップエチル、IPC、アラクロール、メトラクロール、ジメテナミド、シマジン、プロメトリン、トリフルラリン、アイオキシニル、ベンタゾン、イマザモックスアンモニウム塩のうち少なくとも1種類以上の化合物との混合除草剤が望ましい。
【0024】
たまねぎに対しては、同様に、トリアゾリノン化合物(A)と除草性化合物群としてフルアジホップ、IPC、シマジン、シアナジン、ベンタゾン、トリフルラリン、ペンディメタリン、アイオキシニル、プロメトリン、メトラクロールのうち少なくとも1種類以上の化合物との混合除草剤が望ましい。
【0025】
芝類に対しては、同様に、トリアゾリノン化合物(A)と除草性化合物群としてトリクロピル、MCPイソプロピルアミン塩、メコクロップ、オルソベンカーブ、アシュラム、ナプロパミド、プロピザミド、イソキサベン、カフェンストロール、シクロスルファムロン、イマゾスルフロン、シノスルフロン、ハロスルフロンメチル、ピラゾスルフロンエチル、メトスルフロンメチル、シアナジン、シマジン、プロジアミン、ベスロジン、ペンディメタリン、イマザキンアンモニウム塩、MDBA、ジチオピル、カルフェントラゾンエチル、DCBN、クロルフタリウム、エンドタール二ナトリウム塩、トリアジフラムのうち少なくとも1種類以上の化合物との混合除草剤が望ましい。
【0026】
非農耕地に用いる場合には、同様に、トリアゾリノン化合物(A)と除草性化合物群としてパラコート、ジクワット、グルホシネート、グルホシネートP、グリホサートアンモニウム塩、グリホサートイソプロアミン塩、グリホサートトリメシウム塩、塩素酸塩、シアン酸塩、ビスピリバックナトリウム塩のうち少なくとも1種類以上の化合物との混合除草剤が望ましい。
【0027】
本発明で用いることができるトリアゾリノン化合物(A)の混合相手である除草性化合物群は、これらの例示のみに限定されるものではない。そして、上記に記載の他の除草性化合物郡または未記載の除草性化合物でも本発明と同じ目的を達成しうるものは本発明(B)成分の除草性化合物の例として有効に使用することができる。
【0028】
実際に使用する場合、次の方法で使用するのが一般的であり好ましい。すなわち、水和剤、顆粒水和剤の場合は、10アール当り、25g〜2000g(ml)を水で希釈して、25〜300L(リットル)を均一に散布すればよい。また、粒剤の場合は、10アール当り、100g〜20kgを均一に散布すればよい。また、使用時期、気象条件、使用方法、使用剤型、使用場所、対象雑草、対象作物、芝等の条件によっては問題のない範囲で使用量を変えることも可能であり、特に限定されるものではない。
【実施例】
【0029】
本発明による、除草性トリアゾリノン化合物である、1−(2,4−ジクロロフェニル)−N−(2,4−ジフルオロフェニル)−N−イソプロピル−1,5−ジヒドロ−5−オキソ−4H−1,2,4−トリアゾール−4−カルボキサミド(A)と上記記載の除草性化合物群を有効成分として含有する畑作用、芝地用および非農耕地用除草剤の優れた効果を、以下の実施例(製剤例および試験例)により具体的に説明する。しかし、本発明の範囲は当該実施例で示した態様のみに限定されるものではない。
【0030】
なお、実施例中で部とあるものは、すべて重量部である。
【0031】
また、下記の実施例で使用した除草性化合物群は、下記のとおりである。
化合物B:ペンディメタリン
化合物C:トリフルラリン
化合物D:プロメトリン
化合物E:IPC
化合物F:シアナジン
化合物G:グリホサートアンモニウム塩
【0032】
[製剤例1](粒剤)
化合物A 2.5部
化合物B 2.25部
リグニンスルホン酸ナトリウム 2部
ラウリル硫酸ナトリウム 2部
ベントナイト 45部
タルク 46.25部
計 100部
上記の組成を混合粉砕した後、適量の水を加えて混練し、造粒機を用いて常法により造粒し、粒剤を得た。
【0033】
[製剤例2](フロアブル剤)
化合物A 10部
化合物C 8.9部
ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテルホスフェート 3部
キサンタンガンガム 0.5部
エチレングリコール 5部
ソルビン酸カリウム 0.5部
水 72.1部
計 100部
上記の組成をホモミキサー(日本特殊機化工業株式会社製)で均一に混合分散させ、フロアブル剤を得た。
【0034】
[製剤例3](水和剤)
化合物A 10部
化合物D 5部
ポリオキシアルキレンアルキルエーテル 2部
ラウリル硫酸ナトリウム 2部
ホワイトカーボン 5部
クレー 76部
計 100部
上記の組成を均一に混合し、粉砕して水和剤を得た。
【0035】
[製剤例4](乳剤)
化合物A 10部
化合物E 9.16部
ソルポール700HD(東邦化学工業株式会社製) 10部
キシレン 70.84部
計 100部
【0036】
[製剤例5](顆粒水和剤)
化合物A 10部
化合物F 10部
βナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物のナトリウム塩 5部
ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルサルフェート 3部
クレー 72部
計 100部
上記の組成物を混合粉砕した後、水10部を加えて混練し、0.5mmのスクリーンを付けた押し出し造粒機にて造粒後、乾燥、整粒し、顆粒水和剤を得た。
【0037】
[製剤例6](フロアブル剤)
化合物A 2部
化合物G 4.1部
ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテルホスフェート 3部
キサンタンガンガム 0.5部
エチレングリコール 5部
ソルビン酸カリウム 0.5部
水 84.9部
計100部
上記の組成をホモミキサー(日本特殊機化工業株式会社製)で均一に混合分散させ、フロアブル剤を得た。

【0038】
次に、本発明の除草剤の試験例を示す。
[試験例1]コムギ及び雑草に対する効果(土壌処理:雑草発生前)
1/2000アールのワグネルポットに小麦を播種し、同時に休眠覚醒させたスズメノカタビラ、ハコベを播種した。薬剤処理は、作物の発生前、雑草の発生前に行った。
製剤例1〜5に準拠して有効成分量を調整し製造した剤型の所定量をそのまま、あるいは希釈を行い所定濃度に調製した後、供試作物および雑草に炭酸ガス式散布機を用いて処理した。ただし、粒剤は所定量をそのまま土壌表面に均一に処理した。薬剤処理1ヶ月後に作物に対する薬害および雑草の防除効果を調査した。調査方法は、残草量(g:生草重)をはかり、無処理区の残草量(g)との対比で抑草率(%)を下記に示す計算式(1)により求めた。また、作物の薬害も同様な式により算出した。試験は3反復で行なった。一方、比較例として、除草性トリアゾリノン化合物と公知の除草性化合物をそれぞれ単独で処理し、同様に試験を実施した。これらの結果を表1に示す。なお、表中の(A)は、前記式(A)で示される除草性トリアゾリノン化合物をあらわし、(B)はペンディメタリンをあらわす。
【0039】
【表1】

【0040】
(数1) 計算式(1)

【0041】
[試験例2]ダイズ及び雑草に対する効果(土壌処理:雑草発生前)
1/2000アールのワグネルポットにダイズを播種し、同時に休眠覚醒させたメヒシバ、イヌビエ、オオイヌタデ、シロザ、ハコベを播種した。薬剤処理は、作物の発生前、雑草の発生前に行った。
製剤例1〜5に準拠して有効成分量を調整し製造した剤型の所定量をそのまま、あるいは希釈を行い所定濃度に調整した後、供試作物および雑草に炭酸ガス式散布機を用いて処理した。ただし、粒剤は、所定量をそのまま土壌表面に均一に処理した。薬剤処理1ヶ月後に作物に対する薬害および雑草の防除効果を調査した。調査方法は、残草量(g:生草重)をはかり、無処理区の残草量(g)との対比で抑草率(%)を上記に示す計算式(1)により求めた。また、作物の薬害も同様な式により算出した。試験は3反復で行なった。一方、比較例として、除草性トリアゾリノン化合物と公知の除草性化合物をそれぞれ単独で処理し、同様に試験を実施した。これらの結果を表2に示す。なお、表中の(A)は、前記式(A)で示される除草性トリアゾリノン化合物をあらわし、(C)はトリフルラリン、(D)はプロメトリンをあらわす。
【0042】
【表2】

【0043】
[試験例3]タマネギ及び雑草に対する効果(土壌処理:タマネギ定植活着後、雑草発生前)
1/2000アールのワグネルポットに3葉期のタマネギを定植し、同時に休眠覚醒させたメヒシバ、イヌビエ、ノボロギク、オオイヌタデ、シロザ、ハコベを播種した。薬剤処理は、タマネギの定植活着後、雑草の発生前に行った。
製剤例1〜5に準拠して有効成分量を調整し製造した剤型の所定量をそのまま、あるいは希釈を行い所定濃度に調整した後、供試作物および雑草に炭酸ガス式散布機を用いて処理した。ただし、粒剤は所定量をそのまま土壌表面に均一に処理した。薬剤処理1ヶ月後に作物に対する薬害および雑草の防除効果を調査した。調査方法は、残草量(g:生草重)をはかり、無処理区の残草量(g)との対比で抑草率(%)を上記に示す計算式(1)により求めた。また、作物の薬害も同様な式により算出した。試験は3反復で行なった。一方、比較例として、除草性トリアゾリノン化合物と公知の除草性化合物をそれぞれ単独で処理し、同様に試験を実施した。これらの結果を表3に示す。なお、表中の(A)は、前記式(A)で示される除草性トリアゾリノン化合物あらわし、(C)はトリフルラリンをあらわす。
【0044】
【表3】



【0045】
[試験例4]コウライシバ及び雑草に対する効果(土壌処理:雑草発生前から生育初期)
1/2000アールのワグネルポットに2年間育成したコウライシバを、草丈1cmに刈り取った後、休眠覚醒させたメヒシバ、スズメノカタビラ、ハコベを播種し、軽く芝目土で覆土した。薬剤処理は、雑草の0.5〜1葉期に行なった。
製剤例1〜5に準拠して有効成分量を調整し製造した剤型の所定量をそのまま、あるいは希釈を行い所定濃度に調整した後、供試作物および雑草に炭酸ガス式散布機を用いて処理した。ただし、粒剤は所定量をそのまま土壌表面に均一に処理した。薬剤処理1ヶ月後に芝草に対する薬害を、また、4ヶ月後に雑草の防除効果を調査した。調査方法は、残草量(g:生草重)をはかり、無処理区の残草量(g)との対比で抑草率(%)を上記に示す計算式(1)により求めた。なお、芝草については、薬害程度の観察調査を行なった。試験は3反復で行なった。一方、比較例として、除草性トリアゾリノン化合物と公知の除草性化合物をそれぞれ単独で処理し、同様に試験を実施した。これらの結果を表4に示す。なお、表中の(A)は、前記式(A)で示される除草性トリアゾリノン化合物をあらわし、(B)はペンディメタリン、(F)はシアナジンをあらわす。
【0046】
【表4】

【0047】
[試験例5]非農耕地用除草剤としての除草効果(茎葉処理:雑草生育期)
1/2000アールのワグネルポットに、休眠覚醒させたメヒシバ、ネズミムギ、スベリヒユ、マルバアサガオを播種した。薬剤処理は、メヒシバの草丈が20cm、ネズミムギが30cm、スベリヒユが15cm、マルバアサガオが25cmに生育した時に行った。
製剤例6に準拠して有効成分量を調整し製造した製剤を希釈し、所定濃度に調製した後、雑草に炭酸ガス式散布機を用いて処理した。調査は薬剤処理1ヶ月後に、残草量(g:生草重)をはかり、無処理区の残草量(g)との対比で、抑草率(%)を上記に示す計算式(1)により求めた。試験は3反復で行なった。一方、比較例として、除草性トリアゾリノン化合物と公知の除草性化合物をそれぞれ単独で処理し、同様に試験を実施した。これらの結果を表5に示す。なお、表中の(A)は、前記一般式(1)で示される除草性トリアゾリノン化合物あらわし、(G)はグリホサートアンモニウム塩をあらわす。
【0048】
【表5】

【0049】
表1〜5に示す通り、本発明の除草性トリアゾリノン化合物(A)と除草活性化合物群との混合除草剤は、どの薬量であっても、あらゆる雑草に対し、90%以上の抑草率であり、非常に高い除草効果を示した。一方、除草性トリアゾリノン化合物(A)と除草性化合物群は、単独であってもある程度の抑草率を示したが、薬量を少なくすると抑草率が急激に低下した。これに対して、本発明の混合除草剤は、薬量を少なくしてもほとんど抑草率は低下しなかった。したがって、混合除草剤とすることによって、各成分の効果の単なる和と比較して、顕著に高い除草効果を得ることができるとともに、除草剤の実質的な有効成分量を減少させることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(A)
【化1】


式(A)

で示される除草性トリアゾリノン化合物である、1−(2,4−ジクロロフェニル)−N−(2,4−ジフルオロフェニル)−N−イソプロピル−1,5−ジヒドロ−5−オキソ−4H−1,2,4−トリアゾール−4−カルボキサミドと、次の除草性化合物群:アイオキシニル、アシュラム、アトラジン、アミカルバゾン、アラクロール、イオドスルフロン、イソウロン、イソキサベン、イソプロツロン、イマザキンアンモニウム塩、イマザピル、イマザモックスアンモニウム塩、イマゾスルフロンメチル、インダノファン、エトキシスルフロン、エトフメセート、塩素酸塩、エンドタール二ナトリウム塩、オキサジアルギル、オキサジクロメホン、オルソベンカーブ、カフェンストロール、カルフェントラゾンエチル、カルブチレート、カルベタミド、キザロホップエチル、キノクラミン、クミルロン、グリホサートアンモニウム塩、グリホサートイソプロアミン塩、グリホサートトリメシウム塩、グルホシネート、グルホシネートP、クレトジム、クロリムロンエチル、クロルフタリウム、シアナジン、シアン酸塩、シクロスルファムロン、ジクワット、シデュロン、ジチオピル、シノスルフロン、ジフルフェニカン、シマジン、ジメテナミド、シンメチリン、セトキシジム、ターバシル、チフェンスルフロンメチル、デスメディファム、テトラピオン、テブチウロン、テプラロキシジム、トリアジフラム、トリクロピル、トリフルラリン、トリフロキシスルフロンナトリウム塩、ナプロパミド、ニコスルフロン、パラコート、パラコートジクロリド、ハロスルフロンメチル、ビアラホス、ビスピリバックナトリウム塩、ビフェノックス、ピラクロニル、ピラゾスルフロンエチル、ピラフルフェンエチル、ピリブチカルブ、フェンメディファム、ブタミホス、フラザスルフロン、フルアジホップPブチル、フルアジホップブチル、フルカルバゾン、フルセトスルフロン、フルチアセットメチル、フルフェナセット、フルポキサム、フルミオキサジン、プロジアミン、プロスルホカルブ、プロピザミド、プロピゾクロール、プロピネブ、ブロマシル、プロメトリン、フロラスラム、ベスロジン、ベンタゾンナトリウム塩、ペンディメタリン、ベンフレセート、メコプロップPカリウム塩、メソトリオン、メタザクロール、メタミトロン、メトスルフロンメチル、メトラクロール、メトリブジン、ヨードスルフロンメチルナトリウム塩、リムスルフロン、レナシル、2,4−PA、8−ヒドロキシキノリン銅、BAH−043、BEH−447、BEH−507、DBN、DCBN、DCMU、DCPA、DPA、IPC、KUH−043、KUH−079、MCP、MCPAイソプロピルアミン塩、MCPAナトリウム塩、MCPAチオエチル、MCPP、MDBA、NAC、PAC、SAP、およびTPNより選ばれる少なくとも1種以上の化合物を有効成分として含有し、畑作用、芝地用および非農耕地用からなる群より選ばれる少なくとも1用途に効果を有することを特徴とする除草剤。

【公開番号】特開2009−120503(P2009−120503A)
【公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−293970(P2007−293970)
【出願日】平成19年11月13日(2007.11.13)
【出願人】(000242002)北興化学工業株式会社 (182)
【Fターム(参考)】