説明

除草装置

【課題】 トラクタを傾斜地で走行させる場合であっても、作物列に追従するように除草タインを移動させることができる除草装置を提供することである。
【解決手段】 進行方向に対して直交方向に配置された支持部材と、支持部材に装着されたシリンダと、支持部材の両端に、支持部材と直交する方向に延びるように配置された縦桁と、ヒンジ部を介して水平面内において回転可能に縦材に取り付けられ、後端に除草タインが取り付けられた除草タイン取付部材と、支持部材の上方に位置し、除草タイン取付部材同士をピンを介して連結する連結部材とを備え、シリンダのロッドの先端と連結部材とを連結し、ロッドを伸縮させて除草タイン取付部材を左右に移動させることにより、作物列に追従するように除草タインを移動させるように構成されていることを特徴とする除草装置が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に、除草装置に関する。より詳細には、本発明は、作物列に追従するように除草タインの移動を可能にした除草装置に関する。
【背景技術】
【0002】
カルチベータ等の後部に取り付けて使用される除草装置が知られている。このような除草装置は、除草装置が取り付けられたカルチベータ等をトラクタで牽引することによって、除草タインを畝に接触させて除草を行うように構成されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述のような除草装置では、カルチベータ等(従って、除草装置)を牽引するトラクタが平坦地を走行する場合には、作物列に追従するように除草タインを移動させることができるが、山側から谷側に向かって傾斜する傾斜地に沿ってトラクタを走行させようとすると、トラクタが谷側にずり落ちないように山側に向かって傾斜させた状態で走行させなければならないため、除草タインが作物列に対して斜めに移動することとなり、その結果、除草タインで作物を傷つけてしまうという課題があった。
【0004】
本発明は、このような状況に鑑みて開発されたものであって、トラクタを傾斜地で走行させる場合であっても、作物列に追従するように除草タインを移動させることができる除草装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願請求項1に記載の除草装置は、進行方向に対してほぼ直交する方向に配置された支持部材と、前記支持部材に装着されたシリンダと、前記支持部材の両端に、前記支持部材と直交する方向に延びるようにそれぞれ配置された縦桁と、ヒンジ部を介して水平面内において回転可能に前記縦材にそれぞれ取り付けられ、除草タインが取り付けられた除草タイン取付部材と、前記支持部材の上方に位置し、前記除草タイン取付部材同士をピンを介して連結する連結部材とを備え、前記シリンダのロッドの先端と前記連結部材とを連結し、前記ロッドを伸縮させて除草タイン取付部材を左右に移動させることにより、作物列に追従するように除草タインを移動させるように構成されていることを特徴とするものである。
【0006】
本願請求項2に記載の除草装置は、進行方向に対してほぼ直交する方向に配置された支持部材と、前記支持部材に装着されたシリンダと、前記支持部材に入れ子式に収納された摺動部材と、前記摺動部材とほぼ直交するように前記摺動部材に取り付けられ、除草タインが取り付けられた除草タイン取付部材とを備え、前記シリンダのロッドの先端と前記摺動部材とを連結し、前記ロッドを伸縮させて除草タイン取付部材を左右に移動させることにより、作物列に追従するように除草タインを移動させるように構成されていることを特徴とするものである。
【0007】
本願請求項3に記載の除草装置は、進行方向に対してほぼ直交する方向に配置された支持部材と、前記支持部材に装着されたシリンダと、前記支持部材に入れ子式に収納された摺動部材と、前記摺動部材とほぼ直交するように前記摺動部材に取り付けられ、除草タインが取り付けられた除草タイン取付部材とを有する主ユニットと、進行方向に対してほぼ直交する方向に配置された支持部材と、前記支持部材に入れ子式に収納された摺動部材と、前記摺動部材とほぼ直交するように前記摺動部材に取り付けられ、除草タインが取り付けられた除草タイン取付部材とを有する1又は複数の副ユニットとを備え、前記主ユニットの摺動部材と前記副ユニットの摺動部材が連結されており、前記シリンダのロッドの先端と前記主ユニットの摺動部材とを連結し、前記ロッドを伸縮させて除草タイン取付部材を左右に移動させることにより、作物列に追従するように除草タインを移動させるように構成されていることを特徴とするものである。
【0008】
本願請求項4に記載の除草装置は、進行方向に対してほぼ直交する方向に配置され、側方が開放したU形横断面部材で形成され、前記U形横断面部材の開放側にローラが回転可能に取り付けられた支持部材と、前記支持部材に装着されたシリンダと、前記U形横断面部材と前記ローラで構成された空間内に収納された摺動部材と、前記摺動部材とほぼ直交するように前記摺動部材に取り付けられ、除草タインが取り付けられた除草タイン取付部材とを備え、前記シリンダのロッドの先端と前記摺動部材とを連結し、前記ロッドを伸縮させて除草タイン取付部材を左右に移動させることにより、作物列に追従するように除草タインを移動させるように構成されていることを特徴とするものである。
【0009】
本願請求項5に記載の除草装置は、進行方向に対してほぼ直交する方向に配置され、側方が開放したU形横断面部材で形成され、前記U形横断面部材の開放側にローラが回転可能に取り付けられた支持部材と、前記支持部材に装着されたシリンダと、前記U形横断面部材と前記ローラで構成された空間内に収納された摺動部材と、前記摺動部材とほぼ直交するように前記摺動部材に取り付けられ、除草タインが取り付けられた除草タイン取付部材とを有する主ユニットと、進行方向に対してほぼ直交する方向に配置され、側方が開放したU形横断面部材で形成され、前記U形横断面部材の開放側にローラが回転可能に取り付けられた支持部材と、前記U形横断面部材と前記ローラで構成された空間内に収納された摺動部材と、前記摺動部材とほぼ直交するように前記摺動部材に取り付けられ、除草タインが取り付けられた除草タイン取付部材とを有する1又は複数の副ユニットとを備え、前記主ユニットの摺動部材と前記副ユニットの摺動部材が連結されており、前記シリンダのロッドの先端と前記主ユニットの摺動部材とを連結し、前記ロッドを伸縮させて除草タイン取付部材を左右に移動させることにより、作物列に追従するように除草タインを移動させるように構成されていることを特徴とするものである。
【0010】
本願請求項6に記載の除草装置は、進行方向に対してほぼ直交する方向に配置された支持部材と、後端が水平面内において回転可能となるように前記支持部材に装着されたシリンダと、前記支持部材とほぼ平行に配置された横材と、前記支持部材及び前記横材と結合してリンク機構を構成する第1リンク部材及び第2リンク部材と、前記横材とほぼ直交するように前記横材に取り付けられ、除草タインが取り付けられた除草タイン取付部材とを備え、前記シリンダのロッドの先端と前記第1リンク部材とを連結し、前記ロッドを伸縮させて前記リンク機構を作動させ、除草タイン取付部材を左右に移動させることにより、作物列に追従するように除草タインを移動させるように構成されていることを特徴とするものである。
【0011】
本願請求項7に記載の除草装置は、進行方向に対してほぼ直交する方向に配置された支持部材と、後端が水平面内において回転可能となるように前記支持部材に装着されたシリンダと、前記支持部材とほぼ平行に配置された横材と、前記支持部材及び前記横材と結合してリンク機構を構成する第1リンク部材及び第2リンク部材と、前記横材とほぼ直交するように前記横材に取り付けられ、除草タインが取り付けられた除草タイン取付部材とを有する主ユニットと、進行方向に対してほぼ直交する方向に配置された支持部材と、前記支持部材とほぼ平行に配置された横材と、前記支持部材及び前記横材と結合してリンク機構を構成する第1リンク部材及び第2リンク部材と、前記横材とほぼ直交するように前記横材に取り付けられ、除草タインが取り付けられた除草タイン取付部材とを有する1又は複数の副ユニットとを備え、前記主ユニットの前記横材と前記副ユニットの前記横材とを連結し、前記シリンダのロッドの先端と前記第1リンク部材とを連結し、前記ロッドを伸縮させて前記リンク機構を作動させ、除草タイン取付部材を左右に移動させることにより、作物列に追従するように除草タインを移動させるように構成されていることを特徴とするものである。
【0012】
本願請求項8に記載の除草装置は、前記請求項1から請求項7のいずれか1項に記載された装置において、作物列の位置を検知するセンサを更に備え、除草タインの位置と作物列の位置とにずれが生じた場合に、前記シリンダが駆動するように構成されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、シリンダを駆動させることにより、作物列に追従するように除草タインの位置を容易に調整することができる。とりわけ、本発明の第2、第3及び第4の実施の形態に係る装置では、除草タインを傾斜させずに直立状態を保持したまま移動させることができるので、除草作業時に作物を傷つけるおそれを大幅に減少させ、効率的な除草作業を可能にする。また、本発明の第3の実施の形態に係る装置では、支持部材がU形横断面部材で形成されているため、支持部材と摺動部材との間の隙間に土やゴミ等の異物が挟まった場合であっても、U形横断面部材の開放側からこれらの異物を容易に取り除くことができる。本発明の装置は、構造が比較的簡単であるため、製造コストが廉価であり、故障するおそれも少ないため、メンテナンスコストを安価に保持することができる。本発明の装置では、トラクタの運転席にシリンダのコントロールボックス(操作盤)を設置することにより、運転席に座した状態で除草タインの位置の調整を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
次に添付図面を参照して、本発明の好ましい実施の形態に係る除草装置について詳細に説明する。図1は、本発明の第1の実施の形態に係る除草装置の全体を示した概略斜視図、図2は、図1の除草装置の正面図、図3は、図1の除草装置の平面図である。図1において全体として参照符号10で示される本発明の第1の実施の形態に係る除草装置は、除草装置の進行方向に対してほぼ直交する方向に配置された支持部材12を備えており、支持部材12には、シリンダ14が装着されている。シリンダ14は、駆動源14bで駆動されるようになっている。なお、シリンダ14は、電動式のものでもよく油圧式のものでもよい。
【0015】
支持部材12の両端には、支持部材12と直交して進行方向に延びるように、縦材16がそれぞれ取り付けられている。
【0016】
除草装置10は又、前端がヒンジ部18を介して水平面内において回転可能に縦材16に取り付けられた除草タイン取付部材20を備えている。各々の除草タイン取付部材20の後端には、(図1では2基の)除草タイン22がそれぞれ取付けられている。なお、除草タイン22自体は、公知の除草用器具である。
【0017】
除草装置10は更に、支持部材12の上方に位置し、左右の除草タイン取付部材20同士をピン24aでそれぞれ連結するための連結部材24を備えている。連結部材24は、シリンダ14のロッド14aの先端と連結具26を介して連結されている。
【0018】
除草装置10は、接続具28を介してカルチベータ(図示せず)に接続され、カルチベータをトラクタ(図示せず)で牽引することによって使用される。
【0019】
次に図4および図5を参照して、以上のように構成された除草装置10の作動について説明する。カルチベータに除草装置10を接続し、トラクタでカルチベータを牽引することによって除草作業が行われる。除草作業に際しては、除草タイン22の中心線が作物列に追従するように除草装置10を移動させるが、トラクタを傾斜させた状態で走行させようとする場合には、作物列に追従するように除草タイン22を移動させる。すなわち、シリンダ14を駆動させてロッド14aを伸長させると、図4に示されるように、連結部材24が右方に移動するので、左右の除草タイン取付部材20がヒンジ部18を中心として反時計回りに回転し、これにより、除草タイン22が右方に移動することとなる。一方、シリンダ14を駆動させてロッド14aを収縮させると、図5に示されるように、連結部材24が左方に移動するので、左右の除草タイン取付部材20がヒンジ部18を中心として時計回りに回転し、これにより、除草タイン22が左方に移動することとなる。
【0020】
図6は、除草装置10の変形形態を示した平面図である。図1に示される除草装置10では、ヒンジ部材18の後方に支持部材12、シリンダ14および連結部材24が配置されているが、図6に示されるように、ヒンジ部材18の前方に支持部材12、シリンダ14および連結部材24を配置してもよい。図6に示される除草装置では、ロッド14aを伸長させると連結部材24が右方に移動し、その結果、除草タイン22が左方に移動する(黒矢印参照)。一方、ロッド14aを収縮させると連結部材24が左方に移動し、その結果、除草タイン22が右方に移動する(白矢印参照)。
【0021】
図7は、除草装置10の別の変形形態を示した平面図である。図7に示される除草装置は、2基の2条式の除草装置10を連結して、4条式の除草装置としたものである。すなわち、2基の2条式の除草装置10の連結部材24同士を第2連結部材25で連結することによって、一方の(右側の)除草装置10に装着されているシリンダ14のロッド14aの伸縮運動を他方の(左側の)除草装置10にも及ぼそうとするものである。
【0022】
図8は、本発明の第2の実施の形態に係る除草装置の全体を示した概略斜視図である。図8において全体として参照符号30で示される本発明の第2の実施の形態に係る除草装置は、除草装置の進行方向に対してほぼ直交する方向に配置された支持部材32を備えており、支持部材32には、シリンダ34が装着されている。シリンダ34は、駆動源34bで駆動されるようになっている。なお、シリンダ34は、シリンダ14と同様に、電動式のものでもよく油圧式のものでもよい。
【0023】
除草装置30は又、支持部材32に入れ子式に収納された摺動部材36を備えている(図9参照)。摺動部材36の両端には、締金38を介して除草タイン取付部材40がボルト留めされており、各々の除草タイン取付部材40の後端には、(図8では2基の)除草タイン42がそれぞれ取付けられている。なお、支持部材32は、角形パイプとして図示されていが、摺動部材36を入れ子式に収納することができるものであれば、円形パイプ等の他の部材を使用してもよい。
【0024】
除草装置30は更に、シリンダ34のロッド34aと摺動部材36を連結するための連結部材44を備えている(図10参照)。
【0025】
なお、除草装置30は、除草装置10と同様に、接続具46を介してカルチベータ(図示せず)に接続され、カルチベータをトラクタ(図示せず)で牽引することによって使用される。
【0026】
次に図12を参照して、以上のように構成された除草装置30の作動について説明する。除草装置10の場合と同様に、カルチベータに除草装置30を接続し、トラクタでカルチベータを牽引することによって除草作業が行われる。除草作業に際しては、除草タイン32の中心線が作物列に追従するように除草装置30を移動させるが、トラクタを傾斜させた状態で走行させようとする場合には、作物列に追従するように除草タイン32を移動させる。すなわち、シリンダ34を駆動させてロッド34aを伸長させると、図12に示されるように、摺動部材36が左方に移動するので、摺動部材36の両端に取り付けられている左右の除草タイン取付部材40(従って、除草タイン42)が左方に移動することとなる。一方、シリンダ34を駆動させてロッド34aを収縮させると、摺動部材36が右方に移動するので、摺動部材36の両端に取り付けられている左右の除草タイン取付部材40(従って、除草タイン42)が右方に移動することとなる。
【0027】
図13は、除草装置30の変形形態を示した平面図である。図13に示される除草装置は、2基の2条式の除草装置30を連結して、4条式の除草装置としたものである。すなわち、2基の2条式の除草装置30の摺動部材36同士を連結部材35で連結することによって、一方の(右側の)除草装置(主ユニット)30に装着されているシリンダ34のロッド34aの伸縮運動を他方の(左側の)除草装置(副ユニット)30にも及ぼそうとするものである。なお、この際、複数の副ユニットを連結してもよい。
【0028】
図14は、本発明の第3の実施の形態に係る除草装置の全体を示した概略斜視図である。図14において全体として参照符号50で示される本発明の第3の実施の形態に係る除草装置は、除草装置の進行方向に対してほぼ直交する方向に配置された支持部材52を備えており、支持部材52には、シリンダ54が装着されている。
【0029】
支持部材52は、図18(b)に最も良く示されるように、側方が開放した、ほぼU形横断面の部材52aで形成されており、部材52aの開放側にローラ52bが回転可能に装着されている。また、シリンダ54は、駆動源54bで駆動されるようになっている。なお、シリンダ54は、シリンダ14、34と同様に、電動式のものでもよく油圧式のものでもよい。
【0030】
除草装置50は又、支持部材52に摺動可能に収納された摺動部材56を備えている。すなわち、部材52aとローラ52bで構成された空間内に摺動部材56が収納されており(図18(b)参照)、摺動部材56は、ローラ52bに沿って円滑に摺動するようになっている。
【0031】
摺動部材56の両端には、締金58を介して除草タイン取付部材60がボルト留めされており、各々の除草タイン取付部材60には、(図14では3基の)除草タイン62がそれぞれ取付けられている。
【0032】
除草装置50は更に、シリンダ54のロッド54aと摺動部材56を連結するための連結部材64を備えている(図14参照)。
【0033】
なお、除草装置50は、除草装置10、30と同様に、接続具66を介してカルチベータ(図示せず)に接続され、カルチベータをトラクタ(図示せず)で牽引することによって使用される。
【0034】
次に図15〜図17を参照して、以上のように構成された除草装置50の作動について説明する。除草装置10、30の場合と同様に、カルチベータに除草装置50を接続し、トラクタでカルチベータを牽引することによって除草作業が行われる。除草作業に際しては、除草タイン62の中心線が作物列に追従するように除草装置50を移動させるが、トラクタを傾斜させた状態で走行させようとする場合には、作物列に追従するように除草タイン62を移動させる。すなわち、シリンダ54を駆動させてロッド54aを伸長させると、図16に示されるように、摺動部材56が左方に移動するので、摺動部材56の両端に取り付けられている左右の除草タイン取付部材60(従って、除草タイン62)が左方に移動することとなる。一方、シリンダ54を駆動させてロッド54aを収縮させると、図17に示されるように、摺動部材56が右方に移動するので、摺動部材56の両端に取り付けられている左右の除草タイン取付部材60(従って、除草タイン62)が右方に移動することとなる。
【0035】
図19は、除草装置50の変形形態を示した斜視図である。図19に示される除草装置は、2基の2条式の除草装置50を連結して、4条式の除草装置としたものである。すなわち、2基の2条式の除草装置50の摺動部材56同士を連結部材55で連結することによって、一方の(右側の)除草装置(主ユニット)50に装着されているシリンダ54のロッド54aの伸縮運動を他方の(左側の)除草装置(副ユニット)50にも及ぼそうとするものである。なお、この際、複数の副ユニットを連結してもよい。
【0036】
図20は、本発明の第4の実施の形態に係る除草装置の全体を示した概略斜視図である。図20において全体として参照符号70で示される本発明の第4の実施の形態に係る除草装置は、除草装置の進行方向に対してほぼ直交する方向に配置された支持部材72を備えている。支持部材72には、後端(即ち、ロッド74aと反対側の端)においてピン74cによって水平面内において回転可能となるようにシリンダ74が装着されている。シリンダ74は、駆動源74bで駆動されるようになっている。なお、シリンダ74は、電動式のものでもよく油圧式のものでもよい。
【0037】
除草装置70は又、支持部材72とほぼ平行に配置された横材73と、支持部材72及び横材73と結合してリンク機構を構成する第1リンク部材75及び第2リンク部材76とを備えている。図21を参照してより詳細に説明すると、第1リンク部材75の一端にシリンダ74のロッド74aがピン75aによって回転可能に取り付けられ、第1リンク部材75の他端が横材73の所定箇所にピン75bによって回転可能に取り付けられ、さらに支持部材72の一端と第1リンク部材75の中間箇所とがピン75cによって回転可能に取り付けられている。また、第2リンク部材76の一端がシリンダ74の後端においてピン74cによって支持部材72に回転可能に取り付けられ、第2リンク部材76の他端が横材73の所定箇所にピン76aによって回転可能に取り付けられている。かかる構成により、詳細には後述するように、シリンダ74のロッド74aの伸縮により、横材73を左右に移動させることができるようになっている。
【0038】
除草装置70は又、横材73の両端に締金78を介してそれぞれボルト留めされた除草タイン取付部材80を備えている。各々の除草タイン取付部材80には、(図20では3基の)除草タイン82がそれぞれ取付けられている。なお、除草タイン82自体は、公知の除草用器具である。
【0039】
除草装置70は、接続具86(図20参照)を介してカルチベータ(図示せず)に接続され、カルチベータをトラクタ(図示せず)で牽引することによって使用される。
【0040】
次に図21〜図23を参照して、以上のように構成された除草装置70の作動について説明する。カルチベータに除草装置70を接続し、トラクタでカルチベータを牽引することによって除草作業が行われる。除草作業に際しては、除草タイン82の中心線が作物列に追従するように除草装置70を移動させるが、トラクタを傾斜させた状態で走行させようとする場合には、作物列に追従するように除草タイン82を移動させる。すなわち、シリンダ74を駆動させてロッド74aを伸長させると、図22に示されるように、第1リンク部材75及び第2リンク部材76が反時計回りに回転し、これにより、横材73(従って、除草タイン82)が右方に移動することとなる。一方、シリンダ74を駆動させてロッド74aを収縮させると、図23に示されるように、第1リンク部材75及び第2リンク部材76が時計回りに回転し、これにより、横材73(従って、除草タイン82)が左方に移動することとなる。
【0041】
図24は、除草装置70の変形形態を示した斜視図である。図24に示される除草装置は、2基の2条式の除草装置70を連結して、4条式の除草装置としたものである。すなわち、2基の2条式の除草装置70の横材73同士を連結部材77で連結することによって、一方の(右側の)除草装置(主ユニット)70に装着されているシリンダ74のロッド74aの伸縮運動を他方の(左側の)除草装置(副ユニット)70にも及ぼそうとするものである。なお、この際、複数の副ユニットを連結してもよい。
【0042】
本発明は、以上の発明の実施の形態に限定されることなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で、種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることはいうまでもない。
【0043】
たとえば、前記実施の形態において図示されている除草タイン22、42、62、82等の寸法、数量、形状、除草タイン取付部材の形状や取付箇所などは、単なる例示的なものにすぎず、これに限定されるものではない。また、前記実施の形態では、1基の除草装置にそれぞれ2基又は3基の除草タイン取付部材(すなわち、2条式)が取り付けられているが、1基又は4基以上の除草タイン取付部材が取り付けられるようにしてもよい。
【0044】
また、作物列の位置を検知するセンサ(図示せず)を設置し、除草タイン22、42、62、82の位置と作物列の位置とにずれが生じた場合にシリンダ14、34、54、74が駆動し、除草タイン22、42、62、82と作物列の位置とのずれを修正するように構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る除草装置の全体を示した概略斜視図である。
【図2】図1の除草装置の正面図である。
【図3】図1の除草装置の平面図である。
【図4】図1の除草装置の作動を説明するための図である。
【図5】図1の除草装置の作動を説明するための別の図である。
【図6】図1の除草装置の変形形態を示した平面図である。
【図7】図1の除草装置の別の変形形態を示した斜視図である。
【図8】本発明の第2の実施の形態に係る除草装置の全体を示した概略斜視図である。
【図9】図8の除草装置の支持部材、シリンダ及び摺動部材を示した拡大斜視図である。
【図10】図8の除草装置の平面図である。
【図11】図8の除草装置の正面図である。
【図12】図8の除草装置の作動を説明するための図である。
【図13】図8の除草装置の変形形態を示した斜視図である。
【図14】本発明の第3の実施の形態に係る除草装置の全体を示した概略斜視図である。
【図15】図14の除草装置の平面図である。
【図16】図14の除草装置の作動を説明するための図である。
【図17】図14の除草装置の作動を説明するための別の図である。
【図18】図18(a)は、図14の除草装置の支持部材、シリンダ及び摺動部材を示した拡大斜視図、図18(b)は、図18(a)の線18b−18bに沿って見た断面図である。
【図19】図14の除草装置の変形形態を示した斜視図である。
【図20】本発明の第4の実施の形態に係る除草装置の全体を示した概略斜視図である。
【図21】図20の除草装置の平面図である。
【図22】図20の除草装置の作動を説明するための図である。
【図23】図20の除草装置の作動を説明するための別の図である。
【図24】図20の除草装置の変形形態を示した斜視図である。
【符号の説明】
【0046】
10 第1の実施の形態に係る除草装置
12 支持部材
14 シリンダ
14a ロッド
14b 駆動源
16 縦材
18 ヒンジ部材
20 除草タイン取付部材
22 除草タイン
24 連結部材
24a ピン
26 連結具
28 接続具
30 第2の実施の形態に係る除草装置
32 支持部材
34 シリンダ
34a ロッド
34b 駆動源
36 摺動部材
38 締金
40 除草タイン取付部材
42 除草タイン
44 連結部材
50 第3の実施の形態に係る除草装置
52 支持部材
54 シリンダ
54a ロッド
54b 駆動源
56 摺動部材
58 締金
60 除草タイン取付部材
62 除草タイン
64 連結部材
66 接続具
70 第4の実施の形態に係る除草装置
72 支持部材
73 横材
74 シリンダ
74a ロッド
74b 駆動源
75 第1リンク部材
76 第2リンク部材
78 締金
80 除草タイン取付部材
82 除草タイン
86 接続具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
進行方向に対してほぼ直交する方向に配置された支持部材と、
前記支持部材に装着されたシリンダと、
前記支持部材の両端に、前記支持部材と直交する方向に延びるようにそれぞれ配置された縦桁と、
ヒンジ部を介して水平面内において回転可能に前記縦材にそれぞれ取り付けられ、除草タインが取り付けられた除草タイン取付部材と、
前記支持部材の上方に位置し、前記除草タイン取付部材同士をピンを介して連結する連結部材とを備え、
前記シリンダのロッドの先端と前記連結部材とを連結し、前記ロッドを伸縮させて除草タイン取付部材を左右に移動させることにより、作物列に追従するように除草タインを移動させるように構成されていることを特徴とする除草装置。
【請求項2】
進行方向に対してほぼ直交する方向に配置された支持部材と、
前記支持部材に装着されたシリンダと、
前記支持部材に入れ子式に収納された摺動部材と、
前記摺動部材とほぼ直交するように前記摺動部材に取り付けられ、除草タインが取り付けられた除草タイン取付部材とを備え、
前記シリンダのロッドの先端と前記摺動部材とを連結し、前記ロッドを伸縮させて除草タイン取付部材を左右に移動させることにより、作物列に追従するように除草タインを移動させるように構成されていることを特徴とする除草装置。
【請求項3】
進行方向に対してほぼ直交する方向に配置された支持部材と、
前記支持部材に装着されたシリンダと、
前記支持部材に入れ子式に収納された摺動部材と、
前記摺動部材とほぼ直交するように前記摺動部材に取り付けられ、除草タインが取り付けられた除草タイン取付部材とを有する主ユニットと、
進行方向に対してほぼ直交する方向に配置された支持部材と、
前記支持部材に入れ子式に収納された摺動部材と、
前記摺動部材とほぼ直交するように前記摺動部材に取り付けられ、除草タインが取り付けられた除草タイン取付部材とを有する1又は複数の副ユニットとを備え、
前記主ユニットの摺動部材と前記副ユニットの摺動部材が連結されており、
前記シリンダのロッドの先端と前記主ユニットの摺動部材とを連結し、前記ロッドを伸縮させて除草タイン取付部材を左右に移動させることにより、作物列に追従するように除草タインを移動させるように構成されていることを特徴とする除草装置。
【請求項4】
進行方向に対してほぼ直交する方向に配置され、側方が開放したU形横断面部材で形成され、前記U形横断面部材の開放側にローラが回転可能に取り付けられた支持部材と、
前記支持部材に装着されたシリンダと、
前記U形横断面部材と前記ローラで構成された空間内に収納された摺動部材と、
前記摺動部材とほぼ直交するように前記摺動部材に取り付けられ、除草タインが取り付けられた除草タイン取付部材とを備え、
前記シリンダのロッドの先端と前記摺動部材とを連結し、前記ロッドを伸縮させて除草タイン取付部材を左右に移動させることにより、作物列に追従するように除草タインを移動させるように構成されていることを特徴とする除草装置。
【請求項5】
進行方向に対してほぼ直交する方向に配置され、側方が開放したU形横断面部材で形成され、前記U形横断面部材の開放側にローラが回転可能に取り付けられた支持部材と、
前記支持部材に装着されたシリンダと、
前記U形横断面部材と前記ローラで構成された空間内に収納された摺動部材と、
前記摺動部材とほぼ直交するように前記摺動部材に取り付けられ、除草タインが取り付けられた除草タイン取付部材とを有する主ユニットと、
進行方向に対してほぼ直交する方向に配置され、側方が開放したU形横断面部材で形成され、前記U形横断面部材の開放側にローラが回転可能に取り付けられた支持部材と、
前記U形横断面部材と前記ローラで構成された空間内に収納された摺動部材と、
前記摺動部材とほぼ直交するように前記摺動部材に取り付けられ、除草タインが取り付けられた除草タイン取付部材とを有する1又は複数の副ユニットとを備え、
前記主ユニットの摺動部材と前記副ユニットの摺動部材が連結されており、
前記シリンダのロッドの先端と前記主ユニットの摺動部材とを連結し、前記ロッドを伸縮させて除草タイン取付部材を左右に移動させることにより、作物列に追従するように除草タインを移動させるように構成されていることを特徴とする除草装置。
【請求項6】
進行方向に対してほぼ直交する方向に配置された支持部材と、
後端が水平面内において回転可能となるように前記支持部材に装着されたシリンダと、
前記支持部材とほぼ平行に配置された横材と、
前記支持部材及び前記横材と結合してリンク機構を構成する第1リンク部材及び第2リンク部材と、
前記横材とほぼ直交するように前記横材に取り付けられ、除草タインが取り付けられた除草タイン取付部材とを備え、
前記シリンダのロッドの先端と前記第1リンク部材とを連結し、前記ロッドを伸縮させて前記リンク機構を作動させ、除草タイン取付部材を左右に移動させることにより、作物列に追従するように除草タインを移動させるように構成されていることを特徴とする除草装置。
【請求項7】
進行方向に対してほぼ直交する方向に配置された支持部材と、
後端が水平面内において回転可能となるように前記支持部材に装着されたシリンダと、
前記支持部材とほぼ平行に配置された横材と、
前記支持部材及び前記横材と結合してリンク機構を構成する第1リンク部材及び第2リンク部材と、
前記横材とほぼ直交するように前記横材に取り付けられ、除草タインが取り付けられた除草タイン取付部材とを有する主ユニットと、
進行方向に対してほぼ直交する方向に配置された支持部材と、
前記支持部材とほぼ平行に配置された横材と、
前記支持部材及び前記横材と結合してリンク機構を構成する第1リンク部材及び第2リンク部材と、
前記横材とほぼ直交するように前記横材に取り付けられ、除草タインが取り付けられた除草タイン取付部材とを有する1又は複数の副ユニットとを備え、
前記主ユニットの前記横材と前記副ユニットの前記横材とを連結し、前記シリンダのロッドの先端と前記第1リンク部材とを連結し、前記ロッドを伸縮させて前記リンク機構を作動させ、除草タイン取付部材を左右に移動させることにより、作物列に追従するように除草タインを移動させるように構成されていることを特徴とする除草装置。
【請求項8】
前記請求項1から請求項7のいずれか1項に記載された除草装置において、作物列の位置を検知するセンサを更に備え、除草タインの位置と作物列の位置とにずれが生じた場合に、前記シリンダが駆動するように構成されていることを特徴とする除草装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2010−148356(P2010−148356A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−319480(P2008−319480)
【出願日】平成20年12月16日(2008.12.16)
【出願人】(595034891)株式会社キュウホー (14)
【Fターム(参考)】