説明

除袋方法及びその装置

【課題】
菌床などの袋詰めされた内容物を痛めることなく、自動的に袋を取り除いて内容物を取り出す除袋装置を提供する。
【解決手段】
袋16の余白部分をチャック24A及び24Bで固定し、枠32に設けた開封カッター42で切れ目を入れる。次に、前記チャック24A及び24Bを左右に開くとともに、プッシャ22によって袋入り菌床14が枠32内を通過するように押し出す。すると、袋16の側面が切り裂きカッター38,44によって左右に切り裂かれるとともに、菌床本体14Aが袋から押し出され、自動的に袋16を剥がすことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、袋から内容物を取り出すための除袋ないし開封方法及びその装置(以下「除袋装置」と総称する)に関し、例えば、きのこなどを栽培するための菌床の除袋ないし開封に好適な除袋方法及びその装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、椎茸などの各種きのこの栽培方法としては、菌床を用いた方法が主流となっている。菌床とは、きのこ栽培用に調整された培地(オガクズなど)および、種菌を接種したものや、その菌糸が培地内に成長したものを総称する。この方法では、培地基材に水と培地添加物を加え、袋詰めにして殺菌・冷却を行ったものに、無菌状態で、きのこ種菌を接種し、一定期間所定の条件で培養する。そして、培養が完了した菌床は、(1)袋の一部を切り、穴を開ける方法,(2)上部を取り除く方法,(3)全て剥ぎ取る方法等、それぞれのきのこに適した処理を行い、更に適した環境に移され、きのこの発生・生育に供される。
【0003】
それらのうち、特に(3)の栽培手法においては、袋詰めの菌床を袋から取り出す作業が必要となるが、かかる菌床の除袋作業は、袋を切ったのち袋を剥ぎ取るという手作業により行われているのが現状である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、袋を切る際には、菌床を保持し、向きを微妙に変化させながら菌を痛めないような開封の仕方が要求される。開封時に菌床の一部を剥がしたりすると、欠けた部分の菌糸修復が困難となり、雑菌が入り込み、商品としての品質が大幅に低下してしまう。しかしながら、上述した手作業では、作業者によって切り方が異なり、菌が痛んだり、作業者の熟練度によって効率が変わったりするという不都合がある。また、袋を剥く際に、菌床の灰汁が飛び散るため、素手では手荒れなどの原因ともなる。更に、菌床は、1kg〜2.5kg程度の様々の重量があるが、大規模の栽培工場では一回の作業で数千個の菌床を処理しなければならないため、極めて重労働である。従って、作業者の熟練度に関わらず、菌床を痛めることなく自動的に袋を取り除くことができれば、作業効率向上の面でも非常に都合がよい。また、前記(3)の方法は、主に椎茸栽培に採用されており、全国に個人規模での栽培拠点がある。栽培業者の高齢化が進む昨今、自動的に袋を取り除くことによる労力軽減は計り知れない効果を期待できる。
【0005】
本発明は、以上の点に着目したもので、その目的は、菌床を痛めることなく、菌床を袋から自動的に取り出す,もしくはそれを補助することである。他の目的は、菌床に限らず、各種の袋詰めの内容物を、袋内から自動的に良好に取り出すことである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するため、本発明は、袋の耳の両端付近を押さえ込み、次に、押さえ込まれた耳の中央付近に切り込みを入れ、次に、前記袋の耳の押さえ込んだ部位を両端方向に引っ張るとともに、前記内容物を前記耳の方向に押し出すことを特徴とする。本発明の前記及び他の目的,特徴,利点は、以下の詳細な説明及び添付図面から明瞭になろう。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、袋の耳の両端付近を押さえ込み、次に、押さえ込まれた耳の中央付近に切り込みを入れ、次に、前記袋の耳の押さえ込んだ部位を両端方向に引っ張るとともに、前記内容物を前記耳の方向に押し出すという一連の作業を行なうことで、開封ないし除袋を自動化することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明を実施するための最良の形態を、実施例に基づいて詳細に説明する。
【実施例1】
【0009】
最初に、図1〜図3を参照しながら、本発明の実施例1を説明する。図1は本実施例の全体構成を示す斜視図,図2及び図3は本実施例の作用を示す図である。本実施例の除袋装置は、培養袋を使用した茸類の人工栽培において、菌床を袋から自動的に取り出すためのものである。本発明の装置の処理対象となる袋入り菌床14は、図1に示すように、菌床本体14Aが袋16に包まれており、該袋16の一方の余白側には、耳16Aが形成されている。前記袋16の材質は、例えば、PE(ポリエチレン)やPP(ポリプロピレン)などである。
【0010】
本実施例の除袋装置10は、装置本体12の上部に、袋入り菌床14を装填するためのホルダ(ないし投入口)20が形成されており、その手前側には、前記菌床を移送方向に押し出すためのプッシャ(押し出し装置)22が設けられている。該プッシャ22は、押し出し機構56によって図1に矢印F1で示す方向に往復可能となっており、配線によってシーケンサ54に接続されている。
【0011】
前記ホルダ20の前方には、袋入り菌床14の移送方向と略直交する方向に開閉ないしスライド可能な一対のチャック24A及び24Bが設けられている。前記チャック24Aには、前記ホルダ20に装填される袋入り菌床14の袋の耳16Aを差し入れるための切り欠き部26が形成されており、該切り欠き部26の下面には、上面側から押し出されるロッド28(図2参照)を受けるための穴30が設けられている。前記ロッド28は、昇降機構60によって矢印F3方向に昇降可能となっており、前記切り欠き部26に袋の耳16Aを差し入れた状態でロッド28を下降させて、その先端を前記穴30で受けることにより、袋の耳16Aを固定することができる。また、前記チャック24Aは、図2に示すように、開閉機構58によって、袋入り菌床14の移送方向と略直交する左右方向(図の矢印F2方向)にスライド可能となっている。前記昇降機構60及び開閉機構58は、いずれも配線によって前記シーケンサ54に接続されている。なお、他方のチャック24Bは、前記チャック24Aと左右対称の形状であるほかは、基本的構造は同じである。
【0012】
更に、前記ホルダ20の前方正面には、袋16を切るための複数のカッターを備えた略正方形の枠32が設けられている。該枠32は、略垂直方向に昇降可能な昇降部材34に取り付けられている。前記枠32の上縁部には、手前側に向けて突出したカッターホルダ36が設けられており、該カッターホルダ36に挟まれた切り裂きカッター38の先端が下方に突出している。また、前記枠32の下縁部には、手前側に向けて突出したカッターホルダ40が設けられている。該カッターホルダ40には、下側を向いた略V字型の開封カッター42と、上方に向けて突出した切り裂きカッター44の2つが取り付けられている。前記開封カッター42は、閉状態のチャック24A及び24Bに固定された袋16の余白側(耳16A側)の略中央部に切れ目を入れて開封するためのものであって、略V字型とすることにより、袋16が多少変形しても、確実に袋16の先端まで切ることができるように形状が工夫されている。また、切り裂きカッター38及び44は、下降した状態の枠32内を袋入り菌床14が通過する際に、袋16の上下側面をそれぞれ切り裂くためのものである。なお、袋16の切断の際に、菌床本体14Aも多少切れる可能性があるが、本実施例のように直線状の切れ目がつく場合には、菌は数日で元通りに修復するため、これによって雑菌が入り込む恐れはない。前記各カッター38,42,44は、図示しないボルト・ナット手段により、カッターホルダ36及び40に対してそれぞれ着脱可能となっている。
【0013】
なお、カッターホルダ36自体を昇降部材34に対して着脱自在とすることで、各カッター38,42,44の交換を行なうのではなく、ホルダ毎交換するようにしてもよい。すなわち、新しいカッターを取り付けたカッターホルダを別途用意し、これを、使用済みのカッターホルダと交換するという具合である。このようにすることで、カッター38,42,44の交換作業の簡素化を図ることができる。
【0014】
一方、前記枠32の下縁部の後部側には、保護シート46の一端が取り付けられている。該保護シート46は、前記枠32が下降した状態のときに、袋入り菌床14の排出部48の表面を覆うようになっており、袋16が剥がされた菌床本体14が段差によって痛むことがないように保護するものである。この保護シート46上に横向きに排出された菌床本体14は、前記枠32を上昇させたときに、該枠32とともに保護シート46の一端が持ち上がり、該菌床の重心移動を補助することで、立ち上がるようになる。また立ち上がり時の反動で更に倒れないようにしたり、あるいは、連続作業を行なって袋入り菌床14が団子状態になった場合でも安定して立ち上がるようにするため、保護シート46の長さが調整されている。以上のような構成の枠32を支持する昇降部材34は、昇降機構62によって図1に矢印F3で示す方向に昇降可能となっている。前記昇降機構62は、配線により前記シーケンサ54に接続されている。
【0015】
更に、前記装置本体12の下方には、各種スイッチやボタン52を備えたコントロールボックス50が設けられている。該コントロールボックス50の内側には、シーケンサ54が設けられており、前記スイッチやボタン52を操作すると、シーケンサ54によって、接続されたモータ類などの駆動制御が行われる。また、前記装置本体12の上部であって、前記ホルダ20の右側に設けられたサイクル運転ボタン64や、左側に設けられた非常停止ボタン66も、前記シーケンサ54に接続されている。以上のような構成の除袋装置10の上方には、安全を確保するためのフレーム70が設けられるとともに、底面に設けたキャスタ72により全体が移動可能となっている。
【0016】
上述した押し出し機構56は、前記プッシャ22のスライド方向を規定するレールないしガイド,モータやアクチュエータなどの駆動源,ラック・ピニオンなどの駆動要素を必要に応じて含んでいる。開閉機構58,昇降機構60,62についても同様である。
【0017】
次に、図2及び図3も参照して、本実施例の作用を説明する。まず、電源スイッチが「OFF」になっていることを確認し電源プラグを接続し、元電源を投入する(いずれも図示せず)。安全を確認して電源をONにしたら、コントロールボックス50の運転開始ボタンを押しサイクル運転の準備をする。除袋装置10の準備ができたら、図2(A)に示すように、チャック24A,24Bが閉じた状態(中央に寄った状態)で、その切り欠き部26に袋16の耳(端)16Aの部分を入れ、袋入り菌床14をホルダ20に装填し、サイクル運転ボタン64を押す。除袋装置10が作動すると、まず、図2(B)に示すように、左右のチャック24A及び24Bからロッド28が矢印F3方向に下降し、その先端が穴30に嵌まって袋16の耳16Aを固定する。次に、図2(C)に示すように、枠32が下降し、カッターホルダ40の下側のV字型の開封カッター42によって、袋の耳16Aの略中央部に先端まで切れ目が入れられる。切れ目が入ったら、チャック24A及び24Bは耳16Aを挟んだまま、図2(D)に示すように開いて、切れ目を大きく開く。なお、チャック24A及び24Bが開いている間も、前記枠32は下降を続けている。
【0018】
図3(A)に示すように、チャック24A及び24Bが十分開き、ホルダ20内の袋入り菌床14が内側を通過できる位置まで枠32が完全に下降すると、プッシャ22が作動し、袋入り菌床14を矢印F1方向に押し出す。押し出された袋入り菌床14は、枠32内を通過する際に、上側の切り裂きカッター38と下側の切り裂きカッター44により、袋16が移送方向に沿って切り裂かれる。このとき、耳16Aがチャック24A及び24Bに挟まれたままの状態であるため、プッシャ22によって押し出すにつれ、袋16が菌床本体14Aから剥がされて枠32に引っ掛かり、中身のみが、保護シート46が敷かれた排出口48に送り出される(図3(B)参照)。なお、上述した通り、直線状に切断されても、袋入り菌床14が痛むことはない。
【0019】
菌床本体14が完全に排出されたら、図3(C)に示すように、枠32が上昇するとともに、左右のチャック24A及び24Bが閉まり、プッシャ22が元の位置に戻る。このとき、枠32の上昇につれて、保護シート46の一端側が持ち上がるため、横向きに排出された菌床本体14は、図4(C)及び図4(D)に順に示すように、立ち上がるようになる。立ち上がった菌床本体14は、作業者によって所定の環境下に移送される。一方、菌床本体14Aから剥がされた袋16は、閉位置に戻ったチャック24A及び24Bのロッド28が上昇すると、該チャック24A及び24Bから外れるようになる。次の袋入り菌床14を処理するときは、残った袋16を取り外すとともに、前記図2(A)に戻り、図3(D)に示すまでの上記動作を繰り返す。作業終了後は、図示しない停止スイッチを押し、元電源を落としてから清掃を行う。また、必要に応じて、切り裂きカッター38,44,開封カッター42などを交換する。
【0020】
このように、実施例1によれば、次のような効果がある。
(1)袋16の余白部分をチャック24A及び24Bで固定し、枠32に設けた開封カッター42で切れ目を入れ、前記チャック24A及び24Bを左右に開くとともに、プッシャ22によって袋入り菌床14が枠32内を通過するように押し出すこととした。このため、菌床本体14を痛めることなく、自動的に袋16を剥がすことができ、手作業の場合と比較して大幅に作業効率が向上する。
(2)水平方向に袋入り菌床14を押し出すため、作業姿勢が安定するとともに、菌床を押し出した後に、コンベアなどを設けることで、工程の拡張性を持たせることができる。
(3)枠32の後部に保護シート46を設け、袋入り菌床14の押し出し時には、前記保護シート46が排出口48に敷かれた状態とするため、菌床本体14を痛みから保護することができる。また、該保護シート46の一端側を持ち上げることにより、横倒し状態の菌床本体14Aを立ち上がらせることができる。
(4)カッター38,42,44を取り外しできるため、メンテナンスが容易である。
【実施例2】
【0021】
次に、図4を参照しながら本発明の実施例2を説明する。なお、上述した実施例1と同一ないし対応する構成要素には同一の符号を用いることとする。前記実施例1は、袋入り菌床14を水平方向に搬送して除袋を行う構成であるが、本実施例2は、前記袋入り菌床14を垂直方向に搬送して除袋を行う構成となっている。
【0022】
図4において、除袋装置100は、駆動機構などが収納された装置本体102の正面102A側に、フレーム104で囲まれた作業台106が設けられた構成となっている。この作業台106の略中央には昇降テーブル108が設けられており、これに袋16に入った袋入り菌床14が載せられるようになっている。袋16の上部には、耳16Aを挟むためのチャック111が1対設けられており、回転軸112にそれぞれ取り付けられている。回転軸112は、矢印FP方向に回転可能となっており、一端は前記フレーム104に設けられた軸受け114によって、他端は装置本体102内の軸受け(図示せず)によって、それぞれ支持されている。すなわち、チャック111は、袋16の耳16Aを挟むとともに、矢印FP方向に回転して、袋16を開くように変位する構成となっている。
【0023】
上述した装置本体102であって、前記昇降テーブル108によって上下する袋入り菌床14に近接する位置には、切り裂きカッター120が設けられており、この切り裂きカッター102と袋入り菌床14を挟んだ反対側の位置には、フレーム104に、他の切り裂きカッター122が設けられている。これらのうち、切り裂きカッター102は、開封カッターとしても機能し、矢印FQ方向にスライド可能となっている。また、装置本体102内には、上述した各部の駆動機構(図示せず)がそれぞれ設けられている。
【0024】
次に、本実施例の動作を説明すると、作業者は、袋入り菌床14の袋16を昇降テーブル108上に置くとともに、チャック111を回転し、その鋏に袋16の耳16Aを挿入する。この状態で、スイッチ(図示せず)を押すと、装置本体102内の駆動機構によって、チャック111が袋16の耳16Aを挟み込むとともに、昇降テーブル108が上昇する。すると、切り裂きカッター120によって袋16の耳16Aが切断されるとともに、チャック111矢印FP方向に回転し、袋16を開くようになる。更に昇降テーブル108が上昇すると、切り裂きカッター120が装置本体102内に後退するとともに、切り裂きカッター120,122によって袋16の側面が切り裂かれるようになる。そして、更に昇降テーブル108が上昇するとともに、チャック111が矢印FP方向に回転すると、袋16内から菌床本体14Aが露出するようになる。このように、本実施例によっても、上述した実施例1と同様の効果を得ることができる。
【実施例3】
【0025】
次に、図5を参照しながら、本発明の実施例3について説明する。本実施例の除袋装置200では、図5(A)に示すように、プッシャ22の先端面の左右に、爪202A,202Bをそれぞれ設けた構成となっている。他の部分は、前記実施例1と同様である。爪202A,202Bは、ネジ手段によって位置調整可能となっており、ホルダ20の壁面との間に、適宜の隙間Δを有するように、位置決めされる。
【0026】
図5(B)〜(D)は、動作時の様子を上方から見たものである。図5(B)に示すように、チャック24A,24Bが閉じた状態(中央に寄った状態)で、その切り欠き部26に袋16の耳(端)16Aの部分を入れ、菌床本体14Aをホルダ20に装填する。以後、実施例1と同様の動作が行なわれ、図5(C)に示すような菌床本体14Aが押し出された状態となる。袋16は、耳16Aがチャック24A,24Bに挟まれているので、プッシャ22による菌床16の押し出しによって裏返るようになり、プッシャ先端の爪202A,202Bに引っかかるようになる。なお、前記実施例1よりもプッシャ22のストロークを多めにすると、爪202A,202Bに袋16が良好に引っかかるようになる。
【0027】
この状態で、チャック24A,24Bを開放するとともに、プッシャ22を戻すと、袋16が爪202A,202Bに引っかかっているため、図5(D)に示すように、プッシャ22が持ち帰るようになり、不要となった袋16の廃棄を簡便に行うことができる。
【0028】
なお、本発明は、上述した実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることができる。例えば、以下のものも含まれる。
(1)前記実施例における各部の形状,大きさは一例であり、必要に応じて適宜変更可能である。
(2)前記実施例で示したカッター位置や、搬送位置及び方向なども一例であり、これらを変更ないし調節することで、除袋程度を調整するようにするなど、必要に応じて適宜変更可能である。例えば、袋16が比較的裂け易い性質の素材で形成されているときは、切り裂きカッター38及び44を省略してよい。更に、前記実施例では、袋の開封後、保護シート46によって袋入り菌床14を立ち上げたが、この操作を省略してもよい。例えば、袋入り菌床14を寝かせたままの状態で、コンベアに送り込むようにするなどである。
(3)前記実施例における固定機構,把持機構,昇降機構,押し出し機構としては、同様の効果を奏するものであれば、公知の各種の機構を適用してよい。例えば、ラックやピニオンなどを利用した構成としてもよいし、油圧や空気圧などのアクチュエータを利用した構成としてもよい。また、シーケンサも同様であり、同様の効果を奏するように各種の公知の構成としてよい。
(4)更に、排出部で一個ずつ取る個別処理を行う,容器を置いて複数個のまとめ作業を行う,コンベアを設けて自動搬送を行う,装置本体12の下部に袋入り菌床14から出る灰汁を受けるためのドレン受けを設けるなど、必要に応じて公知の各種の機構・装置などを付加してよい。
(5)前記実施例では、椎茸の丸形の菌床を例にあげて説明したが、これに限定されるものではなく、装置の各部の寸法を変更することで、他の各種の菌床に本発明の除袋装置は適用可能である。更に、菌床のみならず、袋詰めされた各種の固形物を袋から取り出す場合に適用可能である。
(6)前記実施例で示したプッシャ22のストロークの程度も、必要に応じて適宜変更してよい。例えば、
a,ストロークを大きくすれば、袋16をほぼ全開きとすることができる。
b,ストロークを小さくすれば、袋16を半開きの状態とすることができる。菌床本体14Aの一部は袋16の中に残っており、手作業で取り出すことになる。この場合、本装置は除袋補助装置と考えることができる。
c,ストロークなしか、もしくはわずかとし、チャック24A及び24Bを左右に袋の長さ分開くことで、菌床本体14Aを押し出して取り出すようにしてもよい。チャック24A及び24Bの開閉は、前記実施例のように直線状の軌跡でもよいし、円弧状の奇跡でもよい。この方法は、袋16が比較的裂け易い材質の場合に好適である。この場合に、前記実施例で示した開封カッター42の近傍に切断カッターを追加する。そして、この切断カッターを開封カッター42と同時に上昇させるようにして、チャック24A,24Bにより伸び切った袋16を切断すれば、袋16の回収の作業性が更に向上する。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明によれば、袋を開封して押し出すことで、袋内から収容物を自動的に取り出すことができるので、各種の固形物が収容された袋の開封・除袋に適用でき、特に、袋詰めされた菌床の除袋に効果的である。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の実施例1の全体構造を示す斜視図である。
【図2】前記実施例1の作用を示す図である。
【図3】前記実施例1の作用を示す図である。
【図4】本発明の実施例2の主要部を示す斜視図である。
【図5】本発明の実施例3の主要部を示す斜視図とその作用を示す図である。
【符号の説明】
【0031】
10:除袋装置
12:装置本体
14:袋入り菌床
14A:菌床本体
16:袋
16A:耳ないし端
20:ホルダ(投入口)
22:プッシャ(押し出し装置)
24A,24B:チャック
26:切り欠き部
28:ロッド
30:穴
32:枠
34:昇降部材
36,40:カッターホルダ
38,44:切り裂きカッター
42:開封カッター
46:保護シート
48:排出口
50:コントロールボックス
52:スイッチ
54:シーケンサ
56:押し出し機構
58:開閉機構
60,62:昇降機構
64:サイクル運転ボタン
66:非常停止ボタン
70:フレーム
72:キャスタ
100:除袋装置
102:装置本体
102A:正面
104:フレーム
106:作業台
108:昇降テーブル
111:チャック
112:回転軸
114:軸受け
120,122:切り裂きカッター
200:除袋装置
202A,202B:爪


【特許請求の範囲】
【請求項1】
袋詰めされた内容物を、その袋を開封して取り出すための除袋方法であって、
前記袋の耳の両端付近を押さえ込む工程,
前記工程によって両端付近が押さえ込まれた耳の中央付近に切り込みを入れる工程,
該切込みを入れた後に、前記袋の耳の押さえ込んだ部位を両端方向に引っ張るとともに、前記内容物を前記耳の方向に押し出す工程,
を含むことを特徴とする除袋方法。
【請求項2】
袋詰めされた内容物を、その袋を開封して取り出すための除袋装置であって、
前記袋の耳の両端付近を押さえ込むチャック手段,
前記袋の耳の中央付近に切り込みを入れる開封カッター手段,
前記チャック手段によって押さえ込まれた部位を、耳の両端方向に引っ張る引張手段,
を備えており、
前記チャック手段によって前記袋の耳の両端付近を押さえ込んで、押さえ込まれた耳の中央付近に前記開封カッター手段で切り込みを入れ、更に、前記チャック手段によって押さえ込んだ耳の部位を前記引張手段によって両端方向に引っ張ることにより、前記内容物を前記耳の方向に押し出すことを特徴とする除袋装置。
【請求項3】
袋詰めされた内容物を、その袋を開封して取り出すための除袋装置であって、
前記袋の耳の両端付近を押さえ込むチャック手段,
前記袋の耳の中央付近に切り込みを入れる開封カッター手段,
前記チャック手段によって押さえ込まれた部位を、耳の両端方向に引っ張る引張手段,
前記内容物を、前記耳の方向に押し出す押出手段,
を備えており、
前記チャック手段によって前記袋の耳の両端付近を押さえ込んで、押さえ込まれた耳の中央付近に前記開封カッター手段で切り込みを入れ、更に、前記チャック手段によって押さえ込んだ耳の部位を前記引張手段によって両端方向に引っ張るとともに、前記押出手段によって前記内容物を前記耳の方向に押し出すことを特徴とする除袋装置。
【請求項4】
前記押出手段に、前記袋を引っ掛けるための爪を設けたことを特徴とする請求項3記載の除袋装置。
【請求項5】
前記チャック手段が1対設けられており、前記引張手段は、前記チャック手段を反対方向にスライド又は回転させることを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載の除袋装置。
【請求項6】
前記押し出される袋の側面を切り裂く切裂カッター手段を設けたことを特徴とする請求項2〜5のいずれかに記載の除袋装置。
【請求項7】
前記チャック手段の近傍であって、前記内容物の通路を横切るように変位する枠体を設け、該枠体の内側を向くように前記切裂カッター手段を取り付けるとともに、該枠体の外側に向くように前記開封カッター手段を設け、前記枠体を移動して前記開封カッター手段により前記袋の耳の中央付近に切り込みを入れるとともに、内容物が内側を通過する位置に枠体を停止し、枠体内を内容物が通過するときに前記切裂カッター手段で袋の側面を切裂くことを特徴とする請求項6記載の除袋装置。
【請求項8】
前記枠体内を内容物が通過して枠体を元の位置に戻すときに、内容物を立ち上げる立上手段を設けたことを特徴とする請求項7記載の除袋装置。
【請求項9】
前記内容物が、きのこ栽培用に調整された培地に種菌を接種した菌床であることを特徴とする請求項2〜8のいずれかに記載の除袋装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−315753(P2006−315753A)
【公開日】平成18年11月24日(2006.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−143322(P2005−143322)
【出願日】平成17年5月16日(2005.5.16)
【出願人】(505179203)株式会社ニッポー (1)
【Fターム(参考)】