陰唇間パッド
【課題】視覚で装着の正誤を判定できる陰唇間パッドを提供する。
【解決手段】体液を吸収して保持する吸収体を備え、少なくとも一部が着用者の陰唇間に挟まれて装着される陰唇間パッドであって、正しく装着された場合にのみ所定の形状を形成して装着状態の正誤を知らせる判定手段を、装着状態においても目視できるように陰唇間パッドの前方に突設する。
【解決手段】体液を吸収して保持する吸収体を備え、少なくとも一部が着用者の陰唇間に挟まれて装着される陰唇間パッドであって、正しく装着された場合にのみ所定の形状を形成して装着状態の正誤を知らせる判定手段を、装着状態においても目視できるように陰唇間パッドの前方に突設する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、装着状態の正誤を視覚で確認できる手段を備えた陰唇間パッドに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、女性用生理用品としては、生理用ナプキン、タンポンが一般的に用いられている。ここで、生理用ナプキンについては、膣口付近への密着性の乏しさゆえに生じる隙間からの経血の漏れを防止すべく、多大な努力がなされている。また、タンポンにおいても、その物品の属性に起因して、着用時の異物感や不快感、膣内への装着困難性を生じることから、これらを除去するために多大な努力がなされている。
【0003】
このような状況下、生理用ナプキンやタンポンの中間に位置する生理用品として、近年、陰唇間パッドなる生理用品が注目されつつある。この陰唇間パッドは、女性の陰唇間にその一部分を挟み込み、陰唇内面に当接させて装着するというものであり、生理用ナプキンに比して身体との密着性が高いために経血の漏れが防止されるとともに、経血が拡散して身体に広く接することを防ぐために衛生的かつ清潔なものである。また、生理用ナプキンよりも小型であるために、装着感に優れて快適であり、膣内に挿入するタンポンに比べて着用時の心理抵抗も低いという特徴を有している。
【0004】
しかしながら、陰唇間パッドは陰唇間の挟持力によって身体に装着されるものであるため、正しく装着されていない場合には、着用者の陰唇から脱落してしまったり、適切な吸収ができずに経血を十分に吸収することができず、漏れを生じてしまったりする危険性がある。このようなことから、より正確にかつ簡単に装着ができる陰唇間パッドが種々検討されてきた。
【0005】
このような陰唇間パッドとして、特許文献1に記載の陰唇間パッドが提案されている。かかる陰唇間パッドは、流体液透過性カバーと吸収体、液不透過性バッファーとからなり、液不透過性バッファーの中心軸上に係合要素を備えている。この係合要素は、ストリップやスリット、接着剤、折り目線、突起部といったもので形成されてあり、着用者がかかる係合要素に指を挿入したり沿わせたりして陰唇間パッドの着脱を行うことができるようにするものであり、陰唇間パッドの使いやすさ向上の一助となっている。
【特許文献1】特表2005−503193号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の陰唇間パッドは、陰唇間パッドと一体的に設けられた係合要素に挿入等された指の触覚だけで、陰唇間パッドが陰唇内のどこに位置しているのかを認識するものである。このため、陰唇間パッドの装着が正しく行われているかどうかまで認識することは困難であり、装着ミスをしていても気が付かないまま使用してしまったり、装着状態に不安を感じたまま使用を続けなければならないという問題があった。
【0007】
本発明は、以上の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、装着の正誤を視覚で確認することができるようにし、装着動作を確実かつ簡単に行うことができる陰唇間パッドを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、上記課題を解決するために、陰唇間に陰唇間パッドを装着したままの状態で着用者がその装着状態を視覚で確認できる判定手段を陰唇間パッドに具備させるようにした。具体的には、使用前には二つに分離した状態となっているが、正しく装着されているときには所定の形状を形成し、誤って装着されているときには分離したままの状態や所定の形状を形成しない状態となる判定手段を、着用状態において着用者が見える位置に備えるようにした。より具体的には、本発明は以下のようなものを提供する。
【0009】
(1)体液を吸収して保持する吸収体を備え、少なくとも一部が着用者の陰唇間に挟まれて装着される陰唇間パッドであって、装着状態が正しいときにのみ所定の形状を形成することにより装着状態の正誤判定が可能となる判定手段を備えるものであり、当該判定手段は、前記所定の形状を形成する部分が前記陰唇間パッドの装着状態において陰唇に挟み込まれることなく身体から前方に向かって突出するように突設されている陰唇間パッド。
【0010】
(1)に係る陰唇間パッドは、正しい装着時には所定の形状を形成する判定手段を備えている。しかも、この判定手段は陰唇間パッドを装着したままの状態で視覚によって確認できる位置に配置されている。このため、着用者は判定手段を見て、上記所定の形状が形成されていなければ装着が正しくないという判定をすることができ、所定の形状が形成されるように改めて装着し直すことができる。
【0011】
ここで、陰唇間パッドの装着が正確に行なわれるにあたっては、陰唇と陰唇間パッドとの位置関係、具体的には陰唇間パッドの陰唇内への「装着深さ」と「装着角度」が問題となる。しかしながら、陰唇間パッドは広範囲において陰唇内に介在されてしまうものであるため、視覚により「装着深さ」や「装着角度」が正しいかどうかの判定をするのが困難であるという問題があった。この点、本発明によれば、直接目視できる判定手段を備えているため、着用者がこの判定手段によって装着状態が誤っていると判定すればすぐに装着位置や装着角度を修正することができる。従って、装着操作時に正しく装着できたかどうかを確認できないために誤装着に気づかないまま使用を続けてしまい、脱落や経血モレといった事故が起こった後に初めて装着ミスを認識する、という事態を回避することができる。しかも、着用者に「正しく着けられた」という装着確実性を認識させるので、「間違えているかもしれない」といった心理的不安感を消すことができ、装着しているときの状態を心身ともに快適なものとすることができる。更に、陰唇間パッドを初めて使用する着用者で陰唇構造を熟知していない場合でも、この判定手段を陰唇間パッドを正しい位置に装着するときのガイドとして正確に陰唇間パッドを装着することができる。
【0012】
なお、判定手段は陰唇間パッドの本体を構成する素材の一部を延長して一体的に設けられたものでもよく、別部材を取り付けることによって設けられたものであっても構わない。また、判定手段の形状は、誤装着がすぐ認識できるように異常が顕著に分かる形状が好ましい。具体的には、円形、楕円形、長方形、ひし形、その他の多角形などがある。そして、上記機能を発揮できるものであれば、平面であっても立体であっても構わない。
【0013】
(2)前記判定手段において前記所定の形状を形成する部分は、前記陰唇間パッドの装着前においては分離しているが、前記陰唇間パッドが正しく装着されたときには一体となって前記所定の形状を形成するものである(1)記載の陰唇間パッド。
【0014】
(2)に係る陰唇間パッドの判定手段は、分離した部分が結合して所定の形状を形成する。このため、分離していれば装着が正しく行なわれていないこととなり、正誤判定が一目瞭然となっている。
【0015】
(3)前記陰唇間パッドは中心軸を有するものであり、前記所定の形状は、装着時における着用者の陰裂と前記陰唇間パッドの前記中心軸との間に形成される角度の大きさに依存して歪みが大きくなるように視認される(1)又は(2)記載の陰唇間パッド。
【0016】
(3)に係る陰唇間パッドの判定手段は、所定の形状が、誤って装着したときの角度が大きくなるにつれて上面から見たときの形状が歪んで見えるようになっている。このため、着用者はその歪み状態から陰唇間パッドの装着角度が誤っていることを認識することができ、この歪み状態が改善されるように装着角度に留意して装着をやり直すことができる。このような歪みを生じさせる形状としては、例えば2次元の円形または3次元の球形が挙げられる。
【0017】
(4)前記判定手段の寸法は、前記陰唇間パッドとの連結部分から身体前方向に向かう方向に5mm以上50mm以下である(1)から(3)いずれか記載の陰唇間パッド。
【0018】
(4)に係る陰唇間パッドでは、判定手段が視覚にて確認できる大きさであり、かつ、装着時に身体に接触しすぎて違和感を与えてしまうことのない大きさとなっている。即ち、着用時に陰唇から露出させるために陰唇間パッドの周縁から5mm以上の長さをもち、かつ、身体との接触面積を可能な限り小さくするために、陰唇間パッドの周縁から50mm以下となっている。このため、装着時の快適性を害することなく装着正誤の判断が可能な陰唇間パッドとなっている。
【0019】
(5)前記陰唇間パッドは二つ折りにして装着されるものであり、前記判定手段は装着前においては離間した一対の部材を備え、前記二つ折りにしたときの折軸が陰唇内の前庭床に接するようにして装着された場合にのみ前記一対の部材間の距離が消滅して前記所定の形状を形成するものである(2)から(4)いずれか記載の陰唇間パッド。
【0020】
(5)に係る陰唇間パッドでは、判定手段が装着前には離間した状態である一対の部材を備えており、陰唇間パッドが挟み込まれて折り畳まれるときにこの一対の部材も一緒に動き、装着が完了したときに装着状態が正しければ二つの部材の輪郭形状が一致して所定の形状を形成するようになっている。このため、離間状態を見るだけで陰唇間パッドの装着状態を確認することができる。
【0021】
(6)前記離間した一対の部材間の距離は、指幅よりも大きいものである(5)記載の陰唇間パッド。
【0022】
(6)に係る陰唇間パッドでは、陰唇間パッドを二つ折りにして装着するという装着動作時の指の動きを妨げないようにするために、部材間の距離は指幅よりも大きい。このような寸法としては、具体的には10mm以上とするのが好ましい。
【0023】
一方、上限としては40mm以下とするのが好ましい。これは、陰唇間パッドの一部が折軸を中心に陰唇の深さの方向に折り込まれた時に、頂点となる折軸部分が前庭床を過度に押し込まれないようにするためである。即ち、本発明によれば、部材間の離間した部分において陰唇間パッドの本体部分が二つ折りにされて陰唇内に折り込まれることとなるが、この折り込まれる部分の鉛直方向の長さが長すぎると、頂点となる折軸部分が前庭床に過度に押し込まれ、着用者は前庭床に陰唇間パッドがつきささるような違和感を覚えることになる。この点、平均的な女性における前庭床から陰唇先端までの寸法は7mmから20mm程度であり、上述のように部材間の距離が40mm以下であれば、二つ折りにした時に鉛直方向の長さは20mm以下となる。従って、二つ折りにした状態における鉛直方向の寸法が前庭床から陰唇先端までの寸法よりも長くなって頂点が前庭床を圧迫するというようなことがなく、前庭床に違和感を与えないようにすることができる。
【0024】
以上のように、部材間の距離を10mm以上40mm以下とすることにより、判定手段が装着時や装着後に邪魔になることがなく、装着快適性を損ねることがなくなる。
【発明の効果】
【0025】
以上のような本発明によれば、着用者は陰唇間パッドの装着動作中において、陰唇間パッドの陰唇の深さ方向に対する「装着位置」及び前庭床(陰裂)に対する「装着角度」が正しい状態で装着されているかどうかを、視覚によって確認することができる。このため、装着状態が正しくない場合には速やかに修正することが可能となり、装着が間違っていることを気付かずにいたり、正しく装着されているかどうかを不安なままで装着を続けたりするという事態を未然防ぐことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、第1実施形態以外の各変形例の説明において、第1実施形態と共通するものについては、同一符号を付し、その説明を省略若しくは簡略化する。
【0027】
<陰唇間パッドの全体構成>
図1は本実施形態に係る陰唇間パッドを示す斜視図であり、図2は図1に示した陰唇間パッド1をA−A’で切断した時の断面図であり、図3は装着時のΩ状態の陰唇間パッドを示す断面図である。
【0028】
陰唇間パッド1は、図1に示すように略楕円形状の本体部2とこの本体部2の一端に設けられた判定手段3とから成る。本体部2は図2に示すように、液体透過性の表面シート11と、液体不透過性の裏面シート12、および表面シート11と裏面シート12の間に介在された吸収体13とから成る。また、判定手段3は、略半円形で互いに対称の形状となっている部材14及び部材15を備え、前記本体部2の表面シート11と裏面シート12が延長されることにより形成されている。
【0029】
なお、陰唇間パッド1は着用時において装着者の身体の前後方向に縦長状態となるものであり、本明細書においてはこの方向を長手方向とし、かかる長手方向に垂直な方向を短手方向とする。また、装着時において陰核の存する身体前部に向かう方向を前方向、臀部の存する身体後部に向かう方向を後方向とする。
【0030】
陰唇間パッド1は、図1に示すようにこの長手方向の中心線Xを中心軸として略対称な形状をしており、中心線Xから略平行に左右に延在し、図3に示すように二つ折りにして装着するときに陰唇に介在されない領域である陰唇外領域Yを、中心線Xを軸として左右対称となるように備えている。そして、図1から分かるように、判定手段3がこの陰唇外領域Yにおいて本体部2の先端から突設されている。
【0031】
[判定方法]
次に判定方法について説明する。図4及び図5は陰唇と陰唇間パッドとの位置関係を示す図であり、図6から図9は陰唇間パッドが陰唇内に正しく装着された状態を示す図であり、図10から図17は陰唇間パッドが陰唇内で誤って装着された状態を示す図である。
【0032】
本実施形態に係る陰唇間パッド1は、図4に示すように中心線Xを折軸として二つ折りされ、この折軸付近の少なくとも一部が陰唇内の前庭床5に接するように陰唇間の小陰唇60間に少なくとも一部挟まれて着用される。このような装着が正確に行なわれるにあたっては、陰唇と陰唇間パッドとの位置関係、具体的には陰唇間パッドの陰唇内への「装着深さ」と「装着角度」が問題となる。ここで、「装着深さ」とは、図4に示す線Zの領域、即ち陰唇先端4から前庭床5に向かう方向を示し、「装着角度」とは、図5の角度θ、即ち陰唇間パッド1の中心線Xと身体の陰裂に沿う中心線X’との角度を示す。
【0033】
〔装着が正しい場合〕
陰唇間パッド1は、装着する時の陰唇への挟み込み時点において、図6に示すように中心線Xを折軸として二つ折りされるが、「陰唇間パッドを正しく装着できた状態」とは、装着状態において図4で示すように陰唇間パッド1が左右の陰唇内壁6に挟まれ、かつ、中心線Xと前庭床5とが当接するように、中心線Xと陰裂(図示しない中心線X’)とが重なるように配置された状態をいう。そして、このように配置された陰唇間パッドは、図7に示すように、陰唇外領域Yとなる部分が陰唇の先端を基点として折り畳まれることとなる。
【0034】
なお、本実施形態によれば、二つ折りにした状態におけるZ方向の長さは図4に示すように前庭床5から陰唇先端4までの長さとほぼ同じであるため、中心線Xに位置する頂点が前庭床5を強く圧迫することがなく、前庭床に違和感を与えない設計となっている。
【0035】
このように、陰唇間パッド1が「正しく装着できた状態」であれば、図8に示すように、判定手段3の離間している二つの部材である部材14及び部材15は、陰唇深さ方向Zにポイント14a−ポイント15a間のW領域が折り込まれることによって離間した二つの部分の離間距離が縮まっていく。そして、更に陰唇間パッドが折り畳まれて適切な位置まで装着されると、身体前方向から見てポイント14aとポイント15aは図4で点線にて示す箇所に位置することとなり、上面から見た場合には図9に示すようにポイント14aとポイント15aが一致してW領域が消滅し、部材14と部材15の周縁がつながって輪郭が一致した形状となる。このとき着用者は判定手段3を見て、陰唇間パッド1が正しく装着された状態であることを視覚的に認識することができるのである。
【0036】
〔装着位置が誤っている場合〕
次に、位置が正しく装着されていない状態について説明する。図10に示すように、装着時の陰唇への挟み込みの時点において陰唇間パッド1の中心線Xと前庭床5との間に隙間が生じるような浅い位置に陰唇間パッド1が配置された場合、装着状態は図11に示すように、本体部2の前方に位置するポイント14a―ポイント15a間は深い位置まで折り込まれない。このため、図12に示すように、ポイント14a−15a間の距離は縮まるこがとなく、判定手段3の部材14と部材15とは離間したままで、領域Wも存在している。このように、判定手段3の二つの部材が離れたままで真円が形成されないのを見て、着用者は陰唇間パッド1の装着位置が浅かったことを認識することとなる。
【0037】
また、図13に示すように、装着時の陰唇への挟み込みの時点において陰唇間パッド1が中心線Xに沿って折られてなく、着用者から見て中心線Xより左側で折られて、中心線Xからずれた折り目線が陰裂と重なる中心軸X’と平行となるように陰唇間パッド1が配置された場合、図14に示すように陰唇外領域Yが左右非対称に設けられてしまうこととなる。この場合には、図15に示すように判定手段3のポイント14a−ポイント15a間の距離は縮まるこがとなく、部材14と部材15とは上下・左右に離間したままで、領域Wも存在している。このように、判定手段3の二つの部分が離れたままで、かつ、上下にずれてしまい、判定手段に真円を形成されないのを見て、着用者は陰唇間パッド1の装着位置が右にずれていることを認識する。
【0038】
〔装着角度が誤っている場合〕
図16に示すように、陰唇間パッド1が装着時の陰唇への挟み込みの時点において前庭床5を通る中心線X’に対して斜めに装着された場合、即ち中心軸Xが傾いて装着された場合には、判定手段3のポイント14a−15a間の距離は縮まるこがとなく、図17に示すように、判定手段3は横に長い楕円形を形成しているように見える。このように判定手段3の形状が歪んでいるのを見て、着用者は陰唇間パッド1が斜めに装着されていることを認識する。
【0039】
<他の形状>
次に、変形例について説明する。図18から図21は判定手段の変形例を示す図であり、図22は本体部の変形例を示す図である。
【0040】
本発明の判定手段は、上述したように、装着前には離間している二つの部材の輪郭が装着後には一致して円のような一つの幾何学的な形になる形状が挙げられるが、このような形状を形成する部材の形状としては、半円の他、図18で示す陰唇間パッド20のように、向かい合う端面部分が凹凸となっている部材24と部材25とが、図19で示すように向い合わせの端面同士が咬み合うことにより一致し、真円を形成する形状であってもよい。また、咬み合っているかいないかがわかる形状であれば最終形状が丸となるものでだけでなくてもよく、例えば図20に示す陰唇間パッド30のように両端ともに凹凸がある部材34と部材35であって、図21に示すように最終形状である所定の形状も凹凸があるようなものでもよい。なお、本体部の形状も、上述した楕円型のほか、図22に示す陰唇間パッド40の本体部42のような瓢箪型、雫型など、女性の陰唇に適合する形状であればよい。
【0041】
<構成材料>
[表面シート]
一般的に表面シート11は、液透過性であり、かつ液親水性で肌に刺激を与えない素材が使用される。例として、ポイントボンド、スルーエア等の製造方法から得られる不織布を単独またはこれらを複合した材料が用いられる。このような材料のうち、陰唇間パッド1と陰唇内壁9との間にずれが生じて、着用者が異物感を感じることを防ぐために、セルロース系の液親水性繊維を主体とした構成が好ましい。
【0042】
表面シート11を構成する具体的な材料としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート等の熱可塑性樹脂で構成され、各樹脂を単独、もしくは芯鞘タイプ、芯鞘の偏芯タイプ、サイドバイサイドタイプの複合の合成繊維、パルプ、化学パルプ、レーヨン、アセテート、天然コットンなどのセルロース系の液親水性繊維、が例として挙げられる。これらの繊維を、水流交絡、スパンボンド、ポイントボンド、スルーエア等により、単独、または複合した不織布を、表面シート11として用いることができる。表面シート11の具体的な例としては、レーヨンまたはアセテートを50〜95%、ポリエチレンテレフタレートを5〜50%の比率で混合した繊維を、20〜60g/m2の範囲で調整したスパンレース不織布や、伸長性スパンボンド不織布を好ましく用いることができる。
【0043】
[裏面シート]
裏面シート12は、難透水性の材料が用いられ、例えば、厚さ15μm以上60μm以下のポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリビニルアルコール、ポリ乳酸、ポリブチルサクシネート、または不織布、紙、および、これらのラミネート材料が挙げられる。また、フィルム材料に無機フィラーを含有させて、延伸処理させた通気性フィルムであってもよい。具体的には、低密度ポリエチレン(LDPE)樹脂を主体として、10%以上30%以下の開孔を有し、孔径が0.1mm以上0.6mm以下、目付15g/m2以上35g/m2以下の範囲で調製したフィルムが挙げられる。不織布の例としては、スパンボンド不織布、スルーエア不織布、ポイントボンド不織布等が挙げられる。これらに撥水処理が施されてあってもよい。これら不織布のなかでも極細繊維で構成され、繊維間距離が非常に小さいメルトブローンを含むSMS不織布であることが好ましい。SMS不織布のそれぞれの層の目付は、5g/mm2以上15g/m2以下、1g/mm2以上10g/m2以下、5g/mm2以上15g/m2以下の範囲で構成されることが好ましい。
【0044】
[判定手段〕
判定手段3を構成する部材は、陰唇間パッドの本体部2と一体成形された要素、または、本体部2とは別の部材によって成形される要素から構成される。一体成形の場合には、表面シート11、吸収体13、裏面シート12をそれぞれ全ての延長部分、または、前記部材のいずれかの延長部分により構成される。別の部材から成形される場合には、本体部2に熱融着や接着剤で固定される方法、または、剥離可能な接着剤やアプリケーターの一部として仮固定される方法などによって連結される。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本実施形態に係る陰唇間パッドの斜視図である。
【図2】図1における陰唇間パッド1をA−A’で切断した時の断面図である。
【図3】本実施形態に係る陰唇間パッドが正しい深さまで装着された時の図である。
【図4】本実施形態に係る陰唇間パッドの装着状態の形状を示す図である。
【図5】陰唇に対する装着角度を説明するための説明図である。
【図6】陰唇間パッドが陰唇間に正しく挟み込まれたときの状態の側面図である。
【図7】本実施形態に係る陰唇間パッドが正しく装着された状態を側面から見た図である。
【図8】本実施形態に係る陰唇間パッドの判定手段の動きを説明するための説明図である。
【図9】本実施形態に係る陰唇間パッドの判定手段の最終形態を説明するための説明図である。
【図10】陰唇間パッドが誤った深さで(浅く)装着された状態を示す側面図である。
【図11】陰唇間パッドが誤った深さで(浅く)装着された状態を示す断面図である。
【図12】装着が浅い状態の判定手段の形状である。
【図13】陰唇間パッドが右にずれて陰唇間に挟み込まれた状態を示す側面図である。
【図14】陰唇間パッドが右にずれて装着された状態を示す断面図である。
【図15】陰唇間パッドが右にずれて装着された状態を示す判定手段の形状である。
【図16】陰唇間パッドが装着角度が誤って陰唇間に挟み込まれた状態を示す側面図である。
【図17】装着角度が誤って装着された状態の判定手段の形状である。
【図18】判定手段の変形例を示す図である。
【図19】判定手段の変形例を示す図である。
【図20】判定手段の変形例を示す図である。
【図21】判定手段の変形例を示す図である。
【図22】本体部の変形例を示す図である。
【符号の説明】
【0046】
1、20、30、40 陰唇間パッド
2、42 本体部
3 判定手段
4 陰唇先端
5 前庭床
6 陰唇内壁
11 表面シート
12 裏面シート
13 吸収体
14、15、34、35 部材
60 小陰唇
【技術分野】
【0001】
本発明は、装着状態の正誤を視覚で確認できる手段を備えた陰唇間パッドに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、女性用生理用品としては、生理用ナプキン、タンポンが一般的に用いられている。ここで、生理用ナプキンについては、膣口付近への密着性の乏しさゆえに生じる隙間からの経血の漏れを防止すべく、多大な努力がなされている。また、タンポンにおいても、その物品の属性に起因して、着用時の異物感や不快感、膣内への装着困難性を生じることから、これらを除去するために多大な努力がなされている。
【0003】
このような状況下、生理用ナプキンやタンポンの中間に位置する生理用品として、近年、陰唇間パッドなる生理用品が注目されつつある。この陰唇間パッドは、女性の陰唇間にその一部分を挟み込み、陰唇内面に当接させて装着するというものであり、生理用ナプキンに比して身体との密着性が高いために経血の漏れが防止されるとともに、経血が拡散して身体に広く接することを防ぐために衛生的かつ清潔なものである。また、生理用ナプキンよりも小型であるために、装着感に優れて快適であり、膣内に挿入するタンポンに比べて着用時の心理抵抗も低いという特徴を有している。
【0004】
しかしながら、陰唇間パッドは陰唇間の挟持力によって身体に装着されるものであるため、正しく装着されていない場合には、着用者の陰唇から脱落してしまったり、適切な吸収ができずに経血を十分に吸収することができず、漏れを生じてしまったりする危険性がある。このようなことから、より正確にかつ簡単に装着ができる陰唇間パッドが種々検討されてきた。
【0005】
このような陰唇間パッドとして、特許文献1に記載の陰唇間パッドが提案されている。かかる陰唇間パッドは、流体液透過性カバーと吸収体、液不透過性バッファーとからなり、液不透過性バッファーの中心軸上に係合要素を備えている。この係合要素は、ストリップやスリット、接着剤、折り目線、突起部といったもので形成されてあり、着用者がかかる係合要素に指を挿入したり沿わせたりして陰唇間パッドの着脱を行うことができるようにするものであり、陰唇間パッドの使いやすさ向上の一助となっている。
【特許文献1】特表2005−503193号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の陰唇間パッドは、陰唇間パッドと一体的に設けられた係合要素に挿入等された指の触覚だけで、陰唇間パッドが陰唇内のどこに位置しているのかを認識するものである。このため、陰唇間パッドの装着が正しく行われているかどうかまで認識することは困難であり、装着ミスをしていても気が付かないまま使用してしまったり、装着状態に不安を感じたまま使用を続けなければならないという問題があった。
【0007】
本発明は、以上の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、装着の正誤を視覚で確認することができるようにし、装着動作を確実かつ簡単に行うことができる陰唇間パッドを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、上記課題を解決するために、陰唇間に陰唇間パッドを装着したままの状態で着用者がその装着状態を視覚で確認できる判定手段を陰唇間パッドに具備させるようにした。具体的には、使用前には二つに分離した状態となっているが、正しく装着されているときには所定の形状を形成し、誤って装着されているときには分離したままの状態や所定の形状を形成しない状態となる判定手段を、着用状態において着用者が見える位置に備えるようにした。より具体的には、本発明は以下のようなものを提供する。
【0009】
(1)体液を吸収して保持する吸収体を備え、少なくとも一部が着用者の陰唇間に挟まれて装着される陰唇間パッドであって、装着状態が正しいときにのみ所定の形状を形成することにより装着状態の正誤判定が可能となる判定手段を備えるものであり、当該判定手段は、前記所定の形状を形成する部分が前記陰唇間パッドの装着状態において陰唇に挟み込まれることなく身体から前方に向かって突出するように突設されている陰唇間パッド。
【0010】
(1)に係る陰唇間パッドは、正しい装着時には所定の形状を形成する判定手段を備えている。しかも、この判定手段は陰唇間パッドを装着したままの状態で視覚によって確認できる位置に配置されている。このため、着用者は判定手段を見て、上記所定の形状が形成されていなければ装着が正しくないという判定をすることができ、所定の形状が形成されるように改めて装着し直すことができる。
【0011】
ここで、陰唇間パッドの装着が正確に行なわれるにあたっては、陰唇と陰唇間パッドとの位置関係、具体的には陰唇間パッドの陰唇内への「装着深さ」と「装着角度」が問題となる。しかしながら、陰唇間パッドは広範囲において陰唇内に介在されてしまうものであるため、視覚により「装着深さ」や「装着角度」が正しいかどうかの判定をするのが困難であるという問題があった。この点、本発明によれば、直接目視できる判定手段を備えているため、着用者がこの判定手段によって装着状態が誤っていると判定すればすぐに装着位置や装着角度を修正することができる。従って、装着操作時に正しく装着できたかどうかを確認できないために誤装着に気づかないまま使用を続けてしまい、脱落や経血モレといった事故が起こった後に初めて装着ミスを認識する、という事態を回避することができる。しかも、着用者に「正しく着けられた」という装着確実性を認識させるので、「間違えているかもしれない」といった心理的不安感を消すことができ、装着しているときの状態を心身ともに快適なものとすることができる。更に、陰唇間パッドを初めて使用する着用者で陰唇構造を熟知していない場合でも、この判定手段を陰唇間パッドを正しい位置に装着するときのガイドとして正確に陰唇間パッドを装着することができる。
【0012】
なお、判定手段は陰唇間パッドの本体を構成する素材の一部を延長して一体的に設けられたものでもよく、別部材を取り付けることによって設けられたものであっても構わない。また、判定手段の形状は、誤装着がすぐ認識できるように異常が顕著に分かる形状が好ましい。具体的には、円形、楕円形、長方形、ひし形、その他の多角形などがある。そして、上記機能を発揮できるものであれば、平面であっても立体であっても構わない。
【0013】
(2)前記判定手段において前記所定の形状を形成する部分は、前記陰唇間パッドの装着前においては分離しているが、前記陰唇間パッドが正しく装着されたときには一体となって前記所定の形状を形成するものである(1)記載の陰唇間パッド。
【0014】
(2)に係る陰唇間パッドの判定手段は、分離した部分が結合して所定の形状を形成する。このため、分離していれば装着が正しく行なわれていないこととなり、正誤判定が一目瞭然となっている。
【0015】
(3)前記陰唇間パッドは中心軸を有するものであり、前記所定の形状は、装着時における着用者の陰裂と前記陰唇間パッドの前記中心軸との間に形成される角度の大きさに依存して歪みが大きくなるように視認される(1)又は(2)記載の陰唇間パッド。
【0016】
(3)に係る陰唇間パッドの判定手段は、所定の形状が、誤って装着したときの角度が大きくなるにつれて上面から見たときの形状が歪んで見えるようになっている。このため、着用者はその歪み状態から陰唇間パッドの装着角度が誤っていることを認識することができ、この歪み状態が改善されるように装着角度に留意して装着をやり直すことができる。このような歪みを生じさせる形状としては、例えば2次元の円形または3次元の球形が挙げられる。
【0017】
(4)前記判定手段の寸法は、前記陰唇間パッドとの連結部分から身体前方向に向かう方向に5mm以上50mm以下である(1)から(3)いずれか記載の陰唇間パッド。
【0018】
(4)に係る陰唇間パッドでは、判定手段が視覚にて確認できる大きさであり、かつ、装着時に身体に接触しすぎて違和感を与えてしまうことのない大きさとなっている。即ち、着用時に陰唇から露出させるために陰唇間パッドの周縁から5mm以上の長さをもち、かつ、身体との接触面積を可能な限り小さくするために、陰唇間パッドの周縁から50mm以下となっている。このため、装着時の快適性を害することなく装着正誤の判断が可能な陰唇間パッドとなっている。
【0019】
(5)前記陰唇間パッドは二つ折りにして装着されるものであり、前記判定手段は装着前においては離間した一対の部材を備え、前記二つ折りにしたときの折軸が陰唇内の前庭床に接するようにして装着された場合にのみ前記一対の部材間の距離が消滅して前記所定の形状を形成するものである(2)から(4)いずれか記載の陰唇間パッド。
【0020】
(5)に係る陰唇間パッドでは、判定手段が装着前には離間した状態である一対の部材を備えており、陰唇間パッドが挟み込まれて折り畳まれるときにこの一対の部材も一緒に動き、装着が完了したときに装着状態が正しければ二つの部材の輪郭形状が一致して所定の形状を形成するようになっている。このため、離間状態を見るだけで陰唇間パッドの装着状態を確認することができる。
【0021】
(6)前記離間した一対の部材間の距離は、指幅よりも大きいものである(5)記載の陰唇間パッド。
【0022】
(6)に係る陰唇間パッドでは、陰唇間パッドを二つ折りにして装着するという装着動作時の指の動きを妨げないようにするために、部材間の距離は指幅よりも大きい。このような寸法としては、具体的には10mm以上とするのが好ましい。
【0023】
一方、上限としては40mm以下とするのが好ましい。これは、陰唇間パッドの一部が折軸を中心に陰唇の深さの方向に折り込まれた時に、頂点となる折軸部分が前庭床を過度に押し込まれないようにするためである。即ち、本発明によれば、部材間の離間した部分において陰唇間パッドの本体部分が二つ折りにされて陰唇内に折り込まれることとなるが、この折り込まれる部分の鉛直方向の長さが長すぎると、頂点となる折軸部分が前庭床に過度に押し込まれ、着用者は前庭床に陰唇間パッドがつきささるような違和感を覚えることになる。この点、平均的な女性における前庭床から陰唇先端までの寸法は7mmから20mm程度であり、上述のように部材間の距離が40mm以下であれば、二つ折りにした時に鉛直方向の長さは20mm以下となる。従って、二つ折りにした状態における鉛直方向の寸法が前庭床から陰唇先端までの寸法よりも長くなって頂点が前庭床を圧迫するというようなことがなく、前庭床に違和感を与えないようにすることができる。
【0024】
以上のように、部材間の距離を10mm以上40mm以下とすることにより、判定手段が装着時や装着後に邪魔になることがなく、装着快適性を損ねることがなくなる。
【発明の効果】
【0025】
以上のような本発明によれば、着用者は陰唇間パッドの装着動作中において、陰唇間パッドの陰唇の深さ方向に対する「装着位置」及び前庭床(陰裂)に対する「装着角度」が正しい状態で装着されているかどうかを、視覚によって確認することができる。このため、装着状態が正しくない場合には速やかに修正することが可能となり、装着が間違っていることを気付かずにいたり、正しく装着されているかどうかを不安なままで装着を続けたりするという事態を未然防ぐことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、第1実施形態以外の各変形例の説明において、第1実施形態と共通するものについては、同一符号を付し、その説明を省略若しくは簡略化する。
【0027】
<陰唇間パッドの全体構成>
図1は本実施形態に係る陰唇間パッドを示す斜視図であり、図2は図1に示した陰唇間パッド1をA−A’で切断した時の断面図であり、図3は装着時のΩ状態の陰唇間パッドを示す断面図である。
【0028】
陰唇間パッド1は、図1に示すように略楕円形状の本体部2とこの本体部2の一端に設けられた判定手段3とから成る。本体部2は図2に示すように、液体透過性の表面シート11と、液体不透過性の裏面シート12、および表面シート11と裏面シート12の間に介在された吸収体13とから成る。また、判定手段3は、略半円形で互いに対称の形状となっている部材14及び部材15を備え、前記本体部2の表面シート11と裏面シート12が延長されることにより形成されている。
【0029】
なお、陰唇間パッド1は着用時において装着者の身体の前後方向に縦長状態となるものであり、本明細書においてはこの方向を長手方向とし、かかる長手方向に垂直な方向を短手方向とする。また、装着時において陰核の存する身体前部に向かう方向を前方向、臀部の存する身体後部に向かう方向を後方向とする。
【0030】
陰唇間パッド1は、図1に示すようにこの長手方向の中心線Xを中心軸として略対称な形状をしており、中心線Xから略平行に左右に延在し、図3に示すように二つ折りにして装着するときに陰唇に介在されない領域である陰唇外領域Yを、中心線Xを軸として左右対称となるように備えている。そして、図1から分かるように、判定手段3がこの陰唇外領域Yにおいて本体部2の先端から突設されている。
【0031】
[判定方法]
次に判定方法について説明する。図4及び図5は陰唇と陰唇間パッドとの位置関係を示す図であり、図6から図9は陰唇間パッドが陰唇内に正しく装着された状態を示す図であり、図10から図17は陰唇間パッドが陰唇内で誤って装着された状態を示す図である。
【0032】
本実施形態に係る陰唇間パッド1は、図4に示すように中心線Xを折軸として二つ折りされ、この折軸付近の少なくとも一部が陰唇内の前庭床5に接するように陰唇間の小陰唇60間に少なくとも一部挟まれて着用される。このような装着が正確に行なわれるにあたっては、陰唇と陰唇間パッドとの位置関係、具体的には陰唇間パッドの陰唇内への「装着深さ」と「装着角度」が問題となる。ここで、「装着深さ」とは、図4に示す線Zの領域、即ち陰唇先端4から前庭床5に向かう方向を示し、「装着角度」とは、図5の角度θ、即ち陰唇間パッド1の中心線Xと身体の陰裂に沿う中心線X’との角度を示す。
【0033】
〔装着が正しい場合〕
陰唇間パッド1は、装着する時の陰唇への挟み込み時点において、図6に示すように中心線Xを折軸として二つ折りされるが、「陰唇間パッドを正しく装着できた状態」とは、装着状態において図4で示すように陰唇間パッド1が左右の陰唇内壁6に挟まれ、かつ、中心線Xと前庭床5とが当接するように、中心線Xと陰裂(図示しない中心線X’)とが重なるように配置された状態をいう。そして、このように配置された陰唇間パッドは、図7に示すように、陰唇外領域Yとなる部分が陰唇の先端を基点として折り畳まれることとなる。
【0034】
なお、本実施形態によれば、二つ折りにした状態におけるZ方向の長さは図4に示すように前庭床5から陰唇先端4までの長さとほぼ同じであるため、中心線Xに位置する頂点が前庭床5を強く圧迫することがなく、前庭床に違和感を与えない設計となっている。
【0035】
このように、陰唇間パッド1が「正しく装着できた状態」であれば、図8に示すように、判定手段3の離間している二つの部材である部材14及び部材15は、陰唇深さ方向Zにポイント14a−ポイント15a間のW領域が折り込まれることによって離間した二つの部分の離間距離が縮まっていく。そして、更に陰唇間パッドが折り畳まれて適切な位置まで装着されると、身体前方向から見てポイント14aとポイント15aは図4で点線にて示す箇所に位置することとなり、上面から見た場合には図9に示すようにポイント14aとポイント15aが一致してW領域が消滅し、部材14と部材15の周縁がつながって輪郭が一致した形状となる。このとき着用者は判定手段3を見て、陰唇間パッド1が正しく装着された状態であることを視覚的に認識することができるのである。
【0036】
〔装着位置が誤っている場合〕
次に、位置が正しく装着されていない状態について説明する。図10に示すように、装着時の陰唇への挟み込みの時点において陰唇間パッド1の中心線Xと前庭床5との間に隙間が生じるような浅い位置に陰唇間パッド1が配置された場合、装着状態は図11に示すように、本体部2の前方に位置するポイント14a―ポイント15a間は深い位置まで折り込まれない。このため、図12に示すように、ポイント14a−15a間の距離は縮まるこがとなく、判定手段3の部材14と部材15とは離間したままで、領域Wも存在している。このように、判定手段3の二つの部材が離れたままで真円が形成されないのを見て、着用者は陰唇間パッド1の装着位置が浅かったことを認識することとなる。
【0037】
また、図13に示すように、装着時の陰唇への挟み込みの時点において陰唇間パッド1が中心線Xに沿って折られてなく、着用者から見て中心線Xより左側で折られて、中心線Xからずれた折り目線が陰裂と重なる中心軸X’と平行となるように陰唇間パッド1が配置された場合、図14に示すように陰唇外領域Yが左右非対称に設けられてしまうこととなる。この場合には、図15に示すように判定手段3のポイント14a−ポイント15a間の距離は縮まるこがとなく、部材14と部材15とは上下・左右に離間したままで、領域Wも存在している。このように、判定手段3の二つの部分が離れたままで、かつ、上下にずれてしまい、判定手段に真円を形成されないのを見て、着用者は陰唇間パッド1の装着位置が右にずれていることを認識する。
【0038】
〔装着角度が誤っている場合〕
図16に示すように、陰唇間パッド1が装着時の陰唇への挟み込みの時点において前庭床5を通る中心線X’に対して斜めに装着された場合、即ち中心軸Xが傾いて装着された場合には、判定手段3のポイント14a−15a間の距離は縮まるこがとなく、図17に示すように、判定手段3は横に長い楕円形を形成しているように見える。このように判定手段3の形状が歪んでいるのを見て、着用者は陰唇間パッド1が斜めに装着されていることを認識する。
【0039】
<他の形状>
次に、変形例について説明する。図18から図21は判定手段の変形例を示す図であり、図22は本体部の変形例を示す図である。
【0040】
本発明の判定手段は、上述したように、装着前には離間している二つの部材の輪郭が装着後には一致して円のような一つの幾何学的な形になる形状が挙げられるが、このような形状を形成する部材の形状としては、半円の他、図18で示す陰唇間パッド20のように、向かい合う端面部分が凹凸となっている部材24と部材25とが、図19で示すように向い合わせの端面同士が咬み合うことにより一致し、真円を形成する形状であってもよい。また、咬み合っているかいないかがわかる形状であれば最終形状が丸となるものでだけでなくてもよく、例えば図20に示す陰唇間パッド30のように両端ともに凹凸がある部材34と部材35であって、図21に示すように最終形状である所定の形状も凹凸があるようなものでもよい。なお、本体部の形状も、上述した楕円型のほか、図22に示す陰唇間パッド40の本体部42のような瓢箪型、雫型など、女性の陰唇に適合する形状であればよい。
【0041】
<構成材料>
[表面シート]
一般的に表面シート11は、液透過性であり、かつ液親水性で肌に刺激を与えない素材が使用される。例として、ポイントボンド、スルーエア等の製造方法から得られる不織布を単独またはこれらを複合した材料が用いられる。このような材料のうち、陰唇間パッド1と陰唇内壁9との間にずれが生じて、着用者が異物感を感じることを防ぐために、セルロース系の液親水性繊維を主体とした構成が好ましい。
【0042】
表面シート11を構成する具体的な材料としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート等の熱可塑性樹脂で構成され、各樹脂を単独、もしくは芯鞘タイプ、芯鞘の偏芯タイプ、サイドバイサイドタイプの複合の合成繊維、パルプ、化学パルプ、レーヨン、アセテート、天然コットンなどのセルロース系の液親水性繊維、が例として挙げられる。これらの繊維を、水流交絡、スパンボンド、ポイントボンド、スルーエア等により、単独、または複合した不織布を、表面シート11として用いることができる。表面シート11の具体的な例としては、レーヨンまたはアセテートを50〜95%、ポリエチレンテレフタレートを5〜50%の比率で混合した繊維を、20〜60g/m2の範囲で調整したスパンレース不織布や、伸長性スパンボンド不織布を好ましく用いることができる。
【0043】
[裏面シート]
裏面シート12は、難透水性の材料が用いられ、例えば、厚さ15μm以上60μm以下のポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリビニルアルコール、ポリ乳酸、ポリブチルサクシネート、または不織布、紙、および、これらのラミネート材料が挙げられる。また、フィルム材料に無機フィラーを含有させて、延伸処理させた通気性フィルムであってもよい。具体的には、低密度ポリエチレン(LDPE)樹脂を主体として、10%以上30%以下の開孔を有し、孔径が0.1mm以上0.6mm以下、目付15g/m2以上35g/m2以下の範囲で調製したフィルムが挙げられる。不織布の例としては、スパンボンド不織布、スルーエア不織布、ポイントボンド不織布等が挙げられる。これらに撥水処理が施されてあってもよい。これら不織布のなかでも極細繊維で構成され、繊維間距離が非常に小さいメルトブローンを含むSMS不織布であることが好ましい。SMS不織布のそれぞれの層の目付は、5g/mm2以上15g/m2以下、1g/mm2以上10g/m2以下、5g/mm2以上15g/m2以下の範囲で構成されることが好ましい。
【0044】
[判定手段〕
判定手段3を構成する部材は、陰唇間パッドの本体部2と一体成形された要素、または、本体部2とは別の部材によって成形される要素から構成される。一体成形の場合には、表面シート11、吸収体13、裏面シート12をそれぞれ全ての延長部分、または、前記部材のいずれかの延長部分により構成される。別の部材から成形される場合には、本体部2に熱融着や接着剤で固定される方法、または、剥離可能な接着剤やアプリケーターの一部として仮固定される方法などによって連結される。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本実施形態に係る陰唇間パッドの斜視図である。
【図2】図1における陰唇間パッド1をA−A’で切断した時の断面図である。
【図3】本実施形態に係る陰唇間パッドが正しい深さまで装着された時の図である。
【図4】本実施形態に係る陰唇間パッドの装着状態の形状を示す図である。
【図5】陰唇に対する装着角度を説明するための説明図である。
【図6】陰唇間パッドが陰唇間に正しく挟み込まれたときの状態の側面図である。
【図7】本実施形態に係る陰唇間パッドが正しく装着された状態を側面から見た図である。
【図8】本実施形態に係る陰唇間パッドの判定手段の動きを説明するための説明図である。
【図9】本実施形態に係る陰唇間パッドの判定手段の最終形態を説明するための説明図である。
【図10】陰唇間パッドが誤った深さで(浅く)装着された状態を示す側面図である。
【図11】陰唇間パッドが誤った深さで(浅く)装着された状態を示す断面図である。
【図12】装着が浅い状態の判定手段の形状である。
【図13】陰唇間パッドが右にずれて陰唇間に挟み込まれた状態を示す側面図である。
【図14】陰唇間パッドが右にずれて装着された状態を示す断面図である。
【図15】陰唇間パッドが右にずれて装着された状態を示す判定手段の形状である。
【図16】陰唇間パッドが装着角度が誤って陰唇間に挟み込まれた状態を示す側面図である。
【図17】装着角度が誤って装着された状態の判定手段の形状である。
【図18】判定手段の変形例を示す図である。
【図19】判定手段の変形例を示す図である。
【図20】判定手段の変形例を示す図である。
【図21】判定手段の変形例を示す図である。
【図22】本体部の変形例を示す図である。
【符号の説明】
【0046】
1、20、30、40 陰唇間パッド
2、42 本体部
3 判定手段
4 陰唇先端
5 前庭床
6 陰唇内壁
11 表面シート
12 裏面シート
13 吸収体
14、15、34、35 部材
60 小陰唇
【特許請求の範囲】
【請求項1】
体液を吸収して保持する吸収体を備え、少なくとも一部が着用者の陰唇間に挟まれて装着される陰唇間パッドであって、
装着状態が正しいときにのみ所定の形状を形成することにより装着状態の正誤判定を可能となる判定手段を備えるものであり、
当該判定手段は、前記所定の形状を形成する部分が前記陰唇間パッドの装着状態において陰唇に挟み込まれることなく身体から前方に向かって突出するように突設されている陰唇間パッド。
【請求項2】
前記判定手段において前記所定の形状を形成する部分は、前記陰唇間パッドの装着前においては分離しているが、前記陰唇間パッドが正しく装着されたときには一体となって前記所定の形状を形成するものである請求項1記載の陰唇間パッド。
【請求項3】
前記陰唇間パッドは中心軸を有するものであり、装着時における着用者の陰裂と前記陰唇間パッドの前記中心軸との間に形成される角度の大きさに依存して歪みが大きくなるように視認される請求項1又2記載の陰唇間パッド。
【請求項4】
前記判定手段の寸法は、前記陰唇間パッドとの連結部分から身体前方向に向かう方向に5mm以上50mm以下である請求項1から3いずれか記載の陰唇間パッド。
【請求項5】
前記陰唇間パッドは二つ折りにして装着されるものであり、
前記判定手段は装着前においては離間した一対の部材を備え、前記二つ折りにしたときの折軸が陰唇内の前庭床に接するように装着された場合にのみ前記一対の部材間の距離が消滅して前記所定の形状を形成するものである請求項2から4いずれか記載の陰唇間パッド。
【請求項6】
前記離間した一対の部材間の距離は、指幅よりも大きいものである請求項5記載の陰唇間パッド。
【請求項1】
体液を吸収して保持する吸収体を備え、少なくとも一部が着用者の陰唇間に挟まれて装着される陰唇間パッドであって、
装着状態が正しいときにのみ所定の形状を形成することにより装着状態の正誤判定を可能となる判定手段を備えるものであり、
当該判定手段は、前記所定の形状を形成する部分が前記陰唇間パッドの装着状態において陰唇に挟み込まれることなく身体から前方に向かって突出するように突設されている陰唇間パッド。
【請求項2】
前記判定手段において前記所定の形状を形成する部分は、前記陰唇間パッドの装着前においては分離しているが、前記陰唇間パッドが正しく装着されたときには一体となって前記所定の形状を形成するものである請求項1記載の陰唇間パッド。
【請求項3】
前記陰唇間パッドは中心軸を有するものであり、装着時における着用者の陰裂と前記陰唇間パッドの前記中心軸との間に形成される角度の大きさに依存して歪みが大きくなるように視認される請求項1又2記載の陰唇間パッド。
【請求項4】
前記判定手段の寸法は、前記陰唇間パッドとの連結部分から身体前方向に向かう方向に5mm以上50mm以下である請求項1から3いずれか記載の陰唇間パッド。
【請求項5】
前記陰唇間パッドは二つ折りにして装着されるものであり、
前記判定手段は装着前においては離間した一対の部材を備え、前記二つ折りにしたときの折軸が陰唇内の前庭床に接するように装着された場合にのみ前記一対の部材間の距離が消滅して前記所定の形状を形成するものである請求項2から4いずれか記載の陰唇間パッド。
【請求項6】
前記離間した一対の部材間の距離は、指幅よりも大きいものである請求項5記載の陰唇間パッド。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【公開番号】特開2007−97717(P2007−97717A)
【公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−289198(P2005−289198)
【出願日】平成17年9月30日(2005.9.30)
【出願人】(000115108)ユニ・チャーム株式会社 (1,219)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年9月30日(2005.9.30)
【出願人】(000115108)ユニ・チャーム株式会社 (1,219)
【Fターム(参考)】
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