説明

陳列棚照明システム

【課題】棚を照明する棚光源の電源として太陽電池を用い、陳列棚から壁面又は床面に設けられたコンセント間等の電気配線処理を不要として陳列棚の配置の自由度を向上するとともに、棚に対して所期の照明効果を達成し得る陳列棚照明システムを提供することを目的とする。
【解決手段】棚5a、5b、5c、5d、5eを有する陳列棚本体1と、陳列棚本体1に設けられ、棚5b、5c、5d、5eを照明する棚光源6a、6b、6c、6dと、陳列棚本体1の上部開放部7に設けられ、棚光源6a、6b、6c、6dに電力を供給する太陽電池8と、室内に設置され、太陽電池8の受光部8aに向けて光を照射する光源10とを備える陳列棚照明システムである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、陳列棚の照明用電源として太陽電池を用いる陳列棚照明システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種、棚上に商品を陳列する陳列棚にあっては、複数段の棚を架設し、この棚下面前部に蛍光ランプ等の光源を設け、その下方に位置する棚上の商品を照明していた。
【0003】
このような従来の陳列棚では、光源への電力の供給は、商用電源で行われるため、陳列棚から壁面又は床面に設けられたコンセント間は、電線で接続されることとなり、所定の電気配線処理を必要としていた。
【0004】
したがって、陳列棚の配置場所近くにコンセント類が設置されていれば、比較的電気配線処理も円滑に行えるが、常にコンセント類が近くにあるとは限らず、また、店内の配置換え等に伴う陳列棚の移動に際し、電気配線処理が臨機応変に対応し難い等の不都合が生じていた。
【0005】
これに対し、電気配線処理を不要とするため、光源の電源として太陽電池を用いることが考えられる。例えば、ショーケースにおいて、棚の下面に設けられる各蛍光ランプに対応して太陽電池を設け、この太陽電池によって蛍光ランプからの光の一部を電力に変換するものがある(「特許文献1」参照)。
【特許文献1】特開平7−43065号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、「特許文献1」に示されたものは、主として商用電源により充電される蓄電池によって負荷に給電するもので、太陽電池で発電した電力は、あくまでも蓄電池充電の補助に用いるに他ならない。
【0007】
したがって、商用電源を用いるため、電気配線処理は必要であり、また、当然ながら太陽電池の電力では負荷への電力供給は十分ではないという前提に立脚している。
【0008】
本発明は、棚を照明する棚光源の電源として太陽電池を用い、陳列棚から壁面又は床面に設けられたコンセント間等の電気配線処理を不要として、陳列棚の配置の自由度を向上するとともに、棚に対して所期の照明効果を達成し得る陳列棚照明システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1記載の陳列棚照明システムは、棚を有する陳列棚本体と、陳列棚本体に設けられ、棚を照明する棚光源と、陳列棚本体の上部開放部に設けられ、棚光源に電力を供給する太陽電池と、室内に設置され、太陽電池の受光部に向けて光を照射する光源とを具備していることを特徴とする。
【0010】
本発明において、特に指定しない限り用語の定義及び技術的意味は次による。
【0011】
「陳列棚本体の上部開放部」とは、陳列棚本体の上部であって、室内照明、太陽電池の受光部に向けられる光源からの光照射が、障害物によって遮られる可能性が少ない部分を指すものである。
【0012】
光源を室内に設置するとは、光源を天井面又は壁面に取付けること、また、スタンド等により室内に配置することを含むものである。
【0013】
太陽電池の受光部に向けて光を照射する光源は、室内照明用又は商品等照明用の光源を用いてもよく、また、特別に太陽電池照射目的で設けてもよい。
【発明の効果】
【0014】
請求項1記載の発明によれば、棚光源に電力を供給するのに太陽電池を用いたため、省エネルギー化を図れ、また、電気配線処理を不要とし、陳列棚の配置の自由度を向上できる。
【0015】
また、太陽電池は、陳列棚本体の上部開放部に設けられているので、室内の照明の光を受け易いばかりでなく、太陽電池の受光部に向けられる光源からの光を受け、有効な発電効果を得て、棚に対して所期の照明効果を達成し得る。
【0016】
加えて、光源は、陳列棚本体の上部開放部に向けられるので、その光の照射の拡がりから、陳列棚を照らす機能及び室内用照明としての機能をも果し得る陳列棚照明システムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明の第1の実施形態である陳列棚照明システムを図1乃至図3を参照して説明する。図1は、商品陳列棚本体を示す斜視図であり、図2は、その側面図である。
【0018】
陳列棚本体1は、基台2と基台2からほぼ垂直に立ち上がる背面壁3から構成されている。基台下面4箇所には本体の移動に資するキャスター4が取付けられている。背面壁3には複数段の陳列棚5a、5b、5c、5dが前方に延出して設けられている。この陳列棚5a、5b、5c、5dは、陳列棚5a、5b、5c、5dに載置された商品を顧客が見易くするため、上方側に位置する棚5a、5bの前後幅を下方側に位置する棚5c、5dより狭く構成している。
【0019】
なお、基台2上面は、陳列棚としての機能をなし、すなわち、複数段の陳列棚5a、5b、5c、5d、5eのうち、最下方の陳列棚5eを構成している。
【0020】
次に、陳列棚5a、5b、5c、5dの前方下面には、その長手方向に沿って各下方の陳列棚5b、5c、5d、5eを照らす棚光源6a、6b、6c、6dが設けられている。したがって、各陳列棚5b、5c、5d、5eは棚光源6a、6b、6c、6dによって照らされ、最上段の棚5aは、室内照明によって照らされることになる。
【0021】
また、陳列棚本体1の上方開放部としての背面壁上端部7には、太陽電池8が受光部8aをパネル状となして取付けられており、太陽電池8は、その発電電力を各光源6a、6b、6c、6dに供給するように各光源6a、6b、6c、6dに電気的に並列に接続されている。太陽電池8の発電能力を考慮すると、棚光源6a、6b、6c、6dとしては比較的消費電力の少ないLED、冷陰極ランプ、有機EL等が望ましい。
【0022】
ところで、光源6a、6b、6c、6dに電力を供給する太陽電池8の発電能力は、店内の照明の光からだけでは不足し勝ちとなる。そこで、図3に示すように光源、例えば、照射角度調整可能なスポットライト10を天井面11に取付け、その光を太陽電池8の受光部8aに向けて照射するようにする。このスポットライト10に使用されるランプとしてはハロゲンランプやHIDランプがあるが、本実施形態においては、HIDランプに限定はされないが、HIDランプのようなエネルギーの大きなランプを使用するのが好ましい。
【0023】
以上のように、本実施形態によれば、太陽電池8が背面壁上端部7に取付けられているので、光の照射を遮る物がなく、例え、最上段の棚5aに商品が置かれた場合でも、この商品が太陽電池8の受光に関して障害になることは少ない。
【0024】
したがって、太陽電池8は、室内の照明による光、スポットライト10による光からの光エネルギーを集中して有効に受けることができ、太陽電池8からの発電電力を各棚光源6a、6b、6c、6dに分散して陳列棚5b,5c、5d、5eを効果的に照らすことが可能となる。
【0025】
一方、スポットライト10は、陳列棚本体1の上部開放部、すなわち、背面壁上端部7に向けられているので、そのスポットライト10の取付け位置は少なくとも背面壁上端部7より上方となり、その光の拡がりから、陳列棚を照らす機能に加えて、補助的に室内全体を照らす機能をも併せ持つこととなる。
【0026】
よって、スポットライト10の光照射方向に鑑みると、陳列棚本体1の上部開放部としての背面壁上端部7に太陽電池8を設けることは、太陽電池8の発電、陳列棚の照明及び室内の照明効果を有効に発揮できる最適位置であるということができる。
【0027】
さらに、近時、時流に対応して頻繁に店内の配置換えがなされる傾向があるが、本実施形態においては、陳列棚本体1と床面又は壁面に設置されたコンセント類間の配線処理が不要なため、店内の配置換えに臨機応変に容易に対応できるとともに、太陽電池8は背面壁上端部7に設けているので、比較的目に触れにくく、目立つことなく、また、配線による電線もないので、陳列棚本体1及び店内の美観を損なうことがない。
【0028】
次に、図4乃至図7を参照して本発明の他の実施形態について説明する。上述の第1の実施形態と同一又は相当部分には同一符号を付しその詳細な説明は省略する。
【0029】
図4及び図5は、第2の実施形態を示し、陳列棚本体1の上部開放部である背面壁上部前面9に太陽電池8を設けたものである。この場合は、太陽電池8の受光部8aは、前面となる。
【0030】
図6及び図7は、第3の実施形態を示し、天板12を有するタイプの陳列棚本体1において、その上部開放部である天板12の上面前部12aに太陽電池8を取付けたものである。この場合は、太陽電池8の受光部8aは、上面となる。天板12には商品等を載置しないことを考えれば、天板12面ほぼ全面を受光部としてもよい。なお、天板12の前方下面には、その長手方向に沿って下方の陳列棚5aを照らす棚光源12bが設けられている。
【0031】
これら第2の実施形態及び第3の実施形態によっても、第1の実施形態の場合と同様な作用効果を奏することができる。
【0032】
なお、上述の実施形態においては、陳列棚前方下面に棚光源を設けたものについて説明したが、棚光源の取付け位置は、これに限らず、棚を照明できれば陳列棚本体の任意な場所でよい。
【0033】
さらに、上述の実施形態においては、陳列棚を複数段設けたタイプについて説明したが、陳列棚を1段設けたタイプのものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の第1の実施形態の陳列棚本体を示す斜視図である。
【図2】同陳列棚本体を示す側面図である。
【図3】同陳列棚照明システムを示す側面図である。
【図4】本発明の第2の実施形態の陳列棚本体を示す斜視図である。
【図5】同陳列棚本体を示す側面図である。
【図6】本発明の第3の実施形態の陳列棚本体を示す斜視図である。
【図7】同陳列棚本体示す側面図である。
【符号の説明】
【0035】
1 :陳列棚本体
5a、5b、5c、5d、5e :棚
6a、6b、6c、6d :棚光源
7 :上部開放部
8 :太陽電池
8a :受光部
10 :光源

【特許請求の範囲】
【請求項1】
棚を有する陳列棚本体と;
陳列棚本体に設けられ、棚を照明する棚光源と;
陳列棚本体の上部開放部に設けられ、棚光源に電力を供給する太陽電池と;
室内に設置され、太陽電池の受光部に向けて光を照射する光源と;
を具備していることを特徴とする陳列棚照明システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−175147(P2007−175147A)
【公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−374694(P2005−374694)
【出願日】平成17年12月27日(2005.12.27)
【出願人】(000003757)東芝ライテック株式会社 (2,710)
【Fターム(参考)】