説明

陽極頻回刺激治療器

【課題】 人体で常に行われている電気的変位を外部から簡単に補足でき、取り扱いが容易で安全性が高く、生物のホメオスターシス機能である「自然治癒能力」を高めることができる陽極頻回刺激治療器を提供する。
【解決手段】 絶縁状態にした人体の皮膚表面に、電気の陽極を導子8に導いて間欠的に所定回数の陽極刺激を付与する陽極頻回刺激治療器1であって、交流電源の陽極に接続される陽極導子8と、この陽極導子8をその先端に向けて進退可能に備えた治療用ヘッド部3と、陽極導子8を一定サイクルで進退させる動作部と、この動作部に交流電源からの電流を一定サイクルで間欠的に通電する出力制御部とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、人体の皮膚表面上の適所(一部)に電気の陽極を治療用導子に導き間欠的に接触させ、人体の適所に電気的な刺激を与えることによって、人が本来持つ自然治癒力を活性化し、疾患部の治癒を促進する陽極頻回刺激治療器に関するものである。
【0002】
なお、この発明に係る陽電子治療器は、疾患部位が正常な部位に比べて低電位であって両者には電位差があること、人体を絶縁した状態で人体の皮膚面に陽極導子を間欠的に接触させて刺激すると、その部位の細胞は接触した陽極に大気中および人体を場とする電子が引き寄せられ電磁気的に電子の偏りである変位が発生すること、この変位を消滅させる反応が中枢神経に感応する陽電子(ポジトロン)として発生し、患部の電位差に誘導され電流が患部と正常部位との電位差の原因である電子の集まりに流れて変位を消滅させ、電位差を解消することを前提(想定もしくは仮定)としたうえで、本発明の基本的な原理をなす治療器を用いて数百例を上回る病気を治癒した臨床例に基づいて開発されたものである。
【背景技術】
【0003】
この陽極頻回刺激治療器は、人体の皮膚面に陽極の間欠的な接触による刺激を繰り返し付与すると、その接触した部位に電子的変位(一種の運動)が起こることから、別名「電子療法器」とも称する。最初に、この陽極頻回刺激治療器がどのような経緯で考え出されたかについて説明すると、そもそもこの研究を始めるもとになったのは、本発明者(本出願人)が4歳の1943年の夏に萱で右膝を5cmほど切った際、傷口から丹毒菌(溶愧血性連鎖球菌)が入り、翌日39℃の発熱および水泡が出来、それが日に日に拡がり、体温は41.5℃に上昇、中毒症状を呈して意識は混濁し、遂に発病5日目には腹部中央から右足全体に水泡が拡大、心臓も衰弱して死期が迫っていた。当時は戦時中でもあり、有効な抗生物質などは無く、往診を依頼した医師も手を焼いていた。 この陽極頻回刺激治療器の原理は本発明者の父が思いついたもので、当時、柔道整復師をもち、灸術師として治療院を開業していた。そして自らも手立てを探していたが、思うような治療法が色々な文献を調べても見つからなかったようだ。このとき、母は父に対して父が使用していた治療器を工夫して何とかならないのか、と迫ったそうである。そこで、父は艾によるお灸と違って灸の跡が残らないお灸器である、加藤式温熱治療器(日本灸治療器)を持っていたので、これを使って治療しようとしたが、その器械の説明書にはその種の病気に対する記述はなかったようだ。
【0004】
父は、細菌性疾患であることと水泡性丹毒菌のリンパ潜入なども考慮に入れ、細菌の分裂期を狙って、30分毎に患部から離れた両前腕部内側に約7cm角の部分に日本灸を施した。90℃に加熱した端子の先端(直径3mm程度)で1回の治療について治療部位に対し1500点程度の頻回刺激(間欠的接触)を行い、それを一定時間ごとに徹夜で繰り返し行ったようだ。その結果、想像を絶するほどの劇的な効果が出て、翌朝9時の検温で37.5℃まで体温が下がり、水泡も怒張したように腫れていたものが軟らかくなり、腫れが引き始めた。その後も同様の治療を繰り返し、治療を始めて3日目からは1日5回、5日目には3回と治療回数を徐々に減らし、1回当たりの間欠的刺激点数も1000点にと徐々に回数と点数を減らしていったところ、治療開始から7日後には完全に治癒したようだ。
【0005】
このことを契機として、来院患者の種々の病気に上記器械を使用し、臨床治療試験結果を記録していった。それ以後も、なぜ温熱治療がそこまで有効なのか、どの様な作用機序をたどって治るのか、それらがどの様な理論でそうなるのか、など長期間に亘って、臨床試験と理論解明の研究を続けた結果、鍼の刺激エネルギーに比べて日本灸の熱エネルギーの方が大きいため人体の疾患には刺激量によってはより有効であること、温熱と電気の陽極による刺激が皮膚面上の刺激した部位の細胞群に電子運動を起こし電子の偏りである電磁気的変位をを起こす。この変位が脳の中枢神経細胞に伝わり、これに感応する陽電子の発電反応が起き、この陽電子が患部に発生している異常な電子に向かって流れ、電子を消すことにより、患部の電気的な変位を消滅させ治癒すると推論した。刺激の種類が何であろうと、人体にとって刺激は電気的に作用し、それが人体を場とする電子の運動に関わりをもっており、そうした電気的な流れが人体のもつ自然治癒の本質であり、脳の神経中枢に感応(反応)する陽電子の発生にあると、考えたようである。
【0006】
この推論(理論)を基に温熱刺激を電気的刺激に変え、刺激感が無く、安全な治療器を創作した。この治療器を使って当時蔓延していた肺結核やカリエスなどの医師から見放された状態の38名の患者に対し試みたところ、治療に全て成功した。5年後の追跡調査の結果、全員再発せず、元気に過ごしていることを確認した。それからは、結核性疾患だけではなくガンや糖尿病、その他、多くの来院した患者の病気に使用し、病気の改善や治癒に成功した。その経験を基に250種類以上の病気について治療指針を完成させ、書き残した。その時、製造した初期モデルの治療器100は、図4に示すように、先端から陽極用端子101が突出した形態のハンマー型の構造からなるものである。しかし、間欠的に端子101を皮膚面に接触する機能は全くなく、いいかえれば交流電源の陽極に被覆電線の一端を接続して使用する端子101を先端に備えたハンマー形状の治療器100で、施術者が手でに持ち、人体の皮膚面に接触しては離間することによって間欠的に端子101の接触を繰り返して治療する装置であった。ただし、この治療器100は父の治療院内で使用していたものであるから、基本原理が公知になっていたかどうかはもとより、その治療器の公用性についても不明である。
【0007】
この種の治療器に関する先行技術として、マイナス電子電位治療器が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2004−195142号公報(段落0011〜0015,図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記初期モデルの治療器では、施術者あるいは患者自身が患部もしくは「壺(経穴)」と言われる部位を、多いときは1500回〜3000回も接触・離間を繰り返して刺戟しなければならないという煩わしさがあった。
【0009】
本発明は上述の点に鑑みなされたもので、上記治療器の煩わしさを解消するため、間欠的な陽極刺激を自動化して安全にかつ楽に行えるようにし、つまり施術者や患者は陽極導子の先端が皮膚面に触れるように保持しながら、少しずつ移動するだけで楽に治療できるようにし、刺戟点数(回数)も最初に設定するだけで済み、取り扱いが容易で安全な陽極頻回刺激治療器を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するために本発明にかかる陽極頻回刺激治療器は、電気的に絶縁状態にした人体の皮膚表面に、電気の陽極を導子に導いて間欠的に所定回数の陽極刺激を付与する陽極頻回刺激治療器であって、
交流または直流の電源の陽極に接続される陽極導子(陽極接触子)と、この陽極導子をその先端に向けて進退可能に備えた治療用ヘッド部と、前記陽極導子を一定サイクルで進退させる動作部と、この動作部に前記電源からの電流を一定サイクルで間欠的に通電する出力制御部とを備えたことを特徴とする。
【0011】
上記の構成を有する本発明の陽極頻回刺激治療器は、図3に示すように、電気の陽極(プラス)を用いて皮膚面に頻回に触れて人体の要所を刺激する装置であるが、治療に際して必ず前もってしておかなければならない条件は、人体を絶縁しておくことである。これによって電気的な刺激感はなくなる。つまり、体内を電流が流れることがないからである。また、治療用端子の先端に陽極の電気が来ているかどうかを確認するのは検電器で行えるが、家庭用の二股コンセントでは差し込み口の短い方(向かって右側)が陽極である。また、本発明の陽極頻回刺激治療器によれば、人体の皮膚面上に陽極導子(陽極接触子)の先端を接触させ、あるいは接触させながらその位置を変えるだけで、治療器の陽極導子が治療に必要な回数だけ皮膚面に間欠的に接触し、その接触部位に陽極電気刺激を付与することができる。
【0012】
請求項2に記載のように、前記治療用ヘッド部は、前記陽極導子の先端部が突出可能な開口を先端面に備えた円筒体からなり、前記陽極導子をその先端部が前記開口より出入り可能に内装するとともに、前記陽極導子の内装部周囲と前記ヘッド部外周面との間を絶縁することができる。
【0013】
このようにすれば、治療用ヘッド部が持ちやすく、取り扱いが容易であるうえに、使用時以外は陽極導子がヘッド部内に引っ込んでいるので、不用意に陽極導子に接触するおそれがなく、安全である。
【0014】
請求項3に記載のように、前記電源が100Vの家庭用交流電源であり、同交流を整流して低電圧の直流に変換する低電圧回路を備えた直流電源部と、前記陽極導子を出入りさせるソレノイドなどの導子動作部に間欠的に通電する単位時間当たりの回数を調整する操作回路部および前記単位時間当たりの回数を表示する表示回路部を備え、前記ヘッド部の開口から前記陽極導子の先端部が一定サイクルで出入りするように前記導子動作部に対し通電する出力制御部とを備えることができる。
【0015】
このようにすれば、家庭用の電源を使用することができ、人体には交流電源からの電気を利用して十分に陽極刺激を付与できる。一方、回数の変更や操作は低電圧の電力を用いて行うことができ、また表示部に陽極刺激の付与回数を表示させるようにすれば、治療に必要な回数を間違えずに正確に付与できる。
【0016】
請求項4に記載のように、前記導子動作部への1分間当たりの通電回数を、120〜250回にすることができる。
【0017】
このようにすることで、人体の患部や壺(経穴)などに陽極導子を間欠的に接触して陽電子を効果的に発生させることができ、陽極導子を接触するための治療時間が数分程度で終了する。
【0018】
請求項5に記載のように、前記治療用ヘッド部が、前記陽極導子を突出側もしくは反突出側へ付勢するスプリングと、このスプリングの付勢力に抗して前記陽極導子を突出させて出入りさせるソレノイドとを備えることができる。
【0019】
このように構成することにより、ソレノイドの電磁力を利用して陽極導子を出し入れし、人体の皮膚面上に陽極導子を間欠的に接触させられるので、操作が容易で楽に治療できる。
【0020】
前記出力制御部が温度制御用サーミスタを備え、前記陽極導子を前記ソレノイドにより65〜85℃の温度に加温することができる。
【0021】
このようにすれば、陽極導子を接触する箇所を同時に加温し、温灸と同様な加温効果を与えて、血行を良好にすることにより、治療効果を高め、陽極導子接触回数を減少したり治療期間を短縮したりすることができる。
【0022】
請求項7に記載のように、前記直流電源から出力される前記ソレノイド用電圧が16Vで、通電回数操作用電圧が5Vであってもよい。
【0023】
このようにすることで、陽極頻回刺激治療器の消費電力を抑えることができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明にかかる陽極頻回刺激治療器には、下記のような優れた効果がある。すなわち、
1)持ち運びが可能な小型の治療器であり、被使用者(病人など)を絶縁状態にして椅子などに座らせたり、あるいはベッド上に寝かせたりした状態で、皮膚面の適所(患部や患部近傍または壺など)に陽極導子の先端を一定のサイクルで間欠的に接触される。この結果、患者個々の自然治癒力が向上して疾患部等の治癒が促進される。
【0025】
2)間欠的な陽極導子の接触動作、つまり皮膚面上に間欠的に陽極刺激を付与する動作を自動化しているので、使用者である施術者や被使用者である患者は陽極導子の先端が皮膚に触れるように保持しながら、少しずつ移動するだけで治療でき、また刺戟点数(回数)も最初に設定するだけで済むので、取り扱いが容易で操作が簡単である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明にかかる陽極頻回刺激治療器の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は本発明の陽極頻回刺激治療器の実施例を示す外観斜視図、図2は図1の陽極頻回刺激治療器の電気回路を示すブロック図である。
【0027】
陽極頻回刺激治療器1は、図1に示すように、治療器本体2に電源ケーブル4で接続された治療用ヘッド部3を備えている。治療器本体2には、交流電源のコンセントに接続される電源プラグ(図示せず)が電源コード(図示せず)により接続されている。治療器本体2の正面には液晶表示部5、陽極頻回刺激回数の操作部6および電源スイッチ7が設けられている。ヘッド部3は手に持って操作し易い細長い円筒体からなり、先端面に開口3aを備えている。この開口3aから陽極導子8の先端部が外方に出入り自在にヘッド部3に内蔵されている。また、ヘッド部3の外周部は絶縁された樹脂体からなる。なお、図1中の符号9はペンシル型の検電器で、陽極を検査するためのものである。
【0028】
治療器本体2には、図2に示すように、100Vの家庭用交流電源11に接続して使用される電気回路10が内蔵されており、この電気回路10は同交流を整流して低電圧の直流に変換する低電圧回路を備えた直流電源部12と、単位時間当たりの陽極導子8の出入りする回数を調整する操作回路部14および前記単位時間当たりの回数を表示する表示回路部15を備えている。さらに陽極導子8に対し交流電源11の陽極から通電するとともに、交流電源11からの電力を出力する出力制御部13とを備えており、この出力制御部13は制御回路部13Aと出力回路部13Bとから構成され、両者13A・13Bは相互に接続されている。
【0029】
ヘッド部3は出力回路部13Bにコネクター23(図3参照)を介して電源ケーブル4により接続されており、また交流電源11の陽極および直流電源部12が基板21(図3参照)を介して出力回路部13Bに接続されている。さらに直流電源部12が基板21を介して制御回路部13Aに接続され、制御回路部13Aに操作回路部14および表示回路部15が基板22を介して接続されている。操作部6は操作回路部14に、液晶表示部5は表示回路部15にそれぞれ接続されている。ヘッド部3の開口3aから陽極導子8を出入りさせる動作部(本例ではソレノイド)には、交流電源11から操作部6で操作された頻回回数(一定のサイクル:例えば120〜250回/分)に基づいて通電をON・OFFする制御回路部13Aより出力回路部13Bを経由し間欠的に通電される。
【0030】
以上のようにして本発明の実施例にかかる陽極頻回刺激治療器1が構成されるが、下記に本例の陽極頻回刺激治療器1について使用態様と人体に対する作用(この作用については本発明者のあくまで推論である)とについて説明する。
【0031】
・本発明の陽極頻回刺激治療器1は、図3に示すように、電気の陽極(プラス)を用いて皮膚面に一定サイクルで繰り返し触れて刺激する装置である。治療に際して必ず前もってしておかなければならない条件は、人体を絶縁しておくことである。これによって電気的な刺激感はなくなる。つまり、体内を電流が流れることがないからである。また、陽極導子8の先端に陽極が来ているかどうかを確認するのは検電器9(図3の下段に示すAC80〜300V用ペンシルタイプ)で行う。
【0032】
・陽極頻回刺激治療器1の使用方法
検電の要領(絶縁ゴムに乗らないで検電する)
1.先ず陽極頻回刺激治療器1の電源コードの電源プラグをコンセント(右側の短い側が陽極)の差込口に差し込む。
【0033】
2.治療器本体2の電源スイッチ7をONにする。
【0034】
3.検電器9のホルダの部分に指を当てる。
【0035】
4.検電器9の先端を陽極頻回刺激治療器1の陽極導子8の先端に当てる。
【0036】
5.このとき検電器9のネオン管が赤く点灯していれば準備完了である。
【0037】
・確認作業
この状態で絶縁した椅子やベッド上で再度、検電してみる。ネオンは点灯していないはずであるが、もし点灯したら絶縁不足である。
【0038】
また、湿度の高いときはネオンがうっすらと点灯することがあるが、絶縁が完全であれば、それは大気中に放電しているからである。この状態で治療を始めて、皮膚にピリピリ感が無ければ治療を開始しても大丈夫である。
【0039】
・治療準備
1.治療器1の液晶表示部5の刺激点数(回数)を治療指針に従って設定する。
【0040】
2.病疾患の種類や刺激部位を治療指針に従い選定しその場所にヘッド部3の治療導子8を接触させるようにセットしてスタートボタンを押す。
【0041】
3.治療中は指定された範囲を刺激するようにヘッド部3を整然と移動させる。
【0042】
・陽極頻回刺激治療器1による人体へ対する治療的な作用
電気的に絶縁した人体の皮膚面の適所に陽極導子8の先端部を接触させると、人体を場とする自由な電子群が瞬間的に引き寄せられる。しかし接触させたままでは、電気的なバランスが成立するために何の変化も起こらない。そこで、陽極導子8の先端部を皮膚面から離間すると、一瞬皮膚面上において電子群の変位が起き、電磁気的変位状態となる。人体はこの変位に相当する陽電子を発生させる運動、すなわち発電が起きる。これが、感応陽電子である。この陽電子は疾患部へ流れて疾患部の電気的変位の原因である電子と中和し疾患部の電子を消滅させる。この作用によって疾患部の電気的変位が解消される。
【0043】
つまり、本発明の陽極頻回刺激治療器1によって、皮膚面の刺激部位(陽極導子8の接触箇所)の細胞に電磁気的な変位を一時的に発生させことができる。この電磁気的な変位に反応して、刺激部位や周辺の細胞に陽電子が発生し、患部の細胞に流れ患部細胞の余剰電子を中和する運動が起きる。さらにこの刺激による電磁気的変位の情報は神経中枢に伝達されたのち、疾患部へ間接的に感応陽電子が流れる。そして、陽電子はプラスの電荷を持っているので、この陽電子が電気的に誘導素因となっている疾患部に誘導され疾患部の異常な電子(マイナスの電荷)を消去する。この異常な電子が消えると、疾患部の電気的変位が解消されるから、正常な状態に戻る。現実には、このような電気的な運動は人体において常に行われている。どの様な病気でも疾患部細胞においては電気的なバランスが崩れ、異常に発生している電子によって電気的な変位を起こしており、周辺細胞や脳がこれに感応し、自然に陽電子が発生し疾患部に流れている。言い換えればエネルギーの転化が起きている。このエネルギー転化によって、患部に異常に発生している電子が消され、電気的な変位が解消される。このような運動(現象)が身体を正常に戻そうとする働きである。これが「自然治癒能」の原理であり、生物のホメオスターシス機能である。つまり本発明の陽極頻回刺激治療器1は、人体で常に行われている電気的な運動を外部から補足し、自然治癒力を最大限に発揮させるものである。
【0044】
このように、病的疾患を電磁気的な変位で発生しているものと推測したうえで考察すると、単純な電気的な流れとして捉えることができる。つまり、全て疾患部の電磁気的変位を消滅させるために電流が流れ、余剰電子を打ち消すように働くと考えられる。病的状態というのは当該細胞のエネルギー転化が激しいことを意味するから、正常細胞とは電位差が生じて低くなっていることになる。いいかえれば、電位的に低いので、周辺細胞や脳からの感応陽電子の誘導素因となっている。
【0045】
繰り返し詳述すると、陽極頻回刺激治療器1の陽極導子8が人体に接触した状態から離れた瞬間に空気中および人体を場とする自由な電子群は皮膚面に一時的に取り残された形となる。すなわち、一瞬残留した電子によってその部位は電気的変位が起こり、その変位に相当する感応陽電子を神経中枢は発電しようとする運動が起きる。人体に電位的に正常細胞と差のある部位がある場合は、それが誘導素因となり、それに対して電流は流れる。もし、他に電位差が生じていない場合は、誘導素因がないため一瞬発生する感応用電子は刺激部位の電子の放電と共に消滅する。したがって、無害である。この際の感応用電子の発電は神経中枢の生理的限界以上には発電することは有り得ない。
【0046】
ただし、もし人体に、この陽電子を誘導するような部位(疾患部)が無ければ、刺激された部位の電子は自然放電し、陽電子の発生も見られないから、人体に害を与えることはない。因みに陽極刺激によって生じる感応陽電子の電圧は、疾患部の電気的変位に依存しているために定圧は無く、経験的に、最低0.02V〜最高0.13Vである。この電圧は動作電流としての電圧であって、単位電荷量その他を意味するものではない。
【0047】
図3は本発明の他の実施例を示す結線回路図である。本実施例にかかる陽極頻回刺激治療器1’は、図3に示すように、ヘッド部3が電磁力(ソレノイド)により出入りする3本の陽極導子8を備え、さらに各陽極導子8はこれらを反突出側へ付勢するスプリング(図示せず)と、スプリングの付勢力に抗して3本の陽極導子8を順に突出して出入りさせるソレノイド25と、ソレノイド25で加温された陽極導子8の温度制御用サーミスタ26とを備えている点が、上記実施例の陽極頻回刺激治療器1と相違している。本例の場合、直流電源部12で16Vと9Vの直流に変換され、電圧16Vの電流が温度制御用サーミスタ26を介してソレノイド25に通電される。一方、9Vの電圧はさらに5Vに低電圧化され、制御回路部13Aへ通電されて各種制御に使用される。
【0048】
本例の陽極頻回刺激治療器1’では、3本の陽極導子8がヘッド部3の先端面開口3aから順番に出入りし、皮膚面に接触したり離れたりする。したがって、交流電源11の陽極から陽極導子8に対し間欠的に通電しなくても、皮膚面に間欠的に陽極導子8を接触させられるが、各陽極導子8への陽極からの通電もON・OFFし、陽極導子8がヘッド部3の開口3aから突出すると同時に、通電を行うようにすることもできる。また、温度制御用サーミスタ26によって、陽極導子8の温度が所定温度(例えば90℃)を超えるとソレノイド25への通電を遮断して陽極導子8の温度が65〜85℃程度に保持されるようにし、皮膚面を陽極導子8により温めて血行を良好にする。このため、熱エネルギー効果も得られるから病状によって治療効果が向上する。したがって、併用刺激により刺激回数を少なくすることができる。その他の構成及び使用態様は上記実施例の治療器1と共通するので、説明は省略する。
【0049】
上記実施例1の陽極頻回刺激治療器1は刺激部位が狭い場合に用い、本実施例2の陽極頻回刺激治療器1’はより広範囲の治療用として導子を3本備えている。なお、以上に2つの実施例を挙げて本発明の陽極頻回刺激治療器について説明したが、ヘッド部3から陽極導子8を出入りさせて間欠的に人体の皮膚面に接触する代わりに、例えば、交流電源の陽極に接続される陽極導子8を治療器本体2から前方あるいは下方へ進退するように構成し、陽極導子8に接触するように人体の適所を接近させ、身体を陽極導子8に対して移動させ、皮膚面上に陽極刺激を与えるようにしてもよい。
【0050】
上記各実施例では陽極導子8の動作部としてソレノイド25を用いたが、ソレノイド25(およびスプリング)に代えて、たとえばモータや歯車機構を用いて陽極導子8を間欠的に進退させるようにしてもよい。また、100Vの交流電源の陽極を使用する代わりに、たとえば12Vや24Vの低電圧直流電源の陽極を使用してもよい。
【0051】
上記したとおり、本発明の陽極頻回刺激治療器1・1’は、陽極導子(陽極)8を使って皮膚面上に触れて離す動作を繰り返し行い間欠的に電気的な陽極刺激を付与することで、そこに集まった自由な電子群によって体表面の適切な部位に電気的変位を人為的に発生させ、これに反応する感応陽電子の発電を促し、その陽電子が疾患部の電気的変位の原因である電子を消滅させる。この作用によって電気的変位も消滅して電位差を解消させる。本発明のヒントとなった治療法は、上記したとおり基本的には灸治療である。お灸の熱は極めて大きなエネルギーであるが、その熱によるエネルギー転化(熱刺激)も電気的に人体に受け取られ、自然治癒力が発揮されると考えられる。
【0052】
それでは、種々の病気に対して、どのくらいの刺激をどの部位から与えればよいのかと言うことになるが、より効果的に治療するためには、病気の状態によって刺激回数(例えば、1日2回、1回に付き1200〜1500点;1500点の場合は250回×6分)および刺激する部位(例えば、疾患部近傍や壺の位置)も変える必要がある。病気によって適宜変更すると、有効であることが臨床治療にて解っている。年齢や、性別、体格、食習慣、生活環境等も考慮しなければ決められない。一例を挙げると、麻痺を起こしている神経に大量刺激を与えても改善しない。むしろ、少ない刺激量を何回にも分けて治療することの方が有効である。さらに麻痺している神経と関連組織に対して小刺戟を与えることが、さらなる効果をもたらす。このように個々の疾患に対しては、治療指針に委ねざるを得ない。多岐に亘るので治療指針は省略するが、治療指針には最も効果的であると思われる刺激部位が選択され、刺激量とともに人体図に記入されており、病気の成り立ちから、症状、一般的な当時の西洋医学的治療方法、さらにその経過や予後についても記述され、電子療法による治療方針、これによる経過、治癒に至る日数まで記載してある。刺激部位の選択と有効な刺激量を与えることによって、いろいろな疾病に応用が可能である。例えば、自律神経をコントロールすることもできるし、鎮痛消炎はもとより、細菌性の疾患に対して効果を発揮する。これは自然治癒力を最高に発揮させることによる特長であり、人体に負荷をかけない究極の治療法であると思われる。また、正常な組織細胞や脳からのエネルギー転化のための栄養素類の補充は、大変重要になる。
【0053】
現在、本発明の陽極頻回刺激治療器1、1’を使って治せる病気は、結核性疾患、ガンや糖尿病、神経性疾患などを含む250余りの治療指針ができ上がっている。なお、この陽極頻回刺激治療器1・1’は病気の予防にも使える治療器であることはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の陽極頻回刺激治療器の実施例を示す外観斜視図である。
【図2】図1の陽極頻回刺激治療器の電気回路におけるブロック図である。
【図3】本発明の陽極頻回刺激治療器にかかる他の実施例を示す結線回路図である。
【図4】本発明の陽極頻回刺激治療器1の基本原理を備えた治療器械を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0055】
1・1’陽極頻回刺激治療器
2 治療器本体
3 治療用ヘッド部
4 電源ケーブル
5 液晶表示部
6 操作部
7 電源スイッチ
8 陽極導子(陽極接触子)
9 ペンシル型検電器
10 電気回路
11 家庭用交流電源
12 直流電源部
13 出力制御部
13A制御回路部
13B出力回路部
14 操作回路部
15 表示回路部
21・22 基板
23 コネクター
25 ソレノイド
26 温度制御用サーミスタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気的に絶縁状態にした人体の皮膚表面に、電気の陽極を導子に導いて間欠的に所定回数の陽極刺激を付与する陽極頻回刺激治療器であって、
交流または直流の電源の陽極に接続される陽極導子と、この陽極導子をその先端に向けて進退可能に備えた治療用ヘッド部と、前記陽極導子を一定サイクルで進退させる動作部と、この動作部に前記電源からの電流を一定サイクルで間欠的に通電する出力制御部とを備えたこと
を特徴とする陽極頻回刺激治療器。
【請求項2】
前記治療用ヘッド部は、前記陽極導子の先端部が突出可能な開口を先端面に備えた円筒体からなり、前記陽極導子をその先端部が前記開口より出入り可能に内装するとともに、前記陽極導子の内装部周囲と前記ヘッド部外周面との間を絶縁したこと
を特徴とする請求項1に記載の陽極頻回刺激治療器。
【請求項3】
前記電源が100Vの家庭用交流電源であり、同交流を整流して低電圧の直流に変換する低電圧回路を備えた直流電源部と、前記陽極導子を出入りさせるソレノイドなどの導子動作部に間欠的に通電する単位時間当たりの回数を調整する操作回路部および前記単位時間当たりの回数を表示する表示回路部を備え、前記ヘッド部の開口から前記陽極導子の先端部が一定サイクルで出入りするように前記導子動作部に対し通電する出力制御部とを備えたこと
を特徴とする請求項1または2に記載の陽極頻回刺激治療器。
【請求項4】
前記導子動作部への1分間当たりの通電回数が、120〜250回であること
を特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の陽極頻回刺激治療器。
【請求項5】
前記治療用ヘッド部が、前記陽極導子を突出側もしくは反突出側へ付勢するスプリングと、このスプリングの付勢力に抗して前記陽極導子を突出させて出入りさせるソレノイドとを備えたこと
を特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の陽極頻回刺激治療器。
【請求項6】
前記出力制御部が温度制御用サーミスタを備え、前記陽極導子を前記ソレノイドにより65〜85℃の温度に加温すること
を特徴とする請求項5に記載の陽極頻回刺激治療器。
【請求項7】
前記直流電源から出力される前記ソレノイド用電圧が16Vで、通電回数操作用電圧が5Vであること
を特徴とする請求項5または6に記載の陽極頻回刺激治療器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2008−93134(P2008−93134A)
【公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−277350(P2006−277350)
【出願日】平成18年10月11日(2006.10.11)
【出願人】(506342051)
【Fターム(参考)】