陽電子放出断面撮影におけるランダム同時発生を否認する方法および機器
本発明は、改良されたガンマ線検出器および単一の陽電子崩壊現象に由来する「真」のガンマ線のペアと、「真」のペアに関する従来の受容基準では検出できない、ランダムに発生するガンマ線のペアとを区別する方法に関する。ガンマ線検出器は、主要検出器アレイの近傍または周囲に配置された、veto検出器の付加的なアレイを組み込んでいる。「veto」検出器のアレイは、主要検出器アレイでは検出できないガンマ線を検出できるように構成されている。主要検出器アレイおよびveto検出器アレイの両方からの検出データは、識別回路に入力される。この識別回路は、主要検出器アレイによって検出された、2つ以上の無関係な陽電子崩壊現象に由来する可能性の高いガンマ線のペアを「否認」するための回路である。画像の再構成において利用される「真」の現象の比率を高めることにより、上記機器および方法は、結果として生成される画像の品質を高め、画像処理時間を短縮する、および/または、後続のデータ収集および/または操作の必要性を低下させる。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
〔優先権主張〕
この出願は、合衆国法典35巻119条(e)の下、2004年3月19日に申請された米国仮特許出願No.60/554,347に基づく優先権を主張し、その内容は、参照として、完全に、かつすべての目的のために、ここに組み込まれている。
【0002】
〔背景技術〕
ガンマ線検出器は、陽電子放出断面撮影(PET:positron emission tomograph)、単光子放出断面撮影装置(SPECT:single photon emission-computed tomograph)、爆薬検出器などさまざまな機器に使用されている。これら機器のすべては、ある程度、ガンマ線の相互作用の位置を測定することができる複数の検出器に依存している。これら複数の検出器は、そのような位置測定を行いつつ検査対象物の走査を行うことができる。上記の技術での技能は良く知られているものであるため、ここでは詳細には述べない。
【0003】
上述の検出器のすべてに関する問題は、上記検出器の大部分においては、正確にスキャンすることが必要であることである。そして検出器によりガンマ線の相互作用の位置が、正確に測定され、とりわけ、多くの測定結果を蓄積することにより、スキャンされた対象物の正確な画像が生成されなければならない。検出器のそれぞれは、ガンマ線相互作用に関する位置データを生成する能力が無ければならないので、例えばコンピュータにより、この位置データの取得およびこの位置データの編集を行う場合、性能の高い高価な機器が必要となる。
【0004】
一般に、上述の検出器からの上記データは、当該検出器におけるガンマ線の相互作用として、検出器内部のシンチレータ材料における光の発生により生成される。このような光が放出された検出器の測定、およびその検出器内部における光が放出された位置を測定することにより、1スキャンでの1つのデータが生成される。アプリケーションに着目すれば、数千にもおよぶ多様性な検出器が供給されていること、および、各検出器が多様なデータ点を供給することにより、編集された相互作用データを、スキャンされた対象物の画像を生成することに使用することができる。PETにおいては、同時に発光する2つの検出器が、画像を構成する時に使用される同時計測線(LOR)を生成するために使用される。
【0005】
一般的に、例えば、光検出器は、光を発生する検出器のアレイにより提供される。これらの光検出器は、放出された光の位置を測定することに使用される論理回路を有し、シンチレーション検出器における光の放出を検出する。しかしながら、理解されるであろうが、光検出器、論理回路および関連する制御器および信号装置(読み出しチャンネルとしてひとまとめにして言及している)を含む監視機器は、かなり複雑なものとなる可能性がある。とりわけ、検出器の多くが、所望の走査において要求される精度を維持することが必要な場合には、上記監視機器は、かなり複雑なものとなる可能性がある。
【0006】
加えて、上記のガンマ線走査装置のための従来の検出器は、無機の、シンチレータ結晶材料、例えば、セリウムがドープされたルテチウム・オキシ・オルソ・シリケート(LSO)やビスマス・ゲルマニウム(BGO)が内部に含まれており、高価である。シンチレータ材料における刺激を受けた領域は光を発し、それによりガンマ線による相互作用の位置が測定される。従来の検出器のX−Y位置解像度はおよそ20mm2のオーダーであり、すべての位置に関して均一でない傾向がある。
【0007】
この解像度や均一性の欠如により、検出器内の位置を正確に特定することが不可能になるという不正確性の基準水準が生み出される。言い換えると、ガンマ線の相互作用が生じたXY座標の位置の正確な識別が不可能となる。加えて、相互作用の深さ、言い換えると、Z座標は通常測定されないか、または、正確なX座標とY座標と比較して不正確に測定される。これにより、いわゆる視誤差が生成され、画像生成の正確さがさらに低下する。
【0008】
光信号誘因組み立て式ガンマ線検出器(A modular light signal triggerable gamma ray detector)は出願番号U.S.Pat.No.6,100,532により開示されており、この文献は本明細書において引用文献として引用されている。この開示された検出器は少なくとも1つのモジュールを含んでおり、各モジュールは、ガンマ線を荷電粒子に変換するための変換器を含んでいる。シンチレータは、変換器によって生成された荷電粒子に反応して光を放射するために供給されている。関連する光検出器は、シンチレータからいつ光が放出されたかを測定する。2座標位置検出器は、位置検出器と相互作用する荷電粒子のX、YおよびZ座標の測定のために供給される。最後に、制御器と信号装置とは、光検出器において放出された光の存在を信号伝達するため、および、従来のシステムの幾つかの欠陥に取り組むためのシステムを達成するための位置検出器を活性化するために供給されている。結果としてのガンマ線検出器は、一般に、より安価に構成でき、所要のデータを取得するために必要な監視計測器の量を減らすことができる。そして、従来のシステムよりも正確にガンマ線の相互作用のXYZ座標の測定を行うことができる。
【0009】
材料物質(キセノン(Xe)、クリプトン(Kr)など重液を含む)内でのガンマ線の変換および、シンチレーション光および荷電物(電子や陽電子)の生産は、当業者によってよく研究され、よく理解されている。従って、ここでは詳細には述べない。また、ある材料を用いてガンマ線と荷電粒子との相互作用のシュミレーションを行うために、さまざまなソフトウェア手段が利用可能であることにも注目する。荷電粒子のための位置感応性検出器(position sensitive detectors)、例えば、不活性液体イオン化チャンバー(noble liquid ionization chambers)、タイムプロジェクションチェンバー(TPC)、および光検出アレイは、従来の機器である。これらの機器は、好ましい検出器と同等の位置およびエネルギー解像度の性能を有することが知られており、単一または組み合わせることにより、現存の機器および方法において好適に利用できる。
【0010】
改良された、格子を有する液体キセノン位置感応性電離検出器は、例えば、Masuda et al.in A Liquid Xenon Position Sensitive Gamma-Ray Detector for Positron Annihilation Experiments,Nucl.Instr.Meth.188(1981)629-638;およびTest of a Dual-type Gridded Ionization Chamber Using Liquid Zenon,Nucl.Instr.Meth.174(1980)439-446,に記載されている。この内容は、全体として、本明細書に引用文献として引用される。この内容により、低エネルギーのガンマ線のためのミリメートル以下の位置解像度を実現できる。このような検出器は、コロンビア大学により報告されたように、ゲートで制御された、時間を投影するイオン化チェンバー(in gated time projection ionization chambers)に組み込まれており、約1mmの位置解像度と、ガンマ線エネルギー1MeVに関して5.9%オーダーのエネルギー解像度とを達成している。
【0011】
その他、1mmオーダーの軸横断(transaxeal)位置解像度と、相互作用の深さに関して5mmの解像度と、1.3nsの同時間解像度と、511keVにおいて17%のエネルギー解像度および約60%の効率とを有する液体キセノン電離検出器が、Positron Emission Tomography Instrumentation:Development of a Detector Based on Liquid Xenon,Proc.Calorimetry in High Energy Physics ,pages675-680(1999))においてロペスにより公表されている。この内容は、全体として、本明細書において引用文献として引用される。
【0012】
陽電子放出断面撮影装置(PET)は重要な医療画像撮画手段である。この陽電子放出断面撮影装置において、同時発生における陽電子崩壊が検出される時、一対のガンマ線が放射される。同時に機能する検出器から得られたデータは、使用される特定の機器によって特徴付けられる期間内に記録され、同時計測線(LOR)を構成することに使用される。この同時計測線から、よく知られたアルゴリズムを用いて画像が形成される。画像の解像度は、一般的に幾つかの因子により制限される。この因子には、陽電子の範囲、検出器空間(detector spatial)、エネルギー解像度、陽電子が検出器に到達する前の、検査する対象物/患者における陽電子の散乱および検出器における散乱が含まれる。加えて、機器の分解時間内で、個々の崩壊現象からの2つまたはそれ以上の光子が検出されるときに生じる、ランダムまたは偶発性の同時発生により、画像再構成の統計的正確さが制限される。それゆえ、ランダムまたは偶発性の同時発生に関するデータの認識および/または削除は、与えられた検出器システムから得られる正確さおよび画像の品質を向上させることにつながるであろう。
【0013】
〔発明の概要〕
本発明は、PET断層撮影において、ランダム同時発生を減少または実質的に除去する、新しい方法に関するものである。図1Aおよび1Bは、従来のPET分光器の側面および底面断面図を示している。このPET分光器は、スキャン対象物Oの周囲に環状に配置された、光検出器Pのリングを備えている。これらの光子検出器は、位置感応性シンチレータ結晶検出器であってもよく、対応する光感受性装置または他のガンマ線検出器、例えば、上述した液体キセノン検出器とともに作動する。
【0014】
図2Aおよび2Bに示すように、本発明の検出器の例示的な実施形態は、付加的なガンマ線検出器を備えている。このガンマ線検出器は、上記PET検出器では検出できない、関係のない崩壊現象のランダム同時発生において生成される光子を検出できるように設計されている。
【0015】
上記付加的な検出器は、主要断層撮影リングを、「光子veto」検出器アセンブリVで部分的に囲んでいる。この「光子veto」検出器アセンブリVは、主要検出器データ基づいて、ランダム現象を検出、同定および排除する機能を改良するために利用できる。図2A〜2Bおよび図3A〜3Bは、PET分光器の2つの実施形態を示している。これらのPET分光器において、主要断層撮影検出器Pアレイに、付加的な光子veto検出器Vのアセンブリが増設される。光子veto検出器Vは、対象物または患者によって規定される全4πステラジアン固定角の多くが、Pおよび/またはV検出器によってカバーされるように、上記分光器を囲んでいる。別の実施形態では、発生源の外形および活性化率に適応するように配置される検出器Vに対して、小さい固定角範囲のみが用いられる。
【0016】
例えば、図2A〜2Bは、主要断層撮影装置がveto検出器アレイによって不完全に囲まれたPETシステムの一例を示している。また、図3A〜3Bは、主要断層撮影装置が、veto検出器アレイによって実質的に囲まれたマイクロPET配置を示している。認識されるように、図2A〜2Bおよび図3A〜3Bに示された例示的な実施形態の両方において、veto検出器アレイは、好ましくは、ランダム現象によって生成された光子の大多数が、主要検出器アレイの近傍に配されたveto検出器のひとつにおいて検出され、記録されるのに十分な角範囲を有している。
【0017】
付加的なveto検出器の配置は、スキャンされる対象を囲む固定角の一部をカバーするために選択される。この固定角は、主要検出器によって規定される範囲とは異なるか、または、主要検出器によって規定される範囲に対して付加的な範囲を加えるものか、もしくは、その両方である。veto検出器の配置および範囲は、好ましくは、下記の長所と短所とのバランスをとるように選択される。上記長所とは、ランダム現象r1、r2に関連するエキストラ光子r1b、r2aの検出に関するものである。このランダム現象r1、r2は、光子r1a、r2bを同時発生期間内において検出した結果に由来する「偽陽性(false positive)」を検出することに貢献する。また、上記短所とは、ランダムに発生する現象r3に関する複数の光子r3a、r3bをveto検出器において検出する結果に由来する「偽veto(false vetoes)」に関するものである。現象r3は、主要検出器アレイにおいて、「偽陽性」の検出には貢献しないか、貢献する可能性が低く、「真」の現象(図1A、2Aおよび2Bにて現象C)と実質的に同時に発生する。
【0018】
当業者には認められるように、主要検出器アレイによってカウントされる「偽陽性」の数を減らすことは、検出データの質、および結果として形成される画像の精度および正確さを向上させる。また、「偽veto」の数を減らすことは、「真」の現象のデータを失う可能性を低減し、収集され得る画像データの率を増加させることになる。部分的な包囲範囲の例は、図2Aおよび2Bに示されている。ここでは、veto検出器アレイVは、主要検出器アレイの両側から延びており、主要検出器アレイには検出されない軌道を有する光子を検出する。veto検出器アレイの構成は、図4A〜4Eに図示されている。
【0019】
veto検出器アレイVは、1つ以上の型の光子検出器から構成されている。上記1つ以上の型の光子検出器は、特定の同時発生期間内で生じるランダム現象を否認するために必要な時間分解度を有しているか、または、時間分解度を有するように構成されている。veto検出器アレイにおいて好適に用いることができる検出器には、例えば、光検出器を個々に有するセグメント結晶、巨大単結晶、プラスチックシンチレーターおよび鉛検出器の組合せ、液体キセノン、および十分な感受性と時間分解能を有する他の型の光子検出器が含まれる。加えて、断層撮影装置における典型的なランダム現象には、2つのミッシング光子が含まれているため、擬似vetoの効果を減少させるように、veto検出器の検出効率を制限すること(例えば、検出器の厚みを制限すること)は時折有利である。
【0020】
電子論理システムは、主要断層撮影リングとveto検出器アセンブリとの両方に結合されており、「真」の現象の光子を識別するための画像化システムの性能を向上させる。また、電子論理システムは、蓄積された画像データに含める、対応する位置データ、および、好ましくは画像データから排除されるランダム現象光子を受け入れる。Veto機能を果たす電子論理システムの例は、図4に概略的に示されている。
【0021】
〔図面の簡単な説明〕
本発明は、例示的な実施形態の詳細な記載および下記の添付の図面を参照することにより、より明確に理解されるであろう。
【0022】
図1A〜1Bは、従来のPETシステムの側面面図および底面断面図を示している。Pは、光子検出器を示している。この光子検出器において、Cによって標識されたような崩壊現象に由来する同時発生ガンマ線が検出される。ランダム現象r1およびr2は、それぞれ1つのガンマ線を生成し、これらのガンマ線はPによって検出され、擬似または偶発的な同時発生現象を引き起こす。
【0023】
図2A〜2Bは、主要断面撮影装置を囲むveto検出器アレイVを増設した例示的なPETシステムの側面断面図および底面断面図を示している。
【0024】
図3A〜3Bは、別の例示的なPETシステムの側面断面図および底面断面図を示している。上記PETシステムは、veto検出器アレイVによって実質的に完全に囲まれており、このveto検出器アレイVは、主要断面撮影リングでは検出できない、ランダム現象において発生するエキストラガンマ線を検出する。
【0025】
図4A〜4Eは、主要検出器Piおよび連結するveto検出器Vの他の例示的な構成の一部を示す横断面図を示している。
【0026】
図5は、ランダム現象を否認するために使用される例示的な論理システムを示している。この論理システムでは、検出された同時発生Pi・Pjは、vetoアレイVからのveto信号が検出されることにより、同時発生期間内で否認される(またはキャンセルされる)。
【0027】
これらの図面は、以下にさらに詳細に述べる本発明の例示的な実施形態を理解するための補助であり、本発明を不当に限定するものとして解釈されるべきではない。特に、図面に描かれた様々な要素の相対的間隔、位置、大きさおよび寸法は、実際のスケールではなく、明瞭に描くことを目的として、実際よりも大きく、小さく、または他の修正を加えて描かれている。
【0028】
本発明は、PET断層撮影装置におけるランダムの同時発生を除去する、または、大幅に減少するための機器や方法に関するものである。これにより、断層撮影装置の精度および解像度が進歩する。このシステムは、複数のガンマ線検出器で構成されている。これらガンマ線検出器は、断層撮影装置において記録されない光子を検出するために、電子論理システムとともに配置されている。この電子論理システムは、上記現象においてさらなる信号が検出されたかどうかをさらに考慮し、その結果から当該現象を否認する、または除去する。この方法においては、ランダム同時発生を伴う現象は、真の同時発生により構成される画像データの統計的な重要性を実質的に減らさない。例示的なガンマ線検出器およびこれらの操作は、U.S特許6,100,532および、公表されたU.S.特許Appl.No.2004/0007670に詳細が記載されており、両開示物は、その全体が本明細書において引用文献として引用される。
【0029】
従来のPET断層撮影装置において、検出器の要素からなるペアのうち、選択された一組からの信号は、これらが特定の同時発生タイムウィンドウτ内で発生する場合に受け入れられる。各検出器要素は、潜在的に、他の検出器要素のサブセット(すなわち送風機)と一対である。これらの検出器要素は、一般的に、患者または走査される対象物の周囲に円形に配置される。割り当てられたタイムウィンドウ内で、リングPi・Pjにおける検出器ithとjthとから送られた同時発生信号は、単一のLORとして表現される。このデータはまた、しばしば、検出器iとjとからの信号に関するエネルギー情報(例えば限界値)によって制限される。陽電子崩壊により、2つの光子が生成され、これらの光子が検出前に散乱せずにほぼ同時に検出されたときに、「真」の現象は発生する。この真の現象は、崩壊位置からの光の速度と、検出器の反応性能とに起因する限られた時間間隔内で、検出器において発生する。散乱した現象も、許容されるタイムウィンドウ内で発生し、他の手段により認識されなければならない。
【0030】
ランダム同時発生は、バックグラウンドノイズを、画像再構築アルゴリズムにより利用されるデータに加えることにより、断面撮像装置の品質を低下させる。このバックグラウンドノイズは、再構築画像の品質を低下させる傾向があり、生成画像の診断有用性を減少させる可能性がある。ランダム現象の主要な発生源は、2つの無関係な陽電子崩壊が、単一の現象と同様に検出される時に発生する。
【0031】
これらのランダム現象は、最初の崩壊現象からの光子と、2番目の崩壊現象からの光子と、断面撮影装置の同時発生タイムウィンドウ内において、有効な検出器要素のペアにより検出される無関係な崩壊現象からの光子とにより生じる。検出される光子のエネルギーが許容限界内にあり、それらの光子が同時発生期間内に有効な検出器のペアに到達する限り、無関係な現象からの光子は、これらの光子が、実際の現象のどちらかからずれた位置において発生した単一現象からのものあるとして取り扱われる可能性がある。ランダム現象を検出する可能性を低減することは、固定角の許容範囲を増加させること、および、検出器アレイの感度を高めることにより幾分可能である。これにより、実際には、少なくとも2つの無関係な現象からの光子に由来する「現象」が「真」の現象として認識されることが少なくなる。
【0032】
ランダム現象のフラクションは、時間現象以外の時間にルーチンとして標本抽出されることにより測定される。これによりノイズフラクションが測定される。そして、一般に、サイノグラム方式またはデータ取得のためのリスト方式のいずれかの操作が行われている間に、上記のノイズは取り去られる。これらの技術は、ノイズを減らし、生成画像の品質を向上させる効果があるが、それにもかかわらず、これらの技術は、真の同時発生画像データの統計的検出力を(しばしば十分に)減らす。これは、信号サンプルにおける付加されたランダム現象が統計学的正確さを低下させ、タイムサンプル以外の部分を差し引くことにより、さらに統計学的正確さを低下させるためである。加えて、システムの無駄時間は、ランダム現象の収集および時間データ以外の付加的なデータを収集することにより増加する。
【0033】
他の技術、例えば、各検出器要素におけるシングルヒット現象の率からランダム現象の関与を測定する技術は、現実的でありよく知られている。しかし、この技術は、また、余分な回路を必要とするため、真のデータの取得を複雑にする。さまざまな分析アルゴリズムが、ランダム現象の削除の影響を最小限にするために開発されている。しかし、それにもかかわらず、偽の「真」、または偶然の発生による悪影響は、さまざまな場合において、収集されたデータに基づく後続の画像再構成の正確性および品質が制限される。
【0034】
本発明は、PET断面撮影装置においてランダム同時発生を除去、または大幅に減らすための新しい方法である。図1Aおよび1Bは、従来のPET分光器の側面および底面断面図を示している。このPET分光器は、スキャン対象物Oの周囲に環状に配置された、光検出器Pのリングを備えている。これらの光子検出器は、位置感応性シンチレータ結晶検出器であり、対応する光感受性装置を備えている。
【0035】
図1Aおよび図1Bに示すように、真の同時発生現象Cは、単一の陽電子崩壊による一対の光子が、断面撮影リングの向かい合った側面に配置されている検出器Pにより検出される現象である。また、図1Aおよび図1Bは、2つの独立した崩壊であるr1およびr2のそれぞれに由来する1つの光子が、断面撮影リングにおける対向する検出器により検出され、r1およびr2に由来する2番目の光子は、検出を免れているというランダム現象を示している。
【0036】
図2Aおよび2Bに示すように、本発明の検出器の例示的な実施形態は、近接した「光子veto」検出器アセンブリVを有する主要断層撮影リングを提供する。この「光子veto」検出器アセンブリVは、主要検出器データをもとに、ランダム現象を検出、同定および排除する機能を改良するために利用できる。この光子veto検出器は、例えば、NalまたはGd2SiO5(BGO)のような無機結晶、または、その他の十分な感受性を有している光子検出器から構成されており、そして、主要断面撮影リングおよび検査対象である患者または対象物の両方を、実質的に完全に、取り囲むように配置される。
【0037】
図2A〜2Bおよび図3A〜3Bは、例示的なPET分光器の実施形態を示している。これらのPET分光器において、主要断層撮影検出器Pアレイには、付加的な光子veto検出器Vのアセンブリまたはアレイが増設される。光子veto検出器Vは、分光器と隣接しているか、分光器を取り囲んでいるか、もしくはその両方の形態で配置されている。これにより、4πステラジアン固定角の一部、または、他の実施形態においては、実質的にすべての4πステラジアン固定角が、Pおよび/またはV検出器によってカバーされる。上記4πステラジアン固定角は、スキャンされる対象物(または患者)によりその範囲が決定されるものである。
【0038】
例えば、図2A〜2Bは、例示的なPETシステム本体全体を示している。この例示的なPETシステムは、開口部を有しており、この開口部を通して、スキャンの間、細長い対象物(患者のような)を動かすことが可能である。図3A〜3Bは、実質的に、全固定角がPETおよびveto検出器アレイによりカバーされている、例示的な、マイクロPET配列を示している。
【0039】
認識されるように、図2A〜2Bおよび図3A〜図3Bに示した、例示的な実施の形態において、veto検出器アレイは、好ましくは、主要断面撮影リング検出器Pによる検出を免れた多数の光子が、検出器アレイVに設けられたveto検出器の一つにおいて検出され、記録されるために十分な角範囲を提供する。
【0040】
図4A〜4Eに示すように、主要検出器Piと、1つ以上の結合されたveto検出器Vとは、さまざまな構成で提供される。例えば、図4A、図4Bおよび図4Eに示すように、veto検出器の前方の表面は、主要検出器に対して後退している。また、図4Cおよび図4Dに示すように、veto検出器の前方の表面は、少なくとも、部分的に同一表面上にある。同様に、図4A、図4Cおよび図4Eに示すように、veto検出器の前方の表面は、主要検出器と実質的に平行に配置されていてもよく、図4Bおよび図4Dに示すように、主要検出器に対して鋭角に配置された1つ以上の領域を含んでいてもよい。図4A〜Dに示すように、veto検出器は、主要検出器によりカバーされている4πステラジアンの一部分を補完的にカバーしていてもよく、または図4Eに示すように、カバーする範囲が重複していてもよい。
【0041】
veto検出器アレイVは、1つ以上の型の光子検出器から構成されている。上記光子検出器は、特定の同時発生期間内に起こるランダム現象によって生成される光子を検出するのに必要な時間分解度を有しているか、当該時間分解度を有するように構成されている。veto検出器アレイにおいて好適に使用できる検出器には、例えば、光検出器を個々に有するセグメント結晶、巨大単結晶、プラスチックシンチレーターおよび鉛検出器の組合せ、液体キセノン、および十分な感受性と時間分解能を有する他の型の光子検出器が含まれる。
【0042】
電子論理システムは、主要断層撮影リングとveto検出器アセンブリとの両方に結合されており、真の現象の光子を識別するための画像化システムの性能を向上させる。また、電子論理システムは、蓄積された画像データに含める、対応する位置データ、および、同時発生期間内に主要断層撮影リングに到達するランダム現象光子のペアを受け入れる。このランダム現象光子のペアは、好ましくは、画像データから排除されるべきものである。受容された現象(通常は、真および拡散された現象)は、有効なP検出器要素によって検出された光子の同時発生を示す現象として示され、すべてのvetoV検出器信号にNOTを付加して示される。すなわち、Pi・Pj・/Vとして表される。ここで、/Vは、veto検出器信号が、規定された同時発生期間内に発生していないという必要条件を示している。通常、各有効信号は、幾つかの効果的なエネルギー閾値を超えるためにも必要である。
【0043】
veto機能を実現するための電子論理システムの一例が概念的に図5に示されている。一般に対向する主要検出器のペア、PiおよびPjからの検出データは、ANDゲートに入力される。これにより、十分なエネルギーを有し、特定の同時発生期間内に一対の検出器に到達した光子のペアは、暫定的な「真」の結果(PT)を生み出す。実質的に同時に、多数のveto検出器からの検出データ(V1〜Vk)がORゲートに入力される。これにより、veto検出器のひとつによる光子の検出に基づき、暫定的な真の結果(PT)が、ランダム現象のペアに由来するものであったことが示される。ANDゲートの出力は、ORゲートの出力の論理反転出力と結合され、それゆえ、主要検出器ペアが単一陽電子崩壊現象の結果を検出した可能性が高い時のみ、主要検出器データの伝達を行うことができる。
【0044】
上述したような、結晶、および他の型の検出器を用いた高率の光子検出システムは、上述したように作動することが一般に知られている。高い効率は、ヒットしたすべての光子を吸収し、検出するのに十分な厚みを有する検出器を用いること、および、光子が放出される、最も可能性の高い方向を少なくとも包囲することにより得られる。例えば、Brookhaven国立研究所におけるE787コラボレーションを含む粒子物理学実験では、K中間子の崩壊の測定中にバックグラウンド光子を有する現象を排除するために、光子vetoシステムが用いられた。この光子vetoシステムは、Adler in Further Evidence for the Decay K+→π+v/v,Physical Review Letters,Vol.88,No.4(2002)により詳細に記述されている。この開示は、引用文献として本明細書に引用されている。
【0045】
粒子物理学アプリケーションにおいて、光子検出効率は、光核相互作用のような物理学的な過程によって結果的に制限される。しかし、上述したアプリケーションに関しては、これらの原因に関連する非効率性は、一般に、スキャンされる物質の形状およびスキャンされる物質の内部における、光子の吸収の可能性および均一性といった他の制限に関連する非効率性よりも低いレベルにある。
【0046】
上述した発明は、ランダム現象データを抑制し、画像データおよび結果として得られる画像の質を向上させるための機器および方法を含んでいる。上記画像は、PET断層撮影装置のような、医療的または工業的なイメージングスキャナーによって得られるものである。PET断層撮影装置は、画像データを蓄積するために同時発生の放射を測定するものである。上述の方法および機器は、主要信号すなわち真信号が同時に測定されず、バックグラウンド現象と同時に発せられる他の放射を伴うX線のエネルギーといった、他のいくつかの特性によって特徴付けられる場合のランダム同時発生を低減するためにも有用であると考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1A】従来のPETシステムの側面断面図である。
【図1B】従来のPETシステムの底面断面図である。
【図2A】主要断面撮影装置を囲むveto検出器アレイVを増設した例示的なPETシステムの側面断面図である。
【図2B】主要断面撮影装置を囲むveto検出器アレイVを増設した例示的なPETシステムの底面断面図である。
【図3A】別の例示的なPETシステムの側面断面図である。
【図3B】別の例示的なPETシステムの底面断面図である。
【図4A】主要検出器Piおよび連結するveto検出器Vの他の例示的な構成の一部を示す側面断面図である。
【図4B】主要検出器Piおよび連結するveto検出器Vの他の例示的な構成の一部を示す側面断面図である。
【図4C】主要検出器Piおよび連結するveto検出器Vの他の例示的な構成の一部を示す側面断面図である。
【図4D】主要検出器Piおよび連結するveto検出器Vの他の例示的な構成の一部を示す側面断面図である。
【図4E】主要検出器Piおよび連結するveto検出器Vの他の例示的な構成の一部を示す側面断面図である。
【図5】ランダム現象を否認するために使用される例示的な論理システムを示す図である。
【発明の詳細な説明】
【0001】
〔優先権主張〕
この出願は、合衆国法典35巻119条(e)の下、2004年3月19日に申請された米国仮特許出願No.60/554,347に基づく優先権を主張し、その内容は、参照として、完全に、かつすべての目的のために、ここに組み込まれている。
【0002】
〔背景技術〕
ガンマ線検出器は、陽電子放出断面撮影(PET:positron emission tomograph)、単光子放出断面撮影装置(SPECT:single photon emission-computed tomograph)、爆薬検出器などさまざまな機器に使用されている。これら機器のすべては、ある程度、ガンマ線の相互作用の位置を測定することができる複数の検出器に依存している。これら複数の検出器は、そのような位置測定を行いつつ検査対象物の走査を行うことができる。上記の技術での技能は良く知られているものであるため、ここでは詳細には述べない。
【0003】
上述の検出器のすべてに関する問題は、上記検出器の大部分においては、正確にスキャンすることが必要であることである。そして検出器によりガンマ線の相互作用の位置が、正確に測定され、とりわけ、多くの測定結果を蓄積することにより、スキャンされた対象物の正確な画像が生成されなければならない。検出器のそれぞれは、ガンマ線相互作用に関する位置データを生成する能力が無ければならないので、例えばコンピュータにより、この位置データの取得およびこの位置データの編集を行う場合、性能の高い高価な機器が必要となる。
【0004】
一般に、上述の検出器からの上記データは、当該検出器におけるガンマ線の相互作用として、検出器内部のシンチレータ材料における光の発生により生成される。このような光が放出された検出器の測定、およびその検出器内部における光が放出された位置を測定することにより、1スキャンでの1つのデータが生成される。アプリケーションに着目すれば、数千にもおよぶ多様性な検出器が供給されていること、および、各検出器が多様なデータ点を供給することにより、編集された相互作用データを、スキャンされた対象物の画像を生成することに使用することができる。PETにおいては、同時に発光する2つの検出器が、画像を構成する時に使用される同時計測線(LOR)を生成するために使用される。
【0005】
一般的に、例えば、光検出器は、光を発生する検出器のアレイにより提供される。これらの光検出器は、放出された光の位置を測定することに使用される論理回路を有し、シンチレーション検出器における光の放出を検出する。しかしながら、理解されるであろうが、光検出器、論理回路および関連する制御器および信号装置(読み出しチャンネルとしてひとまとめにして言及している)を含む監視機器は、かなり複雑なものとなる可能性がある。とりわけ、検出器の多くが、所望の走査において要求される精度を維持することが必要な場合には、上記監視機器は、かなり複雑なものとなる可能性がある。
【0006】
加えて、上記のガンマ線走査装置のための従来の検出器は、無機の、シンチレータ結晶材料、例えば、セリウムがドープされたルテチウム・オキシ・オルソ・シリケート(LSO)やビスマス・ゲルマニウム(BGO)が内部に含まれており、高価である。シンチレータ材料における刺激を受けた領域は光を発し、それによりガンマ線による相互作用の位置が測定される。従来の検出器のX−Y位置解像度はおよそ20mm2のオーダーであり、すべての位置に関して均一でない傾向がある。
【0007】
この解像度や均一性の欠如により、検出器内の位置を正確に特定することが不可能になるという不正確性の基準水準が生み出される。言い換えると、ガンマ線の相互作用が生じたXY座標の位置の正確な識別が不可能となる。加えて、相互作用の深さ、言い換えると、Z座標は通常測定されないか、または、正確なX座標とY座標と比較して不正確に測定される。これにより、いわゆる視誤差が生成され、画像生成の正確さがさらに低下する。
【0008】
光信号誘因組み立て式ガンマ線検出器(A modular light signal triggerable gamma ray detector)は出願番号U.S.Pat.No.6,100,532により開示されており、この文献は本明細書において引用文献として引用されている。この開示された検出器は少なくとも1つのモジュールを含んでおり、各モジュールは、ガンマ線を荷電粒子に変換するための変換器を含んでいる。シンチレータは、変換器によって生成された荷電粒子に反応して光を放射するために供給されている。関連する光検出器は、シンチレータからいつ光が放出されたかを測定する。2座標位置検出器は、位置検出器と相互作用する荷電粒子のX、YおよびZ座標の測定のために供給される。最後に、制御器と信号装置とは、光検出器において放出された光の存在を信号伝達するため、および、従来のシステムの幾つかの欠陥に取り組むためのシステムを達成するための位置検出器を活性化するために供給されている。結果としてのガンマ線検出器は、一般に、より安価に構成でき、所要のデータを取得するために必要な監視計測器の量を減らすことができる。そして、従来のシステムよりも正確にガンマ線の相互作用のXYZ座標の測定を行うことができる。
【0009】
材料物質(キセノン(Xe)、クリプトン(Kr)など重液を含む)内でのガンマ線の変換および、シンチレーション光および荷電物(電子や陽電子)の生産は、当業者によってよく研究され、よく理解されている。従って、ここでは詳細には述べない。また、ある材料を用いてガンマ線と荷電粒子との相互作用のシュミレーションを行うために、さまざまなソフトウェア手段が利用可能であることにも注目する。荷電粒子のための位置感応性検出器(position sensitive detectors)、例えば、不活性液体イオン化チャンバー(noble liquid ionization chambers)、タイムプロジェクションチェンバー(TPC)、および光検出アレイは、従来の機器である。これらの機器は、好ましい検出器と同等の位置およびエネルギー解像度の性能を有することが知られており、単一または組み合わせることにより、現存の機器および方法において好適に利用できる。
【0010】
改良された、格子を有する液体キセノン位置感応性電離検出器は、例えば、Masuda et al.in A Liquid Xenon Position Sensitive Gamma-Ray Detector for Positron Annihilation Experiments,Nucl.Instr.Meth.188(1981)629-638;およびTest of a Dual-type Gridded Ionization Chamber Using Liquid Zenon,Nucl.Instr.Meth.174(1980)439-446,に記載されている。この内容は、全体として、本明細書に引用文献として引用される。この内容により、低エネルギーのガンマ線のためのミリメートル以下の位置解像度を実現できる。このような検出器は、コロンビア大学により報告されたように、ゲートで制御された、時間を投影するイオン化チェンバー(in gated time projection ionization chambers)に組み込まれており、約1mmの位置解像度と、ガンマ線エネルギー1MeVに関して5.9%オーダーのエネルギー解像度とを達成している。
【0011】
その他、1mmオーダーの軸横断(transaxeal)位置解像度と、相互作用の深さに関して5mmの解像度と、1.3nsの同時間解像度と、511keVにおいて17%のエネルギー解像度および約60%の効率とを有する液体キセノン電離検出器が、Positron Emission Tomography Instrumentation:Development of a Detector Based on Liquid Xenon,Proc.Calorimetry in High Energy Physics ,pages675-680(1999))においてロペスにより公表されている。この内容は、全体として、本明細書において引用文献として引用される。
【0012】
陽電子放出断面撮影装置(PET)は重要な医療画像撮画手段である。この陽電子放出断面撮影装置において、同時発生における陽電子崩壊が検出される時、一対のガンマ線が放射される。同時に機能する検出器から得られたデータは、使用される特定の機器によって特徴付けられる期間内に記録され、同時計測線(LOR)を構成することに使用される。この同時計測線から、よく知られたアルゴリズムを用いて画像が形成される。画像の解像度は、一般的に幾つかの因子により制限される。この因子には、陽電子の範囲、検出器空間(detector spatial)、エネルギー解像度、陽電子が検出器に到達する前の、検査する対象物/患者における陽電子の散乱および検出器における散乱が含まれる。加えて、機器の分解時間内で、個々の崩壊現象からの2つまたはそれ以上の光子が検出されるときに生じる、ランダムまたは偶発性の同時発生により、画像再構成の統計的正確さが制限される。それゆえ、ランダムまたは偶発性の同時発生に関するデータの認識および/または削除は、与えられた検出器システムから得られる正確さおよび画像の品質を向上させることにつながるであろう。
【0013】
〔発明の概要〕
本発明は、PET断層撮影において、ランダム同時発生を減少または実質的に除去する、新しい方法に関するものである。図1Aおよび1Bは、従来のPET分光器の側面および底面断面図を示している。このPET分光器は、スキャン対象物Oの周囲に環状に配置された、光検出器Pのリングを備えている。これらの光子検出器は、位置感応性シンチレータ結晶検出器であってもよく、対応する光感受性装置または他のガンマ線検出器、例えば、上述した液体キセノン検出器とともに作動する。
【0014】
図2Aおよび2Bに示すように、本発明の検出器の例示的な実施形態は、付加的なガンマ線検出器を備えている。このガンマ線検出器は、上記PET検出器では検出できない、関係のない崩壊現象のランダム同時発生において生成される光子を検出できるように設計されている。
【0015】
上記付加的な検出器は、主要断層撮影リングを、「光子veto」検出器アセンブリVで部分的に囲んでいる。この「光子veto」検出器アセンブリVは、主要検出器データ基づいて、ランダム現象を検出、同定および排除する機能を改良するために利用できる。図2A〜2Bおよび図3A〜3Bは、PET分光器の2つの実施形態を示している。これらのPET分光器において、主要断層撮影検出器Pアレイに、付加的な光子veto検出器Vのアセンブリが増設される。光子veto検出器Vは、対象物または患者によって規定される全4πステラジアン固定角の多くが、Pおよび/またはV検出器によってカバーされるように、上記分光器を囲んでいる。別の実施形態では、発生源の外形および活性化率に適応するように配置される検出器Vに対して、小さい固定角範囲のみが用いられる。
【0016】
例えば、図2A〜2Bは、主要断層撮影装置がveto検出器アレイによって不完全に囲まれたPETシステムの一例を示している。また、図3A〜3Bは、主要断層撮影装置が、veto検出器アレイによって実質的に囲まれたマイクロPET配置を示している。認識されるように、図2A〜2Bおよび図3A〜3Bに示された例示的な実施形態の両方において、veto検出器アレイは、好ましくは、ランダム現象によって生成された光子の大多数が、主要検出器アレイの近傍に配されたveto検出器のひとつにおいて検出され、記録されるのに十分な角範囲を有している。
【0017】
付加的なveto検出器の配置は、スキャンされる対象を囲む固定角の一部をカバーするために選択される。この固定角は、主要検出器によって規定される範囲とは異なるか、または、主要検出器によって規定される範囲に対して付加的な範囲を加えるものか、もしくは、その両方である。veto検出器の配置および範囲は、好ましくは、下記の長所と短所とのバランスをとるように選択される。上記長所とは、ランダム現象r1、r2に関連するエキストラ光子r1b、r2aの検出に関するものである。このランダム現象r1、r2は、光子r1a、r2bを同時発生期間内において検出した結果に由来する「偽陽性(false positive)」を検出することに貢献する。また、上記短所とは、ランダムに発生する現象r3に関する複数の光子r3a、r3bをveto検出器において検出する結果に由来する「偽veto(false vetoes)」に関するものである。現象r3は、主要検出器アレイにおいて、「偽陽性」の検出には貢献しないか、貢献する可能性が低く、「真」の現象(図1A、2Aおよび2Bにて現象C)と実質的に同時に発生する。
【0018】
当業者には認められるように、主要検出器アレイによってカウントされる「偽陽性」の数を減らすことは、検出データの質、および結果として形成される画像の精度および正確さを向上させる。また、「偽veto」の数を減らすことは、「真」の現象のデータを失う可能性を低減し、収集され得る画像データの率を増加させることになる。部分的な包囲範囲の例は、図2Aおよび2Bに示されている。ここでは、veto検出器アレイVは、主要検出器アレイの両側から延びており、主要検出器アレイには検出されない軌道を有する光子を検出する。veto検出器アレイの構成は、図4A〜4Eに図示されている。
【0019】
veto検出器アレイVは、1つ以上の型の光子検出器から構成されている。上記1つ以上の型の光子検出器は、特定の同時発生期間内で生じるランダム現象を否認するために必要な時間分解度を有しているか、または、時間分解度を有するように構成されている。veto検出器アレイにおいて好適に用いることができる検出器には、例えば、光検出器を個々に有するセグメント結晶、巨大単結晶、プラスチックシンチレーターおよび鉛検出器の組合せ、液体キセノン、および十分な感受性と時間分解能を有する他の型の光子検出器が含まれる。加えて、断層撮影装置における典型的なランダム現象には、2つのミッシング光子が含まれているため、擬似vetoの効果を減少させるように、veto検出器の検出効率を制限すること(例えば、検出器の厚みを制限すること)は時折有利である。
【0020】
電子論理システムは、主要断層撮影リングとveto検出器アセンブリとの両方に結合されており、「真」の現象の光子を識別するための画像化システムの性能を向上させる。また、電子論理システムは、蓄積された画像データに含める、対応する位置データ、および、好ましくは画像データから排除されるランダム現象光子を受け入れる。Veto機能を果たす電子論理システムの例は、図4に概略的に示されている。
【0021】
〔図面の簡単な説明〕
本発明は、例示的な実施形態の詳細な記載および下記の添付の図面を参照することにより、より明確に理解されるであろう。
【0022】
図1A〜1Bは、従来のPETシステムの側面面図および底面断面図を示している。Pは、光子検出器を示している。この光子検出器において、Cによって標識されたような崩壊現象に由来する同時発生ガンマ線が検出される。ランダム現象r1およびr2は、それぞれ1つのガンマ線を生成し、これらのガンマ線はPによって検出され、擬似または偶発的な同時発生現象を引き起こす。
【0023】
図2A〜2Bは、主要断面撮影装置を囲むveto検出器アレイVを増設した例示的なPETシステムの側面断面図および底面断面図を示している。
【0024】
図3A〜3Bは、別の例示的なPETシステムの側面断面図および底面断面図を示している。上記PETシステムは、veto検出器アレイVによって実質的に完全に囲まれており、このveto検出器アレイVは、主要断面撮影リングでは検出できない、ランダム現象において発生するエキストラガンマ線を検出する。
【0025】
図4A〜4Eは、主要検出器Piおよび連結するveto検出器Vの他の例示的な構成の一部を示す横断面図を示している。
【0026】
図5は、ランダム現象を否認するために使用される例示的な論理システムを示している。この論理システムでは、検出された同時発生Pi・Pjは、vetoアレイVからのveto信号が検出されることにより、同時発生期間内で否認される(またはキャンセルされる)。
【0027】
これらの図面は、以下にさらに詳細に述べる本発明の例示的な実施形態を理解するための補助であり、本発明を不当に限定するものとして解釈されるべきではない。特に、図面に描かれた様々な要素の相対的間隔、位置、大きさおよび寸法は、実際のスケールではなく、明瞭に描くことを目的として、実際よりも大きく、小さく、または他の修正を加えて描かれている。
【0028】
本発明は、PET断層撮影装置におけるランダムの同時発生を除去する、または、大幅に減少するための機器や方法に関するものである。これにより、断層撮影装置の精度および解像度が進歩する。このシステムは、複数のガンマ線検出器で構成されている。これらガンマ線検出器は、断層撮影装置において記録されない光子を検出するために、電子論理システムとともに配置されている。この電子論理システムは、上記現象においてさらなる信号が検出されたかどうかをさらに考慮し、その結果から当該現象を否認する、または除去する。この方法においては、ランダム同時発生を伴う現象は、真の同時発生により構成される画像データの統計的な重要性を実質的に減らさない。例示的なガンマ線検出器およびこれらの操作は、U.S特許6,100,532および、公表されたU.S.特許Appl.No.2004/0007670に詳細が記載されており、両開示物は、その全体が本明細書において引用文献として引用される。
【0029】
従来のPET断層撮影装置において、検出器の要素からなるペアのうち、選択された一組からの信号は、これらが特定の同時発生タイムウィンドウτ内で発生する場合に受け入れられる。各検出器要素は、潜在的に、他の検出器要素のサブセット(すなわち送風機)と一対である。これらの検出器要素は、一般的に、患者または走査される対象物の周囲に円形に配置される。割り当てられたタイムウィンドウ内で、リングPi・Pjにおける検出器ithとjthとから送られた同時発生信号は、単一のLORとして表現される。このデータはまた、しばしば、検出器iとjとからの信号に関するエネルギー情報(例えば限界値)によって制限される。陽電子崩壊により、2つの光子が生成され、これらの光子が検出前に散乱せずにほぼ同時に検出されたときに、「真」の現象は発生する。この真の現象は、崩壊位置からの光の速度と、検出器の反応性能とに起因する限られた時間間隔内で、検出器において発生する。散乱した現象も、許容されるタイムウィンドウ内で発生し、他の手段により認識されなければならない。
【0030】
ランダム同時発生は、バックグラウンドノイズを、画像再構築アルゴリズムにより利用されるデータに加えることにより、断面撮像装置の品質を低下させる。このバックグラウンドノイズは、再構築画像の品質を低下させる傾向があり、生成画像の診断有用性を減少させる可能性がある。ランダム現象の主要な発生源は、2つの無関係な陽電子崩壊が、単一の現象と同様に検出される時に発生する。
【0031】
これらのランダム現象は、最初の崩壊現象からの光子と、2番目の崩壊現象からの光子と、断面撮影装置の同時発生タイムウィンドウ内において、有効な検出器要素のペアにより検出される無関係な崩壊現象からの光子とにより生じる。検出される光子のエネルギーが許容限界内にあり、それらの光子が同時発生期間内に有効な検出器のペアに到達する限り、無関係な現象からの光子は、これらの光子が、実際の現象のどちらかからずれた位置において発生した単一現象からのものあるとして取り扱われる可能性がある。ランダム現象を検出する可能性を低減することは、固定角の許容範囲を増加させること、および、検出器アレイの感度を高めることにより幾分可能である。これにより、実際には、少なくとも2つの無関係な現象からの光子に由来する「現象」が「真」の現象として認識されることが少なくなる。
【0032】
ランダム現象のフラクションは、時間現象以外の時間にルーチンとして標本抽出されることにより測定される。これによりノイズフラクションが測定される。そして、一般に、サイノグラム方式またはデータ取得のためのリスト方式のいずれかの操作が行われている間に、上記のノイズは取り去られる。これらの技術は、ノイズを減らし、生成画像の品質を向上させる効果があるが、それにもかかわらず、これらの技術は、真の同時発生画像データの統計的検出力を(しばしば十分に)減らす。これは、信号サンプルにおける付加されたランダム現象が統計学的正確さを低下させ、タイムサンプル以外の部分を差し引くことにより、さらに統計学的正確さを低下させるためである。加えて、システムの無駄時間は、ランダム現象の収集および時間データ以外の付加的なデータを収集することにより増加する。
【0033】
他の技術、例えば、各検出器要素におけるシングルヒット現象の率からランダム現象の関与を測定する技術は、現実的でありよく知られている。しかし、この技術は、また、余分な回路を必要とするため、真のデータの取得を複雑にする。さまざまな分析アルゴリズムが、ランダム現象の削除の影響を最小限にするために開発されている。しかし、それにもかかわらず、偽の「真」、または偶然の発生による悪影響は、さまざまな場合において、収集されたデータに基づく後続の画像再構成の正確性および品質が制限される。
【0034】
本発明は、PET断面撮影装置においてランダム同時発生を除去、または大幅に減らすための新しい方法である。図1Aおよび1Bは、従来のPET分光器の側面および底面断面図を示している。このPET分光器は、スキャン対象物Oの周囲に環状に配置された、光検出器Pのリングを備えている。これらの光子検出器は、位置感応性シンチレータ結晶検出器であり、対応する光感受性装置を備えている。
【0035】
図1Aおよび図1Bに示すように、真の同時発生現象Cは、単一の陽電子崩壊による一対の光子が、断面撮影リングの向かい合った側面に配置されている検出器Pにより検出される現象である。また、図1Aおよび図1Bは、2つの独立した崩壊であるr1およびr2のそれぞれに由来する1つの光子が、断面撮影リングにおける対向する検出器により検出され、r1およびr2に由来する2番目の光子は、検出を免れているというランダム現象を示している。
【0036】
図2Aおよび2Bに示すように、本発明の検出器の例示的な実施形態は、近接した「光子veto」検出器アセンブリVを有する主要断層撮影リングを提供する。この「光子veto」検出器アセンブリVは、主要検出器データをもとに、ランダム現象を検出、同定および排除する機能を改良するために利用できる。この光子veto検出器は、例えば、NalまたはGd2SiO5(BGO)のような無機結晶、または、その他の十分な感受性を有している光子検出器から構成されており、そして、主要断面撮影リングおよび検査対象である患者または対象物の両方を、実質的に完全に、取り囲むように配置される。
【0037】
図2A〜2Bおよび図3A〜3Bは、例示的なPET分光器の実施形態を示している。これらのPET分光器において、主要断層撮影検出器Pアレイには、付加的な光子veto検出器Vのアセンブリまたはアレイが増設される。光子veto検出器Vは、分光器と隣接しているか、分光器を取り囲んでいるか、もしくはその両方の形態で配置されている。これにより、4πステラジアン固定角の一部、または、他の実施形態においては、実質的にすべての4πステラジアン固定角が、Pおよび/またはV検出器によってカバーされる。上記4πステラジアン固定角は、スキャンされる対象物(または患者)によりその範囲が決定されるものである。
【0038】
例えば、図2A〜2Bは、例示的なPETシステム本体全体を示している。この例示的なPETシステムは、開口部を有しており、この開口部を通して、スキャンの間、細長い対象物(患者のような)を動かすことが可能である。図3A〜3Bは、実質的に、全固定角がPETおよびveto検出器アレイによりカバーされている、例示的な、マイクロPET配列を示している。
【0039】
認識されるように、図2A〜2Bおよび図3A〜図3Bに示した、例示的な実施の形態において、veto検出器アレイは、好ましくは、主要断面撮影リング検出器Pによる検出を免れた多数の光子が、検出器アレイVに設けられたveto検出器の一つにおいて検出され、記録されるために十分な角範囲を提供する。
【0040】
図4A〜4Eに示すように、主要検出器Piと、1つ以上の結合されたveto検出器Vとは、さまざまな構成で提供される。例えば、図4A、図4Bおよび図4Eに示すように、veto検出器の前方の表面は、主要検出器に対して後退している。また、図4Cおよび図4Dに示すように、veto検出器の前方の表面は、少なくとも、部分的に同一表面上にある。同様に、図4A、図4Cおよび図4Eに示すように、veto検出器の前方の表面は、主要検出器と実質的に平行に配置されていてもよく、図4Bおよび図4Dに示すように、主要検出器に対して鋭角に配置された1つ以上の領域を含んでいてもよい。図4A〜Dに示すように、veto検出器は、主要検出器によりカバーされている4πステラジアンの一部分を補完的にカバーしていてもよく、または図4Eに示すように、カバーする範囲が重複していてもよい。
【0041】
veto検出器アレイVは、1つ以上の型の光子検出器から構成されている。上記光子検出器は、特定の同時発生期間内に起こるランダム現象によって生成される光子を検出するのに必要な時間分解度を有しているか、当該時間分解度を有するように構成されている。veto検出器アレイにおいて好適に使用できる検出器には、例えば、光検出器を個々に有するセグメント結晶、巨大単結晶、プラスチックシンチレーターおよび鉛検出器の組合せ、液体キセノン、および十分な感受性と時間分解能を有する他の型の光子検出器が含まれる。
【0042】
電子論理システムは、主要断層撮影リングとveto検出器アセンブリとの両方に結合されており、真の現象の光子を識別するための画像化システムの性能を向上させる。また、電子論理システムは、蓄積された画像データに含める、対応する位置データ、および、同時発生期間内に主要断層撮影リングに到達するランダム現象光子のペアを受け入れる。このランダム現象光子のペアは、好ましくは、画像データから排除されるべきものである。受容された現象(通常は、真および拡散された現象)は、有効なP検出器要素によって検出された光子の同時発生を示す現象として示され、すべてのvetoV検出器信号にNOTを付加して示される。すなわち、Pi・Pj・/Vとして表される。ここで、/Vは、veto検出器信号が、規定された同時発生期間内に発生していないという必要条件を示している。通常、各有効信号は、幾つかの効果的なエネルギー閾値を超えるためにも必要である。
【0043】
veto機能を実現するための電子論理システムの一例が概念的に図5に示されている。一般に対向する主要検出器のペア、PiおよびPjからの検出データは、ANDゲートに入力される。これにより、十分なエネルギーを有し、特定の同時発生期間内に一対の検出器に到達した光子のペアは、暫定的な「真」の結果(PT)を生み出す。実質的に同時に、多数のveto検出器からの検出データ(V1〜Vk)がORゲートに入力される。これにより、veto検出器のひとつによる光子の検出に基づき、暫定的な真の結果(PT)が、ランダム現象のペアに由来するものであったことが示される。ANDゲートの出力は、ORゲートの出力の論理反転出力と結合され、それゆえ、主要検出器ペアが単一陽電子崩壊現象の結果を検出した可能性が高い時のみ、主要検出器データの伝達を行うことができる。
【0044】
上述したような、結晶、および他の型の検出器を用いた高率の光子検出システムは、上述したように作動することが一般に知られている。高い効率は、ヒットしたすべての光子を吸収し、検出するのに十分な厚みを有する検出器を用いること、および、光子が放出される、最も可能性の高い方向を少なくとも包囲することにより得られる。例えば、Brookhaven国立研究所におけるE787コラボレーションを含む粒子物理学実験では、K中間子の崩壊の測定中にバックグラウンド光子を有する現象を排除するために、光子vetoシステムが用いられた。この光子vetoシステムは、Adler in Further Evidence for the Decay K+→π+v/v,Physical Review Letters,Vol.88,No.4(2002)により詳細に記述されている。この開示は、引用文献として本明細書に引用されている。
【0045】
粒子物理学アプリケーションにおいて、光子検出効率は、光核相互作用のような物理学的な過程によって結果的に制限される。しかし、上述したアプリケーションに関しては、これらの原因に関連する非効率性は、一般に、スキャンされる物質の形状およびスキャンされる物質の内部における、光子の吸収の可能性および均一性といった他の制限に関連する非効率性よりも低いレベルにある。
【0046】
上述した発明は、ランダム現象データを抑制し、画像データおよび結果として得られる画像の質を向上させるための機器および方法を含んでいる。上記画像は、PET断層撮影装置のような、医療的または工業的なイメージングスキャナーによって得られるものである。PET断層撮影装置は、画像データを蓄積するために同時発生の放射を測定するものである。上述の方法および機器は、主要信号すなわち真信号が同時に測定されず、バックグラウンド現象と同時に発せられる他の放射を伴うX線のエネルギーといった、他のいくつかの特性によって特徴付けられる場合のランダム同時発生を低減するためにも有用であると考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1A】従来のPETシステムの側面断面図である。
【図1B】従来のPETシステムの底面断面図である。
【図2A】主要断面撮影装置を囲むveto検出器アレイVを増設した例示的なPETシステムの側面断面図である。
【図2B】主要断面撮影装置を囲むveto検出器アレイVを増設した例示的なPETシステムの底面断面図である。
【図3A】別の例示的なPETシステムの側面断面図である。
【図3B】別の例示的なPETシステムの底面断面図である。
【図4A】主要検出器Piおよび連結するveto検出器Vの他の例示的な構成の一部を示す側面断面図である。
【図4B】主要検出器Piおよび連結するveto検出器Vの他の例示的な構成の一部を示す側面断面図である。
【図4C】主要検出器Piおよび連結するveto検出器Vの他の例示的な構成の一部を示す側面断面図である。
【図4D】主要検出器Piおよび連結するveto検出器Vの他の例示的な構成の一部を示す側面断面図である。
【図4E】主要検出器Piおよび連結するveto検出器Vの他の例示的な構成の一部を示す側面断面図である。
【図5】ランダム現象を否認するために使用される例示的な論理システムを示す図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1主要検出器において、第1ガンマ線を検出する工程と、
第2主要検出器において、第2ガンマ線を検出する工程とを含み、
上記第1および第2主要検出器は、有効な主要検出器ペアであり、
上記第1および第2ガンマ線は、同時発生期間内に検出され、
さらに、上記同時発生期間内に、veto検出器アレイによって、ランダムガンマ線検出を評価する工程と、
上記veto検出器アレイが上記同時発生期間内にランダムガンマ線を検出しない時、上記主要検出器からのデータを画像メモリに送信する工程とを含む、スキャンされた物質の内部における陽電子崩壊現象の位置を決定する方法。
【請求項2】
上記第1および第2ガンマ線は、上記第1および第2主要検出器によって検出されるためには、基準エネルギーレベルを超えなければならない、請求項1に記載の、スキャンされた物質の内部における陽電子崩壊現象の位置を決定する方法。
【請求項3】
上記第1および第2ガンマ線は、上記第1および第2主要検出器によって検出されるためには、有効エネルギー範囲内のエネルギーを有していなければならない、請求項1に記載の、スキャンされた物質の内部における陽電子崩壊現象の位置を決定する方法。
【請求項4】
上記ランダムガンマ線は、上記veto検出器アレイによって検出されるためには、基準エネルギーレベルを超えなければならない、請求項3に記載の、スキャンされた物質の内部における陽電子崩壊現象の位置を決定する方法。
【請求項5】
上記検出する工程、評価する工程および送信する工程は、上記画像メモリに多数の画像データ点を蓄積するために繰り返される、請求項1に記載の、スキャンされた物質の内部における陽電子崩壊現象の位置を決定する方法。
【請求項6】
上記画像メモリ内の上記多数の画像データ点は、スキャンされた物質の画像を再構成するために利用される、請求項5に記載の、スキャンされた物質の内部における陽電子崩壊現象の位置を決定する方法。
【請求項7】
上記スキャンされた物質の内部から発生するガンマ線の大部分は、上記主要検出器または上記veto検出器アレイに到達する、請求項5に記載の、スキャンされた物質の内部における陽電子崩壊現象の位置を決定する方法。
【請求項8】
スキャンされる物質を主要検出器アレイ内に配置する工程と、
上記主要検出器アレイの近傍にveto検出器アレイを配置する工程と、
多数の有効な主要検出器ペアにおいて、多数の同時発生ガンマ線ペアを検出する工程と、
同時発生ガンマ線ペアに対応する同時発生期間内に、上記veto検出器アレイによってランダムガンマ線検出を評価する工程と、
上記veto検出器アレイがランダムガンマ線を検出しない時、上記同時発生期間内に検出された同時発生ガンマ線ペアに対応するデータを送信する工程とを含む、スキャンされた物質の内部における多数の陽電子崩壊現象の位置を決定する方法。
【請求項9】
上記同時発生ガンマ線ペアに対応する送信されたデータを生成することができた多数の単一発生源に対応する位置データを計算する工程をさらに含む、請求項8に記載の、スキャンされた物質の内部における多数の陽電子崩壊現象の位置を決定する方法。
【請求項10】
上記多数の単一発生源に対応する上記位置データを画像メモリ内に蓄積する工程と、
上記スキャンされた物質の画像を再構成するために、上記画像メモリ内の上記位置データを利用する工程とをさらに含む、請求項9に記載の、スキャンされた物質の内部における多数の陽電子崩壊現象の位置を決定する方法。
【請求項11】
スキャンされる物質の少なくとも一部を受け入れる開口部と、
少なくとも部分的に上記開口部の周囲に配されており、多数の同時発生ガンマ線ペアの第1部分を検出する主要検出器アレイと、
上記主要検出器アレイおよび上記開口部の近傍に配置され、上記多数の同時発生ガンマ線ペアの第2部分を検出するveto検出器アレイと、
同時発生期間に検出された上記同時発生ガンマ線ペアに対応する、上記主要検出器アレイからの検出データを、上記veto検出器アレイによってランダムガンマ線が検出されない時に送信する識別論理回路とを備え、
上記スキャンされた物質の内部では、陽電子崩壊現象の結果、多数のガンマ線ペアが発生し、
上記第1部分は、ランダム現象のペアに由来する、真のペアおよび偽のペアの両方を含んでおり、
上記第2部分は、ランダム現象のペアに対応するガンマ線を主に含んでいる、スキャンされた物質の内部における多数の陽電子崩壊現象の位置を決定する機器。
【請求項12】
上記送信された検出データを、同時発生ガンマ線ペアのそれぞれに対して計算された発生源の位置に対応する位置データに変換する第1プロセッサと、
上記プロセッサによって生成された上記位置データを蓄積するメモリとを備える、請求項11に記載の、スキャンされた物質の内部における多数の陽電子崩壊現象の位置を決定する機器。
【請求項13】
上記スキャンされた物質の画像を再構成するために、上記蓄積された位置データを処理する第2プロセッサと、
上記スキャンされた物質の、上記再構成された画像を表示する表示部とを備える、請求項12に記載の、スキャンされた物質の内部における多数の陽電子崩壊現象の位置を決定する機器。
【請求項14】
上記主要検出器アレイは、上記開口部の周囲に、実質的に平面的な構成で配置された多数の検出器を含んでおり、
上記veto検出器アレイは、実質的に完全に、上記主要検出器アレイおよび上記開口部を取り囲むように配置されている多数の検出器を含んでいる、請求項11に記載の、スキャンされた物質の内部における多数の陽電子崩壊現象の位置を決定する機器。
【請求項15】
上記veto検出器アレイおよび上記主要検出器アレイの組合せは、複合検出器アレイを形成し、
上記複合検出器アレイは、上記開口部から延びる、実質的に完全な4πステラジアン固定角範囲を規定し、
さらに、上記スキャンされる物質を上記開口部に載置するとともに、上記スキャンされる物質を上記開口部から取り除くために、上記複合検出器アレイの一部を通るようにアクセスポートが開口されている、請求項14に記載の、スキャンされた物質の内部における多数の陽電子崩壊現象の位置を決定する機器。
【請求項16】
上記主要検出器アレイは、4πステラジアン固定角範囲の第1固定角部分をカバーしており、
上記veto検出器アレイは、4πステラジアン固定角範囲の第2固定角部分をカバーしている、請求項15に記載の、スキャンされた物質の内部における多数の陽電子崩壊現象の位置を決定する機器。
【請求項17】
上記4πステラジアン固定角範囲の上記第1固定角部分と上記第2固定角部分との間には、重複する領域がない、請求項16に記載の、スキャンされた物質の内部における多数の陽電子崩壊現象の位置を決定する機器。
【請求項18】
上記4πステラジアン固定角範囲の上記第1固定角部分に上記第2固定角部分が重なっている、実質的に完全な重複領域が存在する、請求項16に記載の、スキャンされた物質の内部における多数の陽電子崩壊現象の位置を決定する機器。
【請求項19】
上記veto検出器アレイおよび上記主要検出器アレイの組合せは、複合検出器アレイを形成し、
上記複合検出器アレイは、上記開口部から延びる、4πよりも小さいステラジアン固定角範囲を規定する、請求項16に記載の、スキャンされた物質の内部における多数の陽電子崩壊現象の位置を決定する機器。
【請求項1】
第1主要検出器において、第1ガンマ線を検出する工程と、
第2主要検出器において、第2ガンマ線を検出する工程とを含み、
上記第1および第2主要検出器は、有効な主要検出器ペアであり、
上記第1および第2ガンマ線は、同時発生期間内に検出され、
さらに、上記同時発生期間内に、veto検出器アレイによって、ランダムガンマ線検出を評価する工程と、
上記veto検出器アレイが上記同時発生期間内にランダムガンマ線を検出しない時、上記主要検出器からのデータを画像メモリに送信する工程とを含む、スキャンされた物質の内部における陽電子崩壊現象の位置を決定する方法。
【請求項2】
上記第1および第2ガンマ線は、上記第1および第2主要検出器によって検出されるためには、基準エネルギーレベルを超えなければならない、請求項1に記載の、スキャンされた物質の内部における陽電子崩壊現象の位置を決定する方法。
【請求項3】
上記第1および第2ガンマ線は、上記第1および第2主要検出器によって検出されるためには、有効エネルギー範囲内のエネルギーを有していなければならない、請求項1に記載の、スキャンされた物質の内部における陽電子崩壊現象の位置を決定する方法。
【請求項4】
上記ランダムガンマ線は、上記veto検出器アレイによって検出されるためには、基準エネルギーレベルを超えなければならない、請求項3に記載の、スキャンされた物質の内部における陽電子崩壊現象の位置を決定する方法。
【請求項5】
上記検出する工程、評価する工程および送信する工程は、上記画像メモリに多数の画像データ点を蓄積するために繰り返される、請求項1に記載の、スキャンされた物質の内部における陽電子崩壊現象の位置を決定する方法。
【請求項6】
上記画像メモリ内の上記多数の画像データ点は、スキャンされた物質の画像を再構成するために利用される、請求項5に記載の、スキャンされた物質の内部における陽電子崩壊現象の位置を決定する方法。
【請求項7】
上記スキャンされた物質の内部から発生するガンマ線の大部分は、上記主要検出器または上記veto検出器アレイに到達する、請求項5に記載の、スキャンされた物質の内部における陽電子崩壊現象の位置を決定する方法。
【請求項8】
スキャンされる物質を主要検出器アレイ内に配置する工程と、
上記主要検出器アレイの近傍にveto検出器アレイを配置する工程と、
多数の有効な主要検出器ペアにおいて、多数の同時発生ガンマ線ペアを検出する工程と、
同時発生ガンマ線ペアに対応する同時発生期間内に、上記veto検出器アレイによってランダムガンマ線検出を評価する工程と、
上記veto検出器アレイがランダムガンマ線を検出しない時、上記同時発生期間内に検出された同時発生ガンマ線ペアに対応するデータを送信する工程とを含む、スキャンされた物質の内部における多数の陽電子崩壊現象の位置を決定する方法。
【請求項9】
上記同時発生ガンマ線ペアに対応する送信されたデータを生成することができた多数の単一発生源に対応する位置データを計算する工程をさらに含む、請求項8に記載の、スキャンされた物質の内部における多数の陽電子崩壊現象の位置を決定する方法。
【請求項10】
上記多数の単一発生源に対応する上記位置データを画像メモリ内に蓄積する工程と、
上記スキャンされた物質の画像を再構成するために、上記画像メモリ内の上記位置データを利用する工程とをさらに含む、請求項9に記載の、スキャンされた物質の内部における多数の陽電子崩壊現象の位置を決定する方法。
【請求項11】
スキャンされる物質の少なくとも一部を受け入れる開口部と、
少なくとも部分的に上記開口部の周囲に配されており、多数の同時発生ガンマ線ペアの第1部分を検出する主要検出器アレイと、
上記主要検出器アレイおよび上記開口部の近傍に配置され、上記多数の同時発生ガンマ線ペアの第2部分を検出するveto検出器アレイと、
同時発生期間に検出された上記同時発生ガンマ線ペアに対応する、上記主要検出器アレイからの検出データを、上記veto検出器アレイによってランダムガンマ線が検出されない時に送信する識別論理回路とを備え、
上記スキャンされた物質の内部では、陽電子崩壊現象の結果、多数のガンマ線ペアが発生し、
上記第1部分は、ランダム現象のペアに由来する、真のペアおよび偽のペアの両方を含んでおり、
上記第2部分は、ランダム現象のペアに対応するガンマ線を主に含んでいる、スキャンされた物質の内部における多数の陽電子崩壊現象の位置を決定する機器。
【請求項12】
上記送信された検出データを、同時発生ガンマ線ペアのそれぞれに対して計算された発生源の位置に対応する位置データに変換する第1プロセッサと、
上記プロセッサによって生成された上記位置データを蓄積するメモリとを備える、請求項11に記載の、スキャンされた物質の内部における多数の陽電子崩壊現象の位置を決定する機器。
【請求項13】
上記スキャンされた物質の画像を再構成するために、上記蓄積された位置データを処理する第2プロセッサと、
上記スキャンされた物質の、上記再構成された画像を表示する表示部とを備える、請求項12に記載の、スキャンされた物質の内部における多数の陽電子崩壊現象の位置を決定する機器。
【請求項14】
上記主要検出器アレイは、上記開口部の周囲に、実質的に平面的な構成で配置された多数の検出器を含んでおり、
上記veto検出器アレイは、実質的に完全に、上記主要検出器アレイおよび上記開口部を取り囲むように配置されている多数の検出器を含んでいる、請求項11に記載の、スキャンされた物質の内部における多数の陽電子崩壊現象の位置を決定する機器。
【請求項15】
上記veto検出器アレイおよび上記主要検出器アレイの組合せは、複合検出器アレイを形成し、
上記複合検出器アレイは、上記開口部から延びる、実質的に完全な4πステラジアン固定角範囲を規定し、
さらに、上記スキャンされる物質を上記開口部に載置するとともに、上記スキャンされる物質を上記開口部から取り除くために、上記複合検出器アレイの一部を通るようにアクセスポートが開口されている、請求項14に記載の、スキャンされた物質の内部における多数の陽電子崩壊現象の位置を決定する機器。
【請求項16】
上記主要検出器アレイは、4πステラジアン固定角範囲の第1固定角部分をカバーしており、
上記veto検出器アレイは、4πステラジアン固定角範囲の第2固定角部分をカバーしている、請求項15に記載の、スキャンされた物質の内部における多数の陽電子崩壊現象の位置を決定する機器。
【請求項17】
上記4πステラジアン固定角範囲の上記第1固定角部分と上記第2固定角部分との間には、重複する領域がない、請求項16に記載の、スキャンされた物質の内部における多数の陽電子崩壊現象の位置を決定する機器。
【請求項18】
上記4πステラジアン固定角範囲の上記第1固定角部分に上記第2固定角部分が重なっている、実質的に完全な重複領域が存在する、請求項16に記載の、スキャンされた物質の内部における多数の陽電子崩壊現象の位置を決定する機器。
【請求項19】
上記veto検出器アレイおよび上記主要検出器アレイの組合せは、複合検出器アレイを形成し、
上記複合検出器アレイは、上記開口部から延びる、4πよりも小さいステラジアン固定角範囲を規定する、請求項16に記載の、スキャンされた物質の内部における多数の陽電子崩壊現象の位置を決定する機器。
【図1A】
【図1B】
【図2A】
【図2B】
【図3A】
【図3B】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図4E】
【図5】
【図1B】
【図2A】
【図2B】
【図3A】
【図3B】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図4E】
【図5】
【公表番号】特表2007−529750(P2007−529750A)
【公表日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−504122(P2007−504122)
【出願日】平成17年3月18日(2005.3.18)
【国際出願番号】PCT/US2005/008964
【国際公開番号】WO2005/091989
【国際公開日】平成17年10月6日(2005.10.6)
【出願人】(506315697)トライアンフ,オペレーティング アズ ア ジョイント ヴェンチャー バイ ザ ガバナーズ オブ ザ ユニバーシティ オブ アルバータ,ザ ユニバーシティ オブ ブリティッシュ コロンビア,カールトン (8)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年3月18日(2005.3.18)
【国際出願番号】PCT/US2005/008964
【国際公開番号】WO2005/091989
【国際公開日】平成17年10月6日(2005.10.6)
【出願人】(506315697)トライアンフ,オペレーティング アズ ア ジョイント ヴェンチャー バイ ザ ガバナーズ オブ ザ ユニバーシティ オブ アルバータ,ザ ユニバーシティ オブ ブリティッシュ コロンビア,カールトン (8)
【Fターム(参考)】
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