説明

階段リフト椅子及び階段リフト設備

本発明は、階段リフト椅子(5)を提供し、椅子が折り畳まれると、着座部(6)と、肘掛(7a、7b)とが同時に作動する。好適実施例では、椅子が折り畳まれると、肘掛と、着座部と共に、足載せ台(9)も折り畳まれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、階段リフトに関し、特に階段リフト椅子構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
典型的な階段リフト椅子は、着座部と、一対の肘掛と、足載せ台とを含んでいる。これらの部材は、階段リフト使用時には水平となるようにアレンジされている。
【0003】
しかし、階段リフトが使用されていないときには、設置幅を最少とし、階段リフトが取り付けられた階段の通常使用の邪魔にならないようにそれら部材が垂直方向に折り畳まれていることが望ましい。
【0004】
個々の部材が折り畳める階段リフト椅子は存在した。
【0005】
しかし、一般的に個別に折り畳むものであった。同時に折り畳める足載せ台と着座部を有した階段リフト椅子や、肘掛と共に折り畳める足載せ台を備えた階段リフト椅子が存在した。
【0006】
それら椅子の弱点は、両肘掛を他部材と同時的に折り畳めないことであった。
【0007】
階段の上端で階段リフトを折り畳むには、階段側に身を乗り出して肘掛を折り畳む必要があった。その人物が階段リフトの利用者であれば身体能力には、限界があり、そのように身を乗り出すことは望ましくなく、階段を転げ落ちる危険性が高かった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
よって、本発明の目的は、上述の問題点に対処できる新規で実用的な階段リフト椅子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
従って、第1の特徴により、本発明は、着座部と、一対の肘掛と、足載せ台とを備える階段リフト椅子を提供する。
【0010】
その肘掛と、着座部との間には、連結手段が設けられ、着座部と肘掛を同時に折り畳ませる。
【0011】
好ましくは、階段リフト椅子には、足載せ台折り畳み手段が設けられる。足載せ台折り畳み手段は、折り畳み過程の着座部と肘掛に対応して作動する。
【0012】
好ましくは、連結手段は、着脱式であり、肘掛の一方又は両方を、着座部とは独立的に折り畳ませることが可能である。
【0013】
好ましくは、足載せ台折り畳み手段は、足載せ台を折り畳み姿勢にすべく作動する電動モータと、着座部の折り畳み動作で起動する電動モータ操作スイッチとを含む。
【0014】
あるいは、足載せ台折り畳み手段は、着座部若しくは肘掛、又は着座部及び肘掛を足載せ台に連結する機械式連結体を含む。
【0015】
本発明の別の特徴によれば、本発明は、上述の階段リフト椅子を含んだ階段リフト設備を提供する。
【0016】
以上の本発明の特徴には、本発明が実施できる多数の変形例が含まれる。以下において、本発明を詳細に説明するが、それらは本発明の一実施例であって、何ら本発明を限定するものではない。説明する特定の要素及び細部で現在あるいは将来において等価のものは含まれる。本発明の範囲は、請求の範囲に記したものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、少なくとも上述の実施例の場合には、以下の利点を有する階段リフト椅子を提供する。
a)突出部品(着座部又は肘掛)の一方を折り畳むことで他の突出部品も自動的に折り畳まれる。
【0018】
これにより、使用していないときに椅子が適切に折り畳まれる可能性が増加し、階段リフトが取り付けられた階段を通常に使用する際の不都合を最小限化させる。
b)肘掛の一方を折り畳むと、他の肘掛も折り畳まれるため、階段の上端で身を乗り出して階段リフトを折り畳む必要がなく、実質的に危険性を低減させる。
c)足載せ台は、着座部と肘掛と共に折り畳まれるため、足載せ台を個別に折り畳むために身体を曲げたり前屈姿勢となる必要がない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明は、階段リフトに組み込むための椅子5の新規な形態を提供する。
【0020】
従来方式においては、椅子5は、階段リフト運搬台(図示せず)に取り付けられており、この運搬台は、階段リフトレール(図示せず)に沿って移動するように取り付けられている。
【0021】
全ての従来の階段リフト椅子と同様に、椅子5は、着座部6と、一対の肘掛7a及び肘掛7bと、背もたれ8と、足載せ台9とを含んでいる。
【0022】
この椅子5の特徴は、使用されていないときには階段リフトの設置幅を減少させるように着座部6と肘掛7aとを同時に折り畳ませるために、着座部6と、肘掛7aと、肘掛7bとを連結する連結手段を含んでいることにある。好ましい実施例では、足載せ台9もまた折り畳み過程の着座部6に対応して折り畳まれる。
【0023】
図面に示すように、肘掛7aと、肘掛7bとは、これらの後方端10において背もたれ8側へ回動する。
【0024】
同様に着座部6の後方端11は、背もたれ8の平面部から回動するL形ブラケット12に固定されている。図示の椅子5の特定形状では、連結手段は、好ましくは椅子6と、肘掛7aを相互接続する一対の連結バー15を含んでおり、後方端10と、後方端11のそれぞれの前方位置側において、回動する。
【0025】
椅子5が、図1Aと図2Aに示すごとき作動形態の場合は、着座部6は、椅子接合面16の水平面17上で支持され、安定化されている。この位置では、肘掛7aと、肘掛7bの位置は、好ましくは機械式停止部(図示せず)によって決定される。つまり、連結バー15の一方又は両方を分離させることができ、対応する肘掛が上方に回動して、着座部6との横方向からの乗り降りを可能にする。これは、車椅子使用者が階段リフトを使用する場合には必要である。
【0026】
着座部6が、背もたれ8に対して実質的に同一面となる図1Cと図2Cに示すごとき形態へ椅子が折り畳まれる場合は、着座部6又は肘掛7a又は肘掛7bは、手動で上方に折り畳まれる。連結バー15が存在するため、手動移動されない部品も折り畳み状態にすることができる。肘掛の一方を折り畳むことで自動的に他の肘掛も折り畳まれる。
【0027】
図示の実施例では、足載せ台折り畳み手段は、足載せ台9を着座部6と、肘掛7と共に折り畳ませるように設けられている。この折り畳み操作は、好ましくは電動式であるが、機械式連結形態を利用することも可能である。
【0028】
足載せ台9を電動式に折り畳ませるために、モータ/ギヤボックスユニット20が好ましくは椅子接合面16のベース部に設けられており、足載せ台9と、接合面16間の回動軸21に直接的に作用する。このモータ/ギヤボックス20は、接合面に対する着座部6の折り畳み動作中に起動するスイッチ22に反応して作動する。
【0029】
スイッチ22は、どこに取り付けても構わないが、好ましくは図示のごとく、着座部6と、背もたれ8との間の蝶番軸上に取り付けられ、着座部が接合面17に対して約45°の角度の時にモータ20を起動させる。
【0030】
上述のごとく、足載せ台を機械式操作によって回動させることもできる。このような機械式構造には、例えばレバーアーム及びボーデンケーブル(Bowden cable)の組合せが含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1A】本発明の階段リフト椅子の斜視図であり、使用時から折り畳み時への変遷を図示している。
【図1B】本発明の階段リフト椅子の斜視図であり、使用時から折り畳み時への変遷を図示している。
【図1C】本発明の階段リフト椅子の斜視図であり、使用時から折り畳み時への変遷を図示している。
【図2A】図1Aの椅子の側面図である。
【図2B】図1Bの椅子の側面図である。
【図2C】図1Cの椅子の側面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
着座部と、一対の肘掛と、足載せ台とを備える階段リフト椅子であって、
前記着座部と、前記肘掛とを同時に折り畳ませることを可能にするため、前記肘掛と前記着座部との間に、連結手段が設けられていることを特徴とする階段リフト椅子。
【請求項2】
更に、足載せ台折り畳み手段が設けられており、該足載せ台折り畳み手段は、折り畳み過程の着座部に対応して作動することを特徴とする請求項1記載の階段リフト椅子。
【請求項3】
足載せ台折り畳み手段は、足載せ台を折り畳み姿勢にすべく作動する電動モータと、着座部若しくは肘掛、又は着座部及び肘掛の折り畳み動作で起動する電動モータ操作スイッチとを含んでいることを特徴とする請求項2記載の階段リフト椅子。
【請求項4】
足載せ台折り畳み手段は、着座部若しくは肘掛、又は着座部及び肘掛を足載せ台に連結する機械式連結体を含んでいることを特徴とする請求項2記載の階段リフト椅子。
【請求項5】
連結手段は、着脱式であり、肘掛の一方又は両方を、着座部とは独立的に折り畳ませることが可能であることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の階段リフト椅子。
【請求項6】
本明細書と、図面とで実質的に説明するごとく設計され、作動することを特徴とする階段リフト椅子。
【請求項7】
請求項1から6のいずれかに記載の階段リフト椅子を含んだ階段リフト設備。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【公表番号】特表2008−519629(P2008−519629A)
【公表日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−540717(P2007−540717)
【出願日】平成17年11月15日(2005.11.15)
【国際出願番号】PCT/GB2005/004365
【国際公開番号】WO2006/051316
【国際公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【出願人】(501154220)スタナー ステアリフツ リミテッド (9)
【Fターム(参考)】