説明

階段構造

【課題】低い施工コストで騒音防止が可能な階段構造を提供することを目的とする。
【解決方法】階段側板11を隣接する壁面40に取付金具20を介して固定する。この取付金具20はアッパブラケット21とロアブラケット22及び両ブラケット21,22間に挟装したゴム弾性材23から成り、アッパブラケット21を側板11に固定し、ロアブラケット22を壁面40に固定することにより側板11がゴム弾性材23を介して壁面40に固定される。そして、下階の床面41と階段とが接触する部位との間にゴム弾性材30を介在させる。さらに、上階の床面42と階段とが接触する部位との間にもゴム弾性材32を介在させる

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は階段構造に関し、より詳しくは階段昇降時の騒音低減を可能にする階段構造に関する。
【背景技術】
【0002】
階段構造の一形式として、特開平9−228599号公報には、対向する側板間に断面形状が溝形の金属製下地材を固定し、この下地材にゴム弾性材を積層し、側板間に配置される踏み板をゴム弾性材上に積層固定した階段構造が開示されている。
この階段構造によれば、踏み板の振動がゴム弾性材に吸収されるので、階段昇降時の騒音を防止できる。
【特許文献1】特開平9−228599号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記した従来の階段構造は、階段の各段毎に金属製下地材とゴム弾性材を取り付けるので、通常の階段構造に比べて部品点数が多くなり、そのため施工コストが高くなる。
【0004】
本発明はかかる問題点に鑑み、低い施工コストで騒音防止が可能な階段構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため本発明に係る階段構造は、階段側板を隣接する壁面に弾性材を介して固定する。
そして、好ましくは、下階の床面と階段とが接触する部位との間に弾性材を介在させる。
さらに好ましくは、上階の床面と階段とが接触する部位との間に弾性材を介在させる。
【発明の効果】
【0006】
本発明に係る階段構造によれば、階段と、階段が設置される壁面や上下階の床面との間に弾性材を介在させたので、階段昇降時に振動が弾性材に吸収され。そのため振動を抑制できるので、階段昇降時の騒音を低減できる。
しかして、本発明によれば、階段と壁面もしくは階段と上下階の床面に弾性材を介在させるので、階段の各段毎に弾性材を取り付ける場合に比べて、部材点数が少なく、施工コストを低減できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
階段側板を隣接する壁面に取付金具を介して固定する。この取付金具はアッパブラケットとロアブラケット及び両ブラケット間に挟装したゴム弾性材から成り、アッパブラケットを側板に固定し、ロアブラケットを壁面に固定することにより側板がゴム弾性材を介して壁面に固定される。そして、下階の床面と階段とが接触する部位との間にゴム弾性材を介在させる。さらに、上階の床面と階段とが接触する部位との間にもゴム弾性材を介在させる
【実施例1】
【0008】
以下に本発明の実施例を図面に基づき説明するに、図1及び図2には本発明の一実施例に係る階段構造が示されている。当該階段構造10は、側板11、踏み板12、蹴込み板13、取付金具20及び緩衝材30,31,32から構成されている。
【0009】
側板11の内面には複数箇所にホゾ穴11aが形成されている。隣接するホゾ穴11aは一定の段差を保つように配列されている。踏み板12は左右の側板11のホゾ穴11aに端部を嵌合することにより、側板11間に架設されている。
【0010】
踏み板12の裏面の前端部よりの部位に踏み板12の長手方向に伸びる細溝12aが形成され、この細溝12aに蹴込み板13の上端が嵌着され、蹴込み板13の下端部が下段の踏み板12の後端部に釘、ビス等で固着されている。
【0011】
取付金具20は図3に詳細を示すように、金属製のプレス成形品であるアッパブラケット21とロアブラケット22、断面円形のゴム弾性材23、ボルト24及び上下2個のナット25,26から構成されている。
【0012】
アッパブラケット21は水平面21a、水平面21aの一端から上方へ直角に折れ曲がる連結面21b、連結面21bの上端部から斜め上方へへ折れ曲がるアッパベース面21c、水平面21aの他端から斜め下方へ折れ曲がるロアベース面21dを備えている。
【0013】
ロアブラケット22は水平面22aと、水平面22aの一端から下方へ直角に曲がるベース面22bを備えている。ゴム弾性材23、アッパブラケット21の水平面21a及びロアブラケット22の水平面22aにはボルト24を挿通するための貫通穴が形成されている。
【0014】
ゴム弾性材23は、ボルト24を両ブラケット21,22の各水平面21a,22aとゴム弾性材23の貫通穴に挿通し、アッパブラケット21の水平面21aの上側とロアブラケット22の水平面22aの下側からナット25,26をボルト24に締め付けることにより、両水平面21a,22a間に挟装されている。このためアッパブラケット21とロアブラケット22の水平面21a,22aはゴム弾性材23が圧縮変形する変形量の範囲内において互いに接離可能に連結されている。
【0015】
側板11は取付金具20のアッパブラケット21のアッパベース面21cとロアベース面21dをビスで側板11の底面に固着し、ロアブラケット22のベース面22bをビスで側板11に隣接する壁面40に固着することにより、壁面40に固定される。これにより側板11がゴム弾性材23を介して壁面40に固定される。また、側板11の下端部と下階の床面の41間にはゴム弾性材製の緩衝材30が介装されている。
【0016】
側板11の上端部及び最上段の踏み板12と上階の床面42との間にもゴム弾性材製31の緩衝材が介装されている。さらに最上段の踏み板12と上階の床面42の下地材43との間にもゴム弾性材製の緩衝材32が介装されている。
【0017】
本実施例に係る階段構造によれば、階段10を壁面40や上下階の床面41,42との間にゴム弾性材23,30,31,32を介在させて設置したので、階段昇降時に振動が弾性材23,30,31,32に吸収される。そのため振動を抑制できるので、階段昇降時の騒音を低減できる。
【0018】
図4に取付金具の他の実施例を示す。当該取付金具50は取付金具20のロアブラケット22と同じ構造のロアブラケット22とアッパブラケットを備えている。また、断面円形のゴム弾性材23、ボルト24及び上下2個のナット25,26を備えている。そして上下のブラケット22がボルト24で回転可能に連結され、ボルト24にゴム弾性体23が取り着けられている。
【0019】
この取付金具50を用いて階段を設置するには、図5に示すように、取付金具50のアッパブラケット22のベース面22bをビスで側板の側面に固着し、ロアブラケット22のベース面22bをビスで側板11に隣接する壁面40に固着する。これにより、側板11がゴム弾性材23を介して壁面40に固定される。
【0020】
取付金具50はロアブラケット22とアッパブラケット22に同じ構造のものを使用するので、製造コストを低減できる。また、図5には右上がりの階段を例示したが、左上がりの階段の場合にはロアブラケット22に対し、ボルト24の周りに180度アッパブラケット22を回転すれれば、右上がりの階段と同様に側板11を取付金具50で壁面40に固定できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施例に係る階段構造を模式的に示す側面図である。
【図2】同階段構造の主要部を構成する側板、踏み板、補強桟を模式的に示す正面図である。
【図3】同階段構造の取付金具を示す斜視図である。
【図4】同階段構造の取付金具の他の実施例を示す斜視図である。
【図5】他の実施例に係る取付金具の使用方法を示す説明図である。
【符号の説明】
【0022】
10…階段構造、11…側板、12…踏み板、13…蹴込み板、20,50…取付金具、21…アッパブラケット、22…ロアブラケット、23,30,31,32…ゴム弾性材、40…壁面、41,42…床面。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
階段側板を隣接する壁面に弾性材を介して固定したことを特徴とする階段構造。
【請求項2】
下階の床面と階段とが接触する部位との間に弾性材を介在させたことを特徴とする請求項1に記載の階段構造。
【請求項3】
上階の床面と階段とが接触する部位との間に弾性材を介在させたことを特徴とする請求項1に記載の階段構造。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−138426(P2007−138426A)
【公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−330151(P2005−330151)
【出願日】平成17年11月15日(2005.11.15)
【出願人】(591051944)東洋プライウッド株式会社 (20)
【Fターム(参考)】