階段
【課題】軽構造かつ軽快で、生産・施工効率のよい階段を提供することを課題とする。
【解決手段】鉛直方向に立設される中心支柱1と、この中心支柱1の周りに配置される複数の踏板35とを備える階段において、踏板35は、中心支柱1から張り出す支持部材30に支持されており、支持部材30は、中心支柱1から張り出すフレーム材31と、このフレーム材31の先端に接続される外周節点部材34とを具備しており、外周節点部材34に、上下方向に沿って挿通孔が形成されており、当該挿通孔を利用して手摺を支持する手摺支柱51が取り付けられていることを特徴とする。
【解決手段】鉛直方向に立設される中心支柱1と、この中心支柱1の周りに配置される複数の踏板35とを備える階段において、踏板35は、中心支柱1から張り出す支持部材30に支持されており、支持部材30は、中心支柱1から張り出すフレーム材31と、このフレーム材31の先端に接続される外周節点部材34とを具備しており、外周節点部材34に、上下方向に沿って挿通孔が形成されており、当該挿通孔を利用して手摺を支持する手摺支柱51が取り付けられていることを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、階段に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建物内に階段を構築する場合には、間取りとの兼ね合いから、折曲り階段、折返し階段、廻り階段といった平面L字形状やU字形状の階段が構築されることが多い。また、このような階段は、居室とは別に設けられた階段室内に構築されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところが、階段室は、周囲が壁面で囲われているため、日中でも暗く、狭苦しい。また、居室とは別に階段室を設けなければならないので、結果として間取りの自由度が制限されてしまう。
【0004】
さらに、階段室の壁面で踏板を支持する場合には、その位置決めが非常に難しく、これらを正確に取り付けるには、手間と時間とを要する。
【0005】
また、工場で生産された階段を施工現場に取り付ける場合もあるが、建物ごとに階段の設置条件(段数や蹴上げ高さなど)が異なるので、大量生産には不向きである。
【0006】
そこで、本発明は、軽構造かつ軽快で、生産・施工効率のよい階段を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このような課題を解決する本発明は、鉛直に立設される中心支柱と、前記中心支柱の周りに配置される複数の踏板とを備える階段において、前記踏板は、前記中心支柱から張り出す支持部材に支持されており、前記支持部材は、前記中心支柱から張り出すフレーム材と、当該フレーム材の先端に接続される外周節点部材とを具備しており、前記外周節点部材に、上下方向に沿って挿通孔が形成されており、当該挿通孔を利用して手摺を支持する手摺支柱が取り付けられていることを特徴とする。
【0008】
本発明によると、支持部材がフレーム材で構成されているので、軽快かつすっきりとした外観になる。また、外周節点部材の挿通孔を利用して手摺支柱を取り付けているので、その取り付けが容易になり、さらには、すっきりとした外観になる。
【0009】
なお、前記手摺支柱の下端面に雌ネジを形成し、前記挿通孔と前記雌ネジとに挿通したボルトを介して前記手摺支柱を前記外周節点部材に固定してもよい。
【0010】
本発明においては、前記フレーム材の先端に接続端部を形成するとともに、前記外周節点部材の外面に、前記接続端部が嵌合可能な連結溝を形成してもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によると、軽構造かつ軽快で、生産・施工効率のよい階段を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、添付図面を参照しつつ、本発明の実施の形態を詳細に説明する。なお、説明において、同一要素には同一の符号を用い、重複する説明は省略するものとする。
【0013】
1:全体構成
まず、本発明の実施形態に係る階段の全体構成を、図1および図2を参照して説明する。ここで、図1は本発明に係る階段の斜視図、図2は同じく平面図である。
本発明の実施形態に係る階段は、図1に示すように、鉛直に立設された一本の中心支柱1と、鉛直に立設された外側支柱2と、中心支柱1に支持される廻り部3と、中心支柱1および外側支柱2に支持される直線部4と、廻り部3の外周および直線部4の両側に配置された手摺5とを主要部として構成されている。
また、廻り部3は、中心支柱1の周りに配置される三段の踏板35を有し、直線部4は、互いに連結された左右一対の側桁40A,40Bに支持される九段の踏板45を有している。すなわち、本実施形態では、図2に示すように、下階床F1側から数えて、1段目〜9段目が直線部4に相当し、10段目〜12段目が廻り部3に相当する。
【0014】
なお、以下の説明において「手前側」、「奥側」とは、それぞれ階段の上り方向を向いたときの手前側(前側)、奥側(後側)を指すものとする。また、「節点部材」を「ハブ」と称する。
【0015】
2:中心支柱、外側支柱
次に、中心支柱1および外側支柱2の構成について、図3乃至図6を参照して詳細に説明する。ここで、図3は本発明に係る階段の正面図、図4は同じく側面図、図5(a)は芯柱の断面図、図5(b)は中心ハブの断面図、図5(c)は図5(b)の拡大図、図5(d)は中心スペーサの断面図、図5(e)は固定プレートの断面図、図6は廻り部の斜視図である。
【0016】
中心支柱1は、図3および図4に示すように、下側中心スペーサ13A、中心ハブ12、中心スペーサ13および上側中心スペーサ13Bを有し、これらを芯柱11(図6参照)に外挿して構成される。
また、中心支柱1のうち、廻り部3が取り付けられる部分では、図6に示すように、中心ハブ12と中心スペーサ13とが交互に芯柱11へ外挿されている。なお、本実施形態では、中心ハブ12の上下面に固定プレート14が介設されている。
【0017】
芯柱11は、図5(a)に示すように、その外周の形状が断面正多角形状(図では正12角形)に形成され、アルミニウム合金製の中空押出形材からなる。
【0018】
中心ハブ12は、図5(b)に示すように、リング状で、その内周が芯柱11の外周の形状に対応する断面正多角形状(図では正12角形)に形成されている。すなわち、中心ハブ12の内周形状は、芯柱11の外周形状と同一である。中心ハブ12の外面には、上下方向に沿って複数(図5(b)では2つ)の連結溝12aが形成されている。
連結溝12aは、後記する上フレーム材31の接続端部31a、下フレーム材32の接続端部32aおよびブレースフレーム材33の接続端部33aが嵌合可能な形状に形成され、図5(c)に示すように、その内壁面には、各接続端部の凹凸と係合する凹凸が形成されている。また、図5(b)に示すように、中心ハブ12を平面視すると、二つの連結溝12aは、それぞれ中心ハブ12の中心を向いて形成されており、本実施形態ではその中心角は30度である。
また、中心ハブ12は、アルミニウム合金製の押出形材からなり、連結溝12aは、アルミニウム合金を押出成形する際に形成される。
なお、中心ハブ12の高さ寸法や連結溝12aの個数などは、接続されるフレーム材の本数などに応じて適宜設定するものとする。
【0019】
また、芯柱11の外周と中心ハブ12の内周とがそれぞれ正多角形の断面を有しているので、中心ハブ12が周方向に回動することはない。すなわち、中心ハブ12を芯柱11に外挿するだけで、中心ハブ12の位置決めがなされ、連結溝12aの方向が正確に定まる。なお、本実施形態では、芯柱11の外周および中心ハブ12の内周が正12角形なので、中心ハブ12の連結溝12aの方向を30度刻みで調節することができる。
【0020】
中心スペーサ13は、図5(d)に示すように、リング状で、その内面に突起部13aが120度ピッチで形成されている。
突起部13aは、芯柱11の外面の角部分に沿って当接する当接面を有している。そして、突起部13aの当接面が芯柱11の外面に当接することで、中心スペーサ13の周方向への回動が防止される。
また、中心スペーサ13は、アルミニウム合金製の押出形材からなり、突起部13aは、アルミニウム合金を押出成形する際に形成される。
なお、本実施形態では、中心スペーサ13の断面形状を、軽量化を図るべく突起部13aのみが芯柱11の外面に当接するような形状としたが、これに限定されることはなく、例えば、リング部分が密実なものであってもよい。
【0021】
固定プレート14は、図5(e)に示すように、その内周形状が芯柱11の外周形状と同一に形成されたリング状の板材であり、中心ハブ12に接続されたフレーム材が上下方向に移動するのを防止するためのものである。なお、中心スペーサ13のリング部分が密実なものである場合には、中心スペーサ13によりフレーム材の上下方向の移動が防止されるので、固定プレート14を省略することができる。
【0022】
外側支柱2は、アルミニウム合金製の押出形材からなり、図示は省略するが、軽量化を図るべく、その断面形状は円環形状である。また、図6に示すように、外側支柱2の上端には、円板形状の蓋部材21が取り付けられ、その上面に後記する直線部4の側桁40Bの上端に位置する側桁ハブ42が取り付けられる。
【0023】
3:廻り部
次に、廻り部3の構成について、図6乃至図12を参照して詳細に説明する。ここで、図7は支持部材の正面図、図8(a)は上(下)フレーム材の斜視図、図8(b)は図8(a)の側面図、図8(c)はブレースフレーム材の側面図、図9(a)は各フレーム材と外周ハブとの接続方法を説明する斜視図、図9(b)は各フレーム材と外周ハブとの接続状況を説明する平面図、図11(a)は踏板の側断面図、図11(b)は廻り部を図2に示すX−X線で切断したときのフレーム材の断面図、図12は廻り部の分解斜視図である。
【0024】
廻り部3は、図6に示すように、本実施形態では、中心支柱1の周りに配置される三段の踏板35を有する。また、この踏板35は、図7に示す支持部材30により支持されている。
【0025】
(支持部材)
支持部材30は、図7に示すように、中心支柱1(中心ハブ12)から水平放射状に張り出す上フレーム材31および下フレーム材32と、中心支柱1(中心ハブ12)から上向き放射状に張り出すブレースフレーム材33と、上フレーム材31、下フレーム材32およびブレースフレーム材33の先端(外周)に接続される外周ハブ34とから構成され、支持部材30を正面から見ると、平面トラスが形成されている。
【0026】
また、前後方向に隣り合う支持部材30,30は、図11(b)に示すように、手前側に位置する支持部材30の上フレーム材31と奥側に位置する支持部材30の下フレーム材32とが同一の高さに位置するように取り付けられる。
【0027】
上フレーム材31は、断面円形のアルミニウム合金製の中空押出形材を加工したものであり、図8(a)(b)に示すように、その両端に偏平状の接続端部31aを有している。また、接続端部31aの先端には、上フレーム材31の軸線に直交する方向に凹凸が形成されている。
接続端部31aは、中空押出形材の両端をプレス加工などにより押し潰すことにより形成される。なお、接続端部31aは、外周ハブ34の軸線方向(上下方向)に長い偏平状に形成されていることから(図参照)外周ハブ34の軸線方向(上下方向)の外力に対しては、強度的に強いジョイント構造が形成されている。
【0028】
下フレーム材32は、断面円形のアルミニウム合金製の中空押出形材を加工したものであり、その両端に偏平状の接続端部32aを有している(図8(a)(b)参照)。その他の構成は、上フレーム材31と同様であるので詳細な説明は省略する。
【0029】
ブレースフレーム材33は、断面円形のアルミニウム合金製の中空押出形材を加工したものであり、その両端に偏平状の接続端部33aを有しているが、図8(c)に示すように、その方向はブレースフレーム材33の軸線に対して角度α(以下、コイン角αとする)をなす方向である。したがって、ブレースフレーム材33は、その軸線方向が外周ハブ34の軸線方向に対してコイン角αだけ傾斜した状態で外周ハブ34に接続される。その他の構成は、上フレーム材31と同様であるので詳細な説明は省略する。
【0030】
外周ハブ34は、図9(a)に示すように、円柱形状に形成され、その外面には外周ハブ34の軸線方向(上下方向)に沿って複数の連結溝34aが形成されている。また、外周ハブ34の中心には、その軸線方向(上下方向)に沿って後記する手摺支柱51を取り付けるための挿通孔34bが形成されている。
連結溝34aは、図9(b)に示すように、上フレーム材31、下フレーム材32およびブレースフレーム材33の各接続端部が嵌合可能な断面形状に形成され、その内壁面には、接続端部の凹凸と係合する凹凸が形成されている。本実施形態では、3つの連結溝34aが75度間隔で形成されている。
外周ハブ34は、アルミニウム合金製の押出形材からなり、連結溝34aおよび挿通孔34bは、アルミニウム合金を押出成形する際に形成される。
【0031】
外周ハブ34に上フレーム材31を接続する場合には、図9(a)に示すように、上フレーム材31の接続端部31aを外周ハブ34の上面側から連結溝34aに嵌合(挿入)すればよい。すると、図9(b)に示すように、連結溝34aと接続端部31aの各々に形成した凹凸が互いに係合するので、上フレーム材31がその軸線方向に引き抜かれることはない。外周ハブ34に下フレーム材32あるいはブレースフレーム材33を接続する場合も同様である。
なお、連結溝34aには、下フレーム材32とブレースフレーム材33との間に連結溝34aと同一の断面形状を有する図示しない溝埋部材を嵌合(挿入)して、各フレームが上下方向に移動するのを防止する。
【0032】
また、本実施形態では、図6に示すように、外周ハブ34の上下面に固定リング34cが取り付けられ、各フレーム材の上下方向への抜出しを防止している。
【0033】
また、図10に示すように、前後方向に隣り合う外周ハブ34,34は、外周フレーム材36で連結されている。すなわち、外周フレーム材36により、前後方向に隣り合う支持部材30,30が連結されている。そして、廻り部3の複数の支持部材30が一体となり、一の支持部材30に作用する鉛直荷重がその前後に位置する支持部材30に分散して作用するので、支持部材30の軽構造化を図ることができる。また、支持部材30を中心支柱1周りに回動させようとする水平荷重も前後の支持部材30に分散されるので、支持部材30の周方向の回動が抑制される。
【0034】
(踏板)
踏板35は、木製や金属製の板材からなり、平面視略扇形に形成されている(図2参照)。
踏板35の外周角部は、図12に示すように、外周ハブ34と干渉しないように外周ハブ34の外周形状に沿って切り欠かれている。また、踏板35の外周部に手摺支柱51を取り付けるための挿通孔35aが穿設されている。
また、本実施形態では、図11(a)に示すように、踏板35は、その裏面が断面円形の上フレーム材31および下フレーム材32の外周形状に合わせて切り欠かれ、両フレーム材の上面に直接載置されている。このような支持形式によれば、各フレーム材の全長に渡って踏板35が載置されるので、踏板35の撓みを抑制することができる。
【0035】
また、11段目の踏板35は、前後方向に隣り合う二つの支持部材30,30に支持される。すなわち、図11(b)に示すように、11段目の踏板35は、その手前側に位置する支持部材30の上フレーム材31と奥側に位置する支持部材30の下フレーム材32に直接載置される。
【0036】
また、踏板35によって前後方向に隣り合う支持部材30,30が互いに連結され、廻り部3の複数の支持部材30が一体となるので、結果として廻り部3全体の剛性が向上する。
【0037】
(支持部材の組立手順)
ここで、支持部材30の組立手順を、図12を参照して詳細に説明する。
【0038】
まず、下フレーム32およびブレースフレーム材33のそれぞれの接続端部を中心ハブ12の連結溝へ挿入する。このとき、両フレーム材の外周側の接続端部を外周ハブ34の連結溝に挿入しておくとよい。
【0039】
続いて、固定プレート14、中心スペーサ13、固定プレート14、中心ハブ12を芯柱11へ外挿するとともに、上フレーム31の一方の接続端部を中心ハブ12の連結溝に、他方の接続端部を外周ハブ34の連結溝にそれぞれ挿入すると、支持部材30が組み立てられる。
【0040】
このように、支持部材30の組立に際しては、溶接や特別な工具を必要としないので、施工性がよく、また、アルミニウム合金製の部材で構成されているため、非常に軽量で、施工時の取り扱いが容易である。
【0041】
4:直線部
次に、直線部4の構成について、図13および図14を参照して詳細に説明する。ここで、図13は直線部の斜視図、図14は図13の拡大斜視図である。
【0042】
直線部4は、図13に示すように、互いに連結された左右一対の側桁40A,40Bと、この側桁40A,40Bに支持される複数の踏板45とから構成され、左右一対の側桁40A,40Bのうち内側(中心支柱1側)に位置する側桁40Aが中心支柱1に支持固定され、外側に位置する側桁40Bが外側支柱2に支持固定されている。また、側桁40A,40Bの下端がサポートシューSを介して土間コンクリートGに支持固定される(図4参照)。
【0043】
(側桁)
側桁40A,40Bは、図13に示すように、それぞれ階段勾配で傾斜する複数の側桁フレーム材41と、これらを互いに連結する側桁ハブ42とから構成される。
【0044】
なお、本実施形態では、前後方向に隣り合う側桁ハブ42,42間には、上下二本の側桁フレーム材41,41が配置されているが、直線部の規模などに応じて、さらに多くの側桁フレーム41を上下方向に配置してもよいし、上下の側桁フレーム材41,41に対して斜交するフレーム材を配置して平面トラスを構成してもよい。
また、左右方向に隣り合う側桁ハブ42,42間には、上連結フレーム43と下連結フレーム44とが配置されている。すなわち、側桁40A,40Bは、上連結フレーム材43と下連結フレーム材44とで互いに連結されている。
また、上連結フレーム材43は、その奥側に位置する側桁ハブ42,42間に配置された下連結フレーム材44と同一の高さに位置するように取り付けられる。
【0045】
側桁フレーム材41は、断面円形のアルミニウム合金製の中空押出形材を加工したものであり、その両端に偏平状の接続端部41aを有している(図14参照)。また、接続端部41aの先端には、側桁フレーム材41の軸線に対して傾斜する方向に凹凸が形成されている。したがって、側桁フレーム材41は、その軸線方向が側桁ハブ42の軸線方向に対して傾斜した状態で側桁ハブ42に接続される。
接続端部41aは、中空押出形材の両端をプレス加工などにより押し潰すことにより形成される。なお、接続端部41aは、側桁ハブ42の軸線方向(上下方向)に長い偏平状に形成されていることから、側桁ハブ42の軸線方向(上下方向)の外力に対しては、強度的に強いジョイント構造が形成されている。
【0046】
側桁ハブ42は、アルミニウム合金製の押出形材からなり、図14に示すように、側桁ハブ42の外面には、側桁ハブ42の軸線方向(上下方向)に沿って複数の連結溝42aが形成されている。また、側桁ハブ42の中心には、軸線方向(上下方向)に沿って手摺支柱51を取り付けるための挿通孔42bが形成されている。
連結溝42aの構成は、前記した外周ハブ34の連結溝34aと同様であるので詳細な説明は省略するが、本実施形態では、3つの連結溝42aが90度間隔で形成されている。
【0047】
側桁ハブ42に側桁フレーム材41を接続する場合には、図14に示すように、側桁フレーム材41の接続端部41aを側桁ハブ42の上面側(あるいは下面側)から連結溝42aに嵌合(挿入)すればよい。すると、連結溝42aと接続端部41aの各々に形成した凹凸が互いに係合するので、側桁フレーム材41がその軸線方向に引き抜かれることはない。
【0048】
また、側桁ハブ42の上下面には、図14に示すように、固定リング42cが取り付けられ、各フレーム材の上下方向への抜出しを防止している。
【0049】
上連結フレーム材43および下連結フレーム材44は、図8(a)(b)に示す上フレーム材31と同様の構成であるので、詳細な説明は省略する。
なお、図示は省略するが、踏板か、あるいは踏板を支持する踏板支持材を利用して左右一対の側桁を連結してもよい。
【0050】
(側桁の組立手順)
側桁40A(40B)を組み立てる場合には、図14に示すように、複数の側桁フレーム材41を側桁ハブ42で順次連結していけばよい。また、側桁ハブ42の一つの連結溝42aに上下二本の側桁フレーム材41,41が接続されるので、これら二本の側桁フレーム材41,41の離隔を確保するために、連結溝42aと同一の断面形状を有する溝埋部材42d,42eを連結溝42aに挿入しておく。
【0051】
このように、側桁40A,40Bの組立に際しては、溶接や特別な工具を必要としないので、施工性がよく、また、アルミニウム合金製の部材で構成されているため、非常に軽量で、施工時の取り扱いが容易である。
【0052】
(踏板)
踏板45は、木製や金属製の板材からなり、長方形に形成されている(図2参照)。
また、本実施形態では、踏板45は、その裏面が断面円形の上連結フレーム材43および下連結フレーム材44の外周形状に合わせて切り欠かれ、両フレーム材の上面に直接載置されている(図13参照)。このような支持形式によれば、各フレーム材の全長に渡って踏板45が載置されるので、踏板45の撓みを抑制することができる。
【0053】
また、本実施形態では、踏板45が上下の側桁フレーム材41,41のラチス材として機能し、結果としてトラス構造になっている。すなわち、図4に示すように、直線部4を側面視すると、上下の側桁フレーム材41,41と踏板45とによってトラスが形成されている。
【0054】
5:手摺
最後に手摺5の構成について、図15および図16を参照して詳細に説明する。ここで、図15は手摺の分解斜視図、図16は同じく側断面図である。
【0055】
手摺5は、それぞれ木製や金属製などの棒材からなるが、断面の形状・寸法、長さなどは、階段の構成に合わせて適宜設定することができる。本実施形態では、図15に示すように、断面略半円形の中空部材で構成され、手摺取付ブラケット52を介して手摺支柱51に固定される。なお、本実施形態では、図16に示すように、ボルトb3の頭部が干渉しないように、手摺5の下面に切欠き50aが設けられている。
【0056】
手摺支柱51は、断面円形のアルミニウム合金製の中空押出形材からなり、図16に示すように、上下の端面に雌ネジ51a,51bが穿設されている。
【0057】
手摺取付ブラケット52は、図15に示すように、アルミニウム合金製の板材を折り曲げて形成され、その両端に階段勾配で傾斜する取付面52b,52bを有し、中央にボルト挿通孔52aを有している。
【0058】
6:階段の構築手順
以上のように構成された階段の構築手順の一例を、添付の図面を適宜参照して説明する。
【0059】
まず、中心支柱1の芯柱11、外側支柱2およびサポートシューSを土間コンクリートG上の所定の位置に立設固定する(図3、図4参照)。続いて、芯柱11の上方から下側中心スペーサ13Aと中心ハブ12とを外挿するとともに、外側支柱2の上面に側桁ハブ42を取り付ける。
【0060】
次に、ユニット化した側桁40AをサポートシューSと中心支柱1との間に架設する。より詳細には、側桁40Aの下端に位置する側桁ハブ42をサポートシューSの上面に固定するとともに、上端に位置する側桁フレーム材41を直接中心支柱1の中心ハブ12に接続して側桁40Aを固定する(図4、図13参照)。
同様に、ユニット化した側桁40BをサポートシューSと外側支柱2との間に架設する。より詳細には、側桁40Bの下端に位置する側桁ハブ42をサポートシューSの上面に固定するとともに、上端に位置する側桁フレーム材41を外側支柱2の上面に取り付けられた側桁ハブ42に接続して側桁40Bを固定する(図4、図13参照)。
【0061】
続いて、左右に隣り合う側桁ハブ42,42間を上連結フレーム材43と下連結フレーム材44とで連結して側桁40A,40Bを一体にする(図13,図14参照)。
そして、踏板45を上連結フレーム材43の上面と当該上連結フレーム材43の奥側に位置する下連結フレーム材44の上面とに直接載置する(図13参照)。すなわち、上連結フレーム材43に踏板45の手前側が支持され、当該上連結フレーム材43の奥側に位置する下連結フレーム材44に踏板45の奥側が支持される。
【0062】
次に、廻り部3の支持部材30を前記の要領で中心支柱1に取り付け、さらに、前後に隣り合う外周ハブ34,34間を外周フレーム材36で連結する(図12参照)。
【0063】
そして、前後方向に隣り合う支持部材30,30に踏板35を取り付ける。より詳細には、踏板35を支持部材30の上フレーム材31の上面と当該支持部材30の奥側に位置する支持部材30の下フレーム材32の上面とに直接載置する(図11参照)。すなわち、上フレーム材31に踏板35の手前側が支持され、当該上フレーム材31の奥側に位置する下フレーム材32に踏板35の奥側が支持される。
【0064】
最後に、図15に示すように、外周ハブ34および側桁ハブ42の上面に手摺支柱51を取り付けるとともに、その上端にボルトb3で手摺取付ブラケット52を取り付け、この手摺取付ブラケット52の取付面52bを手摺5の下面に当接させた後ボルトb4でこれらを固定する。
【0065】
7:作用・効果
以上、本実施形態に係る階段によれば、直線部4の踏板45を支持する一対の側桁40A,40Bが互いに連結されて一体になっており、しかも、一方の側桁40Aが中心支柱1で支持されるとともに、他方の側桁40Bが外側支柱2で支持されているので、直線部4が長くてもその安定性が確保される。すなわち、階段の外周部分を階段室の壁面で支持させなくても、階段の安定性を確保することが可能であり、結果として階段室が不要になるので、間取りの自由度が格段に向上する。
【0066】
また、廻り部3の支持部材30がトラス構造体なので、その強度が高いうえに、外観が軽快かつすっきりとしており、必要以上に視界を妨げることもない。したがって、階段を屋内に設置しても圧迫感のない明るい居室内空間を創出することができる。また、直線部4は、側桁40A,40Bと踏板45とによりトラスが形成されるので、その強度が高いうえに、外観が軽快かつすっきりとする。
【0067】
さらに、廻り部3の支持部材30および直線部4の側桁40A,40Bを構成する各フレーム材は、その両端に形成された接続端部を各ハブの連結溝に嵌合するだけで連結することができ、溶接や特別な工具を必要としないので、施工性がよい。
【0068】
また、中心支柱1、外側支柱2、廻り部3の支持部材30、直線部4の側桁40A,40Bをアルミニウム合金製の押出形材で形成することで、強度の割に軽量で、腐食しにくいというアルミニウム合金のメリットを活かし、より軽構造の階段を構築することでき、さらに、軽構造であるが故に施工時の取り扱いが容易になる。
【0069】
また、廻り部3の蹴上げ高さや各段の設置高さを調節する場合には、芯柱11に外挿する中心スペーサ13と外周ハブ34の高さ寸法を変更するだけでよく、直線部4の蹴上げ高さや各段の設置高さを調節する場合には、側桁ハブ42の高さ寸法を変更するだけでよい。いずれにしても、建物ごとに異なる階段の設置条件(段数や蹴上げ高さなど)に容易に対応することができ、施工現場での微調整も容易である。
【0070】
8:変形例1
前記の実施形態では、中心支柱1において、芯柱11の外周形状および中心ハブ12の内周形状をそれぞれ正多角形としたが(図5参照)、これに限定されることはなく、例えば、図17に示す中心支柱6のように、芯柱61の外周に複数の係合片61aを形成するとともに、中心ハブ62の内周に芯柱61の係合片61aに係合する係合片62bを形成したものでもよい。
このような構成の中心支柱6によると、芯柱61に中心ハブ62を外挿したときに、芯柱61の係合片61aと中心ハブ62の係合片62bとが係合するので、中心ハブ62が周方向に回動することがない。すなわち、中心ハブ62を芯柱61に外挿するだけで、中心ハブ62の位置決めが成され、連結溝62aの方向が正確に定まる。
【0071】
9:変形例2
前記の実施形態では、直線部4の側桁40A,40Bは、上下の側桁フレーム材41,41を側桁ハブ42で連結して構成され、踏板45を当該側桁フレーム材41,41に対して斜め(下階床F1に対しては水平)に配置することによって結果としてトラスを形成していたが(図4参照)、図18に示す直線部7の側桁70B(70A)ように、上下の側桁フレーム材71,71と、この側桁フレーム材71,71に対して斜交する側桁フレーム材72とを側桁ハブ73で順次連結してトラスを構成してもよい。また、踏板75は、ブラケットを介して側桁ハブ73に取り付けられている。
なお、図示の側桁フレーム材71,72および側桁ハブ73は、前記の実施形態の側桁フレーム材41および側桁ハブ42と同様の構成である。
【0072】
10:変形例3
前記の実施形態では、廻り部3は、三段の踏板35で構成され、中心支柱1の周囲を平面視して90度回転するものであったが(図2参照)、廻り部の段数その他の構成は、これに限定されることはなく、例えば、図19(a)に示す階段の廻り部7のように、中心支柱1の周囲を平面視して180度回転するものなど、居室の間取りなどに合わせて適宜変更して差し支えない。
さらに、図19(b)に示す階段のように、いわゆる螺旋階段であってもよい。すなわち、図7に示す支持部材30を中心支柱1の周囲に、平面視して所定の角度だけずらして、かつ、前後方向に隣り合う支持部材30,30を蹴上げ高さだけずらして取り付け、これら支持部材30,30に踏板35を載置すればよい。なお、この場合は、外側支柱2は不要であり、中心支柱1のみで踏板35(支持部材30)が支持される。
【0073】
11:変形例4
前記の実施形態では、外側支柱2が土間コンクリートG上に立設され、側桁40Bは下から支持されていたが、側桁40Bの支持形式はこれに限定されることはなく、図示は省略するが、外側支柱は、上から吊り下げられたものであってもよい。すなわち、上階の梁材などから垂下させたロッド材などで側桁40Bの上端を支持してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】本発明に係る階段の斜視図である。
【図2】同じく平面図である。
【図3】同じく正面図である。
【図4】同じく側面図である。
【図5】(a)は芯柱の断面図、(b)は中心ハブの断面図、(c)は(b)の拡大図、(d)は中心スペーサの断面図、(e)は固定プレートの断面図である。
【図6】廻り部の斜視図である。
【図7】支持部材の正面図である。
【図8】(a)は上(下)フレーム材の斜視図、(b)は(a)の側面図、(c)はブレースフレーム材の側面図である。
【図9】(a)は各フレーム材と外周ハブとの接続方法を説明する斜視図、(b)は各フレーム材と外周ハブとの接続状況を説明する平面図である。
【図10】階段の拡大側面図である。
【図11】(a)は踏板の側断面図、(b)は廻り部を図2に示すX−X線で切断したときのフレーム材の断面図である。
【図12】図6の分解斜視図である。
【図13】直線部の斜視図である。
【図14】図13の拡大斜視図である。
【図15】手摺の分解斜視図である。
【図16】同じく側断面図である。
【図17】中心支柱の他の形態を示す断面図である。
【図18】側桁の他の形態を示す側面図である。
【図19】(a)(b)は本発明に係る階段の他の構成例を示す平面図である。
【符号の説明】
【0075】
1 … 中心支柱
11 … 芯柱
12 … 中心ハブ(中心節点部材)
12a … 連結溝
13 … 中心スペーサ
13A … 下側中心スペーサ
13B … 上側中心スペーサ
2 … 外側支柱
3 … 廻り部
30 … 支持部材
31 … 上フレーム材
32 … 下フレーム材
33 … ブレースフレーム材
34 … 外周ハブ(外周節点部材)
35 … 踏板
36 … 外周フレーム材
4 … 直線部
40A,40B … 側桁
41 … 側桁フレーム材
41a … 接続端部
42 … 側桁ハブ(側桁節点部材)
42a … 連結溝
43 … 上連結フレーム材
44 … 下連結フレーム材
45 … 踏板
5 … 手摺
51 … 手摺支柱
52 … 手摺取付ブラケット
52a … ボルト挿通孔
52b … 取付面
b1〜b4 … ボルト
F1 … 下階床
F2 … 上階床
G … 土間コンクリート
【技術分野】
【0001】
本発明は、階段に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建物内に階段を構築する場合には、間取りとの兼ね合いから、折曲り階段、折返し階段、廻り階段といった平面L字形状やU字形状の階段が構築されることが多い。また、このような階段は、居室とは別に設けられた階段室内に構築されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところが、階段室は、周囲が壁面で囲われているため、日中でも暗く、狭苦しい。また、居室とは別に階段室を設けなければならないので、結果として間取りの自由度が制限されてしまう。
【0004】
さらに、階段室の壁面で踏板を支持する場合には、その位置決めが非常に難しく、これらを正確に取り付けるには、手間と時間とを要する。
【0005】
また、工場で生産された階段を施工現場に取り付ける場合もあるが、建物ごとに階段の設置条件(段数や蹴上げ高さなど)が異なるので、大量生産には不向きである。
【0006】
そこで、本発明は、軽構造かつ軽快で、生産・施工効率のよい階段を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このような課題を解決する本発明は、鉛直に立設される中心支柱と、前記中心支柱の周りに配置される複数の踏板とを備える階段において、前記踏板は、前記中心支柱から張り出す支持部材に支持されており、前記支持部材は、前記中心支柱から張り出すフレーム材と、当該フレーム材の先端に接続される外周節点部材とを具備しており、前記外周節点部材に、上下方向に沿って挿通孔が形成されており、当該挿通孔を利用して手摺を支持する手摺支柱が取り付けられていることを特徴とする。
【0008】
本発明によると、支持部材がフレーム材で構成されているので、軽快かつすっきりとした外観になる。また、外周節点部材の挿通孔を利用して手摺支柱を取り付けているので、その取り付けが容易になり、さらには、すっきりとした外観になる。
【0009】
なお、前記手摺支柱の下端面に雌ネジを形成し、前記挿通孔と前記雌ネジとに挿通したボルトを介して前記手摺支柱を前記外周節点部材に固定してもよい。
【0010】
本発明においては、前記フレーム材の先端に接続端部を形成するとともに、前記外周節点部材の外面に、前記接続端部が嵌合可能な連結溝を形成してもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によると、軽構造かつ軽快で、生産・施工効率のよい階段を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、添付図面を参照しつつ、本発明の実施の形態を詳細に説明する。なお、説明において、同一要素には同一の符号を用い、重複する説明は省略するものとする。
【0013】
1:全体構成
まず、本発明の実施形態に係る階段の全体構成を、図1および図2を参照して説明する。ここで、図1は本発明に係る階段の斜視図、図2は同じく平面図である。
本発明の実施形態に係る階段は、図1に示すように、鉛直に立設された一本の中心支柱1と、鉛直に立設された外側支柱2と、中心支柱1に支持される廻り部3と、中心支柱1および外側支柱2に支持される直線部4と、廻り部3の外周および直線部4の両側に配置された手摺5とを主要部として構成されている。
また、廻り部3は、中心支柱1の周りに配置される三段の踏板35を有し、直線部4は、互いに連結された左右一対の側桁40A,40Bに支持される九段の踏板45を有している。すなわち、本実施形態では、図2に示すように、下階床F1側から数えて、1段目〜9段目が直線部4に相当し、10段目〜12段目が廻り部3に相当する。
【0014】
なお、以下の説明において「手前側」、「奥側」とは、それぞれ階段の上り方向を向いたときの手前側(前側)、奥側(後側)を指すものとする。また、「節点部材」を「ハブ」と称する。
【0015】
2:中心支柱、外側支柱
次に、中心支柱1および外側支柱2の構成について、図3乃至図6を参照して詳細に説明する。ここで、図3は本発明に係る階段の正面図、図4は同じく側面図、図5(a)は芯柱の断面図、図5(b)は中心ハブの断面図、図5(c)は図5(b)の拡大図、図5(d)は中心スペーサの断面図、図5(e)は固定プレートの断面図、図6は廻り部の斜視図である。
【0016】
中心支柱1は、図3および図4に示すように、下側中心スペーサ13A、中心ハブ12、中心スペーサ13および上側中心スペーサ13Bを有し、これらを芯柱11(図6参照)に外挿して構成される。
また、中心支柱1のうち、廻り部3が取り付けられる部分では、図6に示すように、中心ハブ12と中心スペーサ13とが交互に芯柱11へ外挿されている。なお、本実施形態では、中心ハブ12の上下面に固定プレート14が介設されている。
【0017】
芯柱11は、図5(a)に示すように、その外周の形状が断面正多角形状(図では正12角形)に形成され、アルミニウム合金製の中空押出形材からなる。
【0018】
中心ハブ12は、図5(b)に示すように、リング状で、その内周が芯柱11の外周の形状に対応する断面正多角形状(図では正12角形)に形成されている。すなわち、中心ハブ12の内周形状は、芯柱11の外周形状と同一である。中心ハブ12の外面には、上下方向に沿って複数(図5(b)では2つ)の連結溝12aが形成されている。
連結溝12aは、後記する上フレーム材31の接続端部31a、下フレーム材32の接続端部32aおよびブレースフレーム材33の接続端部33aが嵌合可能な形状に形成され、図5(c)に示すように、その内壁面には、各接続端部の凹凸と係合する凹凸が形成されている。また、図5(b)に示すように、中心ハブ12を平面視すると、二つの連結溝12aは、それぞれ中心ハブ12の中心を向いて形成されており、本実施形態ではその中心角は30度である。
また、中心ハブ12は、アルミニウム合金製の押出形材からなり、連結溝12aは、アルミニウム合金を押出成形する際に形成される。
なお、中心ハブ12の高さ寸法や連結溝12aの個数などは、接続されるフレーム材の本数などに応じて適宜設定するものとする。
【0019】
また、芯柱11の外周と中心ハブ12の内周とがそれぞれ正多角形の断面を有しているので、中心ハブ12が周方向に回動することはない。すなわち、中心ハブ12を芯柱11に外挿するだけで、中心ハブ12の位置決めがなされ、連結溝12aの方向が正確に定まる。なお、本実施形態では、芯柱11の外周および中心ハブ12の内周が正12角形なので、中心ハブ12の連結溝12aの方向を30度刻みで調節することができる。
【0020】
中心スペーサ13は、図5(d)に示すように、リング状で、その内面に突起部13aが120度ピッチで形成されている。
突起部13aは、芯柱11の外面の角部分に沿って当接する当接面を有している。そして、突起部13aの当接面が芯柱11の外面に当接することで、中心スペーサ13の周方向への回動が防止される。
また、中心スペーサ13は、アルミニウム合金製の押出形材からなり、突起部13aは、アルミニウム合金を押出成形する際に形成される。
なお、本実施形態では、中心スペーサ13の断面形状を、軽量化を図るべく突起部13aのみが芯柱11の外面に当接するような形状としたが、これに限定されることはなく、例えば、リング部分が密実なものであってもよい。
【0021】
固定プレート14は、図5(e)に示すように、その内周形状が芯柱11の外周形状と同一に形成されたリング状の板材であり、中心ハブ12に接続されたフレーム材が上下方向に移動するのを防止するためのものである。なお、中心スペーサ13のリング部分が密実なものである場合には、中心スペーサ13によりフレーム材の上下方向の移動が防止されるので、固定プレート14を省略することができる。
【0022】
外側支柱2は、アルミニウム合金製の押出形材からなり、図示は省略するが、軽量化を図るべく、その断面形状は円環形状である。また、図6に示すように、外側支柱2の上端には、円板形状の蓋部材21が取り付けられ、その上面に後記する直線部4の側桁40Bの上端に位置する側桁ハブ42が取り付けられる。
【0023】
3:廻り部
次に、廻り部3の構成について、図6乃至図12を参照して詳細に説明する。ここで、図7は支持部材の正面図、図8(a)は上(下)フレーム材の斜視図、図8(b)は図8(a)の側面図、図8(c)はブレースフレーム材の側面図、図9(a)は各フレーム材と外周ハブとの接続方法を説明する斜視図、図9(b)は各フレーム材と外周ハブとの接続状況を説明する平面図、図11(a)は踏板の側断面図、図11(b)は廻り部を図2に示すX−X線で切断したときのフレーム材の断面図、図12は廻り部の分解斜視図である。
【0024】
廻り部3は、図6に示すように、本実施形態では、中心支柱1の周りに配置される三段の踏板35を有する。また、この踏板35は、図7に示す支持部材30により支持されている。
【0025】
(支持部材)
支持部材30は、図7に示すように、中心支柱1(中心ハブ12)から水平放射状に張り出す上フレーム材31および下フレーム材32と、中心支柱1(中心ハブ12)から上向き放射状に張り出すブレースフレーム材33と、上フレーム材31、下フレーム材32およびブレースフレーム材33の先端(外周)に接続される外周ハブ34とから構成され、支持部材30を正面から見ると、平面トラスが形成されている。
【0026】
また、前後方向に隣り合う支持部材30,30は、図11(b)に示すように、手前側に位置する支持部材30の上フレーム材31と奥側に位置する支持部材30の下フレーム材32とが同一の高さに位置するように取り付けられる。
【0027】
上フレーム材31は、断面円形のアルミニウム合金製の中空押出形材を加工したものであり、図8(a)(b)に示すように、その両端に偏平状の接続端部31aを有している。また、接続端部31aの先端には、上フレーム材31の軸線に直交する方向に凹凸が形成されている。
接続端部31aは、中空押出形材の両端をプレス加工などにより押し潰すことにより形成される。なお、接続端部31aは、外周ハブ34の軸線方向(上下方向)に長い偏平状に形成されていることから(図参照)外周ハブ34の軸線方向(上下方向)の外力に対しては、強度的に強いジョイント構造が形成されている。
【0028】
下フレーム材32は、断面円形のアルミニウム合金製の中空押出形材を加工したものであり、その両端に偏平状の接続端部32aを有している(図8(a)(b)参照)。その他の構成は、上フレーム材31と同様であるので詳細な説明は省略する。
【0029】
ブレースフレーム材33は、断面円形のアルミニウム合金製の中空押出形材を加工したものであり、その両端に偏平状の接続端部33aを有しているが、図8(c)に示すように、その方向はブレースフレーム材33の軸線に対して角度α(以下、コイン角αとする)をなす方向である。したがって、ブレースフレーム材33は、その軸線方向が外周ハブ34の軸線方向に対してコイン角αだけ傾斜した状態で外周ハブ34に接続される。その他の構成は、上フレーム材31と同様であるので詳細な説明は省略する。
【0030】
外周ハブ34は、図9(a)に示すように、円柱形状に形成され、その外面には外周ハブ34の軸線方向(上下方向)に沿って複数の連結溝34aが形成されている。また、外周ハブ34の中心には、その軸線方向(上下方向)に沿って後記する手摺支柱51を取り付けるための挿通孔34bが形成されている。
連結溝34aは、図9(b)に示すように、上フレーム材31、下フレーム材32およびブレースフレーム材33の各接続端部が嵌合可能な断面形状に形成され、その内壁面には、接続端部の凹凸と係合する凹凸が形成されている。本実施形態では、3つの連結溝34aが75度間隔で形成されている。
外周ハブ34は、アルミニウム合金製の押出形材からなり、連結溝34aおよび挿通孔34bは、アルミニウム合金を押出成形する際に形成される。
【0031】
外周ハブ34に上フレーム材31を接続する場合には、図9(a)に示すように、上フレーム材31の接続端部31aを外周ハブ34の上面側から連結溝34aに嵌合(挿入)すればよい。すると、図9(b)に示すように、連結溝34aと接続端部31aの各々に形成した凹凸が互いに係合するので、上フレーム材31がその軸線方向に引き抜かれることはない。外周ハブ34に下フレーム材32あるいはブレースフレーム材33を接続する場合も同様である。
なお、連結溝34aには、下フレーム材32とブレースフレーム材33との間に連結溝34aと同一の断面形状を有する図示しない溝埋部材を嵌合(挿入)して、各フレームが上下方向に移動するのを防止する。
【0032】
また、本実施形態では、図6に示すように、外周ハブ34の上下面に固定リング34cが取り付けられ、各フレーム材の上下方向への抜出しを防止している。
【0033】
また、図10に示すように、前後方向に隣り合う外周ハブ34,34は、外周フレーム材36で連結されている。すなわち、外周フレーム材36により、前後方向に隣り合う支持部材30,30が連結されている。そして、廻り部3の複数の支持部材30が一体となり、一の支持部材30に作用する鉛直荷重がその前後に位置する支持部材30に分散して作用するので、支持部材30の軽構造化を図ることができる。また、支持部材30を中心支柱1周りに回動させようとする水平荷重も前後の支持部材30に分散されるので、支持部材30の周方向の回動が抑制される。
【0034】
(踏板)
踏板35は、木製や金属製の板材からなり、平面視略扇形に形成されている(図2参照)。
踏板35の外周角部は、図12に示すように、外周ハブ34と干渉しないように外周ハブ34の外周形状に沿って切り欠かれている。また、踏板35の外周部に手摺支柱51を取り付けるための挿通孔35aが穿設されている。
また、本実施形態では、図11(a)に示すように、踏板35は、その裏面が断面円形の上フレーム材31および下フレーム材32の外周形状に合わせて切り欠かれ、両フレーム材の上面に直接載置されている。このような支持形式によれば、各フレーム材の全長に渡って踏板35が載置されるので、踏板35の撓みを抑制することができる。
【0035】
また、11段目の踏板35は、前後方向に隣り合う二つの支持部材30,30に支持される。すなわち、図11(b)に示すように、11段目の踏板35は、その手前側に位置する支持部材30の上フレーム材31と奥側に位置する支持部材30の下フレーム材32に直接載置される。
【0036】
また、踏板35によって前後方向に隣り合う支持部材30,30が互いに連結され、廻り部3の複数の支持部材30が一体となるので、結果として廻り部3全体の剛性が向上する。
【0037】
(支持部材の組立手順)
ここで、支持部材30の組立手順を、図12を参照して詳細に説明する。
【0038】
まず、下フレーム32およびブレースフレーム材33のそれぞれの接続端部を中心ハブ12の連結溝へ挿入する。このとき、両フレーム材の外周側の接続端部を外周ハブ34の連結溝に挿入しておくとよい。
【0039】
続いて、固定プレート14、中心スペーサ13、固定プレート14、中心ハブ12を芯柱11へ外挿するとともに、上フレーム31の一方の接続端部を中心ハブ12の連結溝に、他方の接続端部を外周ハブ34の連結溝にそれぞれ挿入すると、支持部材30が組み立てられる。
【0040】
このように、支持部材30の組立に際しては、溶接や特別な工具を必要としないので、施工性がよく、また、アルミニウム合金製の部材で構成されているため、非常に軽量で、施工時の取り扱いが容易である。
【0041】
4:直線部
次に、直線部4の構成について、図13および図14を参照して詳細に説明する。ここで、図13は直線部の斜視図、図14は図13の拡大斜視図である。
【0042】
直線部4は、図13に示すように、互いに連結された左右一対の側桁40A,40Bと、この側桁40A,40Bに支持される複数の踏板45とから構成され、左右一対の側桁40A,40Bのうち内側(中心支柱1側)に位置する側桁40Aが中心支柱1に支持固定され、外側に位置する側桁40Bが外側支柱2に支持固定されている。また、側桁40A,40Bの下端がサポートシューSを介して土間コンクリートGに支持固定される(図4参照)。
【0043】
(側桁)
側桁40A,40Bは、図13に示すように、それぞれ階段勾配で傾斜する複数の側桁フレーム材41と、これらを互いに連結する側桁ハブ42とから構成される。
【0044】
なお、本実施形態では、前後方向に隣り合う側桁ハブ42,42間には、上下二本の側桁フレーム材41,41が配置されているが、直線部の規模などに応じて、さらに多くの側桁フレーム41を上下方向に配置してもよいし、上下の側桁フレーム材41,41に対して斜交するフレーム材を配置して平面トラスを構成してもよい。
また、左右方向に隣り合う側桁ハブ42,42間には、上連結フレーム43と下連結フレーム44とが配置されている。すなわち、側桁40A,40Bは、上連結フレーム材43と下連結フレーム材44とで互いに連結されている。
また、上連結フレーム材43は、その奥側に位置する側桁ハブ42,42間に配置された下連結フレーム材44と同一の高さに位置するように取り付けられる。
【0045】
側桁フレーム材41は、断面円形のアルミニウム合金製の中空押出形材を加工したものであり、その両端に偏平状の接続端部41aを有している(図14参照)。また、接続端部41aの先端には、側桁フレーム材41の軸線に対して傾斜する方向に凹凸が形成されている。したがって、側桁フレーム材41は、その軸線方向が側桁ハブ42の軸線方向に対して傾斜した状態で側桁ハブ42に接続される。
接続端部41aは、中空押出形材の両端をプレス加工などにより押し潰すことにより形成される。なお、接続端部41aは、側桁ハブ42の軸線方向(上下方向)に長い偏平状に形成されていることから、側桁ハブ42の軸線方向(上下方向)の外力に対しては、強度的に強いジョイント構造が形成されている。
【0046】
側桁ハブ42は、アルミニウム合金製の押出形材からなり、図14に示すように、側桁ハブ42の外面には、側桁ハブ42の軸線方向(上下方向)に沿って複数の連結溝42aが形成されている。また、側桁ハブ42の中心には、軸線方向(上下方向)に沿って手摺支柱51を取り付けるための挿通孔42bが形成されている。
連結溝42aの構成は、前記した外周ハブ34の連結溝34aと同様であるので詳細な説明は省略するが、本実施形態では、3つの連結溝42aが90度間隔で形成されている。
【0047】
側桁ハブ42に側桁フレーム材41を接続する場合には、図14に示すように、側桁フレーム材41の接続端部41aを側桁ハブ42の上面側(あるいは下面側)から連結溝42aに嵌合(挿入)すればよい。すると、連結溝42aと接続端部41aの各々に形成した凹凸が互いに係合するので、側桁フレーム材41がその軸線方向に引き抜かれることはない。
【0048】
また、側桁ハブ42の上下面には、図14に示すように、固定リング42cが取り付けられ、各フレーム材の上下方向への抜出しを防止している。
【0049】
上連結フレーム材43および下連結フレーム材44は、図8(a)(b)に示す上フレーム材31と同様の構成であるので、詳細な説明は省略する。
なお、図示は省略するが、踏板か、あるいは踏板を支持する踏板支持材を利用して左右一対の側桁を連結してもよい。
【0050】
(側桁の組立手順)
側桁40A(40B)を組み立てる場合には、図14に示すように、複数の側桁フレーム材41を側桁ハブ42で順次連結していけばよい。また、側桁ハブ42の一つの連結溝42aに上下二本の側桁フレーム材41,41が接続されるので、これら二本の側桁フレーム材41,41の離隔を確保するために、連結溝42aと同一の断面形状を有する溝埋部材42d,42eを連結溝42aに挿入しておく。
【0051】
このように、側桁40A,40Bの組立に際しては、溶接や特別な工具を必要としないので、施工性がよく、また、アルミニウム合金製の部材で構成されているため、非常に軽量で、施工時の取り扱いが容易である。
【0052】
(踏板)
踏板45は、木製や金属製の板材からなり、長方形に形成されている(図2参照)。
また、本実施形態では、踏板45は、その裏面が断面円形の上連結フレーム材43および下連結フレーム材44の外周形状に合わせて切り欠かれ、両フレーム材の上面に直接載置されている(図13参照)。このような支持形式によれば、各フレーム材の全長に渡って踏板45が載置されるので、踏板45の撓みを抑制することができる。
【0053】
また、本実施形態では、踏板45が上下の側桁フレーム材41,41のラチス材として機能し、結果としてトラス構造になっている。すなわち、図4に示すように、直線部4を側面視すると、上下の側桁フレーム材41,41と踏板45とによってトラスが形成されている。
【0054】
5:手摺
最後に手摺5の構成について、図15および図16を参照して詳細に説明する。ここで、図15は手摺の分解斜視図、図16は同じく側断面図である。
【0055】
手摺5は、それぞれ木製や金属製などの棒材からなるが、断面の形状・寸法、長さなどは、階段の構成に合わせて適宜設定することができる。本実施形態では、図15に示すように、断面略半円形の中空部材で構成され、手摺取付ブラケット52を介して手摺支柱51に固定される。なお、本実施形態では、図16に示すように、ボルトb3の頭部が干渉しないように、手摺5の下面に切欠き50aが設けられている。
【0056】
手摺支柱51は、断面円形のアルミニウム合金製の中空押出形材からなり、図16に示すように、上下の端面に雌ネジ51a,51bが穿設されている。
【0057】
手摺取付ブラケット52は、図15に示すように、アルミニウム合金製の板材を折り曲げて形成され、その両端に階段勾配で傾斜する取付面52b,52bを有し、中央にボルト挿通孔52aを有している。
【0058】
6:階段の構築手順
以上のように構成された階段の構築手順の一例を、添付の図面を適宜参照して説明する。
【0059】
まず、中心支柱1の芯柱11、外側支柱2およびサポートシューSを土間コンクリートG上の所定の位置に立設固定する(図3、図4参照)。続いて、芯柱11の上方から下側中心スペーサ13Aと中心ハブ12とを外挿するとともに、外側支柱2の上面に側桁ハブ42を取り付ける。
【0060】
次に、ユニット化した側桁40AをサポートシューSと中心支柱1との間に架設する。より詳細には、側桁40Aの下端に位置する側桁ハブ42をサポートシューSの上面に固定するとともに、上端に位置する側桁フレーム材41を直接中心支柱1の中心ハブ12に接続して側桁40Aを固定する(図4、図13参照)。
同様に、ユニット化した側桁40BをサポートシューSと外側支柱2との間に架設する。より詳細には、側桁40Bの下端に位置する側桁ハブ42をサポートシューSの上面に固定するとともに、上端に位置する側桁フレーム材41を外側支柱2の上面に取り付けられた側桁ハブ42に接続して側桁40Bを固定する(図4、図13参照)。
【0061】
続いて、左右に隣り合う側桁ハブ42,42間を上連結フレーム材43と下連結フレーム材44とで連結して側桁40A,40Bを一体にする(図13,図14参照)。
そして、踏板45を上連結フレーム材43の上面と当該上連結フレーム材43の奥側に位置する下連結フレーム材44の上面とに直接載置する(図13参照)。すなわち、上連結フレーム材43に踏板45の手前側が支持され、当該上連結フレーム材43の奥側に位置する下連結フレーム材44に踏板45の奥側が支持される。
【0062】
次に、廻り部3の支持部材30を前記の要領で中心支柱1に取り付け、さらに、前後に隣り合う外周ハブ34,34間を外周フレーム材36で連結する(図12参照)。
【0063】
そして、前後方向に隣り合う支持部材30,30に踏板35を取り付ける。より詳細には、踏板35を支持部材30の上フレーム材31の上面と当該支持部材30の奥側に位置する支持部材30の下フレーム材32の上面とに直接載置する(図11参照)。すなわち、上フレーム材31に踏板35の手前側が支持され、当該上フレーム材31の奥側に位置する下フレーム材32に踏板35の奥側が支持される。
【0064】
最後に、図15に示すように、外周ハブ34および側桁ハブ42の上面に手摺支柱51を取り付けるとともに、その上端にボルトb3で手摺取付ブラケット52を取り付け、この手摺取付ブラケット52の取付面52bを手摺5の下面に当接させた後ボルトb4でこれらを固定する。
【0065】
7:作用・効果
以上、本実施形態に係る階段によれば、直線部4の踏板45を支持する一対の側桁40A,40Bが互いに連結されて一体になっており、しかも、一方の側桁40Aが中心支柱1で支持されるとともに、他方の側桁40Bが外側支柱2で支持されているので、直線部4が長くてもその安定性が確保される。すなわち、階段の外周部分を階段室の壁面で支持させなくても、階段の安定性を確保することが可能であり、結果として階段室が不要になるので、間取りの自由度が格段に向上する。
【0066】
また、廻り部3の支持部材30がトラス構造体なので、その強度が高いうえに、外観が軽快かつすっきりとしており、必要以上に視界を妨げることもない。したがって、階段を屋内に設置しても圧迫感のない明るい居室内空間を創出することができる。また、直線部4は、側桁40A,40Bと踏板45とによりトラスが形成されるので、その強度が高いうえに、外観が軽快かつすっきりとする。
【0067】
さらに、廻り部3の支持部材30および直線部4の側桁40A,40Bを構成する各フレーム材は、その両端に形成された接続端部を各ハブの連結溝に嵌合するだけで連結することができ、溶接や特別な工具を必要としないので、施工性がよい。
【0068】
また、中心支柱1、外側支柱2、廻り部3の支持部材30、直線部4の側桁40A,40Bをアルミニウム合金製の押出形材で形成することで、強度の割に軽量で、腐食しにくいというアルミニウム合金のメリットを活かし、より軽構造の階段を構築することでき、さらに、軽構造であるが故に施工時の取り扱いが容易になる。
【0069】
また、廻り部3の蹴上げ高さや各段の設置高さを調節する場合には、芯柱11に外挿する中心スペーサ13と外周ハブ34の高さ寸法を変更するだけでよく、直線部4の蹴上げ高さや各段の設置高さを調節する場合には、側桁ハブ42の高さ寸法を変更するだけでよい。いずれにしても、建物ごとに異なる階段の設置条件(段数や蹴上げ高さなど)に容易に対応することができ、施工現場での微調整も容易である。
【0070】
8:変形例1
前記の実施形態では、中心支柱1において、芯柱11の外周形状および中心ハブ12の内周形状をそれぞれ正多角形としたが(図5参照)、これに限定されることはなく、例えば、図17に示す中心支柱6のように、芯柱61の外周に複数の係合片61aを形成するとともに、中心ハブ62の内周に芯柱61の係合片61aに係合する係合片62bを形成したものでもよい。
このような構成の中心支柱6によると、芯柱61に中心ハブ62を外挿したときに、芯柱61の係合片61aと中心ハブ62の係合片62bとが係合するので、中心ハブ62が周方向に回動することがない。すなわち、中心ハブ62を芯柱61に外挿するだけで、中心ハブ62の位置決めが成され、連結溝62aの方向が正確に定まる。
【0071】
9:変形例2
前記の実施形態では、直線部4の側桁40A,40Bは、上下の側桁フレーム材41,41を側桁ハブ42で連結して構成され、踏板45を当該側桁フレーム材41,41に対して斜め(下階床F1に対しては水平)に配置することによって結果としてトラスを形成していたが(図4参照)、図18に示す直線部7の側桁70B(70A)ように、上下の側桁フレーム材71,71と、この側桁フレーム材71,71に対して斜交する側桁フレーム材72とを側桁ハブ73で順次連結してトラスを構成してもよい。また、踏板75は、ブラケットを介して側桁ハブ73に取り付けられている。
なお、図示の側桁フレーム材71,72および側桁ハブ73は、前記の実施形態の側桁フレーム材41および側桁ハブ42と同様の構成である。
【0072】
10:変形例3
前記の実施形態では、廻り部3は、三段の踏板35で構成され、中心支柱1の周囲を平面視して90度回転するものであったが(図2参照)、廻り部の段数その他の構成は、これに限定されることはなく、例えば、図19(a)に示す階段の廻り部7のように、中心支柱1の周囲を平面視して180度回転するものなど、居室の間取りなどに合わせて適宜変更して差し支えない。
さらに、図19(b)に示す階段のように、いわゆる螺旋階段であってもよい。すなわち、図7に示す支持部材30を中心支柱1の周囲に、平面視して所定の角度だけずらして、かつ、前後方向に隣り合う支持部材30,30を蹴上げ高さだけずらして取り付け、これら支持部材30,30に踏板35を載置すればよい。なお、この場合は、外側支柱2は不要であり、中心支柱1のみで踏板35(支持部材30)が支持される。
【0073】
11:変形例4
前記の実施形態では、外側支柱2が土間コンクリートG上に立設され、側桁40Bは下から支持されていたが、側桁40Bの支持形式はこれに限定されることはなく、図示は省略するが、外側支柱は、上から吊り下げられたものであってもよい。すなわち、上階の梁材などから垂下させたロッド材などで側桁40Bの上端を支持してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】本発明に係る階段の斜視図である。
【図2】同じく平面図である。
【図3】同じく正面図である。
【図4】同じく側面図である。
【図5】(a)は芯柱の断面図、(b)は中心ハブの断面図、(c)は(b)の拡大図、(d)は中心スペーサの断面図、(e)は固定プレートの断面図である。
【図6】廻り部の斜視図である。
【図7】支持部材の正面図である。
【図8】(a)は上(下)フレーム材の斜視図、(b)は(a)の側面図、(c)はブレースフレーム材の側面図である。
【図9】(a)は各フレーム材と外周ハブとの接続方法を説明する斜視図、(b)は各フレーム材と外周ハブとの接続状況を説明する平面図である。
【図10】階段の拡大側面図である。
【図11】(a)は踏板の側断面図、(b)は廻り部を図2に示すX−X線で切断したときのフレーム材の断面図である。
【図12】図6の分解斜視図である。
【図13】直線部の斜視図である。
【図14】図13の拡大斜視図である。
【図15】手摺の分解斜視図である。
【図16】同じく側断面図である。
【図17】中心支柱の他の形態を示す断面図である。
【図18】側桁の他の形態を示す側面図である。
【図19】(a)(b)は本発明に係る階段の他の構成例を示す平面図である。
【符号の説明】
【0075】
1 … 中心支柱
11 … 芯柱
12 … 中心ハブ(中心節点部材)
12a … 連結溝
13 … 中心スペーサ
13A … 下側中心スペーサ
13B … 上側中心スペーサ
2 … 外側支柱
3 … 廻り部
30 … 支持部材
31 … 上フレーム材
32 … 下フレーム材
33 … ブレースフレーム材
34 … 外周ハブ(外周節点部材)
35 … 踏板
36 … 外周フレーム材
4 … 直線部
40A,40B … 側桁
41 … 側桁フレーム材
41a … 接続端部
42 … 側桁ハブ(側桁節点部材)
42a … 連結溝
43 … 上連結フレーム材
44 … 下連結フレーム材
45 … 踏板
5 … 手摺
51 … 手摺支柱
52 … 手摺取付ブラケット
52a … ボルト挿通孔
52b … 取付面
b1〜b4 … ボルト
F1 … 下階床
F2 … 上階床
G … 土間コンクリート
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉛直に立設される中心支柱と、
前記中心支柱の周りに配置される複数の踏板とを備える階段において、
前記踏板は、前記中心支柱から張り出す支持部材に支持されており、
前記支持部材は、前記中心支柱から張り出すフレーム材と、当該フレーム材の先端に接続される外周節点部材とを具備しており、
前記外周節点部材に、上下方向に沿って挿通孔が形成されており、当該挿通孔を利用して手摺を支持する手摺支柱が取り付けられていることを特徴とする階段。
【請求項2】
前記手摺支柱の下端面に雌ネジが形成されており、
前記挿通孔と前記雌ネジとに挿通したボルトを介して前記手摺支柱が前記外周節点部材に固定されていることを特徴とする請求項1に記載の階段。
【請求項3】
前記フレーム材は、その先端に接続端部を有し、
前記外周節点部材の外面には、前記接続端部が嵌合可能な連結溝が形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の階段。
【請求項1】
鉛直に立設される中心支柱と、
前記中心支柱の周りに配置される複数の踏板とを備える階段において、
前記踏板は、前記中心支柱から張り出す支持部材に支持されており、
前記支持部材は、前記中心支柱から張り出すフレーム材と、当該フレーム材の先端に接続される外周節点部材とを具備しており、
前記外周節点部材に、上下方向に沿って挿通孔が形成されており、当該挿通孔を利用して手摺を支持する手摺支柱が取り付けられていることを特徴とする階段。
【請求項2】
前記手摺支柱の下端面に雌ネジが形成されており、
前記挿通孔と前記雌ネジとに挿通したボルトを介して前記手摺支柱が前記外周節点部材に固定されていることを特徴とする請求項1に記載の階段。
【請求項3】
前記フレーム材は、その先端に接続端部を有し、
前記外周節点部材の外面には、前記接続端部が嵌合可能な連結溝が形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の階段。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2007−224722(P2007−224722A)
【公開日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−155256(P2007−155256)
【出願日】平成19年6月12日(2007.6.12)
【分割の表示】特願2002−234224(P2002−234224)の分割
【原出願日】平成14年8月9日(2002.8.9)
【出願人】(000004743)日本軽金属株式会社 (627)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年6月12日(2007.6.12)
【分割の表示】特願2002−234224(P2002−234224)の分割
【原出願日】平成14年8月9日(2002.8.9)
【出願人】(000004743)日本軽金属株式会社 (627)
【Fターム(参考)】
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