説明

隔膜式圧力計の校正装置

【課題】計測される流体の圧力変動を再現性よく反映できる、隔膜式圧力計の校正装置を提供する。
【解決手段】計測される流体が導入される導入管11、導入管11の流路を開閉する元弁1a、導入管11の末端を閉塞するように配置され、流体を受圧する隔膜2d、及び隔膜2dで受圧した圧力がキャピラリチューブ21を介して伝動される圧力計本体22を有する隔膜式圧力計において、校正装置10は、導入管11の末端部側に設けた第1フランジ11fと、隔膜2dで中央部が閉塞された第2フランジ21fで挟持され、導入管11の流路と隔膜2dを連通する校正室30を内部に有する円筒状の校正器3を備える。校正器3は、校正室30に連通し、校正用流体Gを導入可能に、校正用配管41が接続される接続ポート31pを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、隔膜式圧力計の校正装置に関する。特に、計測される流体を隔膜(ダイヤフラム)で受圧して、この流体の圧力を計測する隔膜式圧力計を校正する装置の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
原子力発電所や火力発電所などのプラントでは、液体や気体といった各種の流体を移送するために多数の配管を敷設している。又、これらのプラントでは、各種の流体や気体をタンクなどの容器に貯留している。又、これらのプラントでは、これらの流体の圧力を計測する圧力計を随所に配置している。そして、圧力計で計測されたデータに基づいて、プラントを適正に管理することにより、プラントを安全かつ確実に稼働できる。
【0003】
原子力発電所などの発電プラントでは、圧力計として隔膜式圧力計を用いている。隔膜式圧力計は、指示計を有する圧力計本体、液体が封入されたキャピラリチューブ、計測される流体を受圧する隔膜(ダイヤフラム)などで構成している。なお、圧力計本体には、計測された圧力データを送信できる通信機能付きのものも含まれる。
【0004】
例えば、流体が流通する配管から分岐した導入管に計測される流体が導入され、この導入管の閉塞された末端に、隔膜式圧力計の隔膜を配置している。そして、隔膜で受圧された圧力がキャピラリチューブで圧力計本体に伝達され、配管に流通する流体の圧力が計測される。隔膜式圧力計は、計測される流体を隔膜で密閉しているので、この流体と外気との接触を避けることができ、例えば、圧力計本体の腐食を防止できるという利点がある。
【0005】
原子力発電所などでは、隔膜式圧力計の校正を定期的に実施している。この校正作業は、例えば、以下のように実施されている。最初に、導入管の分岐側に設けた元弁(開閉弁)を閉じて、流体の流出を遮断する。
【0006】
次に、凹部の底面に隔膜を取り付けたハット(帽子)状の検出配管を導入管の末端部から取り外す。通常、導入管の末端部と検出配管とは、パッキンを介して、互いのフランジで結合しているので、これらのフランジを締結するボルト及びナットを取り外すことにより、導入管の末端部から検出配管を取り外すことができる。この場合、検出配管は、キャピラリチューブを介して、圧力計本体が接続されている。
【0007】
次に、検出配管に残留した流体を除去した後に、校正作業を実施する。この校正作業では、検出配管と同形状のハット体(帽体)で検出配管を予め密閉しておく。次に、このハット体側から隔膜にN(窒素)ガス又は空気などの気体を充填し、隔膜を加圧して校正を実施する。このハット体側から送出される気体の圧力は、標準器(基準器)となるマノメータ(例えば、水銀柱圧力計)で計測されながら可変され、マノメータの指示値と圧力計本体の指示値が対比されて、隔膜式圧力計の校正が実施される。
【0008】
ところで、上述した一連の校正作業は、導入管の末端部と検出配管の分解作業を必要とし、又、導入管の末端部と検出配管の再組立作業を必要としているので、煩雑であり時間を要すものとなっている。特に、原子力発電所では、一度、取り外されたパッキンは、再利用することなく、新品のパッキンに交換していたので、コスト的にも問題を孕むものであった。
【0009】
このような不具合を解消するため、隔膜式圧力計をプラントに取り付けた状態で、圧力計本体の校正を実施できる隔膜式圧力計の校正装置が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】実開昭61−167538号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
図3は、特許文献1による隔膜式圧力計の校正装置の構成を示す図であり、図3(A)は、隔膜式圧力計の校正装置の配管図、図3(B)は、隔膜式圧力計の校正装置に備わる校正用隔膜式置換器の縦断面図である。なお、本願の図3(A)は、特許文献1の図1に相当し、本願の図3(B)は、特許文献1の図2に相当している。
【0012】
図3(A)を参照すると、特許文献1による隔膜式圧力計の校正装置70は、円筒状の校正用隔膜式置換器(以下、置換器と略称する)7、キャピラリチューブ71、及び圧力計本体72を備えている。配管1には、流体が流通している。配管1は、導入管11を接続している。導入管11には、計測される流体を配管1から導入できる。
【0013】
図3(A)を参照すると、導入管11の末端には、置換器7を接続している。導入管11の配管1側には、元弁(開閉弁)1aを設けている。元弁1aを閉じると、導入管11の管路を遮断できる。つまり、元弁1aを閉じると、配管1から置換器7側に向けて、流体が導入されることを阻止でき、置換器7側から配管1に向けて、流体が逆流することを阻止できる。
【0014】
図3(A)を参照すると、導入管11は、元弁1aと置換器7の間に、圧力逃し弁(開閉弁)1bを設けている。元弁1aを開いて、圧力逃し弁1bを閉じておくと、導入管11を閉回路(流体回路)にできる。一方、元弁1aを閉じて、圧力逃し弁1bを開くと、元弁1aと置換器7の間の導入管11に残留した流体を大気圧と同じ圧力にでき、再び、圧力逃し弁1bを閉じると、残留した流体を大気圧の状態で貯留できる。
【0015】
図3(B)を参照すると、置換器7は、一対のフランジ71f・72fを両端部に設けている。一方のフランジ71fの中央部に設けた開口は、第1隔膜(ダイヤフラム)7aで密閉されている。他方のフランジ71fの中央部に設けた開口は、第2隔膜(ダイヤフラム)7bで密閉されている。つまり、置換器7は、密閉容器となっている。
【0016】
図3(B)を参照すると、置換器7は、非圧縮性流体(例えば、純水)を内部に封入している。置換器7は、非圧縮性流体を内部に封入するときに、空気を抜くためのベント孔73を上部に開口している。又、置換器7は、内部のドレンを排出するためのドレン孔74を下部に開口している。なお、ベント孔73及びドレン孔74は、通常は密栓されている。
【0017】
図3を参照すると、フランジ71fは、導入管11の末端に設けたフランジに結合している。そして、導入管11に導入された流体が第1隔膜7aで受圧される。一方、フランジ72fは、キャピラリチューブ71の端部に設けたフランジに結合している。第2隔膜7bの圧力変動がキャピラリチューブ71の内部液体に伝動される。つまり、配管1の流体圧力は、第1隔膜7a→置換器7の内部流体→第2隔膜7b→キャピラリチューブ71→圧力計本体72の経路を経て伝達され、配管1の流体圧力が圧力計本体72で計測される。
【0018】
図3を参照すると、特許文献1による隔膜式圧力計の校正装置70は、校正用配管81、テスト弁(開閉弁)8a、及び加圧装置9を更に備えている。校正用配管81の一端は、置換器7に設けたポート75pに接続している。校正用配管81の他端は、テスト弁8aに接続している。加圧装置9は、プラグ9aをテスト弁8aに接続して、校正用の流体を置換器7に導入でき、置換器7の内部圧力を変動できる。なお、圧力計本体72、テスト弁8a、及び加圧装置9は、壁Wを隔てて、置換器7とは別の場所に設置されている。
【0019】
図3を参照して、圧力計本体72の校正は、以下のように実施する。最初に、元弁1aを閉じ、次に、圧力逃し弁1bを開いて、元弁1aと置換器7の間の導入管11に残留した流体を大気圧と同じ圧力にした後に、圧力逃し弁1bを閉じる。次に、プラグ9aをテスト弁8aに接続して、テスト弁8aを開き、加圧装置9により置換器7の内部圧力を変動させて、圧力計本体72を校正できる。
【0020】
特許文献1による隔膜式圧力計の校正装置は、プラントに取り付けた状態で、圧力計本体を校正でき、構成を簡略化できる、としている。
【0021】
しかし、特許文献1による隔膜式圧力計の校正装置は、置換器の内部圧力を変動させて、圧力計本体を校正している。図3を参照すると、特許文献1による隔膜式圧力計の校正装置70は、配管1から導入された流体を第1隔膜7aで受圧しているので、その校正結果は、第1隔膜7aの特性を加味した、配管1に流通する流体の圧力変動を再現性よく反映することが困難であるという問題がある。
【0022】
計測される流体を隔膜で受圧して、この流体の圧力を圧力計本体で計測する隔膜式圧力計において、計測される流体の圧力変動を再現性よく反映できる校正装置が求められている。そして、以上のことが本発明の課題といってよい。
【0023】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、プラントに取り付けた状態で、圧力計本体を校正できると共に、計測される流体の圧力変動を再現性よく反映できる、隔膜式圧力計の校正装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0024】
本発明者は、計測される流体が導入される導入管の末端に配置した隔膜で前記流体を受圧し、この隔膜で受圧した圧力がキャピラリチューブを介して圧力計本体に伝動されて、前記流体の圧力を計測する隔膜式圧力計において、前記導入管の流路を開閉する元弁を閉じた状態で、隔膜と元弁の間の閉路に介在された校正器の内部に校正用流体を導入し、隔膜で受圧される校正用流体の圧力を変動させて、圧力計本体を校正することにより、この課題が解決可能であると考え、これに基づいて、以下のような新たな隔膜式圧力計の校正装置を発明するに至った。
【0025】
(1)本発明による隔膜式圧力計の校正装置は、計測される流体が導入される導入管の流路を開閉する元弁、前記導入管の末端を閉塞するように配置され、前記流体を受圧する隔膜、及びこの隔膜で受圧した圧力がキャピラリチューブを介して伝動される圧力計本体を有する隔膜式圧力計の校正装置であって、前記元弁を閉じた状態で、前記隔膜と前記元弁の間の閉路に介在され、前記導入管の流路と前記隔膜を連通し、前記隔膜を加圧する校正用流体を充填可能な校正室を内部に有する円筒状の校正器を備える。
【0026】
(2)本発明による隔膜式圧力計の校正装置は、前記校正器と着脱自在に接続する校正用配管と、前記元弁を閉じた状態で、前記校正用配管を介して、前記校正用流体を前記校正室に充填させる校正用流体源と、前記校正用配管に接続し、前記校正用流体が前記隔膜を加圧する圧力を計測する基準器と、を更に備え、前記校正用流体源の圧力を変動し、前記基準器の指示値に基づいて、前記圧力計本体の指示値を校正することが好ましい。
【0027】
(3)本発明による隔膜式圧力計の校正装置は、前記導入管の末端部側に設けた第1フランジと、前記隔膜で中央部が閉塞され、前記第1フランジに着脱自在に結合可能な第2フランジと、を更に備え、前記校正器は、前記第1フランジと前記第2フランジで挟持されると共に、前記校正用流体を導入可能に前記校正室に連通し、前記校正用配管が接続される接続ポートを有することが好ましい。
【0028】
(4)前記校正器は、前記校正室を介して、前記元弁と前記隔膜の間の閉路に滞留するドレンを排出可能なドレン孔を有することが好ましい。
【0029】
(5)前記校正器は、前記接続ポート又は前記ドレン孔の少なくともいずれか一方を封止可能な密栓を有することが好ましい。
【0030】
(6)前記校正用配管は、前記校正用流体源と前記校正器の間に接続された圧力逃し弁を更に有することが好ましい。
【0031】
(7)前記校正器は、ステンレス鋼からなることが好ましい。
【0032】
(8)本発明による隔膜式圧力計の校正方法は、計測される流体が導入される導入管、この導入管の流路を開閉する元弁、前記導入管の末端を閉塞するように配置され、前記流体を受圧する隔膜、及びこの隔膜で受圧した圧力がキャピラリチューブを介して伝動される圧力計本体を有する隔膜式圧力計において、前記元弁と前記隔膜の間に接続した校正用配管と、前記元弁を閉じた状態で、当該元弁と前記隔膜の間の閉路に前記校正用配管を介して校正用流体を充填させる校正用流体源と、前記校正用配管に接続し、校正用流体が前記隔膜を加圧する圧力を計測する基準器と、を備える校正装置を用いた隔膜式圧力計の校正方法であって、前記校正用流体源の圧力を変動し、前記基準器の指示値に基づいて、前記圧力計本体の指示値を校正する。
【発明の効果】
【0033】
本発明による隔膜式圧力計の校正装置は、計測される流体が導入される導入管の末端に配置した隔膜で前記流体を受圧し、この隔膜で受圧した圧力がキャピラリチューブを介して圧力計本体に伝動されて、前記流体の圧力を計測する隔膜式圧力計において、前記導入管の流路を開閉する元弁を閉じた状態で、隔膜と元弁の間の閉路に介在された校正器の内部に校正用流体を導入し、隔膜で受圧される校正用流体の圧力を変動させて、圧力計本体を校正できるので、その校正結果は、隔膜の特性を加味した、計測される流体の圧力変動を再現性よく反映できる。
【0034】
又、本発明による隔膜式圧力計の校正装置は、導入管の末端部側に設けた第1フランジと、隔膜で中央部が閉塞された第2フランジで挟持され、導入管の流路と隔膜を連通する校正室を内部に有する校正器を備え、校正器は、校正室に連通し、校正用流体を導入可能に、校正用配管が接続される接続ポートを有するので、プラントに取り付けた状態で、圧力計本体を校正できる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の一実施形態による隔膜式圧力計の校正装置の構成を示す配管図であり、要部を実体的に記載している。
【図2】前記実施形態による隔膜式圧力計の校正装置に備わる校正器、及びこの校正器に接続する構成品の斜視分解組立図である。
【図3】従来技術による隔膜式圧力計の校正装置の構成を示す図であり、図3(A)は、隔膜式圧力計の校正装置の配管図、図3(B)は、隔膜式圧力計の校正装置に備わる校正用隔膜式置換器の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、図面を参照して本発明を実施するための形態を説明する。
[隔膜式圧力計の校正装置の構成]
最初に、本発明の一実施形態による隔膜式圧力計の校正装置の構成を説明する。
【0037】
図1は、本発明の一実施形態による隔膜式圧力計の校正装置の構成を示す配管図であり、要部を実体的に記載している。図2は、前記実施形態による隔膜式圧力計の校正装置に備わる校正器、及びこの校正器に接続する構成品の斜視分解組立図である。なお、図3で使用した符号と同じ符号を有する構成品は、その作用を同一とするので、以下では説明を割愛する場合がある。
【0038】
図1を参照すると、本発明の一実施形態による隔膜式圧力計の校正装置(以下、校正装置という)10は、円筒状の校正器3、キャピラリチューブ21、及び圧力計本体22を備えている。配管1には、流体が流通している。配管1は、導入管11を接続している。導入管11には、計測される流体を配管1から導入できる。
【0039】
図1を参照すると、導入管11の末端には、校正器3を接続している。導入管11の配管1側には、元弁(開閉弁)1aを設けている。元弁1aを閉じると、導入管11の管路を遮断できる。つまり、元弁1aを閉じると、配管1から校正器3側に向けて、流体が導入されることを阻止でき、校正器3側から配管1に向けて、流体が逆流することを阻止できる。
【0040】
図2を参照すると、実体として、導入管11の末端側には、第1フランジ11fを設けている。第1フランジ11fには、ボルト5b及ナット5nで締結するため複数の穴11bを開口している。一方、キャピラリチューブ21の一端部には、第2フランジ21fを設けている。第2フランジ21fには、ボルト5b及ナット5nで締結するため複数の穴21bを開口している。
【0041】
図1又は図2を参照すると、第2フランジ21fの中央部に設けた開口は、隔膜(ダイヤフラム)2dで密閉されている。隔膜2dの内部には、非圧縮性流体が封入されている。隔膜2dで受圧した圧力は、キャピラリチューブ21を介して、圧力計本体22に伝動され、圧力計本体22で前記圧力が計測される。
【0042】
図1又は図2を参照すると、従来は、第1フランジ11fと第2フランジ21fを直結していた。そして、配管1に流通する流体の圧力を圧力計本体22で計測していた。このため、圧力計本体22を校正するときには、第1フランジ11fと第2フランジ21fを分解して、校正用流体で隔膜2dを加圧して校正を実施していた。又、校正作業が終了後は、第1フランジ11fと第2フランジ21fを再び組み立てていた。実施形態による校正装置10は、煩雑であり時間を要する上記の校正作業を以下のとおり解決した。
【0043】
図2を参照すると、校正器3は、ボルト5bが挿通される複数の穴31bを開口している。そして、校正器3は、第1フランジ11fと第2フランジ21fで挟持されるように、ボルト5b及ナット5nで締結されている。つまり、校正器3は、元弁1aを閉じた状態で隔膜2dと元弁1aの間の閉路に介在されている。
【0044】
又、図1を参照すると、校正器3は、導入管11の流路と隔膜2dを連通する校正室30を内部に有している。校正室30には、隔膜2dを加圧する校正用流体Gを充填することができる。校正器3は、ステンレス鋼からなることが好ましく、腐食を防止できる。
【0045】
図1を参照すると、実施形態による隔膜式圧力計の校正装置10は、校正用配管41、校正用流体源4d、及び基準器4aを更に備えている。校正用配管41は、校正室30に連通するように、その一端が校正器3に接続されている。
【0046】
図2を参照すると、実体として、校正用配管41の端部に設けた管継手41cを校正室30に連通した接続ポート31pに接続している。つまり、校正用配管41は、元弁1aと隔膜2dの間に接続されている(図1参照)。
【0047】
図1を参照すると、校正用配管41の遠端部には、校正用流体源4dを接続している。校正用流体源4dは、実体として、N(窒素)ガスなどの校正用流体Gを貯蔵したタンク(又はボンベ)であり、校正用配管41に接続した開閉弁4cを開くことより、校正用流体Gを校正室30に充填できる(図2参照)。そして、元弁1aを閉じた状態において、校正用流体Gで隔膜2dを加圧できる。
【0048】
図1を参照すると、校正用配管41には、基準器4aを接続している。基準器4aは、例えば、マノメータであり、校正用流体Gが隔膜2dを加圧する圧力を計測できる。そして、校正用流体源4dの圧力を変動し、基準器4aの指示値に基づいて、圧力計本体22の指示値を校正できる。
【0049】
図1又は図2を参照すると、校正器3は、校正室30に連通するドレン孔32pを開口している。ドレン孔32pは、元弁1aと隔膜2dの間の閉路に滞留するドレンを計測される流体と共に排出できる。
【0050】
又、図1又は図2を参照すると、校正器3は、接続ポート31p又はドレン孔32pの少なくともいずれか一方を封止可能な密栓3nを有している。通常は、接続ポート31pに管継手41cが接続され、ドレンが排出された後に、ドレン孔32pが密栓3nで封止されている。管継手41cは、ドレン孔32pに接続することもでき、この場合、接続ポート31pを密栓3nで封止できる。
【0051】
図1を参照すると、校正用配管41は、校正用流体源4dと接続ポート31pの間に接続された圧力逃し弁4bを更に有している。元弁1aを閉じて、圧力逃し弁4bを開くと、元弁1aと隔膜2dの間の閉路に滞留する流体を大気圧と同じ圧力にでき、再び、圧力逃し弁1bを閉じると、元弁1aと隔膜2dの間の閉路に校正用流体Gを大気圧以上の圧力で充填できる。
【0052】
[隔膜式圧力計の校正装置の作用]
次に、実施形態による校正装置10を用いた校正方法を説明しながら、校正装置10の作用及び効果を説明する。
【0053】
図1を参照して、最初に、元弁1aを閉じ、ドレン孔32pを開けて、元弁1aと隔膜2dの間の閉路(校正室30を含む)に滞留したドレンを計測される流体と共に排出する。この場合、ドレンが排出し易いように、圧力逃し弁4bを開いておくことが好ましく、校正用流体Gを吹きつけて、ドレンの排出を加速してもよい。そして、ドレンを排出後に、ドレン孔32pを密栓3nで封止する。
【0054】
図1を参照して、次に、開閉弁4cを開いて、元弁1aと隔膜2dの間の閉路に校正用流体Gを充填する。なお、開閉弁4cを開く前に、前記閉路を一旦、大気圧の状態にしておくことが好ましい。次に、校正用流体Gの圧力を変動し、基準器4aの指示値に基づいて、隔膜2dで受圧される圧力計本体22の指示値を校正する。そして、校正作業が終了後は、接続ポート31pを密栓3nで封止すると共に、元弁1aを開いて、通常の計測状態に復帰できる。
【0055】
実施形態による校正装置10を用いた校正方法は、計測される流体が導入される導入管11の末端に配置した隔膜2dで前記流体を受圧し、隔膜2dで受圧した圧力がキャピラリチューブ21を介して圧力計本体22に伝動されて、前記流体の圧力を計測する隔膜式圧力計において、導入管11の流路を開閉する元弁1aを閉じた状態で、隔膜2dと元弁1aの間の閉路(校正室30を含む)に校正用流体Gを導入し、隔膜2dで受圧される校正用流体Gの圧力を変動させて、圧力計本体22を校正できる。
【0056】
実施形態による校正装置10は、プラントに取り付けた状態で、圧力計本体を校正できるので、従来のような、校正に伴うフランジの分解作業及び再組立作業を省略できる。又、実施形態による校正装置10は、その校正結果が隔膜2dの特性を加味しているので、配管1に流通する流体の圧力変動を再現性よく反映できるという特別の効果がある。
【0057】
実施形態による校正装置10は、配管に流通する流体の圧力の校正するために好適な実施例を開示したが、本発明による隔膜式圧力計の校正装置及び校正方法は、これに限定されない。例えば、本発明による隔膜式圧力計の校正装置は、圧力流体を貯蔵するタンク、又は流体を送出するポンプなどに接続することもできる。
【符号の説明】
【0058】
1a 元弁
2d 隔膜
3 校正器
4a 基準器
4d 校正用流体源
10 校正装置(隔膜式圧力計の校正装置)
11 導入管
11f 第1フランジ
21 キャピラリチューブ
21f 第2フランジ
22 圧力計本体
G 校正用流体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
計測される流体が導入される導入管の流路を開閉する元弁、前記導入管の末端を閉塞するように配置され、前記流体を受圧する隔膜、及びこの隔膜で受圧した圧力がキャピラリチューブを介して伝動される圧力計本体を有する隔膜式圧力計の校正装置であって、
前記元弁を閉じた状態で、前記隔膜と前記元弁の間の閉路に介在され、前記導入管の流路と前記隔膜を連通し、前記隔膜を加圧する校正用流体を充填可能な校正室を内部に有する円筒状の校正器を備える隔膜式圧力計の校正装置。
【請求項2】
前記校正器と着脱自在に接続する校正用配管と、
前記元弁を閉じた状態で、前記校正用配管を介して、前記校正用流体を前記校正室に充填させる校正用流体源と、
前記校正用配管に接続し、前記校正用流体が前記隔膜を加圧する圧力を計測する基準器と、を更に備え、
前記校正用流体源の圧力を変動し、前記基準器の指示値に基づいて、前記圧力計本体の指示値を校正する請求項1記載の隔膜式圧力計の校正装置。
【請求項3】
前記導入管の末端部側に設けた第1フランジと、
前記隔膜で中央部が閉塞され、前記第1フランジに着脱自在に結合可能な第2フランジと、を更に備え、
前記校正器は、前記第1フランジと前記第2フランジで挟持されると共に、前記校正用流体を導入可能に前記校正室に連通し、前記校正用配管が接続される接続ポートを有する請求項2記載の隔膜式圧力計の校正装置。
【請求項4】
前記校正器は、前記校正室を介して、前記元弁と前記隔膜の間の閉路に滞留するドレンを排出可能なドレン孔を有する請求項3記載の隔膜式圧力計の校正装置。
【請求項5】
前記校正器は、前記接続ポート又は前記ドレン孔の少なくともいずれか一方を封止可能な密栓を有する請求項4記載の隔膜式圧力計の校正装置。
【請求項6】
前記校正用配管は、前記校正用流体源と前記校正器の間に接続された圧力逃し弁を更に有する請求項2から5のいずれかに記載の隔膜式圧力計の校正装置。
【請求項7】
前記校正器は、ステンレス鋼からなる請求項1から6のいずれかに記載の隔膜式圧力計の校正装置。
【請求項8】
計測される流体が導入される導入管の流路を開閉する元弁、前記導入管の末端を閉塞するように配置され、前記流体を受圧する隔膜、及びこの隔膜で受圧した圧力がキャピラリチューブを介して伝動される圧力計本体を有する隔膜式圧力計の校正装置であって、前記元弁を閉じた状態で、前記隔膜と前記元弁の間の閉路に介在され、前記導入管の流路と前記隔膜を連通し、前記隔膜を加圧する校正用流体を充填可能な校正室を内部に有する円筒状の校正器と、前記校正器と着脱自在に接続する校正用配管と、前記元弁を閉じた状態で、前記校正用配管を介して、前記校正室に校正用流体を充填させる校正用流体源と、前記校正用配管に接続し、校正用流体が前記隔膜を加圧する圧力を計測する基準器と、を更に備えを備える校正装置を用いた隔膜式圧力計の校正方法であって、
前記校正用流体源の圧力を変動し、前記基準器の指示値に基づいて、前記圧力計本体の指示値を校正する隔膜式圧力計の校正方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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