説明

障子の横組子

【課題】 物を載置出来る障子または障子の組子を提供する。
【解決手段】 障子の横組子は、載置面を有し、障子紙を貼った状態でも組子が見える表側に突出する載置部が設けられたことを特徴とする。載置部には、上面から下面に貫通し、且つ花器を挿入し保持するための孔が設けられる。また、横組子は、着脱可能な状態で、縦組子と組み合わせられ、上桟、下桟、竪框で構成される外枠に取り付けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、障子の横組子に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1のように、障子の構造に関する発明が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実登3036448号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、組子を使って物を載置するものは無かった。
【0005】
したがって本発明の目的は、物を載置出来る障子または障子の組子を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る障子の横組子は、載置面を有し、障子紙を貼った状態でも組子が見える表側に突出する載置部が設けられたことを特徴とする。
【0007】
載置部を設けることにより、載置面上に物を載置することが可能になる。
【0008】
好ましくは、載置部には、上面から下面に貫通し、且つ花器を挿入し保持するための孔が設けられる。
【0009】
載置部に設けられた孔を使って保持すれば、障子を移動させても、載置した物の保持状態を維持しやすいメリットがある。
【0010】
また、好ましくは、着脱可能な状態で、縦組子と組み合わせられ、上桟、下桟、竪框で構成される外枠に取り付けられる。
【0011】
載置部付きの横組子と、載置部が無い通常の横組子とを必要に応じて入れ替えて使用することが可能になる。
【0012】
また、好ましくは、載置面の形状は、端部から中央部に向けて少しずつ幅が広くなり、中央部の幅が最も広くなる。
【0013】
本発明に係る障子の横組子用の載置部材は、載置面を有し、障子の横組子に着脱可能な状態で取り付けられるものであり、横組子に取り付けられた時に、障子紙を貼った状態でも組子が見える表側に突出することを特徴とする。
【0014】
通常の障子の横組子に、載置部材を取り付けることで、載置部を含む横組子が形成される。
【0015】
本発明に係る障子は、上桟、下桟、竪框で構成される外枠と、縦組子と、横組子と、障子紙を備え、横組子には、障子紙を貼った状態でも縦組子や横組子が見える表側に突出し且つ載置面を有する載置部が設けられることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
以上のように本発明によれば、物を載置出来る障子または障子の組子を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本実施形態における障子であって、各孔に花を生けた一輪挿しを保持させた状態のものを、表側から見た斜視図である。
【図2】第1載置部付横組子の上面図である。
【図3】第2載置部付横組子の上面図である。
【図4】第1孔に一輪挿しを挿した状態の第1載置部付横組子の斜視図である。
【図5】載置部が横組子と着脱可能なもので、載置部を横組子に装着する前の状態を示す斜視図である。
【図6】載置部が横組子と着脱可能なもので、載置部をクリップを使って横組子に装着した状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本実施形態における障子1の構成について、図を用いて説明する。本実施形態に係る障子1は、上桟、下桟、竪框で構成される外枠11、腰板12、竪子(第1縦組子13a、第2縦組子13b)、横子(第1載置部付横組子15a〜第4載置部付横組子15d)、障子紙19を備える(図1参照)。
【0019】
第1載置部付横組子15a〜第4載置部付横組子15dの第1縦組子13aや第2縦組子13bと組む仕口部分(組手)には、第1縦組子13aや第2縦組子13bと組むための溝が設けられる(図2、図3参照)。かかる溝を使って、第1載置部付横組子15a〜第4載置部付横組子15dと、第1縦組子13aや第2縦組子13bが組み合わされ、これらと腰板12とが外枠11の内側に取り付けられ、障子紙19が貼られる点は、通常の障子と同じである。但し、本実施形態では、第1載置部付横組子15a〜第4載置部付横組子15dの一部が、表側(組子が見える側で、室内を向く側)に突出する点で通常の障子と異なる。
【0020】
なお、障子の表と裏の定義は、国によって異なる。本実施形態では、日本における障子の表と裏の定義(障子紙19を貼った状態でも組子が見えて、室内を向く側が表で、組子が見えないで、外を向く側が裏)で説明する。
【0021】
具体的には、第1載置部付横組子15a〜第4載置部付横組子15dには、物を載置するために使用され、載置面を有し、表側に突出する第1載置部16a〜第4載置部16dが設けられる。
【0022】
載置面の形状(載置部を上から見た時の形状)は、端部から中央部に向けて少しずつ幅が広くなり、中央部の幅が最も広くなるような略正弦波形を有する。但し、載置面の形状が、台形形状など、通常の横組子に比べて幅が広い部分を有する他の形状であってもよい。載置部の幅(載置部を上から見た時の表側に突出する量)は、外枠11の幅(外枠11を上から見た時の表裏方向の厚さ)よりも大きい。
【0023】
載置面の厚さ(載置部を正面から見た時の寸法)は、横組子の厚さと略同じである。
【0024】
載置部を設ける位置は、横組子の端部でも良いし、中央部でも良い。例えば、本実施形態では、第1載置部付横組子15aと第4載置部付横組子15dには、表側から見て左側端部に載置部(第1載置部16a、第4載置部16d)が設けられ、第2載置部付横組子15bには、表側から見て中央部に載置部(第2載置部16b)が設けられ、第3載置部付横組子15cには、表側から見て右側端部に載置部(第3載置部16c)が設けられる(図1〜図3参照)。
【0025】
第1載置部付横組子15a〜第4載置部付横組子15dは、上下で対称な形状にするなどして、裏返しても使用出来る形態が望ましい。この場合には、右側端部に載置部を設けた横組子を裏返しにすると、左側端部に載置部を設けた横組子として使用することが可能になる。
【0026】
また、載置部(第1載置部16a〜第4載置部16d)には、上面から下面に貫通し、且つ一輪挿しなどの花器を保持出来る大きさの孔(第1孔17a〜第4孔17d)が設けられる。例えば、一輪挿しの下部の外径よりも大きく、且つ上部の外径よりも小さい内径を有する孔を設ければ、かかる一輪挿しを孔に挿入して保持することが可能になる(図4参照)。但し、上面から下面に貫通する孔に代えて、花器を置く窪みを上面(載置面)に設ける形態であってもよい。
【0027】
通常の横組子には、物を載置するスペースは無いが、本実施形態のように載置部(第1載置部16a〜第4載置部16d)を設けることにより、載置面上に物を載置することが可能になる。
【0028】
特に、載置部に設けられた孔(第1孔17a〜第4孔17d)を使って保持すれば、障子1を移動させても、載置した物の保持状態を維持しやすいメリットがある。
【0029】
載置部に載置した物を変えることにより、障子1の表側の雰囲気を変えることが出来るだけでなく、障子1の裏側のシルエットを変えることも可能になる。
【0030】
第1載置部付横組子15a〜第4載置部付横組子15dの一部(載置部)が、表側(組子が見える側で、室内を向く側)に突出するため、複数の障子を組み合わせて使用する場合には、本実施形態に係る障子1は表側に配置されるモノだけに使用される。
【0031】
第1載置部付横組子15a〜第4載置部付横組子15dは、外枠11や第1縦組子13aや第2縦組子13bから取り外し可能であることが望ましい。この場合には、載置部付きの横組子と、載置部が無い通常の横組子とを必要に応じて入れ替えて使用することが可能になる。横組子の取り外しの方法としては、例えば、障子紙19を剥がし、外枠11を分解して横組子と縦組子の組み付けを解除する方法や、横組子をたわませて横組子と竪框や竪子との係合状態を解除するなどが考えられる。
【0032】
また、載置部は、横組子の一部として、横組子の他の部分と一体的に構成される形態であってもよいが、載置部(載置部材)だけが着脱可能な形態であってもよい(図5、図6参照)。この場合には、通常の障子の横組子に、載置部材を取り付けることで、載置部を含む横組子が形成される。載置部材の取り付けは、横組子を上下で挟む形態や、クリップなどの挟み手段を使う形態が考えられる。
【0033】
なお、本実施形態では、縦組子が2本、横組子が4本で構成される形態を説明するが、縦組子や横組子の数はこれらに限られるものではない。また、下部の腰板12が省略される形態であってもよい。また、上桟、下桟、竪框の内側に付子を設ける形態であってもよい。
【符号の説明】
【0034】
1 障子
11 外枠
12 腰板
13a、13b 第1縦組子、第2縦組子
15a〜15d 第1載置部付横組子〜第4載置部付横組子
16a〜16d 第1載置部〜第4載置部
17a〜17d 第1孔〜第4孔
19 障子紙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
載置面を有し、障子紙を貼った状態でも組子が見える表側に突出する載置部が設けられたことを特徴とする障子の横組子。
【請求項2】
前記載置部には、上面から下面に貫通し、且つ花器を挿入し保持するための孔が設けられることを特徴とする請求項1に記載の横組子。
【請求項3】
着脱可能な状態で、縦組子と組み合わせられ、上桟、下桟、竪框で構成される外枠に取り付けられることを特徴とする請求項1に記載の横組子。
【請求項4】
前記載置面の形状は、端部から中央部に向けて少しずつ幅が広くなり、中央部の幅が最も広くなることを特徴とする請求項1に記載の横組子。
【請求項5】
載置面を有し、
障子の横組子に着脱可能な状態で取り付けられるものであり、
前記横組子に取り付けられた時に、障子紙を貼った状態でも組子が見える表側に突出することを特徴とする障子の横組子用の載置部材。
【請求項6】
上桟、下桟、竪框で構成される外枠と、
縦組子と、
横組子と、
障子紙を備え、
前記横組子には、前記障子紙を貼った状態でも前記縦組子や前記横組子が見える表側に突出し且つ載置面を有する載置部が設けられることを特徴とする障子。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−144852(P2012−144852A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−1705(P2011−1705)
【出願日】平成23年1月7日(2011.1.7)
【出願人】(511007325)株式会社アドプロダクションエム (1)
【Fターム(参考)】