説明

隠蔽情報読取装置および隠蔽情報読取方法

【課題】隠蔽情報を読み取ることができる隠蔽情報読取装置および隠蔽情報読取方法を提供する。
【解決手段】本発明の隠蔽情報読取装置1は、カード2の記録面17に記録された記録情報19に積層され非透光性状態から透光性状態に変化する性状を有する示温層23に対して当該示温層23が透光性状態になる温度に加熱する加熱ローラ3や加熱装置5と、それらの加熱によって透光性状態になった示温層23を透して上記カード2の記録面17に記録された記録情報19を読み取るスキャナ7やコンピュータ装置9とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、隠蔽情報を読み取る隠蔽情報読取装置および隠蔽情報読取方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、金融業、小売業、通信販売業等の業者側から新しいサービスや商品の案内を顧客に送る場合、顧客からの申し込みを受けるための申込書を同封するのが通例である。その際、申込書には顧客の個人情報や暗証番号等の記録情報が書き込まれて記録されることから、これらの記録情報が第三者の目に触れないようにすることが要求されている。
【0003】
そこで、上記記録情報は、第三者の目に触れないように、顧客により非透光性の隠蔽シールが貼付され隠蔽されている(例えば、下記の非特許文献1参照。)。上記のような業者は、隠蔽シールを手作業で剥がし、その隠蔽シールによって隠蔽された記録情報(隠蔽情報)を目視している。
【特許文献1】特開平7−195874
【特許文献2】特開2003−136863
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のように、手作業で隠蔽シールを剥がす作業は、非常に煩雑であり、特に、大量の隠蔽シールを剥離する場合は、その作業が非常に煩わしいものである。また、上記のような作業を行なう作業者は、隠蔽情報を読み間違ってしまう可能性もあるとともに、人の目視によって隠蔽情報の読み取りが行なわれるため、記録情報が漏洩する可能性も高い。
【0005】
また、シールを自動的に剥がす剥離機を用いることも考えられるが、剥離機は非常に高価なものであるため、導入し難いのが実情である。また、剥離機のメンテナンスやランニングコストも必要となり、コストパフォーマンスが悪いという問題がある。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、隠蔽情報を読み取ることができる隠蔽情報読取装置および隠蔽情報読取方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の隠蔽情報読取装置は、所定の情報記録媒体の記録面に記録された記録情報に積層され非透光性状態から透光性状態に変化する性状を有する示温層に対して当該示温層が透光性状態になる温度に加熱する加熱手段と、上記加熱手段の加熱によって透光性状態になった示温層を透して上記情報記録媒体の記録面に記録された記録情報を読み取る読取手段とを備えたことを要旨とする。
【0008】
また、上記目的を達成するため、本発明の隠蔽情報読取方法は、所定の情報記録媒体の記録面に記録された記録情報に積層され非透光性状態から透光性状態に変化する性状を有する示温層に対して当該示温層が透光性状態になる温度に所定の加熱手段で加熱し、上記加熱手段の加熱によって透光性状態になった示温層を透して上記情報記録媒体の記録面に記録された記録情報を所定の読取手段で読み取ることを要旨とする。
【発明の効果】
【0009】
すなわち、本発明の隠蔽情報読取装置によれば、上記読取手段は、上記加熱手段の加熱によって透光性状態になった示温層を透して上記情報記録媒体の記録面に記録された記録情報を読み取る。
【0010】
したがって、上記情報記録媒体の記録面から上記示温層を剥離することなく、当該記録情報を自動的に読み取ることができる。これにより、使用者は、手作業で示温層を剥離する手間や労力をかけることなく、上記記録情報を確認することができるとともに、記録情報の読み間違い等を防止することができる。また、記録情報を自動的に読み取るため、記録情報の漏洩を防止することができる。また、例えば多量の情報記録媒体から上記記録情報を読み取る際には好適に用いることができる。さらに、上記示温層を剥離する必要がないため、上記示温層を剥離するための剥離機を準備する必要がないとともに、シンプルな構造を実現でき、コストパフォーマンスが非常に優れる。
【0011】
本発明において、画像データからテキストデータに変換する変換手段を備え、上記読取手段は、上記記録情報を画像データとして読み取り、上記変換手段は、上記読取手段により読み取られた画像データをテキストデータに変換する場合には、使用者は、画像データをテキストデータとして入力する手間を省くことができる。また、使用者は、画像データを見て手作業でテキストデータに変換する必要がなくなるため、手作業による変換ミスをなくすことができる。
【0012】
また、本発明において、上記情報記録媒体は、記録情報が所定の波長の電磁波に反応して可視範囲の蛍光を発する蛍光インクにより記録され、上記記録情報に対して上記所定の波長の電磁波を照射する照射手段を備え、上記読取手段は、上記照射手段の照射により上記記録情報が蛍光を発しているとき、当該記録情報を読み取る場合には、例えば、所定の波長の電磁波として、紫外線を採用し、蛍光インクが自然光や照明の元では見え難く、紫外線の照射により可視範囲の蛍光を発するものであれば、上記示温層を透して記録情報が見られてしまう等による記録情報の漏洩が防止される。このように、記録情報の漏洩を防止しセキュリティー性が高められた上記記録情報を自動的に読み取ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
つぎに、本発明を実施するための最良の形態を説明する。
【実施例1】
【0014】
図1は、本発明の第1の実施例の隠蔽情報読取装置の一実施の形態を示す図である。
【0015】
本発明の隠蔽情報読取装置1は、非透光性状態から透光性状態に変化する性状を有する後述の示温層23を有する隠蔽シール21(図3)を用いる。本実施例では、この隠蔽シール21は、情報記録媒体であるカード2の記録面17に記録された記録情報19に積層されるよう貼付されている(図2)。本実施例のカード2は、顧客からの会員登録の申し込みを受けるためのカードである。
【0016】
上記隠蔽情報読取装置1は、上記示温層23に対して当該示温層23が透光性状態になる温度に加熱する加熱手段である加熱ローラ3や加熱装置5と、これらの加熱によって透光性状態になった示温層23を透して上記カード2の記録面17に記録された記録情報19を読み取るスキャナ7やコンピュータ装置9と、送りローラ11とを備えている。
【0017】
図2(A)に示すように、カード2には、当該記録面17に住所,氏名,電話番号,パスワード等の記録情報(隠蔽情報)19が記録されている。図2(B)に示すように、この記録情報19には、第3者に見られないよう隠蔽シール21が貼付され隠蔽されている。
【0018】
図3に示すように、隠蔽シール21は、ポリエステル(特にPET)で形成された保護フィルム22と、当該保護フィルム22に積層された非透光性状態から透光性状態に変化する性状を有する示温層23と、保護フィルム22と示温層23の積層体における示温層23側の面に粘着層25が積層されている。隠蔽シール21は、カード2の記録面17に記録された記録情報19に対して上記粘着層25により貼付されている。隠蔽シール21の示温層23は、常温の状態では、非透光性状態となっているため、カード2に書き込まれて記録された個人情報等の記録情報19が見えないようになっている。
【0019】
上記示温層23は、概ね60℃以上の温度で非透光性状態から透光性状態に変化する性状を有する。これにより、人の体温や気温により、非透光性状態から透光性状態に変化しないようになっている。また、上記示温層23は、一度変色すると、元の色に戻る(すなわち、非透光性状態から透光性状態に戻る)可逆性のものを採用している。したがって、示温層23は、概ね60℃以下の温度になると、温度の低下に応じて透光性状態から非透光性状態に徐々に戻っていく。
【0020】
また、示温層23に透明の保護フィルム22が積層されているため、示温層23が剥がれたり、汚損することが防止されるとともに、隠蔽シール21全体として、しわになったり傷んだりし難く、非常に耐久性に優れる。これにより、上記スキャナ7等による読み取りが困難になることを防止することができる。
【0021】
再び、図1を参照して、上記加熱ローラ3は、内部に加熱源であるヒータ3aを有し、内部のヒータ3aにより表面が60〜70度に加熱されるようになっている。また、加熱ローラ3は、カード2の厚みだけ加熱装置5の上方に配置されている。したがって、加熱ローラ3と加熱装置5との間には、上記カード2が加熱ローラ3と加熱装置5に擦れ合いながら通る空間が形成されている。上記加熱ローラ3は、その表面にある程度の摩擦力を有するとともに、加熱ローラ3と加熱装置5との間に挿入されたカード2を巻き込むよう回転する。本実施例では、カード2は、図示の矢印のように、隠蔽シールが貼付された隠蔽シール面を加熱装置5側に向けて加熱ローラ3と加熱装置5との間に挿入される。したがって、加熱ローラ3は、カード2の裏面から示温層23を加熱する。
【0022】
上記加熱装置5は、その上部に加熱源である加熱部5aを有する。加熱部5aは、60〜70度に熱するようになっている。これにより、加熱装置5は、加熱ローラ3と加熱装置5との間を通るカード2に積層された隠蔽シールの示温層23に対し、保護フィルム22を介して加熱するようになっている。
【0023】
上記隠蔽情報読取装置1には、上記加熱ローラ3と上記加熱装置5とを対にして2つ設けられている。ここで、図示左側の加熱ローラ3と加熱装置5を「第1加熱ユニット」と称し、その右側の加熱ローラ3と加熱装置5を「第2加熱ユニット」と称する。上記隠蔽情報読取装置1では、カード2は、第1加熱ユニット、第2加熱ユニット、スキャナ7、送りローラ11の順に搬送されるようになっている。
【0024】
上記スキャナ7は、透明の保護フィルム22と、加熱ユニットの加熱によって透光性状態になった示温層23を透してカード2の記録面17に記録された記録情報19を光学的に画像データとして読み取る。また、スキャナ7は、コンピュータ装置9と接続されており、上記画像データをコンピュータ装置9に送信するようになっている。
【0025】
上記コンピュータ装置9は、OCR(Optical Character Reader)ソフトがインストールされ、スキャナ7から送信された画像データからテキスト(文字や記号等を含む)を識別してテキストデータに変換するようになっている。このように、本実施例では、コンピュータ装置9は、OCRソフトにより画像データからテキストデータに変換する変換手段として機能する。また、コンピュータ装置9は、当該変換したテキストデータをデータベース化する等により管理するようになっている。
【0026】
上記送りローラ11は、その表面にある程度の摩擦力を有し、スキャナ7の読取面上に搬送されたカード2をスキャナ7の外側へ送り出すよう回転するようになっている。これにより、スキャナ7は、記録情報19を順次読み取ることができる。
【0027】
つぎに、図1および図4を参照して、隠蔽情報読取装置1の動作について説明する。
【0028】
上記隠蔽情報読取装置1は、図4(1)に示す隠蔽シールが貼付されたカード2が第1加熱ユニットの加熱ローラ3と加熱装置5との間の空間に挿入されると、加熱ローラ3と加熱装置5で隠蔽シール21の示温層23を加熱しながら、加熱ローラ3の回転により、第2加熱ユニット方向へカード2を巻き込んで送り出す。
【0029】
ついで、第1加熱ユニットの加熱ローラ3により送り出されたカード2が第2加熱ユニットの加熱ローラ3と加熱装置5との間の空間に挿入され、隠蔽シールの示温層23を加熱ローラ3と加熱装置5でさらに加熱しながら、加熱ローラ3の回転により、スキャナ7方向へカード2を巻き込んで送り出す。
【0030】
上記のように、第1加熱ユニットで加熱し、さらに第2加熱ユニットで加熱すると、図4(2)に示すように、カード2に貼付された隠蔽シールの示温層23が透光性状態となる。このように、複数段階で加熱することにより、隠蔽シールの示温層23に対して熱を十分に伝えることができ、示温層23を完全に透光性状態にすることができる。本実施例では、示温層23は予熱により約2秒間透光性状態となる。
【0031】
ついで、上記隠蔽情報読取装置1は、上記第1,第2加熱ユニットの加熱によって透光性状態になった示温層23を透して上記カード2の記録面17に記録された記録情報19をスキャナ7により読み取る。このとき、スキャナ7は、記録情報19を画像データとして読み取り、当該画像データをコンピュータ装置9に送信する。
【0032】
ついで、スキャナ7により読み取られたカード2を送りローラ11によりスキャナ7の外側へ送り出す。
【0033】
図4(3)に示すように、加熱され透光性状態となった示温層23は、周りの空気により冷えてくると、徐々に非透光性状態になっていき、図4(4)に示すように、完全に非透光性状態となる。このように、示温層23が自動的に非透光性状態となるため、記録情報19を隠蔽する手間がなく、記録情報19の秘密性を維持することができる。
【0034】
ついで、上記隠蔽情報読取装置1は、上記コンピュータ装置9により、スキャナ7から受信した画像データからテキストを識別してテキストデータに変換し、当該テキストデータを格納する。
【0035】
上記コンピュータ装置9は、上記スキャナ7により読み取られた画像データをテキストデータに変換するため、使用者は、画像データをテキストデータとして入力する手間を省くことができる。また、使用者は、画像データを見て手作業でテキストデータに変換する必要がなくなるため、手作業による変換ミスをなくすことができる。
【0036】
上記のように、隠蔽情報読取装置では、読取手段であるスキャナ7やコンピュータ装置9により、上記加熱ローラ3と加熱装置5等の加熱ユニットの加熱によって透光性状態になった示温層23を透して上記カード2の記録面17に記録された記録情報19を読み取る。すなわち、カード2の記録面17から示温層23を剥離することなく、当該記録情報19を自動的に読み取ることができる。これにより、使用者は、手作業で示温層23を剥離する手間や労力をかけることなく、記録情報19を確認することができるとともに、記録情報19の読み間違い等を防止することができる。また、記録情報19を自動的に読み取るため、記録情報19の漏洩を防止することができる。また、例えば多量のカード2から上記記録情報19を読み取る際には好適に用いることができる。さらに、示温層23を剥離する必要がないため、示温層23を剥離するための剥離機を準備する必要がないとともに、シンプルな構造を実現でき、コストパフォーマンスが非常に優れる。
【0037】
なお、上記示温層23としては、示温インクを採用しているが、これに限定するものではなく、例えば、示温顔料,示温塗料、示温材等の各種のものを用いることができる。また、一度変色すると、元の色に戻らない(すなわち、透光性状態から非透光性状態に戻らない)不可逆性のものを採用することもできる。この場合、示温層23が非透光性状態に戻るまで(すなわち、加熱直後)に、スキャナ7に記録情報19を読み取らせるように、加熱ローラ3の回転速度やスキャナ7の読み取り速度を設定する必要がなくなる。したがって、気温が低い場所で使用する場合や気温が高い場所で使用する場合等の本装置の使用環境にかかわらず、好適に使用することができる。
【0038】
また、上記スキャナ7で記録情報19が読み取られた後、示温層23を冷却する冷却手段を設けてもよい。このようにすることにより、気温等の影響等により示温層23が非透光性状態に戻り難い場合等に対応することができる。
【0039】
また、図5に示すように、上記隠蔽シール21として、当該保護フィルム22上からさらに示温層31と保護フィルム33との積層体を積層した隠蔽シール(「2重隠蔽シール」35と称する)を採用してもよい。
【0040】
この場合、図5に示すように、上記隠蔽シール21の保護フィルム22側に示温層31が積層され、その示温層31に保護フィルム33が積層されていてもよい。このようにすることにより、記録情報19を透かして見られてしまうことを防止することができる。この場合、示温層23,31に対して十分に熱が伝わるよう加熱ローラ3や加熱装置5による加熱時間や加熱温度等を長めに設定することが好ましい。
【実施例2】
【0041】
図6〜図8は、本発明の第2の実施例を示す。
【0042】
本実施例では、図6〜図8に示すように、上記カード2は、記録情報19が所定の波長の電磁波(本実施例では、紫外線)に反応して可視範囲の蛍光を発する蛍光インクにより記録されている。本実施例の隠蔽情報読取装置1は、記録情報19に対して上記紫外線を照射する照射手段である紫外線照射部41を備え、上記スキャナ7は、上記紫外線照射部41の照射により上記記録情報19が蛍光を発しているとき、当該記録情報19を読み取るようになっている。それ以外は、上記第1の実施例と同様であり、同様の部分には同じ符号を付している。
【0043】
上記紫外線照射部41は、スキャナ7内に設けられ、少なくともスキャナ7の読み取り動作が行なわれている間、記録情報19に対して紫外線を照射するようになっている。
【0044】
図7に示すように、本実施例では、記録情報19は、顧客等により蛍光インクとしてのステルスインクが塗布されたカーボン紙43を用いて複写され、隠蔽シール21に貼付されている。
【0045】
上記蛍光インクは、紫外線が照射されることにより蛍光を発するようになっているが、これに限定されるものではなく、赤外線等の電磁波等が照射されることにより蛍光を発するものであってもよく、蛍光染料、蛍光顔料等を採用することができる。
【0046】
つぎに、図6および図8を参照して、本実施例の隠蔽情報読取装置1の動作について説明する。
【0047】
上記隠蔽情報読取装置1は、図8(1)に示す隠蔽シール21が貼付されたカード2が、上述と同様に、第1加熱ユニットにつづいて第2加熱ユニットで加熱すると、図8(2)に示すように、カード2に貼付された隠蔽シール21の示温層23が完全に透光性状態となる。ここでは、記録情報19は上記ステルスインクで記録されているため、読み取れないようになっている。
【0048】
ついで、図8(3)に示すように、上記隠蔽情報読取装置1は、上記紫外線照射部41により透光性状態になった示温層23を透して記録情報19に対して紫外線を照射するとともに、スキャナ7により記録情報19を読み取る。すなわち、スキャナ7は、上記紫外線照射部41により記録情報19に対して紫外線を照射し、記録情報19が蛍光を発している間、記録情報19を画像データとして読み取る。そして、当該画像データをコンピュータ装置9に送信する。
【0049】
ついで、上記隠蔽情報読取装置1は、スキャナ7により読み取られたカード2を送りローラ11によりスキャナ7の外側へ送り出し、上記コンピュータ装置9により、スキャナ7から受信した画像データからテキストを識別してテキストデータに変換し、当該テキストデータを格納する。
【0050】
上記のように、スキャナ7は、紫外線照射部41の照射により記録情報19が蛍光を発しているとき、当該記録情報19を読み取るため、本実施例のように、所定の波長の電磁波として、紫外線を採用し、蛍光インクが自然光や照明の元では見え難く、紫外線の照射により可視範囲の蛍光を発するものであれば、上記示温層23を透して記録情報19が見られてしまう等による記録情報19の漏洩が防止される。このように、本実施例では上記第1の実施例の作用効果に加えて、記録情報19の漏洩を防止しセキュリティー性が高められた上記記録情報19を自動的に読み取ることができる。
【実施例3】
【0051】
図9は、本発明の第3の実施例を示す。
【0052】
図9に示すように、上記スキャナ7に代えて画像データをテキストデータに変換するOCR(光学式文字読取装置)45を用いてもよい。OCR(光学式文字読取装置)45は、上記各実施例におけるスキャナ7の機能と、OCRソフトがインストールされたコンピュータ装置9の機能を有する。この場合、上記コンピュータ装置9は、上記OCR45により変換されたテキストデータを受信し管理するようにしてもよい。それ以外は、上記第1の実施例と同様であり、同様の部分には同じ符号を付している。このようにすることで上記第1の実施例と同様の作用効果に加えて、上記コンピュータ装置9と接続する必要がなくなり、本装置の構成を簡素化させることができる。また、コンピュータ装置9とは別の外部装置(端末装置)等と接続し、その外部装置等にテキストデータを送信することができる。
【実施例4】
【0053】
図10は、本発明の第4の実施例を示す。
【0054】
図10に示すように、隠蔽情報読取装置1に読み取り前の複数のカード2を収容する収容部51を設け、収容部51に収容されたカード2が順次読み取られるようにしてもよい。この場合、収容部51に、収容されたカード2を第1加熱ユニットへ送り出す送出しローラ51aを設けてもよい。このように、収容部51を設けることにより、大量のカード2の記録情報19を読み取る際には、複数のカード2を収容部51に一度に収容することで、これらのカード2の記録情報19を順次読み取ることができるため、大量のカード2の読み取り作業の手間や労力が一層軽減される。それ以外は、上記第1の実施例と同様であり、同様の部分には同じ符号を付している。また、上記第1の実施例と同様の作用効果を奏する。なお、図10では、上記コンピュータ装置9を示していない。
【0055】
なお、各実施例の隠蔽情報読取装置の構成は、任意に変更してもよい。例えば、第1の実施例の隠蔽情報読取装置の一部の構成を第2の実施例の隠蔽情報読取装置に組み合わせてもよい。また、情報記録媒体としてカードを採用しているが、例えば葉書,書類等の種々の情報記録媒体を適用できる。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明は、読み取りが必要な記録情報が示温層により隠蔽されていれば適用でき、当該示温層により隠蔽された記録情報である隠蔽情報を読み取る用途に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の第1の実施例の隠蔽情報読取装置を示す図である。
【図2】カードの記録情報と隠蔽シールを示す図である。
【図3】記録情報に貼付された隠蔽シールの断面図である。
【図4】隠蔽シールの状態を示す図である。
【図5】2重隠蔽シールを示す図である。
【図6】第2の実施例の隠蔽情報読取装置を示す図である。
【図7】ステルスインクを用いて記録された記録情報を示す図である。
【図8】隠蔽シールの状態を示す図である。
【図9】第3の実施例の隠蔽情報読取装置を示す図である。
【図10】第4の実施例の隠蔽情報読取装置を示す図である。
【符号の説明】
【0058】
1 隠蔽情報読取装置
2 カード
3 加熱ローラ
3a ヒータ
5 加熱装置
5a 加熱部
7 スキャナ
9 コンピュータ装置
11 送りローラ
17 記録面
19 記録情報
21 隠蔽シール
22 保護フィルム
23 示温層
25 粘着層
31 示温層
33 保護フィルム
35 2重隠蔽シール
41 紫外線照射部
43 カーボン紙
45 OCR
51 収容部
51a 送出しローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の情報記録媒体の記録面に記録された記録情報に積層され非透光性状態から透光性状態に変化する性状を有する示温層に対して当該示温層が透光性状態になる温度に加熱する加熱手段と、
上記加熱手段の加熱によって透光性状態になった示温層を透して上記情報記録媒体の記録面に記録された記録情報を読み取る読取手段とを備えたことを特徴とする隠蔽情報読取装置。
【請求項2】
画像データからテキストデータに変換する変換手段を備え、
上記読取手段は、上記記録情報を画像データとして読み取り、
上記変換手段は、上記読取手段により読み取られた画像データをテキストデータに変換する請求項1記載の隠蔽情報読取装置。
【請求項3】
上記情報記録媒体は、記録情報が所定の波長の電磁波に反応して可視範囲の蛍光を発する蛍光インクにより記録され、
上記記録情報に対して上記所定の波長の電磁波を照射する照射手段を備え、
上記読取手段は、上記照射手段の照射により上記記録情報が蛍光を発しているとき、当該記録情報を読み取る請求項1または2記載の隠蔽情報読取装置。
【請求項4】
所定の情報記録媒体の記録面に記録された記録情報に積層され非透光性状態から透光性状態に変化する性状を有する示温層に対して当該示温層が透光性状態になる温度に所定の加熱手段で加熱し、
上記加熱手段の加熱によって透光性状態になった示温層を透して上記情報記録媒体の記録面に記録された記録情報を所定の読取手段で読み取ることを特徴とする方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−71886(P2006−71886A)
【公開日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−254142(P2004−254142)
【出願日】平成16年9月1日(2004.9.1)
【出願人】(500220865)キョーエイ・ビジネス株式会社 (3)
【出願人】(000110217)トッパン・フォームズ株式会社 (989)
【Fターム(参考)】