説明

隠蔽用紙付き封筒

【課題】 封筒のあて先を改変されたり、別のあて先を表示した封筒に差し替えられて、正規の送付先でない別のあて先に送られることにより、個人情報が窃取されるのを未然に防止する隠蔽用紙付き封筒を提供する。
【課題の解決手段】 隠蔽用紙付き封筒1は、封筒上紙2と封筒下紙3を三周辺で接着し、一辺を開口してなる封筒5を備え、封筒下紙3の開口辺にはこの開口辺を封緘するための封緘片6を綴じ合わせ、封筒上紙2と封筒下紙3における開口辺と反対側の接着辺にはそれぞれ切り用ミシン目9,10を介して綴じ片11,12を連接し、封筒上紙2の表面には封筒5のあて先をあらかじめ表示する一方、封筒上紙2の表面側にあて先を被覆隠蔽する隠蔽用紙16を重ねて、この隠蔽用紙16の対向する一対の辺の一方を封緘片6に切り用ミシン目17を介して連接し、前記一対の辺の他方は綴じ片12に綴じ合わせたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種の申込書を封入して申込先に郵送するために、あらかじめあて先が表示された封筒に関し、特にあて先を隠蔽する隠蔽用紙を設けてなる隠蔽用紙付き封筒に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、金融機関などの各種サービスを受けるための申込書を郵送する封筒は、別に用意した申込書やパンフレットとともにフィルム袋に収納したり、申込書やパンフレットと一体化したものを折り畳んで、店内に置いているのが一般的である。そして、封筒には、申込者の便宜を考慮してあらかじめあて先を表示している。
【特許文献1】実開平1−112975号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところが、店内におけるフィルム袋や折り畳んだ申込書付き封筒の持ち出しは自由なため、封筒のあて先を改変されたり、別のあて先を表示した封筒に差し替えられる可能性がある。そして、このような不正行為がなされると、申込者の個人情報を記入した申込書が、正規の送付先でない別のあて先に送られて、個人情報が窃取されてしまう事態を生じる。本発明は、このような事態が生じるのを防止する隠蔽用紙付き封筒を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この目的を達成するため本発明の請求項1に係る隠蔽用紙付き封筒は、封筒上紙と封筒下紙を三周辺で接着し、一辺を開口してなる封筒を備え、前記封筒下紙の開口辺にはこの開口辺を封緘するための封緘片を綴じ合わせ、前記封筒上紙と前記封筒下紙の少なくとも一方における開口辺と反対側の接着辺には切り用ミシン目を介して綴じ片を連接し、前記封筒上紙の表面には封筒のあて先をあらかじめ表示する一方、前記封筒上紙の表面側に前記あて先を被覆隠蔽する隠蔽用紙を重ねて、この隠蔽用紙の対向する一対の辺の一方を前記封緘片に切り用ミシン目を介して連接し、前記一対の辺の他方は前記綴じ片に綴じ合わせたものである。
【0005】
また、同じく上記目的を達成するために本発明の請求項2に係る隠蔽用紙付き封筒は、上記請求項1の構成において、封筒下紙の封緘片綴じ合わせ端に切り用ミシン目を介して補助片を連接し、この補助片の前記封筒下紙との連接端とは反対側端に、隠蔽用紙及び封緘片の上に重ねた、申込書と、各種情報を表示した情報表示用紙とを、互いに綴じ合わせるとともに、前記申込書は分離可能に構成したものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明の請求項1に係る隠蔽用紙付き封筒によれば、封筒のあて先が切り用ミシン目を破断しなければ封筒から分離できない隠蔽用紙で被覆隠蔽されているので、あて先の改変や封筒の差し替えという不正行為を行うことが困難であるとともに、不正行為をしたか否かを視覚によって容易に判断することができ、しいては個人情報の窃取を未然に防止できるほか、隠蔽用紙を封筒から分離すると封緘片が形成されるので、封筒としての使い勝手もよいという効果を奏する。
【0007】
本発明の請求項2に係る隠蔽用紙付き封筒によれば、申込書及び情報表示用紙を封筒下紙に連接した補助片と一体的に綴じ合わせるとともに、申込書は分離可能に構成したので、上記効果に加え、申込書送付用の封筒としての使い勝手はより向上するという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の好適な実施形態について添付図面に基づき説明する。ここにおいて、図1は隠蔽用紙付き封筒の平面図、図2はそのA−A線端面図、図3は同じくB−B線端面図、図4は申込書の平面図、図5は切り用ミシン目を介して連接した封緘片及び隠蔽用紙の平面図、図6は封筒上紙の表面側を示す平面図、図7は切り用ミシン目を介して連接した封筒下紙と補助片を示す平面図、図8は隠蔽用紙及び綴じ片を切り離して封筒を形成した状態を示す端面図である。
【0009】
図2及び図3に示すように、隠蔽用紙付き封筒1は、封筒上紙2と封筒下紙3を三周辺で接着剤4により接着し、一辺を開口してなる封筒5を備えている。前記封筒下紙3の開口辺にはこの開口辺を封緘するための封緘片6を接着剤7で綴じ合わせ、この封緘片6と対向する前記封筒上紙2表面の開口辺近傍には、アスティックテープ8を設けている。また、前記封筒上紙2と前記封筒下紙3における開口辺と反対側の接着辺には、それぞれ切り用ミシン目9,10を介して綴じ片11,12を連接し、接着剤13で互いに綴じ合わせている。
【0010】
図6に示すように、封筒上紙2の表面には、封筒5のあて先14と隠蔽用紙付き封筒1を置く店舗固有の店舗コード15あらかじめ表示している。図2及び図3に示すように、前記封筒上紙2の表面側には、前記あて先14を被覆隠蔽する隠蔽用紙16を重ねて、この隠蔽用紙16の対向する一対の辺の一方を封緘片6に切り用ミシン目17を介して連接し、前記一対の辺の他方は前記封筒上紙2に連接した綴じ片12に接着剤18で綴じ合わせている。
【0011】
図5に示すように、隠蔽用紙16の表面には、説明文19をあらかじめ表示している。この説明文19は、例えば、後述する申込書に記載される個人情報の取扱に関する説明や、隠蔽用紙付き封筒1の使用方法に関する説明である。
【0012】
図2に示すように、封筒下紙3の封緘片6綴じ合わせ端に切り用ミシン目20を介して補助片21を連接している。この補助片21の前記封筒下紙3との連接端とは反対側端に、隠蔽用紙16及び封緘片6の上に重ねた、申込書22と、各種情報を表示した2枚の情報表示用紙23,24とを、互いに接着剤25,26,27で綴じ合わせている。前記申込書22は綴じ合わせ部分の内側に切り用ミシン目28を設けて分離可能としている。なお、前記補助片21の横方向の長さと前記封筒下紙3及び綴じ片11を合わせた横方向の長さは、ほぼ同一であり、切り用ミシン目21が横方向のほぼ中央部分に位置している。
【0013】
図1に示すように、最上位の情報表示用紙24の表面には「○○入会のご案内」という表題を中央から右側に表示し、その下に案内文29を全体にわたって表示してあり、また、図示してはいないが、下位の情報表示用紙23の表面には、宣伝広告文を表示してある。一方、図4に示すように、申込書22の表面には、「入会申込書」という表題の下に申込情報記入欄30を表示し、さらにその下に、封筒上紙2に表示した店舗コード15と同一内容の店舗コード31を表示している。
【0014】
続いて、上述した隠蔽用紙付き封筒1の使用方法について説明する。この隠蔽用紙付き封筒1は、図1の横方向中央部分で情報表示用紙24を外側にして二つ折りし、「○○入会のご案内」という表題が表出した状態で、必要に応じてフィルム袋に収納して、銀行やコンビニエンスストア等の店舗内に置かれる。入会申込希望者は、この二つ折りされた隠蔽用紙付き封筒1を持ち帰るのであるが、隠蔽用紙付き封筒1は、正規状態であれば、封筒上紙2のあて先表示面が隠蔽用紙16によって被覆され、あて先14は隠蔽されている一方、切り用ミシン目17が破断される等して、あて先14が視認可能状態にあれば、不正規状態と視覚により容易に判断できるので、個人情報の窃取を未然に防ぐことができる。
【0015】
申込希望者は隠蔽用紙付き封筒1が正規状態にあることを確認した後、隠蔽用紙16に表示された説明文19にしたがって、申込書22を切り用ミシン目を28から切り離すとともに、切り用ミシン目20を破断して、封筒5部分を補助片21から切り離す。そして、隠蔽用紙16の綴じ片11,12対応部分と綴じ片11とを上下からを摘んで引っ張ると、各切り用ミシン目9,10,17が破断して、隠蔽用紙16及び各綴じ片11,12は、封緘片6を備えた封筒5から切り離され、封筒5が使用可能状態となる(図8参照)。
【0016】
したがって、所定事項を記入して折り畳んだ申込書22を封筒5に挿入し、アスティックテープ8を剥離して、封緘片6を封筒下紙3に重ねれば、封緘状態となって、前記封筒上紙2に表示された正規のあて先14に郵送可能となる。一方、この封筒5を受領した送付先では、開封後、封筒上紙2と申込書22に表示された店舗コード15,31を照合、確認して正規の店舗に置かれていたものか否かの確認ができる。
【0017】
なお、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、例えば、封筒上紙2及び封筒下紙3にそれぞれ連接した綴じ片11,12は、少なくともどちらか一方を設けておけば足るものである。また、情報表示用紙23,24の数は2枚に限定されず、1枚でもよいし、3枚以上でもよいほか、これらを別体として構成してもよい。さらに、申込書22は隠蔽用紙付き封筒1に綴じ込まず、別体に構成してもよい。さらにまた、申込書22の縦方向の長さを、封筒上紙2及び封筒下紙3の上下端の糊代を考慮して、情報表示用紙23,24よりも短く形成すると封筒5内への挿入が容易となって好適である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】隠蔽用紙付き封筒の平面図。
【図2】図1のA−A線端面図。
【図3】図1のB−B線端面図。
【図4】申込書の平面図。
【図5】切り用ミシン目を介して連接した封緘片及び隠蔽用紙の平面図。
【図6】封筒上紙の表面側を示す平面図。
【図7】切り用ミシン目を介して連接した封筒下紙と補助片を示す平面図。
【図8】隠蔽用紙及び綴じ片を切り離して封筒を形成した状態を示す端面図。
【符号の説明】
【0019】
1 隠蔽用紙付き封筒
2 封筒上紙
3 封筒下紙
4,7,13,18,25,26,27 接着剤
5 封筒
6 封緘片
8 アスティックテープ
9,10,17,20,28 切り用ミシン目
11,12 綴じ片
14 あて先
15,31 店舗コード
16 隠蔽用紙
19 説明文
21 補助片
22 申込書
23,24 情報表示用紙
29 案内文
30 申込情報記入欄

【特許請求の範囲】
【請求項1】
封筒上紙と封筒下紙を三周辺で接着し、一辺を開口してなる封筒を備え、前記封筒下紙の開口辺にはこの開口辺を封緘するための封緘片を綴じ合わせ、前記封筒上紙と前記封筒下紙の少なくとも一方における開口辺と反対側の接着辺には切り用ミシン目を介して綴じ片を連接し、前記封筒上紙の表面には封筒のあて先をあらかじめ表示する一方、前記封筒上紙の表面側に前記あて先を被覆隠蔽する隠蔽用紙を重ねて、この隠蔽用紙の対向する一対の辺の一方を前記封緘片に切り用ミシン目を介して連接し、前記一対の辺の他方は前記綴じ片に綴じ合わせたことを特徴とする隠蔽用紙付き封筒。
【請求項2】
封筒下紙の封緘片綴じ合わせ端に切り用ミシン目を介して補助片を連接し、この補助片の前記封筒下紙との連接端とは反対側端に、隠蔽用紙及び封緘片の上に重ねた、申込書と、各種情報を表示した情報表示用紙とを、互いに綴じ合わせるとともに、前記申込書は分離可能に構成したことを特徴とする請求項1記載の隠蔽用紙付き封筒。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−84103(P2007−84103A)
【公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−274257(P2005−274257)
【出願日】平成17年9月21日(2005.9.21)
【出願人】(000110217)トッパン・フォームズ株式会社 (989)
【Fターム(参考)】