説明

集合住宅インターホンシステム

【課題】 居住者はエントランスまで赴くことなく郵便物を入手することができ、間違って配送されるのを防ぐことができる集合住宅インターホンシステムを提供する。
【解決手段】 エントランスホールに郵便受取ボックス4を設置し、個々の住戸に個別郵便ボックス5を設置して、郵便受取ボックス4から個別郵便ボックス5に対して郵便物を配送する郵便物配送装置6を設けた。集合玄関機1において配送操作が成されると、集合玄関機制御部16は文字読取部38により受取人、差出人等の文字情報を読み取ると共に、記憶部39に記憶された居住者情報と比較判断し、一致すれば配送を実施し、不一致であれば配送せずに集合玄関機1に不一致であることを表示させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は集合住宅インターホンシステムに関し、特に郵便物配送機能を備えた集合住宅インターホンシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
集合住宅では、エントランス部に個々の住戸の郵便ボックスが一括して設置されているため、居住者はエントランス部まで出かけなければ配達された郵便物を入手することができなかった。そのため、郵便物の受け取りを容易に行うことができるようにしたシステムが提案されている。例えば特許文献1では、エントランスから個々の住戸にエアシュータを配置し、住戸番号を入力して郵便物を収納したキャリングケースをエアシュータに投入すれば、指定された住戸まで郵便物が搬送されるよう構成されている。
【特許文献1】特開平6−210247号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記従来のシステムは、居住者はエントランスに赴くことなく郵便物を入手することができるが、郵便物を誤配送した場合にチェックする機能がないため、配達者の入力ミスにより異なる住戸番号の住戸に搬送されてしまうことが考えられたし、住所及び住戸番号が合致していても居住者が異なる場合もあり、そのような場合は誤配送の判別は受け取った居住者に頼るしかなかった。
【0004】
一方で、集合住宅には、来訪者が住戸を選択して居住者を呼び出し、更に通話を行う為の集合住宅インターホンシステムが設置されている。このシステムを利用して郵便物の配送情報を居住者や郵便配達人等に通知すれば、独立したシステムを構築することなく、居住者等に郵便物の配送状況を通知できるし、誤配送が発生した場合にインターホンシステムを利用して通知することも可能となる。
【0005】
そこで、本発明はこのような点に鑑み、居住者はエントランスまで赴くことなく郵便物を入手することができると共に、間違って配送されるのを防ぐことができる集合住宅インターホンシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する為に、請求項1の発明は、来訪者が居住者を呼び出す為に集合住宅のエントランスに設置された集合玄関機と、居住者が集合玄関機からの呼び出しに応答するために個々の住戸に設置された住戸親機と、集合玄関機及び住戸親機を制御する制御機と、居住者宛の郵便物を受け取る為にエントランスに設置された郵便受取ボックスとを備えた集合住宅インターホンシステムであって、郵便物を受け取るために個々の住戸に設置された個別郵便ボックスと、郵便受取ボックスから個別郵便ボックスに対して郵便物を配送する郵便物配送装置と、その配送を制御する配送制御手段と、郵便受取ボックスに設置された郵便物の受取人、及び差出人の文字情報を読み取って認識する文字認識部と、住戸番号、氏名、住所等が関連付けられた居住者情報を記憶した居住者情報記憶部と、集合玄関機に設置された郵便物配送先入力部と、文字認識部が認識した郵便物の文字情報と居住者情報記憶部の情報とを比較判断する文字情報判断手段とを有し、文字情報判断手段は、郵便物配送先入力部において配送先が入力されて所定の郵便物配送操作が成されると、文字認識部を動作させて受取人、差出人等の文字情報を読み取り、居住者情報記憶部に記憶された居住者情報と文字認識部で認識された情報とを比較判断し、一致すれば配送制御手段に配送制御を実施させ、不一致であれば集合玄関機に不一致であることを表示させて配送を実施させないことを特徴とする。
この構成によれば、居住者はエントランスまで赴くことなく郵便物を入手することができるし、間違って配送しようとした場合には配送されないので、誤配送を防ぐことができる。また、誤配送しようとした場合はエラー表示がなされるので、誤配送であることを配達人が把握することができる。更に、集合玄関機を操作して配送操作することで、居住者の呼び出しを合わせて行うことも容易であるし、インターホン機器を使用するためコストダウンを図ることができる。
尚、郵便物とは葉書、封書等の通常の郵便物以外に、小包等の宅配物も含むものである。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1の記載の発明において、配送制御手段は、居住者情報記憶部に記憶された居住者情報と文字認識部で認識された情報が一致した場合に、文字認識部で認識した差出人情報を住戸親機に送信し、住戸親機は受信した差出人情報を表示する情報表示手段を有することを特徴とする。
この構成によれば、誰からの郵便物であるのか住戸親機に表示されるので、居住者は郵便物を見る前に差出人を認識することができ、便利である。
【0008】
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2記載の構成において、個別郵便ボックスには郵便物の着荷を検知する着荷センサが設けられ、住戸親機は着荷センサの着荷信号を受けて、着荷したことを表示または音で通知する着荷通知手段を有することを特徴とする。
この構成によれば、郵便が届いた際には住戸親機で報知させることができ、居住者は別途通知を受けることなく郵便物があることを認識できる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、居住者はエントランスまで赴くことなく郵便物を入手することができ、間違って配送しようとした場合には配送されないので、誤配送を防ぐことができる。更に、誤配送しようとした場合はエラー表示がなされるので、配達人は誤配送であることを把握することができる。そして、インターホン機器を使用するためコストダウンを図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明を具体化した実施の形態を、図面に基づいて詳細に説明する。図1は本発明に係る集合住宅インターホンシステムの一例を示す説明図であり、1は来訪者が居住者を呼び出すために集合住宅のエントランスホールAに設置された集合玄関機、2は集合住宅内において来訪者が居住者を呼び出すために個々の住戸玄関に設置された住戸玄関機、3は集合玄関機1及び住戸玄関機2からの呼び出しに応答するために個々の住戸Bに設置された住戸親機、4はエントランスホールAに設置されて郵便配達員が郵便物を住戸Bまで配送するために投入する郵便受取ボックス、5は個々の住戸に設置されて配送されてきた郵便物を居住者が受け取るための個別郵便ボックス、6は郵便受取ボックス4に投入された郵便物を指定された住戸の個別郵便ボックス5まで配送する例えばコンベアで構成された郵便物配送装置である。尚、M1は郵便配達人、M2は居住者を示している。
【0011】
図2は、図1に示す各機器の要部をブロック図で示した構成図であり、この図2に示すように、集合玄関機1と居室親機3とは機器間の通信を制御するための集合住宅制御装置8を介して接続され、郵便物配送装置6は郵便物配送制御装置9により制御される。そして、集合玄関機1は、呼出先或いは郵便物の配送先の住戸Bを指定するめのテンキー等から成る操作部11、呼出ボタン12、図示しないマイク及びスピーカを備えた通話部13、各種情報を表示する表示部14、郵便物の配送を実行する配送ボタン15、集合玄関機1を制御する集合玄関機制御部16、郵便受取ボックス4や集合住宅制御装置8と通信するためのインターフェース部(集合玄関機IF)17を備えている。尚、集合玄関機1には来訪者を撮像するためのカメラを備えているが図2では省略してある。
【0012】
住戸親機3は、マイク(図示せず)及びスピーカ21が接続された音声回路22、集合玄関機1のカメラが撮像した映像を出画するモニタ23、LEDから成る表示灯24、個別郵便ボックス5に設置されたセンサ(着荷センサ)25からの信号を受けて郵便物の着荷を検出する郵便物検出回路26、住戸親機3を制御する親機制御部27、集合住宅制御装置8と通信するためのインターフェース部(親機IF)28を備えている。
【0013】
そして、郵便物配送制御装置9は、郵便受取ボックス4を制御する郵便受取ボックス制御回路31、郵便物配送装置6を制御する配送制御回路32、郵便物配送制御装置9を制御する郵便物配送制御装置制御部33、集合住宅制御装置8と通信するためのインターフェース部(通信IF)34を備えている。また、郵便受取ボックス4は、投入された郵便物の差出人、及び受取人情報を読み取るための文字読取部38を備え、読み取った情報を集合玄関機1に送信するよう構成されている。
更に、集合住宅制御装置8には、住戸番号情報に関連付けられた居住者情報を記憶した記憶部39が設けられている。
【0014】
このように構成された集合住宅インターホンシステムの動作を次に説明する。但し、集合住宅インタホンシステムの基本動作である集合玄関機1からの呼出動作、及び住戸親機3による応答動作は、従来と同様であるため説明を省略し、ここではエントランスホールAに入ってきた郵便配達員M1が、集合玄関機1を操作して指定した住戸Bへ郵便物を配送する動作を説明する。
【0015】
例えば101号室の住戸Bへ郵便物を配送する場合、まず郵便配達人が郵便受取ボックス4へ郵便物を投入する。そして、集合玄関機1の操作部11を操作して「101」を入力し、配送ボタン15を押下する。この操作により、集合玄関機制御部16は、文字読取部38を起動させて投入された郵便物の差出人、受取人の文字情報を読み取る一方、集合住宅制御装置8の記憶部39から居住者情報を入手して照合する。この照合により、記憶部39に予め記憶された情報と読み取った受取人の情報が一致したときには、集合住宅制御装置8を介して郵便物配送制御装置9に配送開始信号が送信され、郵便受取ボックス制御回路31が動作して郵便受取ボックス4に投入された郵便物が郵便物配送装置6へ送り出される。
【0016】
その後、配送制御回路32が郵便物配送装置6を制御し、101号室の個別郵便ボックス5へ郵便物が配送される。郵便物が到着すると個別郵便ボックス5に設置されたセンサ25により郵便物検出回路26が郵便物を検出し、親機制御部27が表示灯24を点灯させ、スピーカ21から着荷を知らせる音声を鳴動させる。こうして、居住者M2に郵便物が届いたことが通知される。
同時に、親機制御部27は、集合住宅制御装置8を介して集合玄関機1から文字読取部38で読み取った郵便物の差出人、受取人情報を入手し、モニタ23に表示する。
【0017】
但し、集合玄関機1の操作部11で入力した住戸番号情報と文字読取部38で読み取った郵便物の差出人、受取人情報が、記憶部39に予め記憶された情報に一致しない場合には、配送制御は行われない。この場合は、集合玄関機制御部16の制御により不一致である旨の情報が表示部14に表示される。
【0018】
このように、居住者はエントランスまで赴くことなく郵便物を入手することができるし、間違って配送しようとした場合には配送されないので、誤配送を防ぐことができる。また、誤配送しようとした場合はエラー表示がなされるので、誤配送であることを配達人が把握することができる。更に、集合玄関機を操作して配送操作することで、居住者の呼び出しを合わせて行うことも容易であるし、インターホン機器を使用するためコストダウンを図ることができる。
また、誰からの郵便物であるのか住戸親機に表示されるので、居住者は郵便物を見る前に差出人を認識することができ、便利である。
更に、郵便が届いた際には住戸親機で報知させることができ、居住者は別途通知を受けることなく郵便物があることを認識できる。
【0019】
尚、上記実施形態では、住戸番号の入力を集合玄関機1のテンキー(操作部)を用い、また誤配送の表示を集合玄関機1の表示部14に表示する構成であるが、これに限らず、別途、郵便物配送専用の装置を用いても良い。
また、記憶部39を集合住宅用制御装置8に備えたが、集合玄関機1或いは郵便物配送制御装置9に設けてもよい。また郵便物配送装置6はエアシュータを使用しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明に係る集合住宅インターホンシステムの実施形態の一例を示すシステム説明図である。
【図2】図1のシステムの主要機器をブロック図で示した構成図である。
【符号の説明】
【0021】
1・・集合玄関機、3・・住戸親機、4・・郵便受け取りボックス、5・・個別郵便ボックス、6・・郵便物配送装置、8・・集合住宅制御装置、9・・郵便物配送制御装置、11・・操作部(郵便物配送先入力部)、14・・表示部、16・・集合玄関機制御部(文字情報判断手段)、21・・スピーカ(着荷通知手段)、23・・モニタ(情報表示手段)、24・・表示灯(着荷通知手段)、25・・着荷センサ、26・・郵便物検出回路、27・・親機制御部、32・・配送制御回路(配送制御手段)、38・・文字読取部(文字認識部)、39・・記憶部(居住者情報記憶部)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
来訪者が居住者を呼び出す為に集合住宅のエントランスに設置された集合玄関機と、居住者が前記集合玄関機からの呼び出しに応答するために個々の住戸に設置された住戸親機と、前記集合玄関機及び前記住戸親機を制御する制御機と、居住者宛の郵便物を受け取る為にエントランスに設置された郵便受取ボックスとを備えた集合住宅インターホンシステムであって、
郵便物を受け取るために個々の住戸に設置された個別郵便ボックスと、
前記郵便受取ボックスから前記個別郵便ボックスに対して郵便物を配送する郵便物配送装置と、その配送を制御する配送制御手段と、
前記郵便受取ボックスに設置された前記郵便物の受取人、及び差出人の文字情報を読み取って認識する文字認識部と、
住戸番号、氏名、住所等が関連付けられた居住者情報を記憶した居住者情報記憶部と、
前記集合玄関機に設置された郵便物配送先入力部と、
前記文字認識部が認識した郵便物の文字情報と前記居住者情報記憶部の情報とを比較判断する文字情報判断手段とを有し、
前記文字情報判断手段は、前記郵便物配送先入力部において配送先が入力されて所定の郵便物配送操作が成されると、前記文字認識部を動作させて受取人、差出人等の文字情報を読み取り、前記居住者情報記憶部に記憶された居住者情報と前記文字認識部で認識された情報とを比較判断し、一致すれば前記配送制御手段に配送制御を実施させ、不一致であれば前記集合玄関機に不一致であることを表示させて配送を実施させないことを特徴とする集合住宅インターホンシステム。
【請求項2】
前記配送制御手段は、前記居住者情報記憶部に記憶された居住者情報と前記文字認識部で認識された情報が一致した場合に、前記文字認識部で認識した差出人情報を前記住戸親機に送信し、前記住戸親機は受信した差出人情報を表示する情報表示手段を有することを特徴とする請求項1記載の集合住宅インターホンシステム。
【請求項3】
前記個別郵便ボックスには郵便物の着荷を検知する着荷センサが設けられ、前記住戸親機は前記着荷センサの着荷信号を受けて、着荷したことを表示または音で通知する着荷通知手段を有することを特徴とする請求項1又は請求項2記載の集合住宅インターホンシステム。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−172473(P2009−172473A)
【公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−11730(P2008−11730)
【出願日】平成20年1月22日(2008.1.22)
【出願人】(000100908)アイホン株式会社 (777)
【Fターム(参考)】